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日米豪合同軍事演習「コープノース2013」開催中2013/02/09 09:47

日米豪合同軍事演習「コープノース2013」開催中


<関連記事>

日米豪、中国狙って合同軍事訓練
2013年02月08日09時01分
http://japanese.joins.com/article/241/168241.html

米空軍374輸送飛行団の将兵が7日(現地時間)、米国領グアムのアンダーセン空軍基地で実施された「コープノース」軍事訓練中、C-130輸送機を点検した。

米国・日本・豪州の3カ国が参加する今回の訓練は、中国など潜在的脅威勢力が引き起こす可能性がある西太平洋地域の軍事危機に対応するため実施する。 .


コープノース・グアム、KC-30などオーストラリア空軍機が到着
配信日:2013/02/04 22:26
http://flyteam.jp/news/article/19334

オーストラリア国防省は2013年2月4日、グアム・アンダーセン空軍基地にF/A-18Aホーネット7機と、E-7Aウェッジテール、KC-30A多用途給油輸送機、C-130Jハーキュリーズ各1機、兵員230名が到着したと発表しました。

これらはアメリカ空軍、航空自衛隊と共同訓練コープノース2013を実施するためで、オーストラリア空軍のKC-30Aが海外の訓練に参加するのは初めてのことです。リッチモンド基地から参加したC-130Jと戦闘支援兵らは、同時に実施される人道支援や災害派遣訓練に取り組みます。

コープノースは1978年から始まったアメリカ空軍と航空自衛隊の共同訓練ですが、オーストラリア空軍は今回で2回目の参加になります。アメリカ空軍はF-16ファイティングファルコン、B-52ストラトフォートレス、F-15イーグル、E-3セントリー、C-130ハーキュリーズ、KC-135を、航空自衛隊はF-15Jイーグル、F-2、C-130ハーキュリーズ、KC-767空中給油機、E-2Cホークアイを参加させます。


日米豪の合同演習はアジア版NATO構築の兆し=中国報道
2013/02/08(金) 11:31
http://news.searchina.ne.jp/disp.cgi?y=2013&d=0208&f=politics_0208_005.shtml

米海兵隊は4日より日豪の空軍とグアム島で、「コープノース2013」航空兵団合同演習を開始した。中国網日本語版(チャイナネット)は「日米豪の合同演習はアジア版NATO構築の兆しだ」と論じた。以下は同記事より。

**********

■合同演習で軍事同盟を構築

米太平洋空軍は、同演習には「人道主義に基づく救助活動、災害救助活動」が含まれると称しているが、戦闘機の機種、演習科目、スケジュールを見ると、実戦的な軍事演習である可能性が高い。

米国が「アジア太平洋回帰」戦略を掲げるなか、日豪の同軍事演習参加は、アジア版「小NATO」の兆しである。西側メディアのアナリストは、日米豪との間に「潜在的な戦略的矛盾」を持つアジア諸国には、台頭中の中国しか含まれないため、3カ国の軍事演習の矛先がどこに向けられているかは言うまでもないと分析している。

つまり米国は地域の盟友を抱き込み軍事同盟を形成しているというわけだ。「コープノース」のような専門性の高い演習は、軍事同盟を構築するための練兵場となる。

軍事目的のほかに、日米豪の合同演習には政治的な目論見も存在する。米軍は合同演習によって同盟国の団結を図り、敵国を威嚇することを好む。「コープノース」軍事演習において、米軍は日豪、さらには韓国などの同盟国との軍事関係を強化し、中国などの「潜在的な敵国」をけん制する構えだ。

一部のアナリストは、「米国は韓国を初めてコープノース軍事演習に招いたが、これは日本をインド洋のマラバール軍事演習に招いたことと同様だ。韓国は今後、軍事同盟の仲間入りを果たし、全面的に空戦訓練に参加する可能性が高い」と指摘した。

日本はオーストラリアとの軍事協力を強化するため、潜水艦技術を譲渡する見通しだ。報道によると、潜水艦技術は機密事項だが、日本は中国海軍の動向を受け、アジア太平洋地域の友好国との協力を強化する必要性を感じている。日本はこれまで、米国以外の国に潜水艦技術を提供したことはない。(編集担当:米原裕子)


Exercise Cope North Guam 2013 begins
6 February 2013
http://www.airforce-technology.com/news/newsexercise-cope-north-guam-2013-begins

The Royal Australian Air Force (RAAF) is conducting a trilateral air defence exercise, code-named Exercise Cope North Guam 2013, with the US Air Force (USAF) and Japanese Air Self-Defence Force (JASDF) at Andersen Air Force Base in Guam, US.

Around 230 RAAF personnel, along with 1,000 USAF and 350 JASDF representatives, are participating in the exercise, which is scheduled to run until 14 February.

RAAF is deploying seven F/A-18A Hornet, an E-7A Wedgetail, KC-30A multirole tanker transport and C-130J Hercules aircraft, whereas the USAF is contributing its F-16 Fighting Falcon, B-52 Stratofortress, F-15 Eagle, E-3 Sentry, C-130 Hercules and KC-135 Stratotanker aircraft.

JASDF is participating with its F-15J Eagle, F-2 support fighter aircraft, C-130 Hercules, KC-767 Air Refueller and E-2C Hawkeye aircraft in the drill, which includes humanitarian assistance and disaster relief training besides air combat, strike mission training and large force employment training.

Australian commander group captain Robert Chipman said the exercise enables RAAF servicemen to integrate with a joint task force in order to learn the operational tactics of other countries.

''In the mixed operational environment that the RAAF deploy in, this training will be invaluable and there will be many important lessons learnt from our participation in this exercise,'' Chipman added.

''Cope North will allow the aircrew to develop an appreciation of the capabilities and strengths of the different aircraft types, which is valuable training for air combat and surveillance and response group personnel who may be required to operate in a coalition environment in the future.''

