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追い込まれるサウジ、巻き込まれる日本2008/08/07 10:45

わが国の供給者別原油輸入比率の推移
「日米戦争は油で始まり油で終つた様なものである」
(『昭和天皇独白録』文春文庫、P64)


日米戦争を間近で見ていた人たちは、昭和天皇同様に誰もが日米戦争の原因は石油にありと見ていた。吉田茂と石坂泰三に岸信介と福田赳夫、先日取り上げた山下太郎と田中清玄と水野成夫。いずれもが石油が日本のアキレス腱だと認識した上で、それぞれに石油外交を展開。中には「日の丸油田」夢見た山下や田中のような人物もいた。

しかし、冷静に見ていくと、どの人物にも日本人にありがちな「思い込みと行き過ぎ」がある。

中でもとりわけ田中角栄の存在が大きい。きっかけとなったのは度重なったオイルショック(石油危機)。田中主導で「対米追随外交からの脱却」と「自主外交推進」が実行に移されていく。これにより、それまでの米英中心の石油メジャー依存が崩壊。

「日本は米国の属国なのだ。いや、日本はロックフェラーの手下なのだ。原油高によって、またしても日本の金はロックフェラーに吸い取られているはずだ。」

こんな風に信じ込んでいる日本人も多いようですが、事実は違う。グラフを見ればわかるように国際大手石油会社からの輸入比率は2004年度以後20%を切っている。産油国政府・国営石油会社からの輸入が70%を超えているわけです。

原油輸入における日本の中東依存率は86.7%。サウジへの依存率は27.9%(いずれも2007年データ)。

この数値は日本独自の自主的な中東外交の成果を示しているのか。しかし、田中失脚後、米国を恐れて「石油は政界のタブー」となっているはず。それでも水面下で石油外交を繰り広げているとでも・・・。

どうも怪しい。これはサウジアラビアの戦略的取り込みと考えた方がよい。

サウジはすでに米国と戦争状態に入っていると認識している。イラクの次はイラン、その次はサウジだと想定している。いや、イランの前にサウジがやられることも有り得る。米国によってサウジ・イラク戦争を仕掛けられることもあるかもしれない。なんといっても911の実行犯の大半はサウジアラビア人だった。米国にとっての本丸はサウジだという現実。

その時に備えて、日本を石油漬けにして自陣に取り込んでおこう。ロシアともすでに軍事協定を結んだ。次は中国。イラクを真似て国連や古い欧州にも接近し、米国を孤立させるしかない。

まもなく日本に突きつけられるのは「米国をとるか、中東の石油をとるかの選択」。

その時日本はどうする?

さらなる原子力移行も地震大国にあっていつ頓挫するかわからない。リスクが常につきまとう。

国際大手石油会社からの輸入比率を引き上げておくのも戦略のひとつと考える柔軟性が求められる。

え?煽るなって?
でも多分ここに書いたシナリオ通りになっちゃうよ(汗)

<参考>
日米戦争と石油の関係については、拙著『隠された皇室人脈』第五章及び二年前に書いた下記コラムを参照下さい。歴史から大いに学ぶべきですね。

薩長因縁の昭和平成史(3)
http://www.yorozubp.com/0610/061001.htm

キーワードはこんな感じ。
日本、米国(アメリカ)、英国(イギリス)、ソ連、中国、ドイツ
企画院、秘密委員会、第二委員会、産業部、満鉄調査部、ソ連国家保安委員会(KGB)、内務人民委員部(NKVD)、国際問題研究所(IIS=Institute for International Studies)、資源調査研究所(RII=Resources Investigation Institute)、コミンテルン、ロイヤル・ダッチ・シェル、スタンバック、スタンダード・バキューム、スタンダード・オイル・オブ・ニュージャージー、エクソン、エクソン・モービル、スタンダード・オイル・オブ・ニューヨーク
人造石油7か年計画、開戦時石油需給見通し、制海権、制空権、石油輸送路、南進、蘭印、南方油田、北樺太油田、スマトラ島パレンバン油田
昭和天皇、近衛文麿、松岡洋右、植村甲午郎、青木一男、山本五十六、石渡荘太郎、左近司政三、尾崎秀美、ロスチャイルド、ロックフェラー、スターリン、ゾルゲ

コラムの中で「真珠湾攻撃対象にオアフ島にあった大規模石油貯蔵基地が見落とされていたこと、ハワイを占領することなくそのまま帰還したことが不思議でならない。」と書きましたが、この不思議も含めて元石油公団理事の岩間敏氏がかなり突っ込んで書いている本が昨年発刊されています。

『石油で読み解く「完敗の太平洋戦争」』岩間敏、朝日選書
(右のくるくる本棚掲載中)