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白石隆×秋田浩之「日本は日米同盟を基軸に対抗するほかない。歴史問題には踏み込むべきではない」2013/12/29 09:01



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アジア安保網、日米軸に 政策研究大学院大学長 白石隆氏
2013/12/29付日本経済新聞 朝刊
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO64745480Z21C13A2MM8000/


 ――安倍晋三首相の靖国神社参拝には中国や韓国だけでなく、米国からも批判が出ています。


 「首相が靖国神社に参拝するのは望ましくなかった。中韓は日本が右傾化しており、先の大戦の歴史もわい曲しようとしていると宣伝している。米欧でも、それに同調する人々が増えるだろう。外交的には日本が首相の参拝によって得るものは何もない」

靖国参拝で一変

 ――安倍政権は来年、そこからどう外交を立て直すべきですか。

 「日本がいま、やらなければならないのは日米を基軸にオーストラリア、インド、さらには東南アジア諸国と連携し、多国間の安保協力を築くことだ。それによって、アジア太平洋での力の均衡を保つ必要がある。その意味で、安倍政権は今年、やるべきことをやってきた。首相が参拝するまでは、来年の見通しをとても楽観していた。だが、参拝で状況は一変した。来年、日本の外交はかなり難しくなると心配している」

 ――アジア情勢の変化は待ってくれません。

 「東シナ海や南シナ海での行動、防空識別圏の設定などにみられる通り、中国は力で秩序を変えようとしている。10年前、世界経済に占める中国のシェアが5%以下のときはそれでもよかった。しかし、2010年には9.4%になり、20年代前半には20%に達するだろう。中国がこれからも同じことができるのか、世界的に大きな問題になると思う」

 ――同じアジア諸国でも、中国の台頭への対応には違いがあります。

 「日本は日米同盟と自助で防衛力を強めようとしている。しかし、韓国は北朝鮮への対応で米中に頼らざるを得ない。中国への輸出依存度も25%を超える。このため、韓国は事実上、中国主導の秩序を受け入れる方向に動いている。そこで行き場のなくなった国粋主義が反日に向かっている」

 ――東南アジアはどちらに向かうでしょうか。

 「東南アジア諸国の多くは中国に対して日本と同じような懸念をもっている。中国が自分のルールを周辺諸国に押しつけ、影響圏を広げるのを警戒している。ベトナムがカムラン湾の軍港を整備し、インドネシアも潜水艦基地を建設した」

 ――東南アジア諸国は日米と中国の板ばさみになるのは嫌なのでは。

 「カンボジア、ラオス、ミャンマーなど大陸部の東南アジアでは、中国が経済援助を注いでおり、影響力を拡大していくだろう。これらの国々が中国勢力圏に組み込まれず、世界に開かれた地域として発展していけるよう、日本も活発に経済協力を進めるべきだ」

関与と抑止で

 ――米国の対中戦略も揺れていませんか。

 「米政府内では、中国に米国債を買ってもらっている財務省が関与に傾き、安保政策を担う国防総省は抑止に軸足を置く。この間で国務省がどちらに傾くかによって、バランスが変わる」

 ――歴史問題で日中の対立が深まれば、中国は日米同盟にくさびを打ちやすくなります。

 「中国は20年代に入ると少子高齢化が進み、国力の伸長があまり期待できなくなる。そのため、いまの時期に権益を拡大しようとしているのではないか。日本は日米同盟を基軸に対抗するほかない。首相が普遍的価値を掲げ、米国や他の民主主義国との絆を重視する外交を進めるなら、歴史問題には踏み込むべきではない」

(聞き手は編集委員 秋田浩之)

 日本を代表する国際政治学者の一人。経済と安全保障の両面を踏まえたアジア太平洋の分析に定評がある。日本貿易振興機構アジア経済研究所長。愛媛県出身。コーネル大で博士号。63歳

シェールガスの地政学シミュレーション2013/08/19 07:14



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シェールガスの対日輸出解禁、ガス価格は下がるのか
大前研一の日本のカラクリ
PRESIDENT 2013年7月1日号
http://president.jp/articles/-/9729?page=4

・シェールガス革命でアメリカのエネルギー輸入が減少し、中東へのエネルギー依存度が低下すれば、当然、アメリカの中東政策にも影響してくる。

・なぜアメリカは中東に関与するのか。イスラエルを守る、という課題もあるが、最大の理由は「石油権益」の確保であった。

・石油権益を守るため、アメリカは国防費の8割を中東に振り向けている。しかしシェールガス革命で中東へのエネルギー依存が低下すれば、その必要もなく、アメリカは軍事予算を削れる。財政赤字のかなりの部分は国防費だから、アメリカの財政収支は大幅に改善される可能性がある。これもドル高要因だ。

・米軍が中東から大きく手を引いた場合、中東の石油への依存度を高めている中国が、関与を深めてくる可能性が高い。






集団的自衛権、米以外にも 有識者懇、対象拡大提言へ
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201308130181.html

・安全保障環境の複雑化に対応するとして、中東からの石油輸送のためのシーレーン(海上交通路)確保などを想定し、政府が幅広く選択できるようにすべきだと判断した。

・シーレーンは「日本の生命線」とも強調し、シーレーンを防護する国が攻撃された場合の集団的自衛権行使の可能性にも言及した。

・集団的自衛権を共同で行使する対象国としては米国に加え、オーストラリアやフィリピン、インドなどを指摘する意見が専門家の間ではある。

北極海航路で蠢く日露中韓 - 北方領土のチョーク・ポイント入り確実か?2013/08/16 06:34

北極海航路で蠢く日露中韓 - 北方領土のチョーク・ポイント入り確実か?


