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いつまでも、あると思うな、「固定価格買取制度(FIT)」2013/10/19 07:16

日経:再生エネ、海外勢相次ぎ参入 日本に7000億円投資


いつまでも、あると思うな、「固定価格買取制度(FIT)」。

そろそろFITあるなしをめぐって、
再生可能エネルギー分野でもロビー活動が活発になる見通し。


<関連記事>

再生エネ、海外勢相次ぎ参入 日本に7000億円投資
太陽光、買い取り制度呼び水
2013/10/19 2:00
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD180FF_Y3A011C1MM8000/?dg=1

 国内の再生可能エネルギー発電に海外勢が相次いで参入する。オーストラリアや米中の企業・銀行が各地に太陽光発電所を建設して電力を供給する。総投資額は今後5年で計7千億円規模となり国内の太陽光発電向けの1割弱を占める見通しだ。海外の潤沢な資金が入ることで再生エネの普及に弾みが付く一方、急速な拡大で電力コストも膨らみそうだ。

 豪投資銀行大手マッコーリー・グループは前田建設工業と早ければ来年から再生エネ発電所の建設に取りかかる。発電能力は約10万世帯分をまかなえる計30万キロワット。金融機関から資金調達して計1千億円を投じる。マッコーリーは再生エネの開発実績が豊富で、資産残高が計10兆円のインフラファンドも運営する。

 中国の素材・電力大手GCLポリー・エナジーは太陽光発電施工大手のウエストホールディングスと組み、来年から着手する発電所建設に計1千億円を投じる。米ゴールドマン・サックスも3千億円を投資するなど日本の再生エネ市場に海外マネーが一気に流れ込む。

 米調査会社IHSによると13年の日本の太陽光発電市場は投資額ベースで12年比8割増の200億ドル(約1兆9700億円)となる。世界シェアは24%で再生エネ大国のドイツを抜き首位に立つ。海外勢の投資はさらに市場を約1割押し上げる。

 海外マネーの流入加速は、12年に導入した再生エネ電力の買い取り制度がきっかけだ。ドイツにならって再生エネ電力を電力会社が全量買い取ることを義務付けた。買い取り価格はドイツの2倍以上。欧州の普及ペースが鈍るなか日本に投資する魅力が高まっている。

 再生エネへの投資は当初はソフトバンクやオリックスなど日本勢が中心だった。海外勢は日本で普及制度が定着するかを見極めていた。海外からの12年度の対日直接投資は3兆円でピークの07年度の3分の1。再生エネ設備が増えれば発電機器や太陽光パネル素材の需要も膨らむ。新たな商機を狙った対日投資の活性化にもつながりそうだ。


「太陽光バブル」の恐れも 再生エネ海外勢参入
2013/10/19 2:00
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD180T3_Y3A011C1MM8000/

 日本の再生エネ買い取り制度は太陽光発電(産業用)を20年間固定価格で買い取る。2013年度で1キロワット時あたり税込み37.8円。前年度より1割下げたが依然、世界最高水準だ。発電事業者には「安定的な投資対象」(中国の太陽光発電会社)となる。

 ただ買い取り価格の原資は一般家庭などが毎月の電気代に上乗せして支払っている負担金だ。

 日本がモデルとしたドイツでは制度導入で国外マネーも流入し太陽光発電ブームが起きた。しかし買い取り量に歯止めを設けなかったため青天井で費用負担が増え、企業や家庭の電気料金は上昇。政府が買い取り価格を引き下げたため今度は需要が減速し、太陽光発電設備メーカーの法的整理が相次ぐ結果となった。

 日本も以前のドイツのような「太陽光バブル」の様相になっているとの指摘もある。再生エネ発電の増加で生じる送電網の容量不足も今後のコスト増加の要因となる。再生エネ事業者の利益が増えるほど国民負担が増す構図をどのように解消していくかが課題となる。

「その時、私の身体にも異変が」「あっ!あの樹、大きくなってる」2013/08/18 07:39





ねーねー、トヨタさん。
REDデジタルシネマカメラ含め、4K映像を豊富に揃えております。
しかも監督さんはプリウス10周年(手塚キャラ全員集合)をつくった方。
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「羅津・羅先・北極」記事集2013/03/26 08:15

「羅津・羅先・北極」記事集


<「羅津・羅先・北極」記事集>

「賢人の目」毎日新聞専門編集委員 金子秀敏/北極海・日本海航路
2013/01/14 ガスエネルギー新聞

 お正月の新聞はシェールガスやシェールオイルの話題で持ちきりだった。本紙の読者は大手メディアの認識が遅れていると思われたことだろう。

 こと国際問題になると日本のメディアの感度は鈍い。日本のメディアの海外取材網が弱く、情報を欧米通信社電に頼っているからだ。

 日本のメディアに限った話ではない。ロシアのプーチン大統領がシェール革命に気付いたのもつい1~2年前だという。それまで国営ガス企業のガスプロムは、シェール革命などは米国の陰謀情報にすぎないという報告を上げていた。ガスプロムも欧米の大手メディア情報を信じていた。欧米メディアは石油メジャーの発信する情報を信じていたので、メジャーとは別筋のシェール革命の情報が欠落していた。しかし、情報機関出身のプーチン大統領は、ガスプロムの報告に疑問を持ち独自に調べさせたのだそうだ。

 プーチン大統領が熱心な北極海航路の話も、日本のメディアはあまり関心を持っていない。1月5日の『日経新聞』は「北極海航路 貨物5割増。昨年、中韓の輸出入で利用多く」という記事を載せた。

 北極海航路とは、ロシア北方の北極海沿岸を東西に横断し、アジアと欧州を結ぶ海運ルートだ。インド洋を渡る南回りにくらべて距離が大幅に縮まる。地球温暖化で夏場の海氷が減り各国が関心を高めている。

 記事によると、2012年には延べ34隻の貨物船が北極海を横断した。前年より8隻増え、貨物の量も増えた。ほとんどが中国向けと韓国向けだった。韓国向けは燃料エネルギー、中国からは欧州向けの肥料なども運んでいる。

 韓国の造船業界が氷海航行に対応するタンカー建造に着手したという話を聞いたのは昨年だった。中国人企業家がアイスランドで土地買収をして騒ぎになったのは2年前だ。これで、中国が北極海に強い戦略的関心を持っていることが明らかになった。

 日本はどうだろうか。昨年12月、ノルウェーから北九州までLNGを初めて運んでいるが、日本船ではなく、ロシアがチャーターしたギリシャ船だった。日本では北極海航路の現実性を信じる人は少ない。

 北極海航路が開けるということは、東アジアにおいては日本海が重要な国際シーレーンになるということだ。中国にとっては一大事だ。上海や青島から出た中国船は対馬海峡を北上し、日本海を通って宗谷海峡、ベーリング海峡を抜けて欧州へ向かう。日本海に面した北朝鮮の羅先港を中国が租借したのは、まさに北極海航路のためだろう。

 ロシアにとっては、北極海航路はシベリア開発の成否に直結する。そういう観点から北方四島問題を見直すとどうなるか。北極海航路のアジア側の入り口である宗谷海峡付近に、日露の領土紛争があるということだ。ロシア側に初めて日露の領土問題を解決したいという動機ができたはずだ。

 北極海航路に関心の薄い日本側も,早く気付いた方がいいのではないか。


北極航路進出“韓日中三国志”…韓国は今年試験運航(1)
2013/01/08 中央日報(中央SUNDAY)

昨年7月末。積載重量7万4000トンのフィンランド国籍のタンカー「ステナポセイドン」がジェット燃料7万トンを積んで全羅南道麗水港を出港した。ロシア・ムルマンスク港で石油・ガス会社「ノバテック」のガスコンデンセート(軽質原油の一種)を積み、北極航路で大山港に運んだ後だった。船は北極航路でフィンランドに到着した。中間寄着なく北極航路を航海した最初の船だった。9月にもノバテックのガスコンテナーを積んだマリカ号とパルバ号がそれぞれ仁川・大山(忠南)で荷下ろしした後、それぞれジェット燃料6万、7万トンを積んでフィンランドに向けて出発した。マリカ号は今年、北極航路を航海した最大の船だ。

この航海の意味は大きかった。国土海洋部のキム・ソンホ担当は「今は北極航路は貨物が少なく、船が荷下ろしした後、空の状態で戻らなければならないが、この航海で経済性を確保できるということが証明された」と述べた。

北極航路はスエズ運河を通過する南方航路に比べて運送距離を40%ほど減らせ、経済性があるが、往復ではなく片道運賃だけを受ける場合、経済性は大きく落ちる。ノバテックは昨年、韓国に7回、ガスコンデンセートを輸出し、うち3回はジェット燃料を積んで戻った。

モスクワの「北東航路利用・調整非営利組合」のウラジミール,・ミハイルロビッチ会長は「2011年にも北極航路を通じて韓ロ間を船が8回行き来したが、うち5回はロシアの輸出、3回は輸入だった」とし「中国も8回取引したが、韓国の例のような往復運送はなかった。韓国物流市場の潜在力が大きい」と述べた。

ロシアが主導した10回の航海のため、すでに北極航路は韓国に近い存在になっている。今年は韓国も初の試験運航で北極航路開拓に乗り出す。キム担当は「韓国政府は昨年、商業用試験運航をしようとしたが、景気が悪くて延期した。現在、製油会社を相手に国内船舶会社のアイスクラス級船舶を利用した試験運航について話し合っている。時期・品目はまだ未定」と説明した。しかし赤字に苦しむ海運会社はまだ北極航路に大きな関心を見せていない。

しかし造船業界は違う。世界ガス・石油埋蔵量の4分の1を占める北極圏の開発とともに、北極航路が特需をもたらすと期待している。砕氷船は1隻に1億ー2億ドルにのぼる。大宇造船海洋の高載浩(コ・ジェホ)社長は「海底油田の開発とともに北極が造船産業の新たな原動力になるだろう」とし「昨年下半期から深海底開発のためのドリルシップなど海洋構造物と砕氷船の受注に力を注いでいる」と述べた。

