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吉田タヌキとバック・パッシング2009/07/05 00:48

宰相吉田茂 (中公クラシックス) 高坂正尭 (著)


ついに「米国傘いらねー論」から「米軍いらねー、米国いらねー論」に発展してきました。

自分たちで自分の国を守ってこそ真の独立。
こんなことは確かに当たり前のこと。
大いに議論が盛り上がることを期待しています。

とはいえ、私自身はかなり見方が違います。
だって私は変人の王様だも~~ん。

<普通の日本人の見方>
日本は米軍によって守られている。よって心ある人は真の独立を目指そうとする。

<変人の王様の見方>
日本は米軍を利用している。もっともっと利用しまくって骨までペロペロムシャムシャしてやろうぜ。
これができるのも憲法9条あればこそ。よって憲法9条大幅改正反対。

私は吉田茂本をほとんど揃えて読んだために変人の王様になっちゃった。
正直言って、右も左も吉田の評価が低すぎる。

勇ましく真の独立を目指すのもいいですが、少しは吉田タヌキを見習いましょう。
少なくとも戦死者の数は大きく違ってきますよ(ここが特に重要)。

リアリズム理論を借りれば、憲法9条というのは米国から日本へのバック・パッシングを封じるばかりか、日本が米国に対してバック・パッシングを仕掛けることができるという優れものなのです。

だって北朝鮮の直接的な脅威にさらされているのは日本のはずなのに、「憲法9条あるから無理なんですよ。米国が守ってよね。ねーねー、米国が北をやっちゃってよ」と言えるでしょ。
それでも米国が動こうとしなければ、「日本も核持っちゃおうかな~」と仄めかす。
今まさに北のミサイル連射を見ながら、誰かが米国に言っていると思います(笑)

このことに気付いている日本人は今のところ私だけかな~。

皆さんのご意見も聞かせてくださいね♪


<関連サイト>

「バック・パッシングについて」
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k6/161218.htm

<画像書籍>

宰相吉田茂 (中公クラシックス) 高坂正尭 (著)
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%B0%E7%9B%B8%E5%90%89%E7%94%B0%E8%8C%82-%E4%B8%AD%E5%85%AC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9-J31-%E9%AB%98%E5%9D%82-%E6%AD%A3%E5%B0%AD/dp/4121600932/ref=sr_1_1?ie=UTF8&s=books&qid=1246722888&sr=1-1

コメント

_ (未記入) ― 2009/07/05 01:46

同意します。私もそのような考えです。
しかし同時に、アメリカを骨の髄までしゃぶり尽くした後の対応も考えなくてはならないと思いますが。

_ Blondy ― 2009/07/05 03:19

>これができるのも憲法9条あればこそ。よって憲法9条大幅改正反対。

御意。

今こそ世界の中心で日本核武装を叫ぼう ―
2009/06/01
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/06/01/4335426

のコメント欄で述べた小生意見の基本はまさにこれ。
9条あればこそ。

アメリカは一国家でもあるが、同時に世界帝国の主運営者の立場。

今後、世界帝国の運営において複数の他のスーパーパワーの参画度合いが強まりアングロアメリカンとその他が力を合わせた共同統治方式になる可能性もあるが、いずれにしてもグローバル自由市場資本主義のテーブルは誰も崩したくないので世界帝国の管理者をどこかがやることになるのは必定。

グローバル自由市場資本主義のテーブルを保護し、基軸通貨制度を立て直し、ソブリニティを漸減的に弱め、国連軍の機能を拡充しつつ国際連合2.0を強化し、核拡散防止を徹底するというのが大きな流れでしょう。

 そもそも戦争は外交の延長であり、他国への先制攻撃や侵略戦争も通常のソブリニティにとっては選択肢の一つ。
ヤーさんが費用と落とし所を考えつつ、カチコミをしたり出入りをしたりするのと同じである。(もちろんヤーさんは他の組との揉め事から警察に守ってもらおうなんてはなから思ってもいない。自分で落とし前をつける。)

国際社会のソブリニティがほとんど実態はほぼヤクザと同じルールで暮らしているなかで、『自分からカチコミしたりシマ荒らしをしかけたりはいっさいしません。自分の家の敷地の中での正当防衛はやりますが、敷地の外に出て暴力は一切振るいません』というラディカルな堅気宣言を憲法に書き込んで一人だけもたされているのが日本。

園田さんの言うように、この僥倖をポジショニングに活用しない手はない。

おそらく強いソブリニティを持つ国民国家はそろそろ時代おくれ。今後、世界権力が強くなれば、国の位置づけは今までの国における県や市の役割に近くなっていく方向。

それを先取りしているのが日本。だから日本だけ堅気。
だから横田基地には国連旗と星条旗と日の丸がはためく。

しかし、もしアングロアメリカンが仕切るグローバル自由資本主義市場のテーブルが壊れて、世界がブロック経済化し、市場囲い込みのための大戦争が始まる段階に至ってしまった場合は、日本も核武装して身を守るのは当然。 

