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アイ・シャル・リターン 「南シナ海の縄張りを手放すわけにはいかない」=日経・秋田浩之2011/12/08 08:16

アイ・シャル・リターン 「南シナ海の縄張りを手放すわけにはいかない」=日経・秋田浩之


秋田氏が対中戦略の秘策をたずねたのは、今から約1年前のこと。
その時すでにダーウィン駐留が浮上していた。


<関連記事引用(画像も)>

マッカーサーの戦略なぞるオバマ大統領  編集委員 秋田浩之
2011/11/17 7:00
http://s.nikkei.com/t3FvxS

 「第2次大戦中、旧日本軍にフィリピンを追われたマッカーサー司令官がどこから反攻したか知っているか」

 これからの対中戦略の秘策をたずねたときのことだ。米政府当局者はにやりとしながらこう切り返し、答えを明かした。「オーストラリアのダーウィンだ」

 アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を切り盛りした後、オバマ米大統領が息つく間もなく豪州に飛んだのも、そのダーウィンを訪れるためだった。米大統領として初の訪問だ。

 たんなる結束のセレモニーが目的ではない。アジア太平洋の軍事力学を変えかねない重要合意を交わすため、豪州にやってきたのだった。

■精鋭部隊を豪北部のダーウィンに駐留へ

 その合意とは中国軍の増強などをにらみ、米軍が第2次大戦後初めて、豪州に本格駐留するというものだ。精鋭の戦闘部隊として知られる米海兵隊を豪州北部のダーウィンに駐留させる。

 2012年から200~250人の規模で部隊を配置する。最終的には2500人に増やすという。新たな基地をつくるのでなく、いまある豪州軍基地に米海兵隊が“同居”する方向という。

 米豪の軍事協力を拡大するだけではない。米軍はこれから豪州への空母や艦船の寄港を増やすほか、共同の演習や訓練も広げていく。米安保当局者はこう予告する。

 「これから米豪の軍事協力は目に見えてさらに加速するはずだ。よく注意して見ているといい」

 これは中国軍の台頭をにらみ、米軍の態勢を立て直すための大きな布石だ。

 オバマ政権は中国の軍備増強に対応するため、アジア太平洋への関与を強める方針をかかげている。しかし、米軍がいまアジアに持っている拠点は事実上、日本と韓国しかない。日本は約4万人、韓国には約2万8000人が駐留している。

 これ以外では、対テロ戦を展開しているフィリピンに百数十人を派遣しており、豪州でもこれと同規模の米兵が駐留しているにすぎない。つまり、中国軍が進出しつつある南シナ海やその周辺には全くといって良いほど、自前の拠点を持っていないのだ。

 新たに豪州に海兵隊の本格部隊が陣取ることになれば、この構図が変わり始める。米国は東アジアだけでなく、南太平洋にもいわば「不沈空母」を築く足がかりを得ることになるのである。

 「豪州はたしかにアジアから遠いイメージがあるが、実は、北端のダーウィンは南シナ海から目と鼻の先にある。それは地図をみれば、一目瞭然(りょうぜん)だ」

 米政府当局者はダーウィンの戦略的な重要性をこう解説する。

 ここで時計の針を大きく戻し、第2次大戦当時の情勢を見てみよう。1942年3月、旧日本軍の猛攻を受け、マッカーサー司令官はフィリピンからの脱出を強いられる。そこで反攻の地に選んだのが、豪州のダーウィンだった。旧日本軍もダーウィンの戦略的な重要性を理解し、陥落させようと爆撃を加えた。

 日本はその後、ミッドウエー海戦で大打撃を受け、戦局は米優勢に傾いていく。そうしたなか、反撃に出たマッカーサー司令官は44年、再び、フィリピンに戻ったのである。

■中国軍の活動目立つ南シナ海に足がかり

 それから60年以上がすぎ、米軍が基地を持たない南シナ海では中国軍の活動が年々、目立つようになっている。

 「アイ・シャル・リターン(私は戻ってくる)」。フィリピンから脱出した後、マッカーサーは屈辱をかみしめながら、こう誓ったとされる。この言葉を現代に置きかえれば、「南シナ海の縄張りを手放すわけにはいかない」となるのだろう。あたかもこの言葉をかみしめるように、米軍がダーウィンに駐留する。


<関連情報>

地政学を英国で学んだ:飲み会のメモ
http://geopoli.exblog.jp/17232226/