Conducted since 1978, Exercise Cope North Guam is a multilateral Pacific Air Forces-sponsored field training exercise (FTX) designed to enhance interoperability, strengthen mutual relationships and improve tactical abilities of the US, Japanese and Australian militaries.


U.S. war-games with Japan, Australia in show of force to rising China (画像引用)
http://www.cbsnews.com/8301-202_162-57568130/u.s-war-games-with-japan-australia-in-show-of-force-to-rising-china/?tag=socsh


Cope North 2013 Kicks off on Guam – USPACOM
http://www.pacom.mil/media/news/2013/02/05-cope-north13-kicks-off-on-guam.shtml

Cope North 2013 kicks off on Guam
http://www.pacaf.af.mil/news/story.asp?id=123334915


Cope North Guam - Department of Defence
http://www.defence.gov.au/opEx/exercises/copenorthguam/index.htm

Defence News and Media » Royal Australian Air Force arrive in Guam for Exercise Cope North
http://news.defence.gov.au/2013/02/04/royal-australian-air-force-arrive-in-guam-for-exercise-cope-north/

RAAF in Guam for exercises with US, Japan
http://www.defence.gov.au/defencenews/stories/2013/feb/0206a.htm


South Korean observers join Cope North for first time
http://www.stripes.com/news/pacific/south-korean-observers-join-cope-north-for-first-time-1.206540

親米3カ国「JIBs」の憂鬱2013/01/28 07:43

親米3カ国「JIBs」の憂鬱


<関連記事>

親米3カ国、周辺国とあつれき 米覇権揺らぎ秩序失う世界
2013/1/28 0:30
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO51052220X20C13A1FF1000/

 【ダボス(スイス東部)=上杉素直】日本とイスラエル、英国の3カ国を指す「JIBs(ジブス)」が国際社会の懸念材料として意識され始めた。アジア、中東、欧州でそれぞれ地政学リスクにさらされ、周辺国とのあつれきを抱えているからだ。米国の覇権が揺らぐなか、これら親米3カ国が針路を見失い、地域安定の火種となっている姿が浮かび上がる。

 日本、イスラエル、英国を英語の頭文字から「JIBs」と名付けたのは米ユーラシア・グループのイアン・ブレマー氏だ。リーダー不在の「Gゼロ」時代に、それぞれの地域で建設的な役割を果たせない国として取り上げた。

 今月22日、フランスのオランド大統領はドイツに足を運び、メルケル独首相とともに式典に臨んだ。長く敵対関係にあった独仏が和平を誓ったエリゼ条約調印から50年の節目を迎え、独仏首脳は欧州統合やテロ対策での連携を再確認した。そんな空気に水を差したのが英国だ。

 「欧州連合(EU)への幻滅はかつてないほどに強い」。英キャメロン首相は23日の演説で、英国のEU離脱を問うために国民投票を実施すると表明。統合深化をねらう独仏に真っ向から異議を唱えた。しかも当初、キャメロン首相が演説日に選ぼうとしたのがエリゼ条約の記念日の22日。英国の配慮に欠ける行動が独仏など大陸欧州をいら立たせている。

 債務危機の克服に向けて、EU各国が進める財政統合や金融監督の共通化にも反対し、孤立感を深める英国。「強いEUの一員としての強い英国」を評価する――。今月中旬、オバマ米大統領はキャメロン首相に電話を入れ、性急な行動を戒めたとされる。

 そのオバマ大統領が気をもんでいるもう一つの国がイスラエルだ。「米国人の感覚では、本当の意味での中東唯一の盟友国」(英リーズ大学のジョーンズ教授)だが、ネタニヤフ政権は中東和平に関心を示さず、アラブ社会とも対立を続ける。米メディアは、そんなネタニヤフ首相を批判するオバマ大統領の発言を伝える。「イスラエルは何が自分にとって最良なのか分かっていない」

■イラン攻撃示唆

 イスラエルは核開発を続けるイランへの攻撃を再三にわたって示唆。さらに昨年11月にはパレスチナ自治区ガザと戦火を交えるなど、強硬路線をひた走る。国連がパレスチナの扱いを「国家」に格上げすることを決めると、国際社会の批判を無視して東エルサレム入植を進めた。英国際戦略研究所は「仲介役である米国の疲弊と、イスラエルのやる気のなさが中東和平を阻んでいる」と指摘する。

 22日投開票の総選挙では右派の与党統一会派が第1党を維持し、ネタニヤフ首相の続投が有力視される。イランへの武力行使を巡って首相がレッドライン(境界線)と定める2013年春から夏が迫るなか、イスラエルが中東地域の新たな火種となりかねない。

 「最大の難問は、経済危機よりも地政学リスクだ」(アクセンチュアのスペルマン氏)。スイスで27日まで開かれていた世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、地域紛争への警戒感が漂った。アルジェリア人質事件、フランスのマリ軍事介入、長引くシリア内戦など、このところ、世界は騒がしい。

■日中の緊迫報道

 そして日本。アジアでは中国の軍事的、経済的な台頭が著しい。欧米からみれば、日本は韓国や中国との関係悪化によって、アジア地域に緊張をもたらす存在とも映る。

 「戦争の足音」。英誌エコノミストは今月、沖縄県・尖閣諸島をめぐる日本と中国の緊迫をこう伝えた。こうした見方は、歴史問題で保守的な姿勢を示す安倍晋三氏が首相に就任したことで広がっている。

 「JIBs」の3カ国について、ユーラシア・グループのブレマー氏は「いずれも米国の同盟国。10年、20年先をにらんだ関係を米国とどう築くかが注目される」と話す。超大国である米国の衰退で秩序を失った世界。親米国への懸念は、そんな時代の副産物といえるだろう。


