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ポール・ケネディ 「国のパワーの源泉は、力強い生産基盤、健全な金融、そしてガバナンスにある」2010/02/27 19:51

ポール・ケネディ 「国のパワーの源泉は、力強い生産基盤、健全な金融、そしてガバナンスにある」


「非常に有能な財界人が日本の首相になる可能性はないか」

日本の友人にそう聞いたのは、「大国の興亡」で知られるポール・ケネディ。
そのポール・ケネディが「国のパワーの源泉は、力強い生産基盤、健全な金融、そしてガバナンスにある」と語る。

日本の場合、明らかに問題なのは「ガバナンス」。
ポール・ケネディもこのことを見抜いていたのだろう。
しかし、日本はこれまで米国に依存することでその欠点をカバーしてきた。

そして今、頼みの米国自体が大きく揺らぐ。
そこで出てきたのが鳩山友愛と東アジア共同体構想。
脱米国はいいけれど、日本のガバナンスの弱点を見事に披露する結果となった。

英米主導の土俵に文句を言うならそれでよし。
しかし、中国とて英米土俵でうまく踊ろうと必死になっている。

そうした中で、新たな土俵を築く度胸なんて日本人にあるのだろうか。
はたして新たな土俵を描くことができる日本人はいるのだろうか。
この点でも日本の現実を直視する「勇気」が必要です。


<関連サイト>

The Sinews of Power: Rediscovering the Foundations of National Strength
http://www.cfr.org/publication/21037/sinews_of_power.html

The Sinews of Power: Rediscovering the Foundations of National Strength (Video)
http://www.cfr.org/publication/20990/sinews_of_power.html

The Sinews of Power: Rediscovering the Foundations of National Strength (Audio)
http://www.cfr.org/publication/20988/sinews_of_power.html

国家ブランドと戦略を考える
http://www.foreignaffairsj.co.jp/archive/kaidai/201002_2

コメント

_ 敢えて名を伏すの隣人 ― 2010/02/28 03:36

>「国のパワーの源泉は、力強い生産基盤、健全な金融、そしてガバナンスにある」

バブル崩壊前までの日本はこの3拍子が揃っていました。
(というかさらにもう一つの「国のパワーの源泉」がありました・・後述。)
そして現在「ガバナンス」に問題があるとは、そのとおりだと思います。

ポール・ケネディ氏らの言う「ガバナンス」は、明らかに私たち日本と異なる社会背景に基づいていることに注意する必要があります。
欧米には今もって階級社会が存在し、多くの下層民にはモラルも労働意欲にも欠け、忠誠心も期待できない労働者層が存在します。そうしたものへの「ガバナンス」に多くの注力を払わなければならなくて、彼らは「ガバナンス」が重要と言ってるのです。

(余談)
在米40年で米国に帰化した日本人の友人が「黒人が差別されるのに尤もな理由として、彼らの dull な性癖もある」と、一般的な人種差別意識だけではないことを語ってくれたことがありました。
(余談終)

私は、ポール・ケネディ氏の言う「国のパワーの源泉」について、この3つだけでは不足していると考えます。それは「民力」、つまり高度な教育やモラル意識の高い社会、勤勉・誠実・正直な国民性を挙げておきたいと思います。

「ガバナンス」の解釈が違っていたらごめんなさいですが、外資の超大手国際企業で働いていた経験から、ポール・ケネディ氏らの言う「ガバナンス」とはこういうものだと私は解釈しています。(だからその企業の経営者は日本法人の経営は楽だったww)

一方で、園田さんの、
>しかし、日本はこれまで米国に依存することでその欠点をカバーしてきた。

ここでの「ガバナンス」は私の解釈とは少々異なってるようですね。
対外施策については全くの米国依存でしたから、そこの「ガバナンス」を仰りたいのでしたらそのとおりだと思います。

>そこで出てきたのが鳩山友愛と東アジア共同体構想。

私もこれはただの書生論と切り捨てていて、即刻撤回すべしと言いたいのです。

現実の政治のリーダーであるならば、心に秘めてはいても決して口に出してはならないものなのです。私はむしろ小泉純一郎にその意識(内心)を見いだしておりました(うまくいかなかったけどね・・・)

バブル崩壊までの日本は「日本株式会社」と呼ばれたように、社会主義経済で唯一成功した国家と評価されたように、政府の統制(ガバナンス)が素晴らしく効いていたのです。
そしてその国内統制力(ガバナンス)を生かして、米国に追いつけ追い越せとたいへんな勢いで頑張ったのです。

が、・・・その結果・・追いつきそうになったら叩いてくるのも米英ではないですか。(号泣)
追い越してしまったトヨタには、リコール件数が米国自動車メーカーの20分の1でも徹底的に突っ込みを入れてくる。(そんな米国を卑怯者と呼んでるプロパガンダ・バスター親父に乾杯!)

