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日経紙面にアンドリュー・マーシャル登場2009/12/16 10:20



<関連記事引用>

揺れる日米安保(上)「駐留なき防衛」の危うさ。
2009/12/15日本経済新聞朝刊

 米軍普天間基地問題が日米関係を揺るがしている。日本の国益にとって、日米同盟とは何なのか。安保条約の改定50周年を来年に控えて、今回の対立はそんな問いを日米双方に突き付けている。

成算見えぬ構想

 「鳩山さんの根っこには今でも『常時駐留なき日米安保』の発想があるようだ」。普天間問題の早期決着に動こうとしない鳩山由紀夫首相の胸中について、首相に接した関係者の一人はこんな印象を受けたという。

 事態がこじれている大きな原因には、連立を組む社民党が現行の県内移設案に猛反対していることがある。だが、首相と話す機会がある政府・民主党幹部からも「首相には米国の軍事力によって日本の安全を守っていくという思いが強くない」との声が漏れている。

 鳩山氏は旧民主党の代表だった1990年代後半に「常時駐留なき日米安保」と銘打った政策構想を掲げた。米軍が日本に常駐しなくても、危機が起きたときに駆けつけてもらえれば国防は成り立つという考え方だ。

 党幹事長だった2月には、ミサイル防衛網が完備すれば「必ずしも米国の力に頼らなくても、専守防衛の中で日本の安全を保てる」と指摘した。

 現在の安保体制は米国が日本を防衛する義務を負うのに、日本は米国に同様の義務を持たない片務型。米軍の常時駐留なしで日本はどこまで安全を確保できるのか。

 著名な軍略家であり、87歳でなお現役のアンドリュー・マーシャル米国防総省相対評価局長は今春、研究者らを動員して「日本の将来の防衛体制」という内部分析書をひそかにまとめた。日本の国力や人口動態、世論などを調べ上げ、約20年後にどのような選択肢があるかを研究した。

 内容は非公表だが、作成に携わった関係者によると「やはり、日本にとって日米同盟に勝る選択肢はない」との結論が出た。日本では深刻な少子高齢化や財政赤字が続き、日米同盟なしでは中国軍の台頭などに対抗するのは難しいという予測である。

 米軍は冷戦後も日本内の基地に強力な戦力を維持してきた。嘉手納(沖縄)にF15戦闘機約50機、三沢(青森)にF16戦闘機約40機を配備。沖縄には海兵隊約1万8千人が駐留しているほか、第7艦隊が空母1隻とイージス艦9隻を含めた艦船17隻を日本に展開している。背景にあるのが、中国軍の増強と核開発に走る北朝鮮の存在だ。

 このうち海兵隊は台湾や朝鮮半島の危機を想定した即応部隊とされる。だが、「海兵隊が日本から去れば、半島・台湾危機が周辺に飛び火するのを抑えづらくなり、尖閣諸島で紛争が起きても即応できなくなる危険が増す」(安保当局者)。

 それでも日本が自力防衛の比率を高めるなら、まず巨額の防衛予算が欠かせない。日本の防衛予算は約4兆7千億円で、国内総生産(GDP)比0・9%強。世界の上位100位にも入らない。

装備・運用に壁

 では、他の米国の同盟国はどうか。米中央情報局(CIA)の資料によると、韓国の国防費はGDP比で2・7%、英国、オーストラリアはともに2・4%だ。

 日本が韓国並みになろうとすれば、防衛予算を約14兆1千億円に増やす必要がある。これは政府の一般歳出に占める社会保障関連費の6割弱に当たる。日本が防衛予算を急増すれば中韓などが反発する可能性もある。

 運用面の壁はもっと厚い。海上自衛隊の体制は米海軍と一緒に行動することが前提だ。装備は米側が手薄な対潜活動や機雷除去が中心で「大規模な有事において米軍から離れ、単独で戦えるようにはなっていない」(海自幹部)。ミサイル防衛システムも情報は米偵察衛星に頼っている。

 国防を米国に依存し、「軽武装」で経済大国になった日本。この構図を変えるなら膨大な費用とリスクを覚悟しなければならない。防衛大綱の策定を来年に先送りする鳩山政権。骨太な安保論議を素通りしたまま、同盟がきしんでいる。

(編集委員 秋田浩之)


揺れる日米安保(下)縮小論、米にくすぶる。
2009/12/16日本経済新聞朝刊

 鳩山政権の普天間問題に関する決定。米政府当局者は冷ややかだった。

 「イズ・ノー・ディシジョン・ア・ディシジョン?」(何も決めないことを決定といえるのか)

