集団的自衛権、米以外にも 有識者懇、対象拡大提言へ ― 2013/08/18 09:26
どうせインドは無理だから、まずは日米豪。
そうすりゃ、さすがに韓国も焦るだろう。
シェールガスと北極睨んだカナダとの関係強化もお忘れなく♪
<関連記事>
集団的自衛権、米以外にも 有識者懇、対象拡大提言へ
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201308140027.html
安倍晋三首相が設置した有識者による「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二元外務事務次官)が年内にまとめる報告書に、集団的自衛権を共に行使する対象国を米国以外に拡大する提言を盛り込むことが13日、分かった。中東からの石油輸送のためのシーレーン(海上交通路)確保などを想定している。
また政府は13日の持ち回り閣議で、集団的自衛権に関する憲法解釈について「有識者懇談会での議論を踏まえて対応をあらためて検討したい」との答弁書を決定し、解釈の見直しを示唆した。
対象拡大は、座長代理の北岡伸一国際大学長が共同通信のインタビューで明らかにした。対象国は「安全保障上、日本と密接な関係がある国」と定義し、報告書には「密接な関係にある国が攻撃を受け、日本に重大な被害が及ぶとき」に集団的自衛権が行使できるとの趣旨の提言を検討しているとした。
シーレーンは「日本の生命線」とも強調し、シーレーンを防護する国が攻撃された場合の集団的自衛権行使の可能性にも言及した。
集団的自衛権を共同で行使する対象国としては米国に加え、オーストラリアやフィリピン、インドなどを指摘する意見が専門家の間にはある。しかし北岡氏は「安全保障にはある種の曖昧さが必要なことがある」とし、線引きをあえて不明確にして抑止力を高めるべきだと主張した。今年11~12月に策定する報告書には具体的な国名は明記しない方向だ。
北極海航路で蠢く日露中韓 - 北方領土のチョーク・ポイント入り確実か? ― 2013/08/16 06:34
<関連記事>
旭化成など、ナフサ輸送で北極海航路を開拓
2013/8/16 1:30
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDJ1400H_V10C13A8EA1000/?dg=1
旭化成ケミカルズと三菱化学は共同で石油化学製品の原料となるナフサ(粗製ガソリン)を北欧から輸入する北極海航路を開拓した。運航日数は25日間程度で、スエズ運河を通る南回り航路より4割短縮できる。製品や原料の需給に応じ機動的に調達できるほか、中東とアジアに集中している調達先の分散にもつながる。北極海航路の活用にも弾みがつきそうだ。
ノルウェーから8万トンの同国産ナフサを積んだタンカーが16日にも水島コンビナート(岡山県倉敷市)に到着する。北極海航路は地球温暖化による海氷の減少を受けて商業利用の検討が進んでいるが、実際にナフサタンカーが航海したのは初めて。
海氷を砕いてタンカーを先導する砕氷船のチャーター料金が追加されるが、「スエズ運河の通行料や海賊対策の武装コストがかさむ南回り航路と変わらない」(旭化成ケミカルズ)。航海日数が少ない分、運航コストは2割程度安くなる。ただ、氷が厚くなる冬季は運航が難しくなる。
中国の海運大手が今月から大連港(遼寧省)とオランダのロッテルダムを結ぶ初の商業船を運航するなど、北極海の商業利用への関心は世界的に高まっている。日本政府も4月に閣議決定した海洋基本計画に北極海航路の確保へ戦略的な取り組みを進めると明記した。
ナフサはプラスチックや合成繊維などほぼすべての石油化学製品の原料になる主要製品。東アジアでは中東からの輸入が中心だったが、近年は景気低迷が続く欧州から流入したナフサが存在感を増している。欧州連合(EU)から日本へのナフサの輸入量は1~6月に計31万トンと前年同期から2割増えた。
ただこれまでは南回り航路で40日間かかるため、欧州を出航する時点でアジアでの需給見通しを読み誤る場合もあった。今後はアジアのナフサ価格が割高になった際などに、北海油田の原油を使った北欧産ナフサを機動的に調達できる。
国土交通省の試算によると、北極海航路が有利なのはロシアの港湾都市ムルマンスクから横浜港まで北極海を通って大型タンカーを運航した場合などで、運航コストは南回り航路と比べて4割削減できる。
エジプトなど中東情勢の政治的な緊迫が相次ぎ、ナフサを含めた資源を分散調達する必要性も指摘されている。北極海航路の活用はナフサのほかにも液化天然ガス(LNG)などが検討されている。
中国が北極海を商業利用 大連、ハブ港めざす (画像引用)
欧州への航行、2週間短縮
2013/8/13付
http://www.nikkei.com/article/DGXDASGM1203B_T10C13A8EB1000/
【大連=森安健】中国がロシア沖の北極海経由で欧州に向かう「北東航路」の商業利用に乗り出した。国有の海運大手、中国遠洋運輸集団(コスコ・グループ)の貨物船が中国の商船としては初めて、大連港(遼寧省)からオランダのロッテルダム港に向かった。従来のスエズ運河を経由する航路と比べ約2週間早く欧州に到着できるため、海上貨物輸送の流れが変わる可能性もある。
コスコ傘下の中遠航運(広東省)の多目的船「永盛」(1万9461トン、全長155メートル)は8日、大連港を出港した。積載貨物の内訳は公表していないが、海運関係者によると天候や波の影響を受けにくい鋼材とみられる。8月下旬にベーリング海峡を通過、ロシア沖の海域を経て9月11日にロッテルダム港に到着する計画だ。
北極海の氷は夏場の気温上昇で徐々に薄くなり、海氷面積は例年9月に最も小さくなる。北東航路は7月末から約4カ月しか利用できないが、燃費・人件費の削減に加え、インド洋やマラッカ海峡に多い海賊のリスクも回避できるため、世界の海運会社が注目している。2020年には中国のコンテナ輸送の15%近くが北極海を通るという試算もある。
自国の領海を活用できるロシアは、すでに試験的な商業利用を開始し、主に資源燃料を輸送している。日本もコンテナ輸送などの活用を探る考えだが、「ロシアへの事前申告の必要性など情報を収集している段階」(日本政府関係者)。まだ調査船や商業船は派遣していない。
北極海に向かう貨物は、拠点港で寒冷地を航行可能な「アイスクラス」と呼ばれる特別仕様の船に積み替える必要がある。大連港は航行の実績を重ね、ハブ港になることをめざす。
北海道の苫小牧港や韓国の釜山港も同様の考えを持っており、北東アジアの物流拠点を巡る争いが激しさを増しそうだ。
一方、地球温暖化により北極圏の永久凍土が融解して大量のメタンガスが大気中に放出され、世界の気候や経済に悪影響を及ぼすとの研究もある。このため、北極圏の大規模な開発には慎重論も出ている。
「羅津・羅先・北極」記事集 ― 2013/03/26 08:15
<「羅津・羅先・北極」記事集>
「賢人の目」毎日新聞専門編集委員 金子秀敏/北極海・日本海航路
