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7月2日は「小沢政治」の完全終焉記念日!? - 「壊し屋」の衰えに安堵する「民主党分裂」社説集2012/07/03 06:31



<関連社説集>

▼産経主張:民主党分裂 政策連合進め懸案解決を 「小沢政治」は終焉を迎えた
自らの権力を守ることを最優先させる「小沢政治」は、今回の離党劇で完全に終焉を迎えたのではないか。
2012.7.3 03:07
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120703/stt12070303070009-n1.htm

 民主党の小沢一郎元代表ら衆参国会議員計50人が離党届を提出したことで、野田佳彦政権はダメージを受けた。だが、衆院離党者は38人にとどまり、民主党は過半数割れにならなかった。小沢氏の一連の行動に対し、国民が冷ややかに見ているからだ。

 野田首相は早急に政権与党の態勢を立て直し、社会保障・税一体改革関連法案の早期成立に努めなければならない。

 民主、自民、公明による3党合意は、日本の危機を深めている重要課題に与野党が協力して取り組む政策連合だ。

 ≪8割が新党に期待せず≫

 首相はこの枠組みを生かし、喫緊の諸懸案の解決を目指すべきだ。「決められない政治」を前に動かし、具体的な実績を上げていってほしい。

 今回の小沢氏の動きを見れば、過去に旧新生党や旧自由党など新党を作っては壊してきたことがよみがえる。「またか」というのが率直な印象だろう。

 小沢氏とその集団の今後には不透明な部分もあるが、新たな政界再編成の主導権を握っているとは言い難い。

 むしろ、自民党時代から続いてきた、自らの権力を守ることを最優先させる「小沢政治」は、今回の離党劇で完全に終焉(しゅうえん)を迎えたのではないか。

 小沢氏は2日夕の記者会見で「もはや野田首相の下での民主党は、政権交代を成し遂げた民主党ではない」と野田政権と真っ向から対決する姿勢を示した。

 だが、産経新聞社とFNNの合同世論調査では小沢氏による新党への期待は11%にとどまり、「期待しない」が87%に上った。

 とくに小沢氏の造反行動について「国民生活を第一に考えた」と思っている人は2割にすぎず、7割以上がそう受け止めていない点に注目したい。

 小沢氏は3党合意を経て、最低保障年金創設などマニフェスト(政権公約)の目玉が後退したと批判し、「民主党は嘘つきと言われる」と首相の増税方針を厳しく批判した。

 だが、問われなければならないのは、小沢氏も責任を持つマニフェストで、無駄の削減で16・8兆円の財源を生み出すとうたいながら実現できなかったことだ。

 その十分な説明もしないままに、小沢氏は改めて最低保障年金や後期高齢者医療廃止など莫大(ばくだい)な費用を要し、実現が困難な政策を掲げようとしている。

 小沢氏は消費税増税に加え、原発問題も新党で取り上げる考えを示した。小沢氏の支持議員らは野田政権による大飯原発3、4号機の再稼働決定を批判し、小沢氏もそうした議員を評価している。

 しかし、「反原発」を叫ぶだけでは無責任だ。電力危機や産業空洞化への対処なども合わせ政策を構築するのでなければ、国民の生活を守ることにはならない。

 ≪「政治の分岐点」にせよ≫

 小沢氏は選挙対策などの面で民主党を政権交代に導いた功労者と位置づけられてきた。大量当選した新人議員の多くが小沢氏を支持し、党内で100人を超えるグループを形成してきた。

 それでも衆院本会議での造反から1週間、態度を決めきれず、2日の離党者は50人にとどまった。当初、離党届に名を連ねた議員のうち2人が離党を否定するなど結束のほころびも目立っている。

 小沢氏は政治資金規正法違反事件で強制起訴され、1審で無罪判決を受けたものの控訴審を控えている。

 「反増税」で一致する他の政党との連携なども模索するのだろうが、刑事裁判を抱えながらの活動がどのような影響を受けるのかは不透明だ。

 民主党からの大量離党、党分裂は、小沢氏らの新党の動向にとどまらず、政界に新たな再編の動きをもたらす可能性を示した。

 首相は2日の党役員会で、大量離党の事態について「日本政治の分岐点になる」と語った。政治の信頼回復への真の分岐点とするには、主要政策をめぐり異なる政党が新たな枠組みを目指す動きを、さらに加速すべきである。

 すでに動き出した3党による政策連合を一歩として、こうした再編の実現を期待したい。政策本位の連合を通じて国民に多くの選択肢を示し、国民の信を問うことこそが国政の閉塞(へいそく)感打破にもつながるのではないか。


