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「インサイダー天国ニッポン」に注がれる冷たい視線2012/05/30 08:26

「インサイダー天国ニッポン」に注がれる冷たい視線


今朝の海外主要メディア巡りで目立ったのは日本のインサイダーネタ。
いつまでも野放しでいいのだろうか。


<関連記事>

【ドラマ・企業攻防】インサイダー天国ニッポン 甘い規制で海外ファンド“野放し”
2012.5.13 18:00
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120513/fnc12051318010004-n1.htm

 公募増資に絡む内部情報の相次ぐ漏洩(ろうえい)が証券界を揺るがしている。中央三井アセット信託銀行(現三井住友信託銀行)が野村証券の担当者から得た情報を元に株を売買し、不正利益を得たことが3月に発覚。4月にはSMBC日興証券が事前に得た増資情報を元に顧客を勧誘していたことが明らかになった。金融庁は規制強化に乗り出しているが、「インサイダー天国」の汚名をそそぐ“特効薬”は見当たらず、投資家の日本離れはさらに加速しかねない。

情報遮断は不可能

 日本の資源開発を牽引(けんいん)する国際石油開発帝石。その増資計画を中央三井アセットのファンドマネジャーが知ったのは、平成22年6月30日のことだった。実際の増資の発表は7月8日。増資の主幹事である野村証券の女性営業担当者から、1週間以上も前に情報を得たのだ。

 増資で発行済み株式数が増えれば1株当たりの価値が減るため、株価は下落することが多い。ファンドマネジャーは、7月1、7日に空売りも含めて210株を約1億円で売り抜け、1400万円の運用益を得て顧客に還元していた。

 公募増資の場合、証券会社の投資銀行部門に新株発行時期など重要な情報が集まる。このため、部屋の出入り口を部外者と分けたり、電話の録音や防犯カメラで入退室を監視するなど、情報を遮る壁「チャイニーズ・ウオール(万里の長城)」を構築してきた。だが、私的な携帯電話やメールを使えば「遮断はほぼ不可能」(関係者)だ。

 野村は3月下旬に社内調査に着手したが、全容解明には至っていない。調査が難航する中、証券取引等監視委員会は先月25日、定期検査が終わったばかりの野村に対し異例の「特別検査」に踏み切った。これを機に一部の機関投資家は野村との取引を見合わせているとされ、業界では一段の「野村離れ」を予想する声も出ている。

氷山の一角

 一方、日興はインサイダー情報を使って組織的に営業を展開した。22年1月に三井住友フィナンシャルグループ(FG)の増資情報が65支店に伝わり、うち8支店で実際に顧客に新株の購入を勧めていた。

 監視委は、顧客らが三井住友FG株を空売りするなどの「インサイダー取引を行った事実は確認していない」としている。だが、問題発覚後に日興が行った情報管理研修などの対策が「再発防止策になっていない」として、4月13日に金融庁に対し行政処分を行うよう勧告した。

 監視委が情報漏洩に厳しい姿勢で臨んでいるのは、東京市場の信頼が地に落ちたためだ。22年の東京電力や日本板硝子などの増資でも株価が増資の公表前から不自然に急落。ヘッジファンドなどの空売りが疑われ、海外から「日本市場はインサイダーの温床だ」との非難の声が上がっていた。発覚した野村、日興の例は「氷山の一角」ともいわれ、市場関係者の間では「監視委の摘発はなお続く」とささやかれている。

課徴金わずか5万円

 日本でインサイダー情報の漏洩が続くのは“大甘”ともいえる規制のせいだ。欧州では世間話でも情報を漏らせば、情報を得た側が不正取引を行ったか否かに関係なく罰せられるが、日本では情報を流出させた側は罪に問われない。刑事罰も海外では実刑が珍しくないが、日本では執行猶予がつくケースが大半だ。

 課徴金も少なく、勧告を受けた中央三井のケースではわずか5万円。ある外資系証券の運用者は「少なすぎて笑い話になった」と苦笑する。

 日本証券業協会は増資を実施する際に、機関投資家に対してどの程度の増資を引き受けるのかを事前に打診する行為を禁じている。だが、空売りを仕掛けたとされる海外の証券会社やファンドは対象外で、事実上“野放し”。監視委が海外ファンドを調査しようとしても、外国語での文書作成や、法務省や外務省、大使館など複数の機関をまたぐ膨大な作業が伴い、「特に重大な事件以外は手が回らない」(関係者)という。

