3月20日の期限切れ迫る! デフォルトに向けて漂流するギリシャ、大暴れのS&P、ほくそ笑むヘッジファンド ― 2012/01/17 08:27
<関連記事>
S&Pクレーマー氏:ギリシャの債務交換交渉、「時間切れ間近」
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXWTW307SXKX01.html
1月16日(ブルームバーグ):米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の欧州ソブリン格付け担当マネジングディレクター、モーリッツ・クレーマー氏はギリシャの債務交換に向けた交渉について、同国と債権者側は合意成立まで「残された時間は少なくなりつつある」と指摘した。
クレーマー氏はブルームバーグテレビジョンの番組でインタビューに答え、「現行の厳しい交渉の末に妥結するかどうかを予想困難だ」と語り、「現在、多くの駆け引きが展開されている」と述べた。
ギリシャが145億ユーロ(約1兆4000億円)規模の国債償還を迎える3月20日までに合意しなければならない。クレーマー氏は「無秩序なデフォルト(債務不履行)が起きれば、他のユーロ導入国に甚大な影響をもたらしかねないことを」政策当局者は認識するだろうと述べた。
同氏は、「こうした状況を避けようとする大きな政治的意志が存在すると私は理解しており、そのために駆け引きはなお続いている」とした上で、「交渉は若干長引く恐れがあるが、両者に残された時間はゆっくりかつ確実に少なくなりつつある」と付け加えた。
ギリシャ、近くデフォルトと確信─S&P=ブルームバーグTV
2012年 01月 17日 04:23 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE80F00L20120116
[ロンドン 16日 ロイター] 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)の欧州ソブリン格付け部門責任者モーリッツ・クレーマー氏は16日、ギリシャが近くデフォルト(債務不履行)するとの見方を示した。
クレーマー氏はブルームバーグテレビに対し「ギリシャは間もなく債務不履行となるだろう。難航している債務交換協議の末に、解決策が見出されるかどうかは分からない」と指摘した。
その上で「瀬戸際戦術がいたるところで使われている。無秩序なデフォルトは他国にも影響を及ぼすため、政策担当者は避けようとするだろう。まだ駆け引きは続いている」とした。
欧州危機:揺れる世界経済 ユーロ、一時96円台目前 「90円台前半」視野に
http://mainichi.jp/select/world/news/20120117ddm002020070000c.html
◇ギリシャ不安で売りに拍車
欧州債務危機を背景に、外国為替市場で単一通貨ユーロの価値が低下を続け、16日は一時1ユーロ=96円台目前まで売られた。米大手格付け会社による欧州9カ国の国債一斉格下げがきっかけだが、危機の火元となったギリシャの債務(借金)削減交渉が難航していることも加わり、「ユーロ離れ」が加速しているためだ。市場では「1ユーロ=90円台前半」が視野に入ったとの見方が強い。円高が続けば欧州向け輸出が冷え込み、日本経済への影響も懸念される。
先週末13日のスタンダード・アンド・プアーズ(S&P)のフランス国債などの一斉格下げを受けて迎えた週明け16日の東京外国為替市場は、一時1ユーロ=97円04銭と約11年ぶりの円高・ユーロ安水準となり、ユーロ安は一段と加速した。午後5時時点は前週末比1円37銭円高・ユーロ安の1ユーロ=97円24~28銭。
もう一つの米大手格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは16日、フランス国債の格付け見通し(現在は最上級のAaa=トリプルA=で安定的)について3月末までに再検討すると発表したが、他の国債については「格下げに動くとの観測が根強い」(塚田常雅・三菱UFJ信託銀行グループマネジャー)との見方もある。
