中国台頭で目覚めるアジアの現実主義:野田首相は「東アジア共同体」棚上げ&「自由と繁栄の弧」復活へ、インドはバングラデシュに接近中 ― 2011/09/08 08:03
<関連記事引用>
▼首相「領土守り抜く備えを」 月刊誌に寄稿
2011/9/6 11:10
http://s.nikkei.com/o5SDvU
野田佳彦首相は近く発売する月刊誌「Voice」で「わが政治哲学」と題する論文を発表する。東日本大震災からの復旧・復興や財政健全化などを巡って持論を展開。外交・安全保障の分野では「いま、この時期に東アジア共同体などといった大ビジョンを打ち出す必要はない」として、鳩山政権時に打ち出した構想を事実上、棚上げする方針を示している。
東アジア共同体は日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)地域などでの安定した経済協力と安全保障の枠組みを構築する構想。旗振り役の鳩山由紀夫首相(当時)が「対等な日米関係」を目指したこともあり、当初「米国外しではないか」などとする疑念を招いた経緯がある。
首相は「平成24年(2012年)は、多くの国々で指導者が代わる。権力の交代時期には、とかく波風が立ちやすい」と指摘。東アジア共同体構想の推進より、日米同盟の強化とともに「わが国の領土を守り抜く備えを、しておかねばならない」としている。
具体的には中国の海洋進出を念頭に「領土領海に絡む重大な事件が発生した場合に日本がいかなる姿勢を打ち出すべきか、シミュレーションをしておく」などと主張している。
首相は民主党代表選では経済連携協定(EPA)など経済連携の推進を打ち出している。東アジア共同体構想への否定的な見解は、当面は現実的な2国間、多国間の協力を進める方針を示したものとみられる。
▼「アジアの2大民主国家」=日印関係強化へ決意-首相
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011090600914
野田佳彦首相は6日夜、都内で開催されている「日印グローバル・パートナーシップ・サミット2011」であいさつし「日本とインドは民主主義、法の支配、市場経済といった普遍的価値を共有している。アジアの二大民主主義国家として、関係を強化していく決意だ」と述べ、インドとの関係強化に意欲を示した。
「日印サミット」は、幅広い分野で関係強化を図る「日印グローバル・パートナーシップ」締結から10年が経過したのを記念して開かれ、安倍晋三、鳩山由紀夫両元首相らが共同議長を務めている。首相は「私の好きな言葉に10年続けば偉大なり、20年続けば恐るべし、30年続けば歴史になると言う言葉がある」と述べ、日印関係の重要性を強調した。 (2011/09/06-22:42)
▼日印との連携強化に意欲=米高官
http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=pol_30&k=2011090800094
【ワシントン時事】キャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は7日、ワシントン市内の講演で、日米印3カ国の局長級会合が開かれるとの報道に関し、「日本とインドとの協調を向上させたい」と述べ、3カ国の連携強化に意欲を示した。
次官補は会合については具体的な言及を避けたものの、「インドを一層、アジア太平洋地域に引き込むために尽力する」と表明。インドがアジア地域で戦略・経済的に重要な役割を果たし、外交上も協力を強化していくことが必要だと強調した。
また、北朝鮮に関する日米韓外相会談など、特定の課題に関して小規模な多国間グループで協議を行う機会が増えているとした上で、中国政府にも具体的提案を示し、積極的な働き掛けを行っていると述べた。(2011/09/08-07:20)
▼インド首相 バングラデシュ訪問
9月7日 7時46分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20110907/t10015431461000.html
インドのシン首相は、隣国バングラデシュを訪問してハシナ首相と会談し、国境問題の解決や経済関係の強化で合意し、中国がインフラの整備を通じて強めているバングラデシュへの影響力を弱めようというねらいがあったものとみられます。
インドのシン首相は6日、隣国のバングラデシュを訪問してハシナ首相と会談し、40年にわたる懸案だった国境問題を解決することや、インドがバングラデシュの主要な輸出品目である繊維製品を輸入する際にかけていた関税を撤廃することなどで合意しました。
会談後、両首脳はそろって会見し、シン首相は「インドにとってバングラデシュは最も重要な隣国だ」と強調し、ハシナ首相も「両国にとって歴史的な日だ」と述べて会談の成果を強調しました。
バングラデシュでは、中国企業が発電所や道路の建設など立ち遅れたインフラ整備の分野に進出するなど、中国の影響力が強まっています。
バングラデシュでインドとの首脳会談が開かれるのは12年ぶりで、シン首相としては、中国のバングラデシュに対する影響力を弱めようというねらいがあったものとみられます。
▼インドとバングラデシュ、国境線画定
飛び地交換で
2011/9/7 1:20
http://s.nikkei.com/pcQvkp
【ニューデリー共同】インドのシン首相は6日、バングラデシュのダッカで同国のハシナ首相と会談し、PTI通信などによると、両首相は国境付近に散在する約160カ所の飛び地を交換し、国境線を画定させる議定書に調印した。両国の長年の懸案だった領土問題が解決に向かう。
シン首相は会談後の会見で「両国のパートナーシップの新たな体系で合意できた」と成果を強調した。
飛び地は、ムガール帝国とマハラジャ(王侯)が支配した藩王国による17世紀ごろの領土争奪が発端。インド国内にバングラデシュの飛び地が51カ所、バングラデシュに111カ所のインドの飛び地がある。
1996年に設置されたインド国内の最大の飛び地とバングラデシュ本土を結ぶ回廊について、1日12時間となっていた通行可能時間の制限をなくすことも合意した。
飛び地交換には今後両国の議会での承認が必要。
両首相は、バングラデシュからの繊維品46品目の関税撤廃で合意するなど、貿易拡大の方針も打ち出した。
両国を流れる河川の共同利用も主要議題となったが、バングラデシュ側に割り当てる水量についてインド国内の関係州間で意見の統一ができなかったため、合意には至らなかった。
▼インドとバングラデシュ、国境線画定 領土問題解決へ
http://www.asahi.com/international/update/0907/TKY201109070670.html
インドのシン首相は6日、バングラデシュの首都ダッカでハシナ首相と会談し、「飛び地」の交換によって国境線を画定させることで合意した。長年の懸案だった領土問題が解決に向かうことになる。インド首相のバングラデシュ訪問は12年ぶりだ。
インドとしては、バングラデシュなど周辺国で影響力を増す中国に対して巻き返しをはかる狙いがある。
インド紙の報道によると、両首相が交換に合意した主な飛び地は、インドがバングラデシュに持つ111カ所と、バングラデシュがインドに持つ51カ所の計162カ所。それぞれの飛び地の住民はいずれかの国籍を選べるという。
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▼シン・インド首相:バングラデシュを訪問 国境画定書に署名