 鳩山政権を巡る話題はワシントンではもはや笑い話のたぐいだ。

 日本通のグリーン元米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長はかみ砕いて解説した。

 「現行計画以外に選択肢はないのだから、決定を遅らせるのは危険な戦略だ。米軍再編の合意全体を崩壊させかねない」

 オバマ政権内に来年迎える日米安保50年を祝う雰囲気は皆無に近い。

軍事力に空白

 フィリピンでは1986年に親米マルコス政権を倒して就任したアキノ大統領のもとで対米関係が悪化。相互防衛条約は空洞化した。米西戦争で統治権を得てから通算すると1世紀近く駐留してきた米軍は91年に撤収を決めた(完了は94年)。

 ルソン島のクラーク空軍基地とスービック海軍基地は米軍にとって国外最大の軍事施設だった。国防総省はアジア太平洋における安保戦略上、不可欠な存在と主張。だが当時のホワイトハウスは、火山噴火で損傷した施設の再建費も考慮し、南シナ海の防衛線をグアムまで後退させた。

 軍事力の空白を突いたのが中国だ。帰属が不明確な南沙、西沙などの島々に次々に部隊を送って実効支配。慌てたフィリピンは米軍呼び戻しに動いたが、米側は「いまさら」と応じなかった。かろうじて2000年に共同軍事演習が復活した。

 クラークなどにいた部隊の多くは沖縄に移った。現在は嘉手納空軍基地が国外最大の施設だ。その軍事力が空白になれば東シナ海でも米軍は制海権を失う。沖縄が米軍にとって替え難い「太平洋の礎石」ではあることは間違いない。

 ただ、米中関係はここ数年、微妙に変化した。米国が米国債の最大の買い手となった中国と軍事衝突する姿はもはや想像し難い。一方、日本にとって東シナ海は相変わらず重要な防衛線だ。

「なぜ日本守る」

 米財政は火の車。無敵の戦闘機F22ラプターの生産も中止するほどだ。日本が思いやり予算を出していることで、米軍は本国にいるよりも日本にいる方が維持費が安い。鳩山政権が掲げる思いやり予算減額が実現すれば、米国で「なぜ我々が日本を防衛しなくてはならないのか」という声が高まるのは確実だ。

 03年のイラク戦争開戦時、米軍は隣国トルコのインジルリク基地に駐留する第34航空戦闘団に出動を命じた。ところが、施設の管理権を持つ同国政府が基地使用を拒否。米軍は戦闘団を急きょ他国の基地へ移動させるなど作戦見直しを余儀なくされた。米国はその後、近くのルーマニアに米軍基地を設けた。

 04年の在韓米軍再編では1万を超す兵力削減に注目が集まった。だが米軍にとってそれ以上に重要なのは北朝鮮との軍事境界線周辺から、ソウルより南に移すことだった。韓国防衛の義務は果たす。だが韓国軍より先に我々が死ぬのはおかしい。米軍にはそんな議論があったという。

 「日本が『米軍は出て行け』というならば出て行く」。06年の日米合意の当事者、ローレス元国防副次官は語る。米国内でくすぶり出した同盟縮小論は日本にいうことをきかせるための脅しだけとはいい切れない。

 「合意がある、というのが我々の立場だ」

 ギブズ米大統領報道官が現行計画通りの普天間移設を強く促した7日の記者会見。質問したのはヘレン・トーマス氏だった。現在89歳。ケネディ政権以来、ずっとホワイトハウスを担当してきた最長老記者だ。質問はこうだった。

 「きょうは真珠湾攻撃の日だけど、基地移設を求める日本人への大統領の姿勢はどうなの」

 現在の日米関係を聞くのに半世紀以上も前の戦争を持ち出す。日米開戦時すでに21歳だったトーマス氏には、日本が確固たる存在と信じる現在の同盟関係も単なる歴史のひとこまにすぎない。

(ワシントン支局長大石格)

コメント

_ Blondy ― 2009/12/16 17:47

帝国が衰退しそうなときに属領はどうするかという問題ですね。

そもそも帝国が衰退するかですが、軍事費、経常収支赤字の双方で断トツの世界No.1の米国が、QEと財投を膨らませたときに何が起きるか。。。

Military Defense Spending and Budgets by Country
http://www.globalfirepower.com/defense-spending-budget.asp

Current account balance
https://www.cia.gov/library/publications/the-world-factbook/rankorder/2187rank.html

このあたりはファーガソンがちゃんと押さえてます。
やはり日本の財政に起きている現象に注目中。

An Empire at Risk 
By Niall Ferguson | NEWSWEEK Published Nov 28, 2009   From the magazine issue dated Dec 7, 2009
http://www.newsweek.com/id/224694


国債利払い費 税収の2割超えの可能性 2009/10/26  J-CAST NEWS
http://www.j-cast.com/2009/10/26052555.html


日本は、時間とともに三者の力関係が変化する三角関係の微妙なバランスをとりながら、自分自身の懐具合の難局にも直面するのだから、国政にはかつてないほどのインテリジェンスとエネルギーが必要な時代。 
これからいろいろありそうですね。


Hoping for a US-Japan-China triangle to emerge
By Mark Hughes (China Daily)
Updated: 2009-07-02

http://www.chinadaily.com.cn/opinion/2009-07/02/content_8345855.htm

Japan's huge military expense questioned
China Daily/chinadaily.com.cn) Updated: 2005-12-14
http://www.chinadaily.com.cn/english/doc/2005-12/14/content_503190.htm

>Qin then made a comparison between the total and per capita military expenses of the two neighbours. China's military expenses reached US$25.6 billion last year while Japan reportedly spends 1.62 times of this amount. In per capita expense, China is only US$23, compared to Japan's US$2,300.
"Japan has only 4 per cent of China's land area and one-tenth of China's population. But they has such a huge military expenditure. What are Japan's motives?" Qin asked. <

P.S.

