野田政権は「敵」、自民党は「間接的な同盟軍」、安倍自民に秋波送る中国、カギ握るは高村正彦副総裁 ― 2012/10/07 08:16
「国有化してもいい。その際は中国側と十分に話し合ってほしい」と共産党対日当局者。お話し合いに応じなかったのは野田内閣。
おそらく野田内閣は「応じたはずだ」と反論するだろう。
しかし、それも中国の次官クラスまで。中国トップには伝わっていない。
民主党は中国トップとのパイプなど持っていないので伝えられるわけがない。
尖閣ショックで自動車&航空は大打撃。
もうまもなく「尖閣不況」や「石原野田不況」が新聞テレビで踊るだろう
野田政権は「敵」、自民党は「間接的な同盟軍」で安倍自民に秋波送る中国。
野田政権は「敵」、自民党は「同盟軍」で安倍自民熱烈歓迎は日本経済界。
もうまもなく経済界主導で強烈な自民党政権待望論も吹き荒れるだろう。
ここぞとばかりに人脈力の差をまざまざと見せつける自民党。
高村正彦は中国へ。麻生太郎は韓国へ。
麻生太郎は「野田内閣が一日続けば一日続くほど国益を損なうと確信する」と批判。
野田内閣に反論などできるのだろうか。
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尖閣衝突 どこでボタンを掛け違えたのか
日中交渉の舞台裏【前篇】
2012年10月05日(金)城山英巳
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2262
日本政府による沖縄県・尖閣諸島(中国・釣魚島)の国有化で、日中関係の極度の緊張が続く9月27日夕。共産党序列第4位の政治局常務委員・賈慶林中国全国政治協商会議(政協)主席が北京の人民大会堂で、日中友好団体会長ら12人との会談に応じた。会談終了後、日中友好7団体の会長の一人はこうつぶやいた。
「日中関係のステージが上がったな」
つまり日本政府が尖閣問題で一定の譲歩を示さない限り、国有化以前の日中関係に戻らない、という意味だ。
「日中関係は1972年の国交正常化以降、最も深刻な状況になっている。もしかしたら戦後以降でも最も関係が悪化しているかもしれない」(日中外交史研究者)。日中両国はどこでボタンを掛け間違えたのか、舞台裏を検証したい。
「親中派」12人との緊張感に満ちた会談
賈慶林と日本側友好団体会長らとの70分間の会談は「緊張感に満ちた」(河野洋平前衆院議長)ものだったという。会談終了後、中日友好協会の唐家璇前国務委員は、以下の12人を釣魚台迎賓館での夕食会に招待した。
河野前議長(日本国際貿易促進協会会長)、江田五月元参院議長(日中友好会館会長)、加藤紘一自民党元幹事長(日中友好協会会長)、高村正彦元外相(日中友好議員連盟会長)、野田毅元自治相(日中協会会長)、辻井喬(日中文化交流協会会長)、田中真紀子元外相・田中直紀前防衛相、米倉弘昌経団連会長、丹羽宇一郎駐中国大使、阿南惟茂元駐中国大使、宮本雄二前駐中国大使。
鳩山由紀夫元首相、二階俊博元経済産業相も招待されたが、特に鳩山は「出席すれば、河野氏に代わり、主賓として中国国家指導者の隣に座ることになり、自民党所属の友好団体会長がそろって鳩山氏の参加に反対した。それを知った鳩山が自ら招待を辞退した」(日中関係筋)という。
全日空機飛ばず、飛行ルートを変更
いわゆる「日中友好7団体」会長を核に、1972年の国交正常化を実現した田中角栄元首相の長女・真紀子ら「親中派」を招待したわけだが、7団体の1つである「日中経済協会」の会長・張富士夫トヨタ自動車会長は、社用機が北京に飛べずに訪中を断念した。
26日の自民党総裁選を終え、翌27日午前9時25分羽田空港発の全日空機には河野、高村、野田ら自民党所属の会長と、田中夫妻が搭乗していた。しかし「天津上空での軍事演習」を理由に午前11時になっても離陸しなかった。
8時半発の中国国際航空機は定刻に北京に向かった。ある友好団体会長は「こういう御時世だからか」と頭をよぎった。このまま待っていれば「出発は早くて午後1時、遅ければ3時になる可能性が高い」という状況で、午後4時からの賈慶林との会談に間に合わない。
前出・会長は機転を利かせて旧知の駐日中国大使館幹部の携帯電話を鳴らした。外交部を通じて航空当局に対して飛行ルートの変更を要請することになり、結局、全日空機はルート変更を決定。3時間以上遅れて午後0時半に羽田空港を離陸した。しかしルート変更が認められるのは1回までで、既にルート変更をしていたトヨタの社用機は2回目を認められず、張は北京に行けなかった。
