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ブタの振り見てサル振り直せ ギリシャの背後に見えるもの2010/02/11 14:26

Highest Default Probabilities ブタの振り見てサル振り直せ ギリシャの背後に見えるもの


ソブリン・リスクの津波はピッグス(PIGS:ポルトガル、アイルランド、ギリシャ、スペイン)からステューピッド(STUPID:スペイン、トルコ、英国、ポルトガル、イタリア、ドバイ)へと向かうのか。

そして、ニーアル・ファーガソンが語るようにソブリン・リスクの津波は米国にも到達するのか。あるいは、ギリシャの次は日本となるのか。

私が今一番注目していること。それは「なぜギリシャだけを問題視?」の不思議。

毎日チェックしているCMAデータビジョン提供のCPD(累積債務不履行確率)。それは今後5年以内のデフォルト確率を示す。

このCPDを見ればわかるようにギリシャ以上に深刻な国はいくつもある。アルゼンチンやベネズエラやウクライナやパキスタンはいつも上位の常連さん。これらの国に比べるとギリシャなんてまだまだかわいいもの。

しかも、CPDトップ10に出たり入ったりを繰り返しているのがカリフォルニア州。ギリシャとカリフォルニア州はいつも10位付近の座を争っている。

「おいおい、どうしてギリシャだけが問題児扱いされるんだよ。カリフォルニア州だって変わらないじゃないか」と思っているギリシャ人も大勢いるはず。

なぜギリシャだけが騒がれて、アルゼンチンやカリフォルニア州は騒がれないのか。それはユーロが致命的な問題を抱えているから。

致命的な問題は欧州中央銀行(ECB)にあり。ECBには財政が逼迫するユーロ加盟国に対する個別の緊急支援規定がない。だからこそ、危機時の対応が遅れることになる。

その結果が強国への依存。現在ドイツのギリシャ支援に注目が集まっているのもこのため。しかし、ドイツ国民からは「おいおい、われわれの税金を使ってギリシャを助けるつもりかよ」との声があがるだろう。ここまでくると欧州連合(EU)の存在意義まで問われてくる。

このECBの問題を見抜いて投機筋が大金抱えて大暴れ。英フィナンシャル・タイムズ紙によればその額なんと約80億ドル。ユーロゾーンの債務危機に乗じてトレーダーやヘッジ・ファンドがユーロ狙いの空売りを仕掛けているとのこと。

私の直感ではこれらの投機筋は英米系。ユーロを叩けば当然のことながら安全な逃避先を求めて米国へとカネが動く。つまり、ニーアル・ファーガソンの米国津波到達説は見事に外れる可能性があるということ。むしろ、米国一人勝ちの可能性が高まってきたということ。

いよいよ英米による覇権再構築が始まった。EUの次は当然中国。すでに罠は張り巡らされている。地球温暖化問題とて米英覇権再構築途上で消え去る運命にある。

欧州連合(EU)を揺さぶる愚かなブタたち(STUPID PIGS)。一方ではEUをお手本に東アジア共同体構想を唱える無邪気なニホンザルがいる。

「ブタの振り見てサル振り直せ」と言いたいが、理想・理念先行のおサルはあくまで能天気。パンダは我が事のようにEUを見つめているというのに。

東アジア共同体構想を唱えるニホンザルの口癖は「米英も投機筋も嫌い、嫌い、大嫌い。」。それはそれでいい。しかし、敢えて問いかけてみたい。

東アジア共同体がえげつない米英や投機筋に狙われた時、ニホンザルは勝てるのか?
勝てるというならその技を見せていただこう。

国を負け戦に導こうとしているサルに答えなどあるはずがない。


<関連記事>

A Greek crisis is coming to America
By Niall Ferguson
http://www.ft.com/cms/s/0/f90bca10-1679-11df-bf44-00144feab49a.html