 事態を重くみた金融庁は、海外ファンドを不正取引の課徴金制度の適用対象に加える金融商品取引法改正案を今国会に提出するなど規制強化を図るが、「抜本的な対策にはほど遠い」(大手証券)のが現状だ。

 東証1部の昨年の売買代金は341兆5875億円と、20年に比べ4割も減少、東京市場の地盤沈下は深刻だ。再浮上を狙い、東証は来年1月に大証と合併するが、規模だけでは投資家の信頼は得られない。早大大学院法務研究科の黒沼悦郎教授は「証券会社が営業姿勢を根本から見直し、規制強化を急がなければ、グローバル化が進む金融市場から見放される」と警鐘を鳴らしている。(小川真由美、永田岳彦)


監視委、証券会社を本格調査 相次ぐ増資インサイダー (画像引用)
2012/5/30 2:09
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDF29010_Z20C12A5EA2000/?dg=1

 証券取引等監視委員会による相次ぐ課徴金勧告で、増資インサイダーを巡る幾つかの課題が浮かび上がった。増資情報はいずれも主幹事を務めた証券会社から漏れていた。法制度の課題もあり、海外ヘッジファンドの実態解明はこれからだ。市場の信頼回復に向け、監視委は証券会社などへの調査を進める。

 監視委が3月以降に課徴金勧告したのは、国際石油開発帝石、みずほフィナンシャルグループ、日本板硝子の公募増資が対象。いずれも2010年の増資公表前に株価が大幅に下がり、増資インサイダー疑惑が浮上。「不透明な日本市場の象徴」と見られていた。

 あすかアセットマネジメントは日本に拠点を置く「和製ヘッジファンド」の代表格として年金基金などから運用資金を受託している。日本板硝子の増資情報は主幹事のJPモルガン証券から入手したとみられ、事前に同社株を空売り。公表後に株価が下落したところで買い戻し、利益を上げた。JPモルガン証券は29日、「今後とも内部管理の充実を図る」とのコメントを出した。

■元社長が謝罪

 一方、合併前の旧中央三井アセット信託銀行(現三井住友信託銀行)はみずほの増資情報を事前に入手し、ファンドで保有していた同社株を一部売却していた。旧中央三井アセット信託は3月にも国際石油開発帝石の増資インサイダー取引で課徴金勧告を受けた。

 三井住友信託は29日、3月末まで旧中央三井アセット信託銀行の社長を務めていた住田謙顧問が記者会見し、「当時の内部管理体制が脆弱だったと言わざるを得ない」と謝罪した。

 これらの増資情報は野村証券が旧中央三井アセットに伝えたとみられる。監視委は4月下旬から野村証券への特別検査に入っており、情報漏れに組織性がなかったかどうかを慎重に見極める方針だ。野村証券は「当局の検査や調査に全面的に協力する」とのコメントを発表。社外の弁護士により、幅広く社内調査を実施しているという。

 これまで明らかになった増資インサイダー取引の情報の発信源は主幹事証券だった。証券会社は企業の増資などを手掛ける投資銀行部門と、営業部門の間で情報を遮断する壁がある。この壁が機能せず、営業担当者が本来、知り得ない増資情報を得た疑いがある。

 相場低迷で収益が落ち込む中、大型公募増資の引き受けはまとまった手数料収入を得られる。主幹事の獲得競争を繰り広げるなか、少しでも新株の販売実績を上げようと、証券会社が無理な営業をしたのではないかと監視委は疑っている。

■罰則求める声

 日本では新株の販売期間が海外に比べて長いため、その間にヘッジファンドなどによる空売りが起こりやすくなる問題点もある。米国では増資の発行決議から価格決定まで通常1~2日だが、日本では会社法の規定で払い込みまで2週間以上かかってしまう。

 再発を防ぐには、金融商品取引法を改正し、増資情報を顧客に伝えただけでインサイダー取引とする罰則を新設すべきだとの声も一部にある。米国などでは証券会社の営業担当者がインサイダー情報を顧客に伝えれば、対価を得なくても罰則の対象になるが、日本では罰則の対象外で抑止力が働きにくいためだ。自見庄三郎金融相は29日の会見で「適切な対応を検討していきたい」と話した。


JPモルガン社員が日本板硝子の増資インサイダー取引に関与-関係者
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M4Q5KE1A1I4H01.html

