「昭和の教祖」こと安岡正篤と楠木正行 ― 2009/08/06 08:02
「俺は、楠木正行を助けて南朝のために戦死した堀田弥五郎正泰の末裔だ」
安岡は、生涯のあいだに何十回となく周りの人たちにこんな話をして祖先と血統を自慢した。
全国師友協会残務委員会発行の『安岡正篤先生流芳録』に収録されている上松貞治郎の「津島神社と安岡先生の先祖」という一文によれば、昭和二十七年(一九五二年)七月、愛知県を訪れた安岡は、上松にもつぎのような話をしたという。
「自分の実家の堀田家は尾張の出身で、尾張の津島神社の近郊に堀田庄の主として栄えていた。津島神社の境内の一隅に、堀田弥五郎正泰が、堀田の姓祖は武内宿禰を夢見て、武内宿禰を祭神とする立派な社殿を建立し、今も堀田弥五郎殿として祭られている筈である。その後、堀田弥五郎正泰は楠木正行に味方して四条畷で戦死している。また佐倉の元大名、堀田家は、姻戚の稲葉家に再婚した春日局が徳川家康に推挙して、堀田の一族中より大名に取り立てられたのである。堀田家の系図一切は自分が保管していたが、戦災により惜しくも全焼したので、一度、津島神社と堀田弥五郎正泰に参詣したいと思っている。」
以上、「安岡正篤 昭和の教祖」塩田潮(文春文庫) 第三章「南朝の後裔」より引用
http://www.amazon.co.jp/%E5%AE%89%E5%B2%A1%E6%AD%A3%E7%AF%A4%E2%80%95%E6%98%AD%E5%92%8C%E3%81%AE%E6%95%99%E7%A5%96-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%87%E5%BA%AB-%E5%A1%A9%E7%94%B0-%E6%BD%AE/dp/4167516020/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1249479955&sr=8-2
<画像引用>
安岡正篤プロフィール
http://www.chichi-yasuoka.com/profile.html
米国の白人たちの神は原爆投下を正当化? ― 2009/08/06 08:12
米キニピアック大学の世論調査研究所が行った広島と長崎への原爆投下に関する最新調査。
米国人の61%が「正しい行為」と回答、「間違った行為」と回答したのは22%。
年齢層別では、55歳以上の73%が「正しい行為」と回答、18歳以上34歳以下で「正しい行為」と回答したのは50%。
人種別では、白人の66%、黒人の34%、ヒスパニックの44%が「正しい行為」と回答。「間違った行為」と回答したのは、順に18%、36%、43%。
支持政党別では、共和党員の74%、民主党員の49%が「正しい行為」と回答し、共和党員の13%、民主党員の29%が「間違った行為」と回答。
共和党びいきの日本の保守派はいささかガックリしていることでしょう。
さて、ここまでは日本のメディアも報じていました。
しかし、最も重要な点を紹介していない。
それは、原爆投下と宗教の問題。
「宗教は苦手」との理由で逃げ回っていると、いつまでたっても米国の本質がわからない。
白人の福音派(エバンジェリカル、ボーン・アゲイン・クリスチャン)の72%、プロテスタントの72%、カトリックの69%が「正しい行為」と回答し、「間違った行為」と回答したのは、順に15%、14%、17%。
ユダヤ教徒では「正しい行為」が58%、「間違った行為」は26%。
福音派プロテスタントであれ、プロテスタント主流派であれ、カトリックであれ、米国の白人が信じる神は原爆投下を正当化しているということでしょうか。
米国特有の宗教事情があるとはいえ、彼らの神の領域まで踏み込まないと何も変わらない。
はてして、この64年間でその努力をしてきた日本人はいたのでしょうか?
