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中国・広東省「烏坎村の反乱」で「金盾」稼働、中国版ツイッターでは烏坎(Wukan)をブロック、広東語放送も規制対象へ2011/12/19 07:19

中国・広東省「烏坎村の反乱」で「金盾」稼働、中国版ツイッターでは烏坎(Wukan)をブロック、広東語放送も規制対象へ


金盾(グレート・ファイアウォール)周辺で繰り広げられるパンダのいたちごっこ。
それが永遠に続くとはとてもとても思えない。

「中国の春」もすぐそこに?


<関連記事引用>

▼中国共産党、抗議活動阻止に本腰 懐柔策、ネット規制強化
2011.12.19 05:00
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/111219/mcb1112190501003-n1.htm

 中国共産党が、同国南部広東省の漁村、烏坎(ウーカン)村で発生した大規模な抗議運動による社会不安の拡大阻止に向け動き出した。同村の村民を話し合いで懐柔するとともに、インターネットを介して中国全土に抗議活動が拡大しないよう、北京などで言論規制を実施した。

 ◆警察対応改善を指示

 中国国営の新華社通信は18日までに、中国共産党が6カ月間をかけて烏坎村の村民らへの対応を改善するよう警察に指示したと報じた。

 それによると、治安問題を統括する周永康・党中央政治局常務委員は、村内の各家庭に警官を派遣し、話し合いによる解決を目指すと表明。これにより住民と警察の関係が強固になるとしている。すでに先週末から、この取り組みを開始したという。

 同委員は警察への命令書の中で、6カ月の期間中、建設的なイメージを構築するよう指示。最大の関心が向けられている今回の治安問題に迅速に対応すること以外に道はないと述べた。

 共産党幹部は、過去3年にわたり年率平均10.1%の成長を続け、所得格差と社会不安が増大するなかで発生した烏坎村での抗議活動の沈静化に全力を挙げている。同村では警察に拘束された村民が死亡したことを契機に先週、抗議活動が激化し、武装警官が村を封鎖するという異常事態に発展した。

 警察は、死亡した男性が拘束中に心臓の障害で死亡したと発表したが、新華社は男性が「土地収用問題をめぐり村民400人以上の怒りを煽った疑いがある」と報じていた。村民の代表者らは男性の遺体を返還するよう要求。英紙テレグラフによると、村民の代表者は17日、6000人以上の民衆を前に、5日以内に遺体が返還されなければ同地の行政拠点に向けデモ行進を行うと宣言した。

 ◆利用者は実名使用

 新華社によると、こうしたなか、世界最大のインターネット利用者を抱える中国での統制を強化するため、北京市政府は17日、ツイッターをはじめとするミニブログの利用者に対し、発言者を特定できるよう実名を使うよう要請。ミニブログの利用者が偽のアカウントを利用することや、国の機密情報、国の治安に有害な情報を送ることを禁止した。

 これを受け、中国のミニブログサービス最大手シナ・コープ(新浪)は、同社が運営するサービス「微博」で「烏坎」や「ダライ・ラマ」など政治的な言葉を含むメッセージの送信を停止する措置を導入した。

 中国交通銀行傘下の調査会社、BOCOMインターナショナルのまとめによると、中国のミニブログ利用者は6億人を上回り、このうち66%が微博を利用している。

 中国当局は7月に起きた高速鉄道の事故で政府への批判が高まったことを受け、ネットのサービス会社に利用者の管理を強化するよう圧力をかけており、通信規制当局は10月、「サイトは共産党に奉仕し、虚偽情報や有害情報の拡散を停止すべきだ」と表明している。(ブルームバーグ Stephanie Wong)


▼中国:広東省の住民、地元幹部の腐敗に抗議
http://mainichi.jp/select/world/news/20111219k0000m030041000c.html

 【北京・成沢健一】中国広東省東部の村で地元幹部の腐敗や土地収用に対する抗議行動を続けている住民が自治組織を結成し、村を包囲した治安当局との緊張が高まっている。18日付の香港紙「明報」によると、食糧は7日分しか残っていないものの、周囲にチェックポイントを設けて人の出入りを制限し、徹底抗戦する構えだ。

 抗議が続いているのは陸豊市烏坎(うかん)村。村のトップである共産党支部書記が身内を要職に配して利権をあさり、土地の使用権を開発業者に無断で売却するなどしてきた。住民は今年9月に自治組織を結成し、独自に選挙を行って代表を選出。陳情や抗議活動を通じて事態の究明を求めてきた。

 しかし、今月初めに代表5人が当局者に連行され、このうち自治組織の副理事長だった薛錦波(せつ・きんは)さんが拘束中に急死した。当局は「病死」と説明しているが、遺体を確認した家族は「傷が多数あった」と証言。「殺害」を疑う住民は遺体の返還を求めている。

 「明報」によると、今月に入ってから党幹部や警察官が相次いで脱出し、村は自治組織によって運営されている。一方、周辺には1000人以上の武装警察が待機し、部外者の出入りを制限している。村の食糧が限られていることから、周辺の村が支援を申し出ているが、今のところ受け入れは断られている。

 17日には人口約1万3000人の村で半数近い6000人が参加する抗議集会が開かれ、「党中央は救済を」「土地を返せ」などのスローガンを叫ぶとともに、薛さん死亡の真相究明を訴えた。 毎日新聞 2011年12月18日 20時12分


▼北京市、中国版ツイッターへの実名登録を義務化
2011年12月16日 17:48 発信地:北京/中国
http://bit.ly/uH3Nds

【12月16日 AFP】中国・北京(Beijing)市当局は16日、中国版ツイッター「新浪微博(Sina Weibo)」のユーザーに、実名登録を義務付ける条例を導入した。同サービスを運営する「新浪(Sina)」がニュースポータルサイトで報じた。

「新浪微博」は中国最大のマイクロブログサービスで、ユーザー数は全国で2億人超。新条例で影響を受けるユーザーの規模は不明だが、「新浪」本社は北京にある。

現在、日常的にインターネットを利用する中国人は5億人以上とみられ、中国政府は近年、ネット規制を強化している。こうした中、北京市当局もインターネットが中国の世論に及ぼす影響に神経をとがらせている。

中国では、既存メディアが当局の厳しい管制下にある一方で、官僚の汚職やスキャンダル、災害・事故の事実隠蔽(いんぺい)などに対する怒りを「微博」に投稿する一般市民が急増。7月に浙江(Zhejiang)省で起きた高速鉄道の衝突事故でも、第一報を伝えたのは「微博」ユーザーだったといわれている。この事故では、政府の対応を批判する意見が瞬く間にネット上で広がった。(c)AFP


▼広東語放送、許可必要に 地元や香港は反発も
2011/12/18 21:25
http://s.nikkei.com/se8T3V

 中国広東省は2012年3月から、放送局が地域言語の広東語で放送する場合に当局の許可を必要とすることを決めた。番組司会者の言葉を標準語とすることや、広東語での放送時に字幕を流すことも規定。標準語の普及を目指す中央政府の意向に沿った措置だが、地元や香港の広東語保護を訴える人々の間で反発が広がりそうだ。

 広東省広州市では10年8月、広東語が禁止されるとのうわさが広まり、広東語保護を求める約3千人の大規模デモが発生した。同省では日常、文法と発音が標準語と大幅に異なる広東語が話されている。放送局では主に使用する言語を局によって広東語と標準語に分けているが、1つの番組の中で両言語が使われることも多い。(広州=桑原健)


