東京都港区六本木7-23-17、ハーディ・バラックスに集う人々 ― 2010/03/18 08:45
武器がなくなれば戦争がなくなると無邪気に信じ込んでいるリベラル・バイアスの総本山は朝日新聞。まずは朝日・バイアスの記事をお読み下さい。
その上で東京都港区六本木7-23-17にあるハーディ・バラックスに興味を持たれた方はさらに次へとお進み下さい。
ハーディ・バラックスとは米国の陸、海、空軍が集い、軍事につながる最先端技術の情報を収集し、研究しているところ。
将来的には米軍は日本から出て行くべきだと私も思う。しかし、その前に彼らから学ぶべきことがたくさんある。ハーディ・バラックスで行われてきたこともそのひとつ。
戦後行き過ぎの象徴である武器輸出三原則の見直しを進め、ハーディ・バラックスを日米共同開発の拠点にするというアイデアも浮上する。
朝日記事にあるように「軍事には手を出さない」を貫く姿勢も大いに評価。確かに「多くの日本企業は、戦後、防衛産業に頼らず、民生分野で業容を拡大」してきたかのように見える。
しかし、あの戦争における蓄積を忘れているだけではないのか。見て見ぬ振りをしてきただけではないのか。原発に群がる企業はそのことを示しているのではないか。
戦後日本の経済発展を支えたのはあの戦争における蓄積。さすがにその蓄積も使い果たそうとしているのか。そのことが現在の停滞感につながっているのかもしれない。
インターネットの原型を生み出した米国防総省高等研究計画局(DARPA)の現在の動きを追いかけてみよう。そうすれば、「ジャパン・イズ・フェーディング」(日本がしぼんでいく)の危機感が募るはず。
現実的な平和に貢献するために日本人の職人技を最新兵器に生かす。そういう発想があってもいい。今こそ戦後日本人の無邪気な常識を疑うことから始めるべきだろう。
<関連記事引用>
(東京ウオッチ)ヒルズそばに米軍施設 協定無視、居座り13年 港区 /東京都
2006/05/17朝日新聞朝刊
米軍再編の最終報告書が合意され、都内では米軍横田基地が注目を集めるが、東京のど真ん中、港区六本木の一等地に米軍の臨時ヘリポート施設があることは意外と知られていない。国と都に返還を約束した協定書まで存在するのに、13年前から米軍は居座り続けたまま。都は土地の返還要請を、地元港区も施設の撤去を、共に求め続けているが、今回の報告書でも触れられずじまいだった。事態は変わりそうにない。(上林格)
ヘリポートは広さ4300平方メートル。周辺を青山霊園や建設中の国立新美術館に囲まれ、約400メートル南に六本木ヒルズが立つこの場所は、旧日本陸軍の駐屯地だった。米軍の準機関誌「星条旗新聞」社や独身将校宿舎がある米軍施設「赤坂プレスセンター」の中にある。
今のヘリポートは83年に同センターの地下に都道・環状3号線を通す工事の際、それまでのヘリポート用地(約3500平方メートル)が使えなくなるため、都が「工事期間中の臨時ヘリポート」として提供した。
着工前、米軍と都、東京防衛施設局の3者で「工事完了後は原状回復する」とする協定が結ばれた。工事は93年に終わったが、米軍は以前より約千平方メートル広い臨時施設を「飛行の安全性が高められ、騒音も減らせるので継続使用したい」と国に伝え、そのまま使い続けている。
六本木の近くには米大使館があり、ヘリなら横田や厚木基地へ数十分で移動できる。南麻布にある米軍の宿泊施設「ニュー・サンノー」への要人輸送にも使われている。飛行コースなどは非公表。04年5月、米軍が東京防衛施設局に対し「ほぼ毎日運航している」と回答したことがあるだけだ。最近は利用するヘリも大型化しているという。
93年1月には横田基地から施設に向かう米軍ヘリが杉並区内の中学校の校庭に不時着した。港区は、離着陸時の騒音被害や安全上の不安があるとして、00年からクリントン、ブッシュ両米大統領に施設撤去を含めた要請を続けている。だが、なしのつぶて。毎年4月18日に施設返還を訴える「麻布米軍ヘリ基地撤去実行委員会」の抗議行動は来年で40年目になる。
ロボット技術に米の触手 日本企業、軍事に抵抗感(同盟経済13)
2004/07/18朝日新聞朝刊
東京の新名所になった六本木ヒルズから青山霊園に向かう六本木トンネルと交差する星条旗通り。朝方まで若者たちが集まるしゃれたバーやレストランが並ぶ。その通りを挟んだ向かい側には街の華やかさとは無縁の米軍施設が立つ。施設内には陸、海、空軍にそれぞれ属し、最先端技術を探る研究局のアジア事務所がある。十数人の日米の研究者が働く。
亀田純博士もその一人。東北大を卒業し米国に渡った。海軍研究局で働き、4月までアジア事務所に駐在した。アジア各国で開かれる学会に出席したり、論文を読んだりして海軍が求める技術を探し出す。これはと思う技術に海軍の研究費をつける。日本の大学や研究所の三つの研究に資金を出した。
○情報収集の拠点