<画像引用>
August 4, 2009 - Bombing Hiroshima Was Right, Amercian Voters Say 3-1, Quinnipiac University National Poll Finds
http://www.quinnipiac.edu/x1295.xml?ReleaseID=1356
<関連記事引用>
6割超が「原爆投下は正当」=根強い肯定意見-米世論調査
http://www.jiji.co.jp/jc/c?g=int_30&k=2009080500085
【ワシントン時事】米キニピアック大学(コネティカット州)の世論調査研究所が行った調査で、64年前の広島と長崎への原爆投下について、米国人の61%が「投下は正しかった」と考えていることが4日、分かった。投下を支持しない人は22%にとどまった。
オバマ大統領は「核なき世界」の実現を訴えているが、米国では依然、原爆投下を肯定する意見が根強いことが浮き彫りになった。
調査は7月27日から今月3日にかけて、全米で約2400人を対象に実施された。男性の72%が投下を支持したのに対し、女性は51%。年齢層別では、18~34歳は半数が「正しかった」と回答し、「間違っていた」は32%だったものの、55歳以上では投下支持が73%に上った。
政党支持者別では、共和党支持者の74%が投下を評価、民主党支持者では49%だった。(2009/08/05-08:31)
米有権者の61%「原爆投下は正しかった」
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090805-OYT1T00381.htm
【ワシントン=黒瀬悦成】米キニピアック大学(コネティカット州)の世論調査研究所は4日、米国による64年前の広島と長崎への原爆投下について、米国の有権者の61%が「正しい行為だった」と回答したとする全国世論調査の結果を発表した。
「間違いだった」は22%で、米国人の圧倒的多数が原爆投下を支持していることがわかった。
年齢別で原爆投下に対する支持が最も高かったのは55歳以上で、73%が「正しかった」と回答。一方、35~54歳の支持率は60%、18~34歳では50%に低下した。同研究所のピーター・ブラウン副部長は、「第2次世界大戦の惨禍を記憶している人は、トルーマン大統領(当時)の原爆投下の決断を圧倒的に支持している」とする一方で、「第2次大戦や冷戦を知らない世代ほど、原爆投下を支持しない傾向が強い」と指摘した。
党派別では、共和党員の74%が支持したのに対し、トルーマン大統領と同じ民主党員の支持は49%(不支持29%)にとどまった。
調査は7月27日~8月3日にかけて、全米の有権者2409人を対象に実施された。
米国民6割が原爆投下肯定 若年層ほど支持低く
2009年8月5日 夕刊
http://www.chunichi.co.jp/article/world/news/CK2009080502000253.html
【ワシントン=嶋田昭浩】1945年8月6日と9日の広島、長崎への原爆投下について、米国民の61%が「正しい判断だった」と考え、22%が「誤っていた」とみなしていることが4日、米キニピアック大学(コネティカット州)の世論調査研究所の調査結果でわかった。
調査は、先月27日から今月3日にかけて全米の有権者計2409人を対象に行われた。男性の72%が原爆投下を「正しかった」と支持しているのに対し、女性の支持は51%。人種別では、白人の支持が66%に上る一方、スペイン語圏出身のヒスパニックの支持は44%、黒人の支持は34%にとどまった。
年齢層別では、55歳以上の73%が原爆投下を支持、13%が不支持なのに対し、18歳以上34歳以下では50%が支持、32%が不支持だった。
同研究所は「第二次世界大戦の恐ろしさを記憶している人々の大半が、トルーマン大統領(当時)の原爆投下の決断を『正しい』と考えているのに対し、第二次大戦や冷戦についてよく知らない若年層の支持率が低い」と分析している。
「原爆の日」社説読み比べ ― 2009/08/06 09:51
新聞各紙の社説はネットで読むことが可能。
普段朝日新聞や毎日新聞を読んでいる人はネットでは読売や産経を。
逆に読売新聞や産経新聞を読んでいる人はネットでは朝日や毎日を。
そうしないと頭の中がガチガチになります。
今年もまた朝日と読売+産経が理想論と現実論で真っ向対立。
毎日が現実路線に転換し始めたことにも注目を。
北朝鮮という現実を前に、危うし朝日の理想論!
