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検証:値切り屋・中国の「勝ち馬ポジション」修正の手口2012/01/13 07:41

検証:値切り屋・中国の「勝ち馬ポジション」修正の手口


米WSJ=中国政府は、核開発計画への関与が疑われるイラン企業と取引する国内企業を制御する措置をとったと、米国は判断している。しかし、中国のイラン産原油の購入が最近鈍化している理由が、米国に積極的に追随するという中国の政治的シグナルなのか、中国とイランのエネルギー企業との商業的な対立の結果なのかには確信を持てていない。
http://jp.wsj.com/World/China/node_373475
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/01/12/6286578


ガイトナー訪中の狙いの一つは「イラン産原油の購入が最近鈍化している理由」を確認すること。これを裏付けるように、ガイトナーはNHKの単独インタビューで次のように語っている。


NHK単独インタビュー=ガイトナー財務長官は、イランへの制裁に消極的だと伝えられている中国について「彼らは実際には実体のある形で協力はしている」と述べたうえで、11日、北京で行った温家宝首相らとの会談の中でもこれを裏付けるいくつかの発言があったと述べ、中国側に一層の協力を求めていく考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120112/k10015226071000.html


つまり、中国は「すでにイラン産原油調達量を削減したアルヨ」風なことをガイトナーに伝えた可能性が極めて高い。
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/01/11/6285702


米国の圧力に屈したと思われたくない中国。イランとの関係悪化につながるようなことも避けたい。そのため、表向きはイラン追加制裁協力拒否を示唆しながら、裏では米国に協力する形でイラン産原油調達量をすでに削減中。それでも一応イラン情勢の更なる悪化に備えて温家宝首相は中東3カ国訪問へ。その間イランに対する値切り交渉を継続しながら様子見。混乱に乗じてイランから安い原油をゲットしようとの思惑丸見え。


そのくせこんなことを平気で言い放つ中国の図太さ。


「外交政策において日本は米国に何もかも同調し、ご機嫌取りをしていることが見て取れる」
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120112/amr12011220020007-n1.htm


中国の二枚舌に騙されてはいけない。


<関連記事>

米 イラン担当高官日本に派遣
1月12日 19時40分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120112/k10015226071000.html

アメリカのガイトナー財務長官は、安住財務大臣と会談したあとNHKの単独インタビューに応じ、イランが原油などの輸出入を事実上できなくするアメリカの制裁措置に関連し、安住大臣がイランからの原油の輸入量を段階的に減らしていく方針を示したことを歓迎するとともに、来週、この問題を担当する政府高官らを日本に派遣して具体的な協議を行うことを明らかにしました。

インタビューの中で、ガイトナー財務長官は、12日に行われた安住財務大臣との会談の中で、安住大臣がイランからの原油の輸入量を段階的に減らしていく方針を表明したことについて「会談での日本側の発言に力を得た思いだ。日本がアメリカと共に問題の解決に努力してくれると確信している」と述べ、歓迎しました。

また、イラン中央銀行と取り引きがある日本の金融機関が、制裁法が施行された去年末から数えて早ければ60日以内に制裁措置を発動されるおそれがあることについて「イランの脅威が非常に差し迫った問題だという認識は日米共に共有している」と述べて、日本が原油の輸入の削減を早期に実現することを期待する考えを示しました。

そのうえで、来週、アメリカからこの問題を担当する政府高官を日本に派遣し、日本がイランからの原油の輸入をいつまでにどの程度削減するかなど具体的な協議を行うことを明らかにしました。

また、ガイトナー財務長官は、イランへの制裁に消極的だと伝えられている中国について「彼らは実際には実体のある形で協力はしている」と述べたうえで、11日、北京で行った温家宝首相らとの会談の中でもこれを裏付けるいくつかの発言があったと述べ、中国側に一層の協力を求めていく考えを示しました。


「日本が米国のご機嫌取り」 イラン原油輸入削減めぐり北京放送が報道
2012.1.12 20:01
http://sankei.jp.msn.com/world/news/120112/amr12011220020007-n1.htm

