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「海外投機筋が『経常赤字への道筋が見えた』と確信した時点で日本国債が攻撃的な売りの標的になりかねない」=JPモルガン証券・菅野雅明レポートの衝撃が世界中に拡散中(関連記事集)2012/01/22 08:37

JPモルガン証券・菅野雅明レポートの衝撃が世界中に拡散中(関連記事集)


2011年の貿易収支は25日に発表されるとのこと。
この日の前後に菅野レポートが再び世界から注目を集めることになるだろう。


<関連記事集>

★ 昨年の日本の貿易収支は1963年以来の赤字へ-JPモルガン菅野氏(1)
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-LXB8PY1A1I4H01.html

1月5日(ブルームバーグ):2011年の日本の貿易収支(国際収支統計ベース)は、通年では1963年以来の赤字となる見通しだ。貿易赤字が増加を続け、海外投資からの収益である所得収支の黒字を相殺する結果、2015年には経常収支も赤字転落し、日本は資本輸入国となる可能性がある。JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストが4日付のリポートでこうした見方を示した。

菅野氏は、昨年の貿易収支赤字化は、東日本大震災に伴う一時的な要因も影響しているとしながらも、「貿易収支悪化という構造的な変化は08年の世界的な金融危機の直後から始まっている」と指摘。その背景として、円高に伴う輸出への影響や世界経済の減速を挙げた。

同氏は「経常収支が赤字化すると、債券市場や為替市場にも大きな影響を及ぼす」と懸念する。日本が「資本輸入国となり、少なくとも財政赤字の一部は外国人投資家にファイナンスされる必要が生じる」ためだ。

さらに、仮に政府が「財政歳出削減と増税により日本の財政赤字が持続可能であることを投資家に示すことができれば、国債利回りの上昇は小幅に止まる」と説明。しかし、逆に「投資家が日本の財政赤字の持続可能性に対する懸念を深めるような場合には、国債利回りは急上昇する」とし、「その結果、政府の利払い費も急増する」ことになると述べている。


★ 年2.9%、膨張続ける国の歳出―増税優先、緩んだ抑止力(けいざい解読)
2012/01/22 日本経済新聞 朝刊 3ページ

 2006年に財政破綻した北海道夕張市と日本国が相似形だったのをご存じだろうか。夕張は当時、人口が1万2000人、借金は630億円だ。いずれも国の約1万分の1で、住民(国民)1人当たり借金額で国は夕張と肩を並べていた。

 破綻後、夕張市は国の管理下で緊縮財政を強いられ、職員数は半減、家庭用ごみも処理費が有料化、公共施設も相次ぎ閉鎖した。財政状態が同じように悪いのに国が指導してきたのは皮肉だが、国家財政は歳出カットどころか膨張が続いている。

 小泉純一郎政権時代の歳出は平均で年0・125%のマイナス予算だった。民主党政権下の3回の予算編成は実質で年2・9%増。歳出を少なくとも9兆円カットするという民主党の09年衆院選の公約は破られた。09年の事業仕分けでも、義務教育費などは仕分け対象から外したのだから削減できるわけがなかった。

 野田佳彦政権がまとめた12年度予算案はさらに「ばらまき」色が強まっている。新しい新幹線3路線に予算がつき、高齢者の医療費の窓口負担増も見送られた。総選挙の足音がするなかで、与党議員の予算要請に、官邸も財務省も抵抗した節がみえない。財務省主計局の関係者からは「消費増税の一点突破のために党内融和を優先する官邸や民主党執行部に妥協した」との声が漏れる。

 小泉政権時代は「新規国債発行30兆円枠」を掲げるなど、単年度の歳出膨張にも歯止めをかける仕組みを設け、政府主導で「族議員」の要求を退けた。12年度予算案で国債発行は44兆円にのぼる。

 財政再建の手本はないか。ユーロ加入前の1990年代に再建を果たしたベルギーは政治から独立した「財政ハイレベル協議会」を設けて工程表の監視役にした。90年代初めにイタリアと並んで財政状況が悪かったカナダは首相が省庁ごとの特別委員を任命し、財務相の強い指導力と合わさって歳出削減を達成し、97年には財政黒字化を果たした。共通するのは政治から独立した財政再建の推進役だ。

