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「勝てぬなら ぶつけてやろう パンダさん」 アキノに学ぶ南シナ海の泳ぎ方2011/09/18 09:24

「勝てぬなら ぶつけてやろう パンダさん」 アキノに学ぶ南シナ海の泳ぎ方


日本訪問を控えるフィリピンのアキノ大統領の発言がとにかくおもしろい。

経済協力を餌にフィリピンを黙らせようとする中国。この中国をうまく利用しながら、「領土問題は(経済問題とは)別」との認識を示すアキノ大統領。中国と対立する南シナ海の領有権問題について、引き続き権利を主張していく考えを強調。

「中国とボクシングをすれば負ける。我々は大国(中国)に勝ち目はない」と語るアキノ大統領。ではどうするか。大国には大国をぶつけるしかない。そのために「日本や米国、ロシアなどと連携を探る」と言明。日経が指摘しているように東シナ海の権益で対立をはらむ日本と、中国の海洋進出を警戒する米ロの3カ国を後ろ盾として中国に対峙しようという戦略。

ロシアは漁夫の利を狙って米中の狭間を器用に泳ぎ回ることが目に見えている。よって、頼りになるのはやはり米国。米国のこの地域の関与を維持するために「日本はしっかりしなさいよ」と。

そこで飛び出したのが「日本が輸入する石油の多くは、南シナ海を通り、航行の自由は日本にも重要だ」発言。

中東からインド洋、 マラッカ海峡を経て、南シナ海を通る日本のシーレーン。脱原発でますますその重要性は高まる。このため南シナ海問題は日本にとっても他人事ではない。米国を伴って関与を強めて欲しいと迫るフィリピン。

このシーレーン周辺の国々が恐れている事態がある。それはこの地域からの米軍の撤退。

そもそも米国はこのシーレーンに依存していない。依存しているのは、日本、韓国、それに中国。米国は世界の警察官として見張ってきただけ。

この先、米国の財政問題が深刻化すれば、「もうこの地域からも出ていきます」と言いかねない。南シナ海に嵐を呼び込むために一時的に撤退するというシナリオもおそらく存在。

その一方で中国の軍事力増強に伴う海洋進出。その中国が米国に代わって世界の警察官を目指すとは思えない。その巨体を支えるために資源ガブ飲み。そうなると当然困るのは日本と韓国。

日本に必要なのはオーストラリア目線。日米豪関係を強化しながら、マラッカ海峡と南シナ海を見守るように遠方沖合から中国と対峙。これぞまさにオフショア・バランシング。

当面はやる気満々のベトナムとインドの応援団に徹した方がいいだろう。


<関連記事引用>

▼比大統領「日米ロと連携」 南シナ海問題
2011/9/17 1:27
http://s.nikkei.com/pZSN4Q

 【マニラ=遠西俊洋】25~28日の日本訪問を控えるフィリピンのアキノ大統領は16日、大統領府で日本経済新聞など日本メディアと記者会見した。中国などと領有権を争う南シナ海問題について「日本や米国、ロシアなどと連携を探る」と言明。ベトナムなど東南アジアの関係国に日米ロを加えた枠組みで中国への圧力強化を探る構えを示した。日本との経済関係では、国内のインフラ整備事業への日本企業の参加を強く促した。

 南シナ海問題では「中国とボクシング(武力紛争)をすれば負ける。2国間解決ではなく、多国間の法的枠組みが必要だ」と指摘した。11月の東アジア首脳会議(サミット)には、東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓など16カ国に米ロが新たに加わる。アキノ氏の発言はこれを意識し、中国との間で東シナ海の権益で対立をはらむ日本と、中国の海洋進出を警戒する米ロの3カ国を後ろ盾として中国に対峙しようという戦略を示唆したものだ。

 7月のASEAN地域フォーラム(ARF)では、比越両国が中国の挑発を抑える法的枠組みを提唱しながら「2国間解決」を主張する中国を崩せずに終わった。アキノ氏は8月下旬に自ら中国を訪問するなど一時的に対立激化を避けようとする動きも見せたが、記者会見では南シナ海を巡る考え方は「何も変わっていない」と強調。東アジアサミットでの巻き返しにかける姿勢もにじませた。

 経済分野では、比国内のインフラ整備の重要性を強調。アキノ政権はマニラ首都圏の接続道路事業など官民パートナーシップ(PPP)方式による優先10事業を経済政策の目玉に据えている。これらの事業について「日本企業の参加が欠かせない」と語った。ただ、日本企業からの投資取り付け目標額については明言を避けた。