STX造船海洋子会社のSTX欧州は、極地運航用の船舶建造の筆頭企業だ。現代重工業も世界最大規模の19万トン級砕氷商船を開発した。サムスン重工業も世界で初めて極地運航用の両方向砕氷タンカーを建造し、極地用特殊船舶市場に進出した。

中国の北極航路進出は官主導で進行中だ。昨年7、8月、119人の研究者を乗せた砕氷船「雪龍」を投入して試験航海を終えた中国は、また13億元(約190億円)を投入し、大型砕氷船を追加で建造する。フィンランド企業と共同で中国で建造中のこの砕氷船は全長120メートル、幅22.3メートルで、来年就航する。

これに関し、スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が昨年11月に発表した「中国の北極海野望」という総合報告書は、「北極航路が本格化すれば、中国は北朝鮮から賃貸した羅津港を北極航路のハブとする」と予想した。また「中国の学者は北極航路が豆満江流域に大きな利益をもたらすと期待している」と評価した。

中国は「長春ー吉林-図門」をつなぐ「長吉図」先導区発展事業と琿春辺境経済合作区プロジェクトを進行しているが、羅津はこの地域の対外出口だ。 (中央SUNDAY304号)


中国、商業利用前倒し、今夏にも、海運大手が準備、北朝鮮の港、活用構想も。
2013/01/05 日本経済新聞 朝刊 6ページ

 【北京=森安健】中国は今夏から北極海を航路として商業利用する方向で準備を始めた。商業利用は早くても数年先とみられていたが、予想以上に夏場の海氷が縮小していることを踏まえ前倒しする。日本海に面した北朝鮮の港を北極海への玄関口とする構想も浮上している。

 中国は昨年、指導部が北極圏諸国を訪問し関係を強化。国家海洋局の砕氷船「雪竜」は昨年7~9月にロシア沿岸の「北東航路」を初めて横断し、夏場の海氷の状況を調査。さらに外国の商船会社の貨物船を利用した試験運航もしてきた。

 こうした動きを受け、国有の海運最大手、中国遠洋運輸集団(コスコ・グループ)が昨年秋から本格的な北極海利用に関する調査に着手した。

 今春にはアイスランドのシグルザルドッティル首相が訪中を予定している。在北京の同国大使館幹部は「中国による北極海商業利用が主要議題になる」と語る。

 北極問題に詳しい欧州のシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の最新報告書によると、中国の識者らは北朝鮮北部の羅津港を将来的に北極方面への積み出し港とすることを提案し始めた。羅津は中国国境から近く、日本海に自前の港を持たない中国は以前から注目。既に中国と結ぶ道路の整備などに乗り出している。

【図・写真】中国の砕氷船「雪竜」は昨年、北極海を通ってアイスランドまで初往復した(アークティックポータル提供)


★ニュースフラッシュ★ ■「中国、北極に野心」
2012/11/28 岩手日報朝刊 5ページ

 【ロンドン共同】スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は27日、北極圏のエネルギーや鉱物資源をめぐり、中国があえて控えめな姿勢を取って虎視眈々(たんたん)と権益の獲得を狙っていると分析した報告書を発表した。

 報告書は「中国の北極での野心」とのタイトルで、中国が北極圏に接するスウェーデンなどと外交関係を強めているほか、中国企業がアイスランドなどで開発事業に乗り出していることを指摘。

 氷の減少で本格的な活用が見込まれる北極圏航路へのアクセス確保も求めており、中国の海運会社がリース契約を結んでいる北朝鮮・羅先の港が北極圏航海の拠点になるとの観測も紹介した。


中国軍艦寄港を想定の可能性 金田秀昭氏
2011/01/16 05:35 日本経済新聞電子版ニュース

 金田秀昭・岡崎研究所理事(安全保障・元海将) 中国は自国艦船の利用をも念頭に、インド洋に面した各国で港湾建設など「真珠の首飾り」と呼ばれる海洋戦略を進めている。今回の羅先の拠点化もその延長線と見るべきだろう。マラッカ海峡に依存するリスクを少しでも分散するために、欧州から北極海を経てベーリング海を通り日本海へ抜けるルートを開拓しようとしている。

 北朝鮮で石油などの資源や物資を荷揚げし、中国へ運搬するためにも、羅先は将来、要所の一つになり得る。羅津港は伝えられる港湾の規模などからみて、単なる商業港のみならず、軍艦の寄港も想定されている可能性もある。

 日本海は今後、安全保障を含めた国際的な海上交通路の要衝としての意味あいが高まるだろう。日本政府は、中国の動きを注意深く観察するとともに、その意図が何であるかを絶えず確認していく必要がある。


北朝鮮特区に軍駐留か、中国、日本海に拠点、北東アジア安保に影響も。
2011/01/16 日本経済新聞 朝刊 5ページ

港湾、商業利用始める

 【北京=佐藤賢】中国が北朝鮮を介して日本海に進出する動きを本格化し始めた。韓国紙、朝鮮日報によると、中国軍は北朝鮮の経済特区で日本海に面する羅先(ラソン)市に進駐した。中国が同市にある港湾の商業利用を開始したことも明らかになった。日本海に出口を得た中国の存在感が高まるのは確実で、北東アジアの安全保障面にも影響を与えそうだ。

 中国軍の駐留は中国が投資した港湾施設の警備や在留中国人の保護が目的。ただ、朝鮮半島の有事の際には、在留中国人の保護を目的に機動的に介入する先遣隊の役割を果たす可能性がある。

 部隊の規模は不明。これに関連して消息筋の話として、昨年12月15日ごろ、約50台の中国製の装甲車と戦車が中国側から羅先に近い北朝鮮の咸鏡北道会寧に入ったのが目撃されたと伝えた。

 中国軍の北朝鮮への駐留は1994年12月に板門店の軍事停戦委員会から撤退して以来17年ぶりという。青瓦台(韓国大統領府)関係者などの話として伝えたものだが、韓国政府は公式にはコメントしていない。

 北朝鮮は昨年1月に羅先市を「特別市」に指定。進出を決めた中国は物流拠点と位置付け、同市にある羅津港を10年間使用する権利を獲得した。将来的に同港を海軍基地として利用したいとの思惑もちらつく。

 一方、中国・吉林省琿春市の当局者は日本経済新聞に対し、羅津港から中国産の石炭を出荷したことを明らかにした。昨年12月に約2万トンが陸路で北朝鮮入りし、羅津港で荷積みされた貨物船が今月14日に上海に到着したという。

 羅津港の利用は初めてで、日本海を経由した輸送ルートが始動する。今回は試運転と位置付けており、輸送体制を点検した後、本格運用する。

 中国東北部の吉林省や黒竜江省は海に面しておらず、食料などの積み出し港は遼寧省の大連を利用してきた。琿春市と羅先市は昨年、中朝国境を流れる豆満江(中国名・図們江)にかかる橋を改修し、羅津港へ通じる道路整備も進めている。当面は中国国内向け輸送を中心とする見通しだが、日本や韓国向けへの輸送も視野に入れ、出荷能力の拡大を狙う。

識者コメント

中国軍艦寄港
想定の可能性

 金田秀昭・岡崎研究所理事(安全保障・元海将) 中国は自国艦船の利用をも念頭に、インド洋に面した各国で港湾建設など「真珠の首飾り」と呼ばれる海洋戦略を進めている。今回の羅先の拠点化もその延長線と見るべきだろう。マラッカ海峡に依存するリスクを少しでも分散するために、欧州から北極海を経てベーリング海を通り日本海へ抜けるルートを開拓しようとしている。

 北朝鮮で石油などの資源や物資を荷揚げし、中国へ運搬するためにも、羅先は将来、要所の一つになり得る。羅津港は伝えられる港湾の規模などからみて、単なる商業港のみならず、軍艦の寄港も想定されている可能性もある。

 日本海は今後、安全保障を含めた国際的な海上交通路の要衝としての意味あいが高まるだろう。日本政府は、中国の動きを注意深く観察するとともに、その意図が何であるかを絶えず確認していく必要がある。

 ▼羅津港 日本海に面した北朝鮮羅先市の港。3つの埠頭がある。第1埠頭は中国の民間企業、大連創力集団が昨年、10年間の使用権を獲得し、2600万元(約3億4000万円)を投じてインフラ整備を進めてきた。中国吉林省琿春市までの距離は約50キロ。鉄道でロシアとの国境を越え、シベリア鉄道を利用して欧州に物資を輸送するルートもある。戦前、大陸への輸送拠点として注目され関東軍参謀の石原莞爾が開発を唱えた。

【図・写真】北朝鮮も羅先市を物流拠点として重要視(09年に訪問した金総書記、朝鮮通信提供)=ロイター


CHINA’S ARCTIC ASPIRATIONS
linda jakobson and jingchao peng

Chinese scholars presumably view Rajin as a potential Arctic hub.

http://books.sipri.org/files/PP/SIPRIPP34.pdf



「北極海航路」睨んだ中露の羅津港争奪戦激化
「新たなチョークポント=北方領土周辺」確保に動くロシア太平洋艦隊
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/09/10/6096979

「北極海航路」発展へプーチン首相が大号令
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/09/24/6111454

「全量買取42円の亡国祭り」がいよいよ開幕! - 再生エネルギーに異業種参入続々、定款変更も相次ぐ2012/05/28 07:09

「全量買取42円の亡国祭り」がいよいよ開幕! - 再生エネルギーに異業種参入続々、定款変更も相次ぐ


<関連記事>

再生エネルギーに異業種参入 全量買い取りで採算
定款変更も相次ぐ
2012/5/28 2:02
http://s.nikkei.com/Kf6aWh

 発電事業への参入に向け、株主総会で定款を変更する上場企業が相次いでいる。ローソンや近畿日本鉄道など幅広い分野の約40社が定款の事業目的に発電関連の業務を追加する。太陽光など再生可能エネルギーでつくった電気を電力会社が固定価格ですべて買い取る制度が7月に始まるのをにらみ、発電と直接の関係が薄い全くの異業種にも参入の動きが広がっている。

 目立つのが、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設に向けて定款を変更する企業だ。京セラはIHIなどと組み、鹿児島市内に7万キロワット級の発電能力を持つメガソーラーを7月にも着工する。総投資額は約250億円で、大陽電池パネル約29万枚を設置する。

