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2012年~2013年日本国債暴落説(13) 焦る亀井に見えているもの2010/03/06 10:42

国債を買いたい国は?[日経投資家調査]


「国債の管理政策の観点からみても、560数兆の国債残高の内4分の1を郵政が保有しているが、民営化して資金運用が自由になり、国債の財源として確保できなくなれば金融市場は不安定になる。不安定な状況になれば一気に国債が値崩れし長期金利が急騰、日本の経済は危機的状況にならないとも限らない。」

亀井静香公式Webサイト「郵政民営化反対の理由ー自民党公約に非ず(2005年7月29日)」より
http://www.kamei-shizuka.net/opinion/050729.html


国債の買い余力が衰え始めた日本。日本経済新聞は「政府負債が過去3年間平均のペースで増え続けると仮定すると、家計の純資産が横ばいとしても20年ごろには買い余力はなくなる計算になる」と指摘。

鳩山政権でこの危機的な状況を見越して動いている人物がただ一人。それは亀井静香郵政・金融担当相。

国債の受け皿確保のための郵政再国営化。それでも買い余力がなくなると判断したのか、郵便貯金の預入限度額を現在の1千万円から3千万円に引き上げる方針を打ち出す。しかし、これはあくまでも暫定措置。3年後の限度額撤廃も視野に入れていることにも注目。亀井は2013年前後に買い余力がなくなるのと見ている可能性が浮上する。

さらに国債増発への対応として日銀に国債の直接引き受けを迫る亀井。国債が値崩れし、長期金利が急騰という事態が差し迫っているというのか。

なぜ亀井はここまで焦っているのだろう。ここで気になるのは人民元建て中国国債の存在。

昨年、中国政府は本土外で初となる人民元建て国債を香港で発行。人民元国際化の思惑もあるとみられている。さらに今月3日、ロイターは香港と中国が人民元建て国債の香港での定期的発行について協議中との情報を伝えている。

日本の民間金融機関とて自国よりも高い利回りの中国国債に投資するだろう。そうなれば日本国債を支えてきた個人金融資産の一部が中国へと流出することになる。

先月行われた「新井将敬氏の偲ぶ会」に出席した亀井は、「このままいくと日本は滅びる」と語ったそうだ。亀井には悪夢のような光景が見えているのだろうか。

亀井の影響からか点滅しない財政の「警告灯」。鳩山政権に対する市場からの警鐘を揉み消そうとしているかのようだ。長期的に見て、これがいいのか悪いのか。その判断は読者の皆様に委ねたい。

ただし、亀井の手口をつぶさに分析しているヘッジファンドの連中がいることは間違いない。彼らは仕掛けるタイミングを虎視眈眈と見計らっている。


<関連記事引用>

香港と中国、人民元建て国債の香港での定期的発行について協議中=香港金融当局者
2010年 03月 4日 17:47 JST
http://jp.reuters.com/article/marketsNews/idJPnTK860997620100304

 [香港 4日 ロイター] 香港の金融当局者は4日、人民元建て国債を香港でさらに発行する方向で、中国と協議していると明らかにした。ロイターに述べた。1年以内にも新たに発行する見通し、という。


Hong Kong in talks for regular yuan sovereign bond issues
Thu Mar 4, 2010 3:39am EST
http://www.reuters.com/article/idUSHKU00017520100304

HONG KONG, March 4 (Reuters) - Hong Kong is in talks with China to launch more yuan sovereign bond issues in the city, with a new issue expected within a year, a Hong Kong financial services official said on Thursday.

"We hope to see renminbi sovereign bonds as a regular programme and not a one off," Undersecretary for Financial Services and Treasury Julia Leung told Reuters. "Hopefully they will come again this year."

Last year, China launched its first yuan sovereign bond issue in Hong Kong, worth 6 billion yuan ($878.9 million), and recently allowed the Chinese subsidiaries of Hong Kong banks to issue bonds denominated in yuan. Previously, only Chinese banks in Hong Kong were allowed to do so.