米国は冷戦終結後、軍事費を大幅に削減した。それまで最先端技術の開発をリードしてきた米軍関連の研究所からは多くの研究者が企業や大学に散らばった。米軍は民間との共同研究を増やし、同盟関係にある国々と協力して効率よく研究開発に取り組む「分業」を進めつつある。共同研究の端緒を見つける日本の情報収集拠点が六本木のアジア事務所だ。
金沢工業大学の宮野靖教授の研究室では、東レが開発した炭素繊維強化プラスチックの耐久性を調べる研究が進んでいる。この研究に米海軍が目を付け、亀田氏らの仲介で45万ドルを出した。軽くて丈夫な炭素繊維が警備艇など小型船舶に使えるかどうかを探っている。実現すれば燃料を大幅に減らせる。炭素繊維は日本企業が世界市場の7割を占める。
亀田氏は「日本は素材開発や解析が強く、米国はコンピューター科学などが強い。米国の弱い分野を日本が補完する」と日米分業の意義を強調する。
日本がリードする最先端技術で、米国防総省が今、関心を寄せているのがロボット技術だ。ホンダが二足歩行できるヒト型ロボット「アシモ」を開発したり、ソニーが両足が地面から離れて走るヒト型ロボット「キュリオ」を開発したりと、日本にはユニークな研究が多い。
米国はベトナム戦争後、犠牲者が出る戦争に慎重になった。兵士の犠牲は世論を厭戦(えんせん)や反戦に向かわせ、政権基盤を揺るがす。イラク戦争でも米軍の犠牲者が増えるにつれ、戦争への支持率が下がっている。
人が戦う限り、犠牲者は避けられない。人の代わりにロボットが爆弾を処理したり、攻撃したりする――。そんなアイデアが具体化に向けて動いている。
○共同研究に期待
今年3月、米ロサンゼルス近郊からラスベガスまでの約300キロの公道を走る自動車レースが開かれた。運転手はいない。センサーで障害物を感知して、コンピューターが走路を選ぶ「ロボット自動車」が走った。
米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)が主催し、米国の大学や企業など15チームが参加した。しかし、完走できたチームはなかった。最長でも12キロしか走れず、技術の未熟さを露呈した。
レースには日本の自動車メーカーなども車両提供などで協力していた。DARPAのジョゼ・ネグロン大佐は「レースは米国チームしか参加できないが、国内外の多くの企業と協力するよう求めている」と打ち明ける。「ロボット兵士」を作るため、日本の技術に関心を寄せる。
日米の接触はすでに2年近く前から始まっている。
02年秋、米国防総省の研究チームが来日し、経済産業省幹部にロボット技術への関心を伝え、協力を求めた。チームはその後、ひそかにホンダや三菱重工業などを訪れた。
チームの中心人物のチャールズ・キムゼー氏は「日本企業との関係構築は時間がかかりそうだが、少しずつ前に進んでいる。ロボットは開発コストが膨大だ。コスト削減のためにも民間との協力が必要だ」と共同研究に期待をかける。
日本政府はミサイル防衛(MD)で、米国との共同研究を進めている。さらに、研究だけでなく日米で共同生産をできるようにするため、武器輸出三原則を緩める方向で検討している。
○我に返って断る
しかし、軍事技術の開発・生産でも協力態勢を築こうとする日米両政府の動きに、最先端にいる研究者の思いは複雑だ。
筑波大学の山海嘉之教授に一本の電話が入ったのは、01年9月11日の米同時多発テロの直後だった。
「パワードスーツの話を聞かせて欲しい」。電話の相手は米国防総省の関係者だった。
パワードスーツは人の力を補強する装置で、ロボット技術の研究者だった山海教授が開発した。人が服を着るように機械をとりつけ、脳から出る信号をキャッチして人の動作を補助し、重い物を持ち上げたりすることを目指している。筋力が落ちた高齢者などの生活を支援するためだ。
電話から2カ月後、教授は米国防総省に招かれ、同省の研究者ら十数人を前に講演した。研究者らも自らの研究を紹介した。説明用の画面には同時テロの首謀者とみられているビンラディン氏が映し出され、テロの脅威が強調されていた。研究者らは山海教授に熱心に共同研究を持ちかけた。
米国防総省からの研究開発費は魅力的だった。しかし、学生の「軍事はやめましょう」という一言で、山海教授は「我に返った」と言う。米国からの共同研究の申し入れは断った。
90年代半ば、米国は戦闘機や軍事施設のモニターに使う目的でシャープに液晶の共同研究を持ちかけた。しかし、当時のシャープの首脳陣は「我々は非軍事の民生で生きていきたい」と、要請を断った。米軍がロボット技術で関心を寄せるホンダも「軍事には手を出さない」(福井威夫社長)という。
多くの日本企業は、戦後、防衛産業に頼らず、民生分野で業容を拡大してきた。それだけに軍事への関与には抵抗感が残る。軍事技術でも同盟強化を図る日米政府の思惑は、開発や生産を担う企業や研究者の思いときっちりかみ合わないまま膨らんでいる。(大海英史、山川一基)
<関連論文抜粋引用>
