致命的なペイリンのパスポート問題 ― 2008/09/07 11:37
日本の新聞やテレビを見ていると、サラ・ペイリン人気がすごいと思っちゃいますよね。
マケイン指名演説視聴者数がオバマを上回ったとか、9月5日に発表されたラスムセンの世論調査では、両党正副大統領候補の中でペイリンの好感度がトップになったことを取り上げているメディアさんが多いですからね。
しかし、ラスムセンの肝心な世論調査詳細を見ると、8月27日にマケインが一時的に1ポイントリードしたものの、それ以後はまたオバマが巻き返しています。
ラスムセン以外の世論調査結果を見ても、拮抗しているとはいえオバマ優勢を示している。現時点ではまだペイリン人気が支持率に反映されていないのです。
こうした中でこんな記事がありました(苦笑)
▼引用開始
SNSに「米副大統領候補」乱立? ペイリン氏に対抗して「外交経験」を主張
http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/it/2514143/3291856
【9月5日 AFP】米ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)大手フェースブック(Facebook)内で、自身の豊富な「外交経験」を理由に、米大統領選挙の副大統領候補への「立候補」が相次いでいる。
発端は前週、米大統領選で共和党の副大統領候補に無名のサラ・ペイリン(Sarah Palin)アラスカ(Alaska)州知事が起用されたこと。直ちにフェースブック内には、「I have more foreign policy experience than Sarah Palin(わたしにはサラ・ペイリンより外交経験がある)」と題されたグループが立ち上げられた。
「僕の家はギリシャ人一家の上の階で、エジプト人一家の隣だ。つまりサラ・ペイリンより(副大統領になる)資格があるってことだ」(ニューヨーク在住の男性)
「パリに旅行するためにフランス語のフレーズを幾つか覚えたよ。ペイリン氏よりはるかに外交経験があるんじゃないかな」(シカゴ在住の男性)
「最近、中華料理を食べたんだ。それで米中外交のエキスパートになったよ」(バーモント州在住の男性)
グループを立ち上げたのは、ワシントン大学(University of Washington)学生のティモシー・ゴイダー(Timothy Goyder)さん。登録者数は、米東部時間で4日午後までに1万7000人を突破し、世界各国から10分に100人の割合で新規の登録がある。
中には、「台湾出身だけど副大統領になれるかな?」と書き込む高校生や、米レストラン・チェーン「アイホップ(IHOP、International House of Pancakes)」の店名の「インターナショナル」に引っかけて、このレストランで何回食事をした経験があるかを「外交経験」として主張する人たちまでいる。
このグループに掲載されたメッセージによると、ペイリン氏は2007年にパスポートを取得したばかりで、これまで訪れた外国は3か国に過ぎないという。
ペイリン氏の外交経験不足には批判が集中しており、共和党のある有力議員が擁護しようとして「(ペイリン氏が知事を務める)アラスカ州は、カナダと国境を接し、狭いベーリング海峡(Bering Straits)をはさんで目と鼻の先にロシアがある」などと苦しい説明をする場面もあった。ベーリング海峡は凍結すると、シベリア(Siberia)まで歩いて渡れることもあるが、この議員もそこまでは述べていない。(c)AFP
▲引用終了
ペイリンが副大統領候補になれるぐらいだったら、「おれもなれる。あたしだってなれるわ」と茶化しているようです。
まるでどこかの国の乱立総裁選を見ているようですね。
この記事で注目すべきはペイリンのパスポート問題。
8月30日のニューヨーク・タイムズは、ペイリンが初めてパスポートを取得したのは2007年7月。クエート駐留のアラスカ州兵を訪問し、その足でドイツを訪ねたと報じています。
これに対して9月4日のボストン・グローブは、最初のパスポート取得は2006年。訪れた国はイラク、クエート、ドイツ、アイルランドの4カ国と報じています。
いずれにせよ、ペイリンの外交経験も安全保障経験も無いに等しい。
しかも、情報が混乱する中にあって、「本当にペイリンはパスポートを持っているのか?」とか、「持ってるんだったら見せてよ」とか、「パスポートにスタンプはいくつあるんだ?」などといういじわるな声がネット上で飛び交っています(汗)
今民主党はこの問題を徹底的に調べているはず。
そりゃそうですよ。これまでマケインは外交・安全保障面でのオバマの経験不足を相当批判してきましたからね。
9月26日から始まる重要な討論会。ここぞとばかりにオバマはペイリンの経験不足を追及してくるでしょう。しかもマケインはオバマの経験不足批判を先に仕掛けることはできない。マケイン劣勢が目に見えています。
冷静に考えてみましょう。マケインは今年72歳。何かあったときにペイリンに委せるつもりなのか。米露新冷戦ともいえる状況の中で、米国はもとより西側すべての国が大きな不安を抱えてしまうことになりますよ。
私個人はどちらが勝ってもいいのですw。それでも日本のことを考えるとマケイン政権がいいだろうと思ってきましたが、もはや難しいと判断しつつあります。(ここに貼り付けた画像をクリックし、2004年の大統領選と比較してみて下さい。)
マケイン勝利を見込んでいた日本企業さんも慎重に対応すべき時期が来ていると思いますよ。
とはいえ、あまりのアホらしさに有権者がしらける。投票率がガクンと落ち込む。そして、宗教票パワーが炸裂というマケイン逆転勝利のシナリオは残されています。
<関連記事>
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http://www.rasmussenreports.com/public_content/politics/election_20082/2008_presidential_election/general_election_match_up_history
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http://www.nytimes.com/2008/08/30/us/politics/30veep.html
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http://www.boston.com/news/nation/articles/2008/09/04/record_shows_little_foreign_experience?mode=PF
Democrats search for evidence of Sarah Palin's inexperience
http://www.timesonline.co.uk/tol/news/world/us_and_americas/us_elections/article4656757.ece
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