従って、日本はいつでも核武装するだけのマテリアルと製造技術及び運搬技術を持ちつつ、グローバル自由資本主義市場のテーブルを仕切るアングロアメリカンと深い協調体制を維持してその核の傘に入り続け、核武装はいつでもできるけど自制しながら、9条を楯に堅気のタヌキの旦那衆としてしたたかに生きるという現在のあり方がベストでしょう。

_ Blondy ― 2009/07/05 04:19

>自分たちで自分の国を守ってこそ真の独立。

王さまの足元にも及びませんが、私もいささか変人の口なのかこういうのが気になっちゃうんですよネー。なにせ先輩達が国体護持で墓穴を掘ってますから。

まー、軋轢の多い国際関係というジャングルの中におかれた、国民国家という比較的歴史が新しい概念と各個人のスタンスの取り方にはいろいろありますね。

① 国民国家が自らの命運は自らで決めるということはあたりまえだ、その立場は犠牲を払ってでも守り抜く。それが国民の義務であり、正しい生き方だ。(国があっての自分)
② 力関係によっては、妥協の結果、属国になってもよい、一時的に奴隷になってもかまわない。戦火で大勢が死ぬよりましだ。(国より自分)
③ カントリーリスクが高まったり居心地が悪くなったらさっさと別の国に引っ越す。(自分自身が国)

日本は、前回の戦争において、テロと特高弾圧の恐ろしさに世論が凍り付いたまま、軍官閥に引きずられて、着地シナリオも持たずにもとから勝てる見込みはずのない戦端を開いた。
開戦後は停戦の機会を逸し続けて、敗色が鮮明になっても、国体護持という観念に拘って、空襲で全土が焦土となり、物資が払底しても、軍官閥は責任問題になるので敗戦を言い出せず、天皇も軍部が怖くて、原爆で軍部が止めを刺されるまで、戦争をやめると言いだすことが出来なかった。

問題は、①の路線で国体護持という思想を担いで総力戦を統帥する権力を握った軍官閥の暴走と自己保身。

官僚や大企業に勤めるまじめなエリートの多くはいまでも①かな。ちょいワルとかすれっからしが②か。
③ は日本人にはなじみがある人は少なさそうだが世界には結構いる。

皮肉にも①の路線で戦って敗戦した日本は、鬼畜のはずの米英(笑)に、食糧難を救ってもらい、自由民主主義路線を育成してもらい、再び世界市場に門戸を開いてもらって高度経済成長の機会を得て、いまや世界的な技術大国となり金融大国となった。

① は②③を亡国論者といったり売国奴とののしる。
しかし②③はたしかに見方によっては売国奴かも知れないが、人的損害として亡国につながる可能性があるのは、じつは①ではないのか。。。

昔は戦争は侍の仕事であり、傭兵の仕事であったのが、国民国家成立のおかげで国民皆兵、国家総動員令、総力戦とどんどん一般人を巻き込んで、それを統制する官僚の仕事と権力が増える方向に向かったのではないのか。

国民国家の独立自尊ドグマの上に官僚組織の独善・暴走と自己保身が展開し、そこに兵器の進化が相まつことが私には一番怖いことのように思えます。

これを防ぐためにはどうすべきか、その議論は別途機会を見つけてやりましょう。

_ 和平治 ― 2009/07/05 06:26

憲法九条があればこそ、世界状勢がどんな状況に陥ろうとも、日本という国家の立つ瀬もあろうというものです(だからこそ、園田さんを高く買っているしだいです)。

打算ももちろん有りますが、願わくばここは真摯に、戦争という「脅威を煽る」ことなく、世界に冠たる「平和憲法」を戴く国家として(今後も通商国家として生き残っていこうとするのであれば、なおさら)、傘があろうとなかろうと「能天気なとぼけ役」を演じきっていただきたいものです。

私も、吉田茂を、徳川家康なみの「喰えない狸爺(じじい)」と高く評価しています。

「敬天愛人」、理想論はえてして時代を司る者には嫌われがちですが、時代を超えて人々の共感を得つづけるもののようでもあります。
もっとも勘違いの理想家も多いようですが。

いま望まれるのは、むしろ、大久保利通のような存在でしょうか。
しかし、これもやはり危ういですね。
龍馬や海舟や、益田翁のような存在が輩出することを期待したいところですが、もう少し時間が必要なのかもしれませんね。

私はむしろ、こんな時代だからこそ、ここは徹底的に「鳩ぽっぽ」を演じきってもらいたい、そんなことを愚考するしだいです。

_ (未記入) ― 2009/07/05 09:24

そういえば天木直人も同じ理窟で9条改正反対してましたね。

_ とおる ― 2009/07/05 11:36

> リアリズム理論を借りれば、憲法9条というのは米国から日本へのバック・パッシングを封じるばかりか、日本が米国に対してバック・パッシングを仕掛けることができるという優れものなのです。

いい視点です。
日本の過去を振り返れば、軍事力を幕府に預けて平和ボケした公家世界、しかしながら、軍事にはシビアな武家社会の両立をしてきた歴史があります。
これを現在にも適用できない訳はありません。
利用できるものなら、何でも利用しましょう。
中国が経済力をつけてきて日本を抜いて米中のG2体制という話もありますが、中国は規模だけは大きくても、その幅・深みは粗末です。G2体制で、米中の正面衝突も結構。日本は、陰に隠れて、様子をみましょう。(米国を後ろで支援しながら)