http://mainichi.jp/select/world/news/20110907ddm007030066000c.html
【ニューデリー杉尾直哉】インドのシン首相は6日、バングラデシュを公式訪問した。インド首相の訪問は99年以来12年ぶり。現地からの報道によると、長年の懸案だった国境画定に関する議定書に署名した。
ハシナ首相との会談では、バングラデシュ西部のモングラ港と東部のチッタゴン港をインドが長期間利用する契約についても協議。同港は、中国の支援で整備が進められている。インドのマタイ外務次官は中国を刺激しない姿勢を示したが、南アジアへの影響力を拡大する中国に対抗する狙いもありそうだ。
▼中国の野心拡大、16地域との紛争当事者に―独メディア
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=53634&type=1
2011年8月17日、新華網によると、ドイチェ・ヴェレ中国語サイトやディー・ツァイトが、中国が初の空母を所有したことに懸念を表す記事を掲載している。空母は中国の台頭を象徴するとともに、海軍の存在が日増しに重要となっていることや、国際戦略の衝突する中心が大西洋からインド洋や西太平洋へ移ったことを象徴しているという。
中国はインドがアンダマン諸島周辺を封鎖して中国のインド洋を通じた海上ルートを遮断する可能性を懸念しており、そのため80年代からパキスタンへの軍事協力や武器供与を行ってきた。さらに、バングラデシュのチッタゴン港、スリランカのハンバントタ港、ミャンマーのシットウェ港の建設に関わっているほか、パキスタンのグワダル港に海軍を駐留させる動きもあり、軍事的な立場の増強や海上ルートの確保を図っているとインドのアナリスト、ブラーマ・チェラニー氏は指摘している。
また、中国は海南島やベトナムからほど近い場所に大型海軍基地も建設しており、ベトナムはかつて争った米国との関係を深め、インドもベトナムへのミサイル供与や、日本、オーストラリア、インドネシア、シンガポールなどの国々と軍事的な関係を深め、中国の軍事拡張に対抗しようとしている。
ドイツの国防専門誌は、海洋資源などをきっかけに中国が現在16もの地域の紛争で当事者になっていると指摘。日本や台湾とは尖閣諸島(釣魚島)を、ベトナムと台湾とは西沙諸島を、ベトナムと台湾、マレーシア、フィリピンとは南沙諸島を争っており、中国が強硬な姿勢に出るほど、他の国々が結束していく構図となっていると指摘した。(翻訳・編集/岡田)
<関連記事>
「南シナ海」有事に備え、真珠のショートカットを急ぐ中国、「インド洋」も大荒れか
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/08/18/6054759
<画像引用>
バングラデシュ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%A9%E3%83%87%E3%82%B7%E3%83%A5
「歴史の終わり」がハッピー・エンドとは限らない 中東地域全体が煮えたぎった大釜に変わることもあり得る ― 2011/02/02 08:39
「歴史の終わり」で最終的には民主主義が勝利すると説いたのがフランシス・フクヤマ。エジプトで繰り広げられる自由を求めるデモを見ながら、アラブ世界も例外ではなかったと喜んでいるネオコンも大勢いることだろう。
今、中東で起こっていることはベルリンの壁崩壊に匹敵するほどの衝撃。そこで浮き彫りになったのはこれまでの欧米の偽善と矛盾。とりわけその中心は米国。
米国は自由と民主主義の拡大を主張しながら、一方ではエジプトやサウジアラビアなど世界で最も専制的な政府を支えてきた。かつてコンドリーザ・ライス前国務長官が地域の安定性のために自由と交換したのだと辛らつな言葉で皮肉ったこともある。
今まさに米国の矛盾に満ちたリアル・ ポリティークが崩壊しつつある。皮肉なことに米国得意の「インターネットの自由」というアジェンダを象徴するツイッターやフェイスブックを駆使した反政府デモによって、ムバラク親米政権は退陣表明に追い込まれた。
「自由で公正な選挙」がエジプトで実施されれば、穏健派イスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」などのイスラム勢力が政治の中心に躍り出ることになるだろう。
これまでの米国の偽善と矛盾に対して刃を向ける可能性もある。それでも米国はイスラム勢力の台頭を歓迎することができるのだろうか。米国は秘密裏にムスリム同胞団との接触も図ってきたが、準備万端とは言えないようだ。
そして、イスラム勢力の台頭に懸念を表明したのはイスラエルのネタニヤフ首相。アラブ諸国で初めてイスラエルと平和条約を締結したのがエジプト。安全保障上極めて重要な隣国エジプトを失うという事態になった場合にはどうなるのか。中東地域全体が煮えたぎった大釜に変わることもあり得るのだ。
「歴史の終わり」がハッピー・エンドとは限らない ムバラク親米政権退陣後に待ち受けるのは中東のカオスかもしれない。
エジプト国民の怒りが癒されることを祈りつつ、ここでヨーダに登場していただこう。
「恐れはダーク・サイド(暗黒面)に通じる。恐れは怒りに、怒りは憎しみに、そして、憎しみは苦痛へとつながるのじゃ」
スプートニクに付随する三段ロケット方程式:「ソ連・パンダ・象」のホップ・ステップ・ジャンプ成功なるか - オバマ米大統領の一般教書演説を読む ― 2011/01/27 08:58
This is our generation’s Sputnik moment.
(今こそ)我々の世代のスプートニクの時だ。
1月25日夜(日本時間26日午前)に行なわれたオバマ米大統領の一般教書演説。
ここでもまたまたオバマ得意のスプートニクが登場。
中国やインドを名指しするオバマ。
強力なライバル相手に闘争心剥き出しの単細胞国家・アメリカ。
第2のスプートニクが中国なら、第3のスプートニクはインド。
「ソ連・パンダ・象」のホップ・ステップ・ジャンプは成功なるか
その一方で強力なライバルが出現した時の鉄則がある。
それはライバル同士戦わせること。
幸いなことにパンダと象は仲が悪い。
ここでも両者ライバル心剥き出しでやる気満々。
今後、水をめぐって衝突する可能性もある。
米国のみならず英仏独、それにロシアまでもが虎視眈眈と「パンダ・象対決」を注視。
ハイテク武器をお腹いっぱいに買わされるパンダと象。
アジアにおける軍拡の中心で踊りまくるパンダと象。
パンダの面倒は当面象に任せよう。対パンダで日本が目立っても損をするだけ。
象の背後に隠れながら軍拡祭り参加というしたたかさが日本にも求められる。
指をくわえて見ている余裕など日本にはないはずだ。
<関連記事引用>
米大統領、議会に赤字抑制などの責任共有要請へ-25日に一般教書演説
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920010&sid=aOoLJYh5e0E4
1月21日(ブルームバーグ):オバマ米大統領は25日に予定する一般教書演説で、上下両院の多数派が異なる「ねじれ議会」に対し、赤字抑制や米国の対外競争力強化の責任の共有を強調する方針だ。与党民主党関係者2人の話で明らかになった。
大統領は全米にテレビ中継される一般教書演説の場を利用し、政策運営の軸足を就任後2年間の大半を費やした金融危機対応から経済面の中長期的課題に対応していくためのビジョンに移す意向だと、政権当局者は民主党関係者に語っている。