<「原爆の日」社説引用>
●朝日社説 被爆64年―「非核の傘」を広げるとき
http://www.asahi.com/paper/editorial.html
被爆地は今年、格別な夏を迎えた。「核兵器のない世界を目指して具体的な方策をとる」。米国のオバマ大統領がプラハ演説でそう宣言して、初めて迎える夏だからだ。
大統領が、核を使った国として「行動する道義的責任がある」と語った意味はとても大きい。だが、プラハ演説の凄味(すごみ)は、そこにとどまらない。
グローバル化した世界は、相互依存を強めている。世界のどの経済都市で核爆発が起きても、多くの犠牲者が出るだけでなく、世界の経済システムも破局のふちに追いやられる。核戦争でも核テロでも結果は同じことだ。
核抑止を続けた方が世界は安定するとの考えが核兵器国や同盟国で根強い。だが、核抑止の魔力にひかれて、核拡散が進む恐れがある。テロ集団の手に核が渡る危険もある。それが現実になった時のリスクは計り知れない。
どうすべきか。核のない世界に向けて動くことこそ、新たな安全保障戦略の基本ではないのか。オバマ大統領は、そこを問いかけている。
大統領の音頭とりで、9月24日には核問題に関する国連安全保障理事会の首脳級会合を開くことも決まった。
■先制不使用を義務に
核に頼らない安全保障体制を構築していくには、たくさんの政策の積み重ねがいる。核兵器国には山ほど注文したいが、ここでは特に、「非核の傘」を広げていくことを強く求めたい。
核不拡散条約(NPT)に入った非核国には、核を使用しない。これを世界標準として確立すれば、NPT加盟の非核国は、核攻撃のリスクを大幅に減らせる。それが「非核の傘」だ。
「非核の傘」を広げれば、核兵器の役割を縮小でき、保有数の減少にもつながる。オバマ大統領の任期のうちに、軍縮と安全保障の一挙両得を大きく前進させたい。
「非核の傘」を広げる方法は、いくつもある。第一は、国連安保理で、NPTに入っている非核国への核使用は認められないと明確に決議することだ。潘基文・国連事務総長は、核保有国でもある国連安保理の常任理事国が非核国に核攻撃しないと保証するのは可能だろうと指摘している。一刻も早く、実現すべきである。
第二の方法は、非核地帯条約の活用だ。ラテンアメリカ、南太平洋、アフリカ、東南アジア、中央アジアには非核地帯条約がある。アフリカだけが未発効だが、いずれの条約にも、核兵器国は条約加盟国を核攻撃しないことを約束する議定書がある。
だが、米ロ英仏中の5核兵器国すべてが議定書を批准しているのはラテンアメリカだけ。アフリカでの条約発効を急ぎ、同時に核兵器国がすべての議定書を批准して、「非核の傘」を広く国際法上の義務とすべきだ。
第三の方法は、核兵器国が核先制不使用を宣言し、核の役割を相手の核攻撃の抑止に限定することだ。非核国はもともと核先制使用などできないから、核兵器国が先制不使用を確約すれば、「非核の傘」は一気に拡大する。
■北東アジアに非核地帯
日本政府は、米国による核先制不使用宣言には慎重だ。北朝鮮は核実験しただけでなく、生物・化学兵器も持っている可能性がある。その使用を抑えるために、核先制使用も選択肢として残すべきだ、という立場だ。
だが、日本が核抑止を強調するあまり、核兵器の役割を減らし、核軍縮を進めようとするオバマ構想の障害になっては、日本の非核外交は台無しだ。当面、核抑止を残すにせよ、同時に「非核の傘」を広げていく政策を進めるべきだろう。
一案は、北東アジアにも非核地帯条約をつくることだ。日韓だけでも先に締結して発効させ、米中ロなどが日韓に核攻撃しない議定書を批准して、「非核の傘」を築く。
北朝鮮については、非核化してNPTに戻った段階で条約に加わり、「非核の傘」で守られるようにする。そうすれば北朝鮮が核放棄する利益は高まるし、地域の安定にも役立つだろう。
軍事費を拡大させる中国への対応も欠かせない。オバマ大統領は7月の米中戦略対話で、東アジアでの核軍拡競争は両国の利益にそぐわないと明言し、北朝鮮の非核化などで協力していくことの重要性を強調した。「恐怖の均衡は続けられない」とも語った。
