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The Dragon and the Elephant 水をめぐって中印衝突?ー鍵握るチベット(2)2010/01/11 09:42

The Dragon and the Elephant 水をめぐって中印衝突?ー鍵握るチベット(2)を地図で見る


毎月楽しみにしているのが日本経済新聞の「世界を語る」シリーズ。
土曜日朝刊の1ページを使った本格的な特集記事。

昨年登場したのはニーアル・ファーガソン、リー・クアンユー、アハメド・ザキ・ヤマニ、フランシス・フクヤマ、エマニュエル・トッドなどなど。
私が定期的にチャックしている人がずらりと並ぶ。

2010年はクリス・パッテンからスタートというなんとも渋い人選。
パッテンは1990年代に「最後の香港総督」を務め、その後は欧州連合(EU)の欧州委員会委員などを歴任した英政界の重鎮として知られる人物。

ここまで来るとハビエル・ソラナとパスカル・ラミーの名前も出して、日経さんにリクエスト。

さて、クリス・パッテンは昨年も英フィナンシャル・タイムズ紙にたびたび寄稿。
その鋭い分析力は今なお健在。

まずはインドの台頭に関するパッテンの見解。

「中国やブラジルと並んで21世紀を形づくる経済大国になるだろう。2040年ごろまでにインドの人口は世界最大になる。中国より若年労働力も多くなる。これは競争上有利になると思われるが、増加する若年層に職を提供できなければ問題にもなる。この20年間のインドの発展は目覚ましく国際企業も生み出した。企業の事務のアウトソース先として成功したが、製品輸出ではまだ中国が勝っている。社会資本の整備の遅れや貧困問題など克服すべき課題も多い」(1月9日付日経「世界を語る:アジア安定、米中協調カギ、クリス・パッテン氏」より引用)

次にアジアの安全保障上の懸念を問われたパッテンはこう答えている。

「北朝鮮は『ならず者国家』であり、アジア地域の安定を損なっているが、長期的にみれば大きな脅威ではない。将来にわたる大きな問題は2つだ。第1は中国と日本がアジア地域のエネルギー資源問題で相互の利益を調整できるかどうか。第2は中国とインドが水資源問題にどう対応するかだ。水資源は安全保障問題で、注意深く対処すべきだ。中国とインドは40年以上前に武力衝突(中印国境紛争)を起こしている。インドが核武装したのもパキスタンではなく中国を脅威に感じたからだ。台湾や北朝鮮の問題より資源問題が大きな脅威だ」(1月9日付日経同記事)

やはりパッテンの頭にあるのは資源問題。
その先に透けて見えることを解説しておこう。

クリス・パッテンは欧州インナー・サークル周辺にいる人物。
中国やインドの台頭が彼らにとって脅威と判断した場合には何をやるか。
その答えがパッテン発言の中で明確に示されている。

(1)エネルギー資源問題で日本と中国を衝突させる
(2)水資源問題で中国とインドを衝突させる


さて、ヨーロッパの湖畔の別荘あたりに集まってチェスボードを囲む人たちがいる。
彼らにはパッテンからの情報も当然届いている。

彼らからすれば日本も中国もインドも吹けば飛ぶような単なる駒。
なんといっても米国という駒も自由自在に操ることができる。

特に中国とインド周辺にはアフガニスタンやパキスタンという駒も揃っている。
どの駒も熱くなりやすい。どうすれば切れるかも彼らが一番よく知っている。

いざとなったらチャッカマン片手にニヤリと点火。
すでに罠は仕掛けられている。アフガニスタンには米国という飛び道具を配置済み。
このことを忘れてはいけない。

今なお素朴な日本とは違ってインドや中国はなかなかしたたか。
彼らの手口をよく知っている。

彼らは手ごわいドラゴンと象さんをどうやってお料理するのか。
やはり「水」で仕掛けるしかないということか。
はたしてその時は来るのか。

当然うまくいかなかった時のために日本や台湾という駒の活用も考えていることだろう。

彼らが嫌いというのはよくわかる。
問題なのは彼らに勝てるかどうか。
この肝心要の質問に対してまともに答えられる日本人がいないことも大問題。

結論からすれば、黄色同士が束になっても勝てる相手ではないということ。
中国やインドとて百も承知。

「王将」気取りでチェスボードを荒らせば彼らの思う壺。
日本という国は何度負ければ気が付くのだろうか。


<関連サイト>

水をめぐって中印衝突?ー鍵握るチベット
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/01/11/4052730

Rivals and Partners
http://www.nytimes.com/2010/01/09/opinion/09iht-edweiss.html?ref=global

Future Scarcity Seen Sparking Local Conflicts, Not Full-Scale Wars
http://www.nytimes.com/gwire/2009/12/23/23greenwire-future-scarcity-seen-sparking-local-conflicts-62509.html

India to overtake China in 2020?
http://www.siliconindia.com/shownews/India_to_overtake_China_in_2020_-nid-64423.html

The Chris Patten Archive
http://www.chrispatten.org.uk/index.htm


<画像引用>

Shadow Tibet Jamyang Norbu » Blog Archive » ECOCIDE ON THE THIRD POLE
http://www.jamyangnorbu.com/blog/2009/11/10/ecocide-on-the-third-pole/

コメント

_ トンチンカン ― 2010/01/12 09:32

>問題なのは彼らに勝てるかどうか。

なる程、ここで”棲み分けが”出てくるわけですね。

_ Y-SONODA ― 2010/01/13 08:55

トンチンカンさんへ

>なる程、ここで”棲み分けが”出てくる

あはは、その通り。
鳩山首相のように市場原理主義や金融資本主義がどうのこうのと言うべきではないと思いますよ。

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