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「空洞化を恐れるな、今こそ攻めろ」 コマツ会長・坂根正弘氏が語るタンポポ・ジャパンとタナバタ・ジャパン2011/08/12 08:02

「空洞化を恐れるな、今こそ攻めろ」 コマツ会長・坂根正弘氏が語るタンポポ・ジャパンとタナバタ・ジャパン


▼空洞化を恐れるな、産業空洞化を戦略的に推進する「タンポポ・ジャパン」と本社機能だけは日本に残して欲しいの「タナバタ・ジャパン」

「一見すれば空洞化のようでも、アジアの成長を取り込めれば果実は必ず日本に帰ってくる」

「今ほど製造業に攻めが求められている時はなく、攻めるなら海外だ。これだけの円高なのだから、借金をしてでも海外の会社を買うぐらいの戦略に打って出るべきだ」


▼ついでにケネス・ロゴフなインフレ論

「成長しないデフレ国家であることだ。超低金利なのに物価下落で実質金利が高まり円高になる最悪の展開。多少インフレになれば円高も解消される可能性がある。一刻も早くデフレを生む構造問題を解決すべきだ」


<関連記事引用(画像も)>

過当競争脱却し海外へ コマツ会長・坂根正弘氏
新しい日本へ 復興の道筋を聞く(1)
2011/8/12付
http://s.nikkei.com/nOPraP

 東日本大震災から5カ月。被災地には目がくらむような厳しい現実が横たわり、日本と世界を取り巻く環境は激しく変化している。識者に聞いた。日本はどう動き出したらいいのだろう――。

 ――円高に電力不足と、製造業に強い逆風が吹きつけている。

 「コマツは建設機械を国内外で半分ずつ生産している。昨年度の営業利益は2200億円だったが、うち1300億円は海外生産・販売で稼いだ。輸出のもうけは800億円。国内で造り国内で売って得た利益は100億円にすぎない。なぜ日本でもうからないのか。いろいろ課題はあるものの、震災後に新たに出てきたのは原発事故による電力不足くらいだ。多くはずっと引きずってきた課題であり、民間にできることは民間の手で解決するしかない」

■国内は消耗戦

 ――根っこにある日本固有の問題は。

 「成長しないデフレ国家であることだ。超低金利なのに物価下落で実質金利が高まり円高になる最悪の展開。多少インフレになれば円高も解消される可能性がある。一刻も早くデフレを生む構造問題を解決すべきだ」

 「縮む国内市場にプレーヤーがいっぱいいて消耗戦をやっている。世界の製造業に欠かせない部品・素材企業が国内に多いことが震災で分かった。ただ過当競争だから、顧客に言われれば何でも引き受ける。私が社長なら断らせる。こうした体質がいろんな業界で低収益を生んでいる」

 ――コマツは円高下でも輸出で稼いでいる。

 「1980年代後半以降、当社は米2位メーカーと提携し、ドイツやイタリアなどでは同業を買収した。業界再編を自ら主導したために日本を除けば過当競争がなくなり、それぞれの市場で稼げるようになった」

 「技術を磨き輸出競争力を高めるのは当然。加えて円高で苦しくても値下げ競争に加わらず、率先して値上げしてきた。当社は中国を含むアジアの建機トップ。業界で強い立場だからこそ過当競争と無縁でいられる。そうでなければ日本で生産していられない」

 ――日本でも大型再編の機運が高まってきた。成功させるには。

 「『雇用を守るために一度始めた事業をやめるわけにはいかない』という経営者がいるが、本当に雇用を大事にしているのか。そんな企業同士が一緒になっても成果が出ず、結局は雇用を失う。当社は事業をかなり整理し、子会社も減らした。犠牲にすべきところを犠牲にしない限り国際競争力は身につかない。これまでの日本人の特性も変わらざるを得ない」

■産業集積は強み

 ――日本企業が生かすべき強みは何か。

 「あらゆる部品・素材を国内で調達できる産業集積だ。こんな国は世界にない。日本には大手と中小で賃金の二重構造がある。格差を縮める努力をしないと中小の力を引き出せず、日本の強みを生かせない。協力企業とは一心同体。(開発や資金調達などの)コストの一部を負担するなど、協力企業の賃上げを間接支援する工夫が要る」

 ――協力企業の海外進出を後押ししている。

 「思い切って海外に出た企業は当社以外との取引が拡大している。国内工場で注文が増え、日本に残った企業と比べて競争力を高めた事例がある。一見すれば空洞化のようでも、アジアの成長を取り込めれば果実は必ず日本に帰ってくる」

 ――株安・円高を受け、産業界には政府の支援を求める声もある。

 「環太平洋経済連携協定(TPP)を巡る農業保護の議論もそうだが、守りに投じたカネは絶対に生きたものにならない。じり貧になるだけだ」

 「私が入社した年に米キャタピラーが日本に本格進出し、コマツはもうダメだと言われた。当時の社長は『攻撃は最大の防御』と説き、我々は必死になって仕事した。今ほど製造業に攻めが求められている時はなく、攻めるなら海外だ。これだけの円高なのだから、借金をしてでも海外の会社を買うぐらいの戦略に打って出るべきだ」

(聞き手は中西豊紀)


 さかね・まさひろ 2001年の社長就任時から「構造改革」を掲げコマツを世界的メーカーに。07年から現職。70歳。


<タンポポ・ジャパンとタナバタ・ジャパン関連記事>

引き裂かれる民力、迫り来る「タンポポ・ジャパン」と「タナバタ・ジャパン」で「空洞化・ジャパン」の最悪シナリオ
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/04/19/5813645


311後の「分散」大規模シフト、日米連携の「タンポポ・ジャパン」戦略本格始動へ
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/04/23/5821363


提言:日本から出て行く企業に“外国人社員向け「ジャポンDEシュギョー」制度義務付導入”のススメ
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/06/30/5935405

「政府・日銀がやらねば誰がやる」と「スイス国立銀行がやらねば誰がやる」、キャシャーンの共演に市場は冷ややか2011/08/05 07:55

「政府・日銀がやらねば誰がやる」と「スイス国立銀行がやらねば誰がやる」、キャシャーンの共演に市場は冷ややか


「政府・日銀がやらねば誰がやる」、それはまるでキャシャーン。経済界の悲鳴に応えて立ち上がった政府・日銀。急激な円高進行阻止、産業空洞化回避に向けて総動員体制。

「急激な円高を許さないというメッセージを送ることができた」と評価したのは経団連の米倉弘昌会長。この声を引き出そうと大損覚悟で孤軍奮闘のキャシャーン。

キャシャーンの仲間は唯一スイス。日経は「日本政府はスイス当局との間で何らかの情報交換か、合意があったのではないか。もし介入に動くなら、4日だと思っていた」とする外資系金融機関の為替ディーラーのコメントを紹介。

