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「ポスト金正日」に向けて動き出す中国とロシア2008/09/11 12:17

中国「真珠の数珠繋ぎ」と北朝鮮「清津港と羅津港」


金正日の病状について、重病と見ている米国、回復段階と見ている韓国。
いずれにせよ金総書記の身辺に異常があったのは「ほぼ確実」。

現在、共同さんや時事さんが接触しているのは、
マイケル・グリーン前国家安全保障会議アジア上級部長。

グリーンは北朝鮮の体制崩壊へ備えが必要だと。
その備えは次の4点。
(1)危険な核・生物・化学兵器の管理
(2)北朝鮮軍のゲリラ化防止
(3)北朝鮮国民への人道支援
(4)日本を含む近隣国への流出が予想される難民対策

グリーンはこれに対して、
6カ国協議参加国や主要8カ国(G8)で検討を進める必要があると強調。
また、ポスト金正日について「国防委員会や軍に実権が移る」との見方を示した。

こうした中で、私が気にしているのは中国とロシアの動き。
両国は米国や韓国よりも情報を持っているのは確実。
それでも沈黙中。
おそらく水面下でポスト金正日に向けてしたたかに動いているはず。

政権末期で動きにくい米国。
今がチャンスだ!
ロシアに背中を押されて中国も新たな「極」になろうとするのでしょうか?

その最前線になるのは清津(チョンジン)港と羅津(ナジン)港あたりかな。
いずれも日本にとって因縁の地。

その意味がわかるように2年前の記事を下に復活させておきますね。
この産経さんの記事は鋭いですよ。

この記事にある中国の「大海洋戦略」とは、
真珠の数珠繋ぎ(ストリング・オブ・パールズ,String of pearls)のこと。
すでに私も雑誌で発表したことがあるのですが、
清津港と羅津港は真珠の一角になると見ています。

実際にはすでに中露間でこのような取り決めがあるのかも。
「清津港は中国のもの。羅津港はロシアのもの。」
特にロシアが欲しいのは日本海に面した不凍港。
両国が乗り込む名目は人道支援に難民対策に治安維持になるのかな。

中国もすでにアラスカの資源獲得に向けて必死。
北極海から中国に至るもう一本の「真珠の数珠繋ぎ」を描いているはずです。
日本も負けたらアカンよ。石原莞爾が泣いちゃうよ。

▼引用開始
【斎藤勉の視点】中国の大海洋戦略と北朝鮮 
清津港獲得で日本海進出-の悪夢
2006/05/12 FujiSankei Business

 この半年余、北朝鮮の清津(チョンジン)港の動向がずっと気にかかっている。中露両国国境にほど近い朝鮮半島北東部の付け根あたり、日本海に面した最大の港のことだ。というより、拉致された横田めぐみさんらが連れ込まれた港、七年前に「不審船」が逃げ込んだ港、北と新潟間を往復するあの万景峰号が発着する港…といった方が通りがいい。

 日本統治時代に清津製鉄所が建設されるなど、かつては街に各種工業が発達した。現在は陸軍の精鋭軍団や朝鮮労働党の工作機関の拠点などもあるという。しかし、近年の経済破綻(はたん)で工場は軒並み操業停止に追い込まれて闇市場が拡大、北が誇った港湾設備も今では大半が遊休状態と伝えられる。

 その清津港を中国が虎視眈々と狙う野望が取り沙汰されているのだ。ずばり、日本海への直接の出口の橋頭堡(きようとうほ)確保のためだ。胡錦濤国家主席は昨年十月末の北朝鮮訪問で、経済技術協力協定に調印、「中国は約二十億ドル(約二千三百億円)規模の長期経済援助を提案した」(共同通信)とされる。

 援助の詳細は不明だが、国際情報筋の間では「清津港一帯の港湾施設や道路などの改修、整備を条件に、この港の向こう五十年間の事実上の租借を申し出た」との未確認情報が駆け巡った。特に隣のロシアの情報機関がその真相確認に躍起となったといわれる。

 この情報が真剣に語られたのには背景がある。一つには、胡主席の訪朝直前の昨年九月、北との国境に近い中国の地元紙が「中国・図們から北朝鮮の羅津(ナジン)を経て清津に至る鉄道の改修工事を二〇〇六年中に始める。ひとたび、この改修が終われば清津港の整備もすぐに開始できる」などと報じた。

 これと相前後して中国は清津の北にある軍港、羅津港の第三、四埠頭(ふとう)使用の「五十年間独占契約」を北と結んでいる。すでに「資金と技術を投入して本格的な港湾整備に乗り出したことに日本の情報当局は関心を払っている」(『別冊正論』第2号)という。

 「中国の経済力が急速に北朝鮮国内に浸透している現象」に警鐘を鳴らしたのは韓国の有力紙「朝鮮日報」だ。中国の軍事専門家が「(中朝が共同開発着手で合意した海底)石油地域の保護のために共同艦隊を創設することもありうる」「十-二十年後、中国が北朝鮮の東海岸または西海岸に大規模な海軍基地を保有することになれば、韓国の負担は膨大なものになろう」などと述べた事実を明らかにした。

 同時に、「中国の対北投資」について韓国の専門家は「国家戦略と関連したもの」との見方で共通していると指摘。「金正日体制が崩壊した場合、韓米同盟を通して米国の北朝鮮に対する影響力が増大する可能性をあらかじめ断ち切り、さらに親中政権を打ち立てるためだ。中国が北朝鮮を東北三省の資源補給基地として利用しながら、東北部の第四の省として吸収する可能性も排除できない」との南成旭・高麗大教授の大胆な分析を紹介している。

 ここでユーラシアの南半分を俯瞰(ふかん)しよう。中国が今、アジア全域の海を一本の糸で結ぶような「大海洋戦略」を一つ、また一つと着実に実行に移している輪郭が鮮明に浮かび上がる。

 最も西ではパキスタンのグワダル港でバースの一つを長期に自由使用する権益を手中にしたことがすでに明らかにされている。中国人民解放軍の防空網や通信施設なども稼働予定とされる。グワダル港獲得は、中国がアフリカ諸国で活発な資源外交を展開している事実と同一戦略上にある。ここを物流と軍事の一大拠点として押さえることで、ホルムズ海峡とペルシャ湾、アラビア海に睨(にら)みをきかせられる。

 ミャンマーのココ島にも通信施設を建設してインド洋への足場を築き、南シナ海では数々の島々を実効支配し、東シナ海では海底資源獲得で日本を挑発する。最近は台湾と関係が深い南太平洋の島々を温家宝首相が訪問した。そして唯一、手つかずだった日本海で羅津港と清津港一帯の租借が現実のものとなり、「北朝鮮のグワダル化」が進行すれば、とりわけ日露両国にとっては直接的な悪夢である。

 近い将来、中国の空母や潜水艦がわが物顔で日本海を遊弋(ゆうよく)する事態となったら…。さしものロシアの情報機関が神経を尖(とが)らせるのもむべなるかなだ。「靖国」に「反日」。日本が中国の謀略的目眩(めくら)ましにあたふたとしている隙(すき)に北京はひたひたと世界戦略の空白を埋めていく。(産経新聞正論調査室長)

<参考記事>
Wの衝撃
http://www.yorozubp.com/0511/051113.htm

中国のエネルギー戦略と海洋の安全保障
http://www.sof.or.jp/jp/news/101-150/135_1.php

北朝鮮の体制崩壊へ備えを=核管理などで-前米高官
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2008091100104
米が拉致、核交渉の停滞懸念 金正日氏健康悪化説の中
http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008091101000139.html