中国側は、会談開始時刻を15分間ずらして4時15分に変更。12人が会談場所の人民大会堂新疆庁に到着したのは同18分だった。「賈慶林主席は15分までしか待たない」と中国側はいら立ったが、結局12人はトイレに行ったりして会談が始まったのは25分になっていた。
あまり尖閣問題を熟知していない賈慶林は前日、猛勉強して頭に中国の立場を叩き込んだ。「中日関係はかつてない厳しい局面になった」などと厳しい言葉を並べた。
「自ら鈴を外せ」と求めた唐家璇
話を釣魚台迎賓館での唐家璇主催夕食会に戻そう。
「問題を起こした人が自ら鈴を外す必要がある」。そもそもの原因は野田佳彦首相にあると強調したものだが、これに対して河野洋平前衆院議長は「虎の鈴を外す前に興奮させてはいけない」とたしなめた。一触即発にある今の日中関係を象徴するようなやり取りだ。
27日、もともと国交正常化40周年(9月29日)に合わせた大規模記念式典が予定されていた。主催者の中日友好協会は23日午前、既に招待状を出していた日中友好7団体幹部に対し、東京の中国大使館経由で「諸般の事情で見合わせたい」と連絡してきた。
筆者は19日、中日友好協会幹部に電話したところ、同幹部は「今のところは予定通りに開催する」と答えた。歯切れは悪かったが、「友好の象徴である国交正常化の記念式典を中止することはないだろう」と確信した。それがわずか4日後、しかも日曜日に日本側に通知してきたところから、胡錦濤指導部の最終判断として急きょ決定された可能性が極めて高かった。
10年ごとの記念式典、初の中止
中国側は、正常化10年の節目ごとに大規模な記念式典を開いていた。中国社会科学院発行『戦後中日関係史年表』によると、10周年の1982年は、歴史教科書問題が噴出し、対日批判が展開された年だった。それでも同年9月末に鈴木善幸首相が訪中し、記念式典には1000人が出席。歴史上初めての天皇陛下訪中を1カ月後に控えた92年には、中曽根康弘元首相が訪中して記念式典を開催した。
2002年は小泉純一郎首相の靖国神社参拝で日中関係は決して良好でなかった。しかし9月22日には6000人以上の日本人が人民大会堂を埋める中、江沢民国家主席と橋本龍太郎元首相がそこを練り歩き、翌28日には胡錦濤国家副主席、温家宝副首相、曽慶紅党中央組織部長(肩書きはすべて当時)という「次世代」を担う指導者が日中友好7団体会長らと会談した。
それだけに40周年の記念式典中止は衝撃的だった。筆者はこの情報に接した際、予想外の事態に驚愕した。その後、国営新華社通信は中日友好協会幹部の発言として「正常化40周年にあるべき雰囲気が破壊された」と伝え、日本政府の国有化が原因であると明言した。
期待したのは習近平副主席の登場
中日友好協会側は、40周年記念式典を中止にした代わりに、7団体会長らが北京を訪問するならば、国家指導者と唐家璇が会談に応じると招待していた。
そして登場した「国家指導者」が、賈慶林だった。日本側関係者の間では胡錦濤国家主席か、次期最高指導者・習近平国家副主席を期待していた。しかし出てきた賈に対して中国には中国なりの独自の見解があった。
11月8日からの共産党大会を目前に控え、今日本の要人と会うのは政治的リスクが伴う。党大会を前に、対日強硬派でない国家指導者などいなかった。党大会で引退する賈ならさほどリスクを負わなくても済む。さらに政協で「外交」を担当する外事委員会副主任には知日派・武大偉元駐日大使がおり、パイプ役を果たした可能性が高い。実際に当日、唐家璇と武大偉は2人そろってひそひそ話をしながら人民大会堂新疆庁に入る姿を、筆者は現認した。
統一戦線工作の「敵」と「友」
そして何よりも、人民政治協商会議(政協)というのは、統一戦線工作組織であり、賈は統一戦線工作のトップだ。「敵」を孤立させるため、「友」を結集するのが統一戦線工作の基本原則。日本国内の親中派を味方に付け、野田政権または日本政府に圧力を加えるという思惑が強かった。さらに友好7団体という「民間」を使って「政府」を動かす「以民促官」という、中国が国交正常化前から得意とした対日戦略を駆使したのだ。
中国外交部所蔵の外交档案によると、毛沢東主席は1961年1月24日に社会党の黒田寿男衆院議員らと会見した際、こう語っている。
「日本人民の関係と日本政府の関係は区別があり、分けなければならぬ。日本政府内の関係も同じではなく、主流派と反主流派がある。彼らは完全に一致していない。松村(謙三)、三木(武夫)、高碕(達之助)、河野(一郎)、石橋(湛山)。これらの人々はわれわれの間接的な同盟軍だ。そして日本人は直接的な同盟軍だ。自由民主党内部の矛盾はわれわれの間接的な同盟軍である」
