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田母神集団とオトナの常識2008/11/27 01:37

[月刊ウイル]とオトナの常識


私は911から約1ヶ月後のコラム『ニュー・グレート・ゲーム』で、
「イラクもついでにやっちゃえ」説を取り上げました。

当時の日本の新聞にはイラクの名前すら出ていなかった。
「ついでにイラク戦争とはどういうことだ」との奇妙な抗議メールさえ届きました。

以後、ネオコンやキリスト教原理主義も真っ先に取り上げました。
イラクが悪者に仕立て上げられていく過程をリアルタイムでコラムにしました。

そして、開戦。

イラクの無条件査察拒否には問題があったとは思いますが、
大量破壊兵器は結局見つからなかった。
イラク戦争の正当性が根底から揺らぐ結果となります。

最も印象に残っていることは、
米国人の半数はフセインが911に直接関与したと思い込んでいたこと。
むしろ、情報操作によって信じ込まされていた。

そして、今でも米国には信じ込んだままの人が多数いるはず。
おそらく日本人の中にもいる。

民主化を強要する米国。
その米国民主主義の「重大な欠陥」をここに見出しました。

拙著『最新・アメリカの政治地図』は、
この問題を日本で唯一取り上げた本だと思います。

それでは、私がどんな風にイラクを見ていたのかをお教えしましょう。

実はイラクと戦前の日本とを重ね合わせていたのです。
よって、イラクへの強い同情も感じていました。

それでも日本は米国に追従せざるを得ないことも理解していました。
そのことにせつなさを感じていました。

所詮戦争なんてこんなもの。
いざ戦争ともなれば、策略、謀略、そして「ねつ造」などは当たり前。
むしろ嵌められる方が悪い。
負けたら、何もいえない。
だから、負けたら、アカンのです。
負けそうな戦争をやっちゃーイカンのです。
いいたいことがあるのなら、再度戦い、勝ってからにしなさいということ。

こうした私の考えをイラク戦争は裏付けてくれました。

目の前で起こっている事象を見ながら、学ばなければいけない。
学んだことを吸収して、将来に活かさないといけない。
それがオトナというもの。

さて、「オトナの常識」を自負する[月刊ウイル]が、
最新号で「田母神論文、どこが悪い!」特集を掲載しています。
そのホームページには田母神俊雄氏講演会の告知もあります。

田母神論文便乗という面では確かにオトナなのでしょう。

しかし、特集記事の執筆者の中にはイラク戦争を支持した人もいる。
濡れ衣を着せられてしまったイラクに同情さえ感じなかった人が、
「ルーズベルトが仕掛けた罠にはまり真珠湾攻撃を決行した」と嘆いている。

その内容を読んでみても、やはり素朴。やはり無邪気。
学んでいない。吸収できていない。
日本の将来に活かそうとしていない。

残念ながら、私にはオトナには見えないのです。

また、朝日や毎日にも言いたいことがあります。
「あなたたちはイラク戦争のどこを見ていたの?」

今、ある人から田母神論文をテーマにした園卓会議(!)を開催して欲しいとの要望が来ています。

数十名集まれば開催の意味もあると考えているのですが、
参加いただける方っているのでしょうか?
(会場費は参加者みんなで割り勘ねw)


<画像引用>
オトナの常識[月刊ウイル]
http://web-will.jp/

<関連記事>
田母神俊雄更迭をあざ笑う英国諜報機関
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/11/02/3868917
「不和の林檎を置いて去る」 By 猿田彦さん
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/11/04/3876261

コメント

_ 日比野 ― 2008/11/27 02:12

園田様、こんばんは。日比野です。先日はお世話になりました。

>実はイラクと戦前の日本とを重ね合わせていたのです。 よって、イラクへの強い同情も感じていました。

ああ。園田さんもそう思っていらしたのですね。私も全く同じことを感じていました。

私は、ブッシュの演説を聞きながら、「あぁ、戦前の日本もこうして悪者にされていったのだな。怖いものだな。」と思っていたのです。

あることないことをあげつらい、悪者と決め付け、周辺国を取り込み、逃げ場を無くしていくやり方。

戦争はそういうものです。敵国を悪魔の手先くらいだと思いこむことなしに戦争などできるものではありません。そう思います。

_ Y-SONODA ― 2008/11/27 09:11

日比野さんへ

先日は夜遅くまでお付き合いいただいてありがとうございました。

日比野さんも私と同じようにイラク戦争を見ていたんですね。

私は日本人の大半は同じ見方だろうと普通に思っていたのです。
それで最近気になって周囲に聞いてみたのですが、
あらためて自分が5%級の変人であることに気付かされました。
ということは、日比野さんも変人仲間だ!

園遊会主催の園卓会議を開催することになったら、
日比野さんもパネリスト決定ね!
その時はよろしくお願いします。

_ 小林 ― 2008/11/30 20:12

こんばんは。先々週の赤坂での講演会時はお世話になりました。
はじめてコメントさせて頂きます。

ご存知かとは思いますが、田母神さんは、「航空自衛隊を元気にする提言」というコラムを約30本ほど書いておられます。この中には、例の論文と同じような内容もありますが、隊務運営に関する、現実的方策も書かれています。
数年前、私とは、特に接点のない田母神さんの「提言」を読む機会があり、素晴らしい指揮官だなと思ったことも付言しておきます。