 近鉄もメガソーラー事業に参入する。三重県内の沿線の遊休地に2013年度にも出力2万キロワット級の施設を建設する。新規事業の有力候補として、事業化に向け研究を続けてきたという。

 三井化学は風力発電にも意欲を示す。愛知県田原市の所有地に、1基2000キロワットの風力発電施設を3基設置する。5万キロワット級のメガソーラーと合わせた総投資額は180億円を見込む。

 店舗や住宅を活用して発電事業に参入する動きもある。ローソンは13年2月までに国内のコンビニエンスストアの約1割に当たる1000店に太陽光発電システムを設置する方針。店舗照明や冷蔵ケース、空調に使う電力への利用のほか、各地の電力会社への売電を検討している。

 ミサワホームは施工した戸建て住宅やアパートの屋根を借りて太陽光パネルを設置。電力会社への売電を検討中だ。

 再生可能エネルギーを有望な投資対象とみて定款変更するのは、独立系資産運用会社のスパークス・グループだ。機関投資家からの要請を受け、再生可能エネルギーに絞って投資する発電ファンドをつくる考えだ。

 再生可能エネルギーの全量買い取り制度を巡っては、4月下旬に経済産業省の有識者委員会が電力の買い取り価格を決めた。太陽光は1キロワット時当たり42円、風力は同23.1~57.75円となる。現在、一般の意見を募っており、集約したうえで最終決定する。

 7月に全量買い取り制度が始まれば、太陽光や風力など5種類の再生可能エネルギーで発電した電力は、国が決めた固定価格で電力会社がすべて買い取ることになる。これまでは値段がわからないため採算が合うか検証できず、参入に二の足を踏む企業も多かった。制度開始を受け、今後は発電とは関係が薄い全くの異業種からの参入が一段と増えそうだ。


ニッケがメガソーラーに参入 30億円投資、保有ゴルフ場を閉鎖
2012/5/26 0:27
http://s.nikkei.com/KwxmON

 毛織物大手のニッケは25日、大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業に参入すると発表した。兵庫県にある同社保有のゴルフ場を閉鎖し、跡地15万平方メートルを活用する。出力は9800キロワットで投資額は30億円。2013年3月の稼働を目指す。再生可能エネルギーの全量買い取り制度をにらみ、売電事業を新たな収益源に育てる。

 年間の発電量は9537メガ(メガは100万)ワット時で、一般家庭の2600世帯分の電力使用量を賄える。発電した電力はすべて関西電力に売電する予定。ニッケの売上高を年4億円押し上げるとみられる。

 電力会社に太陽光などの再生可能エネルギーの全量買い取りを義務付ける制度が7月に始まる予定で、経済産業省は1キロワット時当たり税込み42円とする方向で調整に入った。ニッケでは「その価格で決着すれば採算に合う」としている。

 跡地を利用するゴルフ場は「ニッケゴルフ倶楽部土山コース」(兵庫県稲美町・明石市)で、9月に閉鎖する。近年は赤字が続いており、メガソーラーとして活用した方が不動産の有効活用につながると判断した。


風力・太陽光、全量買い取りで大量導入へ 先行スペインの悩みに学ぶ
2012/5/21 7:00
http://s.nikkei.com/K2KmPu

 2012年7月に再生可能エネルギーの全量固定価格買取制度(以下、全量買取制度)が日本でも始まる。これにより近い将来、風力や太陽光など発電量が不安定な電力が商用電力の送電系統(以下、系統)に大量に入り込むことになる。

 実はこうした状況を日本よりも先んじて経験している国がある。スペインだ。2012年5月9日、東京都内のホテルでスペイン大使館主催の「再生可能エネルギーフォーラム」が開催され、再生可能エネルギーの導入が進むスペインの状況が明らかにされた(図1)。「スペインは既に電力の約32%を再生可能エネルギーで発電している。その中で最も多いのは風力、続いて水力、最後に太陽エネルギーである」(スペインKPMG社 パートナー Antonio Hernandez氏)。一方、日本の再生可能エネルギー比率は10%程度であり、そのほとんどが水力発電である。水力は比較的安定した電源であるため系統への影響は少ない。

■FIT制度で2兆円の赤字

 「スペインの風力発電システムの設置容量は2010年に20GW(ギガワット)に達した。これは欧州で2番目、世界でも4番目の規模である。2012年末には23GWに増える見通しである。太陽光発電システムの設置容量は2010年末に4GWになり、欧州で2位、世界で3位の規模を誇る。太陽熱発電は2010年に1GWに達して世界トップ」(同氏)。

 このように再生可能エネルギーの導入が急速に進んでいるスペインだが、これまでの道のりが順風満帆であったわけではない。

 スペインは2007年に長期間にわたる高額な買い取り価格を設定したフィードインタリフ(FIT)制度を太陽光発電で導入した。その結果、2008年の太陽光発電システムの設置量は一気に2700MW(メガワット)に増えた(図2)。当初の目標だった371MWを1200MWに変更したが、結果的には変更後のさらに倍以上が設置されたことになる。

 スペイン政府は、あわてて買い取り価格を下げるなど、投資ブームの沈静化に追われた。この予想を上回る太陽光発電システムの設置によって、電力を高額で買い取らなければならない配電会社は大幅な赤字に陥った。その債務額は206億ユーロ(約2兆1000億円)。スペイン政府が一時的に肩代わりしているが、今でもスペインにとっては大きな痛手だ。

■2008年を境に温暖化ガスの排出量削減

 そもそも再生可能エネルギーの導入には二つの目的があった。一つは、温暖化ガスの排出量の削減である。2005年に1990年比で約1.7倍にまで膨らんだ温暖化ガスの排出量は、再生可能エネルギーの導入が進んだ2008年に減少に転じ、2010年には2000年レベルにまで下がった(図3)。下げ幅の目標には及んでいないものの、当面の目的は達成された。

 もう一つの目的は、エネルギーの国外依存度を下げることである。スペインは石油と天然ガスの99%以上を輸入に頼っており、大きなリスクを抱えている。これを少しでも軽減したいところだが、実際にはエネルギーの国外依存度は1990年の約64%から2005年には80%近くにまで上がってしまっていた(図4)。しかし、再生可能エネルギーの導入が進んだ2008年に減少に転じ、2010年には75%を下回る水準になった。まだ目的達成と言えるレベルではないものの、確実にリスク低減を進めつつある。

■問題は山積みだが…

 紆余(うよ)曲折はあったが、目的達成に向かって再生可能エネルギーの導入を進めるスペイン。しかし再生可能エネルギーの導入が増えたことで、解決しなければならない新たな問題が生じている。系統を安定させることである。

 再生可能エネルギーは不安定な電源だ。例えば「スペインでは(天候の変化などにより)1時間のうちに再生可能エネルギーによる発電量が最大1万3000MWから150MWまで振れることがある」(同氏)。電力では供給と需要の規模を合わせないと電圧変動や停電の恐れがあって危険だ。つまり1万3000MWが150MWに急降下したら、その差の1万2850MWを他の電源で補わなければならないのである。

 この問題をさらに大きくしているのは、再生可能エネルギーの発電量の予測精度が低い点だ。いつ1万2850MWの電源が必要になるのかが分からない。今後は予測精度を上げて、不安定な電源でも需要に見合うように電力供給を調整することが求められる。

 その他にも、余剰電力を一時的にためる蓄電池や、隣国との太い連系線の必要性にも直面している。地方に分散する再生可能エネルギーの発電システムの多くが需要家から遠い場所にあることも問題として挙がっている。

 こうした問題の中には、国レベルの系統に実際に接続してみて初めて分かるものもある。再生可能エネルギーの普及と活用が世界トップレベルで進んでいるからこそ、課題に直面し、対策が求められているのである。

■系統への影響を本格的に議論へ

表1 調達価格・調達期間についての調達価格等算定委員会案
(出所:調達価格等算定委員会)
電源 調達区分 税込価格 調達期間
太陽光 10kW以上 42円 20年
10kW未満 42円 10年
風力 20kW以上 23.1円 20年
20kW未満 57.75円 20年
地熱 1.5万kW以上 27.3円 15年
1.5万kW未満 42円 15年

 冒頭で述べた通り、日本でも2012年7月から全量買取制度が始まる。4月末に調達価格等算定委員会から買い取り価格の案が提出された(表1)。その額は、発電事業者の提出していた希望価格にほぼ沿ったものだった。すなわちこの価格であれば投資して元が取れる水準なわけだ。同制度の開始によって再生可能エネルギーによる発電システムへの投資が大幅に増えることは間違いない。2008年のスペインのように、当初予想の7倍もの量が設置される可能性も否定できない。

 再生可能エネルギーの導入が増えれば、スペインが直面している問題を日本も抱えることになる。いずれは、余剰電力を蓄えるための蓄電池、電力会社間での太い連系線の設置が必要になろう。不安定な電源への対応や発電量の予測精度向上といった課題を早急に解決すべく、本格的な議論を始める時が迫っている。(日経BPクリーンテック研究所 菊池珠夫)


7月開始の「固定価格買取制度」、電気料金への上乗せ額の試算公表
http://www.fnn-news.com/news/headlines/articles/CONN00222202.html

7月から始まる再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」で、経済産業省の第3者委員会は、電気料金への上乗せ額は、標準的な家庭で、月70~100円程度になるとの試算を公表した。

経済産業省の第3者委員会は27日、再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」について、太陽光発電の買い取り価格を1kWhあたり42円などとする報告書を枝野経済産業相に提出した。

委員会では、電気料金への上乗せ額について、月額7,000円の標準的な家庭で、1カ月あたり70~100円程度になるとの試算が示された。

枝野経産相は、報告書を基に、5月中に買い取り価格などについて最終決定する方針。 04/28 07:45

日本が京都を見捨てる日:カナダが京都議定書脱退か、カナダに続くはロシアと日本?2011/11/29 07:16

カナダが京都議定書脱退か、カナダに続くはロシアと日本?


