<小沢帝国への道>陳情仕分けという容赦なき自民基盤分断作戦 ― 2009/12/21 08:38
小沢一郎の陳情仕分けという容赦なき自民基盤分断作戦はなかなかお見事。
鳩山首相掲げる友愛を尻目に最終決戦に向けて豪腕小沢の超現実主義が牙を剥く。
あの野中広務ですら屈することになるのか。
劇場型「事業仕分け」の後に待っていたのは小沢主導の密室型「陳情仕分け」。
メディアの扱い方が大きく違うのはなぜ?
これでは自民党と同じなどと批判するなら今のうち。
まもなく自由にものが言えない時代が来るような予感がする。
小沢帝国が成立するかどうかは経済次第。
その活路を中国に見出そうとしているようですが、どうなることやら。
チャイナ・バブル破裂という最悪のシナリオは想定外のようです。
いずれにせよ暗黒の時代がしばらく続くことになる。
ジェダイの騎士の登場はまだまだ先になりそうです。
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<関連記事引用>
陳情、幹事長室に一本化、議連は民主中心に再編、「小沢流」自民の基盤分断。
2009/11/26日本経済新聞朝刊
首長・業界団体の接触阻止
民主党は25日、来年度予算編成を控え、自治体の東京事務所の職員を集め、中央省庁への陳情を党幹事長室に一本化する新ルールへの協力を要請した。一方、議員連盟のあり方検討チームは業界団体の受け皿になってきた自民党議連に対抗し、民主党単独の議連を作っていく方針を決めた。いずれも小沢一郎幹事長が主導する。来年の参院選もにらみ、地方自治体の首長や業界団体を自民党から分断する動きが加速してきた。
25日、民主党本部5階に47都道府県と全政令指定都市の東京事務所の陳情処理担当者約140人が一堂に集まった。高嶋良充筆頭副幹事長は「陳情といえば国土交通省の道路局長や財務省の主計局長に会うものだった。そこに政官癒着が発生した」と主張した。
民主党の陳情処理ルールでは、地元の国会議員か党都道府県連が窓口になり、党本部の幹事長室が受け付ける。各省庁の政務三役は直接申し入れがあっても原則として受け付けず、幹事長室に差し戻す。現在は1日約10件ペースで業界団体や首長が国会や党本部に陳情している。
自民党が強い地盤を持つ山口県の東京事務所の担当者も疑問を呈しつつも「ルールには従う」。ある県も「東京で会えたのは財務相と副大臣にだけ。陳情はままならない」とお手上げだ。
陳情処理は選挙対策と密接に絡む。高嶋氏は25日、陳情説明会に先立って開いた地方議員の研修会で「今までのことを簡単に水に流せない知事や業界の方もいる」と自民党支持の首長や業界団体に配慮しつつも、参院選で自民党の比例代表に候補を擁立する全国土地改良政治連盟、日本看護連盟を名指しして「挑戦的なところには大きな心を開くことはできない」と警告した。
議連改革も自民党の牙城を崩しつつある。検討チームは25日の会合で「議連は原則として民主党単独で新設するか、再編する」「最近の活動実績がない議連は廃止する」などの方針で一致。自民党が会長を務める超党派議連はポストを渡すよう働きかける。
検討チーム座長の伴野豊副幹事長は記者団に「自民党との話し合い次第では既存の議連を離脱して作り直す」と語った。
「諸般の事情により、『羽田空港の国際化を推進する議員連盟』は解散することと致しました」。自民党議員の事務所に議連会長・伊藤公介前衆院議員の名前でこんな文書が届いた。議連を活動の舞台にしてきた業界や団体も機敏に動いている。自民党関係者は「議連解散が相次いでおり、その数は数十に上る」と語る。
自民党が予算編成時に野党だったことは1回しかない。与野党を問わず「2年連続で野党として予算を組まれたら、自民党は崩壊していた」が共通認識だ。小沢氏が予算と政治をつなぐ陳情と議連の2つに的を絞るのは、当然でもある。
小党が振り回す連立政権―実態は小沢氏に権力集中(中外時評)
2009/12/20日本経済新聞朝刊
鳩山政権が間もなく発足100日を迎える。8月末の総選挙の結果、第1党と第2党が入れ替わる形の初めての本格的な政権交代が日本で実現し、期待と不安が交錯する中でのスタートであった。今日までの経過を見るとほぼ予想通りだった面が多い。
大臣、副大臣、政務官の政務3役がチームを形成して各省庁の政策決定をリードする手法は民主党の「脱官僚」の公約通りである。行政刷新会議が公開の場で予算の事業仕分けを実演したのも、予算編成のやり方を一新するとした公約に沿ったものである。
仙谷由人行政刷新相は「これは政治文化の革命」と胸を張った。確かに予算編成の闇に光を当てたのは画期的な試みで、財務省の演出が鼻についた面もあったが、自民党政権時代には絶対に見ることができない斬新な演目であり、多くの人の関心をひき付けた。