今回の事件については、確かに園田さんの仰るとおり、オトナではないという認識を、私も問題発生当初から持っていました。
残念だとは思いつつ。

ともあれ、私の周りには、歴史認識を含め、もう少し現実的にものを考えるオトナがたくさんいると思いますので、ご安心ください。

田母神さんのように、「産経新聞を読みんなさい」「正論を読みなさい」といった教育的指導をする先輩がいることも事実ですが。

円卓会議は興味深いですね。
勿論、参加はできませんが、内容は是非、知りたいものです。

_ Y-SONODA ― 2008/12/01 01:53

小林さんへ

先日はこちらこそどうもありがとうございました。

それにしても、今とっても気になることがあります。
実際、自虐史観の人って日本にどれぐらいいるのでしょうか。

世代によって大いに違ってくると思うのです。
特に若い世代はクールに見ているのではないかと。
(クール=「戦争だからいろいろあるはず。あの戦争も日本だけが悪いというわけじゃない」)

こうなったら大々的に世論調査を行って欲しいものですね。
世論調査のデータがないので、
左右で思い込みだけが勝手に一人歩きし、
空回りしているような気がします。

タモタモとタモタモ応援団の問題意識も
同世代の左派を対象にしているだけかもしれません。

そのため、素朴とか無邪気とかって言われてしまう(笑)

タモタモも実際に会って話を聞くときっといい人なのでしょう。
タモタモ含め小林さんの周りにいる現実的なオトナに期待しております。

世界平和のためにも“後ろを向いてニヤッと”戦略の仲間をこっそり増やさなきゃ(笑)

_ 猿田彦 ― 2008/12/21 03:34

F-15は小松基地を飛び立ったら10分で国会議事堂まで来てしまうそうだ。
たった一人の跳ねっ返りが、一瞬にして大事を起こす可能性もある。

72年前の2月と比べ、現代の兵器はスピードも威力も恐ろしく異なっている。
だからこそ兵器を預かる自衛隊員には「大人」であって欲しい。
一億二千万の行く末を再び悲劇に導いてはならない。

この騒動の中、「軍」が静かでいることは何よりも重い。

我が畏友のブログ「まほろばの泉」にある下記2稿は是非読んでもらいたい。

「あの時の企て」  みな懸命に闘い苦悩した
http://blog.goo.ne.jp/greendoor-t/e/6756e96639242135aad8022264f9e60b
自衛官 田母神氏に観る歴史観と人物
http://blog.goo.ne.jp/greendoor-t/e/d970d0069a05fde690fd53e304ebdc7c

_ Y-SONODA ― 2008/12/21 08:01

猿田彦さんへ

「悲しみの田母神論争」に参加する前に、
この2本の論文を読んできて欲しいということですね。

「あの時の企て」  みな懸命に闘い苦悩した
http://blog.goo.ne.jp/greendoor-t/e/6756e96639242135aad8022264f9e60b
自衛官 田母神氏に観る歴史観と人物
http://blog.goo.ne.jp/greendoor-t/e/d970d0069a05fde690fd53e304ebdc7c

あのー。それと猿田彦さん!
イラク絡みの身内世論調査の方も何卒お願いします。
普通の人対象ですからね。
驚くべき結果がでてくると思います。

_ さるたひこ ― 2008/12/22 23:18

園田さんのご要請に基づいて世論調査を行いました。
幅広い分野の方々が集まる忘年会が今夜ありましたので、その場で挙手をしていただきました。
残念ながら期待値とはやや異なる結果でしたがそのまま報告致します。
総数53名(うち女性15名)、年齢層はやや高くたぶん平均年齢は50歳代後半と思われます。

<質問内容>
あなたはイラクが2001年9月11日の米同時多発テロに直接関与していたと思いますか?

<回答>
YES 22人
NO  31人

_ ST ― 2009/01/08 03:57

横から失礼。
イラクは大して悪い事はしてませんから、
アジアを荒らした大日本帝国の件と一緒にするのは無理があるのでは。

_ 伊藤 ― 2009/01/08 07:32

阿修羅のリンクから来ました。
イラク戦争観について、太平洋戦争に突入していった日本と重ねあわせていたというのは私も一緒です。
ただ、帝国主義国家同士の植民地再分配(第一次大戦後)の世界に良しとしなかった後発帝国主義国家が分け前をもっとよこせというのが客観的に見た第二次大戦だと思っているので、国力を考えれば日本の領土拡大は物理的に無理があり、自衛戦争とはいえないのではないかと思っています。
無謀という言葉があたっていると思われます。
イラク戦争というのか、経過を考えれば最初から攻撃ありきのアメリカの過度な要求を受け入れたイラクは、その時点でないものの証明を自分たちが証明することはない、疑義をかけたものが証明せよという刑事裁判の常道を国際社会に問おうという気がまえがありました。
長いものには巻かれろといいますが、イラク戦争につっこんでいったアメリカを世界は止められませんでしたが、大儀の失せた戦いにかつての国家総動員戦争の(盗人にも三分の利)の諺も重なるはずもなく、アメリカはイラクで泥沼に嵌まり込みました。
つまり、国力も考慮せず悪戯に領土を広げ疲弊していった日本と同じように。
私はこう見ているのですが。

_ Y-SONODA ― 2009/01/08 09:15

★STさんへ

あくまでも「悪者に仕立て上げられていく過程」に限定した上での日本とイラクの対比です。
この点をご理解ください。

STさんももう少しいろんな角度から歴史なり世界を見ることが必要ではないでしょうか。
決してフセインが何も悪いことをしていなかったとは言えませんし、
日本についても自衛の戦争だったと見ている人もいます。
結局何が本当なのかわからない。

★伊藤さんへ

「日米戦争は油で始まり油で終つた様なものである」 (『昭和天皇独白録』文春文庫、P64)

あの戦争とは結局この言葉に象徴されると思うのです。
領土拡大にかなりの無茶があったことは事実、しかも国内は失政続き。

自業自得という面は確かにあるのですが、
開戦に追い込まれていった日本の立場も
“切ない思い”で理解したいと思うのです。

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