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それでも祭りは終わらない、青息吐息の「地球温暖化祭&原発祭」に強力助っ人登場!2010/03/23 09:35

日経電子版:「ゲイツ、原発挑戦の真相」 ゲイツ直筆のメッセージ


ビル・ゲイツが日経電子版創刊祭りに一役買っているところも面白い。


<関連記事引用>

ゲイツ氏、東芝と次世代原発、低コストで100年運転共同開発、私財数千億円投入も。
2010/03/23 日本経済新聞 朝刊 1ページ

 米マイクロソフト創業者で会長のビル・ゲイツ氏は東芝と組み、次世代原子炉の開発に乗り出す。同氏が資金支援する米原子力ベンチャーが開発中の新型炉に東芝の技術を融合、核燃料を交換せずに最長100年間の連続運転を実現できるという。同氏は実用化に向け私財を投じる考えで、その額は数千億円規模に膨らむ可能性がある。温暖化防止のために原発建設の機運が世界的に高まるなか、新たな連合の誕生は業界勢力図に影響を与えそうだ。(関連記事11面に)

 共同開発するのは「TWR」と呼ばれる次世代原子炉で、ゲイツ氏が経営に関与する原子力ベンチャーのテラパワー(ワシントン州)が基本設計を進めている。途中で燃料を補給せずに長期間の発電が可能だ。現行の軽水炉は数年ごとに核燃料交換の必要がある。

 原子炉内で燃料がゆっくり燃焼するので核分裂の反応速度を調整するための制御棒がいらず安全性も高いという。出力10万キロワット級の小型炉から、現在主流の100万キロワット級まで対応できるとテラパワーではみている。

 これとは別に、東芝は30年連続運転が可能な出力1万キロワットの超小型原子炉を開発済み。今秋に米国の規制当局に認証を申請し14年にも1号機を着工する計画だ。TWRと技術面で共通点が多く、東芝は関連技術の8割を転用できるとみている。ただ長期間の核反応にも耐えられる原子炉材料の開発が欠かせないなど課題もあり、実用化には10年以上かかる見通しだ。

 現行の原発に比べ、維持管理が容易で建設・運用コストも安い次世代炉は、広大な国土を持つ新興国などの需要が期待できる。商用化に成功した場合、東芝が原子炉の量産を手掛けることになる見通しだ。

 テラパワーは2000年設立の技術開発会社を母体とし、ゲイツ氏が事実上のオーナーになっている。原発事業では機器製造のノウハウが不可欠なため、原発建設で実績のある東芝に協力を要請。東芝は自前の技術を応用しながら原発事業を拡大できると判断し、連携を決めた。

 経済協力開発機構(OECD)によると世界のエネルギー需要は新興国の経済成長を背景に急増し、2030年に石油換算で168億トンと07年の1・4倍に拡大する見通し。地球温暖化を防ぐには二酸化炭素(CO2)を排出しない原発の整備が急務で、日本、米国、中国、ロシア、インドの5カ国だけでも約150基の原発新設が計画されている。

 ▼TWR 次世代原子炉の一つ。すでに実用化されている原子炉では燃料に濃縮ウランを使うが、TWRはウラン濃縮時の副産物である劣化ウランを燃料にできる。運用コストを抑えられ、途中の燃料補給なしで長期間の発電が可能になる。制御棒が不要で安全性も高いという。東芝が開発した超小型原子炉「4S」とは冷却材にナトリウムを使うなど技術面で共通性が高い。対応できる出力に差があり、すみ分けは可能とみられる。

 「電子版」(http://www.nikkei.com/)には、このニュースの舞台裏を描いた特集記事も掲載しています。


ゲイツ氏、東芝と次世代原子炉、原発勢力図塗り替えも、炉材料の開発には時間。
2010/03/23 日本経済新聞 朝刊 11ページ

 米マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏と東芝が共同開発する次世代原子炉「TWR」は軽水炉の利用を前提とした現在の原子力発電インフラを大きく変え、業界勢力図の塗り替えにつながる可能性を秘める。管理・保守が比較的容易なため原発を新たに導入する新興国にも需要が見込めそうだ。ただ安全が最優先される原発だけに課題も少なくない。TWRの特性を生かすには長期間にわたり核反応に耐えられる原子炉材料の開発が欠かせず、実用化までは相当な時間がかかる見通し。(1面参照)

