核廃絶に潜む天使と悪魔 ― 2009/07/12 10:28
オバマ大統領は「核兵器が存在しなかった時代の平和と安全にもどるためのコミットメント」と言ったよね。
私から言わせれば、核兵器が存在しなかった時代とは第一次世界大戦や第二次世界大戦の時代。
核廃絶という目標を公約する前にもっと本格的な調査が必要でしょう。
私は「核のない世界」はより危険な世界になると思います。
核兵器を魔法のように消し去ることなんてできないわけだから。
「核のない世界」でも悪漢が登場してくるだろうし、最初に数十発の核を手にした悪漢が超大国になるのです。
「核のない世界」の平和と安定がどのようなものか、すでに我々は経験したはず。
20世紀前半の戦争の時代がその具体例です。
しかし、少なくとも核時代に入ってから、第三次世界大戦は起きていない。
核廃絶よりも核が決して使用されないようにするための努力を優先にするべきです。
以上、ブレント・スコウクロフト元国家安全保障担当大統領補佐官(モルモン教徒)の発言より
このスコウクロフト発言は米外交問題評議会(CFR)の核政策に関するタスクフォース・リポートのもの。
スコウクロフトはこのタスクフォースの共同議長を務めています。
もう一人の共同議長はウィリアム・ペリー元国務長官。
ペリーはキッシンジャー、シュルツ、サム・ナンと共に「核のない世界」の実現を呼び掛けた人物。
このタスクフォースの発言からもペリーの核廃絶とてイランや北朝鮮を想定した核不拡散という目的があることがわかります。
悲しくも核によってかろうじて平和が保たれてきた現実がある。
どうして多くの日本人はこの現実を直視しようとしないのか。
核廃絶を呪文のように唱える人たちにとって、今やオバマはヒーロー。
この人たちの中で、実際に「核のない世界」をイメージできている人などいない。
核廃絶を叫ぶ天使たち。
実際にはあなたたちは悪魔になるかもしれないのです。
<原文はこちら>
U.S. Nuclear Weapons Policy: Report of a CFR-Sponsored Independent Task Force
http://www.cfr.org/publication/19526/us_nuclear_weapons_policy.html
後半には日本が核武装する可能性を指摘する質問が飛び出します。
これに対してスコウクロフトは「日本がそんな間違いを犯すはずはない」と語っています。
<画像引用記事>
The Elder Statesmen Speak
http://www.washingtonpost.com/wp-dyn/content/article/2008/09/25/AR2008092503441.html
<関連コラム>
スコウクロフトのアルマゲドン・クーデター
http://www.yorozubp.com/0208/020823.htm
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