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米国分裂:オバマ揺さぶるキリスト教右派の妊娠中絶反対包囲網2009/05/17 13:19

米国分裂:オバマ揺さぶるキリスト教右派の妊娠中絶反対包囲網


本日5月17日、オバマはカトリック系名門のノートルダム大学の卒業式へ。
このノートルダム大学訪問をめぐって、またもや米国は分裂症。

この背景には、オバマが支持する妊娠中絶や胚性幹細胞(ES細胞)の問題があげられます。
オバマ政権は胚性幹細胞研究に対する公金支出を禁じたブッシュ前大統領の大統領令を撤回。
さらにリベラルな人口妊娠中絶政策を推進しています。

いずれも宗教保守派が忌み嫌う政策。
特に人工妊娠中絶問題は今も昔も米国分裂の極めて重要なキーワード。

こうした中で、ギャラップは5月15日に妊娠中絶に関する世論調査結果を発表。
自らを中絶反対派(プロライフ)と呼ぶ国民は過半数突破の51%。
一方で中絶賛成派(プロチョイス)は42%。
プロライフが上回ったのは、この調査が始まった1995年以来初めて。

4月30日にはピュー・リサーチ・センターがノートルダム大学訪問に関する世論調査結果を公表。
カトリックの50%はノートルダム大学の招待に賛成。反対は28%。
その中身を見てみると、礼拝に通う頻度によって大きく異なることがわかります。
あまり礼拝に行かないカトリックの賛成は56%に上る。

昨年の大統領選でオバマはカトリック票でもマケインを圧倒しましたが、
オバマを支持していたのも敬虔とは言えない人たち。
敬虔とは言えない人たちは妊娠中絶問題や胚性幹細胞問題でも寛容な姿勢を示しています。

しかし、米国は今なおプロテスタント大国。
ピュー世論調査の白人福音派プロテスタント(white evangelicals)の数値に注目。

白人福音派の39%がノートルダム大学の招待に反対。
オバマの仕事ぶりにいたっては白人福音派の52%がご不満をお持ち。
ご不満を示したカトリックが21%に過ぎないことを考えれば、
この52%という数値はいかに異常かがわかると思います。

要するにオバマ政権は宗教に関心の薄い「敬虔とは言えない人たち」によって支持されているということ。

こうした支持を受けて、人口妊娠中絶、胚性幹細胞、
そして地球温暖化のいずれの問題でもリベラルな政策を打ち出すオバマ。

しかし、プロテスタント、カトリックに関わらず、「敬虔な人たち」からは「総好かん」。

党派の壁を乗り越えて国民の団結を訴えたオバマですが、
皮肉にも反オバマが教派の壁を越えたキリスト教右派による妊娠中絶反対包囲網形成へ。

現在、ノートルダム大学周辺ではプロライフによる抗議活動が繰り広げられています。
すでに逮捕者も出た模様。


<関連記事>

More Americans “Pro-Life” Than “Pro-Choice” for First Time(画像引用)
http://www.gallup.com/poll/118399/More-Americans-Pro-Life-Than-Pro-Choice-First-Time.aspx

Catholics, Obama and Notre Dame - Pew Research Center(画像引用)
http://pewresearch.org/pubs/1213/catholics-obama-notre-dame-commencement


Pro-Life Activists Converge on Notre Dame to Protest Obama Speech
http://www.foxnews.com/politics/2009/05/16/pro-life-activists-converge-notre-dame-protest-obama-speech/

FT_com - US - Society - Christian right plans abortion showdown with Obama http://www.ft.com/cms/s/0/cafc5cee-4194-11de-bdb7-00144feabdc0.html

Police make arrests at University of Notre Dame(画像引用)
http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5j6Yrs9MYliOAhf5vv1pShKraTJSQD987O2KO0


<続報記事引用>

米大統領のスピーチに抗議の中絶反対派19人逮捕
http://www.cnn.co.jp/usa/CNN200905170003.html

(CNN) インディアナ州にあるカトリック系の名門大学、ノーターデイム大学で16日、オバマ米大統領が同大から名誉学位を授与され、スピーチを行うことに構内で抗議していた妊娠中絶反対派19人が、警察に逮捕された。関係者がCNNラジオに語った。

19人は同大の学生ではなく、逮捕理由は私有地への不法侵入だった。

大統領は17日、同大の卒業式に招かれて名誉学位を授与され、卒業生らを前に演説を行う。しかし大統領が中絶を容認しており、中絶反対のカトリックの立場と逆行することから、カトリック関係者らは強く反発。大統領がヒト胚性幹細胞(ES細胞)研究助成を解禁した点も問題とされている。

同大が大統領を卒業式に招待したことや、名誉学位授与を決めたことに対しては、学内外のカトリック指導者らから批判の声が上がっている。米カトリック連盟のドナヒュー会長は名誉学位授与のみを問題視する姿勢にあるものの、同州サウスベンドの有力司教などは卒業式欠席の意向を表明している。

ジェンキンス同大学長は、同大がこれまでに民主共和両党の大統領を招いてきたと指摘したうえで、オバマ大統領の招待は、大統領の立場の全面的肯定を意味しないと説明した。

ホワイトハウスは、大統領が同大で演説することを名誉に思っていると述べ、激しい議論を引き起こす恐れがある問題をめぐる意見交換を歓迎する姿勢を明らかにした。