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米軍需産業の手の平で睨み合うポチとブルドッグ2009/04/07 07:19

エアボーン・レーザー(ABL)


北朝鮮のミサイル発射に対して、冷静かつ慎重な姿勢を貫いてきたオバマ政権。
この背景には国防予算の見直しを断固として進めたいとの思惑があります。

ブッシュ前政権で聖域扱いされていた国防予算。
中でもミサイル防衛(MD)は特別な存在。

ところが、オバマ大統領本人がMDに対して懐疑的。
しかも外交問題評議会(CFR)までもがMD再考論を取り上げたことは、
すでに本ブログで紹介したとおり。

このためオバマ政権は国防総省に対し「抜本的な見直し」を要請。

2010会計年度(09年10月-10年9月)国防予算のうち、
MDにかかわる経費を前年比約20億ドル(約1800億円)削減するよう指示。
09会計年度のMD予算は約94億ドル、よって2割以上の削減へ。

こうしたオバマ政権の国防予算削減方針をぶち壊すように登場してきたのが北朝鮮。
北はまるで米軍需産業の救世主。

オバマ政権はポーランドやチェコへのMD配備に慎重姿勢を示していた。
ところがオバマは「イランからの脅威がある限り」という条件付きで認める方針を打ち出す。

このオバマ演説は北のミサイル発射直後にチェコの首都プラハで行われたもの。
それでも「イランの脅威がなくなればMDは必要ない」との見方を示したとのこと。
日米による「北朝鮮とイランの枢軸工作(一緒くた工作)」が実を結んだといえます。

さらに注目の国防予算削減の詳細は、
ロバート・ゲーツ国防長官の記者会見で示されることになっていました。

このゲーツ記者会見は日本時間7日午前2時半に行われ、
現在海外メディアが相次いで取り上げています。

ゲーツの記者会見に怯える米軍需産業。
すべての防衛ロビイストも非常警戒態勢を取っていました。
こうした中で行われた北のミサイル発射。
これでMD推進派は大喜び。
ここぞとばかりに総動員で巻き返しへ。

それでもオバマは揺るがない。
ゲーツは国防予算削減案を発表。
MDの削減額は約20億ドルから14億ドルになったものの、
大枠は当初の予定通りとなりました。

削減対象にはMD関連ではエアボーン・レーザー(ABL)、
他に最新鋭ステルス戦闘機F22の生産中止などが含まれています。

F22は日本の航空自衛隊の次期主力戦闘機(FX)の有力候補になっており、
機種選定に重大な影響を与えることになるはず。
(先月の墜落事故との関連も気になるところ)

それにしてもなんとも絶妙なタイミングでの北のミサイル発射。
金正日もまた米軍需産業に飼いならされたブルドッグなのかも。

鼻息荒いブルドッグと睨み合っているのはMD教熱烈信者のポチ。
ブルドッグもポチも本能的に自分の役割を嗅ぎ取っているようです。

バーボン片手に飼い犬同士の戦いを楽しむ米軍需産業の連中。
はたしてオバマのチェンジは彼らに通用するのでしょうか。


<関連記事>

北朝鮮ロケット発射、米軍需産業にとっては朗報か
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-37345520090406

【北ミサイル発射】米ミサイル専門家にも「失敗説」と「成功説」
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090406/amr0904062311017-n1.htm

「9・11」は終わった 米大統領、防衛費削減へ大なた
http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200904070022a.nwc

North Korea launch could arm Pentagon suppliers
http://uk.reuters.com/articlePrint?articleId=UKLNE53503220090406

The Song of Kim Jong Il
The condemnations will probably soon become concessions.
http://online.wsj.com/article/SB123897539942591099.html?mod=article-outset-box

Defense Spending Cuts May Pose Risk to Boeing, Lockheed Weapons
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601103&sid=aVvHsMfAVWr4&refer=us

Secretary Gates Details New Pentagon Priorities
Robert Gates
http://www.realclearpolitics.com/articles/2009/04/06/gates_details_new_pentagon_priorities_29.html

National Missile Defense: A Status Report
http://www.cfr.org/publication/18792/reconsidering_missile_defense.html?breadcrumb=%2F

コメント

_ (未記入) ― 2009/04/07 09:30

君らMD反対派には残念だが、こういう結果だw

東欧MD計画:オバマ米大統領が継続に意欲
http://mainichi.jp/select/world/news/20090406k0000e030062000c.html

_ とおる ― 2009/04/07 10:04

オバマ大統領は、プラハの演説で北朝鮮に対して、「ルールを破った者は罰しなければならない」というような発言をしていましたが、チェンジの得意な彼としては、どうするのやら。
昔、アルカイダがCIAの手先で動いていましたが、いつの間にか狂犬になってしまいました。
ポチまたはブルドッグも、いつまで従順に役割を演じるだけに収まっていることやら。

_ とおる ― 2009/04/07 15:17

F-22は中止でも、「F-35の購入を増やす」と出ています。(ゲイツ国防相)
NHK衛星のPBS番組でも、誰かがそのように言っています。
金くい虫の一流品(?)よりも、コスト重視のようで。

_ Y-SONODA ― 2009/04/08 07:22

未記入さんへ

別にMDに反対というわけではないのですが・・・
高い買い物→国産化したらもっと安くていいのができるのではないか。
それより以前にちゃんと核武装を議論しようよなどと思っているだけです。