ホワイトハウスのギブズ報道官はその前触れとして、昨年12月6日にオバマ大統領がノースカロライナ州で行った演説を挙げている。大統領はその中で、旧ソ連が米国に先んじて1957年に世界初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功したことを引き合いに出し、中国や韓国、インドなどの急成長する新興国からの追撃を「われわれの世代のスプートニク的な状況だ」と指摘した。
大統領はこの演説で、「われわれが直面する最も重要な競争は、民主党と共和党の間にあるのではない。それは米国と経済面で競合する世界中のライバルとの競争だ」と強調していた。
一般教書演説に具体的な予算計画は期待できないものの、大統領は厳しい選択を求める方針だという。競争力強化の面では、「技術革新と教育、インフラ」への投資を呼び掛ける見通しだ。
技術革新で世界リード=赤字削減へ歳出5年凍結-米大統領が一般教書演説
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011012600119
【ワシントン時事】オバマ米大統領は25日夜(日本時間26日午前)、上下両院合同会議で施政方針を示す一般教書演説を行い、世界をリードするため、クリーンエネルギーなどの研究開発や、教育などへの投資を通じ、技術革新を強力に進める戦略を打ち出した。一方で、国民が懸念を強める財政赤字問題について、公的医療保険や年金を除く裁量的歳出(安全保障は除外)を5年間凍結することを提案。財政健全化に向けた決意を改めて示した。
一般教書演説はオバマ大統領にとって、これが2回目。昨年11月の中間選挙の結果、野党共和党が下院で過半数を掌握したことに伴い、大統領は「われわれが直面する課題は党や政治より重要だ」と述べ、共和党に協力を求めた。ただ、裁量的歳出凍結による赤字削減効果は10年間で4000億ドル(約33兆円)強にとどまるなど、同党が求める大幅な歳出削減には応えていない。
大統領は、旧ソ連による世界初の人工衛星「スプートニク」打ち上げの衝撃から、研究や教育に投資することで米国が急速に巻き返したことに触れ、インドや中国が台頭する世界の現状を念頭に、現在は「われわれの世代のスプートニクの時だ」と指摘。「将来を勝ち抜く第一歩は技術革新を促進することだ」と強調した。
その方策として、科学や数学の教員増など教育の拡充やクリーンエネルギー技術の開発、電気自動車の製造・普及などを挙げた。さらに、米国企業の競争力強化や米国への投資誘致を狙いに、法人税の税率引き下げや簡素化などの税制改革を議会に呼び掛けた。
また、道路や橋などの補修、高速鉄道網の整備などインフラ投資を通じ、深刻な失業問題の解決を促すと同時に、将来の成長基盤を構築する方針を示した。(2011/01/26-12:47)
米一般教書演説:オバマ大統領演説(詳報) 「未来の勝利」のために
http://mainichi.jp/select/world/news/20110127ddm007030101000c.html
■経済・内政
議員各位とジョン・べイナー新下院議長にお祝い申し上げるとともに、我々の仲間であり友人である(米アリゾナ州トゥーソンの銃乱射事件で重傷を負った)ガブリエル・ギフォーズ下院議員の健康を祈りたい。
過去2年間、この議場にいる我々の間に違いがあったことは秘密でも何でもない。我々は自らの信念のために激しく論争してきた。それは良いことだが、トゥーソンの悲劇は、党派や政治的志向より重要なものの存在を気付かせてくれた。我々は米国という家族の一員だ。共通の希望、信条を抱きつつ一つの国民として生きる運命にある。新たな協力の時代の到来は我々にかかっており、我々がともに取り組むことで実現する。それは可能だと信じているし、ここにいる我々に国民が期待していることだ。
国民は(昨秋の中間選挙の)投票で、与野党がともに統治の責任を共有していることを示した。新しい法律は、民主、共和両党の支持によってしか成立しない。我々が直面する問題は政党や政治そのものよりも大きい。
現時点での問題は、誰が次の選挙で当選するかではなく、新たな雇用と産業がこの国に定着するか、他のどこかの国に定着してしまうかということだ。米国民の努力が報われるかどうか、米国が世界の光としての指導力を維持できるかが問題だ。前進するための準備はできた。かつて経験したことのない2年間の最悪の景気後退の後、株式市場の活況が戻ってきている。企業の利益は上昇し、再び経済成長が始まっている。
世界は変化している。中国やインドのような国が変革を遂げ、新しい世界で競争している。雇用を巡る競争は確かに存在するが、落胆すべきでない。米国は今も世界で最も繁栄した国だ。
◇技術革新に積極的投資
未来は我々の勝利に終わる。そのためには、すべての世代の献身、奮闘、新時代のニーズに応えることが要求される。米国は技術革新、教育、インフラ整備で他国をしのぐ必要がある。我々は財政赤字に責任を負い、政府を改革しなければならない。それが米国民の繁栄、未来に勝利する道だ。
勝利へ向けた第1の段階は、技術革新の奨励だ。我々にできるのは、国民の創造性と想像力を刺激することである。半世紀前、ソ連が(世界初の人工衛星)スプートニク1号を打ち上げて我々を負かした時、米国にはNASA(米航空宇宙局)も存在しなかった。だが、研究と教育への投資の結果、我々はソ連を打ち負かしただけでなく、新規産業と数百万の雇用を生み出す技術革新を実現した。
我々は生物医学分野の研究、情報関連技術、特にクリーンエネルギー関連技術に投資する。これらの投資は地球を守り、米国民に無数の雇用を生み出す。米国の科学者や技術者が結集し、クリーンエネルギーなどの困難な課題に重点的に取り組むならば、我々は現代の「アポロ計画」に投資する。2015年までに100万台の電気自動車を走らせる最初の国になる。現在、石油企業に支出している予算を廃止するよう議会に求める。2035年までに米国の電力の80%をクリーンエネルギーで生産する私の提案に加わるよう民主、共和両党に求めたい。
◇10年で10万人の教育者
研究と技術革新における米国の指導的立場の維持が、米国の成功にとって重要だ。未来に勝利するには、子供たちを教育する競争に勝たなければならない。我が国の数学・科学教育は、多くの国に後れをとっている。米国は、大学の学位を有する若者の割合の多さで(世界で)9位に落ちた。
韓国では、教師は「国家の建設者」として知られる。米国でも、教育者に同じような尊敬の念を持って接する時だ。次の10年、科学、技術、工学、数学の分野で10万人の新たな教師を整備したい。
◇インフラ整備を加速
「未来の勝利」への次の段階は米国の再建だ。新たなビジネスを引きつけるためには高速鉄道から高速インターネットまで、人、モノ、情報を動かす最速で最も信頼できる「道」が必要だ。
米国のインフラの等級は「D」ランクだ。我々は過去2年、痛手を受けた建設業界に何千人もの雇用を生む計画を始めた。この試みを倍加させることを提案する。25年以内に、80%の米国人が高速鉄道を利用可能にするのが目標だ。5年以内に、次世代高速無線通信が国民の98%をカバーできるようにする。
何年もの間、ロビイストたちは特定の企業や産業の利益のために税法を不正に操作してきた。それは、税を払わないということだったが、残りの企業は世界で最も高い法人税の打撃を受けてきた。これは道理に合わない。私は民主、共和両党にシステムの簡素化を呼びかけたい。抜け穴の一掃、公平な競争、赤字を増やさず25年ぶりに法人税を引き下げる。
2014年までに輸出を倍増する目標を設定する。最近、米国人の雇用25万人以上を支える合意をインド、中国と締結した。先月には、少なくとも7万人の雇用を支える韓国との(自由貿易)協定を決着させた。私は就任前、国民の雇用につながる協定のみに署名する立場を明確に示したが、それが韓国と結んだ協定であり、アジア太平洋(地域)と続けている貿易交渉だ。