2013/01/14 ガスエネルギー新聞
お正月の新聞はシェールガスやシェールオイルの話題で持ちきりだった。本紙の読者は大手メディアの認識が遅れていると思われたことだろう。
こと国際問題になると日本のメディアの感度は鈍い。日本のメディアの海外取材網が弱く、情報を欧米通信社電に頼っているからだ。
日本のメディアに限った話ではない。ロシアのプーチン大統領がシェール革命に気付いたのもつい1~2年前だという。それまで国営ガス企業のガスプロムは、シェール革命などは米国の陰謀情報にすぎないという報告を上げていた。ガスプロムも欧米の大手メディア情報を信じていた。欧米メディアは石油メジャーの発信する情報を信じていたので、メジャーとは別筋のシェール革命の情報が欠落していた。しかし、情報機関出身のプーチン大統領は、ガスプロムの報告に疑問を持ち独自に調べさせたのだそうだ。
プーチン大統領が熱心な北極海航路の話も、日本のメディアはあまり関心を持っていない。1月5日の『日経新聞』は「北極海航路 貨物5割増。昨年、中韓の輸出入で利用多く」という記事を載せた。
北極海航路とは、ロシア北方の北極海沿岸を東西に横断し、アジアと欧州を結ぶ海運ルートだ。インド洋を渡る南回りにくらべて距離が大幅に縮まる。地球温暖化で夏場の海氷が減り各国が関心を高めている。
記事によると、2012年には延べ34隻の貨物船が北極海を横断した。前年より8隻増え、貨物の量も増えた。ほとんどが中国向けと韓国向けだった。韓国向けは燃料エネルギー、中国からは欧州向けの肥料なども運んでいる。
韓国の造船業界が氷海航行に対応するタンカー建造に着手したという話を聞いたのは昨年だった。中国人企業家がアイスランドで土地買収をして騒ぎになったのは2年前だ。これで、中国が北極海に強い戦略的関心を持っていることが明らかになった。
日本はどうだろうか。昨年12月、ノルウェーから北九州までLNGを初めて運んでいるが、日本船ではなく、ロシアがチャーターしたギリシャ船だった。日本では北極海航路の現実性を信じる人は少ない。
北極海航路が開けるということは、東アジアにおいては日本海が重要な国際シーレーンになるということだ。中国にとっては一大事だ。上海や青島から出た中国船は対馬海峡を北上し、日本海を通って宗谷海峡、ベーリング海峡を抜けて欧州へ向かう。日本海に面した北朝鮮の羅先港を中国が租借したのは、まさに北極海航路のためだろう。
ロシアにとっては、北極海航路はシベリア開発の成否に直結する。そういう観点から北方四島問題を見直すとどうなるか。北極海航路のアジア側の入り口である宗谷海峡付近に、日露の領土紛争があるということだ。ロシア側に初めて日露の領土問題を解決したいという動機ができたはずだ。
北極海航路に関心の薄い日本側も,早く気付いた方がいいのではないか。
北極航路進出“韓日中三国志”…韓国は今年試験運航(1)
2013/01/08 中央日報(中央SUNDAY)
昨年7月末。積載重量7万4000トンのフィンランド国籍のタンカー「ステナポセイドン」がジェット燃料7万トンを積んで全羅南道麗水港を出港した。ロシア・ムルマンスク港で石油・ガス会社「ノバテック」のガスコンデンセート(軽質原油の一種)を積み、北極航路で大山港に運んだ後だった。船は北極航路でフィンランドに到着した。中間寄着なく北極航路を航海した最初の船だった。9月にもノバテックのガスコンテナーを積んだマリカ号とパルバ号がそれぞれ仁川・大山(忠南)で荷下ろしした後、それぞれジェット燃料6万、7万トンを積んでフィンランドに向けて出発した。マリカ号は今年、北極航路を航海した最大の船だ。
この航海の意味は大きかった。国土海洋部のキム・ソンホ担当は「今は北極航路は貨物が少なく、船が荷下ろしした後、空の状態で戻らなければならないが、この航海で経済性を確保できるということが証明された」と述べた。
北極航路はスエズ運河を通過する南方航路に比べて運送距離を40%ほど減らせ、経済性があるが、往復ではなく片道運賃だけを受ける場合、経済性は大きく落ちる。ノバテックは昨年、韓国に7回、ガスコンデンセートを輸出し、うち3回はジェット燃料を積んで戻った。
モスクワの「北東航路利用・調整非営利組合」のウラジミール,・ミハイルロビッチ会長は「2011年にも北極航路を通じて韓ロ間を船が8回行き来したが、うち5回はロシアの輸出、3回は輸入だった」とし「中国も8回取引したが、韓国の例のような往復運送はなかった。韓国物流市場の潜在力が大きい」と述べた。
ロシアが主導した10回の航海のため、すでに北極航路は韓国に近い存在になっている。今年は韓国も初の試験運航で北極航路開拓に乗り出す。キム担当は「韓国政府は昨年、商業用試験運航をしようとしたが、景気が悪くて延期した。現在、製油会社を相手に国内船舶会社のアイスクラス級船舶を利用した試験運航について話し合っている。時期・品目はまだ未定」と説明した。しかし赤字に苦しむ海運会社はまだ北極航路に大きな関心を見せていない。
しかし造船業界は違う。世界ガス・石油埋蔵量の4分の1を占める北極圏の開発とともに、北極航路が特需をもたらすと期待している。砕氷船は1隻に1億ー2億ドルにのぼる。大宇造船海洋の高載浩(コ・ジェホ)社長は「海底油田の開発とともに北極が造船産業の新たな原動力になるだろう」とし「昨年下半期から深海底開発のためのドリルシップなど海洋構造物と砕氷船の受注に力を注いでいる」と述べた。
STX造船海洋子会社のSTX欧州は、極地運航用の船舶建造の筆頭企業だ。現代重工業も世界最大規模の19万トン級砕氷商船を開発した。サムスン重工業も世界で初めて極地運航用の両方向砕氷タンカーを建造し、極地用特殊船舶市場に進出した。
中国の北極航路進出は官主導で進行中だ。昨年7、8月、119人の研究者を乗せた砕氷船「雪龍」を投入して試験航海を終えた中国は、また13億元(約190億円)を投入し、大型砕氷船を追加で建造する。フィンランド企業と共同で中国で建造中のこの砕氷船は全長120メートル、幅22.3メートルで、来年就航する。
これに関し、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が昨年11月に発表した「中国の北極海野望」という総合報告書は、「北極航路が本格化すれば、中国は北朝鮮から賃貸した羅津港を北極航路のハブとする」と予想した。また「中国の学者は北極航路が豆満江流域に大きな利益をもたらすと期待している」と評価した。
中国は「長春ー吉林-図門」をつなぐ「長吉図」先導区発展事業と琿春辺境経済合作区プロジェクトを進行しているが、羅津はこの地域の対外出口だ。 (中央SUNDAY304号)
中国、商業利用前倒し、今夏にも、海運大手が準備、北朝鮮の港、活用構想も。
2013/01/05 日本経済新聞 朝刊 6ページ
【北京=森安健】中国は今夏から北極海を航路として商業利用する方向で準備を始めた。商業利用は早くても数年先とみられていたが、予想以上に夏場の海氷が縮小していることを踏まえ前倒しする。日本海に面した北朝鮮の港を北極海への玄関口とする構想も浮上している。