>英米主導の土俵に文句を言うならそれでよし。
>しかし、中国とて英米土俵でうまく踊ろうと必死になっている。

準備ができてない今は黙ってるしかないでしょう。
但し、英米主導の土俵では彼らに並びそうになると必ずルール変更して叩きに来る。これだけは意識しておく『勇気』を持ちたい。

>この点でも日本の現実を直視する「勇気」が必要です。

現実の見えない鳩山政権や日本の論壇にはこの「勇気」が必要だとは、そのとおりだと思います。

しかし、リアリストの皆さんは状況を良く分析して現実に合わせろと言いますが、それではいつまでたっても負け犬のままということにもなりかねないでしょう。

現実とか状況とかを作ってるのは誰なのか、イニシアチブを取っている誰かがいるはずです。だったら、そのイニシアチブを取る側になろうとする「勇気」、これがなければいつまでも負け犬を続けることになるのです。

今の日本人がその現実を目にした結果、負け犬根性が蔓延するとどんな社会になるか・・・既にその兆候は・・・敢えてここで言うまでもないでしょうww

但し、ここは臥薪嘗胆、黙って英米土俵に乗る。そしていつの日にか「彼らの勝手にさせない日」が来ることを胸に秘めて「民力」を涵養する。

私はこれを真の『勇気』と考えています。

_ isaacpapa ― 2010/02/28 05:38

>「民力」、つまり高度な教育やモラル意識の高い社会、勤勉・誠実・正直な国民性

これは江戸時代の寺子屋制度のお陰だったと思っていましたが,その寺子屋にも貧乏で行けず,後に明治維新の陰の立役者となったジョン万次郎こと中濱万次郎の生涯を考えたとき,一回信じたら疑わないと申しますか,彼には筋金入りの民族性的端緒が窺われます.

幕末の前,島津斉彬,西郷隆盛,大久保利通,山内容堂,坂本龍馬,後藤象二郎,勝海舟,阿部正弘等々へ世界政治の複雑さ,米英の本質,航海(海軍)の重要さ知らしめ(長州には関わらなかった為,彼等は維新まで攘夷に拘ったのかも),米国滞在中には蒸気船海軍の父マシュー・C・ペリーにも何度も会い,日本民族の優秀性を米国に認めさせたこの人物の、世界史的な位置付けを賞賛したい.但し,ホイットフィールドの養子となった彼は,死ぬまで心は「米国人」でいましたが…

こういった,土佐の漁師の無学な少年が,明治維新を結果として起こし,日本を変え,米国との関係史の基礎となった事実は,諸刃の剣としての「国のパワーの源泉」だったと思われます.

_ Y-SONODA ― 2010/02/28 10:36

★敢えて名を伏すの隣人さん&isaacpapaさんへ

なんかもうあんまり説得力がないんとちゃいまっか(笑)
(ペセックコラムに関する本日のレス参照)

_ isaacpapa ― 2010/02/28 14:46

いやいやそう言わずw ジョン万次郎研究したら面白いですよ.坂本龍馬の本性が垣間みられたりしてwww

_ ks ― 2010/02/28 22:29

イェール大学歴史学部教授・同大学国際安全保障研究所所長であり、軍事史、外交史が専門のポール・ケネディが、「国のパワーの源泉は・・・」という文脈で、「ガバナンス」というからには、例えば、ギルピン流の「ガバナンス」=「システム・コントロール」。

では、何のための「システム・コントロール」かといえば、国際政治のなかで、生き残り、あるいは国益向上のため。
国際戦略のために、国内のさまざな資源を「戦略的」に「パワー」へと転化する能力の事。

目的のための手段としての「ガバナンス」

「民力」が高くても、戦略を持った「パワー」へと転化できないのであれば無意味。

社会主義経済で唯一成功してようとも、国際政治的「パワー」に転化できなかったら「ガバナンス」があったとは言わない。
あったら、バブル崩壊後の日本はこうなっていない。
というのが、ここでの「ガバナンス」の意味。