2013年世界のリスク 「JIBs」ご用心
2013/1/8 9:28
http://www.nikkei.com/money/gold/toshimagold.aspx?g=DGXNMSFK0800C_08012013000000

 新年恒例のユーラシア・グループがみる世界のリスク、トップ10が発表された。

(1)新興国

 BRICsと、もはやひとくくりで語ることはできない。ブラジルは先進国並みに近づいている。しかしロシアは政治腐敗、頭脳流出、資本逃避などをコントロールできず、新興国どころか「沈みゆく国」となっている。インドは経済減速に対して政治的対応も、その意思も見えない。

(2)中国の情報社会

 中国の中産階級は家庭でも職場でも情報へのアクセスを求めるが、中国政府は引き続き情報を規制している。その結果、日本との領土問題などでナショナリズムが沸騰しつつある。中国はいずれ世界一の経済大国となるが、それでも国民は貧困で全体主義国家であろう。これは大きなリスクだ。

(3)アラブの「夏」

 中東ではイスラムのスンニ派とシーア派の暴力的対立が激化している。アラブの春以降、経済成長も実現できていない。米国は傍観。そこに他の勢力が入り込む。

(4)米国

 金融危機や政治的要因に誘発されたリセッションを予言しているわけではない。しかし、財政の崖問題に見られるような「瀬戸際政策」は経済成長を阻む。しかし、新興国に比し、リスクは小さい。

(5)JIBs(ジャパン、イスラエル、イギリス)

 この3カ国は親米国であるが、米国にとっての重要性は薄れつつある。にもかかわらず中国、中東、経済危機の欧州の隣に位置する国々で、地政学的リスクにさらされている。しかも、その地政学的問題に対して建設的な役割を果たせず、国内問題により対応できずにいる。日中領土問題に有効な解決策が見いだせない。イスラエルは中東のあらゆる火薬庫に接している。英国は欧州諸国の連帯から取り残されている。

(6)欧州

 金融危機に対し、各国が主権を守るために統合のペースを遅らせている。大きな妥協が必要なのだが、経済減速や政治的なユーロ懐疑論が妨げとなっている。

(7)アジアの地政学的問題

 中国の脅威に対し、米国がアジア地域への戦略を強化する中で、米中関係の緊張が、ゼロサム・ゲームの政治的応酬を生んでいる。

(8)イラン

 イラン、イスラエル、米国を巻き込む「影の戦争」がエスカレートしつつある。原油価格高騰リスクも無視できない。シリア情勢も悪化する中で、打開策が見えず。

(9)インド

 政治問題がインド経済成長のサクセス・ストーリーを阻む。

(10)南ア

 アフリカは今や、経済のダイナミズムと政治の不安定性を特徴とする新興国の代表的存在になりつつある。特に中産階級が向上している。しかし、アフリカにおける最大級の経済発展国である南アとナイジェリアは多くの問題を抱える。

 以上がトップ10であるが、日本としてはJIBsの新語が気になるところ。米国の観点では、中国と対峙する日本と、中東諸国と対峙するイスラエルが、似たようなリスクを抱える国にみえるようだ。そこに、取り残された英国も加わると、なにやら切ない思いである。

 とはいえ、13年は先進国より新興国により大きなリスクあり、とするのは、それだけ世界の新興国依存度が高まっていることの裏返しであろう。

 それにしてもJIBsという新語が定着しないことを望む。


Top Risks of 2013 (画像引用)
http://www.eurasiagroup.net/pages/top-risks-2013
https://s3.amazonaws.com/Top_Risks_2013/Top+Risks+2013.pdf

Risk #5: The JIBs -- Japan, Israel, Britain
Posted By Ian Bremmer
Friday, January 18, 2013 - 10:35 AM
http://eurasia.foreignpolicy.com/posts/2013/01/18/risk_5_the_jibs_japan_israel_britain

The top risks of 2013
Posted By Ian Bremmer
Monday, January 7, 2013 - 2:43 PM
http://eurasia.foreignpolicy.com/posts/2013/01/07/the_top_risks_of_2013

January 11, 2013, 7:32 p.m. ET
Three Troubled Allies, One Superpower
Japan, Israel and Britain are facing big problems of their own just as the U.S. needs their help
By IAN BREMMER
http://online.wsj.com/article/SB10001424127887323442804578231870322045866.html?mod=googlenews_wsj

Forget the PIIGS and BRICS. It’s time to worry about the JIBS
January 7, 2013, 12:18 PM
http://blogs.marketwatch.com/thetell/2013/01/07/forget-the-piigs-and-brics-its-time-to-worry-about-the-jibs/

「パレスチナ化」懸念浮上の南シナ海:「アジアのパレスチナ」「もうひとつのパレスチナ」と語ったASEANのスリン・ピッスワン事務局長2012/12/04 07:47

「パレスチナ化」懸念浮上の南シナ海:「アジアのパレスチナ」「もうひとつのパレスチナ」と語ったASEANのスリン・ピッスワン事務局長


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中国が外国船舶取り締まり強化、海南省管轄の南シナ海対象に条例、実効支配強化の狙い
2012.12.3 22:30 (画像引用)
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121203/chn12120322320005-n1.htm

 【上海=河崎真澄】中国海南省の人民代表大会(議会に相当)常務委員会は3日までに、南シナ海で同省が管轄する海域で不法進入したと判断した外国船舶に対し、公安当局の国境警備機関が立ち入り検査や船舶差し押さえなど厳格な取り締まりを実施する、との新たな治安管理条例を可決した。国営新華社通信などが伝えた。

 先月就任したばかりの習近平総書記が率いる新指導部が、ほぼ全ての島嶼(とうしょ)に対して中国が領有権を主張する南シナ海での実効支配を強める狙いがありそうだ。

 条例では、外国船舶が同省の管轄海域内の中国領海を通過する際の停船、未許可の出入港や島への上陸、中国の主権や安全を侵す宣伝活動などを違法な行為と規定。船舶の強制退去や拿捕(だほ)などの措置も取れると定めている。