◇歳出増加を5年間凍結
未来の勝利のための最後の重要なステップは、借金に埋もれないことだ。我々は長年の赤字財政の遺産とともにある。政府の支出は歳入より多いという事実を直視すべきだ。今年から5年間、歳出(の伸び)を凍結することを提案する。次の10年で4000億ドル以上の赤字を削減することにつながり、自由裁量で決められる支出の割合はアイゼンハワー大統領の時代以来、最も低くなるだろう。連邦職員の給与を今後2年間据え置いた。国防長官も数百億ドルの支出削減に同意した。
2%の最富裕層向けの減税恒久化は絶対に認めることはできない。学校の予算や学生の奨学金を取り上げる前に、大金持ちに減税をあきらめるよう頼むべきだ。数カ月以内に、統廃合や再編成による連邦政府の効率化を議会に提案する。
政府の信頼回復にも努め、国民は自分たちの税金の使い道や公職者の行動をインターネットサイトで知ることができるようになる。医療保険改革についての懸念を耳にするが、改善は可能であり、考えがあるなら協力したい。
■外交・安保
イラクでは米国の戦闘部隊が任務を終えた。米軍は撤退し、米民間人とイラク人による永続的な協力関係が築かれることになる。米軍は約束を果たし、イラク戦争は終わろうとしている。アルカイダは今も攻撃を計画し続けているが、情報機関や司法当局のおかげで安全を確保できている。米国社会は過激派の暴力に対し、法の支配とイスラム教徒に対する敬意をもって対処している。
◇アルカイダ根絶へ決意
アフガニスタンでは、旧支配勢力タリバンの拠点を奪い、治安部隊を訓練している。タリバンの復活を阻止し、アルカイダの隠れ家を根絶することが目的だ。厳しい戦いは続くが、アフガン人主導の体制に移行するために約50カ国と協力し、7月には駐留米軍の撤退を開始する。パキスタンではアルカイダへの圧力を強めている。アルカイダ司令官らを排除し、彼らの隠れ場所は減った。我々の決意が揺らぐことはない。
米国の指導力は、核廃絶でも発揮された。民主、共和両党はロシアとの新戦略兵器削減条約「新START」を承認し、多くの配備核兵器が削減されるだろう。世界各国と連携して核物質の管理体制を整えており、核物質がテロリストの手に渡ることはない。
イラン政府は、これまでにない厳しい制裁に直面している。朝鮮半島情勢では同盟国の韓国を支持し、北朝鮮に核兵器廃棄の約束を守るよう求める。
欧州同盟国とはNATO(北大西洋条約機構)における協力関係を再構築する一方、ロシアとの関係をリセットした。アジア諸国との同盟を強化し、インドと新たな協力関係も築いた。
◇チュニジア市民を支持
3月にはブラジル、チリ、エルサルバドルを訪れる。スーダンでは我々の協力もあり、南部の独立を問う住民投票が実施された。チュニジアでは、民衆の力が独裁者よりも強力であることが証明された。米国はチュニジア市民と彼らの民主主義への思いを支持する。
私たちは「米国は何事も可能な国だ」という夢を抱くことができる。米国は建国当初から人々が夢を抱くことができる国だ。
米国の理念は生きている。未来は私たち次第だ。(建国から)2世紀以上たった今も、私たちの前途は有望であり、国家としての統一が強固なのは米国民のおかげである。
米国、インド向けハイテク輸出規制を一部緩和
2011年 01月 25日 16:58 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK883092020110125
[ワシントン 24日 ロイター] 米商務省は24日、インド向けハイテク輸出製品に対する規制を緩和する方針を明らかにした。両国間の経済・国家安全保障上の関係強化を受けた措置としている。
ロック商務長官は声明で、「きょうの措置は米印間の戦略的パートナーシップを強化し、ハイテク関連の貿易と協力を促進する輸出規制改革を進める上で、重要な節目となる」と語った。
今回の発表に先立ち、オバマ米大統領は昨年11月、インドで同国のシン首相と会談。両首脳は民間宇宙、防衛、その他のハイテク分野で協力を拡大する計画を明らかにしていた。
商務省の産業安全保障局は、オバマ大統領とシン首相の約束履行の最初の一歩として、米輸出規則の下でのインドの扱われ方を変える新たな規則を打ち出す方針を示した。
米ハイテク製品を大量破壊兵器の製造に利用する可能性が懸念される外国企業・個人に対して輸出の許可に追加条件を課すリストから、インドの複数の宇宙防衛関連企業を除外する。
これらの企業にはバーラトダイナミックス、インド防衛研究開発機関の傘下機関4社、インド宇宙研究機関の傘下機関4社が含まれている。
またこの規制改革は、核拡散への懸念に関連する複数の国のカテゴリーからインドを除外することで、米輸出規制上のインドの立場を「再調整」する。
<関連記事>
Remarks by the President in State of Union Address
The White House
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2011/01/25/remarks-president-state-union-address
米国から見た中国の存在 中国は「第2のスプートニク」か?
英エコノミスト誌
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/5314
東京財団「日本の水源林の危機」シリーズを読む ― 2010/03/29 08:36
国民への注意喚起という面では高く評価したいが、中国をことさら強調するあたりに産経・バイアスを感じる。
日本の水源林がモテモテならば、真っ先におフランスあたりが出てくるような気もする。
東京財団さんももう少し具体的な買収事例を示す必要があるのではないでしょうか。
<東京財団サイト>
政策提言「日本の水源林の危機 ~グローバル資本の参入から『森と水の循環』を守るには~」
http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=118
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/2008-9.pdf
政策提言「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点~日本の水源林の危機 II ~」
http://www.tkfd.or.jp/topics/detail.php?id=179
http://www.tkfd.or.jp/admin/files/2009-09.pdf
<関連記事引用>
日本の森と水、むさぼる外資 埼玉や山梨でも山林買収を打診
2010.3.29 01:07
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100329/crm1003290107000-n1.htm
埼玉や山梨、長野、岡山県など全国各地の水源に近い山林について、中国などの外国資本が買収の打診をしてきていることが、東京財団がまとめた「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点」と題した調査報告書で明らかになった。類似した事例は昨年、三重県大台町、長野県天竜村でも確認され、林野庁が調査に乗り出す事態にもなった。
報告書は外国資本進出の背景に、水資源などの資源獲得競争がグローバルに展開されている世界的潮流があると指摘。「日本の土地制度には、国土を守る意味で多くの問題がある」と警鐘を鳴らしている。