 日本に残された時間はあるのか。JPモルガン証券の菅野雅明氏は貿易力の衰退で15年には、貯蓄増を支える経常収支が赤字になると予測。「赤字国債の消化が難しくなる時期は近い」と警鐘を鳴らす。

 野田首相は消費増税に向け与野党協議を呼びかけた。だが、増税だけで財政再建は心もとない。BNPパリバ証券の河野龍太郎氏は「来年度予算は切り込み不足。消費増税だけでなく、予算の削減修正の議論があってもいい」と指摘する。

 ばらまき予算案の一因は消費税論議やその先の連立政権を狙った野党有力議員への懐柔策との見方もある。地元への利益誘導がお家芸だった自民党だが、同党が昨年まとめた財政健全化法案には「財源なくして新政策なし」の原則が盛られていた。与党も野党も試されている。(編集委員 土屋直也)


★ 海外、「決められぬ政治」凝視(ポジション)
2012/01/20 日本経済新聞 朝刊 5ページ

 2012年はグローバル時代になって初めて、政治と経済の完全な融合を見る――。11年に世界の指導国不在を意味する「Gゼロ」という概念を発表した米調査会社ユーラシア・グループが、年頭の調査リポートでこんな指摘をした。

 米国やフランスなどの主要国で政権交代の可能性がある今年は、国のかじ取りが経済や金融市場に重要な影響を与える。政局の混迷が続く日本にも当てはまる指摘だろう。

 昨年、海外投資家の買越額が過去最大になった日本の短期債。月別にみると、8月の買越額が6兆円と突出しているのがわかる。この月は中長期債の買越額が年前半より細り、日本株の売越額も1・5兆円を超えた。

 海外投資家が償還期間が長めの日本国債や株式を売って、換金性の高い短期債に資金を振り向けたのはなぜか。

 昨年8月は、米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスが日本国債の格下げを発表した月でもある。その理由として、同社は政府債務の大きさなどに加え、「頻繁な首相交代が一貫した経済・財政戦略の実行の妨げになってきた」と政治的な要因を挙げた。格下げをきっかけに政治指導力の弱さを改めて意識した外国人が、日本全体の投資で「低リスク・短期」の志向を強めた可能性がある。

 目先の債券相場は需給で動いている。欧州債務不安などで投資家の購入意欲は強く、12日の新発10年物国債の入札で最高落札利回りは前回12月から低下した。

 とはいえ、日本経済の構造的な不安はぬぐえない。海外の投機筋の関心が集まるのは日本の経常収支。経常赤字に転落すれば、国債の国内消化が危うくなりかねないからだ。

 JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「海外投機筋が『経常赤字への道筋が見えた』と確信した時点で日本国債が攻撃的な売りの標的になりかねない」と話す。

 「国家債務の持続性は政治的な概念である」(仏経済学者、ジャック・アタリ氏)。政治がぐらつけば、日本の構造問題に光が当たりやすくなる。米大手金融機関の永田町ウオッチャーには「今年中に解散・総選挙になる確率は何%か」といった投資家からの問い合わせが頻繁に入っている。(編集委員 小平龍四郎)


★ 貿易赤字転落、日本岐路に――31年ぶり、円高・燃料費増加で(エコノフォーカス)
2012/01/09 日本経済新聞 朝刊 3ページ

10年代半ば経常赤字も 海外利子・配当頼り

 日本は貿易赤字国になったもようだ。2011年は原子力発電所の事故の影響で燃料輸入が増え、31年ぶりの貿易赤字になったのは確実で、このままでは向こう数年間は赤字から脱却できない可能性が大きい。海外からの利子や配当で赤字を穴埋めできなければ、お金が海外に流出し、国債の消化など国の財政運営も海外頼みになる。日本経済は岐路を迎えている。(川手伊織)

 貿易統計によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は昨年1~11月、2・3兆円の赤字になった。年間の赤字は1980年(2・6兆円)以来だ。歴史的な円高で輸出が伸びなかった一方、東日本大震災後の原発の停止で、火力発電に使う液化天然ガス(LNG)の輸入が膨らんだためだ。

数年は赤字定着

 貿易赤字は構造的に定着してしまうとの見方が多い。原発の稼働率が震災前より低いままなら、代替の火力発電用の燃料輸入がかさむ。欧州債務危機が世界経済の足かせとなれば、日本の輸出も増えない。JPモルガン証券の菅野雅明チーフエコノミストは「02~07年のように世界経済の成長率が高く、かつ持続的に円安が進まない限り、日本の貿易赤字は拡大する」と予測する。