 中国政府は今年6月、南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)、西沙(同パラセル)、中沙の3諸島を海南省下の「三沙市」として一方的に制定。領有権主張が重なるベトナム、フィリピン、マレーシアなどが反発し緊張が高まっている。

 外国船舶への取り締まり強化を国家レベルではなく海南省の条例で定めた背景には、中国が領有権主張する沖縄県・尖閣諸島を範囲に含めることで日米との紛争要因にならぬよう、海域を限定した可能性が指摘されている。

 中国側は、「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国の一部である台湾省の一部」としており、今回の条例の範囲外となる。

 南シナ海は日本のタンカーやコンテナ船が多数航行する重要なシーレーン(海上交通路)。新華社電によると、中国外務省は条例について、「各国は国際法に基づき南シナ海で航行する自由を有している」との見解を示したが、中国側が「違法」と判断すれば取り締まりができる規定だ。


航行の自由阻害 一触即発の事態招く 国際社会の重大な脅威-中国海南省の立ち入り検査
2012.12.3 22:31
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121203/asi12120322330002-n1.htm

 【シンガポール=青木伸行】中国海南省の条例は、武力行使と強制力を伴う「平時臨検」ともいえる内容だ。適用範囲が南シナ海全域に及ぶのであれば、各国船舶の航行の自由を阻害し、一触即発の事態を招く危険性を助長するもので、東南アジア諸国のみならず、日本など国際社会の重大な脅威である。

 類似の措置には(1)禁輸執行活動(2)戦時および平時の臨検(3)海上封鎖-などがある。手順はほぼ同様で、停船要求→臨検、捜索→拿(だ)捕(ほ)、乗組員の拘束という流れだ。相手の船舶が停船命令に応じず、抵抗した場合の威嚇射撃や攻撃が、通常は認められている。

 中国がこうした措置を、国際法を無視し領有権を主張する南シナ海で執行すれば、領有権を争うフィリピンやベトナムの艦船、船舶との間で衝突が生じる危険性は当然、高まる。

 このため、東南アジア諸国連合(ASEAN)のスリン事務総長は「緊張を激化させ、大きな紛争の引き金になり得る深刻な事態だ」と、強い調子で中国を非難する。フィリピン政府も「国際社会を脅かし、航行と通商の自由を妨げるものだ」と猛反発している。

 軍事専門家は「条例は国際法、国連海洋法条約を侵害するものだ。各国が対応策として自国の船舶を護衛すれば、衝突の確率はさらに高まる」と憂慮する。

 「中国は武力で脅迫し、(南シナ海を)支配下に置こうとしている」(ベトナム共産党機関紙ニャンザン)との危機感から、中国の条例を「国連安保理で協議すべきだ」(外交筋)との見解も出されている。


インド海軍 必要あれば南シナ海に部隊派遣
2012.12.3 20:07
http://sankei.jp.msn.com/world/news/121203/asi12120320090001-n1.htm

 【ニューデリー=岩田智雄】インドのPTI通信によると、ジョシ印海軍参謀長は3日の記者会見で、中国海軍の増強に深い懸念を示し、南シナ海での航海の自由やベトナムとの共同資源開発を守るため、必要があれば艦隊を派遣する用意があると述べた。軍幹部が、南シナ海問題で強い姿勢を表明するのは異例。

 ジョシ参謀長は、南シナ海での偶発的な衝突の備えを問われ、中国海軍について、「近代化が実にめざましい。われわれの懸念の非常に重大な要因だ。取り得る措置と戦略について検討し、立案していく」と述べた。また、「(航海の自由や資源探査など)国益に関わる事態で必要があれば、現地へ行くことが求められるし、備えてもいる」とした。ただし、インド海軍は、南シナ海に十分な艦隊を展開する装備は持っておらず、発言は中国を牽(けん)制(せい)する狙いがあるとみられる。


アセアン事務局長 南シナ海の領土問題の「パレスチナ化」を懸念
28.11.2012, 18:12
http://japanese.ruvr.ru/2012_11_28/96198644/

アセアンのスリン・ピッスワン事務局長は、英国の新聞「ファイナンシャル・タイムズ」のインタビューに応じた中で「南シナ海の島々をめぐる状況は、地域全体の不安定化をもたらし国家間の対立を生む『新たなパレスチナ』になる恐れがある」と述べた。

スリン事務局長は又「アジアはここ数年間で、最も緊張した時期に入った。これは、中国とベトナム、フィリピンなどの国々との間で、南シナ海の島々に関する領土問題が先鋭化した事による」と指摘し、次のように続けた―

「もし地域の国々が、状況をエスカレートさせるのではなく、その緊張の緩和に努力しなければ、南シナ海は『もう一つのパレスチナ』になるかもしれない。」

先に米国は、アセアン・サミットで南シナ海の領土問題を国際的なものとして取り上げようとしたが、中国政府は、この問題の『インターナショナル化」を拒否、関係当事国との二国間ベースでのみ問題を話し合う用意があるとした。

Financial Times


中国、南シナ海は「自国領」の新旅券発行 ベトナムなど反発
2012.12.02 Sun posted at 18:02 JST
http://www.cnn.co.jp/world/35025156.html

中国の空母艦載機、離着艦に初成功ジャカルタ(CNN) 中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)の一部加盟国などが領有権を争う南シナ海の問題で、中国が新たに発行した旅券に南シナ海を自国領として刷り込んでいることが2日までにわかった。主権を争うベトナムなどが強く反発している。

ベトナムはこの旅券を認めず、無効のスタンプを押すと共に中国人旅行客に入国査証関連書類を別途手渡しているという。

米国務省は27日、旅券の作り方は各国の自由な権利として、中国の新旅券は合法的との見方を示した。ただ、ヌーランド報道官は他国を怒らせるような措置を選ぶことが政治的に賢明な判断なのかは別問題とも述べた。