香港での60億元人民元建て国債発行成功 申し込み額180億元に
2009/10/22 新華社ニュース(中国通信社)

 (中国通信=東京)香港20日発新華社電によると、中国財政省は20日、中央政府が香港で発行する総額60億元(1元=約13円)の人民元建て国債の9月28日から10月20日までの購入申し込み期間に申し込み総額が発行総額を大きく上回り、発行は成功したと発表した。

 財政省によると、香港の投資家の購入申し込み額は発行総額の3倍の180億元に達し、うち個人投資家の申し込みが14万9451件を超えた。財政省は最終的割り当ての際、まず個人投資家1人につき少なくとも一口(1万元)を保証し、続いて各投資家の有効申し込み数の比率に従って割り当て、最終的に抽選によって配分数を決定する。

 今回の人民元建て国債は2年物、3年物、5年物の3種があり、うち5年物は機関投資家向けに発行。利率(年利)は2年物が2・25%、3年物が2・7%、5年物が3・3%。小口販売が50億元、機関投資家向けが10億元となっている。うち2年物が30億元、3年物が25億元(小口20億元、機関投資家向け5億元)、5年物が5億元。

 財政省の責任者は、人民元建て国債の香港での発行成功は香港の投資家が国の経済・社会の持続的健全な発展に対して自信に満ちていることを示すもので、本土と香港が財政金融協力を一層強化するためのしっかりとした基礎を築いたと強調した。

 財政省の説明によると、発行日は10月27日で、半年に1回利息を支払う。利息支払日は来年4月27日から債券の満期まで毎年4月27日と10月27日。満期日は2年物が2011年10月(現時点の予定で同月27日)、3年物は2012年10月(現時点の予定で同月27日)、5年物は2014年10月(現時点の予定で同月27日)。支払日が香港または北京の営業日でなかった場合、一般に次の営業日に支払われる。

 今回発行の共同幹事行および国債決済振替(ブックエントリー)行は中国銀行(香港)有限公司と交通銀行股フン(にんべんに分)有限公司香港支店。

 小口発行を行う銀行は中国銀行(香港)有限公司、交通銀行股フン有限公司香港支店、HSBCなど19行。


先行して人民元の国際化を推進
2009/12/18 新華社ニュース(新華通信ネットジャパン)

【新華社上海】 現在、中国は、金融革新能力不足、金融市場とシステムの不完全、国際化通貨手段と資本市場手段の欠如、体制的な監督・管理の未開放というネックはあるが、ドル不安に際し人民元の国際化を加速させる好機にある。

 対外貿易での人民元建て決済業務推進のほか、一連の新たな行動は次のとおり。

 2009年8月に打ち出した「跨境貿易人民幣決算試点管理弁法」では、対外貿易による人民元取得の海外滞留を許可した。中国建設銀行行長弁公室高級経理の趙慶明氏は、「人民元の海外滞留は中国銀行の海外事業の拡張に有利となり、人民元の国際通貨システムにおける重要な地位を樹立できる。また、中国人民銀行は国際通貨基金(IMF)と人民元で最大500億ドルのIMF債券を購入することで合意した」と明かした。中国国務院発展研究中心金融研究所証券研究室主任の範建軍氏は、「IMFが人民元でその加盟国に向けて貸付を行ない、海外銀行による人民元保有量は人民元の国際通貨あるいは準備通貨における役割を促すことになる。また、9月28日、財政部は香港で60億元の人民元建て国債を発行し、中国政府が始めて香港で発行した人民元債券となった」と語った。バークレイズ・キャピタル中国経済研究主幹兼チーフエコノミストの彭文生氏は、「人民元建て債券の香港発行は、香港の人民元建て市場を深め、人民元建て貿易決済を進め、人民元需要のいっそうの増大を促進している」と述べた。

 総合的にみると、人民元の国際化は次の3方面に現われる。(1)人民元の流通量がある程度に達する。(2)対外貿易での人民元建て決済がある程度の比率に達する。(3)人民元建て金融商品が主要金融機関の投資手段になる。また、人民元の国際化には、(1)人民元建て貿易決済、(2)人民元建て投資、(3)人民元建て準備という3つのプロセスが必要だ。地域的拡張においては、人民元の周辺化、区域化、さらに国際化が必要だ。

 中国国務院発展研究中心金融研究所所長の夏斌氏は、海外の人民元保有者はなるべく速く人民元建て準備能力を強め、人民元建てオフショア市場の構築に力を注ぎ、人民元の海外市場での活発化を進め、人民元の投資や価値保証の機能を強めなければならないと建議している。

 JPモルガンチェーン中国区CEOの方方氏は、「海外会社の人民元建て株式や債券の発行は人民元国際化の重要な一歩だ。海外会社は人民元建て株式あるいは債券の発行を進め、海外会社の中国上場を許可すべきだ」と指摘している。(翻訳 王秋)


点滅しない財政の「警告灯」=山田宏逸(10/3/1)(ポジション)
2010/03/01 日経ヴェリタスマーケットonline(コラム)