 12日の北京放送は安住淳財務相が同日、訪中を終えて来日したガイトナー米財務長官と会談した後、イランからの原油輸入量を減らしていく考えを表明したことを報じるとともに、これについて、「外交政策において日本は米国に何もかも同調し、ご機嫌取りをしていることが見て取れる」と伝えた。(共同)


「値切るにはもってこいの日だ」――イランの足元見ながら中国は原油値引き圧力
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/01/08/6283136

代替原油確保に向けて奔走する日中韓、ホルムズ海峡封鎖シナリオ想定か
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/01/11/6285702

イラン情勢が緊迫する中でガイトナー来日、中国に学ぶ「勝ち馬ポジション」修正の手口
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/01/12/6286578


<画像引用>

China gets cheaper Iran oil as U.S. pays for Hormuz patrols
http://business.financialpost.com/2012/01/12/china-gets-cheaper-iran-oil-as-u-s-pays-for-hormuz-patrols/?__lsa=370f85df

ヘッジファンドが次の標的を日本に据えたのか、CDS市場で異変あり2012/01/13 07:55

ヘッジファンドが次の標的を日本に据えたのか、CDS市場で異変あり 


<関連記事>

日本国債の信用力、中国を下回る (画像引用)
公開日時2012/1/12 21:28
http://s.nikkei.com/yOjHyn

 債券の信用力を表すクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場で、日本国債の保証料率が急ピッチで上昇している。直近では1.5%台を付け、わずかながら数字上は中国にも劣る信用力と評価された。社会保障と税の一体改革など、財政再建への取り組みが遅れれば、欧州にかかる市場の圧力が日本にも及びかねない。

 CDSは債券を発行する政府や企業の資金繰りが滞った場合に損失額を補填する金融商品。発行体の信用力が低ければ低いほど、保証料率が上がる仕組みだ。

 日本国債の保証料率が目立って上昇し始めたのは昨年末からだ。金融情報会社マークイットによると、昨年12月上旬には5年物国債の保証料率は1.2%台だったが、11日には1.5%台にまで上昇。東日本大震災後の1.4%を上回る水準となった。

 この間、中国国債の保証料率はほぼ横ばいだった。足元では1.48%で、5カ月ぶりに日本国債の保証料率を下回っている。欧米系の格付け会社は日中の国債をほぼ同水準にしているが、CDS市場に限ってみれば、日本国債の評価は中国国債に劣る。

 日本国債の保証料率が上昇したのは、一体改革を巡る与野党間の協議が難航すると予想されているからだ。「議論の行方次第では1~3月中に日本の国債格付けが見直される」(バークレイズ・キャピタル証券の江夏あかねクレジットアナリスト)とみる市場関係者も少なくない。

 もちろん、欧州各国の国債と日本国債の保証料率にはかなりの開きがある。日本国債が1.5%台なのに対してスペイン国債は4%、イタリア国債は5%を超える。金融市場にほとんど流通していない中国の国債と日本国債を一律に比較するのにもやや無理がある。

 ただ注意しなければならないのは、保証料率が示すのは海外の投機筋の評価という点だ。欧州各国を債務危機に追い込んだ海外の投機筋が、先進国で最悪の財政状況といわれる日本を「次の標的に据えた」(メリルリンチ日本証券の藤田昇悟チーフ債券ストラテジスト)とも映る。(平本信敬)


【識者に聞く】イタリアの次は日本、ファンドが狙う国債売り崩し=中原圭介氏
2012年 1月 11日 15:59 JST
http://jp.wsj.com/Japan/Economy/node_373265

 日本の公的債務がいかに巨額であっても、国債は順調に消化され、利回りは低位安定している。国債保有者の9割超が国内投資家である上、国民の金融資産が国債残高を依然上回っていること、経常黒字の計上などを理由に、あと5-10年は国債の暴落は起こらないとの声は多い。