日経の論説の国防費のGDP比率の話は、大金持ちにむかってエンゲル係数が標準より低いからもっと高いものを沢山たべよと言っているような話で、読者のレベルの高さを感じましたw 海外でもウケているかも。。

_ isaacpapa(会員番号4) ― 2009/12/16 23:13

米軍追い出せる大戦略あるなら,その前に米国国債を上手くセットに出来ないのかな?

_ Y-SONODA ― 2009/12/17 08:46

★Blondyさんへ

>帝国が衰退しそうなときに属領はどうするか

先日、こっそり開いた忘年会で大いに語っていただいた森野さん。
その森野さんもなかなか鋭いことを書いています。

「縮む経済、回らぬカネ」 森野榮一氏
http://ameblo.jp/seiwakaisenken/theme-10012375435.html

ついでにこちらも鋭いかも。

日本の将来不安が増幅するなかで進む円高
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2009&d=1211&f=business_1211_116.shtml


P.S.
時間がなかったのでツッコミコメントを入れられなかったのですが、同じところに目が行きましたかw
国防費のGDP比率、これはいくらなんでも無理がありますよね。

★isaacpapa(会員番号4)さんへ

>会員番号4・・・www

>米軍追い出せる大戦略

そんなのあるわけないと思いますけど。寺島実郎が大戦略家には見えないし。
そういえば寺島さんはこんなところにもひょっこり顔を出していたようです。

小沢幹事長、政治資金パーティーでも宮内庁批判
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091215-OYT1T01117.htm?from=yoltop

_ isaacpapa(会員番号4) ― 2009/12/17 08:53

>そんなのあるわけないと思いますけど。

そうですよね.それにしても米国のアジア戦略外交が見え難いのも事実です.
台湾なんか話題にも載りませんしw

_ 良くコメントするようになった読者 ― 2009/12/17 08:56

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-12871020091210

米国は台湾への武器売却も検討しているようです

_ 老荘バーク ― 2009/12/17 10:57

韓国や在韓米軍の動きも気になりますね。

【社説】韓国安保の暗雲、不安な日米同盟
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=124003&servcode=100&sectcode=110
<以下抜粋引用>
鳩山由紀夫首相が率いる民主党政権は8月30日の総選挙当時、米国との対等な同盟関係とアジア重視外交を公約した。 この公約が、普天間基地を沖縄の他の干拓地域に移設するという06年の日米合意を破棄しようとしている政治的な背景だ。 鳩山首相には‘日本の盧武鉉(ノ・ムヒョン)’というニックネームまでが付いている。

日本の動きには、中国というスーパーパワーを意識した側面が強い。 第2次世界大戦の英雄アイゼンハワー元大統領は54年、「沖縄は太平洋の要石(keystone)」と語った。 その発言には「中国包囲論」がある。 鳩山政権の内心には、中国包囲論から抜け出し、中国とこれ以上敵対しないという考えが隠れている。

日米間の普天間基地問題は韓半島安保環境が急変していることを物語っている。 チャイナパワーが強まる中、米国のテリトリー内と映っていた日本の考え方が変わっているのだ。 韓国の有事の際、日本の後方基地の役割も揺れている。 韓国は米国と安保同盟を強化する一方、中国と対北朝鮮利害関係の一致を追求し、日本には東アジア安定の分担責任を強調しなければならないだろう。

【社説】「在韓米軍の中東送り」対策急げ
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=122042&servcode=100&sectcode=110

シャープ在韓米軍司令官「在韓米軍、全世界に配置すべき」
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=124024&servcode=A00&sectcode=A20

_ Y-SONODA ― 2009/12/18 09:33

★isaacpapa(会員番号4)さんへ

>米国のアジア戦略外交が見え難いのも事実

米国を侮ることなかれ。しっかり見ていますよ。
まずはアフガンからパキスタン、インド、そして中国へかな。

★良くコメントするようになった読者さんへ

台湾で積極的だったのはウォルフォウィッツ。
ネオコンはまだ生きている証ですね。
どう猛なネオコンを解き放つときがまたくるかもしれませんね。

★老荘バークさんへ

鳩山政権になって安全保障面で韓国、台湾はもうビクビク。
極端な変化で周りは敵だらけ。
いろんなところから矢が降ってくるかもしれませんね。

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