南シナ海問題では、中国がほぼ全海域の、ベトナム、フィリピン、ブルネイ、マレーシアと台湾が一部海域の主権を主張している。中国はベトナムやフィリピンとの間で過去に艦船を動員しての海上衝突を起こしたこともある。

タイの外交官出身であるスリン・ピッスワンASEAN事務局長は英紙フィナンシャル・タイムズとの会見で南シナ海問題に触れ、緊張緩和の方途を見いださなければ、武力衝突が起きて地域の不安定化を招くアジアの「パレスチナ問題」になる恐れがあると警告。

中国が政治や経済、軍事各分野で存在感を高め南シナ海問題で領有権を主張すると共に、アジアは近年、最も対立が目立つ局面に入っているとも分析した。南シナ海には石油、ガスのエネルギー源の埋蔵や魚類資源が豊富とされ、国際的な海上貿易要路ともなっている。

年末で退任する同事務局長は、東南アジア諸国は中国とこれに対抗する米国のアジア重視路線との狭間でどちらにくみするのかを突き付けられていると指摘。ASEANの今年の議長国で親中派のカンボジアが南シナ海問題における対中戦略でのASEANの共同歩調づくりでベトナムとフィリピンの試みを阻止した例にも言及した。

スリン氏は南シナ海問題の悪化は中国内部の変化を反映しているとの見方も表明。指導部交代を踏まえ主権や領土主張を重視せざるを得ない背景や、経済的繁栄の追求、建国の努力が依然続いているとの国民感情が絡んでいるとも説明した。

その上で南シナ海での中国とASEANの紛争防止には島占拠などを放棄させるような法的拘束力を持つ行動規範の作成での合意が最も望ましいと主張。ただ、この合意づくりは、ASEAN地域で政治的論争を解決させるメカニズムの構築が十分でない現状を考慮すれば難航するとの見方も示した。


Last updated: November 28, 2012 3:58 am
Asean chief warns on South China Sea spats
By Ben Bland in Jakarta
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/c025d896-386b-11e2-981c-00144feabdc0.html#axzz2E1rRxoL0

Southeast Asia’s top diplomat has warned that the South China Sea disputes risk becoming “Asia’s Palestine”, deteriorating into a violent conflict that draws sharp dividing lines between nations and destabilises the whole region.

Surin Pitsuwan, the outgoing secretary-general of the 10-member Association of Southeast Asian Nations, told the Financial Times that Asia was entering its “most contentious” period in recent years as a rising China stakes out its claim to almost the entire South China Sea, clashing with the Philippines, Vietnam and others.

“We have to be mindful of the fact that the South China Sea could evolve into another Palestine,” if countries do not try harder to defuse rather than inflame tensions, he said.

As it has grown economically and militarily more powerful, Beijing has become more assertive about its territorial claims in the South China Sea, which encompasses vast oil and gas reserves, large fish stocks and key global trade routes.

After naval clashes with Vietnam and the Philippines – which claim parts of the South China Sea alongside Brunei, Malaysia and Taiwan – China has further angered its neighbours by printing a map of its extensive maritime claim, known as the “nine-dotted line” in new passports.

Vietnam has hit back by marking the passports of visiting Chinese as “invalid” and issuing separate visa forms rather than appearing to recognise the Chinese claim by stamping passports.

The US state department on Tuesday said Washington would continue to accept the new Chinese passports as legal documents, adding that countries were free to decide what their passports looked like.

But Victoria Nuland, the state department spokeswoman, added that it was a separate issue “whether it’s politically smart or helpful to be taking steps that antagonise countries”.

The US has responded to a resurgent Beijing by refocusing its foreign policy on Asia and building closer strategic and military ties with old foes such as Myanmar and Vietnam, which also fear the consequences of potential Chinese hegemony in the region.

Squeezed between these two great powers, southeast Asian nations will come under growing pressure to take sides unless they can stay united, said Mr Pitsuwan, a Thai diplomat who will step down next month after five years as the head of Asean.

He argued that the deteriorating situation in the South China Sea was the result of “the internal dynamics of China”, with Beijing focused on upholding its sovereignty and territory because of the recent leadership change, growing prosperity and a sense that the state-building process was still under way.

Asean, which is the only high-level forum for security issues in Asia, has fallen into disarray this year as Cambodia, a close Beijing ally and the chairman of the organisation, has undermined efforts by the Philippines and Vietnam to form a consensus about how to respond to China’s assertive stance.

“Cambodia has to balance itself within an increasingly tense power play,” said Mr Pitsuwan. “I think Cambodia did what it had to do – you have to look at it from their perspective.”

He added that the best hope for avoiding conflict was for Asean and China to agree on a binding code of conduct that would discourage nations from trying to seize islands, oilfields and fishing grounds in order to back up their territorial claims.

But this would be challenging given that Asia’s political institutions and dispute-resolution mechanisms were still very under-developed relative to the growing region’s economic might.