報告書によると、ほとんどが森林で占められる5ヘクタール以上の土地取引は、平成20年の統計で、10年前に比べ面積で倍以上、件数で1・5倍の増。また、具体的な事例を並べたうえで、山林買収は事実関係の把握が困難とも指摘した。
背景として、世界の水需給の逼迫(ひつぱく)が予測され、日本の「水」が狙われている可能性に言及。特に中国の水需要が2004年までの7年間で4倍以上伸びており、日本から水を調達するために買収に触手を伸ばしている可能性を指摘している。
また、今後、環境問題の取り組みが世界的に強化されるなかで、二酸化炭素(CO2)吸引源とされる森林やその生態系に新たな価値が付加されるとにらむ期待投資で森林売買が加速する可能性も指摘した。
報告書では、日本の土地制度が諸外国に比べて極めて強いとも指摘。いったん外国資本に所有されると、それを手放させることが難しいため、事前の実態把握と事前届け出など諸規制を提言している。
また、水源林以外にも、香港資本や豪資本の買収によって地価上昇率が3年連続全国一となった北海道ニセコ町の例や、廃屋化したホテルなど買収、更地化して分譲マンションを建設中の長野県白馬村での豪資本の動きを例示。公益や安全保障などの観点から、国土資源(土地・森林・水)を守るために十分な備えが諸外国並みに必要だと説いている。
中国、森林買収に触手 日本の水源地物色? 林野庁調査
2009/05/13産経新聞東京朝刊
中国の企業が日本各地の森林を大規模に買収しようとする動きが、昨年ごろから活発化していることがわかった。逼迫(ひっぱく)する本国の水需要を満たすために、水源地を物色しているとみられる。買収話を持ち掛けられた地元自治体などが慎重姿勢を示しているため、交渉が成立したり、契約締結に至ったりしたケースはないというが、外国資本の森林買収による影響が未知数なことから、林野庁は都道府県に対し一斉調査を始めた。
奈良県境に近い三重県大台町では、昨年1月ごろ中国の企業関係者が町を訪問。水源地の宮川ダムを視察した上で、「立木と土地を買いたい」と一帯の私有地約1000ヘクタールの買収を仲介してほしいと町に持ち掛けた。約3年前にも、別の中国人の男性から同じ地域の買収話があったが、いずれも町が断ったという。
水源地の立木は、原生林を伐採した後に植林した二次林で、木材としては使いにくい。土地も急斜面で木材の運び出しに費用がかかるため、同町産業室の担当者は「木ではなく地下にたまった水が目的ではないか」と分析する。
また、長野県天龍村には昨年6月、東京の男性が訪れ「知り合いの中国人が緑資源を買いたがっている」と持ちかけてきた。森林組合の担当者によると、男性は「今の市場価格の10倍の金を出す」と話したが、外国資本であるため難色を示すと、話は立ち消えになったという。ほかにも、岡山県真庭市の森林組合に昨年秋、中国から水源林を伐採した製材の買収話が持ちかけられ、その後も交渉が継続している。
林野庁によると、昨年6月、「中国を中心とした外国資本が森林を買収しているのではないか」との情報が寄せられ始め、実態把握のため全国の都道府県に聞き取り調査を始めた。売買が成立したケースは確認できなかったが、同庁の森林整備部計画課は「現在の法制度では、万一、森林が売買されたとしても所有権の移転をすぐに把握する手段はない。森林の管理についても国が口をはさむことは難しい」としている。
◇
■林業衰退…外国資本の標的
日本国内の水源地に中国資本が触手を伸ばす背景には、世界各地で繰り広げられる水資源の争奪戦がある。一方で日本国内の水源地は約30年前の価格にまで暴落しており、中国にとっては買い時に映ったとみられる。識者は「水源地を守るためには現在の法制度は未整備」と訴えている。
東京財団の調査によると、中国では飲用水の需要が急速に伸びており、この10年間で約4倍。工業化が進む北部では工業用の水不足も慢性化しており、内陸部でも、干魃(かんばつ)被害の影響で水不足が深刻化しているという。
国連の予測では、人口爆発と経済発展により、水不足の深刻な国で暮らす人は現在でも5億人に達し、2025年には約30億人に増加するとしている。一方で「水メジャー」といわれる大企業が、世界で水源地を確保しようとする動きも目立っているという。
これに対し、日本国内では水源地を守る役割を果たしてきた林業が衰退し、外国資本が入り込むすきを与えているとの指摘がある。日本不動産研究所によると、安価な輸入木材に押されて、地価にあたる林地価格や、立木価格は昭和55年以来、ほぼ一貫して下落。平成20年3月末で、10アール当たりの林地価格は北海道と沖縄を除く全国平均で5万5118円、昭和49年時の6万460円を下回る価格となった。
森林が国土の約7割を占めるにもかかわらず、法制度の不備もある。国土交通省水資源政策課によると、現在の地下水の規制は都市部で地盤沈下を防ぐことが目的で、山間部については、地下水をくみ上げる量に制限がないという。
さらに、森林法では民有林の売買に関する規制はなく、所有者は山林を自由に売買することが可能。国土利用計画法でも、1ヘクタール未満の土地の場合は届け出義務がなく、外国資本による水源地買収を把握する制度すらないという。
外国資本、森林買収に触手―林野庁調査昨夏まで交渉あり
2009/05/15日刊木材新聞
13日、一般紙に「中国が森林買収に触手」「日本の水源地を物色」「林業衰退、外国資本の標的に」という記事が掲載された。同社系の、朝のテレビ番組でこの記事が取り上げられたこともあって、同日、林野庁に問い合わせが殺到した。
産経新聞13日付の記事によると、中国の企業が日本各地の森林を大規模に買収しようとする動きが、昨年頃から活発化。ひっ迫する同国の水需要を満たすために、日本の水源林を物色している、というもの。買収を持ち掛けた地区も具体的に3カ所挙げられている。場所は奈良県境に近い三重県大台町、長野県天龍村、岡山県真庭市。
△▽
また、同記事に先立ち雑誌「選択」09年5月号にも、ほぼ同じ内容の記事が掲載されている。ただ新聞記事と雑誌記事で異なっているのは、新聞記事には「林野庁調査」という見出しが付いていること。そこで、林野庁に取材してみた。 担当の森林整備部計画課は、昨年6月頃から中国を中心とした外国資本が森林を買収しているのではないかとの情報が寄せられ、実態調査のために、全国各県の担当課に対して問い合わせをした。確かに、この3カ所では、そういった動きがあったようだが、売買が成立したケースは確認できなかった(つまり、成約には至っていないと思われる)。
外国資本が日本の森林を買収に動いているという話が出ていたのはリーマンショック(08年9月15日)までで、以後は聞いていない。また、水資源としてではなく、森林資源として購入に動いたようだ、という。
私有林を含めた土地の転売は、国土利用計画法によって2週間以内の事後届出(都市計画区域外では1ヘクタール以上の売買のみ)が義務付けられている。同庁でも、森林の売買については監視を続けており、九州地方で、製材工場が自社の原料手当てのために山林を購入したり、日本の民間企業が育林目的で森林を購入していることは把握している。22日の各県担当者との会議でも実態を確認する、とのこと。
矢部三雄森林整備部計画課長の話 昨年6月以来、各県から情報を集めている。水源地という感じではなく森林資源として買収に動いたようだ。しかし昨夏以後は、こういった話は聞いていないが、実態調査は続けている。全国紙に掲載されて問い合わせが殺到したが、森林は国民の財産であり、国民への注意喚起という意味にもなったのではないだろうか。
<関連記事>
水の世紀で日本企業は「水メジャー」になれるのか?
