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菅直人と孫正義のソーラー・ポピュリズム、日本を奈落の底へと突き落とすグリーン・マフィアの「ソーラー作戦」2011/06/16 07:50






永田町の議員会館で受けた私の発言を紹介しよう。

「国益に直結するエネルギー政策。その根幹を支えるベース電源の議論をしなければならない時に、太陽光を持ち込むこと自体が信じられない。日本人のご飯をこれからどうするかという極めて重要な議論の場に、フリカケの話題を持ち込むようなものだ。」

自然エネルギーが原発の代わりになるというのは幻想。中でも太陽光などは論外。所詮フリカケ程度。それでも素人狙いの人気取りにはうってつけ。それはまさにソーラー・ポピュリズム。

ここぞとばかりにソーラー・ポピュリズムを大いに活用しているのが、菅直人首相とソフトバンクの孫正義社長。脱原発の教祖的存在を目指しているかのように二人はがっちり手を握る。

菅は日本で吹き荒れる脱原発に迎合し、人気者になりたいだけ。支持率を上げたいだけ。そのために浜岡原発停止に続くパフォーマンス目的で孫に接近。一方、孫は典型的なビジネス・リアリスト。補助金と全量買取制度を狙う商売人。二人まとめてグリーン・マフィアと呼ばせていただこう。

イタリアでは太陽光や風力などの補助金を狙ってグリーン・マフィアが暗躍。シシリーの風力発電に群がるグリーン・マフィアが「ウィンド作戦」なら、日本のグリーン・マフィアは「ソーラー作戦」決行中。それをうっとり見ている素朴な人たち。もはやこの国、末期的。

原発マフィアの時代からグリーン・マフィアの時代へ。それが国益につながるのなら熱烈歓迎。しかし、その行く手に見えているのは国難のみ。非力かつ不安定な太陽光に対する極端な優遇政策は間違いなく電力料金を引き上げ方向へ。電気料金が上がれば産業空洞化も加速。そのツケがすべての国民にのしかかることは確実。

そもそも何がおかしいのか。国益など真剣に考えたこともないような人物が二人続けて首相になったこと。鳩山前首相と菅首相の存在そのものが日本の不幸。この二人がもたらす災禍は日本を奈落の底へと突き落とす。

脱原発、大いに結構。本ブログも脱原発を強く支持。冷静かつ現実的な国益重視の脱原発を目指していきたい。


<関連記事引用>

「カンの顔を見たくないなら通せ」菅首相が挑発
2011.6.15 20:42
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110615/plc11061520430015-n1.htm

 「国会には『カンの顔だけは見たくない』という人が結構いる。そういう人たちには『本当に見たくないのなら、早くこの法案を通した方がいい』と言おうと思う」

 菅直人首相は15日夜、国会内で行われた再生可能エネルギー促進法の早期制定を求める集会に飛び入りで参加すると、早期退陣を求める与野党議員らにこう訴え、挑発してみせた。

 首相は「将来のエネルギー源の選択肢を育てるためにも、この法案を通したい」と、太陽光など再生可能エネルギーによる電力を、電力会社が全量買い取る特別措置法案を在任中に成立させたいとの並々ならぬ意欲も示した。

 集会には、民主、社民両党の国会議員を中心に、ソフトバンクの孫正義社長ら民間人も参加。


ソフバンク社長:電力業界に一石、自治体との大規模太陽光構想で(1)
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920000&sid=aDNr4a0qyGbw

 6月15日(ブルームバーグ):日本一の富豪であるソフトバンクの孫正義社長が、電力業界に一石を投じている。東日本大震災に伴う東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、自然エネルギーへのシフトを提唱。その目玉として地方自治体の多くを巻き込み、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の成功例づくりに取り組む。

  孫氏は震災発生後に原発の放射能問題で揺れる福島県を訪れて住民避難を働き掛け、個人として100億円の寄付を表明するなど積極的に活動。12日に官邸で開かれた菅直人首相らとの有識者懇談会では「原発依存度は下げざるを得ない。本業でないエネルギー問題について真剣に悩むようになった」ため、自然エネルギー普及に乗り出したと語った。

