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蛇信仰と注連縄:吉野裕子の「猿田彦=蛇神=伊勢大神」説2009/09/03 08:43

吉野裕子全集〈第5巻〉日本人の死生観・陰陽五行と日本の民俗


カラスもびっくり。猿田彦は蛇神か?!


<以下、吉野裕子全集〈第5巻〉P118~119より引用>

天照大神は、この祖霊の蛇としての伊勢神宮を祀り、この蛇と交わるべき最高の女蛇巫(へびふ)であった。しかし時代がたつと、皇室の祖が蛇であってはならなくなり、最高女蛇巫はその祭祀対象であった伊勢神宮に自身を昇格させて、天照大神となる。

いっぽう、蛇巫であった頃の天照大神の面影を伝えるものは天鈿女、祖霊の蛇の名残をとどめるものは猿田彦、というふうに分化、伊勢大神という祖霊の蛇は、表面からはまったく姿を消したのである。


さきにわたしは、天孫を迎え出た猿田彦こそ伊勢大神であり、かつ蛇神であろうと推測したが、『日本書紀』によれば、その猿田彦は五十鈴川の川上に向かったということである。ここに「五十鈴川に祀られる神こそ伊勢大神の前身である」という古伝承を合わせると

猿田彦=五十鈴川の神(『日本書紀』)
五十鈴川=竜蛇=伊勢大神(古伝承)

ということになり、猿田彦が蛇神で伊勢大神であろうという推測が、にわかに現実性を帯びて迫ってくるのである。


<関連書籍>

吉野裕子全集〈第5巻〉日本人の死生観・陰陽五行と日本の民俗
http://www.amazon.co.jp/%E5%90%89%E9%87%8E%E8%A3%95%E5%AD%90%E5%85%A8%E9%9B%86%E3%80%88%E7%AC%AC5%E5%B7%BB%E3%80%89%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BA%BA%E3%81%AE%E6%AD%BB%E7%94%9F%E8%A6%B3%E3%83%BB%E9%99%B0%E9%99%BD%E4%BA%94%E8%A1%8C%E3%81%A8%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E6%B0%91%E4%BF%97-%E5%90%89%E9%87%8E-%E8%A3%95%E5%AD%90/dp/4409549928/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1251932532&sr=1-1

コメント

_ 猿田彦 ― 2009/09/03 13:58

そうですね、私は蛇かも知れませんし、よく見る赤い顔をした天狗かも知れません。

吉野裕子さんの「読み解き」(私は敢えて読み解きとしています)は、勝手な推測や思い込みとは全く違っています。
フィールドワークもよく行われていて、口承・伝承も丹念に拾いながら自身の感得に結びつけているところが良いのです。

私は彼女の「先人が残したものには必ず意味があるんです]
という姿勢が大好きです。

天皇自身が自分のことを全て語ることはないように、八百万の神々も自身を語ることはなく、真摯に読み解く人たちの解釈に任せるようにしています。

ただあまりにもいいかげんな、例えば吉野さんのような読み解きを「カルト」と決めつけて、学んでみようとしない人たちには悲しさを感じるので相手にしないようにしています。

_ Q ― 2009/09/03 23:25

蛇信仰というのは、世界中にあるんですよね。この信仰の普遍性は、比較神話学の話になってきます。出雲、大和でも、蛇信仰があった。

ただ、天照は、元々は伊勢の神様ではありません。天照が祀ってあった場所は大和であり、垂仁天皇の時代に、倭姫命によって伊勢に移されたとあります。

日本書紀~伊勢の斎宮
http://www.loops.jp/~asukaclub/syoki/syoki042.html

あと、興味深い資料

天照(アマテラス=女神)は、元は天照(アマテル=男神)だった? 男神の天照(アマテル)とは、天照国照彦(天火明命)のことであり、尾張氏の先祖でもある。ちなみに、この天火明命の兄弟に、皇室の先祖であるニニギ命がいる。

由緒・社伝と、現在の主宰神が微妙な違い!?

鏡作坐天照御魂神社
http://www.genbu.net/data/yamato/kagami1_title.htm
http://kamnavi.jp/mn/nara/kagami.htm

_ えの ― 2009/09/04 01:08

アメリカ椿大神社
http://www.tsubaki.or.jp/keidai/16.html
御祭神:猿田彦大神・天之鈿女命・天照大神・宇賀御魂神・米国国魂神
鎮座地:米国ワシントン州グラナイトフォールズ市(シアトル郊外)
17720 Crooked Mile Road, Granite Falls,Washington 98352
Tsubaki Grand Shrine of America & Tsubaki Kannagara Jinja
http://www.tsubakishrine.com/
七五三@アメリカ椿大神社
http://www.youtube.com/watch?v=IFkTWR1karU