常に日本政治の中に矛盾を見つけ、主流派が「反中」の際には、反主流派を抱き込むのが中国共産党の対日工作の基本だが、今は野田政権を「敵」と位置付け、自民党を「間接的な同盟軍」とみなしているのだ。後述するが、共産党・政府が、タカ派とみなす安倍晋三・自民党総裁に期待するのはそういう背景がある。
だからこそ賈は河野ら友好団体会長にこう強調した。「影響力を発揮してほしい。そして今の状態を早く終わらせてほしい」
尖閣衝突 どこでボタンを掛け違えたのか
日中交渉の舞台裏【後篇】
2012年10月06日(土)城山英巳
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2263
官邸に伝達された「対日3条件」
中国政府は「幻想を捨て深く反省し、実際の行動で誤った決定を正せ」(張志軍外交部常務副部長)と繰り返している。表向きは国有化撤回を求めながら、野田政権が国有化を取り消すことはないと熟知している。中国の真の狙いは次の3点だろう。
(1)「日中間に領土問題は存在しない」と言い続ける日本政府に領土問題(争い)の存在を認めさせる。
(2)1972年の国交正常化時に田中角栄首相と周恩来首相の間で共有したと主張している尖閣諸島「棚上げ論」を確認させる。
(3)日本側との対話を通じて尖閣諸島の現状維持を推進する。
この際、筆者が前回本コラムで詳述した「対日3条件」がカギとなる。中国政府は、日本側に尖閣諸島をめぐり(1)上陸させない(2)(建造物を造るなど)開発しない(3)(資源・海洋)調査を行わない――を挙げ、3条件を守るよう求めた。実は、この3条件は、中国外交部幹部から官邸に伝達されている。中国政府が官邸に伝えたメッセージは、石原慎太郎東京都知事が尖閣諸島を購入すれば現状維持は困難になり、日中関係は最悪の状態に陥ると警告していた。
ある共産党の対日当局者も野田政権の国有化決定前、「国有化してもいい。しかしその際は中国側と十分に話し合ってほしい」と明かした。
現状維持の話し合いには応じず
日本政府の本音も「現状維持」にあるのは間違いないが、「中国と条件闘争するつもりはない」(日本外交筋)と一貫して突っぱねた。日本政府が繰り返す尖閣諸島の「平穏かつ安定的な維持管理」の具体的中身についても日本政府が決めることであり、3条件などあくまで中国側の独自の論理だとの立場を崩さなかった。
しかし「日本政府が国有化した際に、日本側が中国側と現状維持について何か取り決めていれば、中国がこんなに強硬になることはなかった」と複数の日中関係筋は解説した。
日本側にもさまざまなルートを通じて「石原が買うより国有化のほうがいい」という情報が中国側から入っていた。しかし日本側が領土問題や棚上げ論も認めず、現状維持に関する中国側の要求にも応じない中、中国共産党・政府も振り上げた拳を下ろすわけにはいかないのである。
突然尖閣問題を切り出した田中角栄
日中国交正常化のため北京入りした田中角栄首相が周恩来首相との間で交渉を進めていた1972年9月27日。日本側外交文書によると、田中角栄は突然、こう切り出した。「尖閣諸島についてどう思うか」。尖閣をめぐる領土問題は存在していないとする日本の外務省も想定外の発言だった。
これに対して周恩来は「今回は話したくない。今、これを話すのはよくない。石油が出るから、これが問題になった」と返した。
中国が尖閣諸島の領有権を主張し始めたのは70年代に入ってからで、国連の学術調査が68年に、尖閣付近での石油資源埋蔵を報告したのが契機だった。日本外交当局者は、周の発言について「石油の存在があって初めて尖閣は自分の領土であることを認めた」とみて有利な材料としており、「この外交記録を公表すればいい」とする外務省幹部もいる。
しかし中国側の主張は違う。日本が実効支配しているにもかかわらず、田中氏が尖閣問題を自ら切り出したのは「領土問題の存在を認めたもので、両首相の間で釣魚島問題の『棚上げ』という共通認識ができた」(中国外務省幹部)ものと見ているのだ。
「棚上げ論」という名の「信頼」
ここに尖閣問題の「原点」があるが、鄧小平も1978年に来日した際に「われわれは知恵が足りない。次の世代は賢くなるでしょう」と棚上げ論を提唱した。中国政府は外交交渉の場で事あるごとにこの「共通認識」を取り上げるが、日本の外交官は「そんな共通認識はない」と反論を繰り返してきた。