中国は昨年、指導部が北極圏諸国を訪問し関係を強化。国家海洋局の砕氷船「雪竜」は昨年7~9月にロシア沿岸の「北東航路」を初めて横断し、夏場の海氷の状況を調査。さらに外国の商船会社の貨物船を利用した試験運航もしてきた。
こうした動きを受け、国有の海運最大手、中国遠洋運輸集団(コスコ・グループ)が昨年秋から本格的な北極海利用に関する調査に着手した。
今春にはアイスランドのシグルザルドッティル首相が訪中を予定している。在北京の同国大使館幹部は「中国による北極海商業利用が主要議題になる」と語る。
北極問題に詳しい欧州のシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の最新報告書によると、中国の識者らは北朝鮮北部の羅津港を将来的に北極方面への積み出し港とすることを提案し始めた。羅津は中国国境から近く、日本海に自前の港を持たない中国は以前から注目。既に中国と結ぶ道路の整備などに乗り出している。
【図・写真】中国の砕氷船「雪竜」は昨年、北極海を通ってアイスランドまで初往復した(アークティックポータル提供)
★ニュースフラッシュ★ ■「中国、北極に野心」
2012/11/28 岩手日報朝刊 5ページ
【ロンドン共同】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は27日、北極圏のエネルギーや鉱物資源をめぐり、中国があえて控えめな姿勢を取って虎視眈々(たんたん)と権益の獲得を狙っていると分析した報告書を発表した。
報告書は「中国の北極での野心」とのタイトルで、中国が北極圏に接するスウェーデンなどと外交関係を強めているほか、中国企業がアイスランドなどで開発事業に乗り出していることを指摘。
氷の減少で本格的な活用が見込まれる北極圏航路へのアクセス確保も求めており、中国の海運会社がリース契約を結んでいる北朝鮮・羅先の港が北極圏航海の拠点になるとの観測も紹介した。
中国軍艦寄港を想定の可能性 金田秀昭氏
2011/01/16 05:35 日本経済新聞電子版ニュース
金田秀昭・岡崎研究所理事(安全保障・元海将) 中国は自国艦船の利用をも念頭に、インド洋に面した各国で港湾建設など「真珠の首飾り」と呼ばれる海洋戦略を進めている。今回の羅先の拠点化もその延長線と見るべきだろう。マラッカ海峡に依存するリスクを少しでも分散するために、欧州から北極海を経てベーリング海を通り日本海へ抜けるルートを開拓しようとしている。
北朝鮮で石油などの資源や物資を荷揚げし、中国へ運搬するためにも、羅先は将来、要所の一つになり得る。羅津港は伝えられる港湾の規模などからみて、単なる商業港のみならず、軍艦の寄港も想定されている可能性もある。
日本海は今後、安全保障を含めた国際的な海上交通路の要衝としての意味あいが高まるだろう。日本政府は、中国の動きを注意深く観察するとともに、その意図が何であるかを絶えず確認していく必要がある。
北朝鮮特区に軍駐留か、中国、日本海に拠点、北東アジア安保に影響も。
2011/01/16 日本経済新聞 朝刊 5ページ
港湾、商業利用始める
【北京=佐藤賢】中国が北朝鮮を介して日本海に進出する動きを本格化し始めた。韓国紙、朝鮮日報によると、中国軍は北朝鮮の経済特区で日本海に面する羅先(ラソン)市に進駐した。中国が同市にある港湾の商業利用を開始したことも明らかになった。日本海に出口を得た中国の存在感が高まるのは確実で、北東アジアの安全保障面にも影響を与えそうだ。
中国軍の駐留は中国が投資した港湾施設の警備や在留中国人の保護が目的。ただ、朝鮮半島の有事の際には、在留中国人の保護を目的に機動的に介入する先遣隊の役割を果たす可能性がある。
部隊の規模は不明。これに関連して消息筋の話として、昨年12月15日ごろ、約50台の中国製の装甲車と戦車が中国側から羅先に近い北朝鮮の咸鏡北道会寧に入ったのが目撃されたと伝えた。
中国軍の北朝鮮への駐留は1994年12月に板門店の軍事停戦委員会から撤退して以来17年ぶりという。青瓦台(韓国大統領府)関係者などの話として伝えたものだが、韓国政府は公式にはコメントしていない。
北朝鮮は昨年1月に羅先市を「特別市」に指定。進出を決めた中国は物流拠点と位置付け、同市にある羅津港を10年間使用する権利を獲得した。将来的に同港を海軍基地として利用したいとの思惑もちらつく。
一方、中国・吉林省琿春市の当局者は日本経済新聞に対し、羅津港から中国産の石炭を出荷したことを明らかにした。昨年12月に約2万トンが陸路で北朝鮮入りし、羅津港で荷積みされた貨物船が今月14日に上海に到着したという。
羅津港の利用は初めてで、日本海を経由した輸送ルートが始動する。今回は試運転と位置付けており、輸送体制を点検した後、本格運用する。
中国東北部の吉林省や黒竜江省は海に面しておらず、食料などの積み出し港は遼寧省の大連を利用してきた。琿春市と羅先市は昨年、中朝国境を流れる豆満江(中国名・図們江)にかかる橋を改修し、羅津港へ通じる道路整備も進めている。当面は中国国内向け輸送を中心とする見通しだが、日本や韓国向けへの輸送も視野に入れ、出荷能力の拡大を狙う。
識者コメント
中国軍艦寄港
想定の可能性
金田秀昭・岡崎研究所理事(安全保障・元海将) 中国は自国艦船の利用をも念頭に、インド洋に面した各国で港湾建設など「真珠の首飾り」と呼ばれる海洋戦略を進めている。今回の羅先の拠点化もその延長線と見るべきだろう。マラッカ海峡に依存するリスクを少しでも分散するために、欧州から北極海を経てベーリング海を通り日本海へ抜けるルートを開拓しようとしている。
北朝鮮で石油などの資源や物資を荷揚げし、中国へ運搬するためにも、羅先は将来、要所の一つになり得る。羅津港は伝えられる港湾の規模などからみて、単なる商業港のみならず、軍艦の寄港も想定されている可能性もある。
日本海は今後、安全保障を含めた国際的な海上交通路の要衝としての意味あいが高まるだろう。日本政府は、中国の動きを注意深く観察するとともに、その意図が何であるかを絶えず確認していく必要がある。
▼羅津港 日本海に面した北朝鮮羅先市の港。3つの埠頭がある。第1埠頭は中国の民間企業、大連創力集団が昨年、10年間の使用権を獲得し、2600万元(約3億4000万円)を投じてインフラ整備を進めてきた。中国吉林省琿春市までの距離は約50キロ。鉄道でロシアとの国境を越え、シベリア鉄道を利用して欧州に物資を輸送するルートもある。戦前、大陸への輸送拠点として注目され関東軍参謀の石原莞爾が開発を唱えた。
【図・写真】北朝鮮も羅先市を物流拠点として重要視(09年に訪問した金総書記、朝鮮通信提供)=ロイター
CHINA’S ARCTIC ASPIRATIONS
linda jakobson and jingchao peng
Chinese scholars presumably view Rajin as a potential Arctic hub.