<関連記事引用>

カナダ、京都議定書脱退か 地元テレビ報道
2011/11/29 7:35
http://s.nikkei.com/tEWQ1p

 【ワシントン=共同】カナダのCTVテレビは28日までに、カナダが12月にも京都議定書から脱退する見込みだと報じた。ハーパー政権がクリスマス前にも発表する予定という。カナダが脱退すれば、先進国に数値目標を設定し、温室効果ガスの削減を義務付けた京都議定書の枠組みに深刻な悪影響を及ぼす恐れがある。

 南アフリカのダーバンでは、気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)が開幕。カナダのケント環境相はAP通信に対し、京都議定書の脱退について発表できるタイミングではないと語った。

 カナダは京都議定書の下で、2008~12年の温室効果ガス排出量の平均値を1990年に比べて6%減らす約束をしている。しかし実際の排出量は大幅に増えており、目標の達成は難しい状況になっている。


<関連記事>

カナダが京都議定書脱退か 
カナダが温室効果ガス削減を義務付けた京都議定書から、12月にも脱退の見込みと地元TV報じる。
2011/11/29 06:47 【共同通信】
http://www.47news.jp/news/flashnews/

Canada to pull out of Kyoto Protocol next month (画像引用)
Canada will announce next month that it will formally withdraw from the Kyoto Protocol, CTV News has learned.
http://ottawa.ctv.ca/servlet/an/local/CTVNews/20111127/durban-south-africa-slimate-conference-setup-111127/20111127/?hub=OttawaHome

Canada to Pull Out of Kyoto Protocol Next Month, CTV News Says
http://www.bloomberg.com/news/2011-11-28/canada-to-pull-out-of-kyoto-protocol-next-month-ctv-news-says.html

COP17が開幕=ポスト京都は難航-温暖化対策を議論
日本やロシア、カナダは、議定書延長に反対
http://www.jiji.com/jc/c?g=int_30&rel=j7&k=2011112800720

バック・トゥ・ザ・USSR : 冷凍ビーム片手に「ユーラシア連合」でグローバル・プレーヤー復活目指すプーチン2011/10/06 07:59

バック・トゥ・ザ・USSR : 冷凍ビーム片手の「ユーラシア連合」でグローバル・プレーヤー復活目指すプーチン


海外メディアも日本メディアもウクライナに注目。確かにそこは欧州連合(European Union)とユーラシア連合(Eurasian Union)、さらに台頭する中国が交わるところ。三つ巴の戦いが繰り広げられることになるのか。

ソ連崩壊を「20世紀最大の地政学上の悲劇」と公言するプーチン。北極を取り込んで新たな地政学時代を切り開こうとする野望も。北極に埋もれた資源、さらには北極海航路こそがアジア太平洋と欧州を結びつける鍵になると見ている。

しかし、それもお天気まかせ。天を味方につけることができれば、プーチンにも勝機ありか。


<関連記事引用>

▼ロシア・プーチン氏、旧ソ連圏「EU型で地域統合」
2011/10/6 1:15
http://s.nikkei.com/o1Vf8O

 【モスクワ=石川陽平】2012年の大統領復帰が確実なロシアのプーチン首相が、次期政権の外交政策の目玉として旧ソ連圏で欧州連合(EU)型の地域統合を進める方針を打ち出した。4日付のロシア紙への寄稿で、旧ソ連諸国と経済を軸にした「ユーラシア同盟」を形成することを提唱した。地域統合をテコに経済面での国益を最重視した外交を欧州やアジアで展開する考えで、日本の対ロ外交も対応を迫られそうだ。

 ロシアでは外交は大統領が統括する。9月24日の与党の党大会で来年5月に大統領に復帰する意向を示したプーチン首相が、どんな外交方針を掲げるかが注目されていた。4日付の寄稿「ユーラシアのための新たな統合プロジェクト――きょう生まれる未来」は、復帰をにらんだ初の本格的な方針表明となった。

 その核となるユーラシア同盟について、首相のペスコフ報道官は5日付の有力紙コメルサントで、「目指すべきモデルで最も近いのはEUだ」と指摘。「ユーロ」のような統一通貨の導入や中央銀行の設立を念頭に置く一方、参加国は「政治的な主権を保持しなければならない」と述べた。

 ユーラシア同盟はロシアが10年7月にカザフスタン、ベラルーシと発足させた関税同盟が基盤となる。首相は寄稿で、域内関税を撤廃した関税同盟を、12年には資本と人の往来も自由にした「統一経済圏」に移行させる計画を説明。「国家の枠を超えた強力な統合」と位置付けている。

 首相が旧ソ連圏の糾合を目指す背景には、同盟創設で生まれる広大な経済圏を、ロシア経済の発展につなげる国益重視の基本方針がある。党大会での演説でも、世界11位の経済規模を急速に拡大し「今後5年間で世界5位の経済大国になる」と目標を掲げるとともに、「ユーラシア同盟の創設」に触れていた。

 首相は寄稿で、EUとの自由貿易体制を確立して「大西洋から太平洋まで」の広域経済圏をつくり、投資や貿易拡大に取り組む考えを示した。「同盟」の盟主ロシアがアジア太平洋と欧州の「両地域を効率的に結びつける役割を果たす」ことで、成長の果実を得るシナリオだ。

 新たな「同盟」の提唱には、旧ソ連第2の大国でEU加盟を目指すウクライナを、ロシアの影響圏に戻す狙いもうかがえる。首相は寄稿で「同盟の参加国はもっと早く強い立場で欧州と経済統合できる」と誘いをかけた。ウクライナなど親欧米路線に傾斜する国々は、ロシアの影響力拡大につながる「同盟」に慎重に対処するとみられる。

 プーチン次期政権が国益重視の実利外交を強めれば、北方領土問題を抱える日本も経済関係の強化をさらに加速する必要がある。日ロは10月後半にも官民合同の経済円卓会議を立ち上げる計画で、日本側は「経済パートナーとして日本の重要性を示し、政治関係の強化にもつなげる」(外務省幹部)考えだ。


▼プーチン・ロシア首相:「ユーラシア同盟」創設提案 旧ソ連再統合を念頭に
http://mainichi.jp/select/world/news/20111005ddm007030180000c.html

 【モスクワ田中洋之】ロシアのプーチン首相は4日付のイズベスチヤ紙に論文を発表し、20年前に崩壊したソ連の再統合を念頭に、ロシアと周辺諸国による「ユーラシア同盟」の創設構想を打ち出した。確実視される来年5月の大統領復帰に向けた新たな外交政策として注目される。

 プーチン氏は論文で、ロシアとカザフスタン、ベラルーシで構成する関税同盟や、この3国で来年発足する「統一経済圏」など旧ソ連の経済的再統合の動きに触れたうえで、ユーラシア同盟構想は「より高いレベルの統合に進む野心的な目標」と強調。ユーラシア同盟は「ソ連の再建ではない」としつつ、「新たな価値や政治・経済的な土台に基づく緊密な統合は、時代の要請だ」と述べた。

 プーチン氏はまた旧ソ連に残るインフラなどの遺産を活用するのは「我々の共通の利益」であり、世界的な経済危機の影響を克服し、成長を続けるには、大国ロシアを中心に旧ソ連諸国が再結集すべきだとの考えを示した。旧ソ連ではロシアが主導する関税同盟に中央アジアのキルギス、タジキスタンが加盟を検討。ロシアはウクライナにも加盟を求めており、プーチン氏としては関税同盟を将来的にユーラシア同盟へ発展させたい考えとみられる。

 一方、旧ソ連11カ国でつくる独立国家共同体(CIS)は形骸化が進んでおり、新たな同盟構想を打ち上げることで、ロシアが勢力圏とみなす旧ソ連での求心力を高める狙いもありそうだ。プーチン氏は大統領時代の05年、1991年12月のソ連崩壊について「20世紀最大の地政学的な悲劇だ」と発言していた。 毎日新聞 2011年10月5日 東京朝刊


▼ウクライナ前首相裁判 東西から圧力 大統領の誤算
2011.10.3 20:17
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111003/erp11100320210002-n1.htm

 【モスクワ=遠藤良介】ウクライナの親欧米派、ティモシェンコ前首相がロシアとの天然ガス取引をめぐる職権乱用罪に問われた裁判がこのほど結審し、11日にも判決公判が開かれる見通しとなった。欧州連合(EU)は裁判がヤヌコビッチ大統領による政敵排除の試みだとして圧力を強化。ロシアも「ガス取引に違法性はない」とヤヌコビッチ大統領を批判する事態となり、判決の行方が注視されている。

 ティモシェンコ氏は、ロシアがウクライナ向けの天然ガス供給を停止する“ガス紛争”のさなかだった2009年1月、不当に高いロシア産ガス価格を受諾し、国庫に損害を与えたとして起訴された。

 検察側が禁固7年を求刑したのに対し、ティモシェンコ氏は9月29日、約4時間に及んだ最終弁論で「これは古典的なリンチ(私刑)裁判だ」と猛反発し、徹底抗戦を宣言した。

 ティモシェンコ氏は04年、親欧米のユシチェンコ前政権を誕生させた「オレンジ革命」の立役者。10年2月の大統領選では親露派だったヤヌコビッチ氏に僅差で破れた経緯がある。

 EUは、有罪判決が出た場合にはウクライナと進めている「自由貿易協定」締結に関する交渉を放棄する構えを見せ、罪状の撤回を要求。米国も裁判を「政治的動機によるもの」とみて憂慮を表明している。

 親露派とされていたヤヌコビッチ氏は大統領就任後、EUとの統合路線を打ち出してEU・ロシア間のバランス外交に転じており、EUとの関係悪化は氏にとって打撃となる。

 一方、ロシアがティモシェンコ裁判の批判で欧米に同調したのはヤヌコビッチ氏の誤算だった。ロシアは、ヤヌコビッチ大統領がティモシェンコ氏を裁判にかけることで、09年に合意されたガス価格を引き下げようと恫喝を始めたと受け取めている。

 ロシアはベラルーシ、カザフスタンとの「関税同盟」にウクライナが加わることなどを価格見直しの条件に突きつけており、東西に挟撃されたヤヌコビッチ氏は難しい立場に置かれている。