 日比経済連携協定(EPA)に基づく日本のフィリピン人看護師受け入れにも言及。2008年発効のEPAが今年、見直しの年であることを踏まえ「受け入れ条件を緩和すべきだ」と一層の開放を促した。具体的な緩和策は「現在検討中」とするにとどめたが(1)比の看護師資格を日本でも認める(2)英語での受験制度を導入する(3)日本語での試験で辞書持ち込みを許可する――などを念頭に置いているもようだ。

 08年以降、日本の看護師国家試験のフィリピン人合格者はわずか2人にとどまっている。アキノ氏は野田佳彦首相との首脳会談などで、看護師とともにEPAの対象職種となっている介護福祉士(未受験)の受け入れ条件の緩和も求めたい考えだ。

 アキノ氏の今回の訪日には180人の経済界関係者が同行。東日本大震災の被災地、宮城県石巻市を訪れる予定で、医療チームの追加派遣にも言及する見通しだ。


▼アキノ・フィリピン大統領:南シナ海問題で「日本の役割に期待」
http://mainichi.jp/select/world/news/20110917ddm007030171000c.html

 【マニラ矢野純一】25日から4日間の日程で訪日するフィリピンのアキノ大統領が16日、毎日新聞などと会見した。中国と領有権を争う南シナ海の問題について「我々は大国(中国)に勝ち目はない」と語る一方、「日本の役割に期待する」との期待感を表明した。

 アキノ氏は「日本が輸入する石油の多くは、南シナ海を通り、航行の自由は日本にも重要だ」とし、「日本は関係国として国際法にのっとった解決に協力してほしい」と求めた。

 先月下旬の訪中で、130億ドルの新たな直接投資を取り付けるなど経済関係を強化したことについては、「領土問題は(経済問題とは)別」との認識を示し、「フィリピンの主張は変わっていない」とも話した。

 4日間の訪日では、宮城県石巻市を訪問。フィリピン人被災者とも対話するという。

毎日新聞 2011年9月17日 東京朝刊


▼南シナ海問題で「立場不変」=権利主張続ける-比大統領
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2011091600929

 【マニラ時事】フィリピンのアキノ大統領は16日、マニラの大統領府で日本メディアと会見し、中国と対立する南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島の領有権問題について「われわれの立場は変わっていない」と述べ、引き続き権利を主張していく考えを強調した。

 アキノ大統領は8月末に訪中し、胡錦濤国家主席と首脳会談。両国は貿易総額を2016年までに600億ドル(約4兆6000億円)に拡大することなどで合意したため、経済協力と引き換えにフィリピンが領有権問題に関し、主張を弱めるとの見方もあった。

 大統領は7月の施政方針演説で、この問題では国際海洋法裁判所への付託も含めて自国の権利を主張すると表明しているが、16日の会見でも「施政方針の時と同じ立場だ」と強調した。 

 ただ、裁判所への付託に関しては「あり得るステップの一つだが、付託は双方が同意しなければならないので、現在外務省が同時に他の解決法も調査している」と語った。

 アキノ大統領は25~28日の訪日を前に会見に応じた。滞在中は野田佳彦首相との首脳会談のほか、東日本大震災の被災地である宮城県石巻市を訪問する。大統領は「被災地には日本人と結婚したフィリピン人がおり、彼らを訪問したい」と語った。(2011/09/16-21:26)



▼印・ベトナム、南シナ海で資源開発 中国反発強める
2011/9/17 23:29 (2011/9/18 1:26更新)
http://s.nikkei.com/qxgiU6

 【北京=森安健】南シナ海で勢力を拡大する中国と各国の対立が一段と激しくなってきた。インドがベトナムと南シナ海で天然ガス・油田の共同開発を推進することが明らかになり、中国が強く反発している。中国と南沙諸島などの領有権問題を抱えるベトナムは米国、ロシアにも接近し、中国をけん制してきた。インドがこれに加わったことで、大国の駆け引きが激化しそうだ。

 インド紙が15日にインド国営石油天然ガス公社(ONGC)とベトナム国営ペトロベトナム(PVN)がベトナム沖の「127」「128」両鉱区の探査・開発を推進すると報じた。両国は2006年に鉱区の開発の契約を結んだが、中国が「自国の権益」として反発してきた経緯がある。