http://books.sipri.org/files/PP/SIPRIPP34.pdf
「北極海航路」睨んだ中露の羅津港争奪戦激化
「新たなチョークポント=北方領土周辺」確保に動くロシア太平洋艦隊
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/09/10/6096979
「北極海航路」発展へプーチン首相が大号令
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/09/24/6111454
北極めぐる日中韓の攻防、我先中国アイスランド土地購入で暗礁に ― 2011/11/28 07:34

<関連記事引用>
▼天然ガスなどが豊富な北極圏ではすでに各国が先陣争いを繰り広げています。
=画像引用
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00212112.html
北極海の資源獲得競争が加速しています。
天然ガスなどが豊富な北極圏では、すでに各国が先陣争いを繰り広げています。
熱視線を注ぐ日本の現場を取材してきました。
今、日本の熱い期待が、はるか1万km余りかなたの北極海へと注がれている。
1カ月近くにわたった「北極海航路」。
その航行中、船員が「プロフェッサーマルチャノフ号だ。船名ですよ」と話した。
波間に浮かぶ船は、北極海で活動するロシアの海洋調査船だという。
現在、北極海は世界から注目されている。
北極海には海底油田の油井が建設されており、世界でこれから見つかる石油の13%がこの地域にあるという。
ロシア北方・極東委員会のイーゴリ・チェルニチェンコ下院議員は「石油や天然ガスコンデンセート(軽質液状炭化水素)。これらはヨーロッパや南アジアでも必要とされます」と話した。
さらに、今、石油以上に注目されているのは天然ガス。
その埋蔵量の30%が、この北極圏にあるともいわれている。
そして天然ガスは、石炭や石油に比べ、二酸化炭素の排出量が少ないため、世界的に消費量が伸びている。
ロシア北方・極東委員会のイーゴリ・チェルニチェンコ下院議員は「ことしだけでも中国から天然ガスコンデンセート、鉄鉱石、その他さまざまな貨物輸送について(北極海航路へ)10便以上申し込みがありました」と話した。
今後は中国の天然ガス需要も急増するとみられ、さらに世界的な争奪戦は激しさを増すとされている。
ダニルキン号のイゴーロフ・ビャチェスラフ船長は「北極海航路はこれから発展していきますよ」と話した。
夏場は氷の少ない北極海航路。
だがロシアは、氷が増えても航行可能なように、砕氷船も新たに建造し、航行期間の拡充を目指すという。
氷の海から生み出されようとするばく大な資源。
そこで必要になるのは、極北の海にも耐えられる船となる。
新たなビジネスチャンスを狙う日本の造船メーカーは、胸を膨らませていた。
ユニバーサル造船氷海研究室の山内 豊室長は「北極海にはすごい資源が、自然の資源が眠っておりますから、日本もやはりそのプロジェクトに参画するとか、そういうことは当然、今後も進んでいくんじゃないかと思ってます。あと、そこに投入される船ですね」と話した。
取材した際、くしくも造られていたのは、海底油田建設に使われる作業船。
北極海仕様ではなかった。
ユニバーサル造船氷海研究室の山内室長は「(砕氷船になると形が変わるんですか?)砕氷船は氷を割るために、この船のへさきの形がずっと傾斜していまして」と話した。
砕氷船が航行するメカニズムをとらえた映像がある。
縮小モデルによる実験映像で、砕氷船のへさきがどのように氷を割り、進むのかがわかる。
神奈川・横浜市鶴見区のユニバーサル造船では、これまでも南極観測用の大型砕氷船を複数建造。
外国に比べ、砕氷船建造の歴史は浅いが、その技術レベルは高いと胸を張る。
ユニバーサル造船氷海研究室の山内室長は「(その砕氷船をここでも造ってというオファーがあったら、どうですか?)それはもう、私どもも、もしそういった機会がありましたら、それはチャンスですから、ぜひともですね、つなげられるように」と話した。
北極海の資源と、それを運ぶ航路。
日本も厳しい極北の海に、熱い視線を注いでいる。
▼いざ、北へ!中国企業の鉱物資源開発、次なるターゲットは北極圏―中国誌
2011年11月22日 6時36分
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=56239&type=1
2011年11月20日、中国誌・新世紀は、北極圏・グリーンランドが中国企業の次なる鉱物資源開発の目的地だと報じた。
記事によると、デンマークからの独立を求める声が多く上がっているグリーンランドでは、まずは島内経済の活性化が必須と考えられており、自治政府は中国資本の進出を非常に歓迎している。天津で閉幕したばかりの「中国国際鉱業大会2011」にもグリーンランドの鉱物・石油資源局の担当者が出席し、投資説明会を開いて多くの中国人投資家の関心を集めていた。
世界最大の島・グリーンランドには石油、鉄、鉛、亜鉛、レアアースが豊富に眠っているとされており、これに急速な工業化と経済発展により鉱物資源の需要が急増している中国が目を付けた。すでに世界中に鉱山投資企業が続々と進出し、大規模な買収を続けている中国だが、記事は次なる目的地はグリーンランドだと指摘している。(翻訳・編集/NN)
▼アイスランド、中国富豪の土地購入「No」
2011.11.27 08:29
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111127/chn11112708300001-n1.htm
中国の不動産企業がアイスランドで広大な土地を買い上げようとした問題で、アイスランド政府は25日、法的要件を満たしていないなどとして、購入を許可しないことを決めた。計画をめぐっては中国の政治・軍事的意図を指摘する声が出ていた。(SANKEI EXPRESS)
面積は東京23区の半分
問題の土地はアイスランド北東部グリムスタジールの荒野。アイスランドの国土の0.3%に当たる約300平方キロ。東京23区の半分近い広さだ。
中国の富豪、黄(こう)怒(ど)波(は)会長(55)率いる「中坤(ちゅうこん)集団」が1000万ドル(約7億7000万円)で購入し、さらに2億ドル(約155億円)を投じてリゾート開発を進めるとする計画を発表。所有者も売却に同意していた。黄氏はブルームバーグに対して「金融危機がなければ所有者は手放さなかっただろう。今後5年間でデンマークやフィンランド、スウェーデンなどでもリゾート施設を建設したい」と怪気炎を上げていた。
「背後に中国政府」の声
だがアイスランドのオグムンドゥル・ヨーナスソン内相は「外国企業によるこれだけ広い土地の取得は前例がなく、土地売買に関する法律の趣旨に反する」として不許可を決めた。
黄氏はホテルやゴルフ場などにすると説明していたが、この土地は荒れ地で、冬は氷点下30度以下になる地域にあり、意図をいぶかる声が出ていた。
黄氏は旧建設省など中国政府での勤務経験があり、「バックに中国政府がいるのではないか」との推測がある。
地球温暖化が進めば北極海回りでアジアと欧州を結ぶ航路が開けるとされており、空母建造を進める中国が大西洋での戦略的な足掛かりや北極圏の資源を狙っているのではないかというわけだ。
連立政権内で対立
ただ、2008年に経済危機に陥り、傷が癒えていないアイスランドにとって、巨額の投資話が「渡りに船」だったことは事実。国内には土地購入不許可に異論が噴出している。
フランス通信(AFP)によると、ヨハンナ・シグルザルドッティル首相は「内相の決定に失望した」とした上で「法律を非常に狭く解釈している」と批判した。しかし、この問題の権限は内相にあり、ヨーナスソン内相は「これが最終決定で、覆すことはできない」ときっぱり話す。
シグルザルドッティル首相は社会民主同盟、ヨーナスソン内相は左翼環境運動という政党に属している。
中国国営通信、新華社は26日、「アイスランドへの投資が頓挫 黄氏、公平な国際投資環境主張」と題した記事を配信。「連立政権内の争いが購入不許可の原因だ」とする黄氏のコメントを伝えた。まだ第2幕がありそうだ。
▼韓国首相 北極海開発を強調=「新たな国益の源泉」
2011/11/24 17:26 KST
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2011/11/24/0200000000AJP20111124003000882.HTML
【ソウル聯合ニュース】金滉植(キム・ファンシク)首相は24日、韓国のエネルギー資源はほとんど輸入に依存しているとし、「地理的にも韓国と遠くない北極海の領有権を確保し、エネルギー資源を開発できれば、国益を生み出す新たな源泉になる」と力説した。
韓国先進化フォーラムと韓国海洋水産開発院が「未来の国富創出に向けた北極海戦略」をテーマに、ソウル市内のホテルで開催した特別討論会で述べた。
北極海は物流の側面でも非常に重要な戦略的意味を持つと指摘。北極海の解氷で新航路が開設されれば、スエズ運河の代わりに北極航路を利用できると説明した。
新航路は時間や距離の側面での効率性はもちろん、世界物流の軸を韓国をはじめとする北東アジアに移せる重要かつ大きなチャンスになることから非常に大きな意味があると強調した。
<関連記事>
中国人投資家の土地買収拒否 アイスランド当局
北極圏の権益を狙う中国当局の意向が背景にあるとの見方が出ていた
http://www.asahi.com/international/update/1126/TKY201111260367.html
北極海の氷が「前例のない」割合で縮小、気候変動が原因か-研究
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=ayrCe4_jihR8
Record long Arctic navigation season
2011-11-18
When the oil-tanker “Perseverance” sailed through the Bering Strait this morning it marked the end of the longest Northern Sea Route season ever.