▼中国の省政府がテレビで広東語を禁止 住民反発も
2011.12.19 00:09
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111219/chn11121900110000-n1.htm

 中国広東省政府は18日までに、テレビ放送で地元の方言である広東語ではなく、中国の標準語「普通話」を使用しなければならないなどとする規定を設けた。来年3月に施行される。

 広東語をめぐっては省都・広州で昨年夏、地元テレビの広東語放送を普通話に改めようとの提案が地元政府関係者から出たのを発端に、「広東語を守れ」と訴える住民の抗議活動が起きており、再び住民の反発を呼ぶ可能性がある。

 規定は今月12日に公布。「普通話(の使用)を推し進める」ことを目的に掲げ、テレビやラジオで普通話を使用することや、公共施設や企業などの名称に普通話を使用しなければならないことなどを定めている。

 広東語は普通話と文法、発音が異なり、独自の漢字もある。若者は基本的に普通話も話せるが、高齢者には広東語しか話せない人も多い。一方で、広州などでは広東語が通じない他省出身の住民が増えている。(共同)


<関連記事>

Wukan siege: rebel Chinese villagers reject resolution talks (画像引用)
8:01PM GMT 18 Dec 2011
An attempt by Chinese government officials to hold resolution talks with the rebel villagers of Wukan was snubbed on Sunday.
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/china/8964409/Wukan-siege-rebel-Chinese-villagers-reject-resolution-talks.html

Chinese Village Plans More Protests
DECEMBER 18, 2011, 3:20 P.M. ET.
Residents of this besieged southern village vowed to carry on protests this week and showed signs of settling in for a protracted standoff with Chinese authorities, even amid indications that the government has stepped up security efforts in the region.
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970204058404577106460571205408.html

Beijing Will Make Microblog Users Reveal Their Identities
December 18, 2011, 4:41 AM EST
The rules were announced by the official Xinhua News Agency yesterday as Sina Weibo, the Twitter-like service run by U.S.- listed Sina Corp., blocked references to Wukan, where armed police are engaged in a standoff with villagers.
http://www.businessweek.com/news/2011-12-18/beijing-will-make-microblog-users-reveal-their-identities.html

朝日新聞の「中国共産党筋」速攻直撃情報=「中国人民解放軍は不測の事態に備え、中朝国境沿いを中心に警備配置を始めたとみられる」2011/12/19 16:31



米国諜報筋も羨む朝日新聞の「中国共産党筋」情報。
間髪いれずに情報をゲットできる朝日の中国共産党人脈はマジですごいと思う。


<関連記事引用>

中国、後継体制を見極め 国境沿いに軍を警備配置か
2011年12月19日15時2分
http://www.asahi.com/special/08001/TKY201112190195.html

. 中国政府は金正日総書記の死去について、正式コメントをまだ出していないが、新華社通信などの国営メディアは19日午前、死去を伝える朝鮮中央通信の報道を一斉に報道。中国共産党筋は19日午前、「我々としても事態を注視している」と朝日新聞記者に語った。

 中国は金総書記の死去に伴う後継体制が、国内を統制しうるかどうかを、慎重に見極めているとみられる。北朝鮮国内が混乱すれば大量の難民が押し寄せかねない。中国は朝鮮半島情勢の安定を極めて重視している。

 中国人民解放軍は不測の事態に備え、中朝国境沿いを中心に警備配置を始めたとみられる。遼寧省や吉林省など、鴨緑江をはさんで北朝鮮と向き合う地点では、各所で厳重な警戒態勢が敷かれる可能性がある。

 中国は金正恩後継体制が固まれば、これを支持する姿勢を早急に表明するとみられる。中国内には以前、金正恩氏が北朝鮮中枢を統制できるのかどうか、その力量や行方を不安視する声があったのは事実だ。しかし、金総書記は昨年5月以降、中国を計4回訪問。中朝関係の密接さを内外にアピールし、中国指導部も、後継を含めた金総書記体制への支持を示してきた。

 50年代の朝鮮戦争を通じて中朝は「血盟」と呼ばれる関係を築き、両国の軍部には今でも友好を重んじる空気がある。90年代以降は冷戦の崩壊や中韓国交樹立など両国を取り巻く環境が激変したが、経済協力を軸とした新たな関係強化が図られてきた。

 中国にとっては、北朝鮮に急激な変化を与えることで、体制が動揺するような事態は好ましくない。朝鮮半島の不安定化は大量難民に対する懸念のほか、中国にとって同半島で米国と向き合う「緩衝地帯」という位置づけが揺らぎかねないためだ。

 北朝鮮の後継体制が混乱なく体制維持が図られるのであれば、中国としては積極的な支援を促す方向で働きかけることになりそうだ。(北京=古谷浩一)
.

<朝日続報>

中国軍、国境に2千人増派 香港の人権団体伝える
http://www.asahi.com/international/update/1219/TKY201112190244.html

 香港の人権団体、中国人権民主化運動情報センターは19日、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去を受け、中国軍が北朝鮮との国境地帯に計約2千人規模の部隊を増派したと伝えた。難民の流入や不測の事態の発生に備えるためとみられる。

 同センターによると、両国国境警備部隊が展開する吉林省臨江、琿春、図們に計16部隊が派遣された。中国軍の計画では、金総書記の死去に際しては瀋陽と済南の両軍区から計3万人が増派されることになっているといい、その先遣部隊とみている。(広州)

本日の金正日死去ニュース最優秀賞は日経の“中国は「介入」するのか ポスト金正日の行方”2011/12/19 19:39

本日の金正日死去ニュース最優秀賞は日経の“中国は「介入」するのか ポスト金正日の行方”


日経記事の注目すべき点はココ。

『中国は「核兵器の開発は中止させるから、北朝鮮への単独介入を認めよ」と言い出すかもしれない。もし中国が米国に代わって「アジアの警察官になる」ことを意味する、このカードを切られたら、米国はどう答えるか。折しも米議会では軍事予算の削減が決まったばかりだ。』


厄介な北朝鮮のことなど中国に任せればいいではないか。
一時的に「アジアの警察官」を中国に委ねるのも手。

今の米国ならそう言い出しかねない。
オフショア・バランシングを加速させるための大義名分となってしまうのか。

「やるなら向こう(南シナ海&インド洋)でやっておくれ」と願っていたが、こっちに来たらどうなる。

頼りの米国は遠方から高みの見物。どうする韓国。どうする日本!


