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ガスプロムの北極圏戦略と世界炎上化問題2008/08/23 01:59

シュトックマン・ガス田と連結するノルド・ストリーム


ガスプロムの実質的なCEOはプーチン。よって「ガスプロムにとって良いことは、ロシアにとって良いことだ」ということになっています。

ここでガスプロムの北極圏戦略を見ていきましょう。

すでに、ガスプロムは北極海の一部であるバレンツ海中央部に位置するシュトックマン(Shtokman)・ガス田で2013年から生産に着手する予定になっています。

シュトックマン・ガス田は、世界第7位の埋蔵量が見込まれる超巨大ガス田。

当初、このガス田開発には技術的な問題を伴うことから、米シェブロンとコノコフィリップス、仏トタル、ノルウェーのノルスク・ハイドロとスタットオイルの5社をパートナーにする交渉が進められていたのですが、ガスプロムは2006年10月9日に交渉を破棄しちゃう。

これによりガスプロムの単独事業となり、同社が100%の権益を保有することになります。また、それまで北米向け液化天然ガス供給を優先にしていた計画も白紙撤回し、欧州向けガス供給を目指すと発表します。

実は2006年9月23日の訪仏時、プーチンは輸出先を欧州各国に供給することを提案。それまで米国向けに輸出される予定で動いていた計画の大幅方針転換を伝えていたのです。

この背景にはすでにグルジア問題もありました。この会談直後の9月27日にグルジアがロシア軍参謀本部情報局(GRU)将校4名をスパイ容疑で拘束。

これでグルジアを支援する米国とEUの一部(英国=BP?)に対するロシアの不信感が決定的になります。

この事件もあって10月9日のパートナー交渉破棄と米国供給白紙撤回につながるわけです。

しかし、技術的な問題は残ったまま。ここで抜け駆けしたのがフランス。対立する米露の背後から擦り寄ってくる。

そして、2007年7月11日に仏サルコジ大統領はプーチン大統領(当時)と電話会談を行い、第1フェーズの工事や操業を行う事業会社に仏トタルをねじ込むことに成功します。

まぁ、ロシアからすれば米英を敵とみなして、フランスを味方に引き込んだようなものです。

おそらくドイツのゲアハルト・シュレーダー前首相の後押しもあったのでしょう。

その理由はここに貼り付けた画像をクリックすればわかります。これはガスプロムのホームページにあったもの。

この計画図が示していることは明確です。

シュトックマン・ガス田はシュレーダー前首相が株主委員会会長として建設を進めているノルド・ストリーム・パイプラインと連結し、ドイツと繋がるということです。

そして、ドイツ経由でフランスにもガスが供給されるのでしょう。

一方でバレンツ海の国境線の画定でロシアと対立を続けてきたのがノルウェー。

ノルウェーは、ロシアに負けるものかと2006年11月27日に大陸棚限界委員会(CLCS)に対して大陸棚確定書類を提出。対象には北極海の西ナンセン海盆、ノルウェー海のバナナ・ホールと並んで、当然バレンツ海のループ・ホールが含まれていました。

ノルウェーとロシアの対立も激化するかに見えたものの、2007年10月1日にノルウェーのスタットオイルとノルスク・ハイドロの石油・天然ガス事業部門が合併し、スタットオイルハイドロが誕生すると事態は一転。

この合併から約3週間後の2007年10月25日、スタットオイルハイドロはガスプロムとシュトックマン・ガス田開発のパートナー契約を締結。ガスプロムはトタルに続いてスタットオイルハイドロを見事に取り込んでしまった。

この3社は今年2月21日、スイスにシュトックマン・デベロップメントという会社を設立。持株比率はガスプロム51%、トタル25%、スタットオイルハイドロ24%となっています。

重要な点は、あくまでもガスプロムがこのシュトックマン・ガス田の100%の権益を保有しているということ。

つまり、トタルもスタットオイルハイドロも「単なる第1フェーズ」における「単なる下請け」にしか過ぎないということです。

そういえば、ガスプロムはサハリンでも権益獲得志向丸出し状態。ここでもガスプロムは米エクソンモービルと英蘭系ロイヤル・ダッチ・シェル相手に戦いを挑んでいる。

ということは、北極とサハリンは同時に火がつく可能性もあります。ロシア発の地球温暖化ならぬ世界炎上化が始まるのかもしれません(大袈裟?汗)

私だって「米国頑張れ!」と言いたいのです。でもね。米国が強気に出るとロシアの思う壺にはまりますよ。

一応国際的なルールを守っているロシアは、ここぞとばかりに「米国こそがならずもの国家だ!」と非難してくるでしょう。きっとロシアに同調する国が多数出てくる。

そうなるとまさに火に油を注ぐようなもの。一気に世界はメルトダウン。

なぜかといえば、米国は共和党右派が反対しているために国連海洋法条約(United Nations Convention on the Law of the Sea :UNCLOS)を批准していないからです。

それでも米国はやっちゃうんだろうなぁ。


<関連サイト>
Gazprom picks Total for Shtokman field
http://www.ft.com/cms/s/0/dc9ce096-305b-11dc-9a81-0000779fd2ac.html