http://www.barentsobserver.com/record-long-arctic-navigation-season.4986789-116320.html
遅ればせながら、いざ北極へ - 「日の丸」油田の夢再び ― 2011/10/20 06:31
<関連記事引用(画像)>
北極圏油田開発に日本入札へ 官民あげ出資会社設立
http://www.asahi.com/business/update/1019/TKY201110190712.html
北極圏で繰り広げられる国際的な石油獲得競争に、日本勢が乗り出す。グリーンランド(デンマーク領)沖の海底油田の開発に向け、官民の出資会社が、油田を掘る企業を決める来年の入札に参加する。「日の丸」石油の確保に期待が高まる。
油田はグリーンランド北東部沖にある。開発が成功すれば、世界最北の油田になる。水深100~500メートルの大陸棚にあり、面積は約5万平方キロに及ぶ。グリーンランド自治政府はこの海域のうち、入札対象の鉱区(3万平方キロ分)を来年初めに発表、その後に入札を実施する。
日本から参加するのは、独立行政法人「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」(旧石油開発公団)、国際石油開発帝石、出光興産、住友商事などが出資し設立した「グリーンランド石油開発」。審査のうえ、来年12月中旬以降に入札結果が出る。落札企業は、約76%の権益を得て、採掘が順調にいけば、10年後の生産を目指す計画だ。
米国地質調査所(USGS)によると、グリーンランド北部と東部の沖合に埋蔵されている石油は推定102億バレルで、世界有数の産油国メキシコの埋蔵量に迫る。周辺には豊富な天然ガスの埋蔵も確認されている。グリーンランド沖では1989年から機構が、シェル社など欧米メジャー6社と共同で、海底の地質を調査してきた。そのため、日本勢も自治政府から優先入札への参加権を得ていた。
USGSによると、北緯66度以北の北極圏には推定900億バレルの石油が埋まる。最近は、地球温暖化による海氷の減少で新たな航路が生まれ、技術の進歩もあって、北極圏開発の可能性が広がる。ロシアやカナダなどの探査が活発で、供給源を分散させたい日本も争奪戦に加わる。
関係者によると、開発リスクを減らすため、欧米メジャーと手を組んで入札に参加することも視野に入れている。(古谷祐伸、小暮哲夫)
◇
〈日本の石油開発〉第2次世界大戦前は国内の油田も稼働していたが、戦後は経済成長による石油の需要増とともに、海外での開発の動きが強まった。1960年にアラビア石油(東京)が発見した、サウジアラビアとクウェートにまたがるカフジ油田は、同社が03年まで権益を持ち続けた。
67年には自主開発を進めるため、国策として事業に出資する石油開発公団(現在の「石油天然ガス・金属鉱物資源機構」)が設立された。今はロシア極東部のサハリン沖やインドネシア沖など、世界各地で日本企業が開発に参加している。
失敗例もある。政府出資の国際石油開発帝石は昨年、イランで権益を確保したアザデガン油田開発で、イランと敵対する米国からの圧力が強まり、撤退に追い込まれた。
ロシア南下、いざ日本海へ:ロシア鉄道副社長「羅津(ラジン)港は、アジア太平洋地域の新たな中心となるだろう」 ― 2011/10/14 06:47

<関連記事引用>
▼ロシア・北朝鮮 鉄道改修終了
10月14日 6時1分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111014/t10013252251000.html
北朝鮮・北東部の港と、国境を越えてロシア極東を結ぶ鉄道の改修工事が終了し、13日、これを記念する式典がロ朝両国の鉄道関係者らが出席して、北朝鮮側の駅で行われました。
国営のロシア鉄道は、極東のハサンと北朝鮮・北東部のラジン港を結ぶ全長54キロの鉄道の改修工事を終え、国境に近い北朝鮮側のトゥマンガン駅で、13日、両国の鉄道関係者らおよそ500人が出席して記念式典が開かれました。
このなかで、ロシア鉄道のレシェトニコフ副総裁は「ラジン港は、ヨーロッパとアジアを結ぶ長さ1万キロの鉄道につながり、アジア太平洋地域の新たな中心となるだろう」と述べ、シベリア鉄道を軸とする貨物輸送でラジン港を積極的に利用する方針を示しました。
ロシア鉄道は、ロ朝両国の合意に基づいて日本円で200億円余りを投資して、鉄道改修のほか、ラジン港で大型の貨物船が接岸できるふ頭の建設も進めています。
ロシアは、来年、極東のウラジオストクで、初めてAPEC=アジア太平洋経済協力会議のサミットを開催するなど、経済成長著しいアジア諸国との関係を強化しており、北朝鮮との協力を進めることで、存在感を高めるねらいがあるものとみられます。
▼ロ朝結ぶ鉄道で初試験運行 補修完了、記念式典開く (画像引用)
2011.10.13 21:05
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111013/kor11101321070002-n1.htm
ロシア極東沿海地方のハサン駅と北朝鮮の羅津港を結ぶ鉄道(全長約55キロ)の補修工事完了に伴う初の貨物列車の試験運行が12~13日にかけて行われ、ロ朝国境の北朝鮮側の羅先市・豆満江駅地区で13日、記念式典が行われた。
式典にはロシア鉄道のレシェトニコフ上級副社長、北朝鮮の鉄道省幹部らが出席。ロシア側は来年夏からこの区間を利用した石炭輸送などの商業運行開始を予定している。
両国は今年8月に9年ぶりの首脳会談を行って以降、外交、軍事、ガスパイプライン敷設計画などの分野で交渉を活発化。さらに双方を結ぶ鉄道網の強化により、ロシアは欧州と北東アジアを結ぶシベリア鉄道の物流ルート活性化、北朝鮮は羅津港がある同国の経済特区・羅先市の開発につなげる狙いがある。(共同)
▼北朝鮮への鉄道、来夏稼働 ロシア
2011/10/13 21:44 (2011/10/13 23:29更新)
http://s.nikkei.com/p6dH5y
【モスクワ=石川陽平】北朝鮮発のタス通信によると、国営ロシア鉄道のレシェトニコフ上級副社長は13日、ロ朝境界沿いにあるハサンと北朝鮮北東部の羅津港との間で改修工事を進める鉄道について、2012年夏に商業運行を始めることを明らかにした。距離は54キロメートルで09年に鉄道の改修事業に着手。羅津港のターミナル整備も含め改修費用は83億ルーブル(約200億円)で、工事完了は13年を予定する。稼働すればシベリア鉄道ともつながり、ロシアの石炭をアジア太平洋地域に輸出できる。ロシアは鉄道連結を通じて北朝鮮の経済開発を支援し、朝鮮半島への影響力も確保する狙いがあるとみられる。
▼露朝鉄道が試験運転、全面開通は来年に
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20111013-OYT1T01292.htm
【モスクワ=貞広貴志】2008年から行われていたロシア極東のハサンと北朝鮮の羅津(ラジン)を結ぶ鉄道(全長54キロ・メートル)改修の一期工事が完了し、試験運行が13日行われた。
