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ケネス・ロゴフ:「第二次大収縮(The Second Great Contraction)」時代には古き良きインフレが断然お得?2011/08/08 07:59

ケネス・ロゴフ:「第二次大収縮(The Second Great Contraction)」時代には古き良きインフレが断然お得?


「国家は破綻する」で世界中の注目を集めたカーメン・ラインハートとケネス・ロゴフ。この二人を「今やエコノミストのなかでもロックスター的存在」と持ち上げたのはウォール・ストリート・ジャーナル。

そのロゴフがプロジェクト・シンジケートにThe Second Great Contraction(第二次大収縮)を寄稿。この論文がまたまたエコノミストたちの間で話題に。

とはいえ最新論文の内容には新味なし。第二次大収縮を抜け出すには4-6%の適度なインフレを数年間継続するというアイデアも以前から多少ぶれながらも繰り返してきたもの。

「債務問題を解決する公正な方法とは言えないが、古き良きインフレは断然お得ですよ」ということか。インフレ抑制の手綱をこっそり緩め、目立たぬように古き良きインフレへと誘導するのがお利口さんということか。簡単な解決策などないことがわかった上でのことだろう。

今一度ロゴフの見解を読み直すと興味深い。ロゴフの予想は確かによく当たる。今一番怯えているのは中国かもしれない。



<重要箇所引用>

▼元IMFチーフエコノミストの警鐘
「これは不況ではなく大収縮!2010年も続く世界経済と日本経済の危ない綱渡り」
新春特別インタビュー!ケネス・ロゴフ・ハーバード大学教授
http://diamond.jp/articles/-/1121

800年に及ぶ経済危機の歴史を調べた結果、私は今回の不況を、危機脱出後に一定期間のバウンスが見込める単なるグローバル・リセッション(世界不況)ではなく、影響がかなりの長期にわたるグレート・コントラクション(大収縮、great contraction)として捉えるべきだと結論付けた。信用と貿易そして成長の急速かつ大幅な収縮が世界規模で進行したわけで、このダメージはそう簡単には修復できないだろう。

為替レートにまつわる話が主役であり続けるのも、中長期の国家戦略のあり方について日本が悩んでいるからなのだろう。アウトサイダーの私が言うことではないが、日本は中長期の国のあり方について早く覚悟を決めたほうがいい。そもそもの問題として、人口減少社会であることを前提とすれば、(家計の貯蓄頼みの)政府債務膨張はサステイナブル(持続可能)ではない。もちろん、今すぐに国家財政破綻の危機に直面するわけではないが、中長期の成長がどこから来るのか見えない現状を変えられなければ、いつかはそこに行き着くのだ。人口問題を解決すること、中国の成長をもっと生かすこと。このふたつこそ日本にとっての至上命令だと私は思う。

こと2010年に関しては、IMF、ドイツ、米国、日本そして中国も国際金融システムを懸命に支えていることを考えれば、どこかの国でそのようなリスクが高まっても、主要国が団結して救済へと動くだろう。ただ、この状況は数年後には変わるはずだ。主要国は自国の債務問題で手いっぱいとなり、財務規律を保てない国を救済することに躊躇するし、あるいはそもそもできなくなると思う。

中長期でいえば、じつは心配なのは中国だ。私の見立てでは、5年以内に深刻な債務危機に陥る可能性が高い。内需へのシフトという不可欠なパラダイムシフトを経ずに、中国は信用や政府支出を膨らましすぎた。このツケは大きい。

世界経済が根本的に好転し始めたと見るのは間違いだ。繰り返すが、ソブリンデフォルトの大波は2~3年後にやってくる可能性が高い。むろん、量的緩和の有効性を問うような議論自体はあってよいと思う。私自身、量的緩和がデフレ克服の決定打であるとは思っていない。ただ、短期間に拡張と引き締めを繰り返すストップゴー政策の弊害は歴史が証明している。いずれの主要国も今年量的緩和をストップすることが果たして正しい政策の選択肢なのかはよくよく考える必要があるだろう。当面はバラ色の未来もなければ、魔法の解決策もない。政府も国民も我慢強くなるしかない。それが、2010年の世界の現実である。


▼現在進行中の大不況は今までの不況とは違う――ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授
09/12/25 | 16:30
http://www.toyokeizai.net/business/international/detail/AC/3d6fc3490be52d828791055efaad6ce6/

 今回の大不況は金融危機によって加速し、通常よりも長期的な影響を及ぼす深刻なものとなっている。私は著書の中で、大不況というよりも“大収縮(グレート・コントラクション)”と表現するほうが好ましいと書いた。今回の不況でかつて例がないような国際的な信用と貿易、成長の大幅かつ同時的な収縮が起こったからである。


▼「国家は破綻する」の著者:政府債務増大は欧米経済に著しいリスク
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920019&sid=aPnQs9qA2hNk


7月14日(ブルームバーグ):金融危機の歴史をつづった「国家は破綻する-金融危機の800年」の共同執筆者、カーメン・ラインハート氏とハーバード大学のケネス・ロゴフ教授は、政府債務の増加が欧米の経済成長と金融安定化に著しいリスクを突き付けるとの懸念をブルームバーグ・ビューのコラムで示した。

 両氏は歴史的に見て、国家が困難に見舞われるのは公的債務の対国内総生産(GDP)比が90%を超えた時だと指摘した。両氏が見る通り、米国と一部の欧州諸国はその水準を超えている。ラインハート氏はワシントンのピーターソン国際経済研究所シニアフェロー。