米中は急速に経済の相互依存を強めている。たとえ相手の産業を破壊しても影響が少なかった冷戦期の米ソとはまったく異なる関係だ。
■中国も軍縮の輪に
日本も米中の現実を認識し、北東アジアでの核の役割を減らしながら、地域の安定をはかる構想を示していく必要がある。核抑止でつながるだけでなく、「非核の傘」拡大や地域の軍備管理で連携していく。日米同盟をそんな形に進化させれば、中国を核軍縮の輪に加える、大きな力になるだろう。
世界の核拡散問題には地域対立や宗教的対立がからんでいる。核実験をしたインド、パキスタン。事実上の核保有国とされるイスラエル。ウラン濃縮を続けるイラン。いずれの場合も、そうだ。これらの国を非核化へ向かわせるには、根気強く対立をほぐしつつ、核保有がむしろ国を危うくすることを説いていくしかない。
唯一の被爆国として日本は、そうした外交でももっと知恵を絞りたい。
日経社説1「核のない世界」へ日本は主導的役割を(8/6)
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20090805AS1K0500105082009.html
広島への原爆投下から64年。今年は米国のオバマ大統領が「核兵器のない世界」を唱え、核軍縮への新たな機運が出てきたが、一方で核拡散の脅威は広がり続けている。8月6日は唯一の被爆国である日本が自らの役割を再確認すべき日である。
オバマ大統領は4月のプラハでの演説で「核兵器を使用した唯一の核保有国として、米国には行動する道義的責任がある」と語った。
冷戦終結から20年を迎える今も、世界中で2万数千個の核弾頭が保有されているという。核軍縮の具体的方策として、オバマ政権はロシアとの間で戦略核兵器の弾頭数を大幅に減らす新たな核軍縮条約の年内締結を目指し、交渉を進めている。
核保有国の核軍縮は、核兵器の拡散を抑える政治環境づくりとしても重要である。核大国の米ロが率先して核軍縮へ動くのは歓迎すべきことだ。米ロに続いて中国も核軍縮への明確な意思を示すべきである。
米国は来年3月に核拡散防止を目的にした「世界核安全保障サミット」を主催する。米国はクリントン政権当時に包括的核実験禁止条約(CTBT)に署名したものの、米議会が批准に反対した経緯がある。CTBTの発効を促すべく、米国には条約の早期批准を求めたい。
日本の役割も問われる。その重要な時期に、「核の番人」と呼ばれ核物質の拡散防止を担う国際原子力機関(IAEA)の事務局長に日本の天野之弥氏が選出され、12月に就任する。日本は「ヒロシマ」「ナガサキ」の発信力も利用して核軍縮や核不拡散体制の強化を先導すべきだ。
核兵器の保有を米ロ英仏中の5カ国に限定し、他国の保有を禁じた核拡散防止条約(NPT)の体制には矛盾も多いが、核拡散を食い止める有効な手だてはほかにない。インドやパキスタンなど事実上の核保有国にも、粘り強い外交努力でNPT加盟を求め続ける必要がある。
テロ組織や小国への核兵器の流出という脅威を直視し、国際社会は核不拡散に全力をあげるべきだ。その意味でも、北朝鮮やイランの核兵器開発は阻止しなければならない。
特に北朝鮮はミャンマーなどと核やミサイルの技術協力を進めているとの情報もある。経済制裁の徹底履行などを通じて、北朝鮮の野望と脅威の広がりを封じ込めるべきだ。
北朝鮮の動きなどに対抗し日本でも核武装論が一部で出ているが、きわめて危険な議論だ。オバマ大統領に広島や長崎訪問を招請し、核廃絶への誓いを新たにすることこそ、日本の重要な使命である。
●毎日社説:広島・長崎 原爆の日 「核なき世界」へ弾みを
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20090806k0000m070122000c.html
◇被爆者の救済を急げ