しかし両国、特に両国の政治家は、尖閣問題について「これまで触れてはいけない問題」と位置づけてきた面は否めない。92年に中国は、尖閣諸島の領有権を明記した「領海法」を制定し、波紋を広げたこともあったが、中国側が主張する「暗黙の了解」は、両国政治家が「信頼」であまり波風を立てないよう守ってきたものだった。
靖国神社参拝問題で中国を困らせた小泉純一郎首相ですら、2004年に尖閣諸島に上陸した中国人活動家を即座に強制退去処分にした。靖国問題はあっても、台湾問題と尖閣問題で冷静に対応としたとして小泉を評価する中国政府幹部は多い。
しかし民主党政権は違った。2年前に衝突事件を起こした中国漁船船長を国内法で逮捕・送検したのに続き、今回は日本国内のルールで「国有化」した。これに対して中国側は40年前の国交正常化時に田中角栄・周恩来両首相が達した「棚上げ論」という「信頼」を一方的に壊したものとみなした。
信頼がなくなったと認識した中国も「ルール」と「歴史事実」で反撃に出た。「日本は1895年、日清戦争末期に釣魚島を不法に奪い、第2次大戦後、カイロ宣言とポツダム宣言に従い中国に返還した。日本の(国有化という)立場は戦後国際秩序に対する公然たる否定だ」(9月10日外交部声明)。
中国人研究者はこれまで、過去の歴史認識を強調して尖閣問題を提起することはあったが、政府の公式見解として打ち出されたのは初めてとみられる。共産党・政府は、もはや民主党政権との間に信頼はなくなったと判断したのだ。双方とも今や、両国関係を改善・安定へとコントロールできる余地はなくなったと言えよう。
「胡主席のメンツが潰された」
両国政府が「信頼」を失う中、日本外交筋はこう漏らした。
「戦争にはならないと思うが、中国側の日本への『誤解』が日中衝突の原因になっている」。さらに同筋は続けた。
「国有化は石原知事を排除し、尖閣諸島の安定を保つ措置だが、中国側は『野田と石原が結託した陰謀だ。茶番だ』と言って全く聞く耳を持たない」
9月下旬には河相周夫外務省事務次官が訪中したり、ニューヨークでの国連総会に合わせて玄葉光一郎外相と楊潔チ外相が会談したりするなど、日中の外交当局間の意思疎通は続くが、信頼関係は回復していない。
唐家璇は、ウラジオストクで胡錦濤国家主席と野田佳彦首相が9月9日に立ち話した翌日に野田政権が国有化を決定したことで「最高指導者のメンツが潰された」と日中友好団体会長らに不満をぶつけた。しかしここにもボタンの掛け違いがある。
中南海の意向や民意を読み違えた外交部
そもそも日本政府の10日の国有化決定は、中国国内でも報道されており、中国外交部の対日担当者ならその情報は把握していたはずだ。さらに野田が国有化の方針を変更するとの情報は事前になかった。
胡錦濤は野田から要請があったとしても、それを承知でなぜ、「立ち話」に応じたのか――。中国側は、あれだけしつこく野田が要請してくるから、「国有化の方針に変更があった」と思い込み、立ち話に応じたらしい。ここにも外交当局間の相手への「誤解」が見える。そしてそれが結局、胡のメンツに関わる重大問題に発展するのだ。
胡錦濤と野田の立ち話について報じた国営新華社通信(外交部発表)も、二転三転する異例の混乱が見られた。
会談終了直後に「(国有化に)断固反対する」との胡の具体的な発言が伝えられたが、25分後に胡が「中国の立場を表明した」というだけの簡単な内容に差し替えられた。さらにその日夜に再び最初の胡の厳正な対日発言が復活するのだ。
中国側関係者によれば、中国外交部アジア局の対日幹部はその直後から、「睡眠時間が3時間」(アジア局幹部)という極度の緊張状態の中で会議続きの毎日を送ることになるという。外交部で対日政策を統括する傅瑩副部長は、申し入れを行いたいとする丹羽宇一郎駐中国大使の面会に応じないこともあった。
外交部幹部は日本政府の国有化をめぐり、胡錦濤はじめ中南海(国家指導部)に細かな情報を報告していたのか。石原を排除すれば中南海は納得すると考え、中南海が国有化に対してこれほどまでの強硬な反応を予想していなかったのではないか。または中南海が神経を尖らせるインターネット上の民意を読み違えたのではないか。
中国に吹き荒れる「漢奸」の2文字
「国連総会で『日本は釣魚島を中国から盗んだ』と演説した楊潔チにしても、中国の立場を世界に訴えているというより、中南海に向けて自分はちゃんと対日強硬姿勢を示しているとアピールしているようにしか見えない。彼は党大会後に国務委員(副首相級)に出世したいと思っているから」。北京の外交筋は冷ややかに見ている。