5月30日(ブルームバーグ):JPモルガン証券の社員が2010年の日本板硝子の公募増資に絡んだインサイダー取引(金融商品取引法違反)に関与していたことが29日までに明らかになった。企業の公募増資を引き受けた証券会社が漏らした情報に基づくインサイダー取引が表面化したのは、野村ホールディングスに次いで2社目となる。

証券取引等監視委員会によると、あすかアセットマネジメントのファンドマネジャーが主幹事証券のセールストレーダーから伝達を受けた情報に基づき10年8月に顧客資産でインサイダー取引を行った。複数の関係者によれば、JPモルガン証の従業員が板硝子の増資情報を漏らしたという。JPモルガンは主幹事証券の1社だった。

JPモルガン証券広報担当の吉野友佳子氏はコメントを控えた。ただ「当局から組織ぐるみの関与であるとの指摘は受けていない」とした上で「厳粛に受け止め内部管理の充実を図っていく」などとのコメントを同日夕発表した。同じく主幹事だった大和証券グループ本社広報担当の本田彰洪氏は「当社は関係ないものと認識している」と述べた。

日本の証券市場では、主要な金融機関によるインサイダー取引やそれにつながりかねない不適切な行為が相次ぎ表面化している。三井住友信託は3月にも同様の勧告を受け、情報提供者として野村証券の関与が明らかになっているほか、SMBC日興証券は主幹事を務めた企業の増資情報を顧客勧誘に利用していたことも判明している。

みずほFG株でもインサイダー

監視委は29日、三井住友信託(旧中央三井アセット信託)銀行についても、みずほフィナンシャルグループの増資情報を主幹事の営業員2人から入手した情報で同年6月に取引きしたとして課徴金納付を勧告。三井住友信託が同様のケースで勧告を受けるのは2度目で、いずれも引き受け主幹事証券からの情報をもとに取引していた。

監視委の発表を受けみずほFG株の公募増資で引き受け主幹事の1社だった野村は同日夜、発表したコメントで「誠に遺憾に存じます」とした上で、「引き続き当局の検査や調査に全面的に協力していく」と述べた。また、社外の弁護士による調査で改善策や人事処分などに関する意見を求め、厳正に対処していくとしている。

監視委によると、29日の処分対象者は増資情報の公表後の株価下落を予想した空売りなどで利益を得ていたという。課徴金はインサイダー行為を行った運用報酬に応じたものとなるため三井住友信託が8万円、あすかアセットが13万円と少額にとどまる。


インサイダー情報 営業活動で漏えいか
5月30日 4時33分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120530/k10015468871000.html

三井住友信託銀行が企業の公募増資の情報を基にインサイダー取引をしたとして、証券取引等監視委員会が課徴金の支払いを命じるよう金融庁に勧告しました。

情報は、公募増資を担当した野村証券の社員が営業活動のなかで漏らしていたことが分かり、監視委員会は野村証券の法令順守の体制に問題があったとみて調査しています。

三井住友信託銀行は、みずほフィナンシャルグループが新たに株を発行して公募増資をすることから株価が下がるという情報を基に、持っていた株を売却しておよそ2000万円の不正な利益を得るインサイダー取引をしたとして、29日、証券取引等監視委員会が課徴金の支払いを命じるよう金融庁に勧告しました。

公募増資の情報は、みずほフィナンシャルグループの依頼で増資を担当した野村証券の社員が、三井住友信託銀行の担当者を飲食店で接待するなど営業活動を繰り返すなかで漏らしていたことが、関係者への取材で分かりました。

野村証券の社員は、情報の見返りに増資に協力するよう求めたということで、三井住友信託銀行の担当者は求めに応じて新たに発行された株を購入していました。

野村証券は、ことし3月に発覚した三井住友信託銀行の別のインサイダー取引でも社員が情報を漏らしていたことが明らかになっています。
証券取引等監視委員会は、野村証券の法令順守の体制に問題があったとみて調査しています。

.“証券市場の信頼が失われかねない”

証券市場の法規制について詳しい早稲田大学の上村達男教授は、こうした不正が相次げば、日本の証券市場の信頼が失われかねないと指摘しています。

上村教授は「証券市場で不正が起これば、いろいろな取引関係がすべてゆがめられてしまい、結局は国民一人一人の生活に跳ね返ってくる。証券市場が健全に機能するかは国の根幹に関わることなので、変化に対応してきちんと規制していくべきだ」と話しています。