銀行など投資家は大手2社が格下げで足並みをそろえれば、格下げされた国債を売り、代金のユーロを円やドルに換える動きを強めるとみられ、ユーロが一段と売られる構図となる。
また、ギリシャでは、国債を持つ銀行団との債務削減交渉が難航している。借金削減はギリシャが欧州連合(EU)などから引き続き資金支援を受ける前提条件。交渉が破談になれば、3月20日に期限を迎える多額の国債償還ができず、借金返済が滞って「デフォルト(債務不履行)」に陥る可能性が強まる。
「ユーロの番人」・欧州中央銀行(ECB)が欧州経済の悪化を食い止めるため追加利下げに動くとの観測があるのもユーロ安の原因だ。金利が低くなれば、ユーロに投資してももうけが見込めず、売られやすくなるからだ。
16日の東京債券市場は長期金利の指標10年物国債の利回りが低下(国債価格は上昇)し、0・935%と約1年2カ月ぶりの低水準となった。欧州危機への反動で相対的に安全な資産とされる日本国債が買われた形だ。
しかし、円が高止まりする状態が続けば、欧州向け輸出製品の値段が上がって売れにくくなり、輸出企業の業績悪化が懸念される。市場では円高反転には危機の抜本解決が必要との指摘が多いが、「その道のりは遠い」との見方が強い。【窪田淳】 毎日新聞 2012年1月17日 東京朝刊
静かにデフォルトにむけて漂流するギリシャ
総選挙を前にあきらめムードが蔓延
2012年01月17日07:07
http://markethack.net/archives/51797359.html
「もうジタバタするのはやめよう」
そういう陰鬱な諦観がギリシャを包んでいます。
ギリシャは去年の11月に尊敬されるテクノクラートであるルーカス・パパデモスを首相に迎え、最後の財政改革を試みました。
しかし結果はこれまでと同じ。財政赤字削減目標はウヤムヤのまま手つかずにされています。
例えばギリシャは650億ドルの国家資産の売却をトロイカに対して約束していますが、現在までに実施されたのはニューヨーク・タイムズによると20億ドルのみです。
さらに3万人の公務員削減計画は実際にはこれまでに1,000人が削減されたにとどまります。
パパデモス首相本人は真面目だし、真剣にギリシャの財政の立て直しに取り組もうとしていますがギリシャは4月に総選挙を控えている関係上、議員さんたちは有権者からの不評を買うようなことは一切したくないとタヌキ寝入りを決め込んでいます。
この総選挙自体、そもそも2月に計画されていたのが4月に延期されたのです。その狙いは「先ず追加支援金をトロイカ(EU、IMF、ECBのこと)から貰って、それから選挙に臨もう」という点にあります。追加資金さえイタダキにすれば、後は約束を反故にしても大丈夫だろうという読みがそこにあるわけです。
トロイカの方も「もう騙されないぞ」と態度を硬化させており追加支援金の支払いをストップする決意を固めつつあります。
今回の選挙で特に残念なことはそもそもギリシャ危機の発端を作った放埓な支出で知られる新民主主義党(ND)が「節約反対!」を唱える事で国民からの支持を伸ばしている点です。
与党の全ギリシャ社会主義運動(PASOK)は来る選挙でかなり議席数を失うと見られています。
つまりギリシャは既に改革への意思も希望も失っているということです。
後はギリシャのデフォルトが秩序だったものになるか、それともハチャメチャなものになるかだけです。
S&PがEFSFを1段階格下げ、見直しの可能性も示唆
2012年 01月 17日 07:01 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTJE80F00C20120116?sp=true
[ブリュッセル 16日 ロイター] 格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は16日、欧州金融安定ファシリティー(EFSF)の発行体格付けを「トリプルA」から「AAプラス」に1段階引き下げた。見通しは「デベロッピング」とした。
またEFSFの長期債券格付けも「AAプラス」に引き下げた。
S&Pは今回の決定について、中核国フランス・オーストリアの格下げを受けてほぼ不可避だったと説明。「EFSFの保証提供国やEFSF債券を裏付ける証券の信用度が低下しており、これを相殺するだけの信用補完が現時点では行われていない」と指摘した。