中国は中南海が「あっち」を向けば、官僚たちはみんな「あっち(同じ方向)」を向く。今は日本に関して「強硬」を示していれば安心という心理が働いているからだ。日本から輸入される海運貨物の通関検査強化の動きが伝えられるが、日本政府幹部は「影響はほとんどない」と明かす。中央政府から検査強化に関する通知や指示が出ていることはないとされ、「日本排除」をしておけば、上(中央)からも評価されると思い込んでいる地方の当局・企業が自主規制した結果だと筆者は見ている。
昨年の全仏オープンテニス女子シングルス覇者、李娜が9月下旬、東京での東レ・パンパシフィック・オープンに出場したことにインターネット上などで「漢奸(売国奴)」とののしる嵐が吹き荒れたことは、中国の異常な集団心理を表している。これに対して共産主義青年団(共青団)の機関紙・中国青年報は、「彼らの口から嵐のごとく出てくる『漢奸』の二文字は社会を害している」と強く批判したが、日中関係悪化の背景には、今も変わらない中国人の歴史観が働いているのだ。
高村・自民党副総裁がカギに
共産党・政府が「野田政権を対手(あいて)とせず」を鮮明とする中、期待しているのは日本の政権交代に伴う対中政策の調整だ。
「安倍さんは小泉さんの後を継いで2006年に首相になった際、靖国参拝を封印して中国との戦略的互恵関係の基礎を築いた」と、今も評価する中国の対日当局者は多い。賈慶林と会談した日中友好議員連盟会長・高村正彦元外相は、安倍の下で自民党副総裁に就任したが、高村は中国側から厚い信頼を得ている。
9月27日夜、釣魚台迎賓館で唐家璇主催の夕食会に出席した高村は、唐と約15分間にわたり立ち話をしたという。日本の政界に精通した日中関係筋は「自民党総裁選で安倍を支援した高村が、安倍の対中政策を保証することを唐も期待しているのは間違いない」と解説した。
日中外交のキーマンの1人、自民・高村正彦氏を直撃取材です。
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00232737.html
2日も中国の海洋監視船4隻が尖閣諸島周辺で領海内に侵入するなど、依然、尖閣諸島をめぐっては緊迫した情勢が続いています。
最高指導部の交代を控え、この巨大な隣人・中国とどうつき合っていくべきなのか。
外相を2度務め、日中外交のキーマンの1人である、自民党の高村正彦副総裁を直撃取材しました。
2日午後0時半ごろ、中国の海洋巡視船4隻が、尖閣諸島魚釣島の南南西およそ22kmで、日本の領海に侵入した。
玄葉外相は「すぐさま中国側に対して、領海出るようにということで、抗議をし、申し入れをしていると」と述べた。
海上保安庁が領海外への退去を警告すると、1隻が「本船の航行を邪魔するな」と応答した。
中国船は、午後5時20分ごろ、領海外へ出た。
繰り返される中国による領海侵犯、そして中国国内で吹き荒れた反日の嵐。
そうした中、先週、中国では日中双方の要人が会談を行った。
全国政治協商会議・賈慶林主席は「日中両国は重要な隣国同士です」と述べた。
その中には、2度にわたり外相を務め、長らく日中議連の会長を務めてきた自民党の高村副総裁の姿があった。
緊張する日中の真っただ中で、今何が求められているのか。
日中外交のキーマンを直撃した。
自民・高村副総裁は「(今の日本の置かれた状況は、副総裁からどう見えている?)小泉政権の時、国交正常化以来最悪の関係と、こう言われたんですけど、その時よりもはるかに悪い。そういう状況ですね」と述べた。
対中関係が冷え込む中、自民党の副総裁として選ばれた高村氏。
9月28日の新4役会見で、自民・安倍総裁は「高村副総裁の誕生、これは海外へのメッセージにもなるんだろうと思います」と述べていた。
果たして現在の日中関係の悪化を、どうとらえているのか。
自民・高村副総裁は「安倍政権が誕生して、安倍総理が最初の訪問先を中国に選んで、胡錦涛国家主席との間で、戦略的互恵関係というのを打ち立ててきたわけです。今現実見ると、わたしがつくった言葉で言うと『戦術的互損関係』。小さなことにこだわって、お互いが損する関係になってるんですよね」と述べた。
2007年、安倍首相(当時)は「戦略的互恵関係という日中関係の新たな指針はまさしく時代がわれわれに求めているものと言えるでしょう」と述べた。
小泉政権で悪化した関係を仕切り直すために、安倍首相時代に日中が合意した戦略的互恵関係。
しかし、現在は尖閣問題によって、両国の国益が損なわれている状態だと高村氏は指摘する。
