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共和党メルトダウンに揺れる金融タイタン2008/09/28 14:27

金融タイタンたちの報酬額


今日はケネス・ロゴフ(Kenneth Rogoff)の続きを書こうと思ったのですが、
ちょいと後回しにしたいと思います。

昨日のマケイン&オバマの1回目討論会。
おそらく米国の政治史に残るであろう大混乱が垣間見えてきました。

本来第1回討論会は外交・安全保障問題がテーマでした。
ところが、深刻な金融危機への対応をめぐり米政府と議会の交渉が大詰めを迎える中、
90分の討論時間のうち最初の約30分は経済問題にあてられることになります。

オバマは金融危機について、「マケインだって支持してきたブッシュ大統領8年間の経済政策への最後の審判が下されたのだ」と追求します。

そして、オバマは、「金融安定化法案に賛成か」との問いに対して、「合意できると楽観している」と即答し、法案に賛成する考えを表明します。

これに対して目立ったのがマケインの歯切れの悪さ。

金融危機対応を名目に一時は討論会延期を提案したマケインは、「私がワシントンに戻ったことで、下院共和党が問題解決に乗り出した」と説明しますが、、金融安定化法案の賛否について、「私は(採決できると)信じている。ホニャラララァ(I -- I hope so. And I...)」との微妙な言い回し。

そうなんです。

ブッシュ共和党政権が打ち出した金融安定化法案に反対しているのは共和党下院なのです。

ブッシュ政権は身内から反対されているわけです。もはや共和党もメルトダウン状態。

しかも、マケインは共和党下院側の立場になっており、金融安定策の調整が一転して難航状態に転じたことも、「マケイン乱入」が原因だと批判する声まであがっています。

ブッシュ政権がまとめた金融安定化策に対して、まず民主党が第三者委員会による監視、住宅差し押さえ対策、制度を利用する金融機関への政府出資、金融機関の経営者の報酬制限、金融機関の幹部が退職する際の「ゴールデンパラシュート(巨額退職金)」の規制などを盛り込んだ修正案を出します。

9月25日、上下両院の民主、共和党幹部は民主党修正案をもとに調整を開始、午後1時には公的資金の分割拠出や経営者報酬制限などでいったんは暫定合意します。

ところが、ブッシュを交えた最終協議を前に共和党側から「合意などしていない」との声が噴出。

しかも、今度は共和党下院議員が対案まで提示してきた。その内容はモーゲージ担保証券(MBS)に対する政府保証や減税などを盛り込んだものとなっています。これでもう大混乱。

共和党は9月の党大会で「政府による民間企業の救済は支持しない」「自由な市場が繁栄への最良の手段」とする政策綱領を採択したばかり。

特に全員が改選となる下院議員にとっては不公平救済色の強い対策では選挙戦上、不利との判断が働いています。

「これまでいい思いをしてきた金融機関相手に税金を投入する必要はあるのかい」とか、「地方の俺たちの産業を助ける気はないのね」との疑問を持っている有権者が多いということですね。

さらには「おいおい、米国を社会主義化するつもりかよ」と批判するガチガチ保守のジム・デミント上院議員(サウスカロライナ州)まで登場してきました。

こうした中、ブッシュは9月27日午前のラジオ演説で、税金投入による金融機関救済策への米国民の不公平感に対して、「理解できる」としながらも、金融機関が破綻すれば、「国民生活にも困難が生じる」、「最終的なコストも7000億ドルを大幅に下回るはず」と語っています。

また、「失敗した経営者があなたの税金から『棚ぼた(巨額報酬=ゴールデンパラシュート)』を受け取らないようにする」との考えを改めて示しました。

このブッシュのラジオ演説は、金融安定化法案に反対しているマケインや共和党下院向けとしか思えない。

たった今、金融安定化法案が大筋合意したとのニュースが入ってきましたが、その内容はどうなっていることやら。

マケインは何か思惑がありそう。これにケネス・ロゴフも関与してそう。シティグループの会長やシニア・カウンセラーを務めてきたロバート・ルービン(クリントン政権時の財務長官)の存在が気になる。

すでにシティグループへの公的資金投入シナリオがあるのか。その時、オバマを追い込めるとでも思っているのでしょうか。

それでは、今米国で話題を振りまいている米金融機関の報酬を画像にてお楽しみ下さい。

日本人も冷や冷やさせた米保険最大手アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)の前CEOのマーティン・サリバン(Martin J. Sullivan)がこの3年間で手にした報酬は3960万ドル。その額は日本円にしてざっと42億円です。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が、出資することになったモルガン・スタンレーCEOのジョン・マック(John J. Mack)がこの1年に受け取ったのは1770万ドル(日本円で18億8千万円)、3年間の合計は5600万ドル(日本円で59億4千万円)となります。

よくもまぁ、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はこんな会社に投資しましたねぇ。これまでの高額報酬制度を見直さないと、最も大切にすべき日本人社員のやる気にまで影響するかもしれませんよ。



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http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/09/19/3772204

Transcript of presidential debate
http://edition.cnn.com/2008/POLITICS/09/26/debate.mississippi.transcript/
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