▼読売:民主党分裂 限界に達した政権の内部矛盾(7月3日付・読売社説)
小沢氏主導の政権公約が、財源の裏付けがなく、最近は批判を招くだけの「負の遺産」となっていたことも忘れてはなるまい。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20120702-OYT1T01311.htm

 民主党が分裂した。

 表向きは「一致団結」を唱えながら、常に内紛を繰り返してきた政権党の内部矛盾が、ついに限界に達したと言える。

 小沢一郎元代表ら衆参両院議員50人が離党届を党執行部に提出した。週内にも新党を結成する。

 50人の内訳は衆院38人、参院12人だ。衆院では、公明党を抜き第3党となる。昨年末に民主党を離党した「新党きづな」などとの統一会派の結成も検討している。

 野田政権は、衆院の過半数は辛うじて維持するが、より不安定で厳しい国会運営を迫られる。党内には、なお離党予備軍も残る。

 反面、党内に、多数の強硬な反対勢力を抱えていた時よりも、党の一体感が高まり、政策決定が円滑に進む可能性もある。

 野田首相は、社会保障・税一体改革関連法案について、「必ず成立させることで、責任を果たす」と改めて強調した。

 今後は、自民、公明両党との連携を従来以上に大切にして、関連法案の早期成立や衆院選挙制度改革などに取り組む必要がある。

 小沢氏は、自らの新党について「政権交代の原点に立ち返り、国民が選択できる政治を構築する」と語った。「反消費増税」を掲げ、地域政党との協力を模索する構えだが、展望は開けていない。

 世論調査では、小沢新党に「期待しない」との回答が圧倒的に多い。大阪維新の会や石原慎太郎東京都知事は、連携を否定する。

 50人の約3分の2が当選1回の衆参両院議員で、選挙基盤の弱い「小沢チルドレン」が主体だ。党内の路線闘争に敗れ、追い込まれた末の離党である。新党で次期国政選に臨む方が生き残れるのではないか、という計算もあろう。

 今回の党分裂は、理念や政策を一致させないまま、非自民勢力を結集した「選挙互助会」的な政権党の危うさも露呈した。

 民主党は2003年9月、次期衆院選に備え、政策協議も行わず、小沢氏率いる自由党と合併した。その後、小沢氏が選挙対策として労働組合や地方組織との関係を立て直し、09年の政権交代に大きな役割を果たしたのは確かだ。

 だが、小沢グループという「派閥」を抱えた代償も大きかった。小沢氏特有の独断専行的な政治手法は以前と変わらず、民主党内に「親小沢」対「反小沢」という不毛な対立軸が生まれた。

 小沢氏主導の政権公約が、財源の裏付けがなく、最近は批判を招くだけの「負の遺産」となっていたことも忘れてはなるまい。


▼日経:分裂を奇貨として首相は党を立て直せ
元代表の求心力低下、新党の前途は極めて多難
2012/7/3付
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO43314800T00C12A7EA1000/

 消費増税法案の衆院本会議での採決で造反した民主党の小沢一郎元代表らが離党届を提出した。参院議員からも同調者が出た。元代表らは近く新党を結成する見通しで、民主党の分裂が確定した。

 野田政権にとって打撃だが、これは避けられない道だろう。基本政策で真っ向から対立する元代表らの離党は当然である。野田佳彦首相は分裂を奇貨として、党の立て直しに取り組むべきだ。

 小沢グループの山岡賢次衆院議員が輿石東幹事長に最初に提出した離党届には、衆院40人、参院12人の計52人が名を連ねていた。

 しかし名前が入っていた辻恵、階猛両氏は異を唱えて、民主党にとどまり、グループ内の混乱が表面化した。離党に同調しなかった造反議員はほかにもおり、元代表の求心力低下を印象づけた。

 新党の衆院議員数(38人)は、与党だけで内閣不信任決議案を否決できなくなる55人には遠く及ばなかった。元代表に近い議員の多い新党きづな(9人)と合わせても、内閣不信任案を提出できる51人に届かない。首相の政権運営に与える影響は限定的といえる。

 破綻した2009年のマニフェスト(政権公約)の順守を求めるだけで、具体的な財源捻出策を示さぬ元代表らの姿勢は無責任だ。元代表は「消費増税の先行反対」などを旗印にする考えを表明したが、どこまで説得力のある政策を提示できるだろうか。