 両氏はコラムで「欧州危機の解決前に経済協力開発機構(OECD)加盟国で2カ国以上がデフォルト(債務不履行)や債務再編の事態に陥ると予想しているものの、それが大部分の先進諸国にとって最大の脅威ではない」と指摘。「最大のリスクとは、突出した債務が経済成長を圧迫するまで積み上がることだ」と述べた。

 著名有識者の中には政府債務の深刻さを軽視し、米国は低金利の機会を利用して新たな大型財政出動に踏み切るべきだと主張する人もいるが、ラインハート、ロゴフ両氏はこうした意見に反論した。両氏は「現在の低い借り入れコストに安心するのは愚かであり、債務をさらに膨らませても全く問題ないとのシグナルだと解釈するのはもっと愚かなことだ」と述べ、「市場金利は天気のように移ろいやすい。それとは対照的に債務水準はすぐに低下しないものだ」と論じた。


▼大恐慌を防ぐにはインフレ政策しかない――ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授
http://www.toyokeizai.net/business/international/detail/AC/829d806c1f49099efa0cc0578e4619f5/

 世界の主要中央銀行は、穏やかにインフレを高進させることが巨額の債務から逃れるうえで有益であることを認識すべきである。

 原則的にいえば、インフレは債務問題を解決する公正な方法とはいえない。なぜならインフレになると債権者は価値が下落した通貨で返済を受けることになるからだ。だからインフレに頼らないで金融システムの欠陥を是正する方法を模索するべきである。しかし、銀行への資本注入や住宅ローン債務の保有者に対する直接的な支援など代替案を研究すればするほど、インフレ高進は問題解決を阻害するよりも助けになることが明らかになってくる。


▼米国の大物経済学者が警鐘!
「世界経済危機の第二波が近づいている」
ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授(元IMFチーフエコノミスト)に聞く
http://diamond.jp/articles/-/4092

日本政府に対して二つのアドバイスをしたい。ひとつは、国債の満期構成を長期化させることだ。繰り返すが、危機は来る。短期金利が実質ゼロだからといって、短期でつなぐ誘惑に負けてはならない。たとえ高くついたり、一時的に財政赤字の拡大を招いたとしても、満期構成の長期化は危機の第二波に対する安い保険となる。

 第二に、2%程度のインフレを目指すべきだ。債権者に下落した通貨価値での返済を押しつけるインフレは、債務問題のフェアな解決法とは言えないが、債務負担を軽減させる有効な手段であることは明らかだ。

 日本銀行は素晴らしいリサーチスタッフを抱え、総裁は聡明であり、とてもプロフェッショナルな組織だが、ことインフレについてはスタンスを改めるべきだと思う。いまや、米国のFRB(連邦準備制度理事会)の中からでさえ、3~4%のインフレを目指すべきとの声が聞かれる。日本も、インフレターゲットでも、日本流のオリジナルバージョンでもいいから、早く発想を切り替えるべきだろう。


▼マンキュー,ロゴフ両氏:米経済にインフレ必要-FRB政策出尽くし
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90970900&sid=an1mwd4sWrPc

米経済には、古き良きインフレが必要かもしれない。大統領経済諮問委員会(CEA)元委員長のグレゴリー・マンキュー氏と国際通貨基金(IMF)元調査局長のケネス・ロゴフ氏がこうした見解を示している。

両氏は、インフレ抑制の手綱を緩めれば、負債に苦しむ消費者や政府の債務返済が容易になると指摘する。値上がり前の駆け込み消費を促進するという点でも、米経済の支えになるかもしれない。

現在ハーバード大学教授のロゴフ氏(56)は「少なくとも数年間6%のインフレがあると良い」と語る。「負債爆弾の脅威を和らげ、レバレッジ解消の一助になる」と述べた。


<ロゴフ関連記事>

The Second Great Contraction
Kenneth Rogoff
2011-08-02
http://www.project-syndicate.org/commentary/rogoff83/English


Rating Cut of U.S. Debt Echoes the Nervousness of Global Markets
By BINYAMIN APPELBAUM
Published: August 6, 2011
http://www.nytimes.com/2011/08/07/business/global/standard-poors-downgrade-of-united-states-credit-rating-echoes-nervousness-of-global-markets.html?_r=1&hp

There are no easy solutions. Professor Rogoff, who studies the aftermath of financial crises, has written that recoveries tend to take a very long time, particularly when downturns are as long and as deep as this one has been. The only way to hasten the process, he said, is to force the transfer of wealth from creditors to debtors — to rebalance the books. He argues that this could be done through a policy of tolerance for higher inflation, which would reduce the value of debts over time.

“People sometimes ask, ‘What is the checklist of things that have to happen for a recovery?’ ” he said. “I think there’s basically one thing on it — improving the balance sheets.”


Win Together or Lose Together
By THOMAS L. FRIEDMAN
Published: August 6, 2011
http://www.nytimes.com/2011/08/07/opinion/sunday/Friedman-win-together-or-lose-together.html


Rogoff's "second great contraction" and why I'm mad as hell at Washington
http://thomaspmbarnett.squarespace.com/globlogization/2011/8/7/rogoffs-second-great-contraction-and-why-im-mad-as-hell-at-w.html


The Rentier Regime
http://krugman.blogs.nytimes.com/2011/06/06/the-rentier-regime/


ケネス・ロゴフ、次の金融危機の第一候補は中国だと語る
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/12/19/4765489


ケネス・ロゴフ「次なる危機の震源は中国かもしれない」
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/06/21/5921984


<画像引用>

国家は破綻する――金融危機の800年 [単行本]
カーメン・M ラインハート (著), ケネス・S ロゴフ (著)
http://t.co/gnsFMFd