▼ウクライナ:ロシア離れ鮮明 ガス価格めぐり対立再燃
http://mainichi.jp/select/world/news/20110926ddm007030179000c.html

 【モスクワ大前仁】ロシアとウクライナの天然ガス価格をめぐる対立が再燃し、ウクライナで新政権が誕生した昨年2月から進んできた両国の関係改善に陰りが見え始めた。ウクライナのヤヌコビッチ大統領は就任当初は「親露派」とみられていたが、最近はロシアとの均衡を図る狙いで欧米との関係強化に動き出している。来年ロシアの大統領に返り咲くことが確実になったプーチン首相が、隣国ウクライナの「ロシア離れ」の動きにどう対応していくかも注目されそうだ。

 ヤヌコビッチ大統領は24日、モスクワ近郊でロシアのメドベージェフ大統領、プーチン首相と続けて会談し、天然ガス輸入価格について協議した。ロシア政府は「一定の合意に達した」と説明し、25日にはロシア政府系天然ガス企業ガスプロムのミレル社長とウクライナのボイコ・エネルギー石炭産業相が具体策を交渉した。ただしウクライナが求める輸入価格の値下げや、ロシアからウクライナ経由で欧州へ延びるパイプライン使用料の値上げで、どの程度まで歩み寄ったのかは明らかにされていない。

 ウクライナは09年、欧州水準の価格に同意したが、昨年発足したヤヌコビッチ政権は、ロシア海軍の自国への駐留延長を受け入れる代償として、価格を3割引きする修正を勝ち取った。さらに今回は09年合意の全面的見直しを主張し、ロシアが応じなければ、ストックホルム商業会議所仲裁裁判所へ提訴する意向も示している。

 ヤヌコビッチ大統領が値下げを求める背景には、09年の合意を取りまとめた「政敵」のティモシェンコ前首相を失脚させる狙いがあるようだ。すでにウクライナの司法当局は、「自国に不利な合意を主導し、経済損失を与えた」として前首相を起訴。政権はロシアとの間で合意を撤回し、前首相の「非合法性」を決定づけたい考えとみられる。

 親露派とみられていたヤヌコビッチ大統領は先月、米紙ウォールストリート・ジャーナルに「ウクライナの未来は欧州連合(EU)と共にある」と題する記事を寄稿。欧州側も北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長が21日、国連総会の開かれているニューヨークでヤヌコビッチ大統領と会談し、対海賊作戦への参加を呼びかけるなど、協力強化を模索している。

 メドベージェフ大統領は、ロシアがカザフスタン、ベラルーシと構成する「関税同盟」にウクライナが参加するならガス輸出価格の値下げを考慮する考えを表明しているが、ウクライナ側は応じる姿勢を見せていない。 毎日新聞 2011年9月26日 東京朝刊


▼[FT]EUは旧ソ連諸国と真の協力体制を(社説)
2011/10/3 14:00
(2011年10月3日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
http://s.nikkei.com/qlaTTB

 欧州連合(EU)の東端とロシアの間に位置する旧ソ連6カ国との関係を、大半のEU諸国は経済・外交政策上の最優先事項ととらえてはいないようだ。無理もない。東方に目を向けるよりも、この2年はEU域内の債務問題などの対応に追われ、また「アラブの春」で民主化運動が広がった南方への関心が高まった。

■ロシアの影響や不十分な民主主義が足かせに

 東方への無関心さは、先週ワルシャワで開かれたEU加盟27カ国とアルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、グルジア、モルドバ、ウクライナによる「東方パートナーシップ」の首脳会議でも顕著だった。EU主要国首脳で会議出席の労を惜しまなかったのはドイツのメルケル首相のみ。英国はクレッグ副首相を送り込んだ。

 クレッグ氏はもっともな意見を主張した。東方パートナーシップのいずれの国でもEUへの参加を希望し、必要な基準を満たせば、EUは完全加盟も視野に入れてより緊密な連携を進めるべきだと論じた。加盟の見込みが開けることで、国内改革に弾みがつき、経済水準が引き上げられ、国際社会に対する責任感が増すという。地中海諸国から北欧、中欧へ広がる拡大戦略はEUの最も大きな成果を上げてきた外交政策といえる。

 しかし旧ソ連諸国がEUに全面的に頼るわけにいかないことは自明の理だ。地理的に近いロシアの軍事力や経済的重要性の影響を免れないこの地域では選択肢が限られている。さらにEU加盟協議を正当化するのに十分な民主主義や法制度が確立されていない国が大半だ。ワルシャワの首脳会議でもこの点が問題となり、ベラルーシの独裁政権に批判が集まった。

■まずはウクライナとのFTA締結から

 EU加盟への道のりは、ウクライナのように有益性を訴える国々にとってもまだ非常に遠く見える。だからこそEUは東方パートナーシップについて、もっと現実的で到達可能な目標に力を注ぐべきだ。まずは強力な民間ビジネスの風土を築き、貿易や投資に関して欧州ルールと整合性のある規制制度を設けるために支援することから始めればよい。

 手の届く目標の一つがウクライナとの自由貿易協定(FTA)締結だ。一部のEU諸国は、野党指導者のティモシェンコ前首相が刑事訴追されたことに懸念を示し、ウクライナとのFTAに反対している。この訴追が政治的締めつけの嘆かわしい例であることは疑いようがない。だが、政府当局がそうした締めつけをやめる正しい判断を下したとき、EUはそれに応え、FTA交渉を前進させる姿勢を示すべきだろう。


▼CISに進出を始めた中国、最初の狙いはベラルーシとウクライナ―ロシアメディア
http://www.recordchina.co.jp/group.php?groupid=54762&type=1

2011年9月26日、ロシア紙が「中国が独立国家共同体(CIS)に進入し始めた」と報じた。29日付で環球時報が伝えた。

記事によると、ロシア政府が長くロシアだけに属すると見なしてきた利権地域に対して、中国が進出を始めている。ベラルーシとウクライナへの投資をめぐっては、中国とロシアの長期的駆け引きがすでに始まっているという。

昨年末から、各国のトップはベラルーシと距離を置いており、特に欧米諸国はルカシェンコ政権との接触を避けているように見える。ロシアのメドベージェフ大統領でさえベラルーシを一度も訪問したことがなく、プーチン首相が2度訪問しただけだ。

ちょうどこの時期に、中国人大常委会の呉邦国委員長がベラルーシ入りした。現地ではプーチン首相以上の歓迎ぶりだったという。中国はこの時、経済悪化が著しいベラルーシに資金援助を約束。中国要人の1人は「中国政府は新しい友人を見殺しにはしない」との言葉を送ったという。

中国はウクライナも重視している。6月には、胡錦濤国家主席がウクライナを訪問。中国のトップによる約10年ぶりの訪問となった。その際両国は共同声明を作成し戦略的パートナーとなったことを宣言。CISの中ではロシア、カザフスタン両国だけがこの協定を交わしていた。

同宣言に関して中国側が最も関心を抱いていたのは軍事提携だ。ウクライナは中国の軍事大国化を助けてきた経緯があり、同国が提供してきた技術も、ロシアが対中国への提供を避けてきたものだからだ。(翻訳・編集/津野尾)


▼中国空母の新たな内幕:ウクライナ軍需企業と深い関係
http://j.people.com.cn/94474/7395927.html

 ロシア海軍の関係者は27日、カナダの軍事専門誌「漢和亜州防務」(Kanwa Asian Defence)の取材に、中国の艦載機パイロット地上模擬訓練システムはとウクライナの“ニトカ”システムと大きさから外観までよく似ていると話した。

 ▽ウクライナ製の主動力装置を装備

 同関係者は、ウクライナの国営企業が中国の航空母艦の建造と「ワリャーグ」の改修に深く参与した可能性が高いとしている。得られた情報はすべてこの企業からだが、ウクライナ側の参加規模は予想されているほどはないと強調する。

 「ワリャーグ」はウクライナ製の主動力装置を搭載するという報道は確かで、他にもウクライナ側は中国にジュブル型エアクッション揚陸艦4隻を提供したと報道されているが、実際には2隻の揚陸艦が提供されたという。

 ウクライナの専門家は中国・哈爾浜(ハルビン)のボイラー工場を視察。ハルビンのボイラー工場における大出力の軍用ボイラーと動力装置の生産が、ウクライナと中国海軍の最大プロジェクトとなっている。ただ、新型ボイラーがまもなく完成する空母に設置されるかについては明らかにされていない。

 「ワリャーグ」と中国独自に開発した空母にはウクライナの大型軍用ボイラーを搭載。すべての作業は非常に順調に進んでおり、ウクライナは中国側にテスト用のボイラーを数台提供することになっている。

 ▽訓練、武器、技術などで協力

 中国が建造した艦載機のパイロット地上模擬訓練システムに関して関係者は、両国の協力には限界があるという。その理由は、ウクライナ側はすでに技術と武器・装備を売却し、軍用施設の建設には係わらないためだ。ウクライナは中国側は関連施設の内部計画の相談を受け、建物と施設に関する情報を提供したに過ぎない。

 こうしたサポートだけでも、中国にとってはかなりの成果といえる。ウクライナとの協力を通じて、中国はすでに訓練施設の建設方法が明白になったと思われる。

 ウクライナは今後もさらに中国に武器と技術を売却するチャンスがある。かつて中国に空対空ミサイル「R-27T/R」を提供したARTEM社は、単独輸出の権利をもつため、対戦車ミサイルを輸出できるし、ハルコフ設計局もおなじく、6TD-2型戦車用エンジンを輸出する権利があり、アントノフ社とイーフチェンコ社は直接中国に航空エンジンを提供することが可能だ。

 中国の空母建造に対するウクライナからの支援について、ウクライナの関係者は、中国にはごく限られた人数の専門家しか派遣していないと話す。このことから、解雇された大部分の専門家は個人的に中国に渡った可能性があるとみられる。

 「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年5月30日


<画像引用>

Новый интеграционный проект для Евразии — будущее, которое рождается сегодня
http://www.izvestia.com/news/502761