 しかし、エコノミストの中原圭介氏によれば、早ければ2013年にも日本国債は急落し、利回りは自力での国債発行が不可能な水準に到達する可能性がある。ギリシャやイタリアなど、欧州重債務国の国債を売り崩したヘッジファンドが次に狙いを定めているのが日本なのだという。

日本国債、現状はバブル

 中原氏は、国債利回りが安定している理由の1つに、円高を背景とする新興国マネーの流入を挙げる。欧州の債務危機の深刻化と米国の金融緩和の長期化を背景に、豊富な外貨準備を持つ新興国の政府系ファンドや機関投資家が、消極的でありながらも円を買い、それを日本国債に振り向けている。特に2010年半ば以降、この傾向が顕著だという。

 もう1つの理由は「金融機関が起こしている国債バブル」。大手銀行は新銀行自己資本比率規制(バーゼルIII)の適用の対象になっており、中核的自己資本比率(コアTier1)の引き上げを義務付けられている。このため、各行は貸し出しを縮小するとともに、国債の運用比率を高めている。生保もソルベンシーマージン(保険金の支払い余力)比率の算出基準の厳格化に合わせて保有株式を売却する一方、国債の運用を増やしている。

 目先はこの2つの動きが日本国債を支えると中原氏は予想する。

忍び寄る潮目の変化

 こうした状況が変わるのは、対ユーロと対ドルで円高が終わる時だという。では、それはいつになるのか。

 円が対ユーロで下落に転じるのは年内の可能性が高いと中原氏はみる。「もしイタリアが破たんすれば、世界恐慌が引き起こされる。それを阻止するため、ドイツなどの経常黒字国が経常赤字国に対して財政的な補てんを行う仕組みが最終的に導入され、欧州危機は年内に収束に向かうとみる」(中原氏)。危機収束と同時にユーロは買われる展開になるという。

 円は対ドルでもそう遠くない時期に下落に転じる可能性が高い。同氏によると、米国は株式相場が大幅に下げたタイミングで、温存している量的緩和第3弾(QE3)の実施に踏み切る公算が大きい。QE3を実施している間は一段の円高が見込まれるが、プログラムの終了後、為替は円安に転換するシナリオが有力という。その時期は恐らく2013年か。

 円が対ドルと対ユーロで反落すれば、新興国がもはや円資産を保有する理由はない。

ファンドが攻撃開始

 この時点で、欧州重債務国の国債の売り崩しで莫大な利益を得たヘッジファンドが、日本国債への攻撃を開始すると中原氏は予想する。ファンドの戦略を知れば、国債の9割超を国内勢が保有しているから相場は安泰だといった考えは吹き飛ぶと同氏は語る。

 「ファンドはまず、日本国債のクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)のプレミアム(保証料)を吊り上げるところから始めるとみる」(同)。CDS市場はもともと流動性が低く、ファンドが意図的にプレミアムを吊り上げることも不可能ではない。この結果、日本国債のデフォルト懸念が高まり、「海外の投資家マインドが悪化する」算段だ。実際、ファンドはギリシャやイタリア国債のCDSプレミアムを吊り上げ、利回りを上昇させたとみられている。

 もとより円安への基調転換により円資産を手放したい新興国は、CDSプレミアムが上昇すれば、日本国債をパニック的に売却すると見込まれる。ファンドの売りに新興国の売りが加わり、国債はダブルパンチを食らうことになる。

 ファンドの攻撃第2弾は、外国人投資家の取引シェアが比較的大きい国債先物相場の売り崩しだ。「株式市場では先物相場に現物相場が振り回されることがよくある」(同)。国債の先物相場を急落させれば、裁定取引の誘発により現物相場を大幅に下落させることが可能だ。

 こうなれば、国内投資家のマインドも急激に悪化する。現在はバブルを生み出している金融機関も国債の投げ売りに加担することになり、「10年物国債利回りは2~3%に上昇する」(同)。日本の借金の規模を考慮すれば、利回りが3%に上昇すれば、自力での国債発行はほぼ不可能だ。