露朝それぞれの規格である広軌、標準軌の複合路線として開通したのは、ハサンから北朝鮮側の国境・豆満江(トゥマンガン)までの約32キロ・メートルで、残る20キロ・メートル余は来年半ばに完成の見込み。
タス通信によると、北朝鮮側の国境、豆満江駅で行われた記念式典では、国有ロシア鉄道のワレリー・レシェトニコフ副社長が、露朝間の鉄路改修を「北東アジアとロシアをつなぐ新たな物流ルート構築」の第一歩だと語った。
ロシアは、今年8月の露朝首脳会談以降、北朝鮮との関係強化を図っており、羅津港のコンテナ施設建設なども支援している。将来的には、朝鮮半島縦断鉄道とシベリア鉄道を直結させる構想だ。
▼ロシア:北朝鮮に関与じわり 特別列車を試験運行 半島統一を想定か
http://mainichi.jp/select/world/news/20111014ddm007030188000c.html
ロシア極東沿海地方のハサン駅と北朝鮮羅先(ラソン)市の羅津(ラジン)港を結ぶ鉄道(全長約55キロ)の補修工事が完了し、12~13日に特別列車の試験運行が実施された。露朝両国は首脳会談以後、外交や軍事分野などで結びつきを強めている。ロシア側は朝鮮半島情勢に関与する姿勢を示しており、今回の鉄道整備を「積極政策の第一歩」(在モスクワ外交関係者)と位置づけているようだ。【モスクワ大前仁、北京・米村耕一】
国営ロシア鉄道などによると、特別列車は12日夜に沿海地方ウラジオストクを出発し、ハサンを経由して国境を越え、13日朝に羅先市の豆満江(トゥマンガン)駅に到着した。駅付近の「露朝友好の家」前で記念式典を開き、ロシア鉄道のレシェトニコフ副社長や北朝鮮のチュ・ジェドク鉄道次官らが出席。副社長は「路線の第1期工事を無事に終えた」と述べた。
ロシア鉄道は今後、残された路線整備と羅先にある羅津港の施設工事を進めて、来夏までに貨物輸送を始める方針。露朝両国は01年の首脳会談で、ロシア極東と北朝鮮を結ぶ鉄道建設で基本合意し、08年に補修工事を始めた。
北朝鮮には羅津港を鉄道や道路網でロシア、中国と直結させ、物流の拠点として発展させたいという思惑がある。羅津港の三つの波止場のうち一つは、すでにロシア側が使用権を持っており、韓国の聯合ニュースは11日、「(波止場の)補修工事はすでに始まった」と伝えている。
ただ、8月下旬に現地を訪れたロイター通信の記者は、15基のクレーンが全く稼働していない港の様子などを報じており、ロシアとの鉄道補修が完成しても、北朝鮮の思惑どおりに物流拠点としてフル稼働するまでには相当の時間がかかりそうだ。
ロシアのメドベージェフ大統領と北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記は8月下旬の首脳会談で、ロシアと朝鮮半島を結ぶ天然ガスパイプラインの建設で基本合意した。さらにロシアは北朝鮮が抱える債務約110億ドル(約8460億円)のうち9割を放棄する方針を固めたとの報道もある。
ロシアは朝鮮半島統一のシナリオを念頭に積極関与する政策を進めている模様だ。ロシア科学アカデミー極東研究所のジュビン朝鮮研究センター所長は、朝鮮半島を鉄道が縦断することで南北間の接触が促進される可能性を念頭に「北朝鮮と韓国の信頼醸成につながる政治的な効果を持つ」と鉄道路線整備の意義を解説する。
<関連動画>
ロシアと北朝鮮を結ぶ鉄道開通 物流活性化が狙い
http://www.youtube.com/watch?v=RFg2BGxNYYc
バック・トゥ・ザ・USSR : 冷凍ビーム片手に「ユーラシア連合」でグローバル・プレーヤー復活目指すプーチン ― 2011/10/06 07:59
海外メディアも日本メディアもウクライナに注目。確かにそこは欧州連合(European Union)とユーラシア連合(Eurasian Union)、さらに台頭する中国が交わるところ。三つ巴の戦いが繰り広げられることになるのか。
ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学上の悲劇」と公言するプーチン。北極を取り込んで新たな地政学時代を切り開こうとする野望も。北極に埋もれた資源、さらには北極海航路こそがアジア太平洋と欧州を結びつける鍵になると見ている。
しかし、それもお天気まかせ。天を味方につけることができれば、プーチンにも勝機ありか。
<関連記事引用>
▼ロシア・プーチン氏、旧ソ連圏「EU型で地域統合」
2011/10/6 1:15
http://s.nikkei.com/o1Vf8O
【モスクワ=石川陽平】2012年の大統領復帰が確実なロシアのプーチン首相が、次期政権の外交政策の目玉として旧ソ連圏で欧州連合(EU)型の地域統合を進める方針を打ち出した。4日付のロシア紙への寄稿で、旧ソ連諸国と経済を軸にした「ユーラシア同盟」を形成することを提唱した。地域統合をテコに経済面での国益を最重視した外交を欧州やアジアで展開する考えで、日本の対ロ外交も対応を迫られそうだ。
ロシアでは外交は大統領が統括する。9月24日の与党の党大会で来年5月に大統領に復帰する意向を示したプーチン首相が、どんな外交方針を掲げるかが注目されていた。4日付の寄稿「ユーラシアのための新たな統合プロジェクト――きょう生まれる未来」は、復帰をにらんだ初の本格的な方針表明となった。
その核となるユーラシア同盟について、首相のペスコフ報道官は5日付の有力紙コメルサントで、「目指すべきモデルで最も近いのはEUだ」と指摘。「ユーロ」のような統一通貨の導入や中央銀行の設立を念頭に置く一方、参加国は「政治的な主権を保持しなければならない」と述べた。
ユーラシア同盟はロシアが10年7月にカザフスタン、ベラルーシと発足させた関税同盟が基盤となる。首相は寄稿で、域内関税を撤廃した関税同盟を、12年には資本と人の往来も自由にした「統一経済圏」に移行させる計画を説明。「国家の枠を超えた強力な統合」と位置付けている。
首相が旧ソ連圏の糾合を目指す背景には、同盟創設で生まれる広大な経済圏を、ロシア経済の発展につなげる国益重視の基本方針がある。党大会での演説でも、世界11位の経済規模を急速に拡大し「今後5年間で世界5位の経済大国になる」と目標を掲げるとともに、「ユーラシア同盟の創設」に触れていた。
首相は寄稿で、EUとの自由貿易体制を確立して「大西洋から太平洋まで」の広域経済圏をつくり、投資や貿易拡大に取り組む考えを示した。「同盟」の盟主ロシアがアジア太平洋と欧州の「両地域を効率的に結びつける役割を果たす」ことで、成長の果実を得るシナリオだ。
新たな「同盟」の提唱には、旧ソ連第2の大国でEU加盟を目指すウクライナを、ロシアの影響圏に戻す狙いもうかがえる。首相は寄稿で「同盟の参加国はもっと早く強い立場で欧州と経済統合できる」と誘いをかけた。ウクライナなど親欧米路線に傾斜する国々は、ロシアの影響力拡大につながる「同盟」に慎重に対処するとみられる。
プーチン次期政権が国益重視の実利外交を強めれば、北方領土問題を抱える日本も経済関係の強化をさらに加速する必要がある。日ロは10月後半にも官民合同の経済円卓会議を立ち上げる計画で、日本側は「経済パートナーとして日本の重要性を示し、政治関係の強化にもつなげる」(外務省幹部)考えだ。
▼プーチン・ロシア首相:「ユーラシア同盟」創設提案 旧ソ連再統合を念頭に