「日本化」する欧米、国債バブルも世界に飛び火で悪循環の罠に、負の連鎖をぶっ壊す起死回生の成長戦略とは2011/08/23 08:36

「日本化」する欧米、国債バブルも世界に飛び火で悪循環の罠に、負の連鎖をぶっ壊す起死回生の成長戦略とは


さすがに今まで狙って外してきたとは思えないが、もしも大当たりの成長戦略が登場したら・・・。その時、日本の国債バブルは見事に弾けるだろう。このあたりの事情をNHKブログ・時論公論がわかりやすく説明している。

「日本の銀行がかくも大量に国債を買っているのは、企業に資金ニーズがない上に、少子高齢化社会のもと、国内に成長が期待できる有望な投資先がないからです。20年前まで不動産融資に走っていた銀行が不動産の代わりに日本国債を買っている構造は、国債バブルと呼んでもいいかも知れません。バブルだからこそ、格付けとは無関係に国債が買われ続けているにすぎないのです」とある。

注目はその次。「例えば、政府の成長戦略が成功して銀行が企業に本格的に資金を貸し付けるようになれば、国債バブルは終わってしまいます。皮肉な言い方をすれば、政府の成長戦略が失敗し続けているために、国債の暴落が先延ばしになっていると考えることも出来るでしょう」とズバリ指摘。

政府の失敗続きの成長戦略が支えてきた国債消化。しかし、政府だけが悪いわけではない。成長分野を見いだす努力も成長分野を育てる努力もせずに、リスクを恐れて国債に殺到する金融機関にも問題がある。結果として民間にカネが流れず、成長阻害要因になってきた。

そんな金融機関も大当たりの成長戦略が登場すれば、儲けが薄い国債などさっさと見放すだろう。その時、これまでの国債消化構造が大きく揺さぶられることになる。

頭のいい政治家や官僚はそのことがわかっている。本物の成長戦略が諸刃の剣になり得ることがわかっている。大当たりの成長戦略を恐れている。そのために負の連鎖を断ち切る努力をするどころか大いに甘えてきたのだ。

「日本化」する欧米。リスクオフの動きが広がる中で国債バブルも世界に飛び火。それは日本型長期低迷を予感させるもの。

しかし、バブルはいつか弾ける。国債バブルとて同じ。国債バブル崩壊は一歩先行く日本から始まる可能性ありと見る。皮肉にもその時が長期低迷脱出の合図となるかもしれない。

欧米が描く起死回生の成長戦略。怪しげな地球温暖化祭りが終焉した今、そのネタは中国の台頭がもたらす軍拡祭りに潜んでいる。

日本としても米中冷戦ゲームをしたたかに利用するという発想が必要。軍拡祭りで試される日本のモノづくり。残念ながら負の連鎖を断ち切るにはこの古臭い手口に頼るしかないと思う。


<関連記事引用>

▼時論公論 「国債格下げが問いかけているもの」 (画像引用)
2011年02月17日 (木)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/72851.html

先月末アメリカの格付け会社が日本の国債の格付けを引き下げました。3週間経った今、国債や円の相場は落ち着きを取り戻していますが、それをもって問題が終わったわけではありません。今晩は国債の格下げがいったい何を問いかけたのか、これに対して日本はどう対応するべきなのかを考えてみたいと思います。

国債の格付けは、国や地域の信用力を表すもので、格付け会社スタンダード&プアーズの場合、米英独仏といった主要先進国を最も高い格付けに、ベルギーをその次に、そして日本やスペイン、チリなどを三番目の格付けにしていました。しかし先月27日、日本の格付けを引き下げた結果、日本の国債は、中国やサウジアラビアなどと同じ4番手に転落しました。チリより格付けが低いことには違和感がありますが、格付け会社は、「その国の経済力ではなく、借金の返済能力や国家破産を回避できるかどうかといった観点から、日本はスペインやチリ以下である」と判断しているのです。

別の大手格付け会社ムーディーズも、日本の税制と社会保障制度の改革が進まなければ国債を格下げすることもあり得るという見解を今月初め示しています。

格下げ直後こそ日本の国債や円の値動きに若干影響がありましたが、三週間経った今は、おおむね平常な状態が続いています。マーケットが沈静化した最大の理由は、日本の国債の場合、外国人の保有比率が5%と極めて低いことです。

この一年くすぶり続けているヨーロッパ経済危機と比べるとその違いは著しいものがあります。危機の発端となったギリシャの場合国債の外国人保有比率が70%近くと極めて高いため、格付けを下げられてしまうと、外国人投資家に国債を買って貰うために利回りを上げなければならず、財政がたちまち深刻化してしまいます。そして最終的には国債をマーケットで消化することを断念して、EUやIMF・国際通貨基金に低利の資金支援をあおがざるを得なくなってしまうというわけです。

ところが日本の場合は外国人の比率が低く、格付けに左右されにくい日本の金融機関が国債の三分の二を持っているので長期金利が跳ね上がらないという有難い仕組みになっています。

それでは、日本に国債暴落の危機はないのか、日本の国債は永久に消化され続けるのかと言えば、それは甘過ぎます。幾つかのリスクがあるからです。

第一に、日本の銀行がかくも大量に国債を買っているのは、企業に資金ニーズがない上に、少子高齢化社会のもと、国内に成長が期待できる有望な投資先がないからです。20年前まで不動産融資に走っていた銀行が不動産の代わりに日本国債を買っている構造は、国債バブルと呼んでもいいかも知れません。バブルだからこそ、格付けとは無関係に国債が買われ続けているにすぎないのです。

例えば、政府の成長戦略が成功して銀行が企業に本格的に資金を貸し付けるようになれば、国債バブルは終わってしまいます。皮肉な言い方をすれば、政府の成長戦略が失敗し続けているために、国債の暴落が先延ばしになっていると考えることも出来るでしょう。

第二に、国債が何かのきっかけに値下がりし始めて先安感が拡がれば、日本の銀行は我先に避難口に殺到し、結果的に国債が暴落するリスクも考えられます。90年代のバブル期とその崩壊の記憶を呼び起こしてみれば判ることですが、日本の金融機関は何かあると同じ反応をする傾向が強いので、国債の安定保有先が金融機関に集中しているから安心だと考えるのは楽観的過ぎるでしょう。むしろ一旦事が起きた場合には、保有先に多様性がないことが命取りになりかねません。

もう少しマクロの視点から見ても、心配があります。

日本の国と地方の借金の長期短期合わせた額は1100兆円。世界最大ですし、借金がGDPの2倍を超える例は主要国では戦争の時以外ありません。欧米の国々が戦後の右肩上がりの経済成長に乗って比率を下げて行ったことを考えますと、これから少子高齢化が一段と進む日本が、戦時下でもないのに、身の丈をはるかに超える借金を抱えてしまっている事実には暗澹たる思いがします。早く手を打たないと、財政破たんが一気に現実のものになりかねないからです。

具体的には、2015年以降、団塊世代の退職などで日本の貯蓄率がマイナスに転じるだろうと見られています。預貯金の取り崩しに加えて海外資産の取り崩しも始まります。そこから、日本が経常収支で赤字国に転落するまでの道のりは10数年から20年位だとも言われています。

もし国債が暴落すれば長期金利が上昇します。破産、倒産が急増し、失業者がまちに溢れます。インフレで年金生活者をはじめとして生活に困窮する人が増える。急激な円安が進んで国はどんどん貧しくなっていく。そういう悪夢が現実のものになれば、この国は一巻の終わりです。

何もしなくても酷いことにはならないかも知れませんが、もし何か起こったら既に手遅れになっていて、甚大な被害を蒙るリスクがあるという意味では、地球温暖化問題ともどこか似通っているかも知れません。今まで大丈夫だったから、この先も赤字国債を増やしていっても大丈夫だという保証など実はありません。そこに財政問題の難しさがあります。

その意味では、財政規律を保つために消費税増税は避けて通れないと私は考えています。ただ財政赤字の穴埋めのための増税は国民の理解が得られないでしょうから、財政支出の最も大きな部分を占める社会保障制度の再構築と組み合わせて消費税増税を打ち出す必要があります。しかし行政機構の改革を含めて、説得力のある方向性はいまだ示されていません。

国債暴落の危機を回避するという観点からみますと、政局第一主義が蔓延っている今の政治も罪深いと考えています。建前はともかく、消費税問題も、社会保障制度の再建に向けた行政改革といった、本来政治がリーダーシップをとるべき問題で、政治が解決能力を失っているように見受けられます。市場関係者の中からは、政党再編によって安定政権を誕生させて経済を建て直すことだけが唯一の希望だという声が出ていますが、危機感が高まるに連れて、こうした一見乱暴な議論にも説得力が出てくるでしょう。

先日、10数人の企業の中堅幹部たちと日本の将来について議論しました。政治に問題解決が期待出来ない以上、多少の出血は覚悟してでもIMFの支援を仰いだ方が犠牲は少ないのではないかと議論を吹っ掛けてみました。それに対してある外資系企業の幹部が、「多くの日本人が、血を流しながら気持ちよさそうに目を閉じていくのではないか」と応じたことが忘れられません。つまり、もう手遅れだと言っているのですが、そこまで悲観的にはなれないにしても、危機が相当間近に迫っていることだけは、わたくしたちも理解しなければならないでしょう。
(大島春行 解説委員)


▼財政見通しの悪い日本から経済危機が起きない理由(2)=中国
2011/08/18(木) 12:52
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2011&d=0818&f=business_0818_105.shtml

 日本の今の経済状況はデフレ均衡状態にあると言えるだろう。資金力を持つ大企業は国内設備投資をしたがらない。この不景気な状況で、信用不足の中小企業に銀行も融資したがらない。景気回復を目指した財政支出は、実体経済には反映されないばかりか、銀行が資金の運用先として国債購入に殺到するという有り様だ。

 もとより日本の基準貸付利率は非常に低いため、安定した利子収入が得られる国債投資の方がいいと判断するわけだ。このため、日本国債の格付けがどのように変化しようと、投資者に大きな影響を及ぼすものでないのだ。