日米関係の悪化も鳩山由紀夫首相の日ごろの対米自主志向からすれば、ほぼ懸念された通りである。来年1月でインド洋の給油活動を打ち切り、普天間基地の移設問題を先送りしたのは予想の範囲の最悪の結果である。
自民党時代も日米関係は貿易摩擦で緊張したことはあったが、同盟関係そのものが危機に直面することはなかった。同盟の危機は民主党政権ならではの演目であるが、この演目はあまりにも筋が悪すぎる。上演するのはふさわしくない演目である。
鳩山政権100日で最も予想外だったのは国民新党と社民党が政権を振り回していることである。民主党は参院で過半数に届かないので両党と連立政権を組んだが、衆院選で308議席を獲得した勢いをもってすれば、実際の政権運営は限りなく民主党の単独政権に近いものになると期待された。こうした見方は見事に外れた。
普天間問題は年内決着を目指して岡田克也外相と北沢俊美防衛相が鳩山首相を懸命に説得していたが、福島みずほ少子化担当相が社民党党首選に絡んで「連立離脱も辞さず」と述べた途端に流れが変わってしまった。小沢一郎民主党幹事長は「連立の結束が最優先」と強調して福島氏を援護する側に回った。
亀井静香郵政担当相は日本郵政社長に小沢氏に近い斎藤次郎元大蔵次官を起用して世間を驚かせた。第2次補正予算では歳出の上積みを要求して引きこもりストライキを敢行し、1000億円の上積みをもぎ取った。傍若無人の振る舞いに菅直人副総理が激怒したのも無理はない。
皮肉なことに鳩山政権の閣僚で小沢幹事長との関係が最も良好なのは民主党外の亀井、福島両相である。この2人が強気に振る舞えるのは単に参院のキャスチングボートを握っているだけではなく、小沢氏の威光をバックにしているからだろう。
民主党が来年の通常国会を乗り切り、「最終決戦」と位置付ける参院選を勝ち抜く上で、国民新党と社民党は無視し得ない存在である。鳩山首相の献金偽装問題を抱え、通常国会で第2次補正予算、2010年度予算、子ども手当などの重要法案を速やかに成立させるには、秋の臨時国会のように強行採決の連発となる可能性が高く、両党の協力が欠かせない。
国民新党は衆参合わせて8人、社民党は12人の小党である。しかし、国民新党には郵便局長会と医師会反主流派がついており、社民党には全部ではないが日教組、自治労、私鉄総連の根強い支持がある。こうした団体は民主党が参院選を戦う上でも大事にしなくてはならない。
小沢幹事長の権力の源泉は選挙と国会対策を一手に握っていることである。ここに来て小沢氏は陳情処理についても幹事長室に集中する仕組みを構築した。陳情処理は選挙と密接に関連し、さまざまな民意を具体的に吸収してこれを実際の予算・税制に反映する政治の最も重要なプロセスである。
ここを押さえれば、政策決定の主導権を握ることも可能になる。鳩山政権は一見、小党に振り回されているように見えるが、実際は小沢氏が亀井、福島両相を露払い役にして政策決定の面でも重要な役回りを演じつつある。少し手の込んだやり方だが、小沢氏への権力集中は十分に予想されたことである。
<関連記事>
民主党:新陳情システム説明会 自治体職員続々140人、予算獲得へ糸口求め
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091126ddm005010006000c.html
小沢「陳情仕分け」に漂う不安(12/17)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20091216AS1K1600516122009.html
ドキュメント・鳩山予算:小沢幹事長が「くさび」 自民の牙城に狙い
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091218ddm001010009000c.html
「小沢査定」に業界団体動揺 自民寄りなら陳情対応に差
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20091220AT3S1902719122009.html
因縁の野中氏、民主が小沢氏対応拒む 土地改良費陳情
http://www.asahi.com/politics/update/1219/TKY200912190173.html
<世論調査>天皇特例会見問題でも見られる世代間ギャップ ― 2009/12/21 09:20
朝日新聞世論調査の「民主支持層は53%対38%と肯定派が多数」に注目。
<関連記事>
▼普天間越年「評価せず」51%…読売調査
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20091219-OYT1T01225.htm
