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ストローブ・タルボット発言で読み解く米中冷戦時代2010/04/27 08:26

ストローブ・タルボット発言から米中冷戦時代を検証する ForMin Paet met with Javier Solana and Strobe Talbott


<関連記事引用>

本社・米ブルッキングス研など共催シンポ、日米同盟あっての発展、価値の再認識必要。
2010/04/27 日本経済新聞 朝刊

 日本経済新聞社と米ブルッキングス研究所、財団法人経済広報センターは26日、東京・大手町の経団連ホールで共催シンポジウム「オバマ政権の外交政策と日米関係」を開いた。ブルッキングス研のストローブ・タルボット所長は、台頭する中国や核武装した北朝鮮など東アジアには不確実性が多いことを踏まえ「日米安保体制は地域安定の礎」と強調。米軍普天間基地問題で揺らいでいる日米同盟の価値を再認識すべきだと訴えた。

 タルボット所長は「日本の民主主義、非核、経済発展は日米安保体制なしに実現できただろうか」と発言。米国と同盟関係にある韓国も同様の成果を得たことを挙げ「日米同盟の利点は失われていない」と語った。

 普天間基地問題について「沖縄駐留米軍の戦略的価値を弱める行動を日本が取れば日米同盟が崩壊する可能性がある」と危機感を表明。米国内では「日本が何をしようとしているのか分からないという不安」が超党派で共有されていると指摘した。

 そのうえで「(政権交代があっても)新しい政権は旧政権からの外交政策の連続性を維持しなければならない」と、鳩山政権に対し普天間問題の早期解決を促した。

 中国については「人民元改革や北朝鮮の核開発などの問題で、中国は解決策(の担い手)にもなりうるし、問題の一部となる可能性もある」と指摘。中国の協力を取り付けるよう日米が「エンゲージメント(関与)」することが重要との認識を示した。

 一方で「中国は資本主義と非民主主義の共存という実験の答えをまだ見つけていない」と分析。こうした不確実性に対し日米同盟が「ヘッジ(備え)」になるとの考えをにじませた。

 討論会にはブルッキングス研究所のブッシュ北東アジア政策研究部長、ポラック中東政策研究部長、東京大学の久保文明教授が参加した。

 久保教授は、日米安保条約の条項に基づき、米軍は日本防衛だけでなく極東の平和と安全のために在日米軍基地を利用できると指摘。「当たり前のことが理解されていないのが混乱の源だ」と語った。タルボット所長は、日本の政治家が在日米軍の果たしている役割を正当に評価し、国民に伝えていくべきだとした。

 ブッシュ部長は、中国の軍事増強について「方向性に懸念がある」と言及。「中国が国際社会と協力することで、より多くのことを得られるように仕向けるべきだ」と述べるとともに、日米が防衛面などでの備えも怠らず「関与と力の両立を追求すべきだ」と訴えた。北朝鮮については「希望的観測で見てはならない」と、現体制が核兵器開発を放棄することはないとの見方を示した。

 ポラック部長は、オバマ政権の対イラン政策が「関与」から「制裁」に軸足を移していると分析した。核開発を続けるイランに断固とした態度を示さなければ、他の中東諸国も核武装に動きかねないと懸念を表明。核拡散防止での日米の協力強化を訴えた。


米ブルッキングス研究所などが主催したシンポジウム要旨
2010/4/26 23:07
http://bit.ly/bcHJNn

 日本経済新聞社、米ブルッキングス研究所、財団法人経済広報センターが26日共催したシンポジウム「オバマ政権の外交政策と日米関係」の要旨は以下の通り。

 《ストローブ・タルボット・ブルッキングス研究所所長の基調講演》

 ワシントンでは、日米関係の現状に深い懸念がある。同盟の将来の方向性についての懸念だ。この懸念を発生させたのは、米軍普天間基地の移設問題と中国の台頭だ。

 普天間問題については、日本の新しい政権が2006年の既存の合意を置き換える明確な考えを持ち合わせていないことに米政府は不安を感じている。

 1つ確かなのは、冷戦以降も不確実な状況が存在し、将来も国際情勢の変化が続くということだ。だからこそ、日米同盟を評価、維持することが重要になる。

 オバマ大統領は中国について「米国と他の国の関係と同じように重要だ」と語り、「最も重要だ」とは語っていない。日米関係に影響を与えるとは一切言っていない。

 北朝鮮・イランの核開発や気候変動、人民元改革などの頭の痛い問題について、中国は解決策(の担い手)になり得るし、問題の一部となる可能性もある。これらの問題について、日米は対中政策で協力すべきだ。

 皮肉なことに、ワシントンの目には日本の民主党が中国やアジアに軸足を移しつつある、と映っている。東京にも米国に対して同じようなイメージを持つ人がいる。

 また、日本には米国の民主党が共和党より親中的だとの印象を持つ人がいるが、これは間違いだ。日米関係の重要性については超党派のコンセンサスがある。

 《パネル討論》

 リチャード・ブッシュ同研究所北東アジア政策研究部長 日米が東アジアで直面している大きな安全保障上の問題は北朝鮮と中国だ。北朝鮮を希望的観測で見てはならない。現在の北朝鮮の指導部が核を放棄することはないだろう。

