東京新聞の抱腹絶倒トンデモ解釈記事、早くも2011年トンデモ記事大賞最有力候補に躍り出た鈴木伸幸と小国智宏と孫崎享 ― 2011/01/22 13:41
まずは該当公電内容を読んでみよう。
金星煥(キムソンファン)は「民主党(政権)は自民党(政権)とまったく異なる」とのカート・キャンベルの見解に同意し、平壌に対して予備交渉をする際はワシントンとソウルの連携が民主党にとっても重要との認識で一致した。
金星煥は北朝鮮が“民主党の扉をたたく=knock on the DPJ's door”ために、いくつかの異なるチャンネルを使っているのは明白だと語った。
金星煥は岡田外相(当時)や菅財務相(当時)のような民主党主要閣僚に直接接触することが重要とのキャンベルの指摘に同意した。
Kim concurred with Campbell's assessment that the DPJ was "completely different" from the LDP and agreed it was important for the DJP to coordinate with Seoul and Washington as it made preliminary overtures to Pyongyang. The North Koreans, Kim said, were clearly using several different channels to "knock on the DPJ's door." Kim acknowledged Campbell's point that it was important to reach out directly to key DPJ officials like Foreign Minister Okada and Finance Minister Naoto Kan.
http://www.guardian.co.uk/world/us-embassy-cables-documents/249859
この公電から真っ先に読み取れるのは鳩山内閣の北朝鮮外交に対する米韓の懸念。どのような形で北朝鮮が民主党に接触してきたのかも大いに気になる。
もし仮に北朝鮮からの接触に鳩山内閣が応じていたとすればどのような内容だったのか。それがもしうまくいっていれば、拉致問題解決につながっていたのか。さらには核問題解決につながっていたのか。そして、この公電から約1ヶ月後に起きた韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件を防ぐことができたのか。延坪島砲撃事件など起こりえなかったのか。
少なくとも新聞記者であれば、鳩山に直接取材することにより、北朝鮮接触の詳細を明らかにするべきだろう。その上で記事にするのなら大いに歓迎。その内容次第では鳩山再評価も巻き起こるというもの。
ところが東京新聞の抱腹絶倒トンデモ解釈記事は一体なんなんだ。デカデカと「米が望んだ菅首相?」と掲げながら、「漏えい公電“お墨付き”裏付け」とある。
この公電内容をどこからどう読めば、菅首相を米国が望み、そのお墨付きを裏付けることになるのか。鳩山が頼りないと思えば、岡田や菅に直接話をしようと思うのは当然のこと。また、先に名前があがっているのは岡田の方。東京新聞解釈だと菅の次は岡田ということになるのか。
さらにはツイッター界隈でトンデモ電波の達人として有名人になりつつある孫崎享まで担ぎ出し、またまたデカデカと「鳩山-小沢に不信感」と掲げ、その横で踊るは「基地・対中で思惑に沿わず」の文字。
どうしてここで小沢が出てくるの?しかもなぜか北朝鮮問題から対中国政策へとすり替わっている。
まだ1月にして2011年トンデモ記事大賞の最有力候補に躍り出た東京新聞。この記事を書いた鈴木伸幸と小国智宏、それに孫崎享の3人に素晴らしい賞品を用意しなくては。ムギュムギュできるパンダのぬいぐるみなどはいかがかな。
<関連記事引用(画像も)>
こちら特報部 米が望んだ菅首相?(上)
きょう「外交大方針」演説 漏えい公電“お墨付き”裏付け
2011/01/20 東京新聞朝刊
菅直人首相はきょう二十日、異例の外交政策に絞った演説を行い、「外交の大方針」を表明する。日米同盟を基軸としたアジア外交の新展開などが語られるとみられ、米国追従は、いよいよ鮮明となる。普天間飛行場移設、TPP(環太平洋連携協定)などの諸問題を一気に乗り切る構えだが、米国のお墨付きを得て政権浮揚を図るつもりなら、それは国益にかなうといえるのか。(鈴木伸幸、小国智宏)
「戦後最も親米的」とさえいわれる菅政権は、どのように誕生したのか。経緯は、昨年末に内部告発ウェブサイト「ウィキリークス」が公開した米外交公文書に垣間見ることができる。
昨年二月三日、ソウルでキャンベル米国務次官補(東アジア・太平洋担当)は韓国青瓦台(大統領府)の金星煥(キムソンファン)外交安保首席秘書官(現外交通商相)と面会した。その会談内容について要約し、在韓米大使館から本国へ送られた公電に、こんな記載がある。
「両者(キャンベル、金)は、民主党と自民党は『全く異なる』という認識で一致。北朝鮮との交渉で民主党が米韓と協調する重要性も確認した。また、金氏が北朝鮮が『複数のチャンネル』で民主党と接触していることは明らかと説明。キャンベル氏は、岡田克也外相と菅直人財務相と直接、話し合うことの重要性を指摘した」
この公電の意味を読み解くポイントは、米国が交渉の相手として当時の鳩山由紀夫首相ではなく、岡田、菅両氏を名指ししたことにある。