天皇陛下と中国の習近平国家副主席との会見を、鳩山首相が特例として実現させたことについては、「問題だ」44%と「問題はない」47%が拮抗(きっこう)した。この会見が天皇の政治利用に当たる懸念があるとした羽毛田信吾宮内庁長官を、民主党の小沢幹事長が批判したことについて、適切だとは思わない人が76%に達した。
▼内閣支持48%に急落 首相の指導力に疑問符 世論調査
http://www.asahi.com/politics/update/1220/TKY200912200296.html
天皇陛下と中国の国家副主席との会見を、1カ月前に申し込む慣例に反して実現させた内閣の判断については、「妥当だ」39%、「妥当ではない」51%だった。民主支持層は53%対38%と肯定派が多数だが、自民支持層では19%対74%、無党派層32%対54%と批判的な意見が目立つ。
【ネット】鳩山内閣の高支持率の背景に、拡大する「情報源の世代間ギャップ」
http://www.asahi.com/digital/mediareport/TKY200911050306.html
クライメートゲートが今年最も世界のメディアを騒がせたニュースだ。 え、聞いたことない?(日経産業新聞online) ― 2009/12/21 23:39
<関連記事引用>
「クライメートゲート」が迫る覚悟(産業部編集委員 中山淳史)
更新日:2009-12-21
http://netplus.nikkei.co.jp/ssbiz/tanso/tan091218.html
今年最もメディアを騒がせたニュースは何だったか。国内なら間違いなく政権交代後の日米関係やデフレ、あるいは松井秀喜のエンゼルス移籍かもしれない。だが、世界に目を転じれば、「クライメート(気候)ゲート」ではないか。え、聞いたことない?
「気温の低下を隠すトリック(データ操作)を終えた」。11月中旬、地球の温暖化研究で知られるフィル・ジョーンズという英大学教授が、米研究者にあてたメールがネット上に流出した。同教授が務めるイーストアングリア大学のコンピューターからはそのほか10年分以上ものデータが流出してしまった。一連の「事件」をウォーターゲートならぬクライメートゲートと呼ぶ。
メールの中身に反応したのは温暖化現象が人為的だという事実そのものに懐疑的な科学者たちだった。以降、欧米では大騒ぎになり、連日、メディアが競って成り行きを取り上げた。
一方、温暖化人為説の支持者たちは、流出事件が計ったように第15回気候変動枠組み条約締約国会議(COP15)の直前だった点にざわめいた。「ロシア情報機関の仕業じゃないか」「石油が温暖化の元凶のように言われ、劣勢に立たされていた中東某国が関与した」。そんな憶測がまことしやかにネット上などに広がっていった。
開幕当初はCOP15も揺れた。政府間パネル(IPCC)のパチャウリ議長は初日、同パネルの信頼性が揺らぐことを懸念し、「透明性と客観性は保証されている」と機先を制している。ジョーンズ教授はIPCCに深く関係していたためだった。
日本ではあまり話題にならなかった。流出したメールの信ぴょう性や背後にある政治的意図が見え隠れしたためかもしれない。あるいは、「温暖化はどんなことがあってもよくないこと」との考えが日本人には強い背景もあるだろう。調査機関によれば、人為的温暖化説を信じる人は米国が6割弱なのに対し、日本は9割にものぼる。
米欧と日本の温度差が大きければ大きいほど、二酸化炭素(CO2)削減を巡る目標水準の差と重なって見えてくるのは錯覚だろうか。日本の鳩山政権は25%削減を打ち出すことで、国際交渉でイニシアティブをとる考えだった。だが、米国や、中国ほか新興・途上国は高い目標にあくまで消極的なまま。だから日本だけが突出してしまう結果になった。
ただ、日本では産業界が自国の「突出」に反発していた。恐らくクライメートゲートについても政府に対し各国での報道ぶりを詳しく紹介し、25%への慎重姿勢を促していたに違いない。
それはともかく、クライメートゲートは米欧の中の利害対立の構図を浮き彫りにしたとも言われる。排出権取引など地球温暖化を巡る金融取引や環境関連企業などへの出資を通じて利益を上げそうな国や人々。そして石油産出国のように時代に逆行しかねない国や人たちの2つである。
前者には多分、元米副大統領のアル・ゴア氏や著名投資家のウォーレン・バフェット氏、あるいは米欧金融機関が入るのだろう。だとしたら「環境ビジネス」と一口に言っても政治や経済の複雑な人脈、世界とのかかわりを抜きには語れないということだ。100年に一度のエネルギーと製造業革命が起きようとしているだけに、日本企業にもそれなりの情報武装と覚悟が必要になる。
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