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旭化成など、ナフサ輸送で北極海航路を開拓
2013/8/16 1:30
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDJ1400H_V10C13A8EA1000/?dg=1

 旭化成ケミカルズと三菱化学は共同で石油化学製品の原料となるナフサ(粗製ガソリン)を北欧から輸入する北極海航路を開拓した。運航日数は25日間程度で、スエズ運河を通る南回り航路より4割短縮できる。製品や原料の需給に応じ機動的に調達できるほか、中東とアジアに集中している調達先の分散にもつながる。北極海航路の活用にも弾みがつきそうだ。

 ノルウェーから8万トンの同国産ナフサを積んだタンカーが16日にも水島コンビナート(岡山県倉敷市)に到着する。北極海航路は地球温暖化による海氷の減少を受けて商業利用の検討が進んでいるが、実際にナフサタンカーが航海したのは初めて。

 海氷を砕いてタンカーを先導する砕氷船のチャーター料金が追加されるが、「スエズ運河の通行料や海賊対策の武装コストがかさむ南回り航路と変わらない」(旭化成ケミカルズ)。航海日数が少ない分、運航コストは2割程度安くなる。ただ、氷が厚くなる冬季は運航が難しくなる。

 中国の海運大手が今月から大連港(遼寧省)とオランダのロッテルダムを結ぶ初の商業船を運航するなど、北極海の商業利用への関心は世界的に高まっている。日本政府も4月に閣議決定した海洋基本計画に北極海航路の確保へ戦略的な取り組みを進めると明記した。

 ナフサはプラスチックや合成繊維などほぼすべての石油化学製品の原料になる主要製品。東アジアでは中東からの輸入が中心だったが、近年は景気低迷が続く欧州から流入したナフサが存在感を増している。欧州連合(EU)から日本へのナフサの輸入量は1~6月に計31万トンと前年同期から2割増えた。

 ただこれまでは南回り航路で40日間かかるため、欧州を出航する時点でアジアでの需給見通しを読み誤る場合もあった。今後はアジアのナフサ価格が割高になった際などに、北海油田の原油を使った北欧産ナフサを機動的に調達できる。

 国土交通省の試算によると、北極海航路が有利なのはロシアの港湾都市ムルマンスクから横浜港まで北極海を通って大型タンカーを運航した場合などで、運航コストは南回り航路と比べて4割削減できる。

 エジプトなど中東情勢の政治的な緊迫が相次ぎ、ナフサを含めた資源を分散調達する必要性も指摘されている。北極海航路の活用はナフサのほかにも液化天然ガス(LNG)などが検討されている。


中国が北極海を商業利用 大連、ハブ港めざす (画像引用)
欧州への航行、2週間短縮
2013/8/13付
http://www.nikkei.com/article/DGXDASGM1203B_T10C13A8EB1000/

 【大連=森安健】中国がロシア沖の北極海経由で欧州に向かう「北東航路」の商業利用に乗り出した。国有の海運大手、中国遠洋運輸集団(コスコ・グループ)の貨物船が中国の商船としては初めて、大連港(遼寧省)からオランダのロッテルダム港に向かった。従来のスエズ運河を経由する航路と比べ約2週間早く欧州に到着できるため、海上貨物輸送の流れが変わる可能性もある。

 コスコ傘下の中遠航運(広東省)の多目的船「永盛」(1万9461トン、全長155メートル)は8日、大連港を出港した。積載貨物の内訳は公表していないが、海運関係者によると天候や波の影響を受けにくい鋼材とみられる。8月下旬にベーリング海峡を通過、ロシア沖の海域を経て9月11日にロッテルダム港に到着する計画だ。

 北極海の氷は夏場の気温上昇で徐々に薄くなり、海氷面積は例年9月に最も小さくなる。北東航路は7月末から約4カ月しか利用できないが、燃費・人件費の削減に加え、インド洋やマラッカ海峡に多い海賊のリスクも回避できるため、世界の海運会社が注目している。2020年には中国のコンテナ輸送の15%近くが北極海を通るという試算もある。

 自国の領海を活用できるロシアは、すでに試験的な商業利用を開始し、主に資源燃料を輸送している。日本もコンテナ輸送などの活用を探る考えだが、「ロシアへの事前申告の必要性など情報を収集している段階」(日本政府関係者)。まだ調査船や商業船は派遣していない。

 北極海に向かう貨物は、拠点港で寒冷地を航行可能な「アイスクラス」と呼ばれる特別仕様の船に積み替える必要がある。大連港は航行の実績を重ね、ハブ港になることをめざす。

 北海道の苫小牧港や韓国の釜山港も同様の考えを持っており、北東アジアの物流拠点を巡る争いが激しさを増しそうだ。

 一方、地球温暖化により北極圏の永久凍土が融解して大量のメタンガスが大気中に放出され、世界の気候や経済に悪影響を及ぼすとの研究もある。このため、北極圏の大規模な開発には慎重論も出ている。