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/01/13/4055328
この記事に貼り付けた画像の会社は私の義父が役員を務めていたとか・・・。
プーチンに学ぶ新成長戦略成功術、肝心要は武器なのだ ― 2010/03/15 08:16
「原発というのはこうやって売るんだよ」
トップセールスのお手本を見事に披露したロシアのプーチン首相。日本に対してこんなことを思っているとか。
「友愛掲げてトップセールスだと。そんなもんが世界相手に通じるとでも思っているのか。しかも、地球温暖化問題に絡む疑惑が続出。こんなこと、世界中の指導者はみんな知っていた。今や知らないのは日本人だけだろう。パキスタンや中国などの問題児に囲まれているインドが欲しがっているのはむしろ武器の方。だから、武器と原発をセットで売るんだ。お坊ちゃんにはわからないだろうな。」
これぞ豪腕。東北ローカルで「天の声」を発するどこかの幹事長と大違い。
日本も米国と最強タッグを組んで海上配備型迎撃ミサイル「SM-3ブロックIIA(SM3ブロック2A)」などとセットで原発を売れば、中東諸国も大注目。
リベラル・バイアスに染まった常識外れの武器輸出三原則なんてやめちまえ。そうすれば、原発に高速鉄道に水道事業にスマート・グリッドを柱とする新成長戦略も大成功。肝心要は武器なのだ。
<関連記事引用>
ロシア、印と原発協力拡大、首脳会談、最大で12基建設、航空巡洋艦売却でも合意。
2010/03/13日本経済新聞朝刊
【ニューデリー=長沢倫一郎】インドのシン首相は12日、ニューデリーでロシアのプーチン首相と会談した。会談後の共同記者会見でシン首相は「ロシアによる原発建設のロードマップ(行程表)で合意した」と語った。印PTI通信によると、ロシアは最大12基の原子炉建設を請け負う見通し。ロシアは航空巡洋艦ゴルシュコフを2012年末までにインドに引き渡す方針も伝えたという。米印の急接近で停滞気味だったロ印関係は、エネルギーと軍事面を軸に再び活発化してきた。
ロシアは現在、インド南部タミルナド州のクダンクラムで原発2基を建設中。昨年12月のシン首相の訪ロ時には新たに4基をロシアが建設することで合意するとともに、インド側は原発の建設予定地として西ベンガル州のハリプールもロシアに割り当てる方針を伝えている。
経済発展に伴い電力需要が急速に拡大しているインドは、米国とフランスにも原発を2基ずつ発注する計画だが、ロシアへの発注はこれを大幅に上回る規模に膨らむ可能性がある。
両首相は軍事面での協力も協議した。焦点となっていた旧ソ連製の航空巡洋艦ゴルシュコフのインドへの売却については、PTI通信が印政府高官の話として「最終合意に到達した」と伝えた。ロイター通信によると、イワノフ副首相は12年末までにインドに引き渡すと語った。
インドが2004年に購入で合意したゴルシュコフは、ロシア側が改修費用の上昇を理由に売却価格の大幅な引き上げを求めたことから交渉は難航し、引き渡しは当初予定の2008年からずれ込んでいる。今回の会談で早期の引き渡しにめどがたったことで、両国の軍事協力を進めるうえでの障害がひとつ取り除かれることになる。最終的な売却価格は当初の15億ドルを大きく上回る23億4000万ドルとなったもようだ。
インドはロシアからミグ29戦闘機29機を15億ドルで購入することでも合意した。すでに合意済みの16機の追加発注とみられる。ミグ29はゴルシュコフなどに搭載の予定だ。
[スキャナー]原発商戦 オール日本で 官民で新会社 劣勢巻き返しへ
2010/03/05東京読売新聞朝刊
◇SCANNER
◆政府支援を前面
日本が官民一体で海外での原子力発電所の受注に乗り出した。政府は民間企業と新会社を設立し、建設から保守まで相手国の様々な要望に応じられる態勢を整える。背景には、世界最先端の技術力を持ちながら、中東で受注に失敗した反省がある。国を挙げて取り組むフランスや韓国、ロシアなどのライバルを相手に、日本の「原発外交力」が試されることになる。(経済部 瀬川大介、武石将弘 本文記事1面)
■危機感
鳩山首相は3日夜、日本企業がベトナムで原発建設を受注できるよう、同国のグエン・タン・ズン首相に親書を送った。
ベトナムでは2014年から南部で100万キロ・ワット級の原発4基の建設が始まるが、このうち2基は、潜水艦の提供など軍事協力を申し出たとされるロシアの受注が確実視され、日本勢は劣勢に立たされている。
首相の親書は、「政府が力を入れ、原発を全体として取りまとめる仕組みを作り上げる」という方針に基づいた、鳩山首相のトップセールス第1弾だ。
鳩山首相がオールジャパン体制で海外の原発受注の支援に大きくかじを切った背景には、国が企業活動を積極支援する“新重商主義”の強まりがある。国の強力な後押しを受けた韓国に敗北し、ロシアとの競争も劣勢に立っている現状に、強い危機感を抱いたからだ。
政府や原発業界に衝撃を与えたのが、昨年12月の中東・アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビ首長国での原発受注の失敗。入札には、日立製作所などの日米連合、仏アレバ、韓国電力公社が参加し、当初は「原発大国」の日米連合とフランスの事実上の一騎打ちとみられていた。
しかし、韓国は、李明博大統領自ら、アブダビの皇太子に6度に及ぶ電話交渉を行うなど、国を挙げて巻き返しに動いた。さらに、日米や仏よりも2割程度安い建設価格と、運転、保守を60年間にわたり保証するという「コストを度外視した」(電力大手)条件を示したとされ、韓国は最終的に受注を勝ち取った。
■二つの敗因
お家芸とも言える原発での受注競争に敗れた要因は、大きく分けて二つある。一つは官民の連携不足だ。
「国を挙げてのトップセールスが十分でなかった」
鳩山首相は3日の参院予算委員会で、「原発外交」で政府の対応が不十分だったとの認識を示した。
アブダビでは、韓国だけでなく、フランスもサルコジ大統領が現地を訪れ、ルーブル美術館の分館の建設案を提示するなど、国を挙げて支援した。新興国では、「国対国」の交渉が重視される風潮が強く、政府の支援は受注を大きく左右すると言われる。
産業界からも「官民が連携して柔軟に対応することが重要」(森詳介・電気事業連合会長)との指摘が聞かれる。昨年12月にベトナムを訪問した日本経団連の御手洗冨士夫会長らも、ベトナムのズン首相に、日本の原発採用を直接働きかけ、経済界としても側面支援する考えを鮮明にした。
一方、民間側の事情も指摘される。
日本は世界的な原発メーカー3社が受注活動の中心となってきた。原子炉の技術は、日立製作所陣営が沸騰水型、三菱重工業陣営が加圧水型、東芝陣営が両方を持つが、各社がそれぞれの特徴を訴えて世界各地での受注合戦に挑む「ライバル関係」にあり、協調が図りにくいという事情がある。
また、運転や保守のノウハウを持つ電力会社も、震災などで停止した原発を抱え、現場からは「国内だけで手いっぱい。人的な余裕がない」として、新興国での原発受注に消極的だった。メーカーと電力会社の連携も不十分で、「原発建設だけでなく、運転も任せたい」としたアブダビの求めに、十分対応できなかったことも敗因と言えそうだ。
こうした反省にたち、政府は今夏までに、東京電力と関西電力の出資を受けて海外から原発事業を請け負う官民一体の新会社を設立する方針だ。政府と電力会社が主体となり、相手国の要望に応じて電機メーカーが協力する態勢をとることで、「国を挙げて建設から保守まで一貫して支援できる体制」(政府関係者)をアピールし、巻き返しを目指す。
◆原子力回帰の動き
■温暖化に関心高まり 化石燃料枯渇の懸念
地球温暖化への関心の高まりなどを受けて、「原子力ルネサンス(再生)」の動きが世界的に加速している。中国、インドなど新興国の経済成長で世界のエネルギー需要が急伸し、石油などの化石燃料の枯渇が懸念されていることも、原発建設の追い風だ。
国際エネルギー機関(IEA)は、電力などの1次エネルギー需要は2030年に07年比1・4倍に増えると試算している。化石燃料の枯渇も懸念され、世界の原子力発電の容量は370ギガ・ワット(4日時点)から30年には最大748ギガ・ワットに倍増するとの予測もある。
ブッシュ前大統領時代に原発推進にかじを切った米国は、20基以上の新規建設計画がある。オバマ大統領は2月、ジョージア州に建設予定の原発2基に83億ドル(約7500億円)の政府保証をつけると発表し、30年以上途絶えていた新規建設に踏み出した。
経済成長著しい中国も、原子力容量が09年の9ギガ・ワットから、25年には最大189ギガ・ワットに劇的に増えるとの推計がある。新設に意欲的な中東や東南アジアに加え、英国、イタリアなど欧州の先進国でも建設再開の機運が高まっており、巨大市場となるのは確実で、今後も、激しい受注競争が予想される。
<関連記事>
<クライメートゲート>それでも突出25%削減、これも原発の売り込みのためなのか?