<関連記事引用(画像も)>

中国は「介入」するのか ポスト金正日の行方
2011/12/19 16:35
http://s.nikkei.com/ubAJsM

北朝鮮の金正日総書記が死去後の北東アジア情勢は、隣の大国で「後ろ盾」でもある中国がどこまで「介入」するかがカギを握る。三男の金正恩氏への権力継承がスムーズに進むかが極めて不透明だからだ。

 中国は19日、官営メディアなどを通じて正恩氏への支持を直ちに明確に打ち出した。だが、正恩氏への継承が容易に進むと考える向きは中国国内でも少ない。

 正恩氏は統治実績がほとんどないうえ、年齢もまだ28歳と若いため、権力中枢にいる軍部や朝鮮労働党などの間で錯綜(さくそう)する利害を調整する力量があるとは考えにくいからだ。

■中国は有事の派兵を示唆

 故・金正日総書記は軍や党などに深く張り巡らせた人脈を駆使し、各パワーセクターを競わせながら強力な統治体制を敷いてきた。中国と異なり、北朝鮮には「集団統治」の仕組みも風土も育っていない。

 このため中国は、いざという時には派兵する可能性をさりげなく示してきた。

 「もし北朝鮮が混乱に陥ったうえ、中国への支援要請があれば、中朝友好協力相互援助条約によって治安維持のために人民解放軍を派遣する」。最近、中国の北朝鮮専門家たちは日本を含めた海外で、聞かれもしないのにこう漏らすことが増えた。

 もちろん、米国も中国の意図を見抜いている。安全保障関係者によると、2005年ごろから米国は中国に対して「北朝鮮が混乱した場合、国連平和維持活動(PKO)を構成しよう」と持ちかけているという。米中両国が共同で軍隊を派遣しようという呼びかけだ。しかし中国側からは、前向きの返答はなかったとされる。

 中国にしてみれば、北朝鮮という緩衝地帯に米国の影響が及ぶ事態は何としても避けたいところだ。既に北朝鮮内では、中国の人民元がごく自然に使われるなど、経済的には中国圏入りしているからだ。

 米国の最大の懸念は、北朝鮮が開発中の核兵器だ。実用化に向けて小型化が進んでいるうえ、運搬手段である長距離ミサイルも完成に近づいている。

■米国は軍事予算の削減決定

 中国は「核兵器の開発は中止させるから、北朝鮮への単独介入を認めよ」と言い出すかもしれない。もし中国が米国に代わって「アジアの警察官になる」ことを意味する、このカードを切られたら、米国はどう答えるか。折しも米議会では軍事予算の削減が決まったばかりだ。

 今回の世代交代は、1994年に当時の金日成主席が死去した時とは大きく異なる点が3つある。1番目は、後継者の権力継承が完了していない段階で起きたこと。2番目は、経済的にも軍事的にも中国が国際社会の中で台頭する一方、米国の力が急速に衰えていること。そして3番目は、北朝鮮の核兵器開発が進展していることだ。

 国際情勢が大きく変容するなか、日本を含めた関係各国は、前回の世代交代時以上に複雑な方程式を解いていくことになる。

(鈴置高史)

英米系シンクタンク記事集:北朝鮮の軍事的挑発と核拡散への警告相次ぐ2011/12/20 08:22



<関連記事引用>

▼米専門家 軍事的挑発に警戒を
12月19日 21時33分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20111219/k10014759281000.html

アメリカのシンクタンク「戦略国際問題研究所」のマイケル・グリーン氏は、NHKの電話取材に対し、「最悪のシナリオは後継者のキム・ジョンウン氏が権力を誇示する圧力にさらされた結果、軍事的な挑発行動に出る場合だ」として、日米韓の3か国が北朝鮮を刺激しすぎないよう細心の注意を払いつつ、核実験やミサイル発射といった挑発行動に備え、連携を強化することが重要だとの認識を示しました。

そのうえで、「北朝鮮の体制の崩壊やジョンウン氏の暗殺、内戦などによって大勢の難民が国外に流出し混乱に乗じて核物質や化学兵器が誤った人物の手に渡る可能性も排除できない」として、キム総書記の死去が、今後、北東アジア地域全体の不安定化を招くおそれもあると指摘しました。

グリーン氏はまた「キム総書記の死去に伴って国全体が喪に服すため、外交的な活動が休止する可能性もある」との認識を示し、対話の窓口が閉ざされた場合は偵察衛星などを通じた軍の施設の観測以外に北朝鮮国内の事態の把握が、より難しくなるとの懸念を示しました。


▼金正日・北朝鮮総書記死去:核問題、行方混とん 米、軍事挑発を警戒 拡散防止最優先
http://mainichi.jp/select/world/news/20111220ddm003030089000c.html

 ◇日韓と連携

 北朝鮮の金正日(キムジョンイル)総書記の死去により、体制維持と国威発揚の役割を果たしてきた核開発問題の行方が不透明さを増している。22日にも北朝鮮との核協議を予定していた米国は日韓などへの軍事的挑発や核拡散の危険増大を警戒しつつ、後継体制の出方を注意深く見守る考えだ。6カ国協議の参加国は、北朝鮮の不安定化を望んでいない点は共通しているが、核の安全管理が最優先の米国に対し、中国は北朝鮮への影響力保持を模索しているとみられる。「金王朝」の権力継承を機に関係国間のさやあても表面化しそうだ。【坂口裕彦、ワシントン白戸圭一、北京・成沢健一、ソウル西脇真一、ウィーン樋口直樹】

 米国は金総書記から金正恩(キムジョンウン)氏への権力継承が順調に進まずに北朝鮮が不安定化し、核・ミサイルの管理体制が揺らいで大量破壊兵器が拡散する事態を懸念している。権力基盤の弱い正恩氏が軍部の支持を取りつけるため軍事的挑発に傾斜し、韓国との南北関係や米朝関係が緊迫する可能性もある。オバマ政権は権力継承の行方に神経をとがらせ、日本、韓国など同盟国と連携しながら軍事面でも警戒を強める構えだ。

 「正恩氏が北朝鮮指導部の高官たちに『勇気』のあるところを見せようとして、挑発行為に走る可能性がある」。米中央情報局(CIA)の元朝鮮半島担当で米シンクタンク・ヘリテージ財団上級研究員のブルース・クリングナー氏が指摘する。韓国外交安保研究院の尹徳敏(ユンドクミン)教授も「自分の力を誇示する必要に迫られた場合、核実験や弾道ミサイル発射などを行うこともあり得る」と分析、北朝鮮が後継体制下でただちに核開発を放棄することはないとみている。

 金総書記にとって核開発は、国内向けには、軍部強化を優先する「先軍政治」を主導し、権力基盤を維持する装置だった。一方、対外的には6カ国協議や米朝協議で「瀬戸際外交」を展開して譲歩を引き出す材料でもあった。過去2回の核実験はプルトニウム型だったとみられるが、昨年11月には北朝鮮北西部・寧辺(ニョンビョン)のウラン濃縮施設の存在を米専門家に明かし、新たな外交カードとした。

 北朝鮮当局者が米専門家らに話したところによると、施設には約2000台の遠心分離機が設置されている。米シンクタンク「科学・国際安全保障研究所(ISIS)」によると、北朝鮮側の主張通りなら、原爆1個分の原料になり得る約1トンの低濃縮ウランを約4カ月で製造できる能力を持つという。

 金総書記の訃報は、米朝が22日から北京で今年3度目の核協議を開くことで最終調整に入り、米日韓などが求めるウラン濃縮停止での合意に向けて期待が高まっていた時に飛び込んできた。7月と10月の2度の協議で北朝鮮は「核の平和利用」を主張したが、11月末~12月初めに訪朝した米専門家グループには濃縮中断に応じる用意を示唆していた。

 北朝鮮は服喪期間に入るため米朝協議の先送りは必至。今後は「葬儀委員会名簿トップの正恩氏が後継者の正統性を活用して核交渉の枠組みを使っていく」(尹教授)との見方もあるが、指導力を確立できない場合、軍部の勢いが増してウラン濃縮が続行される可能性もある。オバマ政権は正恩体制の対応を注視せざるを得ない。

 オバマ大統領は金総書記の死去を受け、韓国の李明博(イミョンバク)大統領と電話協議し、韓国の安全保障に責任を持つ考えを伝えた。また、19日昼(日本時間20日未明)に米国務省で予定しているクリントン長官と玄葉光一郎外相の日米外相会談で、急きょ今後の対応を協議することになった。