Philippines attacks Chinese maritime law
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/1fb53822-3c6a-11e2-a6b2-00144feabdc0.html#axzz2E1rRxoL0


India hits back at China in passports war
http://www.ft.com/intl/cms/s/0/d2c55cbc-3594-11e2-bf64-00144feabdc0.html#axzz2E1rRxoL0

「真珠の首飾り」 vs 「ダイヤのネックレス」 再び2012/11/26 06:06



<関連記事>

中印、海洋安保で駆け引き ASEAN取り込みが過熱
2012/11/26 0:31
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO48806020V21C12A1FF1000/

 【ハノイ=伊藤学】中国とインドが、海洋安全保障を巡って激しい駆け引きを展開している。中国がインド洋の港湾拠点整備を進める「真珠の首飾り」戦略に対抗し、インドはミャンマーなど東南アジア諸国連合(ASEAN)との関係強化で対中包囲網「ダイヤのネックレス」の形成を急ぐ。両国はアジア広域自由貿易協定(FTA)交渉でもしのぎを削り、安保・経済の両面でASEANの取り込み合戦が過熱している。

 「インドとASEANは、海洋安保など共通の利益を有している」。インドのシン首相は19日、カンボジアの首都プノンペンで開いたASEANとの首脳会議で、協力を強める重要性を訴えた。特に、インドはASEANのうちでもミャンマーとの関係改善に力を注いでいる。

 5月末、シン首相はインドの首相として四半世紀ぶりにミャンマーを訪問。農業や灌漑(かんがい)施設の近代化などに5億ドル(約400億円)の信用供与枠を設けると表明。インド、ミャンマー、タイの3カ国を結ぶ高速道路建設にも合意した。今月14日には、シン首相が訪印したミャンマー最大野党・国民民主連盟(NLD)のアウン・サン・スー・チー氏と会い、民主化の進展を歓迎した。

 ミャンマーと関係の強化を急ぐ理由は、同国の港湾が中国との海洋安保を巡る「主戦場」になりつつあるからだ。インド洋は中国にとって最大のエネルギー調達先、中東ペルシャ湾岸に向かうシーレーン(海上交通路)の要衝だ。

 中国は「玄関口」を確保するため、ミャンマー西部チャオピュー港の整備を支援している。雲南省から同港に全長約800キロメートルのパイプライン2本を引き、中東・アフリカとの原油や天然ガスの輸送に利用する計画だ。他にバングラデシュやスリランカ、パキスタン、アフリカ東部にも「首飾り」型の港湾建設を着々と進める。

 9月中旬には序列ナンバー2(当時)の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長(国会議長に相当)が、スリランカの商都コロンボを訪問。国有・招商局集団が建設を請け負う建設費5億ドルの港湾プロジェクトを視察した。今も戦略は「現在進行形」だ。

 一方のインドは、ミャンマー西部シットウェー港の開発を足がかりとする構え。軍事面では南シナ海からインド洋、アフリカまで各国との軍事協力を深める「ダイヤのネックレス」戦略で対抗する。インド海軍はインドネシアやシンガポール、南アフリカなどの海軍と共同訓練を実施。6月には日本の海上自衛隊とも初めて共同訓練に臨んだ。

 中印のつばぜり合いは、ASEANとの経済協力にも飛び火している。ASEAN10カ国と日中韓とインドなどを含めた16カ国は20日、広域FTA「地域包括的経済連携(RCEP)」の交渉開始を宣言した。15年末の妥結を目指す。

 景気の減速に苦しむ中印は、成長を維持するASEANとの貿易拡大を切望する。特にインドは中国に比べてASEANの足場作りが進んでいない。ASEANにとり輸出・輸入とも相手先トップは中国。中国との貿易総額は約3400億ドル(約27兆2千億円)に達するが、インドとは約730億ドルにとどまる。

 ASEAN成長取り込みの遅れを取り戻すことが、インドのRCEP交渉参加の最も大きな理由だ。ただ、それは中国と同じFTA網に入ることも意味する。

 インドの対中貿易赤字額は2011年、約270億ドルまで膨らんだ。RCEPの発効で、さらに中国から安価な製品が大量に流入することに警戒を強める。逆に中国はインドの巨大市場に輸出を拡大する機会をうかがう。

 RCEP交渉の関係筋は、今後の交渉について「進展するかは中国とインドの出方次第だ」と話す。海洋安全保障分野の主導権争いに加えて経済面の思惑も絡んで、中印両国がRCEP交渉で対立する事態も想定される。

日本列島の3人類集団(アイヌ人、本土人、琉球人)間およびそれらと他の人類集団との遺伝的近縁性を確定2012/11/03 07:43

日本列島の3人類集団(アイヌ人、本土人、琉球人)間およびそれらと他の人類集団との遺伝的近縁性を確定


<関連論文情報>

「日本列島3人類集団の遺伝的近縁性」
http://www.m.u-tokyo.ac.jp/news/admin/release_20121101.pdf

1.発表者:
 斎藤 成也(総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻 教授 兼任/
 国立遺伝学研究所 集団遺伝研究部門 教授)
 徳永 勝士(東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学専攻分野 教授)
 尾本 惠市(東京大学大学院理学系研究科・理学部 名誉教授)
 Timothy Jinam(国立遺伝学研究所人類遺伝学研究部門 博士研究員/
 総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻 2011年9月 博士課程修了)


2.発表のポイント
◆成 果:日本列島の3人類集団(アイヌ人、本土人、琉球人)間およびそれらと他の人類集団との遺伝的近縁性を確定した。

◆新規性:101年前に提唱されたアイヌ・琉球同系説を最終的に証明し、またアイヌ集団が本土人および北方集団と遺伝子交流をしてきたことがはっきりした。

◆社会的意義/将来の展望:
 日本列島における人類集団の遺伝的多様性を明確にすることは、人類学的観点のみならず、ゲノム医学にとっても大きな意義がある。将来は、これら集団間の表現型の違いとゲノムの違いを結びつけることが期待される。

3.発表概要:
 国立遺伝学研究所集団遺伝研究部門(総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻教授兼任)の斎藤成也教授、東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学専攻分野の徳永勝士教授、東京大学大学院理学系研究科・理学部の尾本惠市名誉教授を中心とする研究グループは、日本列島人(アイヌ人、琉球人、本土人)のゲノム解析により、現代日本列島人は、縄文人の系統と、弥生系渡来人の系統の混血であることを支持する結果を得た。