合意があったとする見方にはいささか疑問を感じるものの、スイスの事情は日本と同じ。フラン高にスイスの輸出企業も悲鳴。

「政府・日銀がやらねば誰がやる」と「スイス国立銀行がやらねば誰がやる」が相乗効果を狙って組んだ可能性は否定できない。

しかし、その効果が一時的なものとなるであろうことはみんな知っている。市場も冷ややか。

ロイターが指摘しているように、現在の円高やフラン高は世界経済の減速懸念や欧米の債務問題に起因。キャシャーンがいくら頑張っても問題の根を取り除くことは不可能。この先も円やフランが買われる材料が相次ぐことが予想される中で、繰り返し大損覚悟の介入を迫られる可能性も。

その第一弾が今日。日本時間の5日夜に発表される米国の雇用統計に市場が注目。キャシャーンにとって早くも正念場。

大損覚悟でキャシャーン化するよりも、欧米交えた世界的な新成長戦略実現会議を開催する方が効果的ではないのか。

地球温暖化祭に気候変動祭もウソがばれて失速状態。そこに連動していた原発祭もフクシマで大揺れ。怪しげな太陽光祭に風力祭にスマート・グリッド祭が世界経済を救うとは思えない。

誰もが今、新成長戦略を求めている。誰もが楽しめる本物の祭を待ち望んでいる。


<関連記事引用>

▼ 円高阻止、ラストチャンスに賭けた当局 決戦は金曜日
2011/8/4 16:20
http://s.nikkei.com/qKQ9hz

 急激な円高を阻止するため、政府・日銀が4日、約4カ月半ぶりに円売り・ドル買いの市場介入に乗り出した。日銀も呼応するように、追加の金融緩和策を実施。最高値をうかがう勢いだった円相場は急落し、円高にひとまず歯止めがかかった。だが1ドル=80円を上回る円高は、東日本大震災からの復興を目指す日本経済にはなお重い足かせ。次の一手が最大の正念場になる。

 介入の伏線はあった。スイスだ。

 スイス国立銀行(中央銀行)は3日、スイスフラン高に歯止めをかけるため、政策金利の引き下げを決めた。ある外資系金融機関の為替ディーラーはこう勘繰る。「日本政府はスイス当局との間で何らかの情報交換か、合意があったのではないか。もし介入に動くなら、4日だと思っていた」

■「協調介入」と同じ効果を演出

 自国通貨高に苦しむ状況はスイスも同じ。経常黒字国のスイスは日本と並ぶ通貨避難国として、市場参加者から認識されている。実際、主要通貨の動きを各通貨の総合的な価値を示す実効為替レート(日経通貨インデックス)でみると、先週1週間で最も上昇したのはスイスフランの2.35%。円の0.95%と比べて2倍以上も上昇していた。

 今回、スイスと呼応してドル安阻止の姿勢を示せば、日本単独で介入を実施するよりも大きな効果を期待できるとの計算が働いたのは間違いない。天災による日本経済の失速を抑えるため、欧米当局が介入に協調姿勢を示した東日本大震災直後と違い、欧米の債務不安を背景にした今回の円高局面では、欧米当局との協調を見込みづらいとの事情もあった。

 実は4日以前にも介入を実施するチャンスはあった。週初の1日午前だ。オバマ米大統領が7月31日夜(日本時間1日午前)の緊急記者会見で、ドル不安の根因だった米債務上限引き上げ問題で米議会指導者が合意したと発表。円相場は会見直後に一時、1円以上も円安に振れた。

 これまで幾度となく円高に悩まされた通貨当局の財務省には、代々引き継がれてきた円売り介入の鉄則がある。「円高加速時の介入はムダ玉。円高が収まったタイミングを狙え」。だが当局は介入をためらった。理由は「米国経済への不安」だった。

 1日から始まる週には、重要な米経済指標の発表が控えていた。ドル相場に大きな影響を与える7月の非製造業景況感指数と雇用統計だ。政府・日銀は米指標と円相場を見守りながら、日銀が金融政策決定会合を開く4日を待った。幸運にも景況感指数が発表された3日の欧米市場では米株価が何とか持ち直し、円高は加速しなかった。

■ファンドの円買いは既にピーク

 まだ日本時間5日夜には米雇用統計の発表が控えている。だが当局が市場参加者から情報を集めやすい東京市場の時間帯と違い、雇用統計が発表される欧米市場の時間帯はヘッジファンドが売買を主導するため、情報把握が難しい。円最高値更新が目前に迫るなか、前日にスイスがドル安・フラン高を阻止するために利下げに踏み切った直後で、日銀が決定会合を開く4日は最後の、そして最大の介入のチャンスだった。

 為替相場に大きく影響する需給関係も当局に味方した。ヘッジファンドの売買動向を映すシカゴ・マーカンタイル取引所の通貨先物取引の「非商業部門」による円の買越額(7月26日時点)は昨年9月の円売り介入直前以来の高水準まで積み上がっていた。リスク管理上は思い切った円買いが難しい状況で、東日本大震災直後の円高時のように外国為替証拠金(FX)取引を手がける日本の個人投資家、いわゆる「ミセス・ワタナベ」の円買い戻しを巻き込んで円高を加速させる余力は残っていなかった。

 だが今回の円高阻止策は、市場にそれほど大きなサプライズを与えていない。円安の勢いは1ドル=80円を前に足踏みし、それを見た株価も伸び悩んだ。円売り介入と金融緩和の組み合わせは1年前の昨年秋の円高阻止策と変わらない。しかも当時は「6年半ぶりの介入」と「4年ぶりのゼロ金利復活」というサプライズ要因があった。

 先行きの円相場を占う最大の焦点は、週末金曜の日本時間5日夜に発表される米雇用統計だ。米経済の不安材料である雇用の回復が見られなければ、介入でひとまずドルを買い戻したヘッジファンドが再びドルを売り浴びせる契機になりかねない。

■大きな驚きのない円高阻止策

 クレディ・スイス証券の深谷幸司氏は「金曜夜にかけて、政府・日銀は積極的な円売り介入を継続せざるを得ない」とみる。いったん市場参加者が「政府・日銀の円高阻止の姿勢は強くない」と判断すれば、今回の当局の対応は徒労に終わりかねないからだ。

 今回、1ドル=80円を下回る円安水準の定着を実現できなければ、円高で海外企業との競争力低下に苦しむ日本企業の海外移転は止まらないだろう。円売り介入を再開した昨年9月から今回は3回目の介入。1回目は6年半ぶりの大規模介入とゼロ金利復活、2回目は欧米当局を巻き込んだ協調介入だった。