広島の被爆者、田辺雅章さん(71)が、原爆投下前の爆心地の街並みを三次元コンピューターグラフィックスで再現する映画作りを始めて10年を超えた。その集大成が平和記念公園の地にあった繁華街の復元だ。
「あの日」、人々の日常が一瞬にして奪われた。来年5月、国連本部で開かれる核拡散防止条約(NPT)再検討会議で作品を上映し、そのことを訴えたいという。
今年も「原爆の日」がめぐってきた。6日は広島で、9日は長崎で、人々は平和の祈りをささげる。原爆投下から64年たち、被爆者の高齢化が進む中、核兵器廃絶への道筋を私たちがどう描くかが試されている。
◇廃絶へ高いハードル
今年4月、オバマ米大統領はプラハでの演説で核兵器を使用した唯一の国としての道義的責任に言及し、核のない世界を目指すと宣言した。
田辺さんは国際世論の変化に期待を寄せる。同じように、著名なファッションデザイナーの三宅一生さんは先月、米ニューヨーク・タイムズ紙に寄稿し、広島での被爆体験を初めて公にしたうえで、「世界中の人々がオバマ大統領に続いて声を上げなければならない」と訴えた。
今年の広島平和宣言は、プラハ演説が「廃絶されることにしか意味のない核兵器」との位置付けを確固たるものにしたと指摘して、大統領を支持する。長崎平和宣言も演説を評価する。期待と共感の輪は、大きな広がりを見せている。
しかし、大統領自身、「私が生きている間には達成できないだろう」と認めているように、核兵器廃絶の実現には極めて高いハードルが待ち受けている。
大統領は包括的戦略の柱の一つにNPT体制強化を挙げている。だが、各国の国益と思惑がぶつかり合う場で十分な成果を上げることができるか予断を許さない。
NPTに加盟していない核兵器保有国のインドとパキスタン、大量の核弾頭を持つとされるイスラエルへの対応も難題だ。北朝鮮がNPT脱退を宣言して核実験を行い、イランも国連安保理などの要求に従わずウラン濃縮を続けるなど、核拡散の懸念はむしろ高まっている。テロリストが核兵器を手にする脅威も現実味を帯びてきている。
世界の核を取り巻く状況は複雑化し、米国など核大国だけで対処できなくなっている。核兵器を持たない非核国も加わって地球規模の核軍縮・不拡散体制を築く必要がある。
日本は核廃絶を訴える一方で、米国の「核の傘」で守られる日米安保体制を基本としてきた。北朝鮮の核・ミサイルだけでなく中国の核軍備近代化など、近年、安保環境は厳しさを増している。米国の核軍縮が進めば、「核の傘」の有効性が低下すると懸念する声もある。
だが、米国の「核の傘」に依存する構図は当面変わらないとしても、米国がグローバルな核軍縮・不拡散体制に軸足を移すのであれば、唯一の被爆国である日本はこれまで以上に積極的な役割を果たせるはずだ。
◇オバマジョリティー
日本の安全保障政策は転換期を迎えている。元外務事務次官の日米密約証言などがきっかけで、「核兵器を持たず、作らず、持ち込ませず」の非核三原則見直しの議論が高まっているのも、そんな認識が強まっているからだろう。さまざまな要素を考慮し、新しい時代に合った安全保障政策を打ち出さねばならない。
30日の総選挙に向け、政権選択をかけた選挙運動が事実上スタートしている。自民、民主をはじめ各政党はどのような安全保障政策を目指すのか明確に説明すべきだ。
同時に被爆者救済も急がなければならない。政府は、原爆症認定集団訴訟の1審で国が敗訴しながら未認定の勝訴原告について一律に原爆症と認定する方針だ。集団訴訟は国敗訴が続いており、政治決断で速やかに解決を図るべきである。
中曽根弘文外相は来年、日本で核軍縮・不拡散に関する国際会議を開く意向を表明した。川口順子元外相がエバンズ元豪外相と共同議長を務める「核不拡散・核軍縮に関する国際委員会」は10月の広島での会合を経て、核兵器廃絶への行程を盛り込んだ報告書をまとめる予定だ。
