二の舞ごめんが世界中の合言葉、注目集める日本の「失われた10年」 ― 2010/01/04 08:33
一歩先行く日本経済。
「失われた10年」と「失われた20年」を楽々クリア。
身動き取れずに「失われた30年」もほぼ確定か。
<関連記事>
Avoiding a Japanese Decade
http://www.nytimes.com/2010/01/03/opinion/03sun1.html
The end of Japan’s lost-decades lesson
http://thechronicleherald.ca/Business/1160387.html
To lose one decade may be misfortune... (画像引用)
Twenty years on Japan is still paying its bubble-era bills
http://www.economist.com/businessfinance/displayStory.cfm?story_id=15176489&source=hptextfeature
社説 「失われた20年」に終止符を打てるか(12/29)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091228AS1K2800628122009.html
日本国債市場の暴落に賭ける投資家たち
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_17946
「日本の10年」回避を、米NYタイムズ紙が社説で警告
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20100104AT2M0400L04012010.html
「失われた10年、二の舞を避けよ」 米紙が積極策提言
http://www.asahi.com/business/update/0104/TKY201001040098.html
日本の「失われた10年」教訓に、米紙社説
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100104-OYT1T00400.htm?from=y10
<関連記事引用>
(ニュースがわからん!)国債、こんなに発行して大丈夫? 将来はどうかな
2009/12/27朝日新聞朝刊
コブク郎 来年度の政府予算案では、ずいぶん国の借金が増えるようだけど。
A 不況で税収が減る一方で、「子ども手当」などで歳出は増え、足りない分を国債に頼った。国債の新規発行額は44・3兆円で、歳入の国債への依存度は48%。ともに当初予算では過去最大だ。国債発行残高は1990年代から急増しており、2010年度末の残高は637兆円に達する見通しだ。主要国でも最悪の「借金体質」とされる。
コ 国債を発行できなくなる限界はあるのかな。
A 国債の残高が膨れあがると、きちんと返してくれるか不安になって買い手が減り、金利を高くしないと売れなくなる。高い金利で国内の資金をかき集めると、民間に資金が回らず、経済に悪影響が及ぶ。税収は減り、ますます国の財政は苦しくなる。そういう悪循環に陥る時が、限界だろうね。
コ 実際に例はあるの?
A アルゼンチンは01年、財政赤字と通貨危機で、政府の対外債務を返済できなくなった。新たな国債発行は難しくなり、緊縮財政が続いた。ギリシャでは最近、前政権が財政赤字をごまかしていたことがわかり、国債の格付けが下がった。国債の金利ははね上がり、財政赤字削減のため、政府は社会保障費の1割削減を打ち出した。
コ 日本は大丈夫かな。
A 実は、国債などの政府債務残高を国内総生産(GDP)比でみると、来年の見通しでギリシャは124%。日本の197%の方が大きい。でも、ギリシャの国債は7割を海外投資家が保有するのに対し、日本は約6%。米国やドイツと比べてもかなり低い。日本では国債のほとんどを国内の金融機関などが買っていて、いわば家の中で貸し借りしている状態だ。長期金利も今のところ1・3%程度の低い水準で安定している。
コ 今後も心配ないの?
A どうかな。預貯金など日本の個人金融資産は約1400兆円あるが、住宅ローンなどの負債を引くと約1千兆円。一方、地方自治体の財政も厳しく、国と地方の長期債務残高は10年度末で862兆円に上る見通しだ。高齢化で資産の取り崩しが進むと、国内で国債をまかなえるだけの金融資産が維持できるか。やがて買い手が足りなくなるかもしれないよ。(大平要)
膨らむ国債、縮む投資家(大機小機)
2009/12/10日本経済新聞朝刊
政府財政が大赤字である。この分では、遠からず、国債残高が国内総生産の2倍に達してしまう。危機的である。
一方、投資家の国債への拒絶反応は皆無に近い。この10年間、長期国債利回りは1%台という超低水準にある。11月、財政赤字を材料に国債利回りが少し跳ね上がったが、一時的だった。
他に妙味のある投資対象がなければ、国債への投資も理解できる。実際には、海外に投資すれば、国債よりもはるかに高い収益が得られてきた。リーマン・ショックやドル安を経た後も、この状態に大きな変化はない。
不思議の国、日本である。この不思議をうまく説明するには、投資家が完全に縮こまっているからだと考えるしかない。個人金融資産の一部は海外に向かっている。しかし、大部分は銀行預金に留まったままである。その銀行は預金を持て余し、国債への投資を選択している。
老齢化しつつある日本にとっての最大の武器は、1400兆円の個人金融資産である。その武器が、間接的に財政赤字を支えている。本来の使用先であるべき内外企業の設備投資に振り向けられていない。これでは、生産活動を増大させ、活力ある経済を創造することは不可能である。
個人金融資産の多くが銀行に流れるのは過去からの傾向である。また、個人の立場からすると、年金や医療などの老後の不安を抱えているため、リスクをとれない。こう考えると、資産が有効活用されていないからといって、個人を責めるわけにはいかない。
問題なのは、銀行に集まった資金がリスク資産に投資されない事実である。リスク資産どころか、銀行よりも信用力の高い国債を大量に買っている。これでは銀行としての役割の放棄である。そうだから、リスクに縮み上がっていると思えてしまう。
さらには、証券業界も非力である。いまだに、銀行預金への資金の流れを変えられないでいる。
企業の発展に力を貸せる銀行、魅力ある投資商品を個人に提供できる証券業界は夢物語でしかないのだろうか。もしもこの夢が実現すれば、国債金利の居所が一変し、政府も本気で財政赤字削減に取り組むだろう。