 市場参加者にサプライズを与えることで円高を抑えてきた政府・日銀。切れるカードが限られるなか、次に繰り出す一手が円高を阻止し、当局の影響力を維持できるかどうかの正念場になる。(小栗太)


▼ フラン高に企業が悲鳴、ゼロ金利は魅力消さず-同じ悩みの日本は介入
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=a_IwpSBrx8Og

 8月4日(ブルームバーグ):スイスの輸出業者たちが悲鳴を上げている。ユーロ圏債務危機の悪化に伴う資金逃避でスイス・フランが急上昇したからだ。

 フランは2008年初め以来、スイスの主要貿易相手国の通貨バスケットに対して42%上昇した。それ以前の10年間はほぼ横ばい。経済協力開発機構(OECD)によればフランは今や、世界で最も過大評価された通貨だ。スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は3日、フラン高に歯止めを掛けるため緊急利下げでゼロ金利政策に踏み切った。

 欧州の債務危機に加え債務上限引き上げをめぐる米国の政治混乱を受けた資金逃避で、フラン相場は10年間の平均から大きくかい離した。時計メーカーのスウォッチ・グループや電力網敷設で世界最大手のABBなど輸出企業は海外での収益の目減りに直面している。

 スイスの家電メーカー、AFGアルボニアフォルスター・ホールディングのダニエル・フルーティヒ最高経営責任者(CEO)は「毎日損失を被っている」として、「為替相場の小さな動きも当社の業績に甚大な影響を与える。事態は極めて危機的だ」と語った。

 同様に自国通貨高に悩まされている日本は4日、外国為替市場での介入に踏み切った。野田佳彦財務相によれば、日本当局は諸外国と連絡を取ったものの、介入は単独で実施した。

 スイス中銀は3日、フラン売り介入には言及しなかったものの利下げと同時に、必要ならば「一段の措置を取る」と表明。フランは中銀発表後に一時3%安まで下げた。SNBは短期市場でフラン資金の供給を増やすことも発表した。

 フランが買われる理由の1つは経常収支の黒字だ。中銀の措置でフラン高に歯止めを掛けるのは難しいとの声もある。

 バークレイズ・キャピタルのエコノミスト、トルステン・ポライト氏(フランクフルト在勤)は「現在のフラン高は金利差に基づいたものではなく、投資家のリスク回避志向の結果だ」として、今回の「措置は状況改善には非力だろう」と話している。


▼ 〔アングル〕市場は介入効果の持続性を疑問視 終値79円台維持が焦点
2011年 08月 4日 17:03 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK047910120110804

 [東京 4日 ロイター] 政府・日銀の為替介入は東京市場でドル/円を2円以上押し上げたが、市場は効果の持続性を疑問視している。現在の円高は世界経済の減速懸念や欧米の債務問題に起因しており、日本の対応だけでは問題の根を取り除くことができない。5日の米雇用統計など、この先も円が買われる材料が相次ぐことが予想され、4日終値で79円を維持できないと繰り返し介入を迫られる可能性がある。

 <介入のタイミングはサプライズ>

 市場は政府・日銀が為替介入に踏み切ることは予想していたが、そのタイミングには意表をつかれた。「5日に日銀が緩和を決定して、それでも円高が続くなら来週介入する、場合によっては明日の追加緩和とセットで介入すると市場は考えていた。それが今日だったのは意外感があった」と、米系銀行の外為アナリストは言う。それだけに介入の効果は高く、ドル/円は介入直前の77.10円付近から東京時間終盤には79.40円近辺まで水準を切り上げた。

 市場筋によると、介入はロンドン市場でも続いたとみられ、東京時間の午前中から断続的に実施された。5日の雇用統計は相場を1円以上動かす力のある材料だけに、介入前の水準77円前半で過去最安値76.25円を割り込む可能性があった。統計発表前に最安値からの距離を広げておく必要があり、「78円程度まで水準を押し上げておけば、仮に5日の米雇用統計が悪く下振れしても、さすがに1日で2円は下落しない」(外為どっとコム総合研究所の植野大作社長)との指摘があった。

 しかし、ドル/円を下落させる要因は雇用統計だけではない。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国を格下げしてくる可能性や、欧州債務問題がスペインやイタリアに波及する懸念もくすぶっている。米国が8日の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和の議論をする可能性もある。「今日について言えばサプライズだったし、いったん投機筋をけん制する効果はあるだろう」と、バンクオブアメリカ・メリルリンチのFXストラテジスト、藤井知子氏は言う。「しかし元を断つことはできない。次に円高が来たときにどうするのか」。

 <G7メンバーの度重なる介入難しい>

 市場関係者は、この先も介入が繰り返されるとみている。3月末時点の外国為替資金証券の残高をみると、介入資金が上限に達するまではまだ約39兆円程度の余裕がある。「介入はまだ続くと思っている。5日の米雇用統計後、二の矢ぐらいは用意されているのではないか。今回はかなり覚悟を決めている感じがする」と、クレディ・スイス証券の外国為替調査部長、深谷幸司氏は話す。

 「デフレから脱却できるまでは円売り介入や金融緩和を続ける、といったコミットメントがなければ、円高阻止の持続性は乏しい。7月の米雇用統計やFOMCなどがドル安/円高方向に働く結果となれば、また追加の円高対策が必要になる可能性がある」(マネックス証券 チーフ・エコノミストの村上尚己氏)との声も聞かれた。

 しかし先進7カ国(G7)メンバーの日本が、たびたび介入することは難しい。3月の協調介入を含めると、ここ1年で日本の介入は3回目になる。「G7の中で発言権を維持したければ、介入は過度な変動、無秩序な値動きのときに限られる。日本はまた苦しい選択を迫られるときが来る」と、バンクオブアメリカの藤井氏は話す。ロンドン時間序盤でドル/円は79円後半まで上値を伸ばしているが、「今日の引け(ニューヨーク市場終値)で最低79円以上は維持してもらいたい。そうしないと、これから後が怖い」と、藤井氏は言う。(ロイターニュース 久保 信博記者)


▼ 円売り介入、4兆円規模に 政府・日銀
2011/8/5 1:21
http://s.nikkei.com/nQboI2

 政府・日銀は4日、大幅な円高の是正に向けて為替介入と金融緩和を同時に実施した。断続的な円売り・ドル買いの介入とともに、日銀は追加緩和策として資産買い入れ基金の10兆円増額を決めた。円売り介入は海外市場でも継続しており、介入額は過去最大の4兆円規模に膨らんだとみられる。円相場は介入前から3円以上も円安に振れ、一時1ドル=80円台前半まで急落した。

