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「庚寅」から読む2010年2010/01/03 09:37

池口恵観


<関連記事引用>

特集 何が起きる? 総予測2010 
2010/01/02週刊ダイヤモンド

特別インタビュー
Interview with Ekan Ikeguchi 
庚寅年は新たな動きが顕在化 リーダーは使命を達成しろ

池口恵観(いけぐち・えかん)●最福寺法主 1936年、鹿児島県生まれ。烏帽子山最福寺法主。真言密教最高秘法といわれる八千枚護摩行を94回も修し、89年には前人未到の百万枚護摩行を成満して高野山伝灯大阿闍梨・大僧正となる。

前人未到の百万枚護摩行を成満した“炎の行者”をご存知だろうか。スポーツ選手、芸能人、政治家など各界の著名人たちから深い信頼を寄せられる名僧は二〇一〇年をどう占うのか。

――二〇〇九年はまさに激動の年となりました。

 世が大きく変化していくという流れは二〇一〇年も続くと思います。〇九年は米オバマ政権誕生、民主党への政権交代など、大きな動きがありました。一見、新しい枠組みで世の中が再スタートを切った年であるように見えますが、私はそう断定できないと思っています。

 干支で二〇一〇年を見てみましょう。十干十二支では「庚寅(かのえとら)」に当たります。庚は改まるという意味の更という語と同じ意味で、草木が成熟固結して行き詰まった結果、自ら新しいものに改まっていこうとする状態を表しています。また、寅は動くという意味の〓(虫へんに寅)が元の字で、やはり草木が春の初めに発生する状態を表しています。

――とすると、どういう年になるのですか。

 庚寅の年は、まさに新たな動きが顕在化する年回りです。

 前回の庚寅、すなわち一九五〇年は、戦後の極東地域の枠組みが固まるきっかけとなる朝鮮戦争が勃発し、国内でも警察予備隊がつくられる一方で総評が設立されるなど、戦後の左右対立の構図が明確になる年でした。もうひと回り前の一八九〇年を見ると、初の衆議院議員選挙が行なわれ、第一回帝国議会が召集され、明治国家が名実共に始まった年でした。

 今日の社会を見ると、鳩山政権は当初、高い支持率でスタートしたものの、事業仕分けなど予算編成絡みで、政権担当能力に疑問が投げかけられるようになりました。経済情勢の一段の悪化など、成り行きによっては、政治主導による変革も暗礁に乗り上げる可能性がある。

――二〇一〇年夏には参議院議員選挙もあります。

 そこが一つの転機になるでしょうね。民主党が党内、連立政党間の足並みの乱れなどで迷走するようだと、自民党が参議院議員選挙で巻き返す可能性もありますし、選挙の結果次第では政界に大きな地殻変動が起こるかもしれません。

 政治家の皆さんは、もともと日本のリーダーたらんとする人たち。私は各地で開いている勉強会や私的懇談などで政財界の方がたと話をする機会がありますが、日本をよくしたいという気持ちを持っているという点ではそう大きな違いはない。

 その反面で気持ちがあるだけではダメということもある。リーダーに求められる資質、とりわけそのなかでも、自分の仕事の場を自分の死に場所と心得て事に当たれる人は少ない。

――政治でも経営でも、リーダーたる者は命をかけるつもりで臨むのが大切ということですか。

 いやいや、つもりなんかではなく、本当に命をかけるんですよ。身口意(密教用語で、身体と言葉と心が一体となった状態。すなわち全身全霊)をフル回転させ、死に物狂いになってこそ、困難なことも成就するわけです。

 私は室町時代から五〇〇年以上続く行者の家系に生まれ、幼少時から密教のさまざまな修行をしてきました。その修行は数メートルにもなる炎の前で真言(古代インドのサンスクリット語による神々の礼賛)を唱える護摩行をはじめ、非常に厳しく、死者も出るようなものです。

 私も若い頃、行場で倒れたことがありました。他の行者が私を行場から下ろそうとすると、やはり密教の行者であった実母が「行者には行場が死に場所。下ろすに及ばず」と止めました。行者にとって大切なのは自分が助かることではなく、自分の使命を達成することなのです。

 これは政財界をはじめ、各分野のリーダーにとっても同じこと。彼らの行場は自分の仕事場です。もちろんそれはリーダーだけでなく、誰にとっても同じではありますが、上に立つ者が普通でいいわけがない。当然、より高い資質、より高い使命感が求められるのです。今日、指導的な立場にいる人の多くは、どうにもそこが弱い。

――日本は今、多くの試練を迎えています。命をかけて事に当たれば、突破口は見えてくるのでしょうか。

 当然ですよ。日本はもともと、よいところをたくさん持った国なんです。ただ、構造改革で景気を回復させるといったことだけで日本がそのすばらしさを取り戻せるとは思いません。

 日本の本当の危機は、経済うんぬんよりもまず、社会の精神的荒廃にあります。効率を追い求めるあまり、若者を使い捨てにするなど人を粗末にし、地方を切り捨てるような風潮を改めなければ。日本のよさの源泉は、自分の故郷を愛し、自然を愛し、人を愛する心を持っていること。そういう心があってこそ、愛国心も生まれる。

 安倍晋三元首相は「美しい国日本」を理念として掲げていました。志半ばにして退陣を余儀なくされましたが、その理念は間違っていないと思う。その後、この国本来のお国柄を取り戻そうという動きが後退してしまったことは本当に残念。誰であってもこの理念を受け継ぐべきです。

――池口法主は北朝鮮やロシアを訪問しています。僧侶の身でそういう場所に赴いた動機は?

 宗教家としての使命感ですよ。日本と北朝鮮、また中国、ロシアとのあいだには隣国同士、いろいろな問題が横たわっています。歴史上の問題、領土問題、また拉致問題など、多くは未解決です。そして、そのことについてお互いによい話し合いができているとはとてもいえない状況です。

 もともと私は、無念の思いが満ちている所にはどこへでも行き、平安を祈ります。

 外交筋でうまく対話ができないならば、宗教家として、この身を両国間の橋として役立てたいと思ったのです。

 日本もそろそろ、相手に体ごとぶつかっていくような外交をするべき。建前ばっかりではなく、本音をぶつけ合う。それで仮に喧嘩になったっていいんです。そこから本当の関係づくりが始まるのですから。

――変化、胎動の年となるであろう二〇一〇年。何を心がけるべきでしょうか。

 大きな欲を持つことです。自分一人がいい思いをしようなどという小欲、ましてや無欲からはよいことなど生まれません。なんでもよくしてやろうという大欲を持ち、火のような情熱で明るく、事に当たることが大切です。


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旧田中派系には鬼門?!
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また、寅年と言えば、政治の世界でも波乱が目立つ。夏場に参院選、翌春に統一地方選を控える巡り合わせで、「寅年現象」といった言葉を生むなど、政治家の周辺が慌ただしくなることも背景なのだろうか。74年に田中角栄首相が退陣。86年には、翌年の経世会結成を控えて田中派内の亀裂が鮮明となり、98年には橋本龍太郎首相も退陣と、とりわけ、旧田中派系の混乱発生が指摘されている。その意味では、田中派の流れを引く、小沢一郎幹事長や、鳩山由紀夫首相、岡田克也外相の身に何かが起こる、といった憶測も生じやすく、2010年も民主党政権の動向からは目を離せそうにない。


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<画像引用>

池口恵観
http://www.saifukuji.or.jp/ekan.html