StatoilHydro signs Shtokman agreement with Gazprom
http://www.statoilhydro.com/en/NewsAndMedia/News/2007/Pages/
StatoilHydroGazpromAgreement.aspx

Gazprom, Total and StatoilHydro create Shtokman Development Company for phase one on the Shtokman gas field
http://www.total.com/en/press/press_releases/pr-2008/080221-gazprom-statoilhydro-shtokman_14663.htm

Submission by Norway
http://www.un.org/Depts/los/clcs_new/submissions_files/
submission_nor.htm

http://www.regjeringen.no/en/dep/ud/press/News/2006/Norway-submits-documentation-on-the-extent-of-its-continental-shelf.html?id=436866

オバマのバイデン起用を読み解く2008/08/23 22:50

2008年米大統領選と宗教


出張帰りの新幹線、ふと見上げるとテロップニュースに「バイデン」の名前が!!

すでに皆さんご存知のようにオバマは副大統領候補にジョゼフ・バイデン上院議員を起用しました。この人は最近ロシア侵攻後のグルジアを訪問していますね。

以前からバイデンの名前がたびたびあがっていたので特別驚きはなかったのですが、気になったのは次の2点です。

まず、外交・安全保障政策に通じ、上院外交委員会委員長も務めているベテラン・バイデンの起用は、オバマの弱点を補完することにはなると思います。

しかし、この起用は「オバマ本人が外交・安全保障面での弱点を認めた」と見なされてしまう可能性もある。おそらくマケイン陣営はこの点を激しく追及するのではないでしょうか。不安を感じる有権者の方が多くなるような気がします。

この点でバイデン起用は評価が大きく分かれてくると予測します。

もう1点は宗教問題。バイデンがカトリック信徒であることも再三米メディアが取り上げられてきました。

オバマの狙いは、バイデンの起用によってカトリック票を確実に取り込むことです。

現在もまだ米国は基本的にプロテスタント教国と考えていいのですが、それでもプロテスタント人口は相対的に減ってきています。これに対して、カトリック人口は25%前後とまだまだマイナーな存在ではあるものの安定しています。

カトリック人口が安定している背景には、非白人層の中で著しく人口が増加しているヒスパニック系の影響があります。ヒスパニック系はカトリックが多く、カトリック人口の約3割を占めているからです。

平和主義や弱者救済に代表されるカトリックの教えは、「イラク戦争反対」「国民皆保険」などの民主党候補の政策に一致する点も多いのですが、一方で「人工妊娠中絶反対」「同性婚反対」といった社会的価値観ではむしろ共和党に近いのです。

2004年の大統領選でもジョン・ケリーがカトリック信徒であったにもかかわらず、票の多くがブッシュ陣営に流れました。

オバマもまたカトリック信徒から決して支持されているとは言えません。中間で揺れ動く重要なスイング・ボーターとなっているカトリック票を取り込むことができていなかった。そのためにバイデンを起用したわけです。

それにしても、これまでカトリック信徒で米国大統領になったのはジョン・F・ケネディただ一人だけです。ジョン・ケリーは二人目を目指しましたが、敗北しました。

今調べている途中ですが、おそらくカトリック副大統領も極めて少ないのではないかと思います。

カトリック副大統領誕生にあわせて、日本でもカトリック宰相が登場するかもしれませんね。そうです、フランシスコ麻生太郎です。

麻生太郎と吉田茂とカトリック、さらには皇室とカトリックの関係について、日本で一番詳しい本はこの本です!(照)

園田義明著
『隠された皇室人脈―憲法九条はクリスチャンがつくったのか!? 』
(講談社+α新書)


<追加情報>
オバマ政権が誕生すれば、
バイデンは最初のカトリック副大統領になるとの記事がありました。
本当に初代カトリック副大統領なるのかなぁ。
カトリックの副大統領はこれまでいなかったのでしょうか。
もう少し詳しい資料を集めてみますね。

Joe Biden's Catholic faith
http://www.boston.com/news/local/articles_of_faith/
2008/08/joe_bidens_cath.html

Barack Obama's chosen runningmate, U.S. Sen. Joe Biden, is a Roman Catholic who would become, if elected, the first Catholic vice-president of the U.S. Like many Catholic elected officials in the U.S., he runs afoul of church teachings on abortion rights, but cites church teachings on a variety of social justice concerns. His selection is likely to rekindle the debate over whether Catholic politicians who support abortion rights should receive Communion.