社会保障と税の一体改革は不十分

 政府・与党は2012年初めに社会保障と税の一体改革の素案を決めた。これはファンドの攻撃をかわす決定打になるのか。

 中原氏は「国債相場の支えにはならない」と断言する。財務省主導で作成された計画は、官庁特有の単年度の視点で立案されており、長期的な展望が欠落しているという。「これでは経済成長に結びつかない、単なる増税。景気を後退させ、財政の悪化につながるだけだ」と手厳しい。

 同氏は「政府には社会保障と税の改革はもちろんのこと、経済成長と少子高齢化の対策も盛り込むよう求めたい。この4つが一体となって初めて財政再建につながる」と話す。

 なすべきことは多いが、時間は無駄に費やされている。

(中原圭介氏はアセットベストパートナーズのエコノミスト。近著に「2013年 大暴落後の日本経済」がある)


日銀局長が金利急騰リスク言及、海外勢の円債積極購入の反動警戒か
2012年 01月 12日 19:06 JST
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE80B05R20120112

[東京 12日 ロイター] 日銀の前田栄治・調査統計局長は12日都内の景気討論会に出席し、「国債がリスクフリーでなくなれば、相当な混乱を起こす」と述べ、財政再建と成長戦略が急務と強調した。

白川方明総裁も度々「国債に対する市場の見方は非連続的に変わる」として財政再建の重要性を強調してきたが、前田局長は「リスクフリーとされ、各種金融資産のベンチマークである国債がそうでなくなり、担保とみなされなければ相当大きな混乱が生じる」と踏み込んだ。日銀内で金利急騰リスクが従来以上に意識されつつある可能性がある。

関係者によると日銀は、昨年末に明らかになった新規国債の発行に占める海外投資家の急増や、「ドイツショック」を受けた国内邦銀の国債離れで、9割の国内保有に支えられた国債市場の現在の安定が急変する可能性を懸念しているもよう。

日銀が12月21日公表した2011年7─9月期資金循環統計によると、同時期の国債発行のうち海外勢の買い越しは約7割にあたる8兆9414億円で、国内金融機関の買い越し額の2倍以上。海外勢の投資は短期国債が中心だったが、この時期から長期債への投資が目立ち始めた。海外投資家が欧州ソブリン危機を受けた一時的な逃避先として日本国債を購入していると仮定すれば、何らかの契機に売却を急ぐ可能性も高いため、日銀の一部関係者からは警戒の声も聞かれる。

昨年11月末にドイツ国債の入札不調で長期金利が急騰(国債価格は下落)したことで、邦銀の国債投資への姿勢が慎重化した、とされる点についても一部日銀関係者は注視している。

さらに、イランに対する米政府の経済制裁強化に伴う原油価格上昇や、国内の消費税政局が混乱した場合に市場参加者の財政に対する信認にも悪影響を与える可能性なども、欧州危機に次ぐリスク要因と一部日銀関係者は挙げており、新春早々視界不良な中での政策運営を迫られつつある。


政府債務「長期金利に相当な影響出る」 財務相
2012/1/12 16:42
http://s.nikkei.com/wZu7gp

 安住淳財務相は12日午後、日本記者クラブで記者会見し、政府の債務残高の大きさを挙げた上で「これを積み上げていけば、長期金利に相当な影響が出る。国民生活や経済を直撃することになり、放置できない」と語り、財政再建に向けて消費増税の必要性を強く主張した。

 「国の財政がリスクになる時代。日本(の円)は(ドル、ユーロとともに)三大通貨の1つなので、(市場からの)信頼をもとに円の通貨安定をしなければならない」とも述べた。

「イラン制裁」社説集:原発再稼働に踏み込んだ産経の勇気を称えたい2012/01/13 08:46



社説なのだから、「イランの核兵器はダメならイスラエルの核兵器もダメと言えないんですか」などとポロっと書いても面白かったのに。

ここに米国の矛盾があるのだから。核兵器保有国すべての矛盾があるのだから。


<「イラン制裁」社説集>

▼産経主張:イラン原油削減 核封じへ包囲網の強化を
2012.1.13 03:19
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120113/plc12011303190002-n1.htm