The UK mustn't be STUPID
http://www.telegraph.co.uk/finance/breakingviewscom/7192342/The-UK-mustnt-be-STUPID.html

The canary in the mine
http://www.ekathimerini.com/4dcgi/news/columns_1KathiLev&xml/&aspKath/columns.asp&fdate=08/02/2010

Greece: The Tipping Point for the Euro?
http://seekingalpha.com/article/183347-greece-the-tipping-point-for-the-euro

Traders in record bet against the euro
http://www.ft.com/cms/s/0/9203f08c-151a-11df-ad58-00144feab49a.html

ECB、ギリシャ問題でジレンマに
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_31456

国債・公債のデフォルト確率上位国をグラフ化してみる
http://www.garbagenews.net/archives/1195319.html

ギリシャのデフォルトはあるのか?
http://baribarikun.blog106.fc2.com/


<画像引用>

Highest Default Probabilities
http://www.cmavision.com/market-data

コメント

_ 良くコメントするようになった読者 ― 2010/02/11 14:51

FRBも利上げのタイミングを見計らってるようですし
利上げで新興国バブル崩壊でアメリカ一人勝ちが
はっきりしてきましたね。
日本は蚊帳の外のようですが,これから米中のパワーに
翻弄されて最悪の選択をしそうでこわいっす。

_ Y-SONODA ― 2010/02/12 09:41

良くコメントするようになった読者さんへ

>新興国バブル崩壊でアメリカ一人勝ちがはっきりしてきましたね。

オバマの人民元言及からして米国はもう少し中国バブルを膨らませたいのかも。
このあたりの駆け引きがおもしろそうですね。

_ 匿名金融マン ― 2010/02/12 19:10

アメリカはてっきり緩やかなドル安政策だと思ってたんですが、ユーロ・ドル下落を誘導してるとしたら、そういうわけでもないんでしょうか?

_ isaacpapa ― 2010/02/13 03:25

人民元の国際流動化無くして弾けるバブルも大したことは無し.東南アジアンは既に人民元を自国内で使用し始めており,支那共産党は食い止めようと躍起.未だにRMBは米ドルと連動している節あり.膨らむ風船に針を刺したい気持ちは分かれど,時期尚早の感あり,また,弾けた後の後始末にこそ日本が巻き込まれる危機,此処にあり.寒〜

_ Y-SONODA ― 2010/02/13 10:33

★匿名金融マンさんへ

>緩やかなドル安政策

どの時期を起点と考えているかはわかりませんが、米国にとって世界規模の「失われた10年」は戦略だったのかも。
緩やかなドル安もあれば全く正反対の動きをとることもある。
10年後に勝ち残るためにそれはそれはすごい仕掛けを用意しているのかも。

★isaacpapaさんへ

いやー、中国のバブルについては本当に慎重。
何度も繰り返しますが、中国が一党独裁の強みを生かしてバブルをうまくコントロールする可能性は捨てがたい。
中国は米国のEUイジメを分析しながら、3番手4番手あたりが居心地いいと思っているはず。
こうやって秩序は保たれる。

_ isaacpapa ― 2010/02/13 23:11

>何度も繰り返しますが、中国が一党独裁の強みを生かしてバブルをうまくコントロールする可能性は捨てがたい。

欧米が支那に対して求めるバブル崩壊と,支那共産党が恐れるバブル崩壊とでは,その大きさに於いて全く違った代物だと思いますよ.支那が恐怖するそれは,国家分裂どころか,消滅までをも意味する破壊力があります.当然,欧米はそこまでは求めていないのですが.

_ Y-SONODA ― 2010/02/14 11:53

isaacpapaさんへ

>支那が恐怖するそれは,国家分裂どころか,消滅までをも意味する破壊力

押し寄せる難民が怖いので私も拒否します(笑)
ところで海外では2012年中国バブル崩壊説が話題に。あるとすれば、ちょうどいい頃。
日本国債暴落と連動しそうですね。

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