「中国救世主論」を信じるな! ― 2009/01/02 16:09
「100年に1度」という言葉が最近頻繁に使われています。
これを言い出したのはアラン・グリーンスパン前FRB議長。
正確には英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)の寄稿の中で、
現在の金融危機を「100年に1度か2度の出来事だ」と指摘。
よって、1929年から始まった世界大恐慌と同規模なのかそれ以上の規模なのかは不明。
しかも、わかっていてバブルを放置したとしてグリーンスパンを批判する声も多数。
あまり鵜呑みにしない方がいいのではないかと。
「100年に1度」と並んでよく登場しているのが「多極化」と「中国救世主論」。
A.T. カーニー 日本代表の梅澤高明氏のコラムは典型的なもの。
第3回「世界経済の4つのシナリオ」(2008/12/29)(図表引用)
http://bizplus.nikkei.co.jp/colm/umezawa.cfm
中国を多極化の一極と位置付けながら、
「中国を成長エンジンとして、世界経済の成長が続く」か否かで、
シナリオを組み立てています。
しかし、本当に多極化するのでしょうか。
その極とは本当に中国?それともロシア?本命はやはりEU?
いずれも極を担えるほどのパワーがあるとは思えない。
そうなると一時的な無極化の方が説得力ありですね。
中国経済に関して、先月12日にCFR(外交問題評議会)のサイトで、
エリザベス・エコノミーの極めて重要なインタビュー記事が掲載されています。
そのタイトルは・・・。
「中国経済は急速に失速しつつある(China's Economy 'Losing Steam Very Quickly')」
その内容を簡単に紹介。
中国の2009年の経済成長率は、
今や誰もがこれまでのような9~10%ではなく、5~7%へと鈍化すると考えている。
中にはゼロ成長になると予測する人さえいる。
中国の失業問題に至っては、
中国政府が発表している失業率4%に疑いの目を向けながら、
10~12%に達している可能性を指摘。
このように中国政府の発表を鵜呑みにしないのも、今や世界の常識。
こんな国を救世主と考えるのは大間違い。
中国の成長神話を信じ込んでいる日本人経営者も結構多いようですが、これも大間違い。
中国経済の急速失速が更なるパニックを誘発する可能性の方が高い。
これが最悪のシナリオにつながります。
梅澤氏の4つのシナリオの内、上段二つが見事に完全消滅。
残るは「第2次大恐慌」か「米覇権の復活」のみ。
「第2次大恐慌」を避けるには、
やはり「米国人の恐るべし能天気と浪費癖に頼るしかない」ということになります。
<関連記事>
China's Economy 'Losing Steam Very Quickly'
Interviewee: Elizabeth C. Economy, C.V. Starr Senior Fellow and Director for Asia Studies
http://www.cfr.org/publication/17987/
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