日経「変調中国」:7月28日、米国家戦略研究所(INSS)から送り込まれた米軍の研究員が北京の空港に降り立った。任務は「中国経済の崩壊が米国家安全保障に与える影響」の調査。米軍は中国のハードランディングも視野に入れて動き始めた。2013/08/03 15:07



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変調中国(上)「リコノミクス」の挑戦――改革に既得権益層の壁。
2013/08/01 日本経済新聞 朝刊 1ページ

 中国政府の新体制が始動して4カ月余り。習近平国家主席と李克強首相は景気減速に目配りしながらも、経済改革を優先する姿勢を鮮明にしている。過剰生産、過大投資、あふれるマネー――。複雑さを増す難題に対応し、経済を軟着陸させることができるのか。

 中国の経済成長率が2四半期連続で鈍り景気減速懸念が広がった翌日の7月16日。経済政策を担う李首相は北京で、円卓に居並ぶ企業経営者や経済学者らと向き合っていた。「経済指標の一時的な変動で政策を変えてはいけない」。学者肌の李氏は白い半袖ワイシャツ姿で、身ぶり手ぶりを交えて熱弁を振るった。

 「能力過剰の企業、やみくもな建設投資には資金を貸すな」「零細企業向け融資を手厚くしろ」。李氏は6月以降、こう号令をかけ続けた。念頭にあるのが生産設備、マネーの深刻な過剰に対する危機感だ。

 中国有数の産炭地、内モンゴル自治区オルドス。発電燃料向けの需要増を見込んだ開発ブームで、過去5年の財政収入は年平均32・5%伸びたが、今年1~6月は一転して前年同期で9%減った。2010年に1人当たり域内総生産(GDP)で全国トップを誇った「石炭バブル」の町は今や財政危機にあえぐ。

「4兆元のツケ」

 オルドスだけではない。08年のリーマン・ショック後、当時の胡錦濤政権が打ち出した4兆元(約65兆円)の大型景気対策。行き過ぎた投資は鉄、セメントなどの過剰生産を深刻化させ、開発後も入居が進まない「鬼城(ゴーストタウン)」を各地に残した。

 李首相はその姓から「リコノミクス」とも呼ばれる政策転換で、前政権が残した「4兆元のツケ」を清算し経済の質を上げることを目指す。大規模な景気対策は打たず、信用膨張を抑え、内需拡大など構造改革を進める――が3本柱だ。

 今年6月。中国人民銀行(中央銀行)が突然、資金供給を絞り始め、3%前後だった短期金利は一時13%台まで上昇した。「李氏のバブル退治」との見方も出たが、金利上昇が世界的な株安に波及し中国リスクへの懸念が高まると、人民銀は一転「市場の安定を守る」と表明した。

 一連のドタバタ劇を間近に見た中国の大手金融機関首脳は「管理がずさんな一部銀行を懲らしめようとして世界の反応を見誤った」と話す。「稚拙な手法は経済の混乱を招き、改革そのものが停滞しかねない」と手厳しい。

朱氏再来なるか

 習氏は政権発足後4カ月余りの間に早々と訪米を実現し、かつてのライバルで重慶市トップだった薄熙来氏を収賄などの罪で起訴した。権力基盤を確立しつつある自信の表れとみる向きも多いが、自らが共産党老幹部の子弟ら「太子党」の有力者である習氏が、既得権益層にどこまでメスを入れるかには疑問も残る。

 棺おけを用意しろ。1つは私のものだ――。今と同様にバブル懸念が強まっていた1998年、首相に就任した朱鎔基氏は自らの命も投げ出す姿勢で既得権益層と対峙した。乱脈経営に陥った広東省の外貨調達会社、広東国際信託投資公司を破産させたのを手始めに地方や国有企業の改革を推進。朱氏の改革は中国が00年代に2ケタ成長を続ける礎になったとされる。

 李首相は朱氏のようになれるのか。重要政策を話す秋の共産党「三中全会」で具体的な改革プランを示せるかが試金石になる。


変調中国(中)カネはどこに消えた――偏在マネー、成長鈍らす。
2013/08/02 日本経済新聞 朝刊 1ページ

 中国の短期金利が急上昇を始めた6月半ば。ある日系企業関係者は中国東北地方の取引先からかかってきた電話に驚いた。

 「おたくが借りたことにして、カネを回してくれないか」。トヨタ自動車系ディーラーの中国人経営者だった。長年付き合ってきた銀行から突然「貸出金利を上げさせてもらう。嫌ならよそから借りてくれ」と迫られ、身動きがとれなくなった。

経営者の苦境

 民営企業が集まる浙江省温州。「銀行の貸し渋りや貸しはがしがひどくなっている」。中小企業発展促進会の周徳文会長のもとには、苦境を訴える地元経営者が毎日のように訪れる。

 「カネはどこに消えたんだ」。習主席は今春、周囲に不満をぶつけた。資金供給量は国内総生産(GDP)の1・9倍。カネは余っているはずなのに、景気は上向かない。

 公共投資による成長をアピールしたい地方政府が資金を調達するために設立した投資会社や民間の不動産開発会社が、マネーを吸い上げ続けているからだ。

 「300万元(約5千万円)なら利回りは11%です」――。浙江省杭州市にある米小売り大手ウォルマート・ストアーズの黄龍店。入り口には4つのカウンターが並び、「理財商品」と呼ばれる金融商品の販売にしのぎを削っていた。