EFSFの実質融資能力は4400億ユーロ。これはユーロ圏の「トリプルA」格付け国の保証に裏付けられているが、仏・オーストリアの格下げを受け、残る「トリプルA」格付け国はドイツ、ルクセンブルク、フィンランド、オランダの4カ国のみとなった。
S&Pの格下げを受け、EFSFのレグリング最高経営責任者(CEO)は、EFSFの実質融資能力を4400億ユーロに維持する方針を表明した。
CEOは「格付け会社1社が『AAプラス』に格付けを引き下げただけでは、EFSFが持つ4400億ユーロの融資能力を弱めることはない」と主張。「欧州安定メカニズム(ESM)が発足する2012年7月まで、EFSFは現在および潜在的な将来の調整プログラムに基づき、責務を果たす十分な手段を備えている」とした。
<S&P、格付け見直しも示唆>
長期的には、他の主要格付け会社であるフィッチ・レーティングスやムーディーズもEFSFの格下げを決定した場合、EFSFが融資能力を維持するには、低い格付けで債券を発行し、資金調達コストの上昇を容認しなければ、EFSFが融資能力を維持することは不可能とみられている。
EFSFが格付けを最上級とするためにドイツ、ルクセンブルク、フィンランド、オランダの4カ国に保証枠を上積みするよう要請する選択肢もあるが、4カ国が保証拡大を受け入れる公算は小さい。
だがS&Pは、EFSFが信用補完を提供する方策を見出すことができれば、今回の格下げを見直す可能性に言及している。
「EFSFのメンバー諸国が、信用補完の選択肢を模索している可能性を認識している」とし、「とりわけ『トリプルA』格付けを有する保証提供国や『トリプルA』の証券により、EFSFの長期債務が完全に裏付けられているとわれわれが十分に判断できる水準まで、EFSFが信用を補完することができれば、EFSFの長期格付けを『トリプルA』に戻す可能性が高い」との見解を示した。
3月20日のギリシャ・デフォルトに賭けるヘッジファンド、その狙いはCDS保険料
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/01/14/6290646
コメント
_ 破綻させたほうが得するヘッジファンド ― 2012/01/18 08:55
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<関連記事追加>
欧州経済
再びギリシャに迫るデフォルト危機
The Focus Returns to Greece
債務免除に応じるより破綻させたほうが得をするヘッジファンドとの協議が難航中
2012年01月17日(火)17時44分
マイケル・ゴールドファーブ
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2012/01/post-2402.php
昨年、世界を震え上がらせたギリシャ危機が再燃しそうだ。悪くすると今度こそ、債務不履行(デフォルト)に陥りかねない。
ギリシャ国債を保有するEUなどが債権の一部放棄を含む大型支援策に合意したのは昨年11月。首相も交代し、ギリシャのデフォルトから第2の世界金融危機が始まるという悪夢のシナリオはなんとか回避された。
だがここへきて、イタリアで国債の利回りが急上昇。先週には米格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)がフランス国債の格付けを最上位のトリプルAから一段階引き下げ、他の欧州8カ国も一斉に格下げされると、ギリシャ情勢が再び欧州債務危機の焦点に浮上してきた。
ギリシャがEUとIMF(国際通貨基金)の支援を受け続けるには、ギリシャ国債を保有する民間債権者から債務の減免を受けることが条件の1つとなっている。現在、民間の銀行やヘッジファンド(利害が一致するとは限らない)とギリシャ当局の間で、債務減免の際の金利水準をめぐる協議が続いているが、交渉は暗礁に乗り上げている。
EU、IMF、ECB(欧州中央銀行)で構成し「トロイカ」とも呼ばれる3者合同調査団も、集中協議のため今週アテネに飛ぶが、先行きは不透明。交渉が決裂すれば、3月20日に期限を迎える多額の国債を償還できず、デフォルトに陥る可能性が強まる。