 小泉政権の05年4月、経済財政諮問会議は「日本21世紀ビジョン」で、日本が貿易赤字に転落することを予想した。だが、その時期は30年度とみていた。リーマン・ショックや震災で日本の貿易構造が予想より20年早く変わったことになる。

 「21世紀ビジョン」は貿易赤字になっても、日本は海外からの配当や利子で経常黒字を維持し、世界の経済成長を取り込む「成熟債権国」になるシナリオだった。しかし「成熟債権国」シナリオは危うくなっている。

 経常収支は貿易収支、サービス収支、所得収支、途上国への資金援助などを表す経常移転収支の4つの合計。このうち、日本人の海外旅行が影響するサービス収支と経常移転収支はもともと赤字。貿易収支と所得収支で黒字を稼いできた。

所得収支が焦点

 所得収支の黒字は05年に貿易黒字を上回り、07年には16・3兆円まで拡大。しかし、リーマン危機で主要国の金利が下がり、10年は11・7兆円まで減少した。

 所得収支の黒字はいつまで貿易赤字を埋められるか。菅野氏の推計では、日本の貿易赤字は15年に14・3兆円に拡大する一方、所得収支の黒字は14・8兆円にとどまる。サービス収支などの赤字を含めると15年に経常赤字に転落するという。クレディ・スイス証券の白川浩道チーフエコノミストも「14年度にも経常赤字になる」とはじく。

 経常赤字は家計・企業・政府の3つ全体で貯蓄が取り崩されたことを意味する。政府が新たに借金しようとすると、米国のように海外からマネーを呼び込む必要がある。

 菅野氏は「歳出削減と増税で財政再建の道筋を示せなければ国債利回りは急上昇する」と警告する。政府・与党による社会保障と税の一体改革素案は消費税率を14年4月に8%、15年10月に10%へ引き上げることを盛り込んだ。10年代半ばの経常赤字転落が現実味を増すなか、財政健全化の重みは一段と増している。

経常黒字確保、海外投資カギ
規模・効率 欧米に見劣り

 海外への直接投資は所得収支のカギを握っている。強い円を武器に、2011年の日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)は総額5兆円超と過去最高になった。日本の工場を減らして海外に移す「産業空洞化」を懸念する声も高まっている。しかし日本の直接投資の蓄積は海外投資の歴史が長い欧米より大幅に低い水準にとどまっている。

 日本の名目国内総生産(GDP)に対する直接投資残高の比率は15%。英国(75%)や米国(31%)に遠く及ばない。収益率も4・6%と7~9%の米英に見劣りする。

 日本の所得収支の黒字は、外国債など債券からの利子収入に偏っている。11年1~10月の黒字額の5割を占めた。所得収支の黒字を増やすには、M&Aなど海外直接投資を伸ばして、配当金収入を膨らます必要がある。

 日本企業は成長の源泉を求め、海外投資を加速させている。武田薬品工業は約1兆円を投じてスイス企業を買収。長谷川閑史社長は「新興国に出ていかないと成長はない」と断言する。ただ円高で日本の輸出競争力が下がると、国内の生産拠点も一気に縮小し、貿易赤字が増えてしまう。

 経済発展に伴う製造業の緩やかな海外移転はやむを得ない面がある。しかし、急激な産業空洞化は雇用の受け皿も小さくする。円高がその懸念を強めているが、政府・日銀の腰は重い。


★ 31年ぶり「貿易赤字国」=震災で輸出入に変調-11年
http://www.jiji.com/jc/c?g=eco&k=2012012100154

 2011年の日本の貿易収支は赤字に転じ、第2次石油危機後の1980年以来、31年ぶりに貿易赤字国へ転落することが確実だ。東日本大震災や円高の定着で輸出が伸び悩む一方、東京電力福島第1原発事故に伴う国内原発の相次ぐ停止で、火力発電燃料の輸入額が大きく膨らんだのが主因。円高基調が変わらないことなどで、貿易赤字は今後、数年続くとの見方もある。11年の貿易収支は25日に発表される。

