米英が中銀の権限強化、2012年問題に向けて機動性重視へ ― 2010/06/18 09:29
英国のオズボーン財務相は16日夜のロンドン市内の講演で日本の金融庁にあたる金融サービス機構(FSA)を事実上解体し、金融監督権限を英中央銀行のイングランド銀行に移管するなどの改革を2012年までに実施する考えを表明。
2012年は日本にとっても世界にとっても極めて重要。この年を境に世界が一変する可能性がある。
真っ先に対応した英国はさすが。新設される独立銀行委員会のメンバーにはフィナンシャル・タイムズ紙のマーティン・ウルフやバークレイズのマーティン・テイラーの名前があがっていることから、先日スペインで開催されたビルダーバーグ会議の影響も大いに気になるところ。この場で2012年問題も話し合われたのか。
消費税増税に前のめりの菅首相。最速で2012年秋に税率を引き上げるというシナリオも浮上中。2012年危機は当然日本を直撃。ここで対応を間違えれば、奈落の底へと沈むことになる。
<関連記事引用>
英、金融監督機能を中銀に 13年ぶりの抜本改革-金融サービス機構は解体
2010/06/17 10:46 日本経済新聞電子版ニュース(画像引用)
【ロンドン=吉田ありさ】英国のオズボーン財務相は16日夜、金融機関を監督する金融サービス機構(FSA)の機能の大半をイングランド銀行(英中央銀行)に移すことを柱とする改革案を発表した。金融危機の再発防止と金融システムの安定化が狙いで英中銀の権限を強化する。前労働党政権が1997年に創設したFSAを解体する13年ぶりの抜本改革となる。
5月に発足した保守・自由民主党の連立政権が、金融危機の再発防止策第1弾として打ち出した。FSAが個々の金融機関の監督を一手に担う現在の体制について、オズボーン財務相は「金融システムのリスクに気づかず危機対応が後手に回った」と批判。FSAを機能ごとに解体し、今後2年間で段階的に3つの新組織に移す。
銀行や保険会社など個々の金融機関を監督する部門は英中銀の傘下に新設。同部門はFSAの現トップであるヘクター・サンツ氏が統括する。消費者保護担当部門と市場操縦など不正行為の摘発部門は「消費者保護・市場庁」と「経済犯罪担当庁」にそれぞれ移す。
さらに英中銀内に金融システム全体の規制・監督を受け持つ「金融行政委員会」を新設し、信用バブルの兆しが見えれば自己資本規制を強化するなどバブル防止策を講じる。政策金利の設定など金融政策にほぼ専念してきた英中銀が今後は個々の金融機関への監督・規制に大きく関与することになる。
これとは別に独立委員会を新設し、今後1年で大銀行の商業銀行業務と投資銀行業務の分離の是非など新たな金融規制案を検討する。
FSAは英中銀の銀行監督部門や保険監督当局など業態別に分かれていた金融監督機能を集約して97年に発足。金利政策を受け持つ英中銀、財務省とFSAの3者が連携する金融監督体制はほぼ同時期に日銀法改正などで金融監督体制を見直した日本も参考にした。
ただ、英国では2007年秋に英中堅銀行が破綻して預金取り付けが起こり、3組織の連携不足が表面化。監督体制の見直し論議が起こっていた。
米英、中銀の権限強化 金融機関監督、機動的に対応
2010/06/18 00:30 日本経済新聞電子版ニュース
米英が中央銀行の権限強化に動いている。英国は16日、金融機関を監督する金融サービス機構(FSA)の機能の大半をイングランド銀行(英中銀)に移す改革案を発表。米議会も米連邦準備理事会(FRB)の権限を強化する法案を審議している。中銀が個別金融機関の監督も受け持つことで、金融システム安定のため機動的に対処できる体制を構築する。
「危機が起こった時、責任者がいなかった」。オズボーン英財務相は現在の体制の問題点として2007年秋の英銀破綻を例示した。市場を監視する英中銀が個別銀行の実態を把握していなかったため危機対応が後手に回ったとの判断だ。
新体制で英中銀は不動産価格の高騰などバブルを防ぐ新たな役割を持つ。キング英中銀総裁は「(銀行の)ダンスが暴走したら音楽のボリュームを下げる」と個別行の融資抑制など新規制の導入に意欲を示した。
米議会で審議中の金融規制改革法案では、FRB、財務省などが金融システム全体を監視する協議会を設立するが、実質的にはFRBが主導。これまで個別金融機関の監督は業態ごとに分かれていたが、大手金融機関は保険会社、証券会社も含めFRBが一元的に監督する権限を持つ。
独仏などユーロ圏では各国別の監督当局を統合した新機関を設け、欧州中央銀行(ECB)も加わる方向で検討が進んでいる。一方、日本は英国に類似した体制だが、日銀が限定的ながら経営実態を把握する考査を実施していることもあり監督権限強化の動きはない。(ロンドン=吉田ありさ)
<関連記事>
英が金融制度改革、監督権限を中央銀行に移管
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100617-OYT1T00918.htm
英財務相:英金融サービス機構を廃止へ-権限の大半は中銀に
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=a8ZE_CHRTwpA
英財務相が金融規制改革案を発表、監督権限の多くを中銀に