再編される米太平洋軍の基地
http://www.ndl.go.jp/jp/data/publication/refer/200610_669/066905.pdf
ほとんど知られていない陸軍の機関に、米陸軍国際技術センター・太平洋(International Technology Center-Pacific) がある。これは米陸軍装備コマンド(Army Materiel Command)に所属する機関で、2004年に座間から赤坂プレスセンター(米軍はハーディ・バラックスと呼んでいる。星条旗新聞社が入居している) に移転した。国際技術センターの任務は「米陸軍の改編を支援するため、科学技術に関与している海外の企業、大学、研究所、国家軍事研究開発機構と交流を図り、将来を見越した革新的アプローチを開始すること」とされている。赤坂プレスセンターには、空軍のアジア宇宙産業開発事務所(AOARD) と海軍のグローバルアジア研究所(ONRG-Asia) も入居している(28)。
<関連サイト>
MDAO Japan Organization
http://tokyo.usembassy.gov/e/mdao/tmdao-orgchart.html
Associated Organizations in Tokyo
Hardy Barracks
Office of Naval Research (ONR) ・・・Ⅰ
Asian Office of Aerospace Research and Development (AOARD) ・・・Ⅱ
International Technology Center - Pacific (ITC-PAC) ・・・Ⅲ
Ⅰ、米海軍研究局(ONR)
Office of Naval Research Home Page
http://www.onr.navy.mil/
http://www.onr.navy.mil/About-ONR.aspx
米海軍研究局・グローバル(ONRG) Office of Naval Research Global (ONRG)
http://www.onr.navy.mil/Science-Technology/ONR-Global.aspx
Office of Naval Research Global - Tokyo, Japan - Office of Naval Research
http://www.onr.navy.mil/Science-Technology/ONR-Global/onr-global-locations/Tokyo-Japan-ONR-Global.aspx
Tokyo, Japan
ONRG Tokyo seeks opportunities to promote science and technology collaboration of mutual benefit between the United States and researchers in the Far East. Countries covered include: Japan, Mongolia, Korea, China, Taiwan, Thailand, Philippines, Australia, India, and Vietnam.
The Tokyo office, located at the Hardy Barracks, a U.S. Army facility, is headed by an active duty Naval Officer, as the Regional Director/Officer in Charge, and staffed with five ADs. Additionally, the Tokyo Office is the hub for Information Technology (IT) and Administration. The Chief Information Officer (CIO) and staff of two personnel operate in Tokyo, as well as the Chief Administrative Officer (CAO) and staff of two personnel.
ONRG Tokyo supports regional S&T projects with three primary programs, the Conference Support Program, Naval International Cooperative Opportunities in Science & Technology Program, and the Visiting Scientist Program.