 中国は大国として台頭してきているが、日米を圧倒して東アジアを支配しようとしないことを期待する。中国が国際社会と協力することで、より多くのことを得られるように仕向けるべきだ。

 ケネス・ポラック同研究所中東政策研究部長 イランの核兵器開発疑惑が払拭(ふっしょく)されていないため、核不拡散は非常に脆弱(ぜいじゃく)な状況になっている。イランが一線を越えると、次はサウジアラビア、次はアラブ首長国連邦(UAE)となってしまう。ほかの国も(核兵器を持とうと)思うのではないか。オバマ米政権はまさにこれを恐れている。

 久保文明・東大教授 鳩山由紀夫政権の安保政策で特に違和感を感じるのは対米政策だ。「緊密で対等な日米関係」を1つのスローガンにしているが、「対等」の定義が難しい。米国にとっては、日本が防衛費を増やして安全保障に貢献することを意味するだろうが、鳩山首相は全く違ったことを意味しているはずだ。

 鳩山首相はかつて「駐留なき安全保障」を持論に掲げていた。首相としては封印しているようだが、間違いとは思っておらず、ただ一時的にフタを閉めている印象だ。

 タルボット氏 基地のない安全保障や軍事同盟は可能なのか。長期の同盟関係は米国が不測の事態に対応できるか否かによる部分が大きい。だからこそ、海軍、空軍、地上軍など様々な資産を持つ必要がある。沖縄の海兵隊はこの地域で(実質的に)唯一の地上軍である。

 ブッシュ氏 (日本の)地域社会で、米軍の施設の負の影響を感じている人たちがいることはよく理解できる。日本の指導者は、米軍のプレゼンスが日本の繁栄や安全保障につながることを説明せねばならない。

 タルボット氏 米国が日本と同盟関係を60年以上維持してきたことを誇りに思う。日米安保体制なしに、民主主義、非核、経済発展の3つを実現できただろうか。北東アジアで、特に日本と韓国で民主主義が発展したのは、両国が米国と同盟関係にあることと偶然ではない。

 ブッシュ氏 日本がグローバルな安全保障上の役割を果たすのなら、まずは得意なことに集中すべきだ。第二に、直面する課題に対し現実的な貢献であるべきだ。第三に米国に言われるのではなく、日本側から主導権をとるべきだ。アフガニスタンなど様々な分野で貢献できると思う。

 タルボット氏 われわれの子どもたちは、世界最大の人口を持つ国家であるの中国と心地よく共存できるのだろうか。もう一つの大きな疑問は、資本主義と非民主主義を融合させようとする中国とロシアの実験が成功するかどうかだ。

 冷戦終了とともに、西側諸国では自由民主主義や市場経済が国家統制主義に打ち勝ったという戦勝気分が漂った。その勝利は今日、それほど明確ではない。ロシアでは1990年代の民主改革に対する多大な失望が広がり、トップダウンの政治システムが復活した。

 ブッシュ氏 私が生きているうちに中国が完全な民主体制に移ることはないだろう。


普天間、同盟への悪影響懸念…米元国務副長官
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100427-OYT1T00111.htm

 米クリントン政権で国務副長官を務めたストローブ・タルボット・米ブルッキングス研究所所長は26日、首相官邸で鳩山首相と会談した。

 タルボット氏は首相が「5月末決着」を明言している米軍普天間飛行場移設問題を念頭に「特定の問題で打撃を与えないよう、対策が見いだされなければならない」と述べ、日米同盟全体に悪影響が及ばないように、早急に対応するべきだ、と懸念を示した。

 タルボット氏はその後、都内で講演し、オバマ政権に近い立場から、米国内で「同盟関係の将来の方向性について、深い懸念が存在する」と指摘した。その原因として普天間問題と中国問題の2点を挙げた。

 普天間問題では、「これまで何年も痛みを伴う交渉を行ってできた2006年の日米合意に対し、(鳩山政権が)一体何をしたいのか分からないことが、米国の非常に大きな不安材料になっている」と懸念を示した。そのうえで、「日本が沖縄米軍の軍事的プレゼンスを薄めるような行動を取るなら、同盟関係全体が崩壊に直面する可能性がある」と強く警鐘を鳴らした。

 中国問題では、両政府間に対中政策に関する「疑念」が生まれているとし、「(日米の)最も高いレベルでの信頼関係が重要だ」と述べた。タルボット氏は外務省で岡田外相とも会談し、同様の米国の懸念を伝えた。(2010年4月27日01時07分 読売新聞)


<画像引用>

ForMin Paet met with Javier Solana and Strobe Talbott
http://www.baltic-course.com/eng/baltic_states/?doc=25585