_ Y-SONODA ― 2009/09/04 09:48

★猿田彦さんへ

吉野さんは久高島も何度も訪れているようです。
吉野裕子全集第12巻に「思い出の久高島」が収録されています。

★Qさんへ

やっぱりご自身のHPかブログで主張された方がいいのではないでしょうか。
ここのコメント欄だともったいないような気がする。

★えのさんへ

猿田彦米国進出というわけですね。
これは知らなかった。
どうも情報ありがとうございます。

_ とおる ― 2009/09/04 13:41

園田様
いろいろとご存知ですね。
主題とは異なりますが、次の言葉の"構造の由来"(重要度の高いほど音が短い。近隣諸国で似た構造の外国語)を、もしご存知か、関連の書籍などをご存知でしたら、いつか取り上げて下さい。

(1)一語(2音)
目(me)
歯(ha)
手(te)
血(chi)

(2)二語(4音)
鼻(hana)
口(kuchi)
耳(mimi)
足(ashi ⇒ 'ashi)
行く(iku ⇒ jiku, yiku)
来る(kuru)

_ えの ― 2009/09/05 01:08

鎌田東二編著「サルタヒコの旅」
http://www.sogensha.co.jp/libs/sgs/isbn.php?isbn=23017
『レヴィ=ストロースの特別寄稿、河合隼雄・鎌田東二による対談「日本神話とサルタヒコ」はじめ、旅する神ディオニュソスや孫悟空との比較、伊勢や九州など各地域でのサルタヒコ信仰の研究、手塚治虫『火の鳥』におけるサルタヒコ等の論考により、豊饒にして多層なサルタヒコの世界を探る。』

_ Y-SONODA ― 2009/09/05 11:34

★とおるさんへ

吉野裕子さんも「山の神」で蛇の古名について書いています。
「ハハ」と「カカ」とかなんとかかんとか。
ただし、近隣諸国の関係までは言及していません。
この手の本には似たような解説がよく登場するのですが、それほど説得力がないような。
皆さん、自分に都合がいいように適当に解釈しているという感じがします。
実際のところ、古代史同様にこれぞ真実と呼べるようなものはないのかも。

松本克己氏の本などは参考になるかもしれませんが、この方も少し偏りがあるような気がします(汗)

松本克己本
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_ss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%8F%BC%96%7B%8D%8E%8C%C8&x=12&y=20

★えのさんへ

ついに鎌田東二氏も登場ですね。
以前鎌田本を何冊か読んだのですが、ロマン主義がいささか気になりました。
この人もケルトに興味があるようですが、なぜか表面的なんですよね。
ヒッピー系の方なのでしょうかw

_ トンチンカン ― 2009/09/05 12:34

蛇と十字架—東西の風土と宗教
安田 喜憲 著

「森」の時代、豊穣の地母神との交合によって、森羅万象を生み出す「蛇」は、不死・再生そして生殖の象徴である主神であった。

こっちでは森の神になってますね。

_ とおる ― 2009/09/05 21:21

園田様
> 吉野裕子さんも「山の神」で蛇の古名について書いています。
> 「ハハ」と「カカ」とかなんとかかんとか。
再生を示唆する蛇の古名が、
「ハハ」 ⇒ 母
「カカ」 ⇒ 時代劇などで「カカさま~」(母の事)
と、再生を行う女性を指すのも、面白いですね。

> 皆さん、自分に都合がいいように適当に解釈しているという感じがします。
> 実際のところ、古代史同様にこれぞ真実と呼べるようなものはないのかも。
そうですね。
なかなか誰もが納得する証拠を探し出すのが難しいので、永遠に楽しめそうです。

> 松本克己氏の本などは参考になるかもしれませんが、この方も少し偏りがあるような気がします(汗)
面白そうな本を紹介して下さり、ありがとうございます。
さっそく、妄想の世界に入れそうです。
「少し偏り」は、大目に見ることにします。
まあ、大航海時代に、「西に行けばインドに到達する!」と言って、別の所に到達したように、どこに到達するか分かりませんが、いい刺激(脳内麻薬?)になりそうです。

_ Y-SONODA ― 2009/09/06 12:46

★トンチンカンさんへ

吉野氏と安田氏は交流があったみたいですよ。
安田氏の方が吉野氏から影響を受けたといった感じではないでしょうか。

★とおるさんへ

>いい刺激(脳内麻薬?)になりそうです
途中でこんがらがってきて、ツブツブのブツブツ君が見えちゃうかもしれませんよw

_ トンチンカン ― 2009/09/06 19:07

>吉野氏と安田氏は交流があったみたいですよ。

知りませんでした(汗)。その辺も見ていかないといけませんね。

_ Y-SONODA ― 2009/09/07 06:53

トンチンカンさんへ

民俗学者・吉野裕子さん(いま輝く人) 【大阪】
2000/01/24朝日新聞夕刊

 ○安田喜憲・国際日本文化研究センター教授(53)=環境考古学=の話

 吉野さんは学閥とか学界とかの権威とは無縁のところで研究を積み上げ、次々に新しい説を提示してきた。これが本当の学問の姿といえる。私は、古代ヨーロッパに登場する2匹の蛇が何を意味するか長いこと疑問に思っていたが、吉野さんの「絡み合った蛇は交尾しており生殖の象徴よ」というひと言で氷解し、著書『蛇と十字架』に反映させることができた。先生として敬服している。

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