 最低投資額の30万元なら予想利回りは9・5%と、政府が規制する銀行の1年物定期預金金利のほぼ3倍。担当者は「新規顧客が十数人に達する日もある」と話す。

 集めた資金の投資先の一つは劇場を中心とする北京の不動産開発プロジェクト。完成時期や資金の返済計画など詳細は不透明だ。

 理財商品は投資実績によって利回りが変わるが、元本保証をうたって販売されるケースも多い。リスクは個人から銀行まで広範に広がる。

 銀行監督当局によると、規制が及びにくい「影の銀行」の主な資金源になっている理財商品の残高は146兆円(今年6月末)。昨年末からの半年で32兆円増えた。投機的なマネーの膨張を止めようとすると、必要な分野にも資金が回らなくなってしまう。

 中国の4~6月の実質GDP伸び率(前年同期比)は2四半期連続で鈍化し、政府の年間目標と同じ7・5%になった。全国主要市場の6月末の鋼材在庫量は年初比で3割増。国有鉄鋼大手、宝鋼集団(上海市)の徐楽江董事長は「(新政権発足で)経済も良くなると期待していたんだが」と落胆気味に話す。「製造業の設備の21・4%が遊んでいる」(国家統計局の馬建堂局長)

個人消費に影

 米コカ・コーラの4~6月の中国での販売数量は横ばい(前年同期は約7%増)にとどまった。汚職防止のため官僚の過剰接待などを禁じた習指導部の「倹約令」で落ち込む高額消費に加え、庶民の個人消費にも影がさしている。

 杭州で女性服販売会社を経営する曹青さん。創業7年で従業員は500人になり、今年の売上高は前年比7割増の6億元(約96億円)に増える見通し。「高成長はネット通販のおかげ」だ。中国のネット通販市場は今年、日本を抜いて世界2位の約18兆円規模に膨らむ見込み。中国に新たな成長の芽がないわけではない。

 偏在するマネーを成長分野に振り向けるパイプをつくらない限り、将来の安定成長は描けない。


変調中国(下)世界は逃げられない――「大国の責任」求め包囲網。
2013/08/03 日本経済新聞 朝刊 1ページ

 オーストラリア東部の産炭地ハンターバレー。ブルーム・フィールド社の炭鉱では数百トンの石炭を積む運搬車がうなりをあげる。ブレッド・ルイス副社長はこの半年、周辺に約40ある炭鉱の経営が急速に悪化する姿を目の当たりにしてきた。「あと10年持ちこたえられる炭鉱がどれだけあるか。まさに正念場だ」

おびえる資源国

 中国需要で一時は1トン330ドルに達した原料炭価格は半値以下に下落。スイスのグレンコア・エクストラータなど欧米の資源大手は豪東部に保有する炭鉱で人員の大幅削減を打ち出した。鉄鉱石産地の豪西部でも、資源積み出し港の建設延期や輸送プロジェクトの棚上げが相次ぐ。

 2008年のリーマン・ショック後、V字回復を果たした中国は世界経済の成長エンジンとなった。10年に日本を抜いて米国に次ぐ世界2位の経済大国に浮上。豪州やブラジルなど資源国は特需を享受し、世界の企業が中国に殺到した。だが、その後の経済減速で不動産バブルなどの懸念が表面化。世界は逆に中国リスクにおびえ始めている。

 7月28日、米国家戦略研究所(INSS)から送り込まれた米軍の研究員が北京の空港に降り立った。任務は「中国経済の崩壊が米国家安全保障に与える影響」の調査。資源需要や投資の減少が中東とアフリカの安定にどう響くか、中国からの移民が急増する可能性はあるか――。報告書は国防長官や統合参謀本部議長らが目を通す。米軍は中国のハードランディングも視野に入れて動き始めた。

真の姿を探る

 世界経済の「救世主」から「リスクの元凶」まで、中国に対する見方は楽観論と悲観論が絶えず交錯してきた。当局の情報開示が乏しく、統計の信頼性が低いことが振れを大きくする。

 7月中旬。みずほ証券アジアの沈建光チーフエコノミストが香港で顧客に配布したリポートが大きな反響を呼んだ。電力消費や貨物輸送、社会融資総量、政府の歳入などを組み合わせた独自の物差しを基に「中国の成長率は当局が発表した数字よりも落ち込んでいる」と結論づけたからだ。エコノミストは中国経済の真の姿を探ろうと懸命になっている。

 米オバマ政権は今年5月、ワシントンにゼネラル・モーターズ(GM)など大企業の幹部を集め、通商戦略の説明会を開いた。ホワイトハウス高官は中国の市場規模や投資環境などを詳細に記した数十ページに及ぶ資料を配り「環太平洋経済連携協定(TPP)をテコに中国に市場ルールの導入を迫る」と宣言した。

 米国は欧州連合(EU)とも自由貿易協定の交渉を進める。日本の参加で重みが増したTPPとEU各国の国内総生産(GDP)の合計は世界の6割を占める。貿易・投資の分野で中国包囲網を築き、透明性の確保や市場原理の導入を促すのが米国の狙いだ。

 7月にワシントンで開いた米中戦略・経済対話。中国は自由で公正な投資環境を相互に保証する投資協定の対米交渉で、初めて全分野を対象にすることを受け入れた。ルー米財務長官は「中国の新指導者は野心的な改革に取り組もうとしている」と評価した。

 変わり始めたかに見える中国は「責任ある大国」に向かうのか。世界はその影響から逃れられない。

米戦略家を怒らせた日経・秋田浩之氏が描いた図2013/04/14 15:28

米戦略家を怒らせた日経・秋田浩之氏が描いた図


「老軍略家」ではなく、「戦略家」と書いているところから、
アンドリュー・マーシャルにまた会いに行ったわけではないのか?