 だが、日本経済が上向きに変化した場合、銀行にとって金利収入がより高い投資対象が増え始める。この時、均衡は大きく崩れ、日本国債は徐々に国内投資家に見放されていくだろう。日本国債の償還には、より高くなった利率が付く。その時、国債償還が不可能になる真の財政破綻のリスクが出現するはずだ。(おわり 編集担当:米原裕子)


▼【オピニオン】米債券バブルへの答えは株式にあり
ジェレミー・シーゲル、ジェレミー・シュワルツ
2011年 8月 22日 17:40 JST
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/node_292956

 我々は1年前、このようなコラムに『The Great American Bond Bubble』という論文を寄稿し、米長期国債の利回りは維持不可能であり、債券ファンドに殺到する向きは、金利が上昇した時に後悔するだろう、と書いた。確かに昨年秋に長期金利は急上昇した。しかし最近になって、景気減速と、2年間低金利を維持するという米連邦準備理事会(FRB)の「公約」を受けて、米国債の金利は昨年夏よりもさらに低い水準へと低下、債券バブルは破裂に向かって膨らんでいる。

 我々にまったく納得がいかない市場のひとつが、米財務省物価連動国債(TIPS)である。最近の利回りは、リプリーの『Believe It or Not!(信じられないような実話を集めた番組)』に取り上げられんばかりだ。指標となる10年物TIPSの利回りは史上初のマイナスとなった。投資家は、今より低い価値に相当する資金を10年後に受け取るために政府に金を貸していることになる。

(中略)

 景気低迷のなかでも、企業部門は記録的な利益を生み出し、配当を増やしている。我々は、かつてないほど危険に思える債券市場に対する答えは、有配株であると信じている。


▼新興国の国債に買い-株価急落の中で安全資産と見なす動き広がる
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920011&sid=aO6JmJ13ryaM

 8月22日(ブルームバーグ):新興国の国債が5年ぶりに高リスク資産とは異なる動きを示し、投資家が最も安全と見なす資産との連動性を高めている。

 新興国の自国通貨建て債の相場が上昇し、こうした債券の利回りを示す指数は9カ月ぶりの低水準となった。景気停滞懸念に伴い、同等格付けの米社債相場は今月下落し、世界の株式市場の時価総額が6兆8000億ドル(約521兆円)失われたにもかかわらずだ。

 ブルームバーグがまとめたデータによれば新興国の債券利回りは、米S&P500種株価指数の恐怖指数として知られるボラティリティ指数(VIX)から2006年5月以来初めて別の動きを見せる一方、米国債との連動性が5年間で最も高まっている。

 債券ファンド最大手、米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO)の新興市場担当共同責任者、マイケル・ゴメス氏(ミュンヘン在勤)は17日のブルームバーグラジオとのインタビューで、「世界的な成長鈍化の時代に入ったのであれば、新興国の自国通貨建て債は好調が続くだろう」と指摘した。

 新興国の債券は08年10月と10年5月には、投資家がリスク資産を回避する中で株式とジャンク(投資不適格)級社債と共に売られたが、ファンドマネジャーは今ではインドネシアやトルコのソブリン債を米国やドイツの国債と同じように安全な逃避先と見なしている。

「政府・日銀がやらねば誰がやる」と「スイス国立銀行がやらねば誰がやる」、キャシャーンの共演に市場は冷ややか2011/08/05 07:55

「政府・日銀がやらねば誰がやる」と「スイス国立銀行がやらねば誰がやる」、キャシャーンの共演に市場は冷ややか


「政府・日銀がやらねば誰がやる」、それはまるでキャシャーン。経済界の悲鳴に応えて立ち上がった政府・日銀。急激な円高進行阻止、産業空洞化回避に向けて総動員体制。

「急激な円高を許さないというメッセージを送ることができた」と評価したのは経団連の米倉弘昌会長。この声を引き出そうと大損覚悟で孤軍奮闘のキャシャーン。

キャシャーンの仲間は唯一スイス。日経は「日本政府はスイス当局との間で何らかの情報交換か、合意があったのではないか。もし介入に動くなら、4日だと思っていた」とする外資系金融機関の為替ディーラーのコメントを紹介。

合意があったとする見方にはいささか疑問を感じるものの、スイスの事情は日本と同じ。フラン高にスイスの輸出企業も悲鳴。

「政府・日銀がやらねば誰がやる」と「スイス国立銀行がやらねば誰がやる」が相乗効果を狙って組んだ可能性は否定できない。

しかし、その効果が一時的なものとなるであろうことはみんな知っている。市場も冷ややか。

ロイターが指摘しているように、現在の円高やフラン高は世界経済の減速懸念や欧米の債務問題に起因。キャシャーンがいくら頑張っても問題の根を取り除くことは不可能。この先も円やフランが買われる材料が相次ぐことが予想される中で、繰り返し大損覚悟の介入を迫られる可能性も。

その第一弾が今日。日本時間の5日夜に発表される米国の雇用統計に市場が注目。キャシャーンにとって早くも正念場。

大損覚悟でキャシャーン化するよりも、欧米交えた世界的な新成長戦略実現会議を開催する方が効果的ではないのか。

地球温暖化祭に気候変動祭もウソがばれて失速状態。そこに連動していた原発祭もフクシマで大揺れ。怪しげな太陽光祭に風力祭にスマート・グリッド祭が世界経済を救うとは思えない。

誰もが今、新成長戦略を求めている。誰もが楽しめる本物の祭を待ち望んでいる。


<関連記事引用>

▼ 円高阻止、ラストチャンスに賭けた当局 決戦は金曜日
2011/8/4 16:20
http://s.nikkei.com/qKQ9hz

 急激な円高を阻止するため、政府・日銀が4日、約4カ月半ぶりに円売り・ドル買いの市場介入に乗り出した。日銀も呼応するように、追加の金融緩和策を実施。最高値をうかがう勢いだった円相場は急落し、円高にひとまず歯止めがかかった。だが1ドル=80円を上回る円高は、東日本大震災からの復興を目指す日本経済にはなお重い足かせ。次の一手が最大の正念場になる。

 介入の伏線はあった。スイスだ。

 スイス国立銀行(中央銀行)は3日、スイスフラン高に歯止めをかけるため、政策金利の引き下げを決めた。ある外資系金融機関の為替ディーラーはこう勘繰る。「日本政府はスイス当局との間で何らかの情報交換か、合意があったのではないか。もし介入に動くなら、4日だと思っていた」

■「協調介入」と同じ効果を演出

 自国通貨高に苦しむ状況はスイスも同じ。経常黒字国のスイスは日本と並ぶ通貨避難国として、市場参加者から認識されている。実際、主要通貨の動きを各通貨の総合的な価値を示す実効為替レート(日経通貨インデックス)でみると、先週1週間で最も上昇したのはスイスフランの2.35%。円の0.95%と比べて2倍以上も上昇していた。

 今回、スイスと呼応してドル安阻止の姿勢を示せば、日本単独で介入を実施するよりも大きな効果を期待できるとの計算が働いたのは間違いない。天災による日本経済の失速を抑えるため、欧米当局が介入に協調姿勢を示した東日本大震災直後と違い、欧米の債務不安を背景にした今回の円高局面では、欧米当局との協調を見込みづらいとの事情もあった。

 実は4日以前にも介入を実施するチャンスはあった。週初の1日午前だ。オバマ米大統領が7月31日夜(日本時間1日午前)の緊急記者会見で、ドル不安の根因だった米債務上限引き上げ問題で米議会指導者が合意したと発表。円相場は会見直後に一時、1円以上も円安に振れた。

 これまで幾度となく円高に悩まされた通貨当局の財務省には、代々引き継がれてきた円売り介入の鉄則がある。「円高加速時の介入はムダ玉。円高が収まったタイミングを狙え」。だが当局は介入をためらった。理由は「米国経済への不安」だった。

 1日から始まる週には、重要な米経済指標の発表が控えていた。ドル相場に大きな影響を与える7月の非製造業景況感指数と雇用統計だ。政府・日銀は米指標と円相場を見守りながら、日銀が金融政策決定会合を開く4日を待った。幸運にも景況感指数が発表された3日の欧米市場では米株価が何とか持ち直し、円高は加速しなかった。

■ファンドの円買いは既にピーク

 まだ日本時間5日夜には米雇用統計の発表が控えている。だが当局が市場参加者から情報を集めやすい東京市場の時間帯と違い、雇用統計が発表される欧米市場の時間帯はヘッジファンドが売買を主導するため、情報把握が難しい。円最高値更新が目前に迫るなか、前日にスイスがドル安・フラン高を阻止するために利下げに踏み切った直後で、日銀が決定会合を開く4日は最後の、そして最大の介入のチャンスだった。

 為替相場に大きく影響する需給関係も当局に味方した。ヘッジファンドの売買動向を映すシカゴ・マーカンタイル取引所の通貨先物取引の「非商業部門」による円の買越額(7月26日時点)は昨年9月の円売り介入直前以来の高水準まで積み上がっていた。リスク管理上は思い切った円買いが難しい状況で、東日本大震災直後の円高時のように外国為替証拠金(FX)取引を手がける日本の個人投資家、いわゆる「ミセス・ワタナベ」の円買い戻しを巻き込んで円高を加速させる余力は残っていなかった。

 だが今回の円高阻止策は、市場にそれほど大きなサプライズを与えていない。円安の勢いは1ドル=80円を前に足踏みし、それを見た株価も伸び悩んだ。円売り介入と金融緩和の組み合わせは1年前の昨年秋の円高阻止策と変わらない。しかも当時は「6年半ぶりの介入」と「4年ぶりのゼロ金利復活」というサプライズ要因があった。

 先行きの円相場を占う最大の焦点は、週末金曜の日本時間5日夜に発表される米雇用統計だ。米経済の不安材料である雇用の回復が見られなければ、介入でひとまずドルを買い戻したヘッジファンドが再びドルを売り浴びせる契機になりかねない。

■大きな驚きのない円高阻止策

 クレディ・スイス証券の深谷幸司氏は「金曜夜にかけて、政府・日銀は積極的な円売り介入を継続せざるを得ない」とみる。いったん市場参加者が「政府・日銀の円高阻止の姿勢は強くない」と判断すれば、今回の当局の対応は徒労に終わりかねないからだ。