 南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する中国はこの報道に激しく反発。中国外務省の姜瑜副報道局長は15日の記者会見で「中国はいかなる国でも中国管轄の海域で原油、ガス探査を進めることに反対する」と語気を強めた。一方、インド外務省報道官は15日、「ベトナムを含む各国とのインドの協力は国際法に基づいている」と応酬した。

 インドのクリシュナ外相はベトナムを訪問し、16日にミン外相と会談した。インドからの報道によれば、両外相は安全保障、通商、経済面で2国間協力を推進する共同宣言を発表した。鉱区開発についても協議したとみられる。

 中国の反発は収まらない。人民日報系の「環球時報」は17日付1面トップで「インドがかたくなに南シナ海での探査へ」と報道。同紙は前日の社説でも「インド側が説得に応じずに開発を続けるなら、外交及び外交以外の手段で目覚めさせなければ」と主張していた。

 インドがベトナムとの連携を強調する背景には、資源を確保すると同時にインド洋進出を加速する中国をけん制する意図があるとみられる。中国はミャンマー、バングラデシュ、スリランカ、パキスタンの港湾整備支援など、インドを封じ込めるような「真珠の首飾り」戦略を進め、インドは強く警戒している。

 インドとベトナムは安全保障面での協力も強化。7月にはインド海軍がベトナムに寄港、インド側はベトナム海軍の支援にも乗り出している。ベトナムは米ロとの関係強化にも動いており、南シナ海に大国を関与させることで中国の影響力を均衡させる狙いがあるとみられる。


▼印越、南シナ海資源開発で合意=「関係損なう」と中国猛反発
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&k=2011091700138

 【ニューデリー時事】インドの複数のメディアによると、クリシュナ外相は16日、ベトナムの首都ハノイでファム・ビン・ミン外相と会談し、南シナ海でのインド国営企業による油田・ガス開発で合意した。領有権争いがある南シナ海への中国の影響力排除が狙いとみられ、同国は「インドの挑戦的姿勢は対中関係を損なう危険性がある」(国営新華社通信)と激しく反発している。

 インド外務省は同日の声明で「政治や国防、貿易分野に加えて、石油・ガス開発を含むエネルギー分野でも2国間関係を発展させることで合意した」と表明。具体的な場所は明示していないが、エネルギー開発は南シナ海を念頭に置いたものとみられる。(2011/09/17-11:47)


▼日豪安保委、11月で再調整 日本側申し入れ
2011/9/17 23:48
http://s.nikkei.com/oTM8IO

 日豪両政府は豪州で今月中旬に予定していた外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)を延期し、11月にも開催する方向で再調整に入った。菅直人内閣の退陣を受け、日本側が日程の変更を申し入れた。両政府は中国の動きなどをにらみ安全保障面で結びつきを強めている。新たな共通戦略目標には自然災害への対処方針も盛り込む方向だ。

 日豪2プラス2は2007年に初めて開き、次回会合が4回目となる。北朝鮮の核・ミサイル開発や、中国の軍事力増強に伴う海洋進出、ロシア海軍による日本周辺の海での活発な動きなど、近年の日本周辺の安全保障環境は厳しさを増している。日豪2プラス2では米国を含めた日米豪3カ国の連携強化についても協議する見通しだ。

 政府は先の通常国会で、自衛隊と豪州軍による燃料や食料などの相互提供を定めた物品役務相互提供協定(ACSA)の条約を承認した。だが、実際に発効させるために必要な自衛隊法改正案は通常国会会期中には成立せず、継続審議となった。10月以降に再び開く臨時国会で同法改正案を成立させ、日豪2プラス2に臨みたい考えだ。


<関連記事>

各国のチョークポイント依存度の推移 (エネルギー白書2010より)
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/09/06/6089940


カネの切れ目が縁の切れ目
番犬の米本土還りたい病を見越して、日米豪関係強化に動け
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/09/15/6103643


日米豪同盟でタナボタ・ジャパン、エネ安保にも寄与で脱原発も見えてくる?
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/09/17/6105252


<画像引用>

中国脅威論
中国の輸入原油の80%がマラッカ海峡経由である(2004年限在)。
China’s Critical Sea Lines of Communication
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E5%9B%BD%E8%84%85%E5%A8%81%E8%AB%96
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:China%E2%80%99s_Critical_Sea_Lines_of_Communication.png