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK871845920100617
金融監督、「3極体制」に決別=真価問われる巨大・中銀-英
http://www.jiji.com/jc/c?g=int&k=2010061700971
金融庁のモデル、英FSAが銀行監督権限を中央銀行に移管
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100617/fnc1006172038018-n1.htm
英国:金融監督、中銀に統合 政府、危機対応で大転換
http://mainichi.jp/select/world/news/20100618ddm008030132000c.html
U.K. Scraps FSA, Reversing System Set Up by Brown (Update2)
http://www.businessweek.com/news/2010-06-17/u-k-scraps-fsa-reversing-system-set-up-by-brown-update2-.html
Mervyn King to take over regulation of the City as FSA disbanded
http://www.guardian.co.uk/business/2010/jun/16/mervyn-king-oversee-financial-regulation?CMP=twt_gu
Sir John Vickers to chair independent banking commission
http://www.moneymarketing.co.uk/regulation/sir-john-vickers-to-chair-independent-banking-commission/1013601.article
U.K. committee members have backed bank shake-up
http://www.marketwatch.com/story/uk-commission-members-have-backed-bank-split-2010-06-17?dist=countdown
FSA to be abolished by 2012
http://www.mortgagesolutions-online.com/mortgage-solutions/news/1686393/fsa-abolished-2012
再送:〔焦点〕菅首相が消費税引き上げに前傾、最速2012年秋実施で早期解散の思惑も浮上
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK042126220100617
コメント
_ とら猫イーチ ― 2010/06/19 13:23
_ Y-SONODA ― 2010/06/20 12:03
とら猫イーチさんへ
ヘッジファンドも結構勝ち組と負け組がはっきりしてきたようですね。
トリックスターみたいなものを割り切って考えれば彼らの行動も楽しめますよ。
私も決して一緒に踊りたいとは思いませんが(笑)
ヘッジファンドも結構勝ち組と負け組がはっきりしてきたようですね。
トリックスターみたいなものを割り切って考えれば彼らの行動も楽しめますよ。
私も決して一緒に踊りたいとは思いませんが(笑)
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マネーの威力と金融工学の理論整合性を過信して、人間社会の不可解な経済行動を予測し切れなかったLTCMの事例もありますので、先進諸国が金融の暴走に歯止めをかけようとするのは理の当然です。 時代は変わりつつあり、ヘッジファンド神話にも陰りが観られますしね。
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=acopLgwSIsck
世界のヘッジファンド、5月は2.7%損失-リーマンショック以来最悪
2009年 8月 11日付けのWSJの記事にあるような、驚きの「言い訳」を、またまた、聞くことになるかもしれませんね。
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_380
相次ぐヘッジファンドの解散、驚きの「言い訳」集
私的には、欧米の金融機関の「ドライ」な儲け主義には、辟易としています。 数年来コツコツと投資していたユーロ建てのファンドを勝手な理由で「償還」されてしまった経験があるからです。 それに比べて、トヨタ系のある会社は、株式投信の赤字を抱えている私に海外の債券を勧めてくれましたので、為替が円高のグッド・タイミングもあり赤字は解消。 感謝しています。 やはり外資は外資。
今は、小さな直販のファンドとのお付き合いを大事にしています。 金融機関も、顧客を大事にしないと自分の首を絞めることになる、と信じていますが、目先の利益に走る会社が大多数であるのは事実です。 私は、金融資産などは殆ど所有していませんが、仮に、数億の金銭があったとしても欧米のヘッジファンドなどには投資しませんね。 やはり日本人ですから。