ところでご紹介いただいた毎日さんの記事ですが、
あなたはおそらくタイトルしか読んでいないのではないでしょうかwww

_ Y-SONODA ― 2009/04/08 07:23

とおるさんへ

その後日本でも新聞各社がゲーツ会見の内容を報じていたようなので、
詳しくはそちらをご覧下さい。

私は昔から金正日は米軍産インナーサークルとお友達ではないかとの疑いを持っていました。
いつもいつも阿吽の呼吸なんだもん。
そう思われても仕方ないよね。

_ アルル ― 2009/04/08 10:41

予算は削減で、MD継続(PAC3には増額とあり)でしょう?日経さんによると。まあMDってのは公共事業ですから。F35の方が三菱重工的にはハッピーなんだそうですね。ライセンスやりやすいから。F35はロッキードマーチンさんとBAEさんがコンソーシアムで作るって言うし、日本的には初期導入コストで、ユーロファイターは国内生産ではあり得ないでしょう(そのまま丸ごと輸入するならともかく)

ところで、ゲイツおじさんはラジコン飛行機が大好きらしいですが。パキスタンあたりで飛び回らせるらしいですが。

_ とおる ― 2009/04/08 18:50

園田様
> いつもいつも阿吽の呼吸なんだもん。
> そう思われても仕方ないよね。

ほんと、仕方ありませんね。
あうんの呼吸か、見事な世渡り外交術で、日本の政治家も金正日の手練を勉強したらいいのに。
いつまで、この関係が続くことやら。

_ SSOPL ― 2009/04/08 23:01

米国2010度国防予算
・防衛予算全体は2009年よりも210億ドル増額。
・MD予算全体に関しては14億ドル減額。ただしSM-3とTHAADは7億ドル増額。
・イージス艦を6隻、MD対応に改修する為に2億ドル。
・米本土防衛用GBIの数は現状維持。ただし北朝鮮の脅威を名目に開発研究は継続。
・ABL(空中レーザー砲)2機目生産はキャンセル。初号機での開発は継続。
・MKV(多弾頭迎撃体)開発計画は技術的困難の為、一旦中止。
・KEI(上昇段階用迎撃体)については、将来有望ながらまだ研究が必要。
http://www.defenselink.mil/transcripts/transcript.aspx?transcriptid=4396

単純見る限り現状ある実績のある装備を発展改修に重点を置くという流れね
日本にとってはSM-3BlockIIAの共同開発へ予算入ってるほうなので都合のいい流れ
MKVのSM-3BlockIIBは残念だが

ただ今言われてるそのF-22停止やこの予算案は提言の時点で最終決定はこれからの議会審議で決まるのでまだどれがどうなるかは判らんよ
取り合えずSM-3の発展とTHAAD採用の可能性が増えた分で良しとしよう

_ Y-SONODA ― 2009/04/09 01:17

★アルルさんへ

私の方は娘と一緒に赤外線コントロールチョロQに嵌まっておりますw
大特価続出で今や500円ちょい。

チョロQターゲットはワンコなのですが、
当初の派手なリアクションから、今や完全無視。

餌搭載チョロQでなんとか惹きつけるも
転がり落ちたタイヤを食っちゃって我が家のブームは終了間近。

犬相手だと餌で釣ってもうまくいきませんねぇ。
経済制裁もどうなることやら。

★とおるさんへ

いつも過剰に反応して、彼らの思う壺に。
結局北って放置プレイが一番いいのかも(笑)

★SSOPLさんへ

フォローどうもありがとうございます。
実際には北朝鮮以上に米国内の経済危機の影響が大きいのかもしれませんね。
ワシントン・ポスト紙は主要事業中断による失業者急増の可能性を指摘していました。

それにしてもSM-3の発展とTHAAD採用を良しと見ていることに感激しつつ質問があります。

SM-3とTHAADの増額はやはり北の影響なのでしょうか。
北と見せかけて実は中国という可能性はありませんか?

_ SSOPL ― 2009/04/09 18:08

(゚Д゚;≡;゚д゚)やぁわしゃそんな国務長官や、安全保障局直轄でも
フロンティアンでもない大和人なんで、んなレベルは判りゃしないわよ

北の影響かどうかは知らないけどアメリカにとっては北だけでなくイランも警戒の相手で
同盟国と自国の海外展開軍を守るためにそれら戦域防衛用のSM-3とTHAADが優先されてる見方
で、カットしたのはGBI等の本土防衛用の装備

中国想定であるならば向こうは多弾頭型装備であるため
MKVの開発予算が止まる事はまず無いと思われ
で、イランや北想定にしてもその中国が多弾頭型開発に30年以上も費やしてるぐらいだから暫くは大丈夫との判断で一旦停止なのだろう
F-22みたいに量産中で生産ラインのあるもんはともかく
開発中のもんはそんなことあまり気にしないから来年になったらひょっこりまた開発再開で予算増額なってたりもするんじゃない

_ Y-SONODA ― 2009/04/10 00:32

SSOPLさんへ

>わしゃそんな国務長官や、安全保障局直轄でも
フロンティアンでもない大和人なんで、んなレベルは判りゃしないわよ

あはは。確かにそうでんなー。

それにしても米国の本土防衛というのもどうなんやろか。
だって911もハイジャックされた民間飛行機でっしゃろ。
しかも相手は国際テロ組織。
カットされても当然ちゃうかと。

このあたりでどうも米国は捻じ曲がっているようで気持ち悪いんですわ。

オバマはんも軍需系の金と票が欲しいやろから、
うまく立ち回らはるんでしょうな。

_ (未記入) ― 2010/01/29 04:59

イラク戦争のせいでアメリカの軍需産業は軒並み大損ぶっこいた。このままでは将来国防に不安が生じるとか連名で議会に訴えたぐらい。
第一戦争で景気悪くなるとメインの民需が業績落ちる。

業績上げたブラックウォーターは受注額で1%にも満たないザコ


これで軍需産業どーの言ってるヤツは日ごろ批判してるテレビ世代(笑)と同レベル バカ あほ 間抜け 愚図
産軍複合体だの陰謀論とか中学生までにしとけw

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