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米戦略家を怒らせた図
編集委員 秋田浩之
2013/4/14付
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO53965890U3A410C1PE8000/

 アジア太平洋14ヵ国の海軍幹部がひざを交え、海の安全保障について話し合う。そんな会合が海上自衛隊の主催の下、2月下旬に都内で開かれた。

 驚いたのは1人の欧州の軍人が中央に座り、アジアに負けず劣らず熱弁をふるっていたことだ。フランスの海軍大佐である。

 それもそのはず。フランスは今でも、れっきとしたアジア太平洋の軍事パワーなのだ。フリゲート艦2隻、戦車揚陸艦(LST)1隻。タヒチなど、南太平洋の仏領2カ所に基地をかまえ、空軍力もある。

 フランスは災害支援や密輸摘発などが目的というが、そのためにこれほどの軍隊が要るとは思えない。

 「本当の理由は大国の威信だ。目に見える軍事力をアジアに残しておけば、発言力につながる。フランスは旧帝国だった経験から、本能的にそう信じている」。同国に詳しい日本の防衛関係者はこう語る。

 軍隊は戦うためだけにあるのではない。アジア太平洋の経済や外交のルールづくりで、発言力を保つための足場にもなる。

 フランスがこう考えているとすれば、戦後、アジア太平洋の秩序を仕切ってきた米国はどうだろうか。

 「このまま中国軍が台頭すれば、アジアでの米中軍事バランスは将来、逆転してしまうのでは……」

 先月、米国の対外政策に深くかかわる米戦略家に会い、こんな疑問をぶつけてみた。そのとき彼に見せたのが、アジアでの米中軍事バランスを議論するため、筆者が描いた手製の図だ(図)。

 年数がたつにつれ、米軍のアジアでのプレゼンスが減り、中国軍に追い抜かれかねない。そんな危険を指摘したものだ。

 米国防予算が大きく削られようとするなか、中国の軍拡は加速している。アジアからみれば、「しごく自然な見方だ」(日本政府筋)。ところが、ふだんは冷静な米戦略家はこの図をみるなり、激怒したのだ。

 「ばかげた図だ。米中が逆転するはずがない」

 彼だけではない。先月、米政府当局者や元高官ら8人にも聞いたが、やはり、一様に図の予測に拒絶反応が返ってきたのである。

 つまり、台所事情がどんなにきつくても、「アジアでの軍事優位は決して譲らない」(米外交当局者)というわけだ。米軍の存在が揺らげば、アジア太平洋での覇権も失ってしまう。超大国の生存本能ともいうべき、こんな危機感が働いているにちがいない。

 もっとも、米軍だけで絶対優位を保とうと考えているわけではない。日本や韓国、オーストラリアのほか、インド、東南アジアの友好国との安保協力も織り込んでいる。

 「米軍はアジアで自前の能力を高め、同盟国や友好国とも連携を深めていく。彼らの力も加われば、米中逆転などありえない」

 米政権のアジア戦略に影響力をもつ元高官はこう断言してみせた。

 この決意が本物なら、米軍に防衛を依存する日本にも良い知らせではある。ただ、それが実行できるかは、東南アジアの国々をどこまで引きよせられるかに左右される。

 「そんなに米国寄りの態度だと、お国のためになりませんよ」。東南アジアの政府高官によると、中国側は親米的とみられる周辺の国々に、水面下でこう警告を強めているという。

 米軍にいてほしいが、中国の逆鱗(げきりん)にもふれたくない――。これが東南アジアの本音だ。そこに目配りしながら、静かにきずなを強めていく。安倍政権にもそうした繊細さが求められる。

トシ・ヨシハラ「軍司令官が示す攻撃的な作戦に、習近平が拒否できるかどうかわからない」+「中国のA2AD戦略は非常に攻撃的。米軍嘉手納基地が最初のターゲットに」(読売)2013/04/09 06:16



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[語る]対中戦略(3)中国軍の過小評価禁物 トシ・ヨシハラ氏
2013/04/03 東京読売新聞 朝刊

 ◇米海軍戦争大学教授 トシ・ヨシハラ氏

 ◆先制攻撃含む攻撃的戦略に警戒を 米軍が民間空港使える法整備必要 
 
 中国人民解放軍研究で注目される米海軍戦争大学のトシ・ヨシハラ教授は中国海軍の動向で、特に昨年9月に中国が就役させた初の空母「遼寧」に注目し、その意味を軽視してはいけないと指摘する。

 中国軍の近代化には複合的な要因がありますが、1996年の「台湾海峡危機」での米空母派遣が加速させたのは間違いないでしょう。動きは我々の予想より早く、彼らの能力を過小評価すべきではありません。