<追加情報(8月26日)>

バイデンはガチガチの妊娠中絶容認派(プロチョイス)とも言えないと判断していたので、少し様子を見ていたのですが、やはりカトリック票は割れそうですね。ジョン・ケリーで離れた票が少し戻ってくる程度といった感じでしょうか。

マケインは誰を副大統領候補に選ぶのか。マケインもキリスト教右派との関係がギクシャクしています。そうなると妊娠中絶反対派(プロライフ)を起用する可能性があります。

ロイターが選んだ10名以外に、ダークホースとしてカトリックにも通じているジョン・ケイシックの名前が浮上しています。

日本メディアさんは表記をどうするのでしょうか。ジョン・ケーシック、それともジョン・カシックにジョン・ケイシッチなんてことはないよね(汗)
確かに名前の表記って難しい。

<参考記事>
How Will McCain Respond?
http://time-blog.com/real_clear_politics/2008/08/how_does_mccain_respond.html
John Kasich: The Best VP Choice if McCain Wants to Win
http://www.northstarwriters.com/jw029.htm
The McCain Veepstakes
http://online.wsj.com/article/SB121807196427019079.html?mod=googlenews_wsj

JohnKasich_com
http://www.johnkasich.com/

John Kasich - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/John_Kasich
Kasich was raised in the Roman Catholic Church but reconsidered his faith after his parents were killed in an automobile crash in 1987. He now attends a non-denominational evangelical Christian Church.

▼引用開始=マイク・ハッカビーに注目

情報BOX:米大統領選、マケイン共和党候補の副大統領候補者の顔ぶれ
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-33313220080818

2008年 08月 18日 16:06 JST
[ワシントン 17日 ロイター] 11月の米大統領選で、共和党候補に事実上確定しているジョン・マケイン上院議員(71)は、近々副大統領候補を発表する見通しだ。以下は、マケイン氏の副大統領候補に指名される可能性のある10人の略歴。(アルファベット順) 

◎チャーリー・クリスト氏(52歳) 現フロリダ州知事。マケイン氏指名獲得に尽力した。11月の本選で共和・民主両党の勢力が激しく争っているフロリダ州で、共和党陣営の追い風となれるか。しかし人工妊娠中絶に関する同氏の立場が、共和党保守派の反発を招く可能性もある。フロリダ州司法長官を務めた後、2006年にフロリダ州知事として初当選。 

◎カーリー・フィオリーナ氏(53歳) コンピューター大手ヒューレット・パッカード(HP)(HPQ.N: 株価, 企業情報, レポート)の最高経営責任者(CEO)を務め、米国で一番影響力のあるビジネスウーマンといわれた。マケイン陣営の経済アドバイザーとして手腕を発揮し、経済関連のみならず広範な分野で同氏を支えてきた。マケイン氏にとって布陣の多様性をアピールできる人材。しかし政治的な経験がほとんどないことが難点か。 

◎マイク・ハッカビー氏(52歳) 前アーカンソー州知事。マケイン氏と指名獲得を最後まで争った。バプティスト教会の牧師。社会的保守主義者で、共和党の福音主義キリスト教徒が主な支持基盤。特に南部地域で人気が高い。

◎ボビー・ジンダル氏(37歳) 現ルイジアナ州知事。インド系米国人として初めて州知事になった。英国オックスフォード大学卒業。保守派。医療保健政策に関する経験がプラスになるとみられるが、71歳のマケイン氏と年齢的に釣り合うかどうかが疑問。

◎サラ・パリン氏(44歳) 現アラスカ州知事。人工妊娠中絶に強く反対し、財政政策も保守的であることから、共和党の保守派層に訴えかけられる人材。元美人コンテスト優勝者で、スポーツ万能。マケイン氏と手を組めば、チームの若返りと活性化に貢献できる可能性。しかし現在はまだ知事として1期目で、全国的に知名度が低いのが難点。

◎ティム・ポーレンティ氏(47歳) 現ミネソタ州知事。現在2期目。早くからマケイン氏を強固に推していた。副大統領候補になれば、激戦が予想される中西部のミネソタ州で、共和党にとって追い風となれるか。ただ、ポーレンティ氏自身、2期目再選の際はは対立候補との得票差は1%しかなく、必ずしも人気が高いわけではない。

◎ロバート・ポートマン氏(52歳) 元オハイオ州選出の下院議員。現ブッシュ政権下で米通商代表(USTR)、行政管理予算局局長を務める。保守的な財政政策の持ち主。激戦が予想されるオハイオ州で、マケイン氏に経済政策の面からサポートできる。ただ、現ブッシュ政権内でのポストが長かったことは、現政権から距離を置こうとするマケイン氏にとり、マイナスとなる可能性も。 

◎トム・リッジ氏(62歳) 元ペンシルバニア州知事。2001年9月の米国同時攻撃の後、ブッシュ大統領に国土安全保障アドバイザーに任命される。後に初代国土安全保障省長官に就任。政治家として高い人気を得ているが、人工妊娠中絶を支持する立場は、保守派層に不人気。 

◎ミット・ロムニー氏(61歳) 前マサチューセッツ州知事。マケイン氏と指名を争った。モルモン教徒であること、また過去に人工妊娠中絶を支持したことが問題視される可能性も。実業家。自身の指名獲得レースに3500万ドルの私財をつぎ込んだ経緯から、自らが副大統領候補になれば、同様に資金を提供する用意があるとみられる。 

◎ジョン・スーン氏(47歳) サウスダコタ州選出の上院議員。保守派層にアピールできる人材だが、マケイン氏は自分と同じ上院議員を副大統領候補には選ばないとの見方もある。2004年に当時の上院院内総務トム・ダシュル議員(民主党)を敗って当選したことで、共和党内での発言力が大きくなった。しかし全国レベルの知名度は低い。
▲引用終了