現実はといえば、まだまだ安心して国債に投資できるのだろう。一方で、日本に活気が戻るのは、依然として遠い先の話である。(癸亥)
日本国債いつ火を噴くか――成長と財政の未来図がカギ(核心)
2009/12/21日本経済新聞朝刊
論説委員長 平田育夫
「大蔵省はオオカミ少年だ」という声は30年ほど前からあった。
やがて財政は破綻し金利が上がる。そう官僚たちが言い続けても危機は来なかった。人々は安心し警告に耳を貸さなくなった。
この安心感が危機を引き寄せたのだろうか。ここへきて経済の専門家は先行きを本気で心配し、国債市場も反応し始めた。鳩山政権下の財政規律は読めないし、経済成長率や貯蓄率の低下、人口減など環境はすべて悪い方向に転じた。
いまや問題は、どのくらい凶暴なオオカミがいつ、やってくるかである。
財政赤字の拡大から国債が格下げされたギリシャや格下げ懸念のあるスペインで最近、外国資本が国債から逃げだし、長期金利の上昇を招いている。
日本は外貨建ての国債を出していないし、国債の93%は国内の金融機関や個人が持つ。だから両国のようにはならない、というのが常識的な見方だ。その日本も国際的な投機と無縁ではないことを物語る動きがこの秋にあった。
「新政権はバラマキ」との見方から10月、国債利回りが上がり始めると、それに乗じて外国人投資家が長期国債先物を売り、金利上昇に拍車をかけたのだ。
「海外のヘッジファンドは日本を“新衰退国”とみて、先物売りなど国債を持たなくてもできる方法で利益をあげる機会をうかがっている」と国際金融コンサルタントの草野豊己氏。今は中東の信用不安などから日本国債に資金が戻っているが、気になる動きだ。
日本が衰退国かどうかはともかく、国内だけで国債を消化できなくなる日が近づいているのは事実。
個人の金融資産は、個人負債を除き1065兆円。一方、国と地方の長期債務残高は825兆円で今後も増える。2010年代中には個人資産を全部充てても公債を買い切れなくなる。 また家計貯蓄率は1990年代末まで10%を超えていたが、07年には2・2%にまで下がった。貯金を取り崩し生活費に充てる高齢者の割合が増えたからだ。
金融市場は変化を先取りする。後藤康雄三菱総合研究所主席研究員は「国債金利は早ければ11年度に上がり始める」とみている。
その金利上昇を抑える直接の手だては国債を外国人投資家に売るか、日本銀行による購入を増やすかだ。 格付け会社ムーディーズで日本国債担当のT・バーン氏は「外国投資家はリスクを取ることにどん欲であるなど日本と異なるので、その保有比率があまりにも急激に高まると日本にとって不安定性が増す恐れがある」と警告する。
日銀の国債買い入れ拡大ももろ刃の剣。これまでの買い入れ拡大は金利上昇を抑えるのに役立ったという見方もある。だが、やり過ぎれば制御不能のインフレや金利上昇を招く。
戦前、高橋是清蔵相は日本銀行による国債引き受けを開始。これが戦時中、戦費調達に利用されてマネーが世にあふれ、卸売物価は1944年からの6年間で124倍に高騰した。
日銀による国債購入の金額しだいでは再びインフレも起こりうる。デフレのご時世に結構なことと思いがちだが、物価は上がり始めると管理しにくい。また日銀の本格出動で「財政膨張に歯止めがきかなくなる」と市場が判断すれば、国債金利は高騰するだろう。
いま年1・2%台の10年物国債利回りが米国と同じ3・6%になるとしよう。国の利払い費は新規国債を出さなくても7―8年後には約12兆円膨らむ。今年度の消費税収9・4兆円を上回る額で、財政をさらに悪化させ後世代の負担を増やす。金利の上昇は設備投資を冷やすなど経済への打撃も大きなものになる。
米国の連邦準備理事会(FRB)は金融危機対策として国債買い入れを決めたが、10月で打ち切った。
やはり財政危機を回避するための本道は財政の健全化と、経済成長を促す政策を進めることである。
「財政健全化の計画とセットでなら、日銀による国債購入の増額もやむをえない」と土居丈朗慶大教授は早めの健全化計画を促す。
当面の不況対策として財政を活用するのは仕方がないとしても、中長期的な対応で政府の動きは鈍い。財政健全化計画は「来年前半」に先送りした。成長戦略も福祉充実などによる内需振興が大きな柱になる見通しだ。こうした姿勢に市場がどう反応するか……。
スウェーデンでは90年にバブルが崩壊し、福祉政策に加え金融機関救済で財政が悪化した。同国最大の保険会社スカンディアは「政治家が財政赤字の削減に取り組むまで国債を買わない」と宣言。長期金利の高騰に見舞われ、政府は財政改革に真剣に取り組んだ。
スカンディアの国債不買などのおかげで、かろうじて破綻を回避したわけだ。 日本はどうか。独断で将来を予想してみたい。
財政再建は進まず歳出の半分程度を国債に頼り続ける。日銀は大幅な国債購入に乗り出す。インフレ懸念や財政悪化懸念が高まり、長期金利も急騰する。その惨劇の幕が上がるのはズバリ来年。財政運営への不信感がきっかけになる――。 財政赤字を減らせないなら、インフレという、形を変えた増税によって政府の債務を実質的に減らすしかない。それは世界の歴史が教えるところである。
怠慢株式会社は第3の「失われた10年」に突入か(WSJ) ― 2010/01/04 18:40
ありゃま。私の「失われた30年」説がウォール・ストリート・ジャーナルに受けたようですw
<関連記事引用>
Inaction Inc.: Japan Risks a 3rd Lost Decade
http://online.wsj.com/article/SB20001424052748704789404574636170513143300.html
"We regret to inform you that nothing has been decided."
This pretty much sums up Japan's story over the past two decades. Policy makers and corporate leaders have muddled through without conflict, innovation or having to take responsibility for tough decisions.