http://mainichi.jp/select/world/news/20111005ddm007030180000c.html
【モスクワ田中洋之】ロシアのプーチン首相は4日付のイズベスチヤ紙に論文を発表し、20年前に崩壊したソ連の再統合を念頭に、ロシアと周辺諸国による「ユーラシア同盟」の創設構想を打ち出した。確実視される来年5月の大統領復帰に向けた新たな外交政策として注目される。
プーチン氏は論文で、ロシアとカザフスタン、ベラルーシで構成する関税同盟や、この3国で来年発足する「統一経済圏」など旧ソ連の経済的再統合の動きに触れたうえで、ユーラシア同盟構想は「より高いレベルの統合に進む野心的な目標」と強調。ユーラシア同盟は「ソ連の再建ではない」としつつ、「新たな価値や政治・経済的な土台に基づく緊密な統合は、時代の要請だ」と述べた。
プーチン氏はまた旧ソ連に残るインフラなどの遺産を活用するのは「我々の共通の利益」であり、世界的な経済危機の影響を克服し、成長を続けるには、大国ロシアを中心に旧ソ連諸国が再結集すべきだとの考えを示した。旧ソ連ではロシアが主導する関税同盟に中央アジアのキルギス、タジキスタンが加盟を検討。ロシアはウクライナにも加盟を求めており、プーチン氏としては関税同盟を将来的にユーラシア同盟へ発展させたい考えとみられる。
一方、旧ソ連11カ国でつくる独立国家共同体(CIS)は形骸化が進んでおり、新たな同盟構想を打ち上げることで、ロシアが勢力圏とみなす旧ソ連での求心力を高める狙いもありそうだ。プーチン氏は大統領時代の05年、1991年12月のソ連崩壊について「20世紀最大の地政学的な悲劇だ」と発言していた。 毎日新聞 2011年10月5日 東京朝刊
▼ウクライナ前首相裁判 東西から圧力 大統領の誤算
2011.10.3 20:17
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111003/erp11100320210002-n1.htm
【モスクワ=遠藤良介】ウクライナの親欧米派、ティモシェンコ前首相がロシアとの天然ガス取引をめぐる職権乱用罪に問われた裁判がこのほど結審し、11日にも判決公判が開かれる見通しとなった。欧州連合(EU)は裁判がヤヌコビッチ大統領による政敵排除の試みだとして圧力を強化。ロシアも「ガス取引に違法性はない」とヤヌコビッチ大統領を批判する事態となり、判決の行方が注視されている。
ティモシェンコ氏は、ロシアがウクライナ向けの天然ガス供給を停止する“ガス紛争”のさなかだった2009年1月、不当に高いロシア産ガス価格を受諾し、国庫に損害を与えたとして起訴された。
検察側が禁固7年を求刑したのに対し、ティモシェンコ氏は9月29日、約4時間に及んだ最終弁論で「これは古典的なリンチ(私刑)裁判だ」と猛反発し、徹底抗戦を宣言した。
ティモシェンコ氏は04年、親欧米のユシチェンコ前政権を誕生させた「オレンジ革命」の立役者。10年2月の大統領選では親露派だったヤヌコビッチ氏に僅差で破れた経緯がある。
EUは、有罪判決が出た場合にはウクライナと進めている「自由貿易協定」締結に関する交渉を放棄する構えを見せ、罪状の撤回を要求。米国も裁判を「政治的動機によるもの」とみて憂慮を表明している。
親露派とされていたヤヌコビッチ氏は大統領就任後、EUとの統合路線を打ち出してEU・ロシア間のバランス外交に転じており、EUとの関係悪化は氏にとって打撃となる。
一方、ロシアがティモシェンコ裁判の批判で欧米に同調したのはヤヌコビッチ氏の誤算だった。ロシアは、ヤヌコビッチ大統領がティモシェンコ氏を裁判にかけることで、09年に合意されたガス価格を引き下げようと恫喝を始めたと受け取めている。
ロシアはベラルーシ、カザフスタンとの「関税同盟」にウクライナが加わることなどを価格見直しの条件に突きつけており、東西に挟撃されたヤヌコビッチ氏は難しい立場に置かれている。
▼ウクライナ:ロシア離れ鮮明 ガス価格めぐり対立再燃
http://mainichi.jp/select/world/news/20110926ddm007030179000c.html
【モスクワ大前仁】ロシアとウクライナの天然ガス価格をめぐる対立が再燃し、ウクライナで新政権が誕生した昨年2月から進んできた両国の関係改善に陰りが見え始めた。ウクライナのヤヌコビッチ大統領は就任当初は「親露派」とみられていたが、最近はロシアとの均衡を図る狙いで欧米との関係強化に動き出している。来年ロシアの大統領に返り咲くことが確実になったプーチン首相が、隣国ウクライナの「ロシア離れ」の動きにどう対応していくかも注目されそうだ。
ヤヌコビッチ大統領は24日、モスクワ近郊でロシアのメドベージェフ大統領、プーチン首相と続けて会談し、天然ガス輸入価格について協議した。ロシア政府は「一定の合意に達した」と説明し、25日にはロシア政府系天然ガス企業ガスプロムのミレル社長とウクライナのボイコ・エネルギー石炭産業相が具体策を交渉した。ただしウクライナが求める輸入価格の値下げや、ロシアからウクライナ経由で欧州へ延びるパイプライン使用料の値上げで、どの程度まで歩み寄ったのかは明らかにされていない。
ウクライナは09年、欧州水準の価格に同意したが、昨年発足したヤヌコビッチ政権は、ロシア海軍の自国への駐留延長を受け入れる代償として、価格を3割引きする修正を勝ち取った。さらに今回は09年合意の全面的見直しを主張し、ロシアが応じなければ、ストックホルム商業会議所仲裁裁判所へ提訴する意向も示している。
ヤヌコビッチ大統領が値下げを求める背景には、09年の合意を取りまとめた「政敵」のティモシェンコ前首相を失脚させる狙いがあるようだ。すでにウクライナの司法当局は、「自国に不利な合意を主導し、経済損失を与えた」として前首相を起訴。政権はロシアとの間で合意を撤回し、前首相の「非合法性」を決定づけたい考えとみられる。
親露派とみられていたヤヌコビッチ大統領は先月、米紙ウォールストリート・ジャーナルに「ウクライナの未来は欧州連合(EU)と共にある」と題する記事を寄稿。欧州側も北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長が21日、国連総会の開かれているニューヨークでヤヌコビッチ大統領と会談し、対海賊作戦への参加を呼びかけるなど、協力強化を模索している。
メドベージェフ大統領は、ロシアがカザフスタン、ベラルーシと構成する「関税同盟」にウクライナが参加するならガス輸出価格の値下げを考慮する考えを表明しているが、ウクライナ側は応じる姿勢を見せていない。 毎日新聞 2011年9月26日 東京朝刊
▼[FT]EUは旧ソ連諸国と真の協力体制を(社説)
2011/10/3 14:00
(2011年10月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
http://s.nikkei.com/qlaTTB
欧州連合(EU)の東端とロシアの間に位置する旧ソ連6カ国との関係を、大半のEU諸国は経済・外交政策上の最優先事項ととらえてはいないようだ。無理もない。東方に目を向けるよりも、この2年はEU域内の債務問題などの対応に追われ、また「アラブの春」で民主化運動が広がった南方への関心が高まった。