 日本政府は6カ国協議再開に向け、ウラン濃縮活動の停止などを米韓とともに求めてきた。ただ、南北、米朝の協議で日本が関与できる余地は限られている。外務省幹部は「6カ国協議の話は日米外相会談の後だ」と米国とのすりあわせが必要との認識を示した。藤村修官房長官も記者会見で「米朝協議が次回いつ開かれるかを注目している」と述べ、関係国の出方待ちの姿勢を示唆した。

 ◇6カ国協議、中国が早期再開探る 朝鮮半島緊張回避に全力

 北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議議長国の中国は08年12月から中断している協議の早期再開を関係国に働きかけてきた。米朝協議進展の兆しが見え出した直後の金総書記の死去に衝撃を受けていることは間違いない。6カ国協議再開の展望は不透明感が強まったが、中国は後継体制支援を続けつつ再開の糸口を探るとの見方が強い。

 「(北)朝鮮の核問題に対する中国側の立場は明確だ」。中国外務省の劉為民報道局参事官は19日の定例記者会見で、朝鮮半島の安定のため、6カ国協議の早期再開を追求する立場を強調した。06、09年の核実験で朝鮮半島情勢の緊張を招いた金総書記の強硬姿勢に関する質問にはコメントを避けた。

 中朝関係は北朝鮮による核実験やウラン濃縮活動の着手で冷え込んだ。対話による核問題の解決を主張する中国は、関係国の危機感をあおる金総書記の手法に振り回された形だった。それだけに今後の北朝鮮体制が不安定化し、再び朝鮮半島情勢が緊張することを回避するために全力を挙げるとみられる。

 金総書記は昨年5月から今年8月までの間に4回、中国を訪問し、うち3回は胡錦濤国家主席と会談して両国関係の強化と6カ国協議の早期再開を確認。10月には次期首相の有力候補とされる李克強副首相が訪朝し金総書記との会談で協議再開に向けた北朝鮮の対話の動きを支持する考えを表明、事態の進展に期待感を高めていた。

 遼寧社会科学院辺疆研究所の呂超所長は本紙の取材に「6カ国協議再開は金総書記が決めた方針であり、新たな指導者も変更することはあり得ない。(北)朝鮮問題は中国の周辺外交の中でも最重要課題の一つであり、まずは権力継承が安定的に進むようにできる限りの経済支援をしていくだろう」と語った。

 ロシアは経済面で北朝鮮との結びつきを強め、朝鮮半島情勢に積極的に関与する姿勢を示し始めている。


<関連記事集>

Analysis: Opportunities, dangers ahead as world weighs impact of Kim Jong Il's death
http://www.msnbc.msn.com/id/45721632/ns/world_news-asia_pacific/#.Tu9aGjU5Lng


North Korea Leader’s Death Raises Nuclear Risks for Obama
http://www.businessweek.com/news/2011-12-19/north-korea-leader-s-death-raises-nuclear-risks-for-obama.html



Kim Jong Il’s death could portend end of regime, and further danger
By Mark Fitzpatrick, Director, Non-Proliferation and Disarmament Programme
The most worrisome scenario of all is that a power struggle will ensue, in which the nuclear arsenal would be a key commodity. The nightmare is that competing warlords will seize control of these assets and be willing to provide fissile material, weapons-related equipment or even a warhead to a terrorist group.
http://www.iiss.org/whats-new/iiss-voices/


North Korea After Kim
Jayshree Bajoria, Deputy Editor
http://www.cfr.org/north-korea/north-korea-after-kim/p17322


The Death of the DPRK Leader
By Victor Cha
http://csis.org/publication/death-dprk-leader

Kim’s death is watershed moment for N Korea
By Victor Cha
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/d21bbc9a-2a0d-11e1-8f04-00144feabdc0.html#axzz1graYeeZa

Kim Jong Il’s Death May Trigger Nuclear Crisis
"This is potentially a game-changing event,” Victor Cha, a former chief U.S. negotiator for North Korean nuclear talks under President George W. Bush, said in an interview. “If you asked experts what would be the most likely scenario for North Korea to collapse, the answer everyone would give you is ‘If Kim Jong Il died today.’ We’re in that scenario.”
http://www.bloomberg.com/news/2011-12-19/death-of-north-korea-s-kim-jong-il-might-present-nuclear-crisis-for-obama.html

Kim Jong Il, North Korea’s ‘Dear Leader,’ dies, leaving son as successor
"This is really the worst possible nightmare for the North Korean state — this sudden death, and for the son to be taking over,” said Victor Cha, the White House’s former director of Asian affairs. “This could collapse before our eyes.”
http://www.washingtonpost.com/world/kim-jong-il-north-koreas-dear-leader-dies-leaving-son-as-successor/2011/12/19/gIQAqjJq4O_story.html

Kim Jong Un: The 'great successor' remains an enigma
"This is the most opaque regime that is a nuclear weapons state, and now they have a leadership vacuum in which a kid is basically trying to run the country," Cha said. "So it's not a good situation at all."
http://edition.cnn.com/2011/12/19/world/asia/kim-jong-un-profile/?hpt=hp_t1


AEI Special Topic North Korea
http://www.aei.org/topic/north-korea

What Obama Should Tell China As Transition Unfolds in North Korea
Michael Auslin - Fox News
http://www.aei.org/article/foreign-and-defense-policy/what-obama-should-tell-china-as-transition-unfolds-in-north-korea/

Can we pleeease have a North Korea strategy?
Nicholas Eberstadt - American Enterprise Institute
For America and her allies, dealing with the North Korean regime (to borrow a phrase from the current administration’s own Samantha Power) is a “problem from hell.”
http://www.aei.org/article/foreign-and-defense-policy/regional/asia/can-we-pleeease-have-a-north-korea-strategy/


Morning Bell: The Death of Kim Jong-il
Bruce Klingner
Although the demise of Kim Jong-il provides an opportunity for change on the Korean Peninsula, it is a transition fraught with uncertainty, nervousness, and potential danger.
http://blog.heritage.org/2011/12/19/morning-bell-the-death-of-kim-jong-il/


Kim Jong-Il to Kim Jong-un: North Korea in Transition
Jonathan Pollack, Senior Fellow, Foreign Policy, John L. Thornton China Center
http://www.brookings.edu/opinions/2011/1219_north_korea_pollack.aspx

The Death of Kim Jong-il
Kongdan Oh, Nonresident Senior Fellow, Foreign Policy, Center for Northeast Asian Policy Studies
http://www.brookings.edu/opinions/2011/1219_north_korea_oh.aspx

Kim Jong-un’s Shaky Hold on Power in North Korea
Richard C. Bush III, Director, Center for Northeast Asian Policy Studies
http://www.thedailybeast.com/articles/2011/12/19/kim-jong-un-s-shaky-hold-on-power-in-north-korea.html


Death could trigger wider Sino-US power play
By Geoff Dyer in Washington
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/b243da22-2a64-11e1-9bdb-00144feabdc0.html#axzz1graYeeZa


North Koreans mourn Kim Jong-il - This is an anxious moment.
By Aidan Foster-Carter
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-16243948


北朝鮮崩壊の時、ポチ化する羅津港
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/09/12/3757140

金正日体制崩壊後を睨んだ米中密約を追う
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2009/05/28/4327035