 安住淳財務相は訪日したガイトナー米財務長官と会談し、核開発を続けるイランへの追加経済制裁措置として、同国産原油の輸入を段階的に減らしていくと表明した。

 イランを核開発断念に追い込むため米国や欧州と共同歩調を取り制裁を一段と強化するのは、日本として当然である。

 一方で、日本は原油の全輸入量の約1割をイランに依存する。玄葉光一郎外相は、サウジアラビアなど湾岸産油国を歴訪し、原油供給量を増やすよう要請した。石油元売り各社とも協力して代替供給先の確保を急ぎ、経済への影響も最小限に抑えてもらいたい。

 イランは度重なる国連安全保障理事会の制裁決議を無視し、ウラン濃縮活動を一向にやめない。

 新たな制裁の動きに対し、イランはホルムズ海峡を封鎖すると警告し、米空母が湾岸に回航したら軍事行動を取るとも述べ、実際、海峡で軍事演習も行っている。対イラン包囲網を揺さぶる脅しだ。それに屈してはならない。

 このままでは、同じイスラム教でもシーア派のイランと反目するサウジなどスンニ派の国々にも核開発の動きが広がり、事実上の核武装国イスラエルが開発阻止の実力行使に出る懸念もある。イランの核封じには中東の安定、世界全体の核不拡散がかかっている。

 そんな危機感から、オバマ米政権は、イラン原油輸入国の銀行と米銀との取引を禁じる法律を成立させ、日本や欧州連合(EU)、中国、韓国などに、イランからの原油輸入の削減を求めてきた。

 輸入量が2番目に多いEUは月内にも全面禁輸に踏み切る見通しだ。輸入量3位の日本は、いきなりの全面禁輸は無理だとし、日米財務相会談では、段階的削減と引き換えに邦銀を米法の適用除外とする方向で折り合った。日本は今後、国際安全保障の観点から最大限の削減努力をすべきだろう。

 問題は最大の輸入国、中国だ。日本の前に中国を訪れたガイトナー長官に、中国側は輸入量を見直す考えがないと強調したという。日米欧で、中国に翻意を迫る圧力をかけ続けなければならない。

 ホルムズ海峡は世界の海上輸送原油の4割が通過する大動脈だ。緊張下で不測の事態が起き、原油供給が途絶することも想定し、備えておかなければならない。対応の一環という意味でも、原発の再稼働は待ったなしである。


▼朝日:イラン核開発―制裁同調もやむなし
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2

 イランに核開発の断念を迫るため、米国が決めた経済制裁の強化に、日本も協力することになった。

 来日したガイトナー財務長官に対し、安住淳財務相が、イランからの原油の輸入を計画的に減らす方針を伝えたのだ。

 イランは今年に入り、地下核施設でウランの濃縮作業を始めた。「平和利用」と説明しているが、米国などは軍事目的とみて警戒を強めている。

 イランが核兵器を持つことになれば、中東の安定は根底から揺さぶられる。イランが、国連安保理決議など国際社会の再三の警告を無視している以上、制裁強化はやむをえない。

 欧州連合(EU)はすでに、イラン産原油の輸入を全面禁止する方向で最終調整に入った。日本もできるだけ足並みをそろえて、国際社会の強い意思をイランに示す必要がある。

 ましてや日本は、北朝鮮の核放棄に向け、国際社会の協力を求める立場にある。イランに対しても毅然(きぜん)と対応できなければ理解は得られまい。

 ただ、制裁は代償を伴う。

 イランからの原油は、日本の全輸入量の1割を占める。国別では、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、カタールに次ぐ4番目の調達先だ。

 日本は原発の大半が止まり、火力発電への依存が高まっている。各国がイラン以外から買い入れを増やせば、輸入価格がさらに上がり、経済活動の足を引っ張る恐れは否定できない。