  7月13日に立ち上げる予定の推進組織「自然エネルギー協議会」には10日時点で大阪府や神奈川県、北海道など33の道府県が参加を表明。5月25日の準備組織発足会見で孫氏はソフトバンク主導で各地の休耕田などにメガソーラーを建設し、「発電売り上げの数%を土地の利用料として自治体側に払い続ける」事業形式を示した。

  ただ、電力事業では「まずはモデルケースづくりに専念する」と強調。「ソフトバンクのグループ売上規模3兆円の数%程度」を想定しているメガソーラー投資は、同社が今期から2年間で計1兆円を投資予定なのに比べれば「十分に小さな範囲」とした。上場会社として赤字を回避する方針も強調した。

  野村証券金融経済研究所の増野大作アナリストは翌26日付のリポートで「①発電の全量買い取り制度②送電網への接続義務③休耕田など農地転用の規制緩和」との条件が整い、採算が確保されなければ「事業開始は難しいと考えられる」とコメントした。

          既存メガソーラーの10倍

  同協議会が全国約10カ所に総額800億円を投じ発電能力総計200メガワット(メガは100万)のメガソーラーを整備すると、産経新聞などが5月に報じた。ソフトバンク広報担当の有山麻季子氏は、具体像が定まるのは7月13日の協議会発足後としつつ、こうした案も「選択肢の1つ」と述べている。一方、国内の10電力会社が現在運営しているメガソーラーの発電能力合計は19メガワットに過ぎない。

  協議会への参加を表明した滋賀県の嘉田由紀子知事は、孫氏を「目の付けどころがいい」と評する。福島原発事故を機に「原子力は一番安いエネルギーとずっと喧伝(けんでん)されてきた」状況が一変したためだという。同知事は事故発生時の補償リスクだけでなく、研究費や原発が立地する地域の振興費を勘案すれば、原子力発電のコストは安くはないと指摘している。

  同知事は各地の電力会社が発電と送電を一手に行う「電力独占体制は戦争中の挙国一致体制の中で出来た仕組みで、時代遅れ」と説明。一方で「滋賀県内の電気代支払いは毎年2000億円程度だが、その何割かを地産地消で地元に回せれば、地域の経済振興になる」として、こうした状況づくりに向け孫氏が「石を投げ込んでくれた」と語る。

          「通信に風穴の実績」

  三井ハイテック元社長で、現在は電力関連ベンチャーVPECを経営する永田敏氏は、太陽光発電の浸透には技術的課題があるとしながらも、「通信のネットワークに風穴を開けた実績と、資金力や人脈」を考えれば、孫氏が普及に向けたハードルを越えられる可能性があると述べている。

  孫氏は2001年に傘下のヤフーとともに格安のADSL(非対称デジタル加入者線)事業を開始、04年に固定通信の日本テレコム(当時)、06年に携帯電話の英ボーダフォン日本法人(同)を買収し総合通信会社となった後も価格競争を仕掛け、通信業界に波乱を起こした。インターネット関連事業にも投資を続ける孫氏の保有資産は、米フォーブズ誌の11年版世界長者番付によると、日本人で首位の81億ドル(約6500億円)に上る。

           ビジネスチャンス

  永田氏は、大震災による計画停電などで「自治体は自分たちの電気をもっと欲しいという流れになって来ている」と述べ、太陽光発電の全量買い取りや、送電網接続などが実現すれば「ビジネスチャンスが生まれてくると思う」と述べている。菅首相も12日の懇談会で、孫氏が電力事業を所管する経済産業省ではなく「自治体とリンク」した点を「さすが」と称賛した。

  国内太陽電池最大手で、液晶パネル製造と共通のガスを活用して生成する薄膜型の生産に注力しているシャープの片山幹雄社長は3日、記者団に対し、一般家庭の屋根につける太陽電池の大半は薄膜型とは違う結晶系であるため「薄膜のソーラーの行き場所は今までは海外しか無かった」と指摘。薄膜型を大量に使うメガソーラーの国内普及には「ものすごい期待を持っている」と述べている。


【日本版コラム】ソフトバンクのメガソーラー参入、産業変革の機となるか
尾崎教授のグリーンビジネスコラム
2011年 6月 15日 17:20 JST
http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_250187