鳩山氏は、一昨年夏の総選挙前に、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題で「最低でも県外」と主張した。政権交代後に交渉に乗り出したが、米政府が猛反発し鳩山政権は迷走を始める。公電が打たれたのは、そんな時期と重なる。
総選挙で自民党候補が全滅した沖縄では「県外移転」への期待感は高まるばかり。その一方で、鳩山氏に対する米側の不信感は深まっていった。ソウルでの会談から二カ月後には、米紙ワシントン・ポストのコラムで鳩山氏が「ルーピー(現実離れした人)」と呼ばれ、笑いものにされる。
同じ頃、民主党の渡部恒三元衆院副議長は講演で「普天間問題を解決できずに鳩山君が責任を取ったら、おそらく菅直人君が(首相に)なるでしょう」と発言した。その言葉通りに、鳩山氏は急転直下で県外移転を断念し、六月に首相を辞任。後継首相となった菅氏は「普天間飛行場を名護市辺野古沖に移転する」という日米共同声明を尊重する意向を示した。
その後もロシアのメドベージェフ大統領の北方領土訪問や、沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件が発生すると、「日米関係の冷却が、周辺事情に影響した」という北方、中国脅威論が幅を利かせるようになった。
結果として、鳩山氏が打ち出した「東アジア共同体構想」は、いつの間にやら忘れ去られた。それは偶然の結末だったのだろうか。
こちら特報部 米が望んだ菅首相?(下)
鳩山-小沢に不信感 基地・対中で思惑に沿わず 識者「日本は追従・依存脱却を」
2011/01/20 東京新聞朝刊
新興国との関係も重要
元外務省国際情報局長で元防衛大学校教授の孫崎享さんは、ウィキリークスの公電が意味するのは、米国が鳩山首相(当時)と距離を置き、岡田、菅両氏を対話すべき相手と判断したということとする。「米国が同意したその後の『鳩山首相降ろし、菅首相誕生』のシナリオにつながった」とみる。
キャンベル氏は金氏と会う前日の昨年二月二日、小沢一郎・民主党幹事長(当時)と日本で会談している。孫崎さんは「キャンベル氏は、その際、小沢-鳩山ラインは米国の防衛戦略に乗ってこないと判断した。一つは在日米軍基地について米国側の意向に沿わない考え方をしていること、もう一つは対中国政策について、融和外交を進めようとしていたことだった」と指摘する。
代わった菅政権。孫崎さんは「米国にすべて丸投げしている」と批判。「普天間飛行場の辺野古移転方針、日米共同統合演習の実施、在日米軍駐留経費(思いやり予算)の維持など、米国側の意向の通りの施策を進めている」。だが、こうした「米国追従」は必ずしも安全保障にはつながらないというのが孫崎さんの意見だ。
「中国の軍事力は増大し、ミサイルの射程も延びている。もはや、軍事力に軍事力で対抗しようとしても効果はない」という。「中国とは激しく対立するのではなく、融和する道を模索するのが現実的だ」とした。
東京財団上席研究員の渡部恒雄さんは「鳩山首相の方針がぶれたことが、米国の不信を招いた」とみる。鳩山氏は、東アジア共同体構想と普天間飛行場の沖縄県外移設を打ち出した。「あくまで日米同盟を基軸にするのか、それとも米国から距離を置くことを意味するのか。鳩山氏ははっきりしなかった。米国側は疑心暗鬼になったのではないか」
一方、岡田氏に対する米国側の信頼は厚い。「岡田さんは米国に言いたいことは言うが、日米同盟を損なうようなことまでは言わない。米国側は、現実的な話ができる相手だと思っている。沖縄返還に関する密約問題を、日米関係に傷をつけずに処理したことについても米国は高く評価している」。菅首相の周辺にも米国との関係で現実主義をとるスタッフが多いという。
渡部さんは「依然として、米国の経済力や軍事力は、アジアで重要な位置を占めていることは否定できない。今後とも日米関係を重視していくほかない」と話す。ただ「対米追従」という言葉には隷属的なマイナスイメージがあるが、今後は、精神的な依存体質からは脱却し、大人の関係を築くべきだという。
「鍵は東南アジアにある」というのが渡部さんの見方。「東南アジアは経済が急成長しているが、台頭する中国と、影響力を保持しようとする米国のバランスの上にある。東南アジアの国々は、適度なこのバランスの維持のために日本が積極的に関与してほしいと期待している。東南アジアとよい関係を築いてきた日本にはそれが可能だ」
対中国については、「敵対するのではなく、米国と協力して国際社会に組み込む方向に持っていくことが重要だ」という主張だ。
TPPへの参加は、米国主導ではない、アジア全体の経済発展という視点からも見る必要がある。インド、ブラジルなど日本と友好な関係にある新興国はほかにもある。「日本は日米関係だけを考えるのではなく、日米を基軸にしつつも、新興国との関係にも積極的にコミットしていかなければならない」と指摘する。「それが、本当の意味での『平成の開国』といえるのではないでしょうか」
◇
デスクメモ
菅首相が就任の演説で「学生時代に国際政治学者、永井陽之助先生の『平和の代償』を読んだ」とエピソードを披露したのを思い出した。米軍基地も思いやり予算も「平和の代償」と説く本である。あのとき、晴れの舞台で、語りかけた言葉の先には、誰がいたのだろうか。もちろん国民と思いたいが。(充)
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