 「遼寧」も今は「練習台」で、「超大国のシンボル」としての意味合いが強い。米国との1対1の戦闘で勝ち目はない。しかし、やがては軍事作戦上の利用もされるでしょう。南シナ海などで相対的に力の弱い国との対決となれば、極めて有効な戦力になります。

 将来的には、中国が「空母群」を持つことも可能でしょう。彼らには、巨額の費用がかかる開発を行える財源があります。

今年1月の海上自衛隊艦艇への中国海軍による火器管制レーダー照射は、軍の独断専行という見方もある。中国のシビリアンコントロール(文民統制)への懸念は根強い。

 1989年の天安門事件後、中国共産党と軍の間で取り決めがあったとされています。「軍は政治に関わらず、戦略の立案に集中する。党と政府は財源を軍に回す」というものです。軍に、兵器開発、軍事ドクトリン(基本原則)の策定で自主権を与えたわけです。

 しかし、これには政治的な問題が生じます。軍司令官が示す攻撃的な作戦に、習近平(シージンピン)国家主席が「政治的に賢明な選択ではない」と拒否できるかどうかわからないのです。

 中国のA2AD(接近阻止・領域拒否)戦略は非常に攻撃的です。射程1500キロ・メートルの弾道ミサイル「DF21」や航空戦力による先制攻撃で特定の空軍基地を破壊し、制空権を奪うというものです。沖縄県の米軍嘉手納基地が最初のターゲットになるでしょう。

 尖閣諸島をめぐる中国の動きも、「ストーブの火」のように戦略環境に応じて弱くすることはあっても、やむことはないとみるべきでしょう。ただ、空・海軍による長距離攻撃を柱とするジョイント・エア・シー・バトルを中国に適用すれば、紛争をかえって拡大する要素があります。

 それよりも効果的な戦略が、日米両国にはあることを強調したい。平凡ですが、より多くのコンクリートと鋼鉄を使うこと。具体的には、基地に航空機を守る格納庫を造ったり、滑走路が攻撃を受けた際に迅速な修復を可能にする備えをしたりすることです。

 有事の際に、米軍と自衛隊ができるだけ多くの民間の空港・港湾を使用できるようにする法整備も必要です。拠点が多くなれば、中国はどこを攻撃するかに悩み、リスクの分散が可能になります。ミサイルを浪費させることにもつながるでしょう。

 中国が、何でも解決できる「魔法の銃弾」を持っているわけではありません。彼らの弱点を突く戦略で対処できます。(聞き手 ワシントン支局・中島健太郎、写真も)
 
 〈ジョイント・エア・シー・バトル(統合空海戦闘)〉

 2010年の「国防計画見直し」に盛り込まれた、空・海軍を一体運用する米軍の作戦構想。敵のミサイルや戦闘機の攻撃範囲外からの長距離攻撃が戦略の中核で、無人攻撃機の空母配備や中国本土から離れたグアム基地の強化などに反映されている。ただ、前方展開能力の削減はかえって軍事的挑戦を誘いかねないとの批判も根強く、米統合参謀本部が12年1月に発表した「統合作戦アクセス構想」では、前方基地の強化や、基地を分散して敵の目標選択を難しくさせる必要性を指摘している。
 
 図=在日米軍基地や米空母を狙う中国の中距離弾道ミサイル「DF21」の射程
 
 写真=トシ・ヨシハラ氏


中国軍の権威ヨシハラ教授が語る [Air-Sea Battle Concept]
心配は、事もあろうに「U.S. Naval War College」を「米海軍戦争大学」と訳した読売新聞とワシントン支局・中島健太郎氏の本分野への見識です。
http://holyland.blog.so-net.ne.jp/2013-04-03-1

「中国人民解放軍、北朝鮮国境へ」情報あり、それでも羅先(羅津・先鋒)経済特区支援継続中2013/04/03 07:09



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China mobilizing troops, jets near N. Korean border, US officials say
Published April 01, 2013
Washington Free Beacon
http://www.foxnews.com/politics/2013/04/01/china-mobilizing-troops-jets-near-n-korean-border/

China has placed military forces on heightened alert in the northeastern part of the country as tensions mount on the Korean peninsula following recent threats by Pyongyang to attack, U.S. officials said.

Reports from the region reveal the Chinese People's Liberation Army (PLA) recently increased its military posture in response to the heightened tensions, specifically North Korea's declaration of a "state of war" and threats to conduct missile attacks against the United States and South Korea.

According to the officials, the PLA has stepped up military mobilization in the border region with North Korea since mid-March, including troop movements and warplane activity.

China's navy also conducted live-firing naval drills by warships in the Yellow Sea that were set to end Monday near the Korean peninsula, in apparent support of North Korea, which was angered by ongoing U.S.-South Korean military drills that are set to continue throughout April.

North Korea, meanwhile, is mobilizing missile forces, including road-mobile short- and medium-range missiles, according to officials familiar with satellite imagery of missile bases.


Chinese Military on 'High Alert' over Korean Peninsula Tension
By Vasudevan Sridharan
April 2, 2013 8:44 AM GMT
http://www.ibtimes.co.uk/articles/452509/20130402/north-korea-china-pyongyang-seoul-military-drill.htm

Chinese armed forces have been placed on high alert over the escalating tensions in the Korean Peninsula, US officials say.

Reports suggest that the People's Liberation Army (PLA) troops have been mobilised over fears of war breaking out in the region.