 今回、1ドル=80円を下回る円安水準の定着を実現できなければ、円高で海外企業との競争力低下に苦しむ日本企業の海外移転は止まらないだろう。円売り介入を再開した昨年9月から今回は3回目の介入。1回目は6年半ぶりの大規模介入とゼロ金利復活、2回目は欧米当局を巻き込んだ協調介入だった。

 市場参加者にサプライズを与えることで円高を抑えてきた政府・日銀。切れるカードが限られるなか、次に繰り出す一手が円高を阻止し、当局の影響力を維持できるかどうかの正念場になる。(小栗太)


▼ フラン高に企業が悲鳴、ゼロ金利は魅力消さず-同じ悩みの日本は介入
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920008&sid=a_IwpSBrx8Og

 8月4日(ブルームバーグ):スイスの輸出業者たちが悲鳴を上げている。ユーロ圏債務危機の悪化に伴う資金逃避でスイス・フランが急上昇したからだ。

 フランは2008年初め以来、スイスの主要貿易相手国の通貨バスケットに対して42%上昇した。それ以前の10年間はほぼ横ばい。経済協力開発機構(OECD)によればフランは今や、世界で最も過大評価された通貨だ。スイス国立銀行(SNB、中央銀行)は3日、フラン高に歯止めを掛けるため緊急利下げでゼロ金利政策に踏み切った。

 欧州の債務危機に加え債務上限引き上げをめぐる米国の政治混乱を受けた資金逃避で、フラン相場は10年間の平均から大きくかい離した。時計メーカーのスウォッチ・グループや電力網敷設で世界最大手のABBなど輸出企業は海外での収益の目減りに直面している。

 スイスの家電メーカー、AFGアルボニアフォルスター・ホールディングのダニエル・フルーティヒ最高経営責任者(CEO)は「毎日損失を被っている」として、「為替相場の小さな動きも当社の業績に甚大な影響を与える。事態は極めて危機的だ」と語った。

 同様に自国通貨高に悩まされている日本は4日、外国為替市場での介入に踏み切った。野田佳彦財務相によれば、日本当局は諸外国と連絡を取ったものの、介入は単独で実施した。

 スイス中銀は3日、フラン売り介入には言及しなかったものの利下げと同時に、必要ならば「一段の措置を取る」と表明。フランは中銀発表後に一時3%安まで下げた。SNBは短期市場でフラン資金の供給を増やすことも発表した。

 フランが買われる理由の1つは経常収支の黒字だ。中銀の措置でフラン高に歯止めを掛けるのは難しいとの声もある。

 バークレイズ・キャピタルのエコノミスト、トルステン・ポライト氏(フランクフルト在勤)は「現在のフラン高は金利差に基づいたものではなく、投資家のリスク回避志向の結果だ」として、今回の「措置は状況改善には非力だろう」と話している。


▼ 〔アングル〕市場は介入効果の持続性を疑問視 終値79円台維持が焦点
2011年 08月 4日 17:03 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK047910120110804

 [東京 4日 ロイター] 政府・日銀の為替介入は東京市場でドル/円を2円以上押し上げたが、市場は効果の持続性を疑問視している。現在の円高は世界経済の減速懸念や欧米の債務問題に起因しており、日本の対応だけでは問題の根を取り除くことができない。5日の米雇用統計など、この先も円が買われる材料が相次ぐことが予想され、4日終値で79円を維持できないと繰り返し介入を迫られる可能性がある。

 <介入のタイミングはサプライズ>

 市場は政府・日銀が為替介入に踏み切ることは予想していたが、そのタイミングには意表をつかれた。「5日に日銀が緩和を決定して、それでも円高が続くなら来週介入する、場合によっては明日の追加緩和とセットで介入すると市場は考えていた。それが今日だったのは意外感があった」と、米系銀行の外為アナリストは言う。それだけに介入の効果は高く、ドル/円は介入直前の77.10円付近から東京時間終盤には79.40円近辺まで水準を切り上げた。

 市場筋によると、介入はロンドン市場でも続いたとみられ、東京時間の午前中から断続的に実施された。5日の雇用統計は相場を1円以上動かす力のある材料だけに、介入前の水準77円前半で過去最安値76.25円を割り込む可能性があった。統計発表前に最安値からの距離を広げておく必要があり、「78円程度まで水準を押し上げておけば、仮に5日の米雇用統計が悪く下振れしても、さすがに1日で2円は下落しない」(外為どっとコム総合研究所の植野大作社長)との指摘があった。

 しかし、ドル/円を下落させる要因は雇用統計だけではない。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が米国を格下げしてくる可能性や、欧州債務問題がスペインやイタリアに波及する懸念もくすぶっている。米国が8日の連邦公開市場委員会(FOMC)で追加緩和の議論をする可能性もある。「今日について言えばサプライズだったし、いったん投機筋をけん制する効果はあるだろう」と、バンクオブアメリカ・メリルリンチのFXストラテジスト、藤井知子氏は言う。「しかし元を断つことはできない。次に円高が来たときにどうするのか」。

 <G7メンバーの度重なる介入難しい>

 市場関係者は、この先も介入が繰り返されるとみている。3月末時点の外国為替資金証券の残高をみると、介入資金が上限に達するまではまだ約39兆円程度の余裕がある。「介入はまだ続くと思っている。5日の米雇用統計後、二の矢ぐらいは用意されているのではないか。今回はかなり覚悟を決めている感じがする」と、クレディ・スイス証券の外国為替調査部長、深谷幸司氏は話す。

 「デフレから脱却できるまでは円売り介入や金融緩和を続ける、といったコミットメントがなければ、円高阻止の持続性は乏しい。7月の米雇用統計やFOMCなどがドル安/円高方向に働く結果となれば、また追加の円高対策が必要になる可能性がある」(マネックス証券 チーフ・エコノミストの村上尚己氏)との声も聞かれた。

 しかし先進7カ国(G7)メンバーの日本が、たびたび介入することは難しい。3月の協調介入を含めると、ここ1年で日本の介入は3回目になる。「G7の中で発言権を維持したければ、介入は過度な変動、無秩序な値動きのときに限られる。日本はまた苦しい選択を迫られるときが来る」と、バンクオブアメリカの藤井氏は話す。ロンドン時間序盤でドル/円は79円後半まで上値を伸ばしているが、「今日の引け(ニューヨーク市場終値)で最低79円以上は維持してもらいたい。そうしないと、これから後が怖い」と、藤井氏は言う。(ロイターニュース 久保 信博記者)


▼ 円売り介入、4兆円規模に 政府・日銀
2011/8/5 1:21
http://s.nikkei.com/nQboI2

 政府・日銀は4日、大幅な円高の是正に向けて為替介入と金融緩和を同時に実施した。断続的な円売り・ドル買いの介入とともに、日銀は追加緩和策として資産買い入れ基金の10兆円増額を決めた。円売り介入は海外市場でも継続しており、介入額は過去最大の4兆円規模に膨らんだとみられる。円相場は介入前から3円以上も円安に振れ、一時1ドル=80円台前半まで急落した。

 介入と金融緩和の同時実施は、円高で日本の経済成長が下振れするのを避けるため、政府と日銀が協調して市場に「強い姿勢を示す」(白川方明総裁)狙いがある。

 日銀は4日から2日間の日程で開く予定だった金融政策決定会合を1日に短縮し、追加緩和を前倒し決定した。国債や社債、上場投資信託(ETF)などの購入の原資になる資産買い入れ基金の規模を従来の40兆円から50兆円に引き上げた。

 基金のうち、資産の買い取り枠を従来の10兆円から15兆円に増額。年0.1%の低利で長めの資金を貸し出す固定金利オペ(公開市場操作)の供給枠も30兆円から35兆円に増やした。市場金利の低下を促し、企業マインドの低下を防ぐ。

 政策金利は従来の年0~0.1%に据え置き、ゼロ金利政策の維持を決めた。米景気の減速懸念など、海外経済の「不確実性は大きい」(白川総裁)と判断。円高に電力供給不安が加わり、企業の海外シフトが加速する恐れもあるとみている。

 日銀の追加金融緩和に先立ち、政府・日銀は4日午前、約4カ月半ぶりとなる円売り・ドル買い介入に踏み切った。介入は取引が海外市場に移ってからも断続的に続いており、円相場は一時80円25銭まで下落した。

 市場では介入規模は4兆円前後と、1日の介入額としては過去最大に膨らんでいるとの見方が出ている。野田佳彦財務相は4日午後、記者団に「引き続きマーケットを注視しながら対応していきたい」と話し、介入継続に含みを残した。

 政府・日銀が為替介入を実施したのは東日本大震災直後の3月18日以来、約4カ月半ぶり。円相場は1日の海外市場で震災後に付けた最高値(1ドル=76円25銭)に迫る76円29銭を付けていた。


▼ 日本の介入「多国間の決定ではない」 欧州中銀総裁
2011/8/5 0:19
http://s.nikkei.com/qqwWIC

 【フランクフルト=菅野幹雄】欧州中央銀行(ECB)のトリシェ総裁は4日の記者会見で、日本の通貨当局が同日実施した円売り市場介入について「欧州中銀の理事会は、こうした介入には常に多国間の合意と決定が必要という立場を明確にしている。私の知る限り、今回はそうした多国間の決定とはいえない」と述べ、介入実施にやや批判的な見方を示した。


<関連記事>

NY株が大幅下落、終値512ドル安 世界景気に懸念
http://s.nikkei.com/oRbl1M

米国株:急落、S&P500は09年以来の大幅安-世界的な景気不安で
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=a0hxHbGUTUC4

世界株安の展開、資金は株からスイス・フランや米国債に-円下げ渋る
http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90900001&sid=aUJ17TcfGhx4

ECBが金利据え置き、国債買い入れを再開
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-22548920110804?sp=true

「急激な円高を許さないというメッセージを送れた」 経済3団体トップが評価
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/110804/biz11080419240034-n1.htm


<画像引用>

新造人間キャシャーン
http://www.youtube.com/watch?v=LNHbsdQP1PA