5月25日、ソフトバンクの孫正義社長は、神奈川県の黒岩祐治知事、長野県の阿部守一知事などとともに記者会見し、クリーンエネルギーを推進する「自然エネルギー協議会」の設立を発表した。同協議会には全国26道府県が参加を表明し、7月上旬に正式発足する予定となっている。

 報道によると、孫社長は「一般家庭5000世帯分の消費量に相当する約2万キロワット(kw)の大規模太陽光発電所(メガソーラー)を全国で10カ所程度設置」する計画を打ち上げた。

 協議会発足発表に先立つ5月23日には、孫社長は、参院行政監視委員会で、耕作放棄地に太陽光発電パネルを設置する「電田(でんでん)プロジェクト」を提案している。全国の耕作放棄地の2割に太陽光パネルを設置すれば、現在の原子力発電分の電力を賄える計算だ。

 太陽光発電が国内で実用化されて10年以上たつ今でも、発電量に占める割合は1%にも満たない。太陽光発電は今後も、クリーンエネルギーの象徴的存在に過ぎないままなのか、あるいは、ソフトバンクの参入が日本のエネルギーの姿を大きく変えるきっかけになるのか。これが本コラムのテーマである。

なぜ今、参入か

 なぜソフトバンクはこの時期に太陽光発電への参入を発表したのだろうか。まず、福島原発事故以来、「クリーンで安全な原発」という「神話」が崩壊し、原子力にも化石燃料にも頼らないクリーンエネルギーへの期待が、過去に例がないほど盛り上がっていることがある。また、平時であれば、ソフトバンクが電力事業に参入しても、市場に大したインパクトは与えられないが、今なら大いに世間の耳目を集めることができる。

 ところが、ソフトバンクは株式市場のシビアな評価を受ける身なので、いかに社会的意義が大きくても、採算の見込みがない事業に参入するわけにはいかない。今回、同社が行動した最大の動機と思われるのは、「再生可能エネルギー固定価格買取制度」の導入によって、利益を出す見込みが高まったことである。

 この制度の法案は既に閣議決定され、国会に提出されている。太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスの5分野のクリーンエネルギーについて、発電した「全量」を電力会社が長期にわたって高い価格で買取る制度である。太陽光発電は優遇されており、買取り価格42円/1kw時程度、他のエネルギーは15~20円/1kw時で、企業が発電すれば、15~20年にわたって電力会社が買い取る。原子力発電のコストが5.9円/kw時、石油火力発電が10.2円/kw時(いずれも1999年通産省発表)なので、太陽光発電は特に、大盤振る舞いを受ける。全量買取制度をカンフル剤としてクリーンエネルギーの普及を促し、将来的には、コスト削減などによって優遇措置なしでも普及させることが目標である。

余剰電力買取を上回る全量買取の効果

 全量買取制度に先立つスキームとして、「太陽光発電余剰電力買取制度」が2009年11月からスタートしている。住宅などにパネルを設置して発電し、自分で使った後の「余剰電力」を電力会社に買い取ってもらう制度である。制度開始当初、余剰電力の買取価格は、10kw未満の住宅の場合で、48円/kw時と設定された。この制度は市場にポジティブな効果を与え、2010年の太陽電池国内出荷量は、前年比プラス70.5%(太陽光発電協会による)も増加した。

 ところが、余剰買取だけでは普及促進にはパワー不足という指摘が続いていた。余剰買取制度は基本的には小規模な住宅を対象としている。しかし、広大な空き地に太陽光パネルを敷き詰めて、発電した電力を自分で使わず販売に徹する「メガソーラー電力事業者」を、制度が想定していないからである。しかし、全量買取制度はメガソーラー事業者も対象としている。また、法案は極端な太陽光発電優遇である。ソフトバンクがいま、そして太陽光に絞ってクリーンエネルギーに参入した理由はここにある。

メガソーラー事業の普及を阻む要因

 では、ソフトバンクが強気のメガソーラー事業の先行きを阻むものは何か。1)法案の成立自体、2)コスト、3)社会的混乱、4)送電網のイノベーションが、阻害要因として挙げられる。

 まず、全量買取制度法案は、まだ成立していない。くしくも東日本大震災の発生直前である3月11日の午前に閣議決定されているが、その後国会での審議は進んでいない。菅首相退陣後の内閣の顔触れも分からないとなれば、全量買取制度可決はかなり不確実である。ただ、自民党政権以来継続協議してきた制度なので、どのような政権になっても、強硬に反対される可能性は低いと思われる。