 介入と金融緩和の同時実施は、円高で日本の経済成長が下振れするのを避けるため、政府と日銀が協調して市場に「強い姿勢を示す」(白川方明総裁)狙いがある。

 日銀は4日から2日間の日程で開く予定だった金融政策決定会合を1日に短縮し、追加緩和を前倒し決定した。国債や社債、上場投資信託(ETF)などの購入の原資になる資産買い入れ基金の規模を従来の40兆円から50兆円に引き上げた。

 基金のうち、資産の買い取り枠を従来の10兆円から15兆円に増額。年0.1%の低利で長めの資金を貸し出す固定金利オペ(公開市場操作)の供給枠も30兆円から35兆円に増やした。市場金利の低下を促し、企業マインドの低下を防ぐ。

 政策金利は従来の年0~0.1%に据え置き、ゼロ金利政策の維持を決めた。米景気の減速懸念など、海外経済の「不確実性は大きい」(白川総裁)と判断。円高に電力供給不安が加わり、企業の海外シフトが加速する恐れもあるとみている。

 日銀の追加金融緩和に先立ち、政府・日銀は4日午前、約4カ月半ぶりとなる円売り・ドル買い介入に踏み切った。介入は取引が海外市場に移ってからも断続的に続いており、円相場は一時80円25銭まで下落した。

 市場では介入規模は4兆円前後と、1日の介入額としては過去最大に膨らんでいるとの見方が出ている。野田佳彦財務相は4日午後、記者団に「引き続きマーケットを注視しながら対応していきたい」と話し、介入継続に含みを残した。

 政府・日銀が為替介入を実施したのは東日本大震災直後の3月18日以来、約4カ月半ぶり。円相場は1日の海外市場で震災後に付けた最高値(1ドル=76円25銭)に迫る76円29銭を付けていた。


▼ 日本の介入「多国間の決定ではない」 欧州中銀総裁
2011/8/5 0:19
http://s.nikkei.com/qqwWIC

 【フランクフルト=菅野幹雄】欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は4日の記者会見で、日本の通貨当局が同日実施した円売り市場介入について「欧州中銀の理事会は、こうした介入には常に多国間の合意と決定が必要という立場を明確にしている。私の知る限り、今回はそうした多国間の決定とはいえない」と述べ、介入実施にやや批判的な見方を示した。


<関連記事>

NY株が大幅下落、終値512ドル安 世界景気に懸念
http://s.nikkei.com/oRbl1M

米国株:急落、S&P500は09年以来の大幅安-世界的な景気不安で
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a0hxHbGUTUC4

世界株安の展開、資金は株からスイス・フランや米国債に-円下げ渋る
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aUJ17TcfGhx4

ECBが金利据え置き、国債買い入れを再開
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22548920110804?sp=true

「急激な円高を許さないというメッセージを送れた」 経済3団体トップが評価
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110804/biz11080419240034-n1.htm


<画像引用>

新造人間キャシャーン
http://www.youtube.com/watch?v=LNHbsdQP1PA

タンポポ・ジャパンと地政学経営:北米&南米両睨み、FTA大国メキシコに注がれる熱い視線2011/07/31 10:10

タンポポ・ジャパンと地政学経営:北米&南米両睨み、FTA大国メキシコに注がれる熱い視線


<関連記事引用>

▼ ホンダ、メキシコ新工場、「フィット」北米供給、円高に対応。
2011/07/31 日本経済新聞 朝刊

 ホンダはメキシコに四輪車の新工場を建設する。2012年にも着工し、14年に稼働させる。主力小型車「フィット」の次期モデルなどを生産し、北米市場に供給する。米国で売るフィットは現在、日本から輸出しているが、円高・ドル安が続くなか採算が大幅に悪化している。現地生産を拡大し、収益を改善する。

 新工場はメキシコ中部のハリスコ州にある既存工場の近くに建設する方向で用地の絞り込みを進めている。投資額は200億円規模で、当初の生産能力は年間10万台程度とみられる。14年発売予定で燃費性能を大幅に向上させる次期フィットなどを生産し主力市場の米国などに供給。将来の能力増強も視野に入れる。

 フィットは国内販売の3割を占める主力車種。米国では年間6万台前後のフィットを販売しており、鈴鹿製作所(三重県鈴鹿市)で生産・輸出している。乗用車を日本から米国に輸出する場合は2・5%の関税がかかり、円高が続くなかで輸出採算は悪化している。ホンダは1ドルあたり1円円高になれば、営業利益が150億円目減りする。

 メキシコと米国は北米自由貿易協定(NAFTA)を締結しており、関税が撤廃されている。メキシコから米国に供給する体制に切り替え、採算を改善する。

 メキシコの既存工場は生産能力が年間約5万台で、多目的スポーツ車(SUV)「CR―V」を米国やブラジルなどに輸出している。拡張余地が乏しく新たな用地に工場を建設する。既存工場は二輪車の生産に切り替えることも検討している。

 ホンダは10年に世界で360万台を生産。日本では100万台を生産し、このうち20万台を米国に輸出した。かねて現地生産を拡大してきたが、円高の長期化を受け、主力車種の生産移管に踏み切るなど世界規模で生産体制を見直す。鈴鹿製作所は国内で販売が好調な車種を増産するなどで生産規模は維持する。


▼ トヨタ:メキシコで新エンジン工場の建設用地探す-決定事項はない
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=ag_bjCch63No

 7月26日(ブルームバーグ):トヨタ自動車は、メキシコで新たなエンジン工場の建設用地を探している。

 トヨタの広報担当、アナ・マリア・バジャリノ氏(メキシコ在勤)は26日、メキシコ市からの電話インタビューで、「当社は北米での事業拡大計画に基づき、新工場の建設用地について調査と分析を行っている。ただ、これまでに決定事項はなく、期限も設けていない」と語った。

 同国紙レフォルマは、トヨタとホンダの関係者が新工場の建設用地を探すため同国中部のグアナフアト州を訪問したと情報源を明示せずに伝えていた。

 メキシコ市にあるホンダの広報オフィスは、報道に関してコメントを控えた。


▼ マツダ戦略、新興国攻め 13年度にメキシコ工場 低燃費車拡大がカギ【大阪】
2011/06/18 朝日新聞 朝刊

 マツダは17日、中長期の新たな販売戦略を発表した。メキシコで新工場を建設することや環境対応車の開発が軸。2016年3月期の世界販売で、今の3割増の170万台を目指す。

