日米の原理主義暴走は油から始まる ― 2008/09/03 10:51
ようやくサラ・ペイリンとホッキョクグマが揃って登場する記事が出てきました。私の思惑どおり北極熊とせずにホッキョクグマと訳してくれたw
副大統領候補ペイリン氏:「環境より開発」派、創造説教育支持
http://wiredvision.jp/news/200809/2008090220.html
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080902-00000001-wvn-sci
「ワイアード・ブログ『Threat Lavel』の記事によれば、このほど米国共和党の副大統領候補に選ばれた、現アラスカ州知事のSarah Palin氏は、ホッキョクグマの数が減少しているという調査報告を重視せず、北極野生生物保護区(ANWR)での石油掘削を推進している人物だ。」と書かれていますね。
「『Threat Lavel』の記事」とは、このブログで8月31日に紹介済です。
McCain VP Pick No Friend to Polar Bears
http://blog.wired.com/27bstroke6/2008/08/john-mccain-pic.html
ワイアード日本語記事は創造説が中心。1925年のスコープス裁判は米国を知る上で非常に重要です。日本では原理主義といえばイスラム原理主義のイメージが強いようですが、そもそも原理主義発祥の地は米国なのです。
原理主義は反知性主義につながる。米国には反知性主義の伝統が存在するということ。
だからこそ、今なお進化論を教えるか否かで大騒ぎする。このことを理解しないと米国の本質がわからない。
ペイリンという人物はこの米国を象徴する人物。米国ではペイリンが普通なのです。
でもね。原理主義者たちも個々を見れば素朴でいい人が多いのです。
このペイリンと対極にいるのが、オバマの副大統領候補に起用されたジョゼフ・バイデン。バイデンは米国ではまだまだマイナーなカトリック信徒です。
オバマが勝てばカトリック副大統領が誕生します。プロテスタント大国にあって、これまでカトリックで大統領になったのはジョン・F・ケネディただ一人だけ。カトリック副大統領はバイデンが初めてなのかもしれない。
すでに「カトリック副大統領誕生にあわせて、日本でもカトリック宰相が登場するかもしれませんね。そうです、フランシスコ麻生太郎です。」と指摘しましたが、どうやらカトリック宰相誕生の方が早いかもしれません。昨年同様、反麻生の動きが出てきているようですが・・・
麻生太郎のおじいちゃんの吉田茂も臨終洗礼を受けています。吉田家と麻生家にカトリックの種をまいたのは吉田茂の妻である牧野雪子。
牧野雪子は牧野伸顕の長女。牧野伸顕は大久保利通の二男。
つまり、麻生太郎は日本を代表するリアリスト・大久保利通の血を引いている。そして、大久保の孫にあたる牧野雪子が敬虔なカトリック信徒になったことが、フランシスコ麻生太郎につながっているわけです。
牧野伸顕も吉田茂も昭和天皇のインナー・サークルの中心人物。その影響で皇室にカトリック信仰が接ぎ木されます。そして、カトリック家系の美智子皇后さまにつながる。
昨日の株式市場では、漫画・アニメ・ゲーム関連の麻生関連銘柄が賑わったそうです。
私が気になったのは建設機械、産業機械大手の小松製作所(コマツ)。早速ホームページにお邪魔すると、いきなりホッキョクグマが出迎えてくれました(画像見てね)。
なぜコマツかというと、この会社の創業者が吉田茂の実兄にあたる竹内明太郎。竹内は教養主義の実践者としても知られています。
日本がなぜあの戦争をしたのか。そこにも原理主義がありました。
この原理主義は国家神道ではありません。
それは南朝正統イデオロギーに染まった楠木正成原理主義といえるものでした。靖国神社はこの日本の原理主義の伝統を引き継いでいる。
原理主義の暴走を許したのは当時の日本人の無教養。だからこそ北朝の昭和天皇は「将来この欠点を矯正するには、どうしても国民の教養を高め、又宗教心を培って確固不動の信念を養う必要があると思う」と語ったわけです。
宗教心を培うために皇室のパートナーとして迎え入れたのがカトリック家系の美智子皇后さまだった。
米国も同じ失敗をします。それまで知性主義、教養主義により原理主義の暴走を抑え込んできたのですが、宗教票に目がくらんで狂っていく。
選挙に勝つための宗教票依存が、ついには神憑りのブッシュを大統領に祭り上げてしまう。これが911を誘発、そしてイラク戦争へと突き進む。
知性主義や教養主義の衰退が原理主義の暴走を許すということ。また、政治への無関心による低投票率も背景にあります。
日本もすでに宗教票依存。蔓延してきたランキング依存は知性主義や教養主義の衰退を示している。いつ何時暴走してもおかしくない状況です。
バイデンと麻生太郎に共通するのは失言壁。暴走を食い止めるどころか、火をつけてしまう可能性もある。
米国ではこうした状況を打開するために「リアリストよ、団結せよ」との声が高まってきた(ニヤリ
日本では誰も何も言わない。
「日米戦争は油で始まり油で終つた様なものである」 (『昭和天皇独白録』文春文庫、P64)
原理主義の暴走は油から始まる。いや、正確にいえば、油に群がる人たちが素朴な原理主義者たちを利用し、暴走させるのです。
今こそ歴史を直視する勇気が必要ですね。
(宣伝w)麻生太郎と吉田茂とカトリック、さらには皇室とカトリックの関係について、日本で一番詳しい本はこの本です!
園田義明著
『隠された皇室人脈―憲法九条はクリスチャンがつくったのか!? 』
(講談社+α新書)
<参考記事>
キリスト教原理主義の危険な旅立ち(1)
http://www.yorozubp.com/0211/021119.htm
キリスト教原理主義の危険な旅立ち(2)
http://www.yorozubp.com/0303/030318.htm
オバマのバイデン起用を読み解く
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/08/23/3707881
昭和天皇、聖談拝聴録原稿(木下のメモ)③「結論」
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/07/31/3663328
追い込まれるサウジ、巻き込まれる日本
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/08/07/3676985
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