 「貿易立国」で高度経済成長を実現した日本は、81年から一貫して貿易黒字を享受。10年の年間貿易収支は7兆円近い黒字だったが、11年は1月から12月中旬までの累計で2兆7842億円の赤字を記録した。(2012/01/21-14:34)


2015年経常収支赤字転落説も浮上中、その時日本はどうなるの?
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2012/01/06/


Japan Seen With First Trade Gap Since ‘63 in JPMorgan Outlook
January 05, 2012, 7:32 AM EST
By Eleanor Warnock
http://www.businessweek.com/news/2012-01-05/japan-seen-with-first-trade-gap-since-63-in-jpmorgan-outlook.html


Japan’s trade balance (画像引用)
Seeing red
After half a century of trade surpluses, Japan is now in deficit
http://www.economist.com/node/21542794

日本の貿易収支:赤字転落
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34347


January 11, 2012 3:46 pm
Japanese debt appeals to foreigners
By Ben McLannahan in Tokyo
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/24076ef8-3c30-11e1-8d38-00144feabdc0.html#axzz1jwTGX5Xx


Japan clears hurdle to consumption tax
Ben McLannahan
Tokyo— Financial Times
Posted on Friday, January 6, 2012 8:25AM EST
http://www.theglobeandmail.com/report-on-business/international-news/global-exchange/financial-times/japan-clears-hurdle-to-consumption-tax/article2293589/

“Japan’s politics will be more unstable in coming months,” said Masaaki Kanno, chief economist at JPMorgan in Tokyo. “The possibility of the dissolution of the lower house and [a] general election should not be ruled out.”

日本の恥、世界の恥=「原発事故最悪シナリオ封印」に続いて、なんと「原子力災害対策本部」と「事故対策統合本部」が議事録作成せず2012/01/22 20:26

日本の恥、世界の恥=菅「原発事故最悪シナリオ封印」に続いて、なんと「原子力災害対策本部」と「事故対策統合本部」が議事録作成せず


常識的に考えれば、「議事録作成せず」など有り得ない。

議事録があるのにないことにして隠したいことがあるのではないか。
昨夜、共同が報じた「最悪シナリオ封印」記事が気になるのか。

議事録があるのに誰かがヤバイと思って食べちゃったのか。
だったらヤギさん出ておいで~♪

さてこの問題。菅前政権の責任だけで済むのか。
民主党の責任は問われないのか。

すべてを明らかにした上で民主党は潔く下野するだけで済むのか。
政治家として失格ではないのか。

「議事録作成せず」が事実なら、国民的な損失のみならず世界的な損失。
「日本の恥、世界の恥」と罵られることに。

「民主党解体を!」の声が高まってもいいほどの大問題。
国民は事の重大さに気づいて欲しい。


<関連記事>

原発事故 国本部の議事録作成せず (画像引用)
1月22日 17時44分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120122/t10015450241000.html

東京電力福島第一原子力発電所の事故を巡って、避難区域や除染の方針など重要な決定を行ってきた政府の「原子力災害対策本部」の議事録が作成されていなかったことが分かりました。専門家は「将来同じ失敗を繰り返さないようにするための財産が失われたという意味で、国民的な損失だと思う」と指摘しています。

政府の原子力災害対策本部は、総理大臣を本部長とし、経済産業大臣をはじめ全閣僚をメンバーとするもので、原発事故当日の去年3月11日に設けられ、避難区域や除染の基本方針、農作物の出荷制限など原発事故を巡る重要な決定を行ってきました。

NHKで、去年11月、それまでに開かれた21回の会議について「議事録や内容をまとめた資料など」の情報公開請求を行ったところ、公開されたのは、議題を記した1回の会議について1ページの「議事次第」だけで、議論の中身を記した議事録は作成されていなかったことが分かりました。

NHKの取材に対し、原子力災害対策本部の事務局を務めている原子力安全・保安院の担当者は「業務が忙しく議事録を作成できなかった」と説明しています。

公文書管理法は、国民への説明義務を果たすとともに政府の意志決定の過程を検証できるようにするため重要な会議の記録を残すよう定めており、公文書の管理を担当する内閣府は、原子力安全・保安院の担当者から聞き取りを行うなど経緯を調べています。