 新工場は、首都メキシコ市の北西250キロにあるサラマンカ市に造り、13年度に稼働させる。交通の便がよく、部品メーカーもそろっているという。

 投資額は計5億ドル(約400億円)で、生産会社の出資比率はマツダ70%、住友商事30%。13年度から年14万台規模で小型車を生産し、世界4位の自動車市場のブラジルなど中南米向けに輸出する。

 国内自動車メーカーの中南米での生産は、トヨタ自動車が1959年にブラジルで始め、日産自動車も60年代にメキシコで稼働させた。ホンダも97年にブラジルで生産を始めた。

 今回、マツダが進出を決めたのは、メキシコに工場がある米自動車大手フォード・モーターの傘下から離れ、自らの生産体制を見直したためだ。

 17日に東京都内で会見したマツダの山内孝社長は「本格進出していなかった新興国で最も実現性があるのがメキシコだった」と述べた。現在は世界販売のうち4割を占める新興国での販売比率を、16年3月期には5割に引き上げる方針だ。先進国での新車の売れ行きは、欧州を中心に不安定なため、すでに生産・販売拠点がある中国や東南アジアのほか、新興国への輸出を増やす。

 同社は30日に国内で発売する小型車「デミオ」を皮切りに、燃費を改善したエンジンや効率のいい変速機、車体の軽量化などの環境技術「スカイアクティブ」を新車に組み込む。これらの新車は、ハイブリッド車(HV)並みの燃費ながら、HVに必要な充電池や複雑な電子回路がない分、価格を抑えられるのが強みで、販売の拡大を目指す。

 17日発表した12年3月期連結決算の予想では、売上高を前年同期比5・8%減の2兆1900億円、純利益を10億円と見込んだ。実現すれば黒字転換は4期ぶり。世界販売は2・6%増の130万5千台とした。4月は前年の5割程度の水準まで減っていた国内生産は、今月から通常ペースに回復したという。(諏訪和仁、木村和規)


▼ 日産・マツダが相次ぎ投資計画、中南米の開拓急ぐ、中韓勢が存在感。
2011/07/06 日経産業新聞

現地のニーズに対応

 日産自動車やマツダなどが中南米市場の投資計画を相次ぎ打ち出している。中南米に現地工場を設け、コスト競争力を高める。世界4位の新車市場に成長したブラジルでは欧米勢が現地化で先行し、韓国や中国勢も急速に存在感を高めている。日系先発組のトヨタ自動車やホンダも攻めあぐねる中南米をいかに攻略するのか、日産、マツダの新興国戦略の真価が問われそうだ。

 「ブラジルはマツダが参入していない最大の市場。だが、完成車輸出では為替の円高と高い関税で商売にはならない」(山内孝社長)。マツダは2013年度中に住友商事と5億ドル(約400億円)を投じ、メキシコに年産14万台の自動車生産工場を設ける。FTA(自由貿易協定)大国、メキシコの特性を生かし、ブラジルなど南米にも小型車を供給する。

 日産は16年度までの中期経営計画中にブラジルに年産20万台の工場を新設し、現在約1%の市場シェアを5%以上に高める。「新興国攻略で唯一抜けていた」(カルロス・ゴーン社長)というブラジルに布石を打つ。

 中南米の自動車関連の投資は活発だ。ホンダは5月、南米でブラジルに続く2カ所目となる年産3万台の自動車工場を稼働。トヨタも12年にブラジルで2カ所目となる自動車工場を設け、年7万台の生産体制を整える。住友ゴムが280億円を投じ、13年中にブラジルで自動車用タイヤの生産を始めるなど、部材メーカーの投資も広がる。

 日本勢のブラジル強化策が相次ぐが、劣勢の感は否めない。10年に350万台を超え、世界4位の規模に躍り出たブラジルだが、市場シェアの7割以上を伊フィアットなど欧米4社で占める。

 一方で目を見張るのが韓国勢。10年のブラジルのブランド別販売台数で現代自動車は49%増の10万6017台、現代グループの起亜自動車は2・3倍の5万4454台に急伸。現代・起亜グループはホンダを上回り、ブラジルで最も売ったアジアの自動車メーカーの盟主になった。日本貿易振興機構の海外調査部中南米課の二宮康史課長代理は、「小型車からピックアップトラックまで日本勢よりも品ぞろえがいい」と指摘。高級車に偏りがちな日本勢との違いが成長の勢いの差につながっているとみる。

 国際貿易投資研究所の内田允客員研究員は「韓国勢は低所得者向けの販売戦略が巧み」と話す。特に低所得者層が利用しやすい分割払いが長いローンが充実しているという。ブラジルには賃金が週払いの習慣も残っており、「賃金週払いの就労者に向けたメニューもある」(内田氏)。現地で与信管理の厳しい日本勢と違いを出す。

 韓国勢は日本勢と同様、現状は大半を輸出で対応しているが、「リスクをとってまず市場を開拓する意志が強い」(内田氏)。市場変化のスピードや現地の情勢に応じた、巧みで大胆な販売戦略はデジタル家電で海外市場を席巻したサムスン電子やLG電子と重なる。

 新たに奇瑞汽車など中国勢もブラジル市場に次々参入、低価格攻勢をかけている。特に奇瑞は販売好調で現地工場を建設する計画もある。

 先行する欧米勢も現地化を一段と加速している。独フォルクスワーゲン(VW)はドイツから赴任する幹部がブラジル国籍を取得し永住するケースも多々あり、研究開発拠点はブラジルで最も充実している。VWが中国で乗用車生産に乗り出した際、ブラジルで開発した「サンタナ」を生産したのは知られた話だ。

 トヨタ自動車が50年代に日系人が多いブラジルで現地生産を始めるなど、日伯の自動車関係の歴史は長い。ただ80~90年代のブラジルの対外債務危機や政情不安の影響で日本勢の投資は減速。主戦場の先進国に経営資源を集中した。

 実はブラジルは日産のゴーン社長が生まれ、勤務経験もある故郷。だが、欧米、中韓国勢がひしめく激戦区の競争環境は甘くない。日産、マツダなど日系後発組は南半球の自動車新大陸に食い込めるのか。市場ニーズに対応した商品の投入など、ライバル各社をしのぐ緻密(ちみつ)な戦略と迅速な経営判断が求められる。(星正道)

【表】2010年のブラジルのブランド別自動車販売台数      

〓-〓   ブラジル自動車流通業者連盟調べ、乗用車・商用車の合計。トラック・バスを除く   〓-〓

順位 メーカー名  台数  〓(台)  前年比〓増減率〓(%)  シェア〓(%)

