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英BPの敗北2008/09/05 11:58

コビクタ・ガス田


9月3日の朝、ストラットフォー(Stratfor)からのメールが到着。これを記事にしようかと思ったのですが、私の地政学の先生が書くのではないかと・・・www

その記事はこれ↓

The Medvedev Doctrine and American Strategy
http://www.stratfor.com/weekly/medvedev_doctrine_and_american_strategy

しばらくするとやはり先生が書いていましたねー。予感的中!

「地政学を英国で学ぶ」
http://geopoli.exblog.jp/
メドベージェフ・ドクトリン
http://geopoli.exblog.jp/9423862/

こちらから「メドベージェフ・ドクトリン」を引用させていただきますね。

<メドベージェフ・ドクトリン>

1、ロシアは国際法を遵守する
2、「一極世界」というアメリカの支配状態を拒否し、多極世界を実現する
3、他国との友好関係を維持する(孤立化は望まない)
4、国外にあるロシア国民の生命と尊厳、そしてロシア企業の利益を守る
5、親露的な地域での特権的利益、つまり「影響圏」を持っていることを宣言する

「国際法を遵守する」というのは米国へのアテツケですね。そしてロシアは「おいらも極なんだぜ」と宣言しちゃったわけです。

しかも、「影響圏」で「ロシア企業の利益」と「他国との友好関係」が絡んだ時はどのような手段を選ぶのかがわかる事例が早速出てきました。当然ですが、国益が最優先ですね。

その事例とは「英BP vs. ロシア」。その結果はロシア側の勝利となりました。

これはつまりBPとゴールドマン・サックス・インターナショナル(GSI)の会長を兼任し、ビルダーバーグ・グループの中心人物でもあるピーター・サザランドがプーチンに敗れたということですね。(おそらくこのままでは終わらないと思いますが・・・)

その事例を見ていきましょう。

▼引用開始
英BP系最高経営責任者が辞任へ 合弁石油、ロシア圧力に譲歩
http://www.47news.jp/CN/200809/CN2008090401000635.html

 【モスクワ4日共同】国際石油資本(メジャー)の英BPは4日、ロシア側株主との対立で経営が混乱している合弁企業TNK-BPについて、BP出身のダドリー最高経営責任者(CEO)の年内辞任などでロシア側と合意し、覚書に署名したと発表した。

 後任には独立系のCEOを選ぶとしており、BPの主導権を崩そうとするロシア側株主にBPが譲歩をした形となった。

 新CEOはBPが指名、取締役会が承認する。ロシア語を話し、ロシアでのビジネス経験が豊富との条件も付けた。取締役会はBPとロシア側の4人ずつのほか、新たに双方と関係のない社外取締役3人を加える。

 TNK-BPはロシア第3の石油企業で、BPとロシア側が折半出資。ロシア側株主はダドリーCEOの辞任を要求、ロシア当局が脱税容疑などの捜査で圧力を加え、7月にはダドリー氏はロシアを出国していた。
▲引用終了

共同通信さんは譲歩という表現を使っていますが、最近超面白い英タイムズ紙ははっきり「屈服」と書いています。

BPは全原油・ガス生産の4分の1をTNK―BPに依存。ロシアから締め出されてしまうとBPは大打撃。

結局、ロシア側株主組織のアルファ・アクセス・レノーバ(AAR)の要求をほぼ受け入れてしまう。

でもこれはまだ前哨戦。

設立当初はBP側の意向からロシアとウクライナの事業だけに限定していたのですが、ロシア側AARは積極的に海外展開したいと考えてきた。

なんとまぁ、昨年ロシア側AARはイラクのクルド自治政府(Kurdistan Regional Government:KRG)と勝手に契約しちゃう(汗)。ここもロシアは「影響圏」だと主張したいのでしょうか。

TNK―BPはもう独立系石油メジャーになったようなもの。BPを含めた英国企業の競争相手になる可能性が出てきた。

え?それでも日本人にとっては他人事?