広東「烏坎の反乱」で海外主要メディアは大騒ぎ、日本メディアはシカト中2011/12/21 07:24

広東「烏坎の反乱」で海外主要メディアは大騒ぎ、日本メディアはシカト中


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<関連記事>

▼官民衝突が“村内革命”になる時
広東・烏坎の乱、血みどろの戦いが意味するものとは
福島 香織  
2011年12月21日(水)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20111219/225360/?top_updt&rt=nocnt

 広東省が揺れている。もう既にたくさんの報道がなされているのでご存じの方も多いだろう。広東省汕尾市陸豊市の烏坎村で発生した官民衝突事件である。

 村の強制土地収用に文字通り血みどろの抵抗をした村民が「独裁反対」の旗を掲げて臨時自治組織を結成し、これまた血みどろの弾圧を受けて、これに憤る村民1万数千人がデモを行い、村の党幹部が逃げ出して自治権を奪還、まるで“村内革命”といってもいいような事件である。

 これをもって、すわ中国式ジャスミン革命か、と判断するのは当然のことながら早すぎるだろう。正直言えば、この種の村レベルの生存権をめぐった「官民武力衝突」「自治組織の結成と党支部の独裁へ抵抗」という事件は今に始まった話ではない。

 100人規模以上の官民衝突、暴動などの集団事件が年間18万件もあるのだから、ある意味、日常茶飯事である。しかし、やはり今回の事件は今までと違う予感めいたものを感じさせる。では今までの「官民衝突」とどこが違うのか。

爪がはがされ、歯が何本も折られ

 事件の詳細は報道されているが、もう1度、香港、欧米、日本メディアの情報を総合して時系列に整理してみよう。

 事件の現場の人口1万3000人の烏坎村は40年以上の長きにわたって、党支書記・薛昌(91)とその一族が牛耳っていた。村の自治組織・村民委員会の主任(村長に相当)は、一般に村民による直接選挙だが、40年連続で90%以上の得票率で当選を続けてきた。

 彼らは香港企業家などと手を組み不動産会社を設立、村民の共同所有である村の土地を好き勝手に周辺大企業に売り私腹を肥やしてきた。今年また数千ムー、数万ムーの2つの土地を養豚大手の豊田畜産と不動産大手の碧桂園に売りわたし、高級マンション、別荘などを建てる再開発計画を進めようとしていた。

 土地を強制収用された村民約400人に渡された保障額は1人当たりわずか550元という。村民らは書記と直接談判もし、鎮や市、省の上級政府に陳情に行くなどしたが、らちがあかず、無視された。その一方で薛昌は陸豊市の人民代表大会選挙で85%の得票率で自動当選。実際、村民のほとんどが投票拒否していたのだが、そんな投票結果などいくらでも捏造できるのが、農村の「海選」(直接選挙)の実態だ。

 9月22日、この結果を不正選挙だと怒りを爆発させた数千人の村民と警官隊が衝突、多数の負傷者が出る事件となった。これで村民4人が逮捕された。これで地元政府機関による改善への期待を完全に失った村民は、村民の意志を代表する者として13人の理事を選び、村民臨時代表理事会(臨時政府)を設立。理事会のとる方針は、全民大会(議会に相当)で話し合うと決め、また自主的に治安を維持するための治安維持隊も組織した。

 彼らは定期的に抗議集会を行い、外部メディアに事情を訴え、党支部側と交渉を進めようとした。11月21日には上級政府の陸豊市庁舎前で3000人が座り込みの大集会を開いた。村民側の主張によれば、自主的な治安維持隊の監視によって暴徒化することはなかったというが、相当激しい抗議だったようで、この時、村の党幹部全員が逃げ出した。臨時代表理事会が村の自治を党から奪還した瞬間だった。

 この大集会後、陸豊市はついに薛昌ら村党支部幹部らを免職。しかし、臨時代表理事会は違法組織である、として村への弾圧を開始、武装警察数千人を派遣し村を包囲した上で食糧の輸送や電気、ガスを断つなどの「兵糧攻め」を行い、理事会に協力しないと署名した村民だけに、食糧を渡すこととした。12月8日以降、臨時代表理事会の主要メンバー5人を器物破損罪などで逮捕。11日に薛錦波・副会長(43)が心臓発作で亡くなったと発表された。

 その遺体と対面した妻子によると爪がはがされ、歯が何本も折られ、体中に棍棒で殴られたような傷跡があったという。遺体を安置している汕尾市側は遺体の引き取り条件として、遺族に器物破損の賠償金として1000万元を要求したが、遺族はこれを拒否、遺体は写真撮影すら許されなかった。

 12月12日から13日にかけて村では薛錦波氏を追悼する大集会が開かれ、続く15日には錦波の写真を掲げた8000人のデモ行進が行われた。この時「独裁反対」「血は血で償え」「汚職幹部打倒」といった激しいシュプレヒコールも上がった。

 現在、村では武装警察による包囲と「兵糧攻め」が続き、緊張状態にあり予断の許さない状況である。国内では村支書記、副書記が処分されたことや、周永康・党中央政治局書記(治安担当)が半年以内に公安当局に状況改善を指示したこと、薛錦波氏の死に外部要因がないとする警察発表など「公式報道」はされているが、独自報道はほとんどない。

村民の組織力や広報能力もかなり高い

 繰り返すが、村の党支部書記と村民による自治組織の流血の対立や数千人規模の官民衝突というのは広い中国では日常茶飯事である。しかし、ここまで実力のある自治組織が結成され、省当局や中央当局の介入なしに党書記一味を村から追い出すことに成功した例は前代未聞だ。村レベルの官民衝突がここまで国際的にも注目される例も滅多にない。なぜか。

 1つは、間違いなく、ネット環境の発達が背景にある。

 2005年、ほとんど同じパターンの村の書記と村民自治組織の流血の戦いを私もいくつか取材したことがある。山東省済南市という沿海部の比較的発展した都市の近くにある比較的立地のよい村である。開発業者と、グルになって土地強制収用によって私腹を肥やす書記に村民千人が立ち上がって選挙を行い、自治組織を作りデモや抗議集会で対抗しようとするも、書記は警察を使って自治組織を武力弾圧した。鈍器で頭を割られ昏睡状態に陥ったものの奇跡的に一命をとりとめた村民委員が陥没した頭蓋骨の傷跡を見せながら「命がけでこれからも戦う」と話していたのを思い出す。

 ちなみに2005年当時、この手のニュースはたいそうデスク受けが悪かった。理由は書記側の取材をしていないので、公平性を書く、というものだった。ちなみに書記のカネにあかせた高台の立派な家に近づこうとすると、猛犬を放たれて、とても取材可能な相手ではないのだが。一応、原稿自体は「山東省 血みどろの民主」という見出しで小さく記事化できたが、痛々しい負傷者の写真などは使われなかった。

 この当時は、中国の地方の村民がいくら命がけで党支部の独裁と戦おうとも、それは地方であまたある小事件に過ぎなく、中国全体に影響のある、ましてや国際的バリューのあるニュースにはなりえなかった。

 地方の土地収用を巡るこの烏坎の官民衝突が、なぜここまで大きな国際ニュースになったかと言えば、村民の激しい抵抗の様子がYoutubeなどの動画サイトで見ることができ、微博(マイクロブログ)などのSNSで村民自身が情報を発信でき、またその伝播スピードが信じられないくらい早く、伝播範囲が広くなったことがある。