_ えの ― 2009/07/05 12:01

用心棒の先生にはみかじめ料分は働いていただきたい。
在日米軍関係経費(平成21年度予算)
http://www.mod.go.jp/j/defense/US_keihi/keihi.html
思いやり予算
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%80%9D%E3%81%84%E3%82%84%E3%82%8A%E4%BA%88%E7%AE%97

_ ピー岩山 ― 2009/07/05 13:24

バック・パッシングなんて戦略もあるんですな。
たしかにうまくいってくれれば理想的ではないにしても、いい方法かと思います。

>これができるのも憲法9条あればこそ。よって憲法9条大幅改正反対。
賛成です。
ただ用心棒がかなり弱ってきて(ワザとの自演??)手が回らないようなときは、
 自前で体力つける。
 用心棒を元気づけるためお金をあげる。(みかじめ料は本当に多すぎるのか?)
 けんか弱いけど、突っ込む
どれかな?ーーと
あと、個人なら逃げる、というご意見もありましたね。

最近自分がどの立場かよくわからないのです。(特に園田さんのブログ見始めてから!!)
だれもがブレずにベストな選択ができるのでしょうか?
うーーん。わからん

_ アルルの男・ヒロシ ― 2009/07/06 08:29

私にバックパッシング論に気づかせてくれたのが保守で中国嫌いの堤堯さんの『昭和の三傑』(集英社インターナショナル)だったのは意外なところです。彼の活動しているWLLという雑誌は馬鹿ばかりなのに。

護憲保守というのは日本では無視されていますね。

_ Y-SONODA ― 2009/07/06 08:30

★未記入さんへ

>アメリカを骨の髄までしゃぶり尽くした後の対応

米国衰退論というのは左派の希望的観測が大きく影響しているようなw
当分大丈夫ではないでしょうか。

★Blondyさんへ

>① 国民国家が自らの命運は自らで決めるということはあたりまえだ、その立場は犠牲を払ってでも守り抜く。それが国民の義務であり、正しい生き方だ。(国があっての自分)
>② 力関係によっては、妥協の結果、属国になってもよい、一時的に奴隷になってもかまわない。戦火で大勢が死ぬよりましだ。(国より自分)
>③ カントリーリスクが高まったり居心地が悪くなったらさっさと別の国に引っ越す。(自分自身が国)

うまくまとめていますね~。
実は私も①を主張する人たちがどうも信頼できない。
どうしても嫌な歴史を思い出してしまうからでしょう。
この点を踏まえて主張していただければそれなりに説得力もあるかもしれませんが、
未だにそのような人物が見当たらないような気がします。

②については、卑下感情が垣間見える属国という表現が好きではないので、敢えて「利用している」と考えた方がいいと思っています。

以前から少し気になっているのは安全保障分野で経済を持ち出していいものかどうか。
この方面で日本ではジョセフ・ナイなどを支持する人も確かに多いのですが、
リアリストたちの中には批判も出ていることは気にした方がいいかもしれませんよ。

★和平治さんへ

>平和憲法を唱えて「鳩ぽっぽ」を演じきる

うーーーん。こまってしまって ワンワンワンワーン♪

★とおるさんへ

遅かれ早かれ米中は衝突するのでしょう。
衝突することがわかっているからG2で回避しようとしているのかも。
このときに備えて日本は憲法9条温存。
これがなかなかわかってもらえないんですよねー。

★えのさんへ

>用心棒の先生にはみかじめ料分は働いていただきたい

あはは、なかなか鋭い指摘ですね。
それでは実際再軍備をしていた場合の費用はどうなっていたか。
真の独立を目指そうとすると実際いくらかかるのか(米国の支援あり、支援なしの場合)。
このあたりを試算して比較する必要はあるかもしれませんね。

★ピー岩山さんへ

>最近自分がどの立場かよくわからないのです。(特に園田さんのブログ見始めてから!!)

ありゃま。混乱させちゃったみたいですね。申し訳ない。
あくまでも私個人の見解なので適当に流してやってくださいw
それぞれにベストな選択を考えればいいのです。
いいアイデアが思いついたら教えてくださいね。

_ Y-SONODA ― 2009/07/06 08:39

アルルの男・ヒロシさんへ

私の本でも紹介した『昭和の三傑』はなかなか渋いですよね。
でも天木さんにしてもバック・パッシング封じ中心の内容。
米国に対してバック・パッシングを仕掛けることができるという点は踏み込んでいなかったような。
その方法はイラク戦争でのイスラエルから学ばなきゃね。

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_ 無名天地 - 2009/07/05 16:29

 基本事項をおさらいしよう。1. 北の目的は独立した主権国家としての存続2. それを約束するであろう核を自発的に放棄することは無い3. 中国は、少なくとも米軍が韓国にいる間は北を緩衝地帯としたい4. アメリカにとって朝鮮半島の戦略上の優先順位は低い5. オバマ政権の最優...