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鎮守の森と水素タウン - トヨタ燃料電池車が拓く復興2012/12/05 07:10



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トヨタ燃料電池車が拓く復興
山根 小雪  【プロフィール】バックナンバー
2012年12月5日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20121130/240360/?top_updt&rt=nocnt

巨大津波で甚大な被害を受けた岩手県宮古市。国の支援を待たず、企業とともに独自の復興策を打ち出した。燃料電池車の量産をにらみ、地産地消の水素タウンを目指す。

 東京から新幹線と車で5時間超。陸の孤島とも言える岩手県宮古市に11月26日、トヨタ自動車や八千代エンジニヤリングなど12社が顔を揃え、FCV(燃料電池車)が走る水素タウンを作ると発表した。

 現時点で、復興交付金を含めた国の支援は一切決まっていない。それでも宮古市が官民共同で水素タウンの構築プロジェクトを立ち上げるのは、被災自治体が抱える出口の見えない閉塞感への抵抗にほかならない。

 宮古市は東日本大震災で甚大な被害を受けた。巨大津波は人々の日常生活を一瞬にしてのみ込んだ。あれから2年近くが経過し、道路などのインフラは復旧。瓦礫の片づけも徐々に進むが、抗いようのない閉塞感が覆う。

 「このままでは震災前の状態にまで復旧するのがせいぜい。漁業が中心の産業はダメージが大きい。高齢化には歯止めがかからず、未来を描けない若者は流出していく」。宮古市の名越一郎副市長は市の現状を吐露する。

 市民から寄せられるのは「将来に向かう光が欲しい」「雇用や子供の将来が心配」という声ばかり。何か未来を感じる取り組みを始めたい。こう願う宮古市は企業と手を組み、世界の注目を集める街づくりへと舵を切った。

FCVの量産に間に合わせる

 プロジェクトの目玉は、世界初のCO2(二酸化炭素)フリーの水素インフラとトヨタの量産型FCVだ。トヨタは2015年に量産型FCVを発売する。かつてEV(電気自動車)と量産時期を競っていたFCVだが、技術的な課題の克服に時間を要し、EVに後れを取った。だが、福島第1原子力発電所事故で原発による夜間電力をEVの充電に使うという大前提が崩れた今、FCV開発は再びスピードを増している。

 水素インフラは、東京、大阪、名古屋、福岡の4大都市圏から整備することで国と関係業界は合意している。ただし、既存の水素インフラは天然ガスや石油といった化石燃料から水素を作っており、FCVが次世代エコカーとは言い切れない側面を持つ。一方、4大都市圏以外で初めて水素タウンを目指す宮古市は、地元の木材を原料に世界初のCO2フリーの水素を地産地消する。

 具体的な仕組みはこうだ。木材チップをガス化し、生じたガスから水素を作る。FCVの台数が少ないうちは、すべてのガスを水素製造に回すのではなく、発電機を通して電力と熱を得る。電力は再生可能エネルギーの「固定価格買い取り制度」を利用して売電し、熱はビニールハウス栽培などで利用することでコストを回収する。中核の木材のガス化技術は、ジャパンブルーエナジー(東京都千代田区)が開発した。

 同社の堂脇直城社長は、「ベンチャー企業である当社の試験設備に世界各国の企業が訪れる。自社製品が木材由来の水素を使えるか確認するのが目的だ」と明かす。宮古市が世界初のCO2フリー水素タウンとなれば、世界各国の企業の実証試験を請け負える。

 水素社会の勃興をにらんで準備を進める企業は、日本だけでも相当数存在する。福岡県が産官学で運営する「福岡水素エネルギー戦略会議」の会員が666企業・機関に上ることは象徴的だ。宮古市のプロジェクトの参加企業からは「再生可能エネルギーと水素社会をつなぐ初の試みであり、水素社会の成否を握る試金石。何が何でも成功させたい」という声が漏れてくる。

 プラントの建設費用は約20億円。これから設計を詰め、トヨタのFCVの量産に間に合うよう2014年秋の稼働を目指す。被災地に新たな産業の芽を育てる戦いが始まった。


宮古にバイオマス施設/近く設計着手、14年開業/市など協議会
http://www.kensetsunews.com/?p=3892

 岩手県宮古市とジャパンブルーエナジー、トヨタ自動車、三井化学、大和リースなどで構成する宮古市ブルーチャレンジプロジェクト協議会(会長・西村眞名古屋大学教授)は、宮古市に木質バイオマス施設「BLUEタワー」を整備する。2014年秋の開業を目指し、近く設計に着手する予定だ。整備費は約20億円となる見込み。

 BLUEタワーはジャパンブルーエナジー(東京都千代田区、堂脇直城社長)の保有するバイオマスのガス化技術を生かした施設で、間伐材や汚泥を利用して電気・熱・水素を生み出すことができる。同プロジェクトでは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度を活用した売電や燃料電池自動車向け水素ステーションの整備などを進め、地産地消のエネルギー循環システムの確立させることを目指している。

 同市は建設予定地として震災で大きな被害を受けた地区を予定しており、発熱を利用した大型園芸施設整備による農業の再生や間伐材利用による林業の活性化など、同施設の整備に合わせた周辺のまちづくりや雇用の創出も進めたい考えだ。

 プロジェクトに当たり、同市の名越一郎副市長は「このプロジェクトをきっかけに、被災地は打ちのめされているだけではないと発信していきたい。それが支援してくれた多くの方への恩返しになる」と意気込みを話している。
[ 2012-12-05 4面 面名:4面]

コメント

_ 奔放な旅人 ― 2012/12/05 11:18

選挙になった途端に「被災地の復興」と複数の党、複数の候補者が大合唱していますが、耳障りの良い事を言えば支持して貰えると単純に思って居るのでしょう。
今更「復興」を言うな!
被災者は踊らされません、「またか!」ともはや冷めていますよ。
それに比べたなら自治体ベースで動き始める宮古市の方が、余程国会議員より上。
公示日のニュースで、野田総理が被災地を訪れ云々とありますが、被災県には入ったが被災地には来ていない。
メディアも正しく伝えても居ないし。
宮古市のプランは是非成功して貰いたい。
これが被災地にとって、良いモデルケースとなる事を願う。
国は口だけで何もしませんからね。
何もしないのなら金だけ被災地へ渡し、この金を自治体独自の復興に使って下さいと言う方がマシ。

_ Y-SONODA ― 2012/12/06 07:30

奔放な旅人さんへ

>宮古市のプランは是非成功して貰いたい。

出てきた水素をどう活用するか。
その具体的なイメージが見えてこないような。
このあたりが現状の課題かもしれませんね。

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