 また、村民の組織力や広報能力もかなり高い。外国メディア記者らを裏道から村内に引き入れる手腕も大したものだ。そういう知識や支援の力は、もちろん香港という本土よりも統制がずっと緩い地域からの風が吹きこんでくる土地柄もあるが、やはり以前に比べるとネット上のコミュニケーション・ツールの発達が大きな役割を果たしている。

 時を同じくして、北京市で微博の実名登録を義務化する規定を新たに施行したのはその傍証だろう。当局が微博に対して、それほど強い警戒感をもっている。

これは一般的なリスクではない

 もう1つは時代の波である。

 政権交代が行われる第18回党大会を1年後に控えた広東省で起こった事件という点は大きい。広東省党委の汪洋書記は言うまでもなく胡錦濤国家主席が次の指導部の1人として期待をかけている人物である。しかし、次世代指導部つまり政治局常務委員の9つの席のうちの1つに汪洋氏が座れるかは微妙である。

 人事予測の確かさで定評がある米国発の華字ネットニュース「多維」によれば、次期政治局常務委の序列9番目の席を重慶市の薄煕来書記と広東省の汪洋書記が争う格好になっている。汪洋書記がこの事件をうまく処理できないと、この権力闘争レースから振り落とされる可能性があるし、それを期待する政治勢力があることは間違いない。失策を周囲に印象づけるには、事件はある程度大規模化した方がよい。

 汪洋氏は少なくとも経済に関しては自由主義派であり、政治的にもかつては深セン市での市長直接選挙などの改革に取り組もうとしたこともあった。労働者のストライキや農民の抗議集会についても黙認することが多く、対外的には開明派の印象を与えてきた。しかし、党内左派から見れば、このリベラル派ぶっている態度が広東省で昨年から今年にかけてストライキや官民衝突を特に誘発する原因となったと批判することもできる。

 政治局常務委内の新左派四人組とうたわれる1人、周永康(党中政法委書記)は12月2日に「市場経済のマイナス影響にうまく対応できていない。(市場経済のマイナス影響に対応できる)まだ完全な社会管理統制メカニズムができていない」とし「社会の安定を損なう潜在的衝突要因を排除し、民衆の不満問題を積極的に解決せよ」と指示している。

 さらに言えば中国の経済成長はこれから減速すると見られている。この時、今以上に「市場経済のマイナス影響」が顕在化してくると見られている。

 北京理工大学の胡星斗教授がラジオ「ボイス・オブ・アメリカ」の取材に答えてこう指摘している。「中国は1つの特別大きなリスク期間に突入した。これは一般的なリスクではない。おそらく今後5年くらいは続く。中央がうまく舵取りできなければ、全中国でコントロールを失いかねない」 

 公式報道は低調だが、烏坎の事件はネットを通じて国内外に広まっている。中央が烏坎村の包囲を続けるにしろ、村民の自治を認めるにしろ、政権交代前後のこの微妙な時期にほかの地方に無数ある同じ境遇の村にどういったインパクトを与えることになるのか、目が離せない。


▼中国・烏坎村の抗議行動が拡大―21日には村外へのデモ行進を計画 
2011年 12月 20日 20:21 JST
http://jp.wsj.com/World/China/node_363320

【中国・烏坎村】中国南部広東省烏坎村の住民たちは、21日に近隣都市Lufengに向けてデモ行進を計画している。複数の主催者が明らかにした。抗議行動が村外に拡大することで、当局の出方が注目される。

 烏坎村の住民たちは中国共産党を支持していると引き続き強調するとともに、政府指導部に対して烏坎村での汚職や不正土地購入疑惑の調査を要求している。ただ、住民らはそれと同じくらいに民主主義も広く支持しているようだ。

 烏坎村での危機解決に向け、上層部が関与し始めているようだ。共産党地方支部の指導者は18日に公開されたビデオ講演で、この対立の解決は可能だと述べた上で、村民が注目を引くために海外メディアを利用しているとして批判した。

 烏坎村での反乱は9月に始まり、抗議行動の指導者が警察の留置場で死亡したことを受けて、先週一段と悪化した。同村の住民は地元共産党幹部や警察官を村から追放しており、今年、中国での反乱で最も深刻なケースに発展している。

 住民は平和的解決が目標だと主張しているものの、上層部への反発を隠そうとしない。

村の中心部の広場では19日、約1000人の村民が抗議集会に参加した。ここ数週間、同様の集会が数回にわたって開かれている。村民たちは、抗議は体制全体ではなく、地元当局者の汚職に対するものだと主張している。

 自動小銃で武装した数百人からなる準憲兵隊がここ数日間、村の外側をパトロールしており、同地域の主要道路に沿ってバリケードを設置している。準憲兵隊は烏坎村への侵入は試みていない。烏坎村郊外には村民が自分たちのバリケードを張り巡らすとともに、数十人が警戒に当たっている。

 デモ行進は21日朝開始される予定で、当局が鎮圧を試みるのかどうか、鎮圧に動くとすればどのような方法になるのかについては依然明らかになっていない。地元当局者らは19日、村民との緊張緩和を目指し一層積極姿勢を取っているもよう。共産党および近隣村の幹部も19日、烏坎村選出の代表者との交渉に向けて同村入りした。


▼中国でデモ・スト相次ぐ 雇用や格差に不満 (画像引用)
2011/12/20 22:30
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9381959FE0E2E2E4828DE0E2E3E0E0E2E3E39494E0E2E2E2

 【広州=桑原健】中国各地でデモやストライキが相次いでいる。広東省汕尾市では村幹部の不正をきっかけにした村民と地元政府の対立が収束の気配を見せず、新たな衝突への懸念が消えない。景気減速で労働者も現状への不満や将来への不安を募らせやすくなっており、社会不安への対応が2012年秋に指導部交代を控える中国の最大の課題に浮上してきた。

 村民と政府の3カ月に及ぶ対立が続く汕尾市内の陸豊市烏坎村に向かう道路では20日、20人近い警官が封鎖する厳戒態勢を敷いた。警官らは外部車両の進入を禁止。近くに住む女性は「烏坎村民が外に出るのも規制している」と話した。

 香港紙の蘋果日報は20日、村民が21日に封鎖を破り、陸豊市政府へのデモをする計画だと報道。村民と警官隊の衝突が再発する恐れがある。同市政府関係者は20日、日本経済新聞社に「政府の担当者が村に入って話を聞き、デモを起こさせない」と説明した。

 村民は9月21日から村幹部が勝手に共有地を不動産開発業者に売り、利益を得たと糾弾するデモを始め、警官隊と衝突。11月21日にも村幹部の選挙の不正を訴えてデモを起こした。政府側は土地取引の一時停止や村幹部の更迭で沈静化を図っているが、村民側は拘束中のリーダー格の人物が急死した真相の究明を求めて抵抗を続けている。

 広東省はトップの汪洋・共産党委書記が同党最高指導部の常務委員の有力候補とされていることもあり、国内外の反発を招く強硬策を慎重に避けているもようだ。ただ対立が長期化したことで、香港で市民団体が村民支持活動を始めるなど外部の関心が高まっている。

 同省深セン市の日立製作所のハードディスク駆動装置(HDD)の部品工場では、20日まで半月に及ぶストが続く。従業員らは同日、「恥知らずの日本企業が中国の工員をいじめている」などの横断幕を掲げ、気勢を上げた。

 従業員が要求しているのは、勤続年数に基づく一時金だ。日立はHDD事業を米ウエスタン・デジタルに売却することを決めているが、従業員らは売却後の雇用や給与の基礎となる勤続年数が引き継がれるかどうかを不安視。現在の雇用主からできる限りの補償を得る作戦に出た形だ。