広島市は、核兵器廃絶を願う世界の多数派を「オバマジョリティー」と呼び、市民がオバマ大統領支持を掲げて行動するキャンペーンを展開している。2020年までの核兵器廃絶に向けた道筋を定めた「ヒロシマ・ナガサキ議定書」をNPT再検討会議で採択させることが当面の目標だ。議定書は秋葉忠利市長が会長を務め、加盟都市が3000を超える平和市長会議が策定した。
核兵器の悲惨さを知る国民として、国際社会の世論を盛り上げていきたい。「核なき世界」へ、人類が力強く歩み続けられるように。
●原爆忌 オバマ非核演説をどう生かす(8月6日付・読売社説)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20090805-OYT1T01069.htm
広島、長崎への原爆投下から64年がたつ。惨禍を経験した人々の核廃絶への切なる願いに、今年は一筋の光明が差しているようにみえる。
オバマ米大統領による今年4月のプラハ演説である。
大統領は、「核兵器を使用したことがある唯一の核保有国」として、「核兵器のない世界」の実現に向けて「行動する道義的責任」があると明言した。
むろん、当時、継戦能力を失っていた日本に対し、残虐兵器を使ったこと自体の責任を認めたわけではない。
しかし、原爆投下を正当化する風潮が、なお根強く残る米国の大統領のこの発言が、ヒロシマ、ナガサキに感動と希望をもたらしたことは、疑いがない。
オバマ大統領は、この気持ちを裏切ることなく、ロシアとの新核軍縮交渉推進や、米国の核実験全面禁止条約(CTBT)批准に、指導力を発揮してもらいたい。
オバマ演説のもう一つの側面にも、目を向ける必要がある。
大統領は演説で、核廃絶は「おそらく私の生きているうちには達成されない」と述べた。世界の核状況はそれだけ厳しい。
米露英仏中の5か国以外の核保有を禁じた核拡散防止条約(NPT)体制は、インド、パキスタンの核保有以降、形骸(けいがい)化の一途だ。5か国の中でも、中国のように核軍拡を進めている国もある。
テロリストの手に核兵器・関連物質が渡る危険も増している。
核保有国のNPT上の責務である軍縮に、米国がようやく本腰を入れるのも、最も危惧(きぐ)している「核テロ」を阻止するため、と指摘されている。
日本も、深刻な核の脅威の下にある。北朝鮮は先にミサイル発射や2度目の核実験を強行した。
北朝鮮の核ミサイルなどに対して日本は、米国の「核の傘」に頼らざるを得ない。オバマ演説のあと、日本政府が、核抑止力の低下を懸念して「傘」の再確認に動いているのは当然のことだ。
他方、民主党の岡田幹事長は、米国に核の先制不使用を宣言するよう主張すべきだと言う。
敵国の先制使用に対して、米国の報復まで禁止するわけでないから、「核の傘」から半分外れると説明するが、これでは「傘」は役立たないのではないか。
核廃絶を希求する一方で、核抑止力に依存せねばならぬ重い現実がある。核軍縮も、日本の平和と安全が損なわれないよう、着実に取り組むことが肝要だ。
●産経【主張】原爆の日 北の核許さぬ決意明確に
http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/090806/plc0908060357001-n1.htm
きょう6日は広島市、9日には長崎市で、それぞれ64回目の原爆の日を迎える。今年、北朝鮮は4月の弾道ミサイル発射に続いて、5月に2度目の核実験を強行した。世界と日本の平和と安全に対する危険な挑発行為である。
北の核保有を絶対に許さないという一段と強いメッセージを、広島と長崎から発してほしい。昨年までの平和宣言で一度も北の核に言及してこなかった秋葉忠利広島市長には、さらなる踏み込みを期待したい。
一方で、今年は、唯一の被爆国である日本にとって、注目すべき出来事もあった。オバマ米大統領が4月のプラハでの核廃絶を訴える演説で、米国は「核を使用した唯一の核保有国」として行動する「道義的責任」があると述べ、現職の米大統領として初めて広島・長崎への原爆投下の責任に触れたことだ。