 米テラパワーが開発を進めるTWRは、天然ウランや、天然ウランから原発燃料をつくる際に生じる「劣化ウラン」を燃料に使いながら、軽水炉よりも高効率・長期間の運転を目指しているのが最大の特徴だ。

 現在の軽水炉は燃料の確保から運転、燃料の再処理にいたるまで、巨大なインフラが必要だ。燃料は天然ウランにごく微量しか含まれていない「ウラン235」を抽出して3~5%に濃縮し、成型加工する国際的なサプライチェーンから調達している。

 使用済み燃料を再処理して燃料として再利用する「核燃料サイクル」の構築にも巨額の費用がかかる。日本は青森県六ケ所村に再処理工場を建設中だが、技術上の問題から稼働開始が遅れているのが実情だ。

 天然ウランや劣化ウランを燃料に使え、核廃棄物も減らせるTWRが実現すれば、軽水炉には不可欠なこうした巨大インフラが将来は不要になる可能性がある。軍事転用のリスクがあるウラン濃縮工程も要らず、製造や輸送プロセスでの核拡散のリスクも減る。

 出力が10万キロワットからと比較的小さく、最長100年間、ほぼメンテナンス不要で稼働する特性は原発の導入実績のない新興国には魅力に映りそうだ。原発の運転には原発を監督する政府、運転する電力会社ともに相当な人的資源が必要だが、稼働実績がある先進国以外でも導入しやすい。

 ただ、実現までのハードルは高い。実用化には各国政府の規制当局から設計認証を得る必要があるが、当局は電力会社が実際に建設を予定している案件の審査で手いっぱいなのが実情だ。原発は安全が最優先だけに、先進的な設計を盛り込んだ原子炉の認証は遅れたり、後回しになったりする傾向が強い。

 日本は原発建設で世界トップクラスの技術力を持ちながら、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビ首長国では韓国に、ベトナム第1期分はロシアにそれぞれ敗退した。東芝は米ウエスチングハウスを傘下に持ち、実質的には日米連合だ。ゲイツ氏との共同プロジェクトは東芝にとって新たな原子炉をラインアップに加える効果がある。日本にとっては世界の原発商談で技術力を再評価させる好機ともなる。


ゲイツ氏、東芝と次世代原発――イノベーション、資産家も担い手(解説)
2010/03/23 日本経済新聞 朝刊 1ページ

 ビル・ゲイツ氏は今回、マイクロソフトの業務とは関係なく、個人の投資活動の一環として次世代原子炉の開発に乗り出す。従来なら原発の開発やインフラ整備など大規模プロジェクトは政府や大企業が担い手になってきたが、巨額の資産を持つ個人が富を還流させる形でイノベーション(技術革新)を生み出そうという新たな試みになる。

 米フォーブス誌によるとゲイツ氏の資産は530億ドルで世界2位。資産運用会社を通じ、鉄道、通信、バイオ、素材など幅広い企業に資金を出す。2008年にマイクロソフトの経営から退いたゲイツ氏は貧困国救済に力を注いでおり、次世代原発が実現すれば地球温暖化防止にも寄与する。

 金融危機後の世界ではゼネラル・モーターズ(GM)が政府管理下に入るなど国家の存在感が増している。しかし一方で、アマゾン・ドット・コム創業者のジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)が宇宙船開発に投資するなど、経営者や投資家が私財を技術開発に投じる流れもある。今回、そのダイナミズムが巨大事業の原発にも及んだといえる。


<日経電子版記事>

「ゲイツ、原発挑戦の真相」 ゲイツ直筆のメッセージ(画像引用)
「ゲイツ氏、東芝と次世代原発 私財数千億円投入も」
「イノベーション、資産家も担い手 ゲイツ氏、東芝と次世代原発」
「既存原発インフラ一変も ゲイツ氏、東芝と次世代原子炉」
「TWRとは」
http://www.nikkei.com/


<関連記事>

Bill Gates Goes Nuclear
http://www.businessweek.com/innovate/next/archives/2010/02/bill_gates_goes.html

TerraPower raises its profile amid new focus on nuclear energy
http://www.techflash.com/seattle/2010/02/nuclear_energy_project_terrapower_raising_its_profile.html

Gates, Toshiba team up for nuclear reactor: report
http://ca.reuters.com/article/technologyNews/idCATRE62L5SC20100322