 政府にはまず、代わりの輸入先の確保を急いでほしい。そして、具体的な削減の幅や進め方については、経済への影響が最小限となるよう知恵を絞り、米国には日本の事情をよく理解してもらわねばならない。

 また、制裁の強化がイランの譲歩を促す保証はない。国際的な孤立が、かえって核保有への決意を支える事態もありうる。

 イランは対抗措置として、原油輸送の要衝であるホルムズ海峡の封鎖をほのめかした。昨年11月には、制裁に反発するデモ隊が、テヘランの英国大使館を襲撃する事件もあった。

 地域の緊張を緩和し、不測の事態を避けるためにも、圧力一辺倒ではなく、やはり対話の努力が欠かせない。

 日本は、米国の求めに応じてイランのアザデガン油田から完全撤退するなど、最近は制裁強化への同調が目立つ。

 しかし日本は、米国がイランと国交を断絶した後も、友好関係を維持してきた。独自のパイプを生かして、少しでも事態の改善をさぐりたい。


▼毎日社説:イラン制裁 新たな危機防ぐ努力も
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20120113k0000m070120000c.html

 政府がイラン産原油の輸入削減方針を決め、来日したガイトナー米財務長官に伝えた。ウラン濃縮など核開発を進めるイランに対し、経済制裁の強化で圧力をかけたい米国の要請を受けたものだ。

 米国では昨年末、イランの中央銀行と取引を続ける外国銀行に制裁措置をとる法律が成立した。原油の代金のほとんどが中央銀行を経由するため、実質的に原油貿易を阻止し経済の根幹を揺さぶる狙いがある。

 イランの原油輸出は約65%がアジア向けで、1位、2位を占める中国、日本の協力が米国には極めて重要だ。一方、日本の原油輸入元としてイランは、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールに次ぐ4位で、全輸入量の約1割を占める。軽視できない貿易関係だが、米国の要請を拒否すれば、制裁により邦銀が米国内での活動を継続できなくなる恐れがあった。

 また、イランの核開発に、同盟国として協調し反対の姿勢を鮮明にする意味からも、米国と歩調を合わせざるをえなかった。欧州連合(EU)内にも、近くイラン産原油の輸入禁止を決める動きがあり、こうした対イラン包囲網の流れを考慮する必要もあったのだろう。

 ただ、代替輸入元の確保など、民間企業の対応には一定の時間がかかる。安住淳財務相は、削減の過程で邦銀に制裁しないよう求めたようだが当然だろう。特に原発事故を受けて火力発電への依存が高まる中、経済活動や国民生活に支障をきたすことのないよう、政府には外交努力も含め、工夫してもらいたい。

 気になるのは、米国主導の対イラン制裁強化に、イランがどう動くかだ。イランは、対抗措置としてホルムズ海峡を封鎖する可能性を示唆している。万一、世界で海上輸送される原油の3分の1強が通過する同海峡の封鎖となれば、アジア諸国だけでなく、米国や欧州の経済も甚大な打撃を避けられないだろう。

 封鎖が実際に行われなくても、同地域における緊張の高まりは、原油先物市場での価格高騰を招く恐れがある。欧州の債務危機や米経済の先行き、新興国の成長鈍化など、世界経済にはすでに十分過ぎるほどの心配材料がある。制裁が対抗措置を呼び、緊張がエスカレートして新たな危機を招くようなことがないよう、米国には同盟国との十分な情報交換や、冷静な対応を求めたい。

 イラン原油をめぐる今回の問題は、エネルギーを特定地域に依存するリスクを改めて浮き彫りにした。当面は代替先をサウジやカタールなどに求めるとしても、エネルギーの種類や輸入元の多様化・分散化を急がねばならない。


▼東京:ホルムズ海峡 原油輸送の動脈断つな
2012年1月13日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012011302000049.html

 世界最大の油田地帯、ペルシャ湾岸。湾の出入り口に位置するホルムズ海峡をイランが封鎖すると威嚇している。万一、米欧との軍事衝突にまで発展すれば、世界は深刻な石油危機に直面する。