1   フィアット   760,474   3.2   22.8

2   V W   697,342   1.9   20.9

3   G M   657,622   10.4   19.8

4   フォード   336,309   10.6   10.1

5   ルノー   160,306   36.4   4.8

6   ホンダ   126,432   0.4   3.8

7   現代自動車   106,017   49.2   3.2

8   トヨタ自動車   99,567   6.5   3.0

9   プジョー   90,331   10.3   2.7

10   シトロエン   84,056   21.3   2.5

11   起亜自動車   54,454   125.5   1.6

12   三菱自動車   44,609   18.9   1.3

13   日産自動車   35,907   54.3   1.1

動画で学ぶタンポポ・ジャパン(TBSより):電力不足で加速する「日本企業の海外流出」、今がチャンスと韓国は「日本企業猛烈誘致戦略」実施中2011/07/21 07:04

動画で学ぶタンポポ・ジャパン(TBSより):電力不足で加速する「日本企業の海外流出」、今がチャンスと韓国は「日本企業猛烈誘致戦略」実施中


<関連記事引用>

電力不足で加速する「企業の海外流出」 (動画あり)
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4780883.html

 現在、東日本の工場などでは15%の節電が義務づけられていますが、この「電力不足」が日本経済にとって大きなハンデとなっています。こうした日本企業をターゲットに、今、ある国が猛烈な誘致活動をしています。その現場を取材しました。

 茨城県北茨城市。

 「ここにある黒い板が私どもの商品です」(JX日鉱日石金属 菅原静郎さん)

 この工場で生産しているのは、液晶パネルに欠かせない電極用の材料。シェア45%の世界トップのこの技術が、いま海外流出の危機にさらされています。

 「こちらにある炉が震災で壊れて使えなくなってしまって」(JX日鉱日石金属 菅原静郎さん)

 東日本大震災で工場が被災。ようやく今月末にフル生産できる見通しとなりましたが、材料の納入は最長で4か月遅れただけでなく、ここにきて「電力不足」が追い打ちをかけています。

 「電力をできるだけ使わないようにと言われると、復旧をしながら生産をうまくやるというバランスをとるのが非常に難しい」(JX日鉱日石金属 菅原静郎さん)

 こうした状況に、このメーカーではすでに生産の一部を海外に移転することを検討しています。

 「海外に持っていかざるを得ない。そういう新しい動きが震災で出てきてしまった。電気がなくて、ものが作れないという事態だけは避けないと、企業の死活問題になっちゃうからね」(JX日鉱日石金属 岡田昌徳社長)

 一方、震災後一時生産が完全にストップした自動車業界でも、海外流出が始まっていました。自動車生産に欠かせない半導体の「マイコン」。世界シェアトップの「ルネサス」はおよそ3か月操業が停止しました。

 「ぜんぜん昔と違ってる。考え方変わってるね」(フリースケール ディビッド・M・ユーゼ社長)

 こう指摘するのは、「ルネサス」のライバルで世界シェア2位のアメリカのメーカー「フリースケール」。

 「3月11日以来、日本の自動車業界の企業がフリースケールの製品を使うことを真面目に検討していただき、フリースケールを選択することになりました」(フリースケール ディビッド・M・ユーゼ社長)

 日本の自動車メーカーが、注文の一部をルネサスからフリースケールに切り替え始めているといいます。これまで急激な「円高」や先進国で最も高い水準の「法人税」、さらに貿易にかかる「関税」が日本企業の競争力の足かせと指摘されてきましたが、震災による電力不足が重なったことで、およそ7割の国内メーカーが「海外移転が加速する可能性がある」と答えています。

 「安定的な電気がない。かつ、そのコストが今後どれだけ上がっていくのか、こういったことを考えると、『おいで、おいで』と言っている、いろんな国々があるわけで」(ローソン 新浪剛史社長)

 「もっと安い国にどんどんビジネスを取られていく。したがって、われわれ製造メーカーとしては外へ行かざるを得ない」(帝人 長島徹会長)

 こうした日本企業に狙いを定め、誘致を猛烈にアピールしているのが韓国です。先週、ソウルから南に2時間のクンサン駅に、日本企業の視察団が降り立りました。

 「私は経済庁のチャンと申します。こんにちは」

 韓国は、この地に「セマングム」という広大な干拓地を作り、経済自由区域に指定。日本企業を呼び込むため、法人税や関税を5年間免除するなどの大幅な優遇策を打ち出しました。視察には、韓国料理によるもてなしも組み込まれていました。

 「電力のコストがどうなるかということは企業にとっては非常に大きな関心。海外に出て行く場合、韓国が一番の候補地と考えている」(韓国 味の素 観山知見さん)

 「もともと農業用地にしようとしていたのを自由経済区域にしようとしている。すごいですよね、パワーがね」(東京海上日動火災保険 岩附康司さん)

 さらに、「セマングム」ではおよそ1100億円かけて、全長33キロに及ぶ世界最大の防潮堤を完成させました。

 「韓国では電力不足は問題になっていません。(さらにこの地域は)中国の山東半島からも600キロと近く、中国との取り引きにも有利な立地条件です」(セマングム群山経済自由区域庁長 イ・ミョンノさん)

 電力不足を引き金に加速する産業空洞化。日本経済回復のためにも、官民一体となった対策が急がれます。(20日17:02)

「物流を制する者は中国市場を制する」=中国限定「地理経済学」に「自由と繁栄のWA」で挑む2011/07/19 08:02

「物流を制する者は中国市場を制する」=中国限定「地理経済学」に「自由と繁栄のWA」で挑む


産業空洞化を恐れるな。分散化こそリスクヘッジの基本。
タンポポ・ジャパンは「拡散・日本」の大戦略。

拡散先はあくまでも地政学重視。
北極に睨んだ拡大「自由と繁栄の弧」、即ち「自由と繁栄のWA」を提唱。

「自由と繁栄のWA」から外れる中国行きは自己責任で。
そこに経済産業省とジェトロ、それに丹羽宇一郎が絡むなら、
「最後まで面倒見ろよ」と釘を刺したくなる。

松本外相の中国対抗「海洋経済回廊」構想と大いに矛盾。
相変わらずのバラバラ政府に開いた口がふさがらない。


<関連記事引用>

▼ 中国の「地理経済学」、日産に追い風
-アジアBiz新潮流・広州支局 桑原健
2011/07/19 07:00 日本経済新聞電子版ニュース

 中国で日産自動車の快走が止まらない。1~6月の販売台数は前年同期比18%増と市場全体の3%増を大きく上回った。増産投資や商品戦略が奏功。乗用車の合弁相手が東風汽車集団(湖北省)だけで、1つの販売網で多彩な車を売れるのも強みだ。今後、注目を集めそうなのが工場立地の良さ。沿海部でも内陸の奥深くでもない「中部」で生産する優位性だ。

