5月3日、経済産業省総合資源エネルギー調査会第9回鉱業分科会が行われました。
日経新聞もレアメタル記事を朝夕掲載。
日本経済の将来を大きく左右する問題と見て、その記事をここに残しておきます。
北朝鮮もレアメタルの潜在的埋蔵国。
その北朝鮮がレアメタル大国である中国の影響下に入る可能性が出てきた。
その中国は国家戦略物資と位置づけて資源ナショナリズムの傾向を強めている。
この問題ひとつとっても日本は中国との関係強化に乗り出さざるを得ないはず。
ところが日中レアアース交流会議も滞りがち。
日本ではギャーギャー騒ぐ反中が流行中。
これに政策まで迎合させる必要などまったくない。
現実を見据えたしたたかな対応が求められる。
<画像引用>
レアメタル確保のための戦略的アプローチ
http://www.mof.go.jp/kentoukai/gyouseiunei/santouwt/siryou/200528_01.pdf
<日経記事引用>
レアメタルの国家備蓄拡充、数量・品目なお不足――レアアース追加も検討。
2009/06/03日本経済新聞朝刊
政府が補正予算成立を受けてレアメタル(希少金属)の国家備蓄拡充に乗り出す。従来の鉄鋼添加向け7種に加えて、液晶パネル材料のインジウム、発光ダイオード(LED)材料のガリウムの備蓄を開始。今後予想される価格高騰局面での供給不安を軽減する。ただ、備蓄量と対象品目の少なさを指摘する声もあるなど、課題も多い。
「市況に影響を与えないように、静かに徐々に備蓄を積み増したい」。石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)で、国家備蓄の実務を取り仕切る馬場洋三希少金属備蓄部長は今後の買い増しを控え、やや緊張した面持ちだ。
インジウムの国際価格(中値)は現在1キロ350ドル、ガリウムは1キロ450ドル、それぞれ過去数年の最高値水準のほぼ半値。在庫量も多いことから日本の備蓄が市況を大きく左右する可能性は小さそうだ。
しかし「国の買い付けを市場が注視しているのは当然」(大手商社)。米国では国防総省が秘密裏に備蓄を進めるのに対し、日本は入札買い付けの2週間前には発表する。レアメタル専門商社、アドバンスト・マテリアル・ジャパンの中村繁夫社長は「レアメタル市場は規模が小さく、情報を投機筋などに利用されかねない。産業を守る視点からもっと戦略的な備蓄法も検討すべきだ」と指摘する。
備蓄数量も十分とはいえない。例えばパソコン用のリチウムイオン電池の正極材などに使うコバルト。年間需要は約1万4千トンだ。しかし、需要の7割を占める2次電池向けについては、制度スタート時に想定されていなかったため、今も備蓄量の算定基準に含まれない。その結果、備蓄目標として定める「需要の2カ月分」は、本来2千トン以上になるはずだが、実際の備蓄量は400トンにとどまる見通しだ。
コバルトは電気自動車用のリチウムイオン電池にも採用予定で、一段と需給が引き締まる可能性もある。1983年に始まった備蓄制度はニッケルやクロムなどが対象で、鉄鋼産業を支えることを主目的にしてきた。このためハイテク産業の成長への対応が遅れが目立っていた。
備蓄品目を拡充すべきだという声も強い。東京大学生産技術研究所の岡部徹教授は排ガス浄化に使うロジウムなどの重要性も指摘。「31種類に固定化しているレアメタルの分類見直しも含めて備蓄対象を増やし、安値で迅速に買い付けに動ける環境が必要」と話す。
経済産業省は現在、磁石原料になるレアアース(希土類)など、5品目についても備蓄対象にする方向で検討している。
「電池各社は使用鉱物の多様化などを進めているが、備蓄制度が安心感につながるのは確か」(電池工業会)とレアメタル需要家サイドには備蓄制度の拡充を歓迎する声が多い。
ただ、中国を中心に各国が一段と資源の囲い込み姿勢を強める中で、レアメタル高騰はいつ再燃するか予断を許さない。制度の機動的な見直しと拡充が今後も必要になりそうだ。
希少金属、安定供給へODA活用、経産省が戦略原案、携帯リサイクル強化。
2009/06/03日本経済新聞夕刊
経済産業省は3日、鉄鋼製品やデジタル家電の生産に欠かせない希少金属(レアメタル)を国内に安定供給するための総合戦略の原案をまとめた。海外の鉱山周辺でのインフラ整備に向けた政府開発援助(ODA)の積極活用や、携帯電話のリサイクルなどが主な内容。省エネや環境分野の利用も増えており、国内産業の国際競争力を強化する観点から対策を総動員する。
レアメタルは埋蔵量が少なく、ニッケルやプラチナなど31品種を対象にしている。経産省は同日の総合資源エネルギー調査会鉱業分科会に原案を示し、7月にも正式に決定する。
「レアメタル確保戦略」と呼ぶ取り組みとして(1)海外資源確保(2)リサイクル(3)代替材料開発(4)備蓄――の4つの柱を挙げた。海外資源確保では、レアメタルが途上国に存在することが多いことから「鉱山周辺のインフラ整備へのODA活用」を盛り込んだ。鉱山周辺で電力や鉄道、港湾といったインフラの整備に円借款などを使い、権益獲得を狙っていく。先行的な案件としてベトナム北西部の鉱山周辺で、道路整備を円借款で支援する方向で検討している。
回収や再生ができるレアメタルは「リサイクルによる資源確保も重要な政策で取り組むべきだ」と強調した。レアメタルが多く使われている携帯電話やデジタルカメラなどをリサイクルする仕組みを構築することが重要と指摘。携帯電話は年内をめどに方向性を出すように調整を図ることも示した。
供給が細る懸念を技術的に打破するために、代替材料の開発にも力を入れる。具体的には、産学官の連携強化や研究開発拠点の整備などを挙げた。備蓄では対象とする品種について「需給動向を踏まえ、積み増し(放出)を機動的に取り組むべきだ」と指摘している。
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