友愛トップセールスは旧財閥系がお好き
オバマ政権が印パに武器売り込み(WSJ)、インドを中国にぶつける戦略が本格始動か
鳩山政権目掛けて飛び交う外圧内圧ミサイル 海上配備型迎撃ミサイル「SM-3ブロックIIA(SM3ブロック2A)」)
友愛トップセールスは旧財閥系がお好き ― 2010/03/02 09:42
鳩山首相はベトナムへの原発トップセールスに続き、ブラジルにも高速鉄道トップセールス。
その企業の顔触れは原発も高速鉄道もまったく同じ。
友愛トップセールスは旧財閥系がお好き。
日本株式会社の本丸制覇に向けて、次は水処理トップセールスか。
原発に高速鉄道に水処理の3点セット。これにスマート・グリッドも加えて新成長戦略へ。
まだまだ日本の地球温暖化祭は続く。
されど地球環境の悪化は深刻。
どこかで地球環境祭に差し替えればいいのに。これが私からの提案です。
<関連記事引用(画像も引用)>
ブラジルの高速鉄道、日本勢受注へ金融支援、政府、円借款など検討。
2010/03/02日本経済新聞朝刊
政府はブラジルが5月にも入札を予定する建設費1兆7千億円規模の高速鉄道計画について、新幹線方式による日本勢の受注を後押しする検討に入った。円借款の供与や日本の企業連合への資金支援などが柱となる。企業連合は三井物産、三菱重工業、東芝、日立製作所の4社が中心で、JRグループなどにも参加を呼びかけている。原発など大規模プロジェクトの受注で日本勢の競り負けが続くなか、官民一体でてこ入れを図る。
日本の官民はブラジルの高速鉄道を台湾や中国に続く新幹線技術の輸出先として期待。鳩山由紀夫首相はブラジルのルラ大統領あてに日本の企業連合が入札に参加しやすい条件を整えるよう要請する親書を送った。
日本の4社は台湾の高速鉄道プロジェクトで連携した経験を持つ。ブラジルでも、三菱重工業が車両や周辺機器の調達の取りまとめ役となり、日立製作所や東芝は車両などを製造、三井物産が資金調達の管理を担当する役割分担が有力だ。JRはJR東海やJR東日本などが参加候補になるとみられる。
入札には欧州勢に加え、日欧の高速鉄道技術を導入した中国と韓国も意欲を示している。同計画はリオデジャネイロ―サンパウロ―カンピーナスの約510キロメートルを結ぶ鉄道事業について、ブラジル政府が建設から運行、保守までを含む事業権を40年間、民間の企業連合に与える内容。
建設費は346億レアル(約1兆7千億円)。受注にはこの3割を日本側で手当てする必要がある。まずは企業連合が自力で資金調達を目指すが、全額を民間だけで確保するのはリスクが大きいという。政府は国際協力銀行(JBIC)による融資・出資をあっせんする方向で調整する。
ブラジル政府への円借款も検討する。途上国ではないため調達先を日本企業に限るタイド(ひも付き)方式の貸し付けはできないが、温暖化ガスの排出を減らす「環境案件」とみなす特例の活用が浮上している。
<関連記事>
<クライメートゲート>それでも突出25%削減、これも原発の売り込みのためなのか?
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2010/02/28/4911659
ドラゴン(中国)vs象(インド)、真珠の首飾りで緊張高まる ― 2010/02/21 13:44
その時に備えてそろそろ日本も準備を進めましょう。
まずは武器輸出三原則の見直しから。
<関連記事引用(画像も)>
中国、インド洋の覇権狙い相次ぎ港湾建設
南アジア戦略の重要拠点に港湾を建設し連結、インドを「封鎖」
http://www.chosunonline.com/news/20100218000041
「中国がインドの周辺に港や勢力拠点の構築を進めようと血眼になっている」
インドのカンワル・シバル元外務次官は17日付の米紙ニューヨーク・タイムズのインタビューで、「中国が南アジアでインドの影響力を弱体化させ、地域のバランスを崩そうとしている」と語った。中国がインド周辺の南アジア各国の戦略的な重要地域に相次いで港を建設していることで、核保有国である両国間の緊張も高まっている。
両国は昨年、カシミールとヒマラヤの領土問題をめぐり、武力衝突直前の状態にまでなった。年が明け、竜(中国)と象(インド)の戦いの舞台は、陸地からインド洋に移った格好だ。
中国は国家戦略として、自国に友好的な南アジアの港湾確保を進めてきた。海賊の出没など治安の悪化でますます危険度が高まるインドネシア-マレーシア間のマラッカ海峡を通らず、インド洋に陸路で出られるルートを開くためだ。急速な経済成長によりもたらされた資金で南アジア諸国に接近し、インドの周辺を固めようという狙いだ。
インドの北西には、中国が開発を進めるパキスタン南西部のグワダル港がある。グワダルは、中央アジアからアラビア海に抜ける地域の物流のハブだ。中国の新疆ウイグル自治区とイランが、グワダルを通じて結ばれる。これで中国は、湾岸の石油をグワダル港経由で内陸に直接輸送できるわけだ。
一方、インドの南東には、スリランカのハンバントータ港がある。ハンバントータはもともと小さな漁村で、中国の貨物船は沖合を行き交っていた。ここに中国は、10億ドル(約911億円)を投じ、国際貿易港を建設中だ。中国の技術で港湾を建設するだけでなく、建設費の85%を中国国営輸出入銀行が低利で融資した。中国は米国や世界銀行のように、借款や開発事業の見返りに人権問題の改善や腐敗の徹底排除など、難しい条件は掲げない。投資を求める開発途上国が歓迎するのは当然のことだ。
ニューヨーク・タイムズは、「中国は周辺国の重要な港を真珠の首飾りのようにつなげ、インドを戦略的に包囲している」と分析した。米外交専門誌の『フォーリンポリシー』電子版は、「両国の対立の構造的背景には結局、誰がアジアのリーダーになるかという問題がある」と分析した。
<中国の「真珠数珠繋ぎ」戦略(the “string of pearls” strategy)関連記事>
India Worries as China Builds Ports in South Asia
http://www.nytimes.com/2010/02/16/business/global/16port.html
India offers to protect China oil shipments
http://www.ft.com/cms/s/0/6788f896-1be8-11df-a5e1-00144feab49a.html
China expands Asian trading network
http://www.chinaeconomicreview.com/china-eye/2010_02_19/China_expands_Asian_trading_network.html
<「火に油」のイラン関連記事>
イラン大統領が中国に新年祝賀メッセージ…「我々には共通の敵がいる」
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2010&d=0217&f=politics_0217_009.shtml
鳳凰網では17日、イランのアフマディネジャド大統領が16日に中国に対して春節(旧正月)のメッセージを発表したことも伝えている。メッセージの中で同大統領は「中国とイランは古代文明国であり、文化も近い。中国の人々と中国政府に特別の祝福を送りたい」と祝辞を述べ、「中国とイランは共通の脅威にさらされている。一部の強権国家は中国が世界的な影響力を持つ大国化することを望んでいない。彼らは何かにつけて理由を探し、中国に圧力を加えようとしている。我々はそのようなやり方に断固反対し、中国を全力で支持する。なぜなら我々には共通のビジョン、信念、利益があり、共通の敵がいるからだ」と中国との友好関係を強調することで、中国への期待の高さをアピールした。
IRAN: Every Iranian a Revolutionary Guard, Ahmadinejad asserts