自民・高村副総裁は「(高村氏の立場から考えて、こうあるべき・将来こうありたいスタイルは?)正しいことをぶつければ、それは相手がわかってくれるはずだっていうのは、それは子どもの論理でね、わからないんですよ。世界の領土紛争っていうのは。無数にあるんだけれども、それは解決しないんですよ。しないんだけれども、その領土問題をどう全体の関係を悪くしないようにするかというのが、それは知恵だし。それから領土問題自身も、どう両方があまり熱くならないようにするかというのも知恵ですよね」と述べた。
さらに、関係悪化の要因の1つとして、「国有化」という言葉の受け取り方に違いがあるという。
自民・高村副総裁は「お互い同じ漢字を使って意思疎通がしやすいといういい面もあるんですが、時にとんでもない誤解というか、行き違いを生むこともあるわけですよね。日本政府とすれば、現状維持ということを守るために国有化したんだということにとらえているわけですが、中国の体制の中で『国有化』という言葉を使うと、領有権主張を一歩高めたのではないかという受け取り方ね。本当に外交当局同士だったらね、それはゆっくり説明すれば、ある程度わかるけど、国民的誤解になっちゃうと、これはなかなか行き違いを元に戻すというのはそう簡単ではないと、こう思ってます」と述べた。
一方で、今回の訪中の際に同席した中国側の元外相から、意味深長な耳打ちを受けたという。
自民・高村副総裁は「食事の間にね、唐家センさんとみんなが食事をしている時、ちょっと離れて、10分足らずですが立ち話をしたんです。その時に唐家センさんが、『安倍さんのことを右翼だとも、タカ派だとも思ってません』と。これはどういう意味で言ったのかよくわかりませんが、それは安倍政権が成立してから十分話し合いをしましょうという意思表示かなと、私は受け取ったんですがね」と述べた。
毎日のように尖閣諸島付近で確認されている中国などの監視船。
対応策として議論されているのが、石原都知事が主張している船だまりなどのインフラ整備や、自民党の石破幹事長の海上自衛隊と海上保安庁の共同訓練など。
自民・高村副総裁は「(例えば尖閣諸島を守るために石原都知事は?)どうしたらいいかっていうのは、さっき言ったように、今の政府の立場より、わたしの立場で強いことを言って、中国の世論をさらに怒らせることは決していいことではないし、政府より、より柔軟なことを言って、交渉力を弱めることもいいことではないから、具体的な話は、メディアを通じて今はしない。外交権を持ってからしっかりやります。安倍さんが、安倍内閣が外交権持ってからしっかりやります」と述べた。
自民・麻生氏、韓国大統領と会談へ
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201210/2012100600142&g=pol
自民党の麻生太郎元首相が7日から3日間の日程で韓国・ソウルを訪問し、李明博大統領と会談する方向で調整していることが分かった。関係者が6日、明らかにした。
麻生氏は日韓・韓日協力委員会の日本側会長代行として、同委の合同総会に出席するため訪韓。ソウル滞在中、大統領も表敬訪問したい意向だ。竹島をめぐり日韓関係が悪化していることを踏まえ、関係改善の道筋を探る狙いもありそうだ。
これに関連し、自民党の安倍晋三総裁は6日、「(麻生氏は)韓国と信頼関係がある。麻生氏も李大統領もビジネス界出身なので、そういう関係を生かして日韓のさまざまな課題にどう取り組んでいくかを話すことは大変有意義だ」と述べた。山口県下関市内で記者団の質問に答えた。(2012/10/06-12:49)
「“近いうち”から“遠いうち”に」「逃げよう逃げようという感じ」麻生元首相が民主批判
2012.10.4 15:25
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121004/stt12100415250009-n1.htm
自民党の麻生太郎元首相は4日の派閥の例会で、衆院解散・総選挙の時期について「近いうち、というのから遠いうちにだいぶ変わってきたような気がする。(野田佳彦首相は解散を)逃げよう逃げようという感じだが、この内閣が一日続けば一日続くほど国益を損なうと確信する」と述べた。
野田首相が谷垣禎一前総裁との党首会談で「近いうちに信を問う」と表明したにもかかわらず早期解散を先送りを図ろうとしていることを批判、自民党は攻勢を強めるべきだとの考えを示唆したものだ。
コメント
_ 奔放な旅人 ― 2012/10/07 09:52
_ きたがわ ― 2012/10/07 11:40
中国には困ったもんだが
あんまり、中国とやりあっても
第三者を喜ばすだけだしな。
あんまり、中国とやりあっても