 参考にするのが、米飲料大手ペプシコの重慶市など中国各地の工場で11月に起きたストだ。ストの結果、ペプシコが中国の飲料事業を台湾系食品大手の康師傅控股に売却するのにあたり、従業員は勤続年数に基づく一時金を得る権利を獲得。日立の工場従業員の一人は「ペプシコと同等の補償を得るまで妥協しない」と強調した。

 世界景気の減速懸念が強まるなか、企業の進める事業再編や人件費削減策がストを招く例はほかにも多い。家電製造などを手掛けるHi―Pインターナショナル(シンガポール)の上海市の工場では、11月末から工場移転に抗議する1千人規模のストが発生した。

 企業が経営に行き詰まり、従業員が未払い賃金の支払いを求めデモを起こすケースも頻発。広東省東莞市では香港系の文房具工場、意志高の清算を受け、従業員が市政府に「年越しのための賃金がほしい」と訴えた。

 深センで労務対策などの経営コンサルタントを務める久保田昭夫氏は「輸出の多い地域を中心に労使間の紛争が多発するのは避けられない」と話す。中国は10年に1度の指導部交代という不安定な時期に、社会不安が先鋭化しやすい景気減速が重なった格好。各地で噴出する不満に細心の対応が必要になっている。


▼「烏坎村の反乱」で催涙ガス。15歳の少年が死亡したとの未確認情報も。

Wukan: protests across South China as riot police take on demonstrators in Haimen
Demonstrators are claiming a 15-year-old boy had been killed and more than 100 others badly beaten by riot police, but this has yet to be confirmed.
http://www.telegraph.co.uk/news/worldnews/asia/china/8967692/Wukan-protests-across-South-China-as-riot-police-take-on-demonstrators-in-Haimen.html

AFP: Police in China fire tear-gas, beat protesters: witnesses
They said a 15-year-old boy had been killed and more than 100 others badly beaten by riot police, although this could not be independently confirmed.
http://news.yahoo.com/chinese-police-fire-tear-gas-beat-protesters-113315689.html

Protests flare in southern Chinese town of Haimen
Protesters say two students died in the unrest in the town of Haimen in Guangdong province.
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-16276349


▼国際ジャーナリスト連盟(IFJ)がインターネット遮断とジャーナリスト強制排除を非難。

Internet Shut Down and Foreign Journalists Expelled from Wukan
http://asiapacific.ifj.org/en/articles/internet-shut-down-and-foreign-journalists-expelled-from-wukan


▼最新の動き

Blockaded Villagers’ Major Demands Are ‘Reasonable,’ Chinese Official Says
http://www.bloomberg.com/news/2011-12-19/china-protesting-villagers-share-food-as-police-blockade-cuts-off-supplies.html

Top Provincial Leaders to Meet With Protesting Chinese Villagers
http://www.nytimes.com/2011/12/21/world/asia/top-provincial-leaders-to-meet-with-protesting-chinese-villagers-in-wukan.html

「日米スマートパワー成長戦略」本格始動! 海に浮かぶ先端技術開発立国を掲げ、今こそ世界に打って出よ2011/12/21 08:03



日本はハード、米国はソフトと海外営業を担当。
世界最強のハードとソフトのコラボで挑む「日米スマートパワー成長戦略」本格始動!

「日米スマートパワー成長戦略」のお手本を示したのは日米連携原発輸出。
原発輸出の次には当然武器輸出も視野に。

「日米スマートパワー成長戦略」の司令塔として日米参加の拡大DARPAを提言。
DARPAとは米国防総省高等研究計画局のこと。

海に浮かぶ先端技術開発立国を掲げ、今こそ世界に打って出よ。


<関連記事>

▼政府、武器輸出三原則緩和へ
共同開発・生産の相手は米国が参加しているプロジェクトが中心
2011/12/21 2:00
http://s.nikkei.com/t1DXtK

 政府は年明けにも武器の海外輸出を原則禁ずる武器輸出三原則を緩和する。航空自衛隊の次期主力戦闘機に決まったF35の調達コスト低減をにらみ、国際的な共同開発・生産への参加を「例外」とする。国連平和維持活動(PKO)や人道支援目的でのヘルメットや巡視艇などの装備品の輸出も認める。副大臣会合で最終的な詰めを進めており、関係閣僚会合で正式決定する。

 三原則は1967年、佐藤栄作首相が「共産圏諸国」「国連決議で武器輸出が禁止された国」「国際紛争当事国か、その恐れがある国」への輸出を禁止すると国会答弁したのが始まりで、76年には三木武夫首相が全面的な禁止に拡大した。だが日米同盟の重要性などから、83年には中曽根康弘内閣で米国への武器技術供与を例外にした。

 三原則に法的拘束力はなく、歴代内閣も官房長官談話の形で順次、緩和してきた。今回も同じ形式を踏襲する。

 共同開発・生産の相手は米国が参加しているプロジェクトが中心となる。巨額の財政赤字や高性能化が進むこの分野では、すでに米国一国だけで完結する武器開発は少なくなっている。

 このほかには北大西洋条約機構(NATO)加盟国、豪州など国際的な武器輸出管理の枠組みに参加している国に限定する案が浮かんでいる。共同開発・生産国とは、紛争の助長や情報漏洩を防ぐ基準を今後検討する。


▼F35、日本側の参画比率4割に 主翼と後部胴体など製造
武器輸出三原則が緩和されれば海外納入や部材供給につながる可能性
2011/12/20 13:37
http://s.nikkei.com/v790Ej

 航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)に決まったF35の日本側のライセンス生産の取りまとめ役に、防衛省は三菱重工業、IHI、三菱電機の3社を選定した。米政府と米ロッキード・マーチンは主翼と後部胴体、尾翼、エンジンの一部の製造を認める。日本側の参画割合は約4割になる。レーダーにうつりにくくなるステルス技術も一部開示される見通しだ。

 ロッキードから設計情報などの開示を受け、三菱重工業が中心となって2013年度調達分から国内で製造する。最終組み立て工程だけでなく部材生産も可能になり、技術の習得につながる。

 F35は米英など9カ国が共同開発した機体。武器輸出三原則などの制限により共同開発の枠組みに入っていない日本は製造への参画が難しいとされていた。ロッキードはすでに日本に組み立てラインを設置すると表明しており、武器輸出三原則が緩和されれば日本で組み立てた機体の海外への納入や、部材の供給につながる可能性がある。

 ロッキードはF35の機体を前部胴体、主翼、機体中央部、後部胴体などに分け、いずれかの部分で日本の製造を認めるとしてきた。戦闘機のライセンス生産は最新の技術情報を開示してもらい、日本側がライセンス料を払って機体の一部を製造する権利を持つ仕組み。


▼これも使えそう

炭素繊維ミサイルに転用可能 技術レベル高い日本品
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111218/crm11121807000003-n1.htm

「米欧中キングギドラ」が巻き起こすパーフェクトストームに翻弄されるゴジラの「辰年」2011/12/22 08:34

「米欧中キングギドラ」が巻き起こすパーフェクトストームに翻弄されるゴジラの「辰年」


<関連記事>

ヌリエル・ルービニ「「遅くて2013年、おそらくは2012年に、米国の二番底、ユーロ圏の無秩序シナリオ、中国のハードランディングという三つの嵐が重なるパーフェクトストームが現実のものになる可能性も」
Nouriel Roubini: A plea to policymakers: we can’t risk another year of delay
http://blogs.ft.com/the-a-list/2011/12/20/a-plea-to-policymakers-we-cant-risk-another-year-of-delay/#axzz1h7Xvq0MS