この演説は、米国では必ずしも好意的に受け止められていない。原爆が日本の終戦を早め、米兵の犠牲を少なくしたという考えが根強いためだ。だが、「道義的責任」に踏み込んだオバマ発言をきっかけに、「原爆は果たして必要だったのか」「人道に対する罪はないのか」といった論議が米国で高まってほしい。
また、7月には、モスクワでオバマ大統領とメドベージェフ・ロシア大統領の米露首脳会談が行われ、両国の戦略核弾頭や弾道ミサイル運搬手段などを削減することで合意した。世界の核の95%を保有する米露による核軍縮の試みは歓迎すべき動きといえる。
だが、欧州と違って、アジア、特に北東アジアは北の核による深刻な脅威にさらされている現実も忘れてはならない。核の近代化と軍拡を急ぐ中国の存在も無視できない。日本や韓国にとって、米国の「核の傘」による抑止力は依然、必要である。
最近、非核三原則をめぐる論議が再燃している。米軍の核持ち込みを禁じたままで日本の安全は守れるのか。非核三原則見直しの論議も必要だ。
広島と長崎の原爆で亡くなった人は戦後の原爆症による死者も含めると、29万人を超える。今も、多くの被爆者が後遺症に苦しんでいる。
原爆の悲劇を二度と繰り返さないためにも、核廃絶の理想を訴えるだけでなく、現実を踏まえた核抑止論議が大切である。
イルカ騒動、映画になって大騒動 ― 2009/08/06 22:12
奴らの「フリッパー作戦」に気をつけろ!
<関連記事引用>
イルカ殺す場面収録した映画、米で論議
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090806-OYT1T00849.htm?from=main1
【ロサンゼルス=飯田達人】日本の漁師が多数のイルカを殺すシーンを収録した米ドキュメンタリー映画「入り江」(原題The Cove)が、ロサンゼルスとニューヨークで公開され、米有力紙が「むごい秘密が暴かれた」などと批判的に報じ、論議を呼んでいる。
舞台は、和歌山県太地町。映画では、イルカの知能が極めて高いことが強調され、米国人ダイバーが立ち入り禁止とされる入り江に潜入、海岸に数台の隠しカメラを設置。漁師が大量のイルカを岸辺に追い込み、モリで突き、海が血で染まるシーンで終わる。
上映は7月31日から4館で始まり、今月中にさらに65館で公開され、フランスやドイツ、豪州などでも順次公開される。日本での公開予定は今のところない。
ロサンゼルス・タイムズ紙は同日と翌日、芸能欄などで「虐殺の入り江」との見出しで同映画を評価する論評を掲載。ニューヨーク・タイムズ紙(7月31日付)は「海が血で染まり、(鑑賞者の)目は涙であふれる」とする評論を載せた。
和歌山県太地町の三軒一高町長は「そういう映画が制作されていることも、撮影に来たことも知らなかった。作品を見ていないのでコメントのしようがない」と話している。ただ、同町の姉妹都市オーストラリア・ブルーム市には、姉妹関係を解消するよう圧力がかかっているとの情報があるという。
<関連サイト>
The Cove Movie Welcome
http://www.thecovemovie.com/
衝撃の告発映画!日本人がイルカを大量に捕獲!食用として学校給食に!水銀量は16倍
http://www.cinematoday.jp/page/N0019032
Movie Review - The Cove - From Flipper’s Trainer to Dolphin Defender - NYTimes_com
http://movies.nytimes.com/2009/07/31/movies/31cove.html
'The Cove' was covert, dangerous filmmaking - Los Angeles Times
http://www.latimes.com/entertainment/news/la-et-dolphin1-2009aug01,0,1040730.story
最近のコメント