第三者を喜ばすだけだしな。
_ とおる ― 2012/10/07 15:44
中国の輸出が減少している時に、日本からの投資・企業が逃げれば、大変でしょう。
・中国経済の減速が世界に与える影響 【録画】インヴァスト証券主催セミナー 「CFD Trading Huddle」 - Market Hack
http://markethack.net/archives/51844259.html
の動画(3分~19分)より、
PIMCO(世界最大の債権投資信託)は「中国のGDP成長は、6.5%~7%でレンジで長期的に推移する」。
・反日デモ被害 損保特約見合わせ、日系企業の経営に大ダメージか - SankeiBiz(サンケイビズ)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/121006/bse1210060501002-n1.htm
・中国経済の減速が世界に与える影響 【録画】インヴァスト証券主催セミナー 「CFD Trading Huddle」 - Market Hack
http://markethack.net/archives/51844259.html
の動画(3分~19分)より、
PIMCO(世界最大の債権投資信託)は「中国のGDP成長は、6.5%~7%でレンジで長期的に推移する」。
・反日デモ被害 損保特約見合わせ、日系企業の経営に大ダメージか - SankeiBiz(サンケイビズ)
http://www.sankeibiz.jp/business/news/121006/bse1210060501002-n1.htm
_ ななし ― 2012/10/08 10:46
一連の流れのなかで、中国側から「国有化はやむをえないにしても、いまはやめてね」というシグナルが出ていたのに、野田さん側の事情で焦ってことを進めたのではないか……と疑っていたのですが……
はああ……
民主党は相手と交渉する、根回しする、ということがとことんできない人たちの集まりなのですね。国会運営でも何度それでもめていることか。
国内の場合、ものごとが進まないという問題はあるにせよ、致命的な結果を生むことはさほどありませんが、こと外交においては、これは致命的です。対中国だけの問題ではありません。一歩まちがったら国を滅ぼしかねない。
自民党もなあ……と思っていましたが、やっぱり野田さんには一刻も早く解散していただいて、自民党中心の政権の戻してもらわないと、とんでもないことになる気がします。(維新もみんなも外交という点では民主党以下なので、問題外です)
(夫はネットでは政治関係の情報はほとんど入手しません。テレビ、新聞の情報だけでものごとを判断しています。それでも、麻生さんがあのねじれ状態とバッシングのなかで辛抱強く粘り強く国会運営して、結果的にたくさんの法律をとおしたことを高く評価しているようです。わたしもその点は同じです。麻生さんがいまから首相になるのは無理でも、せめて外務大臣か外交問題で影響をおよぼせる位置につけるといいのですが……)
はああ……
民主党は相手と交渉する、根回しする、ということがとことんできない人たちの集まりなのですね。国会運営でも何度それでもめていることか。
国内の場合、ものごとが進まないという問題はあるにせよ、致命的な結果を生むことはさほどありませんが、こと外交においては、これは致命的です。対中国だけの問題ではありません。一歩まちがったら国を滅ぼしかねない。
自民党もなあ……と思っていましたが、やっぱり野田さんには一刻も早く解散していただいて、自民党中心の政権の戻してもらわないと、とんでもないことになる気がします。(維新もみんなも外交という点では民主党以下なので、問題外です)
(夫はネットでは政治関係の情報はほとんど入手しません。テレビ、新聞の情報だけでものごとを判断しています。それでも、麻生さんがあのねじれ状態とバッシングのなかで辛抱強く粘り強く国会運営して、結果的にたくさんの法律をとおしたことを高く評価しているようです。わたしもその点は同じです。麻生さんがいまから首相になるのは無理でも、せめて外務大臣か外交問題で影響をおよぼせる位置につけるといいのですが……)
_ Y-SONODA ― 2012/10/09 07:30
★奔放な旅人さんへ
>日中間は対等な立場にはならない。
>中国の属国政策を行う様では、独立国家としての主権を放棄するのと同じである
「日本は米国の属国だ」と主張する方々の論理とよく似ていてなかなか興味深いです。。
そもそも対等なのに対等と思えないところが根底にあるようなないような。