Visiting ONRG Asia Tokyo
Hardy Barracks (Akasaka Press Center)
7-23-17 Roppongi
Minato-ku, Tokyo 106-0032
All U.S. citizens visiting the region on official business with ONRG Tokyo require a country clearance. Military personnel and Department of Defense contractors should consult the Electronic Foreign Clearance Guide Website for country clearance requirements and submit country clearance requests through Aircraft and Personnel Automated Clearance System (APACS); civilians should access the Department of State’s country clearance system. Additionally, all travelers must complete all mandatory U.S. Pacific Command (PACOM) training requirements prior to traveling.
Staff:
CAPT Nannette Roberts, Regional Director/Officer in Charge
Dr. Chong Ong, Associate Director
Dr. Peter Cho, Associate Director
Mr. Robert Bolia, Associate Director
Dr. Chandra Curtis, Associate Director
Dr. Shawn Thorne, Associate Director
Mr. Matthew Poe, Chief Information Officer
Mr. David Jazdyk, Chief Technology Officer
Mr. Roger Avery, Information Technology Specialist
Mrs. Loretta Barrera, Chief Administrative Officer
Mr. Suzuki Yoshitaka, Financial Specialist
Mrs. Mikako Yamamoto, Administrative Assistant
Ⅱ、米空軍科学技術局(AFOSR)アジア宇宙航空研究開発事務所(AOARD)
The Asian Office of Aerospace Research and Development (AOARD) http://www.wpafb.af.mil/library/factsheets/factsheet.asp?id=9477
History:
The Asian Office of Aerospace Research and Development (AOARD) was established in the Spring of 1992 by Dr. H. Hellwig, director of the Air Force Office of Scientific Research (AFOSR), with the endorsement of both Major General Rankine, Air Force Technology Executive Officer of the Air Force Material Command (AFMC), and the Acquisition Office of the Secretary of the Air Force (SAF/AQ). AFOSR is a directorate of the Air Force Research Lab (AFRL). The office was opened in June 1992 in Tokyo, Japan, at the Hardy Barracks compound, which has been managed by the U.S. Army since the end of World War II. The office is collocated with the Office of Naval Research Global and the US Army International Technology Center - Pacific.
Mission:
AOARD's mission is to support the Air Force S&T community by identifying foreign technological capabilities and accomplishments which can be applied to Air Force needs; by providing liaison with members of the scientific and engineering community in Asia and Pacific Rim Region Countries; by encouraging open communication between Air Force scientists and engineers and their counterparts within the AOARD area of responsibility, and by supporting Asian research projects of interest to the Air Force. AOARD's primary focus is on basic research with a secondary interest in applied research.
To facilitate interaction, AOARD invites prominent Asian scientists to AF R&D organizations to present their work (Window-on-Science), supports conferences in Asia to promote networking between AF scientists and Asian scientists (CSP), and administers contracts to Asian R&D organizations for continuing technical interactions. AOARD solicits proposals for research through various AFOSR Broad Agency Announcements (BAAs). One or more proposals may be submitted on any topic(s) listed in any BAA. Please check "How to Apply for a Grant or Contract" for instructions.
元田 浩:プロフィール Profile of Dr Motoda
http://www.ar.sanken.osaka-u.ac.jp/~motoda/motoprjp.html
住所: 〒106-0032 東京都港区六本木7-23-17
米国国防総省空軍科学技術局
アジア宇宙航空研究開発事務所
Ⅲ、米陸軍国際技術センター・パシフィック(ITC-PAC)
US Army International Technology Center, Pacific
http://www.usagj.jp.pac.army.mil/ima/sites/jeso/rp_jjobs_fil_view.asp?inpJobNo=MLC(T)08-014
提出先/Submit To
〒106-0032 東京都港区六本木7-23-17
在日米陸軍 IMPA-JA-JE-T
日本人雇用課 MLC (T)08-014
IMPA-JA-JE-T MLC (T)08-014
Tokyo Br, JESO, USAG-J
7-23-17 Roppongi, Minato-ku Tokyo-to, 106-0032
RDECOM-Sponsored International MAV and UGV Technology Demonstration Nets Results
http://www.usaasc.info/alt_online/article.cfm?iID=0806&aid=05
「ジャパン・イズ・フェーディング(日本がしぼんでいく)」日経新聞の警告
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/09/01/4554346
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