According to US officials quoted in the reports, the Chinese military has beefed up its presence especially in the border region with North Korea since mid-March, soon after Pyongyang stepped up its threats against South Korea and the US.

The Chinese navy has also conducted a live-firing naval drill in the Yellow Sea in close proximity to the Korean Peninsula.

Chinese forces in Jilin Province bordering North Korea have been mobilised and kept on "Level One" alert. Large groups of troops, along with tanks and armoured personnel carriers, have also been detected in the region near the Yalu River which divides China and North Korea.

Jets reportedly belonging to the PLA have been flying at low altitudes over recent days.

The long-standing defence treaty between Pyongyang and Beijing continues to exist and under the pact China is expected to help North Korea in case of war.

Despite the increased military activity, experts believe China would be eager to see that a fully-fledged war does not break out. If the North Korean regime falls, it will directly result in scores of refugees fleeing to China, a situation Beijing wants to avoid.

Meanwhile, the US has also moved its radar platform closer to North Korea to monitor Pyongyang's activities.

Washington has deployed a warship off the South Korean coast in a bid to protect its strategic ally Seoul from missile attacks from North Korea.

The warship, USS McCain, used for missile defence, will not participate in any military exercise, an American official confirmed to Reuters. The official said on condition of anonymity: "This is a prudent move that provides greater missile defence options should (they) become necessary."

White House Spokesperson Jay Carney said: "I would note that despite the harsh rhetoric we are hearing from Pyongyang, we are not seeing changes to the North Korean military posture, such as large-scale mobilisations and positioning of forces."


North Korea Update: More U.S. Military Might Moves into Position
http://thediplomat.com/flashpoints-blog/2013/04/03/north-korea-update-more-u-s-military-might-moves-into-position/


商務省高官、羅先経済貿易区の行方を楽観視
2013-04-02 16:37:53
http://japanese.cri.cn/881/2013/04/02/145s206684.htm

 中国の陳健商務次官は2日北京で、「中国と朝鮮が共同で設置する羅先(ラソン)経済貿易区は、両国の協力による民生改善プロジェクトであり、朝鮮経済の発展にプラスとなり、その発展の見通しを楽観視している」と述べました。

 この日、国務院報道弁公室は記者会見を開き、中国と北東アジアの経済協力と貿易や第9回中国・北東アジア博覧会の状況について説明を行ないましたが、その際、現在の朝鮮半島情勢の下で羅先経済貿易区の行方に自信は持てるかという日本の記者の質問に答え陳健次官が以上のように述べたものです。

 羅先経済貿易区は朝鮮東北部の羅先(ラソン)市に位置し、2010年、中国と朝鮮の指導者は羅先経済貿易区を共同で開発し、管理するという点で共通の認識に達しました。その目標は朝鮮で進んだ製造業基地を構築し、北東アジア地域における国際的な物流センターとこの地域の観光センターにしていくことです。


中国:北朝鮮の経済特区の支援継続-制裁強化でも関係維持示唆
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MKLY4E6S972R01.html

4月2日(ブルームバーグ):北朝鮮が韓国と米国を攻撃すると警告するなど脅威が高まっている中で、中国は2日、中朝で共同運営している羅先経済特区の開発を支えていく方針を明らかにした。

中国商務省の陳健次官は北京での会見で、同特区について「楽観的だ」と発言。「羅先経済特区の各種作業は円滑に進んでいる。仕事のペースが落ちているといった情報は入ってきていない」と述べた。

北朝鮮は2月に核実験を実施した後、一段と厳しい国連制裁を科されている。同次官の発言は、中国が制裁強化を支持しながらも北朝鮮との経済関係を維持する方針であることを示唆した。

中国にはロシアをぶつけろ - ベトナムに学ぶバック・パッシング2013/03/29 06:00

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<関連記事>

ロシア艦が砲撃訓練=南シナ海-中国「核心的利益」刺激も
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2013032800870

 【モスクワ時事】インタファクス通信によると、ロシア海軍当局者は28日、アデン湾の海賊取り締まりに向かっている太平洋艦隊所属の大型対潜艦「アドミラル・パンテレエフ」などが、南シナ海で実弾砲撃訓練を行ったことを明らかにした。

 南シナ海では、中国とベトナムが南沙(英語名スプラトリー)諸島の領有権を争っており、ロシアの軍事演習は中国を刺激する可能性がある。中国の習近平国家主席は最近、初外遊として訪ロし、プーチン大統領と「(領土保全など)核心的利益の相互支持」で合意したばかり。(2013/03/28-19:09)


Russian ships conduct firing practice in South China Sea
(Xinhua)
21:10, March 28, 2013
http://english.peopledaily.com.cn/90777/8187163.html

MOSCOW, March 28 (Xinhua) -- A group of six Russian navy warships conducted firing exercises in the South China Sea, the country's Pacific Fleet said Thursday.

"A big anti-submarine ship Admiral Panteleyev has conducted artillery shooting exercises in the South China Sea. The sea targets were destroyed," Pacific Fleet spokesman Roman Martov told local media.

Ka-27 carrier-born helicopters made several sorties in a simulated enemy submarine search. The crews also tested their ships' survival capabilities, Martov said.

The Russian ships, including one big anti-submarine ship, three landing ships, a tanker and a rescue vessel, are on their way to the Gulf of Aden where they will protect navigation against piracy.

