日経:燃料電池車が変える(上)1億円の車、今や500万円 ― 2013/03/20 08:42
日経さんは次に「ブルーム・エナジー」のことも取り上げるかもね。
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燃料電池車が変える(上)1億円の車、今や500万円 (画像引用)
2013/3/20付
http://www.nikkei.com/article/DGKDZO53026230Q3A320C1MM8000/
ガソリン車より長い距離を走り、空気を汚さない。究極の自動車といわれる燃料電池車が2015年にまず500万円台の価格で売り出される。暮らしや産業は大きく変わる。日本のエネルギー問題や貿易収支にも影響を与えそうだ。
市販まで2年
「今年と来年しかないぞ」。北海道士別市にあるトヨタ自動車のテストコース。氷点下10度を下回る厳寒のなか、燃料電池車の実証実験が進んでいる。昨年夏には猛暑の米ネバダ砂漠での公道実験も実施。市販開始を2年後に控え、開発は最終段階に入った。
埼玉県庁の敷地内。「究極のクリーンエネルギー」の実験がホンダを中心に進む。屋上に設置した太陽電池で発電し、水道水を電気分解して発生した水素を燃料電池車に充填する。
ホンダと共同で実証事業に取り組む岩谷産業の宮崎淳・水素エネルギー部長は「燃料電池車はもはや将来の技術ではない。ホンダが量産を始める2年後には必ず実用化する」と意気込む。
ガソリン価格の高騰や環境問題。自動車各社は突破口を電気自動車に求めたが、航続距離や充電時間などの問題が明らかになるにつれ、販売は低迷。原子力発電所の稼働再開が不透明ななかで普及の前提も揺れた。
代わりに脚光を浴び始めたのが燃料電池車だ。燃料は水素。空気中の酸素と反応させて水になる時のエネルギーでモーターを動かす。燃料充填にかかる時間はガソリンの給油と同じ、航続距離はガソリン車と変わらないか、それ以上になる。
燃料電池車は10年前にも注目されたことがある。だが、当時の価格は1台1億円。それが今回は500万円程度にまで安くなる。バッテリーに相当する燃料スタックや水素と酸素の反応を高める触媒、水素タンクなどで技術革新が起きた。
例えば、高圧の水素をためる水素タンク。炭素繊維をタンクに巻き付ける技術を開発し、強くて小型軽量の製品ができた。炭素繊維は日本のお家芸。「海外メーカーにはなかなかまねできない」とトヨタの内山田竹志副会長は話す。
車体には政府が補助金の設定も検討している。15年の発売時には、400万円程度まで安くなる可能性もある。
経済効果2.7兆円
市販化に向け、自動車各社の動きは慌ただしくなった。1月にトヨタが独BMWと燃料電池車の共同開発で合意。その4日後には日産自動車と仏ルノーの連合が独ダイムラー、米フォード・モーターと提携した。
デロイトトーマツコンサルティングによると25年には市場の5%程度、30年には10%が燃料電池車に置き換わる見通し。25年までに2.7兆円の経済波及効果もある。燃料スタックや充填設備関連で新産業が生まれる。
新型天然ガスの「シェール革命」に沸く北米。石油の可採年数は40年伸びたとされるが、ひそかに注目されているのは燃料電池開発の草分け、カナダのバラード・パワー・システムズだ。
現在、大株主に名を連ねるのは米テキサス州の運用大手ディメンショナル・ファンド・アドバイザーズ。「技術革新の地平を開拓する」との目的を掲げ、小型株の運用に定評がある。
バラードは足元の収益が好調とはいえない。だが米国でもいずれは二酸化炭素(CO2)の排出が問題になりかねず、将来の市場拡大をにらんで投資に動いた。欧州でもバラードに注目する投資会社が多い。新技術に敏感な米欧マネーがシェール革命の先をにらんで動く。産業が変わる兆しは少しずつ強まってきた。
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