 これまでの遺伝学的研究では、アイヌ人と沖縄人の近縁性を支持する結果はいくつか得られていたが、決定的なものではなかった。今回、研究グループは、ヒトゲノム中のSNP(単一塩基多型)(注1)を示す100万塩基サイトを一挙に調べることができるシステムを用いて、アイヌ人36個体分、琉球人35個体分を含む日本列島人のDNA分析を行った。

 その結果、アイヌ人と琉球人が遺伝的にもっとも近縁であり、両者の中間に位置する本土人は、琉球人に次いでアイヌ人に近いことが示された。一方、本土人は集団としては韓国人と同じクラスター(注2)に属することも分かった。さらに、他の30人類集団のデータとの比較より日本列島人の特異性が示された。このことは、現代日本列島には旧石器時代から日本列島に住む縄文人の系統と弥生系渡来人の系統が共存するという、二重構造説を強く支持する。また、アイヌ人はさらに別の第三の系統(ニブヒなどのオホーツク沿岸居住民)との遺伝子交流があり、本土人との混血と第三の系統との混血が共存するために個体間の多様性がきわめて大きいこともわかった。

 日本列島における人類集団の遺伝的多様性を明確にすることは、人類学的観点のみならず、ゲノム医学にとっても大きな意義がある。将来は、これら集団間の表現型の違いとゲノムの違いを結びつけることが期待される。

4.発表内容:
 日本列島は南北4000km以上にわたっており、3万年以上前から人間が居住してきた考古学的・人類学的証拠がある。現在は北から順にアイヌ人、本土人、琉球人という3人類集団が分布している。これらの人々の起源と成立については、以前からいろいろな説があったが、ベルツ(注3)のアイヌ・沖縄同系説に端を発し、鳥居龍蔵や金関丈夫らが提唱した混血説の流れをくむ二重構造モデルが現在の定説である。これによれば、日本列島に最初に移住し縄文人を形成したのは、東南アジアに住んでいた古いタイプのアジア人集団の子孫である。その後、縄文時代から弥生時代に変遷するころに,北東アジアに居住していた人々の一派が日本列島に渡来してきた。彼らは極端な寒冷地に住んでいたために、寒冷適応を経て、顔などの形態が縄文人とは異なっている。この新しいタイプの人々(弥生時代以降の渡来人)は、北部九州に始まって、本州の日本海沿岸、近畿地方に移住を重ね、先住民である縄文人の子孫と混血をくりかえした。ところが、北海道にいた縄文人の子孫集団は、この渡来人との混血をほとんど経ず、やがてアイヌ人集団につながっていった。沖縄を中心とする南西諸島の集団も、本土から多くの移住があったために、北海道ほど明瞭ではないが、それでも日本列島本土に比べると縄文人の特徴をより強く残した。

 これまでの遺伝学的研究では、アイヌ人と沖縄人の近縁性を支持する結果はいくつか得られていたが、決定的なものではなかった。そこで今回、徳永研究室で使用している、ヒトゲノム中のSNP(単一塩基多型)を示す100万塩基サイトを一挙に調べることができるシステムを用いて、アイヌ人と琉球人のDNAをあらたに調べることにした。北海道日高地方の平取町に居住していたアイヌ系の人々から尾本らが1980年代に提供を受けた血液から抽出したDNAサンプルについて、これまでミトコンドリアDNA、Y染色体、HLAの研究が行なわれてきたが、それらのうち、36個体分を用いた。サンプル収集時期が30年近く前なので、今年に入って平取町を3回訪問し、町役場のアイヌ施策推進課の協力を得て、アイヌ協会平取支部の方々にお会いし、これまでの研究成果と今回の成果について説明した。琉球人のDNAについては、琉球大学医学部の要らが数年前に提供を受けた35個体分を用いた。

 今回の研究では、個人を単位にした解析と集団を単位にした解析を行なった。前者については、多変量解析の標準的な手法である主成分分析、祖先集団を仮定してそれらの遺伝子交流を個人ごとに推定する方法のふたつを用いて解析した結果、アイヌ人からみると、彼らから地理的に大きく離れている琉球人が遺伝的にもっとも近縁であり、両者の中間に位置する本土人は、琉球人に次いでアイヌ人に近いことが示された。また、アイヌ集団が本土人およびおそらく北海道よりももっと北方の人類集団と遺伝子交流をしてきたことにより、個体間の多様性がきわめて大きいことがわかった。他の30人類集団のデータとあわせて比較しても、日本列島人(アイヌ人、琉球人、本土人)の特異性が示された。これは、現在の東アジア大陸部の主要な集団とは異なる遺伝的構成、おそらく縄文人の系統を日本列島人が濃淡はあるものの受け継いできたことを示している。集団を単位とした解析では、アイヌ人と琉球人が統計的にきわめて高い精度でクラスターを形成し、それと本土人、韓国人がそれぞれつながってゆくパターンが同様の高い精度で支持されている。以上から、現代日本列島人は、旧石器時代から縄文時代を通じて居住してきた縄文人の系統と、弥生時代以降を中心に日本列島に渡来してきた弥生系渡来人の系統の混血であることがはっきりした。また、アイヌ人はこれらとはさらに別の第三の系統(ニブヒなどのオホーツク沿岸居住民)との遺伝子交流があったことがわかった。

 今回決定した100万SNP座位のデータは、さらに詳細な研究を進める上での基盤情報として貴重なものであり、今後は日本列島に渡来してきた祖先集団の出自の問題の探求や、表現型の違いとゲノムの違いを結びつける研究にも貢献することが期待される。