(注)パーフェクトストーム【perfect storm】の意味
複数の厄災が同時に起こり、破滅的な事態に至ること。2008年、世界中に広がった経済危機の震源地となった米国の金融恐慌をたとえる言葉。究極の嵐。1991年に北大西洋上で三つの嵐が重なり、その巨大な高波に襲われた漁船の運命を描いたノンフィクション小説、および同名の映画作品のタイトルとして用いられ、広く使われるようになった。
http://bit.ly/rLTSOK


ケネス・ロゴフ「ユーロ圏の不確かな将来は来年もまたグローバル経済に巨大な影。簡単な解決策はない」
Kenneth Rogoff: The eurozone will cast a lengthening shadow in 2012
http://blogs.ft.com/the-a-list/2011/12/21/the-eurozone-will-cast-a-lengthening-shadow-in-2012/#axzz1h7Xvq0MS


マーティン・ウルフ「我々の未来は優れたアイデアにかかっている:DARPAに言及」
Martin Wolf: Sinking into the ‘great stagnation’
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/ea3bb3b4-2a7d-11e1-8f04-00144feabdc0.html#axzz1h9VNBTRF
「大停滞」に陥る米国経済
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/33707


アンブローズ・エヴァンズ=プリチャード「中国の経済苦難が2012年の国際問題に急浮上」
Ambrose Evans-Pritchard: China's epic hangover begins
http://www.telegraph.co.uk/finance/china-business/8957289/Chinas-epic-hangover-begins.html
Ambrose Evans-Pritchard: China's economic woes will quickly become a global problem in 2012
http://www.belfasttelegraph.co.uk/business/business-news/chinas-economic-woes-will-quickly-become-a-global-problem-in-2012-16093301.html


アルバート・エドワーズ「中国のハードランディングが2012年最大の衝撃の一つに」
Albert Edwards: China hard landing will be big 2012 shock
http://www.citywire.co.uk/wealth-manager/albert-edwards-china-hard-landing-will-be-big-2012-shock/a549440?ref=wealth-manager-latest-news-list
Albert Edwards: Hold on for a hard landing in China
http://ftalphaville.ft.com/blog/2011/10/20/707751/china-hold-on-for-hard-landing/


白川方明日銀総裁「中国は欧州向けの輸出が日本より多く、貿易ルートを通じて影響が出てくる」
「中国経済をみるうえでは3つのポイントがある。まず、中国の潜在成長力は高く、その需要が増加していくということがある。次に、物価水準自体は高いものの、低下方向に向かっていることが挙げられる。それに伴い、実質購買力が回復し、金融緩和の余地が出てくることで景気は持ち上がっていく。第三が欧州ソブリン問題だ。中国は欧州向けの輸出が日本より多く、貿易ルートを通じて影響が出てくるとみている」
http://s.nikkei.com/uxBx02


ロイター焦点:日本市場は来年も米欧中が翻弄、後半にビッグイベント目白押し
「大欧州」のひび割れに苦しむユーロ圏、影響力の衰えに揺れる米国、そして成長シナリオがきしみ始めた中国、それぞれの動向が2012年の行方を決める大きなカギになる。巨大なドラゴンの間に挟まれた形の日本にとって、来年は安定より波乱を内包する「辰年」となりそうだ。
http://jp.reuters.com/article/mostViewedNews/idJPTYE7BK03W20111221?sp=true


<画像引用>
商品詳細
1991年製作(製作国 日本)
ゴジラVSキングギドラ(1991)[A4判]
販売価格 : 1,400円
http://www.eiga46.com/?mode=search&pattern=detail&itemid=jko0124s

武器輸出三原則を緩和へ、27日の官房長官談話で発表2011/12/23 07:03



<関連記事>

▼政府、武器輸出三原則を緩和 27日に官房長官談話
2011/12/23 1:00
http://s.nikkei.com/uFMO5A

 政府は武器の海外輸出を原則禁じる武器輸出三原則の緩和を27日の官房長官談話で発表する。戦闘機などの国際共同開発・生産への参加や、平和構築・人道目的での装備品の供与を「例外」と認める。27日に安全保障会議を開いて決定し、同日の閣議に報告する。防衛産業が先端技術に接する機会を増やし、調達コスト低減にもつなげる。

 緩和は(1)米国や友好国との国際共同開発・生産への参加(2)平和構築・人道目的に限った装備品の海外移転――の2点を認める内容。共同開発・生産の相手国は米国や豪州、北大西洋条約機構(NATO)加盟国などに制限する。三原則自体や「武器」の定義変更には踏み込まない。

 欧米では戦闘機などのハイテク兵器は各国で共同開発・生産をしてコストを分担するのが潮流だ。航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)に決まったF35も米英など9カ国で共同開発した。日本はこれまで三原則が壁となって参加できなかったが、緩和後は参加できるようになる。共同開発・生産国に技術や部品を供与できるが、完成品は輸出しない方針だ。

 海外移転を認める装備品は巡視艇やヘルメット、重機、防弾チョッキなど。いずれも現在は「武器」に分類している。自衛隊が国連平和維持活動(PKO)を終える際、派遣先の国が重機や防弾チョッキの供与を求めてもこれまでは拒否してきた。緩和後は、国際貢献につながる装備品として供与できるようになる。

 野田政権では9月に民主党の前原誠司政調会長が米国での講演で三原則の見直しを表明。これを受け政府は11月末から関係副大臣級会合で内容を詰めていた。公明党などは三原則見直しには慎重だ。


▼武器輸出三原則:緩和、年内決定 27日にも 国際共同開発可能に
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20111223ddm001010051000c.html

 政府は22日、戦闘機などの国際共同開発・生産と、国連平和維持活動(PKO)などで海外に持ち出した装備の他国への供与を可能とする武器輸出三原則の緩和を年内に正式決定する方針を固めた。27日にも官房長官談話として発表する方向で最終調整している。

 戦闘機など最新鋭の装備は複数国による国際共同開発が主流となりつつあり、航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)も米国など9カ国が開発中のF35に決定したばかり。防衛産業の育成や調達費の抑制のため、昨年12月、新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)を策定する際にも三原則の緩和を検討したが、反対する社民党に配慮して見送った経緯がある。

 政府は11月末以降、外務、防衛、経済産業各省の副大臣級会合(座長・長浜博行官房副長官)を3回開催。民主党が10年11月にまとめた提言を基に検討を進めてきた。官房長官談話は(1)装備品の海外移転は平和構築や人道目的に限定(2)国際共同開発・生産の対象国は同盟国の米国と北大西洋条約機構(NATO)加盟国などの友好国に限定(3)共同開発の相手国との間で第三国移転の基準と態勢を整備--を条件に三原則の例外を認める内容になる見通しだ。

 政府関係者は「これまで個別に例外を認めてきたが、基準を作って整理する。武器輸出三原則自体は堅持する」と強調する。しかし、共同開発した武器や日本の技術が紛争当事国などに流出する懸念は消えず、民主党内の護憲派や公明党に慎重論も根強い。【朝日弘行】 毎日新聞 2011年12月23日 東京朝刊


「日米スマートパワー成長戦略」本格始動! 海に浮かぶ先端技術開発立国を掲げ、今こそ世界に打って出よ
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2011/12/21/6252351