 「工場に鉄道の線路を引き込まないか」。河南省鄭州市。日産と東風の合弁工場は市政府からこんな提案を受けた。鉄道輸送する完成車は現在、約10キロ離れた駅までトレーラーで運んで積み込む。線路が工場に入ればこの手間を省ける。

 日産の中国での乗用車輸送に占める鉄道利用の割合は18%。鄭州工場で現在、鉄道を使うのは四川、雲南両省向けだけだ。だが、今後は生産拡大に合わせ、低コストで大量輸送できる鉄道利用を増やす考え。市政府の提案を前向きに検討している。

 鄭州は河南省の省都。西に約100キロ行くと古都、洛陽市がある。かつて「中原(ちゅうげん)を制する者は天下を制する」と言われた政治や経済の中心がこのあたりだ。実は鄭州は今でも鉄道と道路交通の要衝だ。

 中国の南北の大動脈は首都の北京市と経済の発展した広東省の広州市周辺を結ぶ線だ。東西の大動脈の一つは山東省青島市や江蘇省連雲港市から陝西省西安市などへと連なる線。この2本の大動脈は鄭州で交差する。

 鄭州の鉄道貨物駅は小口貨物取扱量で全国一。食品などの卸売市場も集まる。市政府はこの「地の利」を製造業の発展にもつなげたい考え。日産への“親切”な提案の裏にそんな思惑がある。

 「部品も製品も1ミリも動かさなくて済むのが理想だ」。日産と東風の乗用車合弁、東風日産乗用車のサプライチェーン管理部。筒井勝課長らは「物流そのものは何の価値も生まない」と物流費の削減をストイックに追求する。その筒井課長が「日産の優位性が今後間違いなく増してくる」と明るい口調で語るのが工場立地の良さだ。

 日産は鄭州と湖北省襄陽市(旧襄樊市)、広州の3拠点で乗用車を合弁生産する。鄭州は多目的スポーツ車(SUV)、襄陽は中型セダン、広州は小型車と生産車種を分ける。車種や車台ごとに生産を集中した方が部品調達や組み立ての効率が高い。どの自動車大手も採用する戦略だ。

 日産がトヨタ自動車や米ゼネラル・モーターズ(GM)、独フォルクスワーゲン(VW)などの競争相手と異なるのは鄭州、襄陽と中国中央部の中部地域に工場を持つことだ。両工場は沿海部と内陸部双方への輸送に便利。残る広州工場も南北大動脈の南端に位置し、全土への輸送に有利だ。

 2008年の金融危機後は内陸部で域内総生産(GDP)の伸び率が高い。「中所得国」の目安の一つである1人当たりGDP3000ドル。内陸部の行政区(直轄市・省・自治区)で達成したのは05年にはゼロだったが、10年には8割の16行政区が超えた。外資系自動車メーカーの戦場は沿海部から全土に広がった。

 とはいえ、GDPの6割を占めるのは依然として沿海部だ。トヨタは四川省、GMは広西チワン族自治区とそれぞれ内陸部でも生産するが、全土へ輸送するには西に寄りすぎているようだ。

 中部は労働力や土地、電力も豊富。日本貿易振興機構(ジェトロ)の天野真也・武漢事務所長は「東風汽車や武漢鋼鉄のような大きなメーカーがあり、製造業の基盤もしっかりしている」と指摘する。

 「鄭州に出ないか」。日産は今後の増産をにらみ、部品会社に鄭州進出を盛んに求める。襄陽では現在生産するセダンと車台が同じSUVも生産する予定。中部に工場を構えるのは合弁相手の拠点があったことによる偶然だが、この強みを生かして攻勢をかける。

 国土が広く、高速道路料金も高い中国。中小の物流事業者も多く、物流費がかさむ。中国人民銀行(中央銀行)は6月、10年の中国の物流費が国内総生産(GDP)の18%に達し、先進国の9%を大きく上回ったと指摘した。物価上昇の元凶として物流費がヤリ玉に上がることも増えた。

 物流の重要性を理解しない企業はない。だが、中国では他の市場以上に効率的な拠点配置や輸送方法を考え抜く必要がありそうだ。「物流を制する者は中国市場を制する」。それぐらいの気持ちで中国の地理経済学(ゲオエコノミクス)に向き合ってみてもいい。


▼ 中国内陸部進出を支援、ジェトロ、武漢に事務所。
2011/07/18 日本経済新聞 朝刊

 【武漢=横田祐介】日本企業の中国内陸部への進出を促すため、日本貿易振興機構(ジェトロ)は17日に中国・武漢市に事務所を開設した。現地情報の収集や事業環境の整備などを通じて日本企業の進出を支援する。同日、現地を訪れた海江田万里経済産業相は「中国中西部の開発には武漢が何より重要な地域だ」と強調した。

 17日の開所式典には海江田経産相のほか、丹羽宇一郎駐中国大使や武漢市がある湖北省の王国生省長らが出席した。

 ジェトロと中国・湖北省人民政府は17日、環境や省エネルギー分野での協力文書を締結した。日本からの投資や貿易拡大、日本の中小企業の販路開拓で協力を進めることを確認した。

 武漢市やその周辺に拠点を置く日本企業は現在100社程度。ホンダや日産自動車が進出している。


▼ 日本の中小企業、中国内陸部への進出を加速
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20110718-OYT1T00341.htm?from=tw

 【武漢(中国湖北省)=山下福太郎】日本の中小企業などが、中国内陸部への進出を加速させている。

 日本貿易振興機構(ジェトロ)は17日、内陸部の中心都市の一つである武漢で事務所の開所式を開き、日本企業への支援体制を広げた。日本企業の取り組みの背景には、中国国内の市場の成長に加え、東日本大震災で部品の供給網が寸断された経験から多極的な産業集積を目指す狙いもある。

 海江田経済産業相は17日、ジェトロ武漢事務所の開所式に出席し、「日本政府は、中国中西部の開発にあたって武漢が大変重要な地域だと認識している」と述べ、武漢を中心とした日本企業の内陸部進出に強い期待感を示した。ジェトロの中国拠点は7か所目だが、内陸部は初めてだ。

 武漢は人口約910万人(2009年)で、鉄鋼業が盛んな国内有数の商工業都市だ。上海など沿岸部に比べ、人件費や不動産賃料が半分以下と、生産コストが安いのが大きな魅力だ。国内主要都市に比較的近い点も恵まれている。