 次に、遊休農地を借りてメガソーラーを設置するので、農地のリース代が採算のネックとなる。また、農地転用を禁じる規制もある。ただ、参加表明している知事や市長の中には、規制の壁をクリアすることに前向きな人もおり、ソフトバンクが資金調達に成功すれば、突破口はあるだろう。

 ソフトバンクはどこまでメガソーラー事業を拡大する気なのか。先月発表した計画では、全国で20万kw程度の設置計画なので、大した量ではない。しかし、全量買取制度が正式決定されれば、孫社長がこの程度で満足するとは思えない。彼であれば、「東日本の電力量10%に相当する800万kw」程度の数字をぶち上げそうである。もし、それが実現されれば、スペインで起きた「太陽光発電バブル」の再来が心配される。昨年7月5日の当コラム「誰が『太陽光発電バブル』を崩壊させたのか?」に書いたように、スペインは全量買取制度、補助金支給、一定規模以上の建物の新築・改築に太陽光パネル設置を義務付けるという極端な太陽光優遇政策をとった。その結果、2008年の太陽光発電導入量は5.2ギガワット(GW)と前年比5.2倍の世界一となったが、翌年は何と6分の1に下がった。この混乱には、発電所の近隣に大きな電力需要がないのに、全量買取制度を利用したサヤ取り業者が増えたことが背景にある。結果として財政的負担が厳しくなり、政府は制度変更に追い込まれた。

 日本でも確実にサヤ取りができれば、ソフトバンク以外の新規参入者が増えるだろう。同じ混乱を防ぐには、制度設計に工夫を凝らすことと、太陽光発電の不安定な電力を制御できる送電網イノベーションが必要だが、その見通しが全く立っていない。全量買取法案に伴う政府計画によると、2020年までにクリーンエネルギーを3200万~3500万kwも増加させることになっている。何と東京電力の発電能力の半分に相当する量だ。その大半を太陽光で賄おうと思っても、5月31日の当コラム「東京電力の『発送電分離』日本のエネルギーイノベーションに不可欠」に書いたとおり、現状のままの送電網では実現不可能である。発送電分離や電力会社の地域分割も真剣に議論せざるを得ない。この一方で、政府の東電救済案を見ると、発送電一体化と電力会社の地域分割は堅持される。この点、政府はクリーンエネルギーを増やす意図がないことは明白で、政府計画は大いに矛盾している。

ソフトバンクならではの期待される役割

 5月14日、菅首相と孫社長は都内の料理店で会食したと報じられている。菅首相が18日の記者会見で、突然発送電分離を表明したのは、孫社長のレクチャーの影響である可能性が高いと筆者はみている。全世帯にブロードバンド回線を整備するという総務省の「光の道」構想で、NTTの光回線部門の分離を強く主張したように、ソフトバンクに対しては、公的インフラ投資を自社の利益に誘導しているという批判が根強い。メガソーラー構想も、東電の送電網をタダ同然で利用する布石という見方もある。

 ソフトバンクへのこういった批判は、一部あたっているかもしれない。ただ、NTTに反旗を翻して自社ブロードバンドを作り、結果として、NTTやKDDIのインターネットサービスの質も早期に向上し、値段が下がったのは事実である。この意味で、日本のブロードバンド普及のスピードを速めた功労者は孫社長と言える。

 日本にクリーンエネルギーを本格的に普及させるには、政府と電力会社が本腰を入れることが不可欠である。ソフトバンクの事業だけでは日本のエネルギー産業の本格的な変革はもたらされないだろう。しかし、ブロードバンドの早期普及を推進したように、今回も同社が送電網のイノベーションに突破口を開くことを期待したい。


再生可能エネルギーで電気料金は
2011年06月14日
http://blog.hokkaido-np.co.jp/staff/archives/2011/06/post_966.html

菅直人首相が、退陣までに「なんとしても」達成したい課題に「再生可能エネルギーの特別措置法案」の成立を掲げた。太陽光や風力などの自然エネルギーで発電した電力を電力会社が決まった価格で全量買い取る制度のことだ。