英ガーディアン紙のラリー・エリオットは協議の内実を見事に形容している。「これはサルトルの(有名な戯曲)『出口なし』の国際金融バージョンだ。互いに相手を嫌っている3者(ギリシャ当局と民間債権者、トロイカ)が一部屋に長時間閉じ込められるという地獄だ」
最大の難関は、一部の債権者が50%の債務免除(ヘアカット)を受け入れない可能性がありそうなこと。彼らはギリシャがデフォルトした場合にクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)で保険金を受け取る契約を結んでいるため、いっそギリシャをデフォルトさせてユーロを離脱したほうが得をする。
ドイツ政府はギリシャにもう一度チャンスを与えようと躍起になっている。ギリシャのエカシメリニ紙によれば、アンゲラ・メルケル独首相はギリシャに対し、緊縮財政による苦難はあるものの、国の未来は明るいというメッセージを発し続けている。「IMFが似たような(緊縮財政)プログラムを導入した事例は過去にも多くある。そうした国では一定の不況期を経た後に、力強い成長を遂げている」と。
さらに、メルケルはこう付け加えたという。「ギリシャも少しづつ進歩している」
(GlobalPost.com特約)
フィッチ:ギリシャは支払不能、3月20日償還できずデフォルトへ(1)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXXWBY1A74E901.html
1月17日(ブルームバーグ):格付け会社フィッチ・レーティングスのマネジングディレクター、エドワード・パーカー氏は17日、ギリシャは支払い不能に陥っており、恐らく3月に期限を迎える国債を償還できないだろうとの見方を示した。
同氏はストックホルムでインタビューに応じ、ギリシャが3月20日に期限を迎える145億ユーロ(約1兆4200億円)の国債を償還できる可能性は低いと語った。債務減免で民間部門との合意をまとめようとする行為は、フィッチの基準でデフォルトに相当するとも指摘した。
ギリシャのパパデモス首相は18日に、民間債権者の代表団との交渉を再開する予定。少なくとも50%の減免をめぐる交渉は先週中断された。ギリシャの歳出削減・財政引き締めをめぐる公的債権団との交渉は20日に開始され、追加支援の是非を決定する。
パーカー氏は「いわゆる民間部門関与(PSI)は当社の規則では明らかにデフォルトだ。従ってギリシャのデフォルトが実際に起こっても驚きはない。どちらにせよ、デフォルトは比較的早い時期に起こると考えている」と語った。
フィッチは昨年7月にギリシャを投資適格から7段階下の「CCC」に格下げ。同時に、債券保有者に負担を負わせる欧州の救済案が実現すれば「制限的デフォルト」と見なすと表明していた。
強制的な債務交換の可能性も
2022年10月償還のギリシャ債の利回りは45ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の33.6%。昨年12月21日には過去最高の36.14%に達していた。
交渉中の債務交換案は、民間投資家が保有するギリシャ債務2050億ユーロから1000億ユーロを減免する内容。
国際通貨基金(IMF)の見積もりによればギリシャの2011年債務残高は国内総生産(GDP)の162%だった。パーカー氏は「政府債務の対GDP比が160%で上昇しつつある。これでは返済できない」として、「第一案はPSI交渉を再開して自発的合意に至ることだ。それができなければ強制的な債務交換になるだろう」と話した。
民間債権団を代表する国際金融協会(IIF)とギリシャ政府の間のアテネでの協議は13日に中断された。ギリシャはIMFと欧州連合(EU)から先月受けた80億ユーロの融資と証券発行で生き延びている。この日は13週物で16億ユーロを調達した。
パーカー氏はまた、欧州債務危機は「ずるずると長期化する」公算が大きいと述べ、「ユーロ圏諸国の政府債務を連帯して保証するという意味で、何らかの財政同盟へと飛び込むだけの政治的意思がない」と指摘した。