▼ ASEAN:松本外相、「海洋経済回廊」構想表明へ
http://mainichi.jp/select/biz/news/20110715k0000e020087000c.html

 松本剛明外相が21~23日にインドネシアで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連外相会議で、域内の海上物流の連携を強める「海洋ASEAN経済回廊」構想を表明することが15日、分かった。日本政府はこれまでASEANに対し、インドシナ半島の陸上物流を支援してきた。今後は海も含めた全域を囲む「回廊」整備に力を入れ、南シナ海など「南進」を活発化する中国に対抗する考えだ。

 松本外相は21日の日ASEAN外相会議で海洋回廊構想を表明する。具体的にはインドネシアやフィリピンなどの港湾や空港のインフラ整備を支援。併せて、海上物流網の整備や効率化に協力する。

 外相会議では東日本大震災を受け、災害時の域内各国の協力強化を進める。日本政府は災害時の情報共有の拠点として、ジャカルタに「ASEAN防災人道支援調整センター」を早期に設立するため、スタッフや機材を提供。救助隊や救助犬の受け入れの迅速化、ASEAN地域フォーラム(ARF)の災害救援合同演習の定期化を確認する。

 松本外相は一連の会議を通じ、中国の南シナ海進出問題に対し、航行の自由などの重要性を強調してけん制する。【犬飼直幸】

祝!「なでしこジャパン」世界一、復興支える希望の星に2011/07/18 15:21

祝!「なでしこジャパン」世界一、復興支える希望の星に


今日は夜中に起きてサッカー女子ワールドカップの日米決勝戦をテレビで観戦。
カラスを名乗る以上これも務め。

世界一の予感はあったものの、さすがに延長前半の米国2点目で「こりゃアカン」と。
「アカン、アカン、もーアカン」と叫んでいたら、沢選手が起死回生の同点弾。

日本には運もある。これは勝てる。
そして、PK戦で1本目を足で止めたGK海堀選手。

ここで勝利を確信。
その理由はその時の海堀選手の足が3本足に見えたから。

海堀選手の背後で日本サッカー協会(JFA)の守り神である八咫烏が舞う。
八咫烏をシンボルマークに選んだのもこういうことだったのかと妙に納得。

米国チーム前監督は「日本はただ勝つためだけではなく、国の復興のためにプレーしていた」と。「絶対に負けない」精神と粘り強さを見せてくれたなでしこジャパンは復興支える希望の星に。

中国メディアはなでしこジャパンの強さの秘密のひとつとして海外移籍奨励方針をあげている。主力選手4名がドイツやフランス、米国などのクラブでプレーしていることを紹介。

世界に飛び散りながらも日の丸背負って世界一を手にしたなでしこジャパン。
なでしこジャパンはタンポポ・ジャパンのお手本を示してくれたのかもしれない。


<関連記事>

サッカー女子W杯決勝、なでしこジャパンが米国に粘り勝ち
http://jp.wsj.com/Life-Style/node_274913

「なでしこジャパン」はどうして強くなったか―中国メディア
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0718&f=national_0718_037.shtml


<画像引用>

サッカー・なでしこの守護神、GK海堀
http://www.jiji.com/jc/p?id=20110718093713-1125578&n=1

「日本経済を待ち受ける3つの危機(日経・大機小機)」に「この3つの危機は連鎖する」を補足2011/07/16 09:57



今や産業空洞化懸念の大合唱。
その言い出しっぺは、おそらくこの私。

震災直後のある会合で産業空洞化加速はもう避けられないと断言。
その結果、財政も悪化。日本衰退は確実と明言。
ついでに「日本には左寄りのカ○みたいな人しか残らないかも」と付け足し。

空洞化は産業だけにとどまらない。
「ヒト・モノ・カネ」まで揃って空洞化。
「ヒト・モノ・カネ」の海外流出が一気に加速する。

とりわけカネの海外流出は日本の財政を圧迫。
今はまだ大丈夫。しかし、あくまでも順番待ち状態だけのこと。
財政危機の津波は、EUから米国を経由し、早くて来年には日本に到達する。

その間に電力危機も追い討ち。
短期的な電力供給計画さえ示せぬ政府のもとで日本は沈む。

今朝の日経・大機小機は「日本経済を待ち受ける3つの危機」と書いた。
本ブログは「この3つの危機は連鎖する」を補足しておきたい。


<関連記事引用>

日本経済を待ち受ける3つの危機(大機小機)
2011/07/16 日本経済新聞 朝刊

 東日本大震災は日本経済に大きな影響を与えているが、サプライチェーン(供給網)の復旧による生産の急回復など製造業の復元力は強く、短期的な景気を見る限り、今年後半以降の回復が十分に視野に入っている状況である。

 しかし中期的な視点から日本経済をみると、大震災によって日本経済がもともと抱えていたリスクが前倒しになっており、これによって日本経済が3つの危機に直面する懸念がある。

 第1は経済の空洞化の危機である。大震災は日本企業の海外流出を加速させる恐れがある。近年はアジアでの需要の高まり、円高、コスト高などを背景に日本企業の海外流出が続いていたが、震災リスクが加わることで、こうした傾向に拍車がかかることは必定である。1980年代、90年代に続き、日本にとって3度目の空洞化危機である。また被災地では、インフラが復旧しても、過疎化、高齢化のもとで第1次産業の衰退に歯止めがかからず、地域経済の空洞化が進む恐れがある。

 第2は財政危機である。復興のための大規模な財政負担の発生や経済活動の落ち込みの影響から、財政状況がさらに悪化し、債務残高の増加に拍車がかかり、財政再建がさらに困難になる。この結果、債務の償還能力に疑念が生じ、中長期的に国債金利に上昇圧力がかかれば、債務の増加に歯止めがかからなくなり、危機へのリスクが高まる。

 第3は電力危機である。中期的な電力制約が経済成長の足かせになる恐れがある。原子力から火力や再生可能エネルギーへのシフトに伴い電力料金の上昇が不可避となり、加えて電力不足が続けば、日本の製造業にとっては大きなハンディとなる。これは過去2度の石油危機に続く第3次エネルギー危機である。

 3つの危機が今後の日本経済を襲い、その対処を誤れば、日本は確実に衰退の道に入り込んでしまう。そこで問われるのは、大震災を奇禍として、日本全体が先送り体質を改め、必要な改革に取り組めるかどうかである。

 被災地外では、既得権の構造にメスを入れ、被災地を支援するのに必要な痛みを分かち合う覚悟ができるかどうかが問われる。被災地では、依存体質を改め、自ら再生の芽を育てていくことができるかが問われる。まさに被災地の復興に向けた被災地内外の取り組みが日本を変える試金石となるのである。(追分)