 共同通信社の世論調査では小沢新党に「期待しない」との回答が79.6%に上った。選挙基盤が弱い若手議員が多いこともあって、新党の前途は極めて多難だ。

 民主党執行部は首相も出席した役員会で造反者への処分問題を話し合った。消費増税法案に反対した議員には、厳しい処分を科してけじめをつける必要がある。

 一方、元代表らの離党で、政策をめぐる党内対立が和らぐ可能性が出てきた。小沢グループを中心に、消費増税と環太平洋経済連携協定(TPP)の反対派は重なるメンバーが多かった。首相はこの機を逃さず、TPP交渉参加に向けた調整を急いでほしい。

 参院では少数与党である状況を踏まえれば、自民、公明両党の協力を得られないと、消費増税法案の成立をはじめとする懸案処理は進まない。自民党などが求めた「元代表抜きの民主党」が実現する見通しになったことは、3党の連携を強化する好機でもある。


▼朝日:民主党分裂―公約を鍛え直す契機に
実行不能の公約を振りかざし、またぞろ政治をかき回す。そんな小沢氏に対する、民意の疑念が読み取れないか。
http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit2

 民主党の小沢一郎元代表のグループが離党届を提出した。

 近く新党を立ち上げ、「反消費増税」「脱原発」を旗印に、次の総選挙を戦うという。

 小沢氏は、消費増税関連法案の撤回を要求していた。129時間に及ぶ国会審議と、自民、公明両党との修正協議の末、やっと衆院通過にこぎつけた法案である。無理難題というほかはない。

 野田首相と党執行部は離党届を受理するかたちではなく、除名処分を科してきっぱり決別するのが筋である。

 「数」のうえで野田政権の基盤が弱まるのは間違いない。

 それでも、失うものばかりではない。

 政策でも政治手法でも、なにかといえば「小沢VS.反小沢」の対立できしむ。消費増税のような重要政策で結束できない。そんな民主党の「弱さ」を克服する一歩とするのだ。

 そのうえで、民自公の3党協力の枠組みを延長国会の懸案処理に活用する。協力すべきは協力し、政治を前に進める。

 「ねじれ国会」のもと、首相に残された道はそれしかない。

 同時に、党をあげて基本政策を鍛え直す契機とすべきだ。小沢氏主導でまとめた09年総選挙のマニフェストは財源の裏づけのない「果たせない公約」だった。これを、このまま掲げ続けるわけにはいかない。

 一方、小沢氏は「政権交代の原点に立ち返る」ことを訴えている。消費増税なしに16.8兆円の新規財源を生み出すという公約を、自分たちなら実行できる、と言いたいのだろう。

 だが、鳩山政権の9カ月、小沢氏は幹事長として公約を実行すべき立場にあった。

 なのに、どこにどれだけの財源を生むムダがあるのか、小沢氏の口から具体的な提案をほとんど聞いたことがない。

 朝日新聞の世論調査では、小沢氏らの新党について「期待する」という人は15%にとどまった。それに対し「期待しない」という人は78%に達した。

 実行不能の公約を振りかざし、またぞろ政治をかき回す。そんな小沢氏に対する、民意の疑念が読み取れないか。

 延長国会で関連法案が成立すれば、首相はいずれ衆院の解散・総選挙で国民に信を問うことが迫られよう。

 与野党を超えて懸案処理で協力しつつ、社会保障や原発をはじめ基本政策の方向性と、たしかな財源の裏付けがある現実的な公約づくりで競い合う。

 民主党の分裂を機に、各党はそうした作業を急ぐべきだ。


▼毎日:民主党分裂 解党的出直しを求める
小沢元代表をめぐる内紛は政治のマイナス要因以外の何物でもなかった。
「数は力」の手法の古さ、いびつさを露呈。
離合集散を繰り返した「壊し屋」の衰えと限界を示した離党劇。
毎日新聞 2012年07月03日 02時30分
http://mainichi.jp/opinion/news/20120703k0000m070105000c.html

 消費増税法案の衆院本会議採決で造反し反対票を投じた民主党の小沢一郎元代表をはじめ同党の衆参両院議員50人が離党届を提出した。03年の民主、自由党の合併から9年近くを経て党分裂が確定した。

 野田内閣にとって大打撃となったがすでに亀裂は修復不能であり、当然の帰結だ。理念を置き去りにしたまま小沢元代表の力を借りて政権を獲得し、混乱を招いた民主党の責任は重い。野田佳彦首相は一体改革の3党合意に至った説明を国民に尽くし、党の理念と政策の再構築を早急に進めるべきだ。さもないと党の存在意義が問われよう。