原発事故への対応を巡っては、東京電力と政府が合同で事故対応を検討した「事故対策統合本部」でも主要な会議の議事録が作成されていなかったことが分かっており、内閣府は、この経緯についても調べています。

公文書の管理や情報公開制度に詳しい名古屋大学大学院の春名幹男特任教授は「政府の重要な立場にあった人たちは、記録を残さないと責任を果たしたことにはならない。今回は、自分たちの失策がそのまま記録されると困るので、あえて記録を残さなかったと思われてもしかたない。将来同じ失敗を繰り返さないようにするための財産が失われたという意味で、国民的な損失だと思う」と指摘しています。



【最悪シナリオを封印】菅政権「なかったことに」 
大量放出1年と想定 民間原発事故調が追及
http://www.47news.jp/47topics/e/224789.php

 公文書として扱われず

 東京電力福島第1原発事故で作業員全員が退避せざるを得なくなった場合、放射性物質の断続的な大量放出が約1年続くとする「最悪シナリオ」を記した文書が昨年3月下旬、当時の菅直人首相ら一握りの政権幹部に首相執務室で示された後、「なかったこと」として封印され、昨年末まで公文書として扱われていなかったことが21日分かった。複数の政府関係者が明らかにした。

 民間の立場で事故を調べている福島原発事故独立検証委員会(委員長・北沢宏一(きたざわ・こういち)前科学技術振興機構理事長)も、菅氏や当時の首相補佐官だった細野豪志原発事故担当相らの聞き取りを進め経緯を究明。危機時の情報管理として問題があり、情報操作の事実がなかったか追及する方針だ。

 文書は菅氏の要請で内閣府の原子力委員会の近藤駿介(こんどう・しゅんすけ)委員長が作成した昨年3月25日付の「福島第1原子力発電所の不測事態シナリオの素描」。水素爆発で1号機の原子炉格納容器が壊れ、放射線量が上昇して作業員全員が撤退したと想定。注水による冷却ができなくなった2号機、3号機の原子炉や1~4号機の使用済み燃料プールから放射性物質が放出され、強制移転区域は半径170キロ以上、希望者の移転を認める区域が東京都を含む半径250キロに及ぶ可能性があるとしている。

 政府高官の一人は「ものすごい内容だったので、文書はなかったことにした」と言明。別の政府関係者は「文書が示された際、文書の存在自体を秘匿する選択肢が論じられた」と語った。


 最悪シナリオの存在は昨年9月に菅氏が認めたほか、12月に一部内容が報じられたのを受け、初めて内閣府の公文書として扱うことにした。情報公開請求にも応じることに決めたという。

 細野氏は今月6日の会見で「(シナリオ通りになっても)十分に避難する時間があるということだったので、公表することで必要のない心配を及ぼす可能性があり、公表を控えた」と説明した。

 政府の事故調査・検証委員会が昨年12月に公表した中間報告は、この文書に一切触れていない。
 
 【解説】検証阻む行為許されず

 東京電力福島第1原発事故の「最悪シナリオ」が政権中枢のみで閲覧され、最近まで公文書扱いされていなかった。危機の最中に公開できない最高機密でも、公文書として記録しなければ、次代への教訓を残すことはできない。民主的な検証を阻む行為とも言え、許されるものではない。

 民主党は2年半前、政策決定の透明性確保や情報公開の促進を訴えて、国民の信を得たはずだ。日米密約の解明も「開かれた政治」を求める国民の期待に応えるための作業だった。

 しかし、今回明らかになった「最悪シナリオ」をめぐる一連の対応は、そうした国民の期待を裏切る行為だ。

 シナリオ文書を「なかったこと」にしていた事実は、「情報操作」と非難されても仕方なく、虚偽の大量破壊兵器(WMD)情報をかざしながらイラク戦争に突き進んだブッシュ前米政権の大失態をも想起させる。

 民間の立場で調査を進める福島原発事故独立検証委員会が文書の取り扱いをめぐる経緯を調べているのも、そうした民主的な視点に根差しているからだ。ある委員会関係者は「不都合な情報を握りつぶしていたのではないか」と指摘する。

 昨年末に中間報告をまとめた政府の事故調査・検証委員会が「最悪シナリオ」に切り込めていないのも問題だ。政府は民間の事故調査を待つことなく、自らが経緯を明らかにすべきだ。 

(共同通信)2012/01/21 22:00