http://latimesblogs.latimes.com/babylonbeyond/2010/02/iran-ahmadinejad-speaks-in-lengthy-press-conference-press-nuclear-israel-revolutionary-guard-iranelection.html
<「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」と「武器輸出三原則見直し」記事>
防衛力懇談会を設置=新大綱・中期防を検討-政府
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201002/2010021600298
平野博文官房長官は16日午前の記者会見で、新防衛計画大綱の策定に向けて「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」を設置すると発表した。京阪電鉄最高経営責任者(CEO)の佐藤茂雄氏が座長を務める。18日に初会合を開く予定。
新大綱と次期中期防衛力整備計画(中期防)について、自公政権は昨年末に策定する方針だったが、鳩山政権は「政権交代に伴い、防衛政策の在り方を全般的に見直す」として、昨年10月に1年間先送りすることを決めた。
平野長官は会見で、「7、8カ月の期間で新たな大綱(に向けた報告書)をまとめてもらおうと考えている」と述べた。今後、懇談会を月2回のペースで開催する方針。
佐藤氏以外のメンバーは以下の通り。
▽岩間陽子政策研究大学院大学教授▽白石隆日本貿易振興機構アジア経済研究所所長▽添谷芳秀慶大教授▽中西寛京大大学院教授▽広瀬崇子専修大教授▽松田康博東大准教授▽★山本正★日本国際交流センター理事長(以上委員)▽伊藤康成元防衛事務次官▽加藤良三前駐米大使▽斎藤隆前防衛省統合幕僚長(以上専門委員)(2010/02/16-11:34)
武器輸出三原則が焦点に 防衛大綱策定へ有識者懇
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20100217ATFS1602H16022010.html
The Dragon and the Elephant 水をめぐって中印衝突?ー鍵握るチベット(2) ― 2010/01/11 09:42
毎月楽しみにしているのが日本経済新聞の「世界を語る」シリーズ。
土曜日朝刊の1ページを使った本格的な特集記事。
昨年登場したのはニーアル・ファーガソン、リー・クアンユー、アハメド・ザキ・ヤマニ、フランシス・フクヤマ、エマニュエル・トッドなどなど。
私が定期的にチャックしている人がずらりと並ぶ。
2010年はクリス・パッテンからスタートというなんとも渋い人選。
パッテンは1990年代に「最後の香港総督」を務め、その後は欧州連合(EU)の欧州委員会委員などを歴任した英政界の重鎮として知られる人物。
ここまで来るとハビエル・ソラナとパスカル・ラミーの名前も出して、日経さんにリクエスト。
さて、クリス・パッテンは昨年も英フィナンシャル・タイムズ紙にたびたび寄稿。
その鋭い分析力は今なお健在。
まずはインドの台頭に関するパッテンの見解。
「中国やブラジルと並んで21世紀を形づくる経済大国になるだろう。2040年ごろまでにインドの人口は世界最大になる。中国より若年労働力も多くなる。これは競争上有利になると思われるが、増加する若年層に職を提供できなければ問題にもなる。この20年間のインドの発展は目覚ましく国際企業も生み出した。企業の事務のアウトソース先として成功したが、製品輸出ではまだ中国が勝っている。社会資本の整備の遅れや貧困問題など克服すべき課題も多い」(1月9日付日経「世界を語る:アジア安定、米中協調カギ、クリス・パッテン氏」より引用)
次にアジアの安全保障上の懸念を問われたパッテンはこう答えている。
「北朝鮮は『ならず者国家』であり、アジア地域の安定を損なっているが、長期的にみれば大きな脅威ではない。将来にわたる大きな問題は2つだ。第1は中国と日本がアジア地域のエネルギー資源問題で相互の利益を調整できるかどうか。第2は中国とインドが水資源問題にどう対応するかだ。水資源は安全保障問題で、注意深く対処すべきだ。中国とインドは40年以上前に武力衝突(中印国境紛争)を起こしている。インドが核武装したのもパキスタンではなく中国を脅威に感じたからだ。台湾や北朝鮮の問題より資源問題が大きな脅威だ」(1月9日付日経同記事)
やはりパッテンの頭にあるのは資源問題。
その先に透けて見えることを解説しておこう。
クリス・パッテンは欧州インナー・サークル周辺にいる人物。
中国やインドの台頭が彼らにとって脅威と判断した場合には何をやるか。
その答えがパッテン発言の中で明確に示されている。
(1)エネルギー資源問題で日本と中国を衝突させる
(2)水資源問題で中国とインドを衝突させる
さて、ヨーロッパの湖畔の別荘あたりに集まってチェスボードを囲む人たちがいる。
彼らにはパッテンからの情報も当然届いている。
彼らからすれば日本も中国もインドも吹けば飛ぶような単なる駒。
なんといっても米国という駒も自由自在に操ることができる。
特に中国とインド周辺にはアフガニスタンやパキスタンという駒も揃っている。
どの駒も熱くなりやすい。どうすれば切れるかも彼らが一番よく知っている。
いざとなったらチャッカマン片手にニヤリと点火。
すでに罠は仕掛けられている。アフガニスタンには米国という飛び道具を配置済み。
このことを忘れてはいけない。
今なお素朴な日本とは違ってインドや中国はなかなかしたたか。
彼らの手口をよく知っている。
彼らは手ごわいドラゴンと象さんをどうやってお料理するのか。
やはり「水」で仕掛けるしかないということか。
はたしてその時は来るのか。
当然うまくいかなかった時のために日本や台湾という駒の活用も考えていることだろう。
彼らが嫌いというのはよくわかる。
問題なのは彼らに勝てるかどうか。
この肝心要の質問に対してまともに答えられる日本人がいないことも大問題。
結論からすれば、黄色同士が束になっても勝てる相手ではないということ。
中国やインドとて百も承知。
「王将」気取りでチェスボードを荒らせば彼らの思う壺。
日本という国は何度負ければ気が付くのだろうか。
<関連サイト>
水をめぐって中印衝突?ー鍵握るチベット
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/01/11/4052730
Rivals and Partners
http://www.nytimes.com/2010/01/09/opinion/09iht-edweiss.html?ref=global
Future Scarcity Seen Sparking Local Conflicts, Not Full-Scale Wars
http://www.nytimes.com/gwire/2009/12/23/23greenwire-future-scarcity-seen-sparking-local-conflicts-62509.html
India to overtake China in 2020?
http://www.siliconindia.com/shownews/India_to_overtake_China_in_2020_-nid-64423.html
The Chris Patten Archive
http://www.chrispatten.org.uk/index.htm
<画像引用>
Shadow Tibet Jamyang Norbu » Blog Archive » ECOCIDE ON THE THIRD POLE
http://www.jamyangnorbu.com/blog/2009/11/10/ecocide-on-the-third-pole/
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