★きたがわさんへ
>あんまり、中国とやりあっても第三者を喜ばすだけだしな。
一番得をするのはどこの誰との視点は重要ですね。
★とおるさんへ
>中国の輸出が減少している時に、日本からの投資・企業が逃げれば、大変でしょう。
このままだと日中共に経済は大変ですね。
経済相互依存が抑止につながる。
しかし、経済相互依存は万能ではなく、領土問題には通用せず。
そんなことも意識して大人の対応をして欲しいところです。
★ななしさんへ
>中国側から「国有化はやむをえないにしても、いまはやめてね」というシグナルが出ていたのに、野田さん側の事情で焦ってことを進めたのではないか……と疑っていたのですが……
焦ったのではなく、むしろ野田さんご本人の判断が遅れたのではないかと。
石原さんは政権浮揚のためと思って野田さんに尖閣国有化を提案したのではないかと。
しかもその提案は今年3月9日あたりではないかと。
このあたりは後に明らかになるでしょう。
>民主党は相手と交渉する、根回しする、ということがとことんできない人たちの集まりなのですね。国会運営でも何度それでもめていることか。
>外交においては、これは致命的です。
党内でも最初から最後までゴタゴタ続き。
そんな党が外交で根回しなんてできるわけがないですよね。
>野田さんには一刻も早く解散していただいて、自民党中心の政権の戻してもらわないと、とんでもないことになる気がします。
「維新人気が失速した今がチャンス」などと煽って、早々に解散していただくしかないでしょうね。
負けた時点で民主崩壊本格化。そして右と左がパカッと割れる。これが楽しみです。
>日中間は対等な立場にはならない。
>中国の属国政策を行う様では、独立国家としての主権を放棄するのと同じである
「日本は米国の属国だ」と主張する方々の論理とよく似ていてなかなか興味深いです。。
そもそも対等なのに対等と思えないところが根底にあるようなないような。
★きたがわさんへ
>あんまり、中国とやりあっても第三者を喜ばすだけだしな。
一番得をするのはどこの誰との視点は重要ですね。
★とおるさんへ
>中国の輸出が減少している時に、日本からの投資・企業が逃げれば、大変でしょう。
このままだと日中共に経済は大変ですね。
経済相互依存が抑止につながる。
しかし、経済相互依存は万能ではなく、領土問題には通用せず。
そんなことも意識して大人の対応をして欲しいところです。
★ななしさんへ
>中国側から「国有化はやむをえないにしても、いまはやめてね」というシグナルが出ていたのに、野田さん側の事情で焦ってことを進めたのではないか……と疑っていたのですが……
焦ったのではなく、むしろ野田さんご本人の判断が遅れたのではないかと。
石原さんは政権浮揚のためと思って野田さんに尖閣国有化を提案したのではないかと。
しかもその提案は今年3月9日あたりではないかと。
このあたりは後に明らかになるでしょう。
>民主党は相手と交渉する、根回しする、ということがとことんできない人たちの集まりなのですね。国会運営でも何度それでもめていることか。
>外交においては、これは致命的です。
党内でも最初から最後までゴタゴタ続き。
そんな党が外交で根回しなんてできるわけがないですよね。
>野田さんには一刻も早く解散していただいて、自民党中心の政権の戻してもらわないと、とんでもないことになる気がします。
「維新人気が失速した今がチャンス」などと煽って、早々に解散していただくしかないでしょうね。
負けた時点で民主崩壊本格化。そして右と左がパカッと割れる。これが楽しみです。
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日中間の関係が悪くなったと言いますが、それは一時的な事でしょう。
中国が考える日中間とは「中国>>日本」と言う構図であり、決して対等では無い。
野田政権を「敵」と呼び、自民党を「同盟軍」と呼ぶのは、自民党が政権復帰すれば自分達の思い通りに近い状態になると考えて居るからであろう。
これでは将来に渡って日中間は対等な立場にはならない。
総選挙後政権復帰するだろう自民党。
中国の属国政策を行う様では、独立国家としての主権を放棄するのと同じである。
アメリカとの同盟を維持優先するのなら、尖閣問題は絶対に譲れない。
もし、中国に一歩でも譲歩する事があれば、次から次へと何も無い事も問題にされてしまい、日本は領土を盗られる事になるだろう。
沖ノ鳥島も島では無く、単なる岩礁と言う中国の主張がゴリ押しされる可能性も上がり、危ない!