This is the ninth mission by the Pacific Fleet to Somali shores.


ロシア艦がベトナム寄港へ=習主席初外遊前、中国刺激も
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201303/2013032000468

 【モスクワ時事】インタファクス通信によると、ロシア海軍当局者は20日、太平洋艦隊所属の大型対潜艦「アドミラル・パンテレエフ」などが近く、南シナ海に面するベトナム・カムラン湾に寄港することを明らかにした。インド洋の海賊取り締まりに向かう途中、入港する。

 ベトナムは中国との間で、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島の領有権を争っている。22日に中国の習近平国家主席が初外遊でロシアを訪問するが、南シナ海の重要拠点へのロシア艦寄港は中国を刺激しそうだ。(2013/03/20-21:53)


ベトナム、対ロシア協力強化 中国けん制へ海軍向け施設建設
2013/3/5 22:08
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0506C_V00C13A3FF2000/

 【ハノイ=伊藤学】ベトナムが南シナ海で島しょの領有権を争う中国をにらみ、ロシアとの海軍協力を強化する。ロシアのショイグ国防相は5日、ハノイでベトナムのタイン国防相と会談。国防副大臣級会合の定期開催などで一致した。ベトナム南部のカムラン湾で、艦船の補修施設やロシア海軍向け保養施設を共同で建設することも決めた。

 ショイグ国防相は4日からベトナムを訪問。サン国家主席(大統領)と会談したほか、冷戦時代に旧ソ連海軍が基地を設けていた要衝カムラン湾を視察した。タイン国防相は5日の記者会見で「ベトナムの港湾へのロシア海軍の寄港許可を早期に検討する」と話し、ロシアとの軍事交流を増やす考えを示した。

 ベトナムは2009年にロシアから20億ドル(約1860億円)で「キロ型」潜水艦6隻を購入し、年内にも1隻目を配備する見通し。ロシアの協力を受けて、カムラン湾に潜水艦基地を整備するとみられる。ショイグ国防相は同日、「潜水艦乗組員の育成を支援する」と明らかにした。

 中国が海洋監視船を配備するなど南シナ海への進出を強めるなか、ベトナムも対抗策を講じている。このほど農業・地方開発省水産総局の傘下に「漁業管理部隊」を設立。領海内で違法操業する中国漁船などへの取り締まりを強化する。罰金や禁漁措置のほか、海軍などと協力して強硬措置をとることも選択肢とする。

 ベトナムとロシアの軍事協力は冷戦崩壊後に疎遠になったが、最近は再び活発化している。ロシアにはベトナムなど東南アジア各国との協力強化と、中国の勢力拡大を抑える狙いがあるようだ。


ベトナム、ロシアを引き込み 南シナ海カムラン湾を共同開発 中国牽制
2013.3.22 01:27
http://sankei.jp.msn.com/world/news/130322/asi13032201280000-n1.htm

 【シンガポール=青木伸行】ベトナムは、中国と領有権を争う南シナ海に面する南部カムラン湾に、ロシアをはじめ諸外国の海軍艦船の補給・整備施設などを、共同で建設することにロシアと合意した。ロシアの支援により、ベトナム海軍の潜水艦基地も建設される。ベトナムはフィリピンとも軍事協力の強化に動いており、対中牽(けん)制(せい)網を広げている。

 カムラン湾はベトナム戦争当時に米軍が、その後はソ連(ロシア)軍が2002年に撤退するまで使用した要衝。施設の共同建設はロシアのショイグ国防相が今月上旬、カムラン湾などベトナムを訪問した際に合意された。

 ベトナムは水深18~30メートルのカムラン湾を再開発し、各国の海軍艦船に、燃料や食糧などの補給と要員の休息、艦船の整備のために開放する構想を示してきた。

 これを対中戦略の観点に限定してみれば、米国やロシア、インドなどの艦船を招き入れることにより、対中抑止力とする狙いがある。同時に、主に米国という特定の“対中勢力”にのみカムラン湾を使用させる形は避け、中国との関係悪化を回避するという「全方位外交」の反映でもある。

 再開発構想では、カムラン湾は(1)潜水艦基地などベトナム海軍専用(2)外国海軍の艦船用(3)民間船用-の3区域に区分される。ロシアは自国用施設のみならず、外国海軍艦船の施設全般の建設を支援する。

 さらに重要なことは、ロシアがベトナムの潜水艦基地の建設にも協力するという点だ。ベトナムは対中戦略の目玉として、ロシアからキロ級潜水艦636MVを6隻購入しており、今年中に1隻が引き渡される予定。ロシアは潜水艦部隊の編成、要員の訓練も支援し、基地の建設と合わせハード、ソフト両面における“後ろ盾”だといえる。

 カムラン湾では13日、施設建設などに従事するロシアの船舶・軍事関連企業1社が、事務所を開設した。

 ベトナムはまた、対中強硬派のフィリピンと国防当局者による作業部会を開き、中国を主眼に連携を強化することで合意した。両国は10年に、防衛協力に関する覚書を交わしており、これを基本に具体策が協議されたとみられる。

 ベトナムは最近、中国によるパラセル(中国語名・西沙)諸島でのテレビ、ラジオ局の開設や、スプラトリー(同・南沙)諸島における3G通信システムの導入など、ソフト面での実効支配に対しても強く警戒、反発している。