それがそうでもないのです。ここに貼り付けた地図をクリックしてくださいね。

東シベリアのコビクタ・ガス田(Kovykta gas fields)はロシアの東方拡大戦略の要なのです。「影響圏」拡大基地みたいなものですね。

そして、このコビクタ・ガス田でTNK―BPが組んでいる最大権益者こそが、あのガスプロムです。

さぁ、いよいよロシアが極として名乗りをあげた。もうひとつの極である米国とは、唯一「米露海峡」の異名を持つベーリング海峡を挟んで対峙しています。

最も緊迫しそうなこの地域。そのアラスカからサラ・ペイリンが副大統領候補に選ばれた。

米露二つの極は北極でぶつかるのです。



<関連記事>
「英BP vs. ロシア」で読み解くパイプライン戦争
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/08/12/3687001
「サザランド vs. プーチン」で読み解く世界の構図
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/08/14/3689777
「人脈地図:ピーター・サザランド:サザランド・ファイル」
http://www.sonoda-yoshiaki.com/sutherland.jpg

TNK-BP becomes independent oil major as warring sides reach deal
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/industry_sectors/natural_resources/article4678533.ece

BP's Russian Tightrope
http://www.forbes.com/markets/2008/09/04/bp-tnk-update2-markets-equity-cx_vr_0904markets27.html

TNK-BP dispute triggered by Iraq oil project row
http://business.timesonline.co.uk/tol/business/industry_sectors/natural_resources/article4221694.ece

KRG signs five more petroleum contracts
http://web.krg.org/articles/detail.asp?smap=02010100&lngnr=12&asnr=&anr=21329&rnr=223
BP and TNK-BP Plan Strategic Alliance with Gazprom as TNK-BP Sells Its Stake in Kovykta Gas Field
http://www.tnk-bp.com/press/releases/2007/6/70/

日本初「クリスチャン総裁選」の行方(1)2008/09/05 22:25

クリスチャン総裁選の主人公3名


石破茂・前防衛相が立候補の意向を表明しました。
これはおもしろくなってきました。
この自民党総裁選が日本初の「クリスチャン総裁選」になるからです。

今日は基本的な情報だけ記しておきますが、明日以後の続編に期待下さい。


<クリスチャン総裁選の主人公3名(画像クリックしてね)>
麻生太郎=カトリック
石破茂=プロテスタント
与謝野馨=カトリックに近い

<麻生太郎カトリック詳細>
拙著『隠された皇室人脈』一、二、四章(講談社+α新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/4062725002?tag=yoshisono-22&camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=4062725002&adid=14VD560PCJFV6C0NT8F8&

「日米の原理主義暴走は油から始まる」
http://y-sonoda.asablo.jp/blog/2008/09/03/3739004

<石破茂プロテスタント詳細>
拙著『最新・アメリカの政治地図』P237(講談社現代新書)
http://www.amazon.co.jp/dp/4061497146?tag=yoshisono-22&camp=243&creative=1615&linkCode=as1&creativeASIN=4061497146&adid=0KW4JN588N7RDC1YRGXG&

「イラク派遣に隠されたキリスト教の世界」
http://www.yorozubp.com/0402/040209.htm

<与謝野馨カトリック説について>

与謝野馨 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8E%E8%AC%9D%E9%87%8E%E9%A6%A8

このWikipediaを見ると、与謝野馨が「敬虔なカトリック信徒である」と書かれていますが、これは間違いです。洗礼は受けていません。

ただし、父・与謝野秀は敬虔なカトリック信徒。その関係で与謝野家はカトリック信徒が多いのは事実。与謝野馨も幼い頃からその影響を受けていることから、「カトリックに近い」との表現が適切かと思われます。

この情報は随分前に調べたことがあります。一応念のため本日(9月5日21時)、「与謝野馨事務所」に電話し、再度確認済みです。