 「上げ100日、下げ3日」という言葉がある。相場の上昇には時間がかかるのに、下げるときは早い。そんな市場参加者のもどかしさが生んだ相場格言だ。

 株式市場にも、債券市場にも、この格言は当てはまるとされる。ところが長期金利(新発10年物国債利回り)がセオリーに大きく反して動いた局面があった。市場関係者のあいだでは、その時の動きをめぐって、いまだに憶測が飛び交っている。

 ときは予算編成作業まっただ中の昨年11月――。それまで長期金利は財政悪化への懸念を背景に、ぐんぐん上昇。11月10日には5カ月ぶりの水準となる1.485%を付けた。

 ところが、これをピークに金利は急低下(債券価格は急上昇)。3日で0.1%、10日で0.2%と一本調子で下げ、ふたを開けば1.2%台という事実上の量的緩和・ゼロ金利下の定位置へと収まった。上がりにくいはずの債券価格は、むしろ「下げ100日、上げ3日」のペースで一気に底値から急騰した印象だ。

 何があったのかには諸説ある。「藤井裕久財務相(当時)が記者会見などで市場に配慮する姿勢を鮮明にし、国債発行額を極力抑える考えを強調したため、財政運営への不安が和らいだ」「商品投資顧問(CTA)など海外投資家が日本国債への投資を膨らませた」などなど。

 だが、事情通によると、こうした説明では十分ではないらしい。これだけの金利低下を促すには、相当の資金量が必要になる。複数の市場関係者は証言する。「ゆうちょ銀行が強烈に買い支えた結果だ」。

 債券価格が下がったところで、高い利回りをねらって押し目買いをするのは運用姿勢としては間違っていない。もともと「ゆうちょは逆張りの投資をする傾向が強い」(国内証券)といわれる。

 だが「官業」というゆうちょ銀行の性格もあってか、相場の方向を一気に転換させるような買い出動をめぐって、市場では憶測が渦巻く。いわく「政治的プレゼンスを高めるための動きだ」「政府側から指示や要請があったに違いない」……。

 真相はまだヤブのなか。しかし政府・与党による郵政事業の見直し作業が大詰めを迎えているだけに、「郵政再膨張」への市場関係者の警戒感は募るばかり。11月の相場の動きをめぐって、いまだに憶測が絶えないのも、それが背景かもしれない。

 政府は3月中旬にも「郵政改革法案」(仮称)を国会に提出する構えだ。新規業務を拡大させる案や、郵貯や簡保の限度額を引き上げる案までもが取りざたされている。これらが現実となれば、他の金融機関の預金を浸食し、タンス預金までも吸い上げてしまうのでは、と危惧する声が上がっている。

 では、ゆうちょに再び流れた資金はどこに向かうのか。焦げ付きのリスクもある企業向け融資?株式購入?それとも外債?「結局は安全資産とされる日本国債市場に大量の資金が流れ込むはず」というのが市場関係者の相場観だ。その意味では、債券相場への影響は限られるとの見方も成り立つ。

 ただ郵政改革の“巻き戻し”によって、国債の市中消化や金利の低位安定が保証されると考えるのは都合が良すぎないか。目先は、安定消化につながる面もあるかもしれないが、長い目でみた場合の弊害はさまざまだ。

 ほんの一例を挙げれば、債券市場や長期金利には国の財政運営への「警告灯」という機能もある。財政のかじ取りが誤っていれば、金利上昇という形で即座にメッセージを発信する。それがなくなったら、それでなくても緩んだ財政規律が一気に失われてしまう。事実、昨年11月の金利上昇圧力は、野放図に国債発行を増やしかねない民主党新政権への警鐘だったともいえるが、金利が急低下し、危機感が薄らいでいる面は否めない。

 国債の保有残高は、ゆうちょ銀行だけ見ても、昨年12月末時点で160兆円弱。国債の総発行残高の実に2割程度にも相当する。ただでさえ保有率の高い「政治銘柄」が、法律の後ろ盾を得て再び存在感を高めれば、いよいよ取り返しの付かないレベルまで国債が増発され続けるシナリオもちらつく。

 「ゆうちょ銀は最大の顧客なので言いにくいのですが、債券市場の機能と健全性から考えると少し‥‥‥」。市場参加者の思いはどうやら届きそうにない。


<関連サイト>

中国 IMF資産の構成通貨に「人民元加入を」
http://sankei.jp.msn.com/economy/finance/100305/fnc1003052152017-n1.htm

中国政府による香港での 人民元建て国債発行のインパクト
http://www.tcf.or.jp/jp/data/publications/CCMR-3-3_AU2009_05.pdf


<画像引用>

国債を買いたい国は?[投資家調査]
http://markets.nikkei.co.jp/survey/