The results speak for themselves. Japan marked the 20th anniversary of its asset bubble last week, with the Nikkei Stock Average of 225 companies ending 2009 at one-quarter of where it stood on Dec. 29, 1989. Nominal gross domestic product in yen terms is around the level it was shortly after the bubble popped.
The indecision continues. Japan's new administration ended the year by unveiling a plan to raise nominal annual gross-domestic-product growth to an average of 3%-plus over the next 10 years. A detailed road map won't be available until June.
But hitting this and other targets—which include the creation of new demand in the environmental, health and tourism sectors worth $1.1 trillion—will be tough.
Critically, the government's presumed rate of inflation of 1% is difficult to picture. Deflation is expected to continue for several years and Japan still has no plan to overcome it.
How policies will be funded is another question. Already, a government that pledged to make highways free and slash gasoline taxes without having to increase borrowing is backtracking.
On the corporate side, for every successful firm like Honda Motor, there are dozens of companies lulled into complacency by a huge domestic market and silent shareholders.
Some firms, such as Hitachi and its roughly 700 subsidiaries, have too many marginal or money-losing businesses. Others hang on to clearly noncore assets. Instant-ramen maker Nissin Foods owns a golf course.
This isn't to say Japan can't overcome its challenges.
It has done so in the past, rebuilding after World War II and becoming the world's most energy-efficient nation after the 1970s oil shocks. The country has a high-quality work force, leading technology and good basic education and infrastructure.
Japan Inc. still makes things other countries want—in a way rivals still can't. And Japan ranks ahead of the U.S., the U.K., Germany and Italy on measures such as longevity and availability of health care and education, the United Nations says.
But continuing inaction threatens to erode everything. Japan, which looks set to cede its position as the world's second-largest economy to China, simply needs higher growth.
Not least, it needs to fund the burgeoning pension and health-care costs of a rapidly increasing retiree population, with the earnings of a rapidly shrinking work force. Concern about the pension program's viability is a major drag on consumption, too.
Even here, Japan's lawmakers have failed to act.
Benefits need to be cut or burdens on the population, such as sales taxes, need to rise to pay for the ballooning costs. Investment returns also need to increase. Yet already, the new government has delayed a final decision on this to 2013.
A new decade should herald a fresh start, but the more likely outcome may be more of the same: a Japan unable to take radical action.
—James Simms
Printed in The Wall Street Journal, page C8
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