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「タンポポ・ジャパン」で「ゆでガエル・ジャパン」、悪い金利上昇はいずれ起きる2011/06/23 00:38

「タンポポ・ジャパン」で「ゆでガエル・ジャパン」、悪い金利上昇はいずれ起きる


JPモルガン・チェース・債券為替調査部長・佐々木融氏は「海外ではギリシャの次は日本という見方が根強い。とくに震災後、財政支出増加によりそうした見方を強めている」としながらも「日本の国債市場は国内で支えている。債券が売られたところで買うのは日本人であり、まだ十分に家計や企業が支えられる」との見方を示したとのこと。

ここで注目すべきは家計だけではなく企業にも言及していること。国債を買い支える原資として個人金融資産のみに言及するのは間違い。実際には企業の金も金融機関を通じて国債に流れている。よって、まだ十分に支えられるとの指摘は正しい。

しかし、「タンポポ・ジャパン」は産業空洞化のみを想定しているわけではない。国債を買い支えてきた人も金も逃げ出すと予測。みずほ証券チーフマーケットエコノミスト・上野泰也氏が言うように「人や金が逃げ、キャピタルフライトに近い状況が起きる」とどうなるのか。当然、長期金利のリスクプレミアムは拡大。

もはやそれが避けられないと見えてくるのが2012年。その時が迫っている。


<関連記事引用>

ロイターサミット:日本経済の立て直し、電力改革など急務=パネル討論
2011年 06月 22日 19:59 JST
http://jp.reuters.com/article/jp_quake/idJPJAPAN-21836220110622?sp=true

[東京 22日 ロイター] 東日本大震災で打撃を受けた日本経済の中長期的な地盤沈下を避けるには、電力政策の抜本的見直しや国力回復に向けた外国人の誘致など広範囲の構造改革が必要―。「ロイター日本再生サミット」3日目の22日に行われたパネルディスカッションで、主要エコノミストからこうした提言が相次いだ。

 短期的にみれば、日本経済は予想以上に回復しているが、中長期的には潜在成長率の低下や税収減、デフレなど構造問題が深刻化。一方で、財政悪化が進み、今後5-10年で長期金利のリスクプレミアム拡大は避けられないとの悲観的な見方が目立った。 

 パネルディスカッションに参加したのは、みずほ証券チーフマーケットエコノミスト・上野泰也氏、大和総研チーフエコノミスト・熊谷亮丸氏、JPモルガン・チェース・債券為替調査部長・佐々木融氏の4名。 

  <夏場には震災前の生産水準回復も、中長期には悲観材料>   

 震災による経済の大きな落ち込みからの回復について、各パネリストとも「サプライチェーン回復とともに6、7月ごろには生産水準が震災前に戻る」(上野氏)との見通しでほぼ一致した。潜在成長率については「いったん震災後に1%程度失われたが、サプライチェーン回復後は元の水準よりやや下がる程度に戻るとみている」(馬場氏)との見方のほか、「日本経済は年後半はそこそこ良くなるだろう。特に今の状況は、過剰流動性が相当あり、金利が低すぎるほどだ」(佐々木氏)との指摘も出た。  

 しかし、3─5年先を考えると、国内空洞化が進み、潜在成長率の低下と需要の低下という縮小均衡に陥る可能性があり、中長期的な日本経済の見通しは必ずしも明るくない。悲観的にならざるを得ない理由は、震災後の政治の迷走に象徴されるように、「この国の慢性的なデフレが解消に向かう兆しが見えてこない」(上野氏)ため。「全国的な電力供給懸念の高まりが製造業の海外進出を加速させる」(馬場氏)との懸念もある。 

 金融面をみても、低成長、低金利による資金余剰が長く続き、経常黒字をもたらし、円高を招き、さらにデフレにつながる、という悪循環が続きそうだ。資金需要が低迷すれば、金融機関が債券を買わざるを得ず、金利は下がる。その低金利に甘えて、政府が国債を増発する。「(知らないうちに水が熱湯になって死んでゆく)ゆでガエルのように、財政を一段と悪化させていく」(熊谷氏)という局面も否定できない。