 自然エネルギーは発電コストが高いので、買い取り価格も高くなる。すでに国は余剰の太陽光発電の買い取りを実施している。住宅用で1キロワット時42円、工場やビルなどの非住宅用では、1キロワット時40円。各電力会社は、すでに今年4月から太陽光発電の買い取り価格分を「太陽光発電促進付加金」として、電気料金に上乗せして徴収している。

 北海道電力の場合、30アンペア契約の家庭で、1~120キロワット時まで約18円、121~280キロワット時までが約23円だから、いかに太陽光発電の買い取り料金が高いかがわかるだろう。

 北海道電力と北陸電力は、太陽光発電の設備が少ないため、1キロワット時あたり0・01円で済んでいるが、陽光に恵まれ、設備の多い中部、中国、四国電力は0・06円、九州電力は0・07円と全国でもっとも高い。住宅や施設に太陽光発電をとりつけられる人や企業のために、電気料金を使って、補助しているようなものだ。

 いままで、太陽光発電の設備が少なかった北海道だが、14日の道新朝刊でも報道されているように、通信大手ソフトバンクの孫正義社長が道内に50万キロワットのメガソーラーの建設を計画している。詳細は不明だが、もし余剰の太陽光発電と同じように、地域の電力会社が全量買い取ることになれば、北海道でも上乗せ分の電気料金が高くなることは確実だ。

 梅雨がなく、比較的日照時間の長い北海道は太陽光発電の適地で、今後、ソフトバンクだけでなく、多くの企業が道内にメガソーラーを作るだろう。太陽光発電が増えれば増えるほど、私たち道民が払う電気料金は値上がりしていく可能性がある。

 太陽光発電だけでない。風力発電もある。経済産業省は、風力発電の買い取り制度の詳細を決めていないが、買い取り価格は、1キロワット時15~20円になるとみられている。北海道の海岸線は、本州と比べて、安い建設コストで巨大な風力発電施設(ウインドファーム)を作れるため、これまで以上に、巨大風力発電が増えるだろう。

 風力発電に投資をして、利回りを得ている人もいるが、投資に回す資金のない庶民はひたすら高い電気料金を支払うだけである。北海道電力が買い取る制度になれば、自然エネルギーで発電量が増えれば増えるほど、道民の電気料金を押し上げる。

 それでなくても、東電の賠償金を電気料金の値上げで賄おうという仕組みづくりが検討されている。自然エネルギーの全量買い取りが、さらなる値上げの口実に利用されかねない。

 原発事故の反動で、太陽光と風力といった再生可能エネルギーによる発電が、あたかも救世主のごとくマスコミに取り上げられている。しかし、重要なのは、コストをかけても、現実に産業用として使える電気かどうかである。そして、電気料金が高くなることに地域の住民の合意が得られているかどうかである。

 太陽光も風力もこれまで普及してこなかったのは、コストが高いわりに発電量が少なく、さらに発電が不安定だったからだ。特に風力は、風が吹くときは、どっと発電するが、風がなければ、発電がとまる。特に北海道は日本海側に風力発電が多い。季節風などで同じ日の同じ時間帯にどっと発電する可能性がある。電力の供給と需要のバランスが崩れ、周波数が乱れ、工場の生産に影響が出かねない。

 原発の代替で最も現実的なのは、天然ガス発電で、多くの専門家たちがその有効性を指摘しているが、なぜかマスコミでは取り上げない。おそらく天然ガス発電が普及すれば、日本の原発は確実に廃炉になるからではないだろうか。

 自然エネルギーの導入で、新しいビジネスが生まれ、富を得る企業が出る一方で、電気料金は確実に高くなる。日本は工業立国だ。電気料金が上がれば、大企業は生産拠点を国外に移す可能性がある。大企業のように資金がなく、国外に移転できない中小企業は、工場をたたみ、廃業という道を選ぶかもしれない。

 再生可能エネルギー。たしかに聞こえはよいが、その実態を見極めなければ、安易な導入で、国力を衰退させかねない。首相の個人的な理想論で導入されては困るのだ。

 ついつい心配になって、あれこれ書き連ねてしまった。


<関連記事>

風力発電に群がるグリーン・マフィア: 園田義明めも。
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/05/06/4288132