小沢元代表の限界示す

 「国民への背信行為で、政権交代の原点に立ち返るべきだ」。小沢元代表はこう語り、消費増税反対を大義名分に掲げた。だが、造反から6日を要しての判断は迫力を欠いた。

 あたかも水と油のようなふたつの勢力が同じ党にいる矛盾を民主党は抱え続けてきた。

 確かに小沢元代表は民主党になかった「にらみ」を利かし、統率力を発揮することで政権交代実現に貢献した。だが政治とカネの問題で党代表を退き、幹事長としても閉鎖的な体質を抱えたままの党運営は政権の混乱を助長した。

 とりわけ「脱小沢」の菅内閣が発足して非主流派に転じて以来、小沢元代表をめぐる内紛は政治のマイナス要因以外の何物でもなかった。今回の離党は増税問題が直接の引き金となったが、昨年の内閣不信任決議騒動と構図はほぼ同じだ。もともとの狙いである党内の主導権奪還の展望がなくなり、離党に追い込まれたというのが実態ではないか。

 それを端的に物語るのが同調した議員数だ。衆院で反対票を投じ造反した議員のうち約20人は離党に同調しなかった。離党届が出されたにもかかわらず、あとから否定する議員が2人も出たのはあまりにお粗末だ。小沢元代表のお膝元、岩手でも対応が分かれ、大震災からの復興を優先し離党を踏みとどまった議員もいる。「数は力」の手法の古さ、いびつさを露呈したと言える。

 離党予備軍がなお民主党内にいるとはいえ、現状では衆院での内閣不信任決議案の可決は難しかろう。国政進出を探る「大阪維新の会」など新興勢力と連携する展望も開けているわけではあるまい。93年の自民党離党以来、離合集散を繰り返した「壊し屋」の衰えと限界を示した離党劇ではないか。

 野田内閣が置かれた状況ももちろん深刻である。離党届提出を受け、造反を主導した小沢元代表を中心に首相や輿石東幹事長が厳しい処分を決定すべきことは言うまでもない。大量離党後も造反した議員をなお党内に抱え、これまで以上に際どい政権運営を迫られる。

 党綱領も持たず理念の構築を怠ったまま小沢元代表と手を組み、政権を獲得したことの総括を迫られる。今回の分裂は起きるべくして起きたとはいえ、財源のあてもない公約を掲げ政権を獲得したツケはあまりにも大きい。

 首相がまずなすべきことは衆院選公約と消費増税をめぐるより踏み込んだ国民への謝罪である。政党が衆院選で掲げた公約を尊重するのは当然だ。だが、やむを得ない事情があり変更する場合にはきちんと国民に説明する責任がある。

「公約違反」は認めよ

 民主党の09年の衆院選公約には消費税率について特段の記載はなく、当時の鳩山由紀夫代表は「4年間封印する」と訴えていた。「増税実施を封印する」として議論そのものは否定していなかったが、行革による財源捻出を前面に反増税路線で選挙を戦ったことは間違いない。

 だからこそ「ぎりぎりセーフ、オンライン」(岡田克也副総理)のような姑息(こそく)な説明はせず、増税が事実上の公約違反である点を認め、財源見積もりの誤りなど政策を転じた理由を正直に語るべきだ。「衆院議員の任期中に実際に引き上げをしなければ公約違反ではない」と言わんばかりの説明ではあまりに不誠実だ。

 小沢元代表らは「増税の前にすべきことがある」と強調するが、政府や国会議員が身を削る努力は増税と一体で断行すべき課題だ。また、小沢元代表は争点として原発問題を提起したが、関西電力大飯原発の再稼働を急ぐなど野田内閣のもとで後退に後退を重ねている「脱原発依存」路線を民主党はこのまま放棄するのか。また「コンクリートから人へ」はもう店じまいなのか。

 財政危機の中で社会保障の底割れを防ぐ3党合意は政権与党として果たすべき責任だった。だが、限りなく他の政策まで自民に同調し衆院選後の大連立を探るだけでは、単なる与党への残留工作としか国民の目には映るまい。

 消費増税法を決着させ、衆院「1票の格差」を是正する法的措置を講じたうえですみやかに国民の審判をあおぐのが分裂に至った政権与党として果たすべき責任だ。

 理念や政策の再構築を進めればさらなる分裂、再編に進む可能性もあるが、逃げてはならない。党存亡の瀬戸際にあることを心得なければならない。