  <処方箋は電力政策と人口政策>

 日本経済の悲観シナリオにどう対処するか。パネルでは、震災復興ロードマップに加えて、構造問題を念頭においた大胆な政策が必要との意見が出た。  

 震災復興計画が優先すべき点として、被災地を復興する街づくりのビジョンを早急に打ち出すとともに、3次補正をこれ以上遅らせるべきではない、との意見がでた。とりわけ、街づくりビジョンが確定しないと民間企業が自発的なプロジェクトを打ち出しにくくなり、全体的な復興の動きが滞りかねない。「新たな設備投資を出すタイミングが遅れる。再建をあきらめる動きが出てくる恐れもある」(馬場氏)との警告もあった。  

 また、東北地方の再生には特区を活用すべきだとの声も上がった。「5年間程度法人税をなくすとか、漁協の集約と漁業の効率を上げることがポイント。また自然エネルギーへのシフトも特区を活用して集中的にやるべき。コストが高いともいわれるがロードマップをきちんと作って実現すべき」(熊谷氏)との意見も出た。

 中長期的な経済の地盤沈下を回避する策として、パネリストが強調したのは、電力政策の改革と積極的な人口問題への取り組みだ。馬場氏は「電力政策として、国が統一方針を出す必要ある。キーワードはコストとベネフィットのトレードオフ」と指摘。原発を廃止すれば地震津波のリスク減らせるが、代替エネルギーの使用でコストが上がるほか、原発事業がもたらしてきた雇用などのベネフィットが失われる。電力供給懸念の高まりから、製造業の海外進出を加速させる懸念もある。 

 国民の多くが原発との共存に納得するならば、原発再開に向けたガイドラインとスケジュールをを早くつくるべきだというのが、馬場氏の提言だ。一方で、産業政策として、日本が世界的な競争力のある自動車や半導体に加え、省エネ、節電も重視した産業戦略を考え、その環境整備として法人税の引き下げなど、政府がイニシアチブとるべきだという。

 上野氏は人口問題への大胆な取り組みを求めた。日本の人口減少は、税収の伸び悩みや消費縮小を引き起こし、財政バランスの悪化やデフレ慢性化の主因とみなされている。上野氏は「人や金が逃げ、キャピタルフライトに近い状況が起きる」と指摘。フランスのように、子供の数が増えれば世帯の納税額が減っていく税制、託児施設の整備少子化対策の強化を提言した。さらに観光客の積極誘致、移民や長期滞在者の誘致を通じて、日本の国土に滞在している外国人の数を増やすことも含め、広範囲にわたる人口政策の強化を求めた。

  <長期金利のリスクプレミアム、5─10年以内に拡大へ>

 震災復興への財政支出も加わり、今後日本の財政は一段と悪化が予想される中、長期金利の見通しは、年度末にかけて1.4%程度まで上昇する見通しが示された。 日本の財政悪化に対する海外の見方が厳しくなれば、国債の格下げや長期金利の上昇懸念が生じてくるが、佐々木氏は「海外ではギリシャの次は日本という見方が根強い。とくに震災後、財政支出増加によりそうした見方を強めている」としながらも 「日本の国債市場は国内で支えている。債券が売られたところで買うのは日本人であり、まだ十分に家計や企業が支えられる」との見方を示した。同氏はまた、今後の為替見通しについて「ドル円は年末までに75円まで落ちるだろう。長期的にみて、米が利上げできるかどうか難しい局面にあり、ドルが史上最弱通貨になる」との見方を示した。  

 一方で、上野氏は「悪い金利上昇がいずれ起きるという見方は動かしがたい。法人マネーの資金余剰も、海外(投資)に移りつつある。国債償還を支える金はだんだんなくなってくるため、じわじわとリスクプレミアムの拡大は5─10年以内に起きるだろう」とみる。熊谷氏も「2015年から20年にかけて金利2%超えて3%の方向にむけて調整するという見方は他の皆さんもそれほど変わらないと思う」と述べた。

  ロイターサミットは、ロイター編集局が世界各地で行っている報道イベントで、時々のタイムリーなテーマについて各地のオピニオンリーダーを連続インタビューし、その内容を記事、写真、映像で世界各地に配信している。今回は6月20日から22日まで、日本だけでなく世界にとっても重要な東日本大震災からの復興策をテーマに「ロイター日本再生サミット」として開催している。

 (ロイターニュース 中川泉、久保信博 編集:北松克朗)


<画像引用>

茹で蛙(ゆでガエル)の話
http://www.geocities.jp/setoaaa/YUDEGAERU_NO_HANASHI.html