 ホルムズ海峡は原油輸送の大動脈だ。世界で消費される石油の三割以上、日本の輸入原油の約八割を積んだタンカーが通過する。だがイランは年明け早々、海峡近くでミサイル発射実験をした。

 ウラン濃縮も進め、国際原子力機関(IAEA)は核の軍事転用の可能性を強く示唆した。これを受け米国はイラン原油の輸出を阻止する法律を成立させた。欧州連合(EU)も禁輸を原則とする制裁を検討中だ。

 イランは強硬策で対抗する。「核開発は平和利用であり断念はしない」と主張し、外洋に出ている米艦隊がペルシャ湾に戻ろうとするなら、ホルムズ海峡を封鎖すると警告した。

 米国とEUは、イランの最大の収入源である石油輸出の道を断とうとしている。欧州の金融不安は深刻だが、イラン経済に打撃を加えて核開発に歯止めをかける戦略を優先させたといえよう。

 逆にイランは緊張を高め、原油価格が高騰すれば各国の足並みが乱れると計算する。中国とロシアは制裁には慎重だ。イランと米欧は対話の道を模索しながらも、どちらが先に折れるか「我慢比べ」の様相を示す。

 イラン海軍にはホルムズ海峡を長期封鎖する能力はないが、湾岸配備のミサイルが威嚇態勢を取っただけで、原油輸送に甚大な影響が出る。全世界へのエネルギー供給の動脈を断ってはならない。イランには冷静な判断を求める。

 日本は原油輸入の約一割をイランに頼る。安住淳財務相は来日したガイトナー米財務長官と会談し「イラン原油の輸入を計画的に減らす」と述べ、核開発を阻止するための制裁に同調すると伝えた。

 政府はサウジアラビアなどからの調達で対応するが、原油価格が高騰すれば大震災と円高に苦しむ日本経済には一層重荷になる。景気対策の見直しも迫られよう。今回の事態を機に、輸入先の多角化と再生エネルギー開発にも取り組むべきだろう。

 イランが核開発をする限り、中東の危機は続く。昨年秋、イスラエルがイランの核施設を空爆するという情報が駆け巡った。国際社会は軍事対立の火種を消しながら、石油危機にも備える難しい対応を求められる。


▼イラン制裁 原油の安定調達へ万全尽くせ(1月13日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120112-OYT1T01168.htm

 イランの核保有阻止に向け、米欧が原油輸入禁止による経済制裁で足並みをそろえつつある。

 日本が米欧に同調するのは、圧力をかける上でやむを得ない。だが、原油不足や価格高騰などの混乱は最小限にとどめなければならない。

 野田首相は、来日したガイトナー米財務長官と会談し、「イランの核問題に深刻な懸念を共有している」と語った。安住財務相は、長官に日本のイラン原油の輸入を「早い段階で計画的に減らす」方針を伝えた。

 米国が検討している制裁は、原油輸入のためイラン中央銀行と金融取引する外国の金融機関に対し、米国での金融事業を制限する内容だ。早ければ、今年半ばにも発動される見通しだ。

 外国銀行がイラン中銀との取引を控えることで、イランの原油収入を減少させ、核開発の原資を断つことが米国の狙いである。

 欧州連合(EU)も、イラン原油の禁輸方針で一致した。

 ただ、日本は輸入原油全体の1割をイランに依存する。輸入をどう削減するのか対応は難しい。

 中東を歴訪した玄葉外相は、サウジアラビアやアラブ首長国連邦に日本への原油の安定供給を要請し、前向きな回答を得た。官民が連携して、代替原油の確保に万全を尽くす必要がある。

 懸念されるのは、原油高騰だ。イラン情勢の緊迫化に伴い、ニューヨーク市場などではすでに、原油価格が1バレル=100ドル超に値上がりしている。

 今後、一段と急騰すれば、電力料金などが値上がりし、日本の景気に打撃を与える。イランの原油収入がかえって増え、制裁が裏目に出る可能性も否定できない。

 問題は、イラン原油の最大輸入国である中国が制裁に反対していることだ。余剰となったイラン原油を抜け駆け的に購入しないよう、中国には自粛を求めたい。

 そもそも、米国の制裁は、具体的な発動基準があいまいだ。野田首相が財務長官に対し、「運用によっては、日本や世界経済に深刻な影響を与えかねない」と改善を求めたのはもっともだ。