■ロシアの影響や不十分な民主主義が足かせに
東方への無関心さは、先週ワルシャワで開かれたEU加盟27カ国とアルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、モルドバ、ウクライナによる「東方パートナーシップ」の首脳会議でも顕著だった。EU主要国首脳で会議出席の労を惜しまなかったのはドイツのメルケル首相のみ。英国はクレッグ副首相を送り込んだ。
クレッグ氏はもっともな意見を主張した。東方パートナーシップのいずれの国でもEUへの参加を希望し、必要な基準を満たせば、EUは完全加盟も視野に入れてより緊密な連携を進めるべきだと論じた。加盟の見込みが開けることで、国内改革に弾みがつき、経済水準が引き上げられ、国際社会に対する責任感が増すという。地中海諸国から北欧、中欧へ広がる拡大戦略はEUの最も大きな成果を上げてきた外交政策といえる。
しかし旧ソ連諸国がEUに全面的に頼るわけにいかないことは自明の理だ。地理的に近いロシアの軍事力や経済的重要性の影響を免れないこの地域では選択肢が限られている。さらにEU加盟協議を正当化するのに十分な民主主義や法制度が確立されていない国が大半だ。ワルシャワの首脳会議でもこの点が問題となり、ベラルーシの独裁政権に批判が集まった。
■まずはウクライナとのFTA締結から
EU加盟への道のりは、ウクライナのように有益性を訴える国々にとってもまだ非常に遠く見える。だからこそEUは東方パートナーシップについて、もっと現実的で到達可能な目標に力を注ぐべきだ。まずは強力な民間ビジネスの風土を築き、貿易や投資に関して欧州ルールと整合性のある規制制度を設けるために支援することから始めればよい。
手の届く目標の一つがウクライナとの自由貿易協定(FTA)締結だ。一部のEU諸国は、野党指導者のティモシェンコ前首相が刑事訴追されたことに懸念を示し、ウクライナとのFTAに反対している。この訴追が政治的締めつけの嘆かわしい例であることは疑いようがない。だが、政府当局がそうした締めつけをやめる正しい判断を下したとき、EUはそれに応え、FTA交渉を前進させる姿勢を示すべきだろう。
▼CISに進出を始めた中国、最初の狙いはベラルーシとウクライナ―ロシアメディア
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54762&type=1
2011年9月26日、ロシア紙が「中国が独立国家共同体(CIS)に進入し始めた」と報じた。29日付で環球時報が伝えた。
記事によると、ロシア政府が長くロシアだけに属すると見なしてきた利権地域に対して、中国が進出を始めている。ベラルーシとウクライナへの投資をめぐっては、中国とロシアの長期的駆け引きがすでに始まっているという。
昨年末から、各国のトップはベラルーシと距離を置いており、特に欧米諸国はルカシェンコ政権との接触を避けているように見える。ロシアのメドベージェフ大統領でさえベラルーシを一度も訪問したことがなく、プーチン首相が2度訪問しただけだ。
ちょうどこの時期に、中国人大常委会の呉邦国委員長がベラルーシ入りした。現地ではプーチン首相以上の歓迎ぶりだったという。中国はこの時、経済悪化が著しいベラルーシに資金援助を約束。中国要人の1人は「中国政府は新しい友人を見殺しにはしない」との言葉を送ったという。
中国はウクライナも重視している。6月には、胡錦濤国家主席がウクライナを訪問。中国のトップによる約10年ぶりの訪問となった。その際両国は共同声明を作成し戦略的パートナーとなったことを宣言。CISの中ではロシア、カザフスタン両国だけがこの協定を交わしていた。
同宣言に関して中国側が最も関心を抱いていたのは軍事提携だ。ウクライナは中国の軍事大国化を助けてきた経緯があり、同国が提供してきた技術も、ロシアが対中国への提供を避けてきたものだからだ。(翻訳・編集/津野尾)
▼中国空母の新たな内幕:ウクライナ軍需企業と深い関係
http://j.people.com.cn/94474/7395927.html
ロシア海軍の関係者は27日、カナダの軍事専門誌「漢和亜州防務」(Kanwa Asian Defence)の取材に、中国の艦載機パイロット地上模擬訓練システムはとウクライナの“ニトカ”システムと大きさから外観までよく似ていると話した。
▽ウクライナ製の主動力装置を装備
同関係者は、ウクライナの国営企業が中国の航空母艦の建造と「ワリャーグ」の改修に深く参与した可能性が高いとしている。得られた情報はすべてこの企業からだが、ウクライナ側の参加規模は予想されているほどはないと強調する。
「ワリャーグ」はウクライナ製の主動力装置を搭載するという報道は確かで、他にもウクライナ側は中国にジュブル型エアクッション揚陸艦4隻を提供したと報道されているが、実際には2隻の揚陸艦が提供されたという。
ウクライナの専門家は中国・哈爾浜(ハルビン)のボイラー工場を視察。ハルビンのボイラー工場における大出力の軍用ボイラーと動力装置の生産が、ウクライナと中国海軍の最大プロジェクトとなっている。ただ、新型ボイラーがまもなく完成する空母に設置されるかについては明らかにされていない。
「ワリャーグ」と中国独自に開発した空母にはウクライナの大型軍用ボイラーを搭載。すべての作業は非常に順調に進んでおり、ウクライナは中国側にテスト用のボイラーを数台提供することになっている。
▽訓練、武器、技術などで協力
中国が建造した艦載機のパイロット地上模擬訓練システムに関して関係者は、両国の協力には限界があるという。その理由は、ウクライナ側はすでに技術と武器・装備を売却し、軍用施設の建設には係わらないためだ。ウクライナは中国側は関連施設の内部計画の相談を受け、建物と施設に関する情報を提供したに過ぎない。
こうしたサポートだけでも、中国にとってはかなりの成果といえる。ウクライナとの協力を通じて、中国はすでに訓練施設の建設方法が明白になったと思われる。
ウクライナは今後もさらに中国に武器と技術を売却するチャンスがある。かつて中国に空対空ミサイル「R-27T/R」を提供したARTEM社は、単独輸出の権利をもつため、対戦車ミサイルを輸出できるし、ハルコフ設計局もおなじく、6TD-2型戦車用エンジンを輸出する権利があり、アントノフ社とイーフチェンコ社は直接中国に航空エンジンを提供することが可能だ。
中国の空母建造に対するウクライナからの支援について、ウクライナの関係者は、中国にはごく限られた人数の専門家しか派遣していないと話す。このことから、解雇された大部分の専門家は個人的に中国に渡った可能性があるとみられる。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月30日
<画像引用>
Новый интеграционный проект для Евразии — будущее, которое рождается сегодня
http://www.izvestia.com/news/502761
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