_ きたろう ― 2010/03/01 06:22

たとえば、インドの「ガバナンス」 といえば、悪名高き「カースト制度」ですよね。 しかし、これが結局、インドという10億人の民主主義国家を一つに纏める役割を果たしている。
中国の「ガバナンス」といえば、中国共産党による一党独裁統治ですよね。

じゃ、日本のこれまでの「ガバナンス」といえば何か? それは、官僚制度と中選挙区制度によって守られた自民党による55年体制だったと思われます。しかし、このうち、中選挙区制度による自民党の55年体制は崩壊してしまった。その結果、日本では、マスコミの報道によって暴走した世論によって、首相が毎年のように交代し(昔は中選挙区制度によって、マスコミの報道に対抗していた)、ついに民主党という学芸会レベル政権が誕生してしまった。

最近の民主党の迷走ぶりをみたら酷いものですが、一方、自民党の政治家をみても、彼らはとっくに「ガバナンス」を失っているのに、新しい「ガバナンス」を考えだすことも出来ずにいる。(というか、それを失ってしまったことに気が付いていない)

_ Y-SONODA ― 2010/03/01 09:05

★isaacpapaさんへ

>ジョン万次郎研究したら面白い

一応キリスト教人脈系はほとんど網羅。
ユニテリアンの関係からジョン万次郎の資料も我が家に結構揃っていますよ。

★ksさん&きたろうさんへ

>、「国のパワーの源泉は・・・」という文脈で、「ガバナンス」というからには、例えば、ギルピン流の「ガバナンス」=「システム・コントロール」。

「国のパワーの源泉は、力強い生産基盤、健全な金融、そしてガバナンスにある」
これって凄いでしょ。これからこの方面のテキストにどんどん採用されて歴史に残るかも。

実はこれ、ポール・ケネディが言ったのではないのです(笑)

リンク先を追えばわかると思うのですが、ポール・ケネディはまずこう言ったのです。
製造技術と生産技術の重要性、健全な金融及びそれらの健全性を保証するインスティテューションの重要性、戦略的に計算されかつ優先順位を踏まえた上での外国に対するエンゲージメントの重要性。

これに対して外交問題評議会(CFR)会長のリチャード・ハースが「力強い生産基盤とバランスの取れた金融と効果的なガバナンスの3つ」とまとめるわけです。インスティテューションとエンゲージメントを意識したガバナンスということでしょうね。

フォーリン・アフェアーズ・ジャパン代表の竹下興喜氏はストレートに政治と解釈。さらにポール・ケネディが「国力を支える要因に軍事力を入れていないことにも注目すべきだろう」と書いていますが、これはどうも変なフィルターがかかっています。

なぜならポール・ケネディはこの話を持ち出すためにあえて幼少期のエピソードを取り上げているからです。戦艦を作っていた造船所の話とかそこで働いていた父や叔父の話とか。3つの重要性には軍事的要素も強く含まれていると考えた方が適切です。

このポール・ケネディとリチャード・ハースのやり取りもまた歴史に残るかもしれません。
日本のガナバンスはこれからどうあるべきか。それを考える上でもいいテキストだと思います。軍事は外せないということですな。

_ へなちょこエンジニア ― 2010/03/02 07:54

「ガバナンス」とは「修身斉家治国平天下」と思う。

_ Y-SONODA ― 2010/03/02 09:31

へなちょこエンジニアさんへ

こういうことですな。

《「礼記」大学から》天下を治めるには、まず自分の行いを正しくし、次に家庭をととのえ、次に国家を治め、そして天下を平和にすべきである。
http://kotobank.jp/word/%E4%BF%AE%E8%BA%AB%E6%96%89%E5%AE%B6%E6%B2%BB%E5%9B%BD%E5%B9%B3%E5%A4%A9%E4%B8%8B

_ へなちょこエンジニア ― 2010/03/03 08:31

殿
>まず自分の行いを正しくし
ここは、自分で考え判断行動するととらえておりますです。
「ポッポ」に一番必要な、トホホ。

_ Y-SONODA ― 2010/03/03 08:44

へなちょこエンジニアさんへ

>「ポッポ」に一番必要

ポッポもそろそろご自身の限界に気付き始めているかも。
本格的に菜園探しをしているような気がする(笑)

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