 政府は引き続き、邦銀を金融取引制限の適用除外にするよう、働きかけていく必要がある。

 一方、イランは、制裁が発動されれば原油輸送の大動脈であるホルムズ海峡を封鎖すると示唆するなど、強く反発している。

 日米欧は、制裁と対話を組み合わせ、不測の事態を避ける努力を続けなければならない。

(2012年1月13日01時29分 読売新聞)


▼日経:イラン制裁強化に続き衝突回避の外交を
2012/1/13付
http://s.nikkei.com/Ad7RBJ

 米欧のイラン制裁強化に協力する格好で日本もイランからの原油輸入の削減に動く。来日したガイトナー米財務長官は連携してイランへの圧力を強めるよう求め、安住淳財務相は日本のイラン原油輸入を早い段階で計画的に減らしていきたいとの考えを示した。

 国連安全保障理事会が繰り返しウラン濃縮停止を求める決議を採択したにもかかわらず、核開発計画に固執するイランは最近も新しいウラン濃縮施設を稼働させた。中国、ロシアは安保理による新たな制裁決議に反対しているが、国際社会はイランに対して一段と厳しい姿勢を示す必要がある。

 欧州連合(EU)は23日の外相理事会でイラン原油の輸入禁止を正式に決める見通しだ。

 米国では昨年末に、イランの中央銀行と相当な額の取引のある外国の銀行が米銀とドルの取引をするのを禁じる法案が成立。米政府は、イラン中銀を代金決済の窓口としてきた日本や韓国などに原油輸入の大幅削減を求めていた。

 邦銀への打撃を避けるためにも、日本がイラン原油の輸入を減らすのはやむを得まい。

 日本の石油各社はイラン原油輸入を徐々に減らし、輸入原油のうちイラン産の比率は1割をかなり下回るようになった。制裁強化をにらんで、他の産油国からの調達に切り替える準備も始めている。

 年明け後に中東を歴訪した玄葉光一郎外相は、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールから日本が必要とする原油の追加供給の保証を得た。

 こうした点を考えると、イラン原油の輸入削減で日本がパニックに陥るような状態ではない。

 問題は、米欧の制裁強化に反発するイランが湾岸産油国から世界市場への重要な輸送路であるホルムズ海峡の封鎖をちらつかせていることだ。米国は同海峡の有事の際には反撃すると警告している。軍事緊張の高まりは、世界経済の混乱につながりかねない。

 まずイランは、自らの首を絞める結果にもなる強硬策を自制すべきだ。そして主要国の対イラン外交での連携強化が重要になる。

 トルコの仲介で、米国、英国、フランス、中国、ロシア、ドイツの6カ国が核開発問題を巡るイランとの協議再開をめざす動きもある。イラン原油の最大の輸入国である中国はイランにもっと強いメッセージを発すべきだ。日本の主体的な外交努力も問われている。


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11月経常黒字、85.5%減=9カ月連続-財務省
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco_30&k=2012011200137

 財務省が12日発表した2011年11月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支の黒字額は前年同月比85.5%減の1385億円となった。前年同月に黒字だった貿易収支が赤字に転落したのが響いた。黒字幅の縮小は、東日本大震災が発生した昨年3月以来、9カ月連続。

 財務省は、来月発表される11年通年の経常収支について「(黒字が)10兆円にいかない可能性もある」(為替市場課)としている。10兆円を割り込めば1996年以来となる。

 貿易赤字は5851億円で2カ月連続。欧州債務危機やタイ洪水の影響で輸出が落ち込んだほか、原発稼働停止に伴う火力発電用燃料の需要増や原油高などで輸入が膨らみ大幅な赤字となった。(2012/01/12-12:22)