5.発表雑誌:
 雑誌名:Journal of Human Genetics(2012 年11月1日オンライン版)
 論文タイトル:The history of human populations in the Japanese Archipelago inferred from genome-wide SNP data with a special reference to the Ainu and the Ryukyuan populations
 著者:Japanese Archipelago Human Population Genetics Consortium {コンソーシアムメンバー:Timothy Jinam,西田奈央,平井百樹,河村正二,太田博樹,梅津和夫,木村亮介,大橋順,田嶋敦,山本敏充,田辺秀之,間野修平,数藤由美子,要匡,成富研二,柳久美子,新川詔夫,尾本惠市,徳永勝士,斎藤成也}
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7.用語解説:
(注1)SNP(Single Nucleotide Polymorphism):
 一塩基多型。ゲノム全域に存在する遺伝的多型のひとつ。DNAには4種類の塩基(A,C,G,T)があるが、塩基が置換するタイプの突然変異率はきわめて低いので、大多数のSNPではこれらのうちの2塩基が集団中に共存するタイプである。

(注2)クラスター(cluster):
 遺伝子や集団の系統樹で、複数の系統がひとつにまとまっている状態。

(注3)ベルツ(Erwin von Baelz):
 1849.1913。ドイツ人。1876年から1905年まで日本に滞在し、東京帝国大学医学部の教官などをつとめる。日本人と結婚。1911年にアイヌ沖縄同系論をドイツの雑誌に発表。


プレスリリース概要
『日本列島3人類集団の遺伝的近縁性』 (画像引用)
http://www.soken.ac.jp/news_all/2719.html

○記者会見出席者:

斎藤成也(さいとう・なるや)
 (総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻 教授 兼任/
 国立遺伝学研究所 集団遺伝研究部門 教授)
Timothy Jinam(ティモシー・ジナム)
 (国立遺伝学研究所 人類遺伝研究部門 博士研究員/
 総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻 2011年9月博士課程修了)
徳永 勝士(東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学専攻分野 教授)
尾本 惠市(東京大学大学院理学系研究科・理学部 名誉教授)



【研究概要】

 国立遺伝学研究所集団遺伝研究部門(総合研究大学院大学生命科学研究科遺伝学専攻教授兼任 )の斎藤成也教授、東京大学大学院医学系研究科人類遺伝学専攻分野の徳永勝士教授、東京大学大学院理学系研究科・理学部の尾本惠市名誉教授を中心とする研究グループは、日本列島人(アイヌ人、琉球人、本土人)のゲノム解析により、現代日本列島人は、縄文人の系統と、弥生系渡来人の系統の混血であることを支持する結果を得た。

 これまでの遺伝学的研究では、アイヌ人と沖縄人の近縁性を支持する結果はいくつか得られていたが、決定的なものではなかった。今回、研究グループは、ヒトゲノム中のSNP(単一塩基多型)(注1)を示す100万塩基サイトを一挙に調べることができるシステムを用いて、アイヌ人36個体分、琉球人35個体分を含む日本列島人のDNA分析を行った。

 その結果、アイヌ人からみると琉球人が遺伝的にもっとも近縁であり、両者の中間に位置する本土人は、琉球人に次いでアイヌ人に近いことが示された。一方、本土人は集団としては韓国人と同じクラスター(注2)に属することも分かった。さらに、他の30人類集団のデータとの比較より日本列島人の特異性が示された。このことは、現代日本列島には旧石器時代から日本列島に住む縄文人の系統と弥生系渡来人の系統が共存するという、二重構造説を強く支持する。また、アイヌ人はさらに別の第三の系統(ニブヒなどのオホーツク沿岸居住民)との遺伝子交流があり、本土人との混血と第三の系統との混血が共存するために個体間の多様性がきわめて大きいこともわかった。

 日本列島における人類集団の遺伝的多様性を明確にすることは、人類学的観点のみならず、ゲノム医学にとっても大きな意義がある。将来は、これら集団間の表現型の違いとゲノムの違いを結びつけることが期待される。

【詳細研究内容】

 日本列島は南北4000km以上にわたっており、3万年以上前から人間が居住してきた考古学的・人類学的証拠がある。現在は北から順にアイヌ人、本土人、琉球人という3人類集団が分布している。これらの人々の起源と成立については、以前からいろいろな説があったが、ベルツ(注3)のアイヌ・沖縄同系説に端を発し、鳥居龍蔵や金関丈夫らが提唱した混血説の流れをくむ二重構造モデルが現在の定説である。これによれば、日本列島に最初に移住し縄文人を形成したのは,東南アジアに住んでいた古いタイプのアジア人集団の子孫である。その後,縄文時代から弥生時代に変遷するころに,北東アジアに居住していた人々の一派が日本列島に渡来してきた。彼らは極端な寒冷地に住んでいたために,寒冷適応を経て,顔などの形態が縄文人とは異なっている。この新しいタイプの人々(弥生時代以降の渡来人)は,北部九州に始まって,本州の日本海沿岸,近畿地方に移住を重ね,先住民である縄文人の子孫と混血をくりかえした。ところが,北海道にいた縄文人の子孫集団は,この渡来人との混血をほとんど経ず,やがてアイヌ人集団につながっていった。沖縄を中心とする南西諸島の集団も,本土から多くの移住があったために,北海道ほど明瞭ではないが,それでも日本列島本土に比べると縄文人の特徴をより強く残した。

 これまでの遺伝学的研究では、アイヌ人と沖縄人の近縁性を支持する結果はいくつか得られていたが、決定的なものではなかった。そこで今回、徳永研究室で使用している、ヒトゲノム中のSNP(単一塩基多型)を示す100万塩基サイトを一挙に調べることができるシステムを用いて、アイヌ人と琉球人のDNAをあらたに調べることにした。北海道日高地方の平取町に居住していたアイヌ系の人々から尾本らが1980年代に提供を受けた血液から抽出したDNAサンプルについて、これまでミトコンドリアDNA、Y染色体、HLAの研究が行なわれてきたが、それらのうち、36個体分を用いた。サンプル収集時期が30年近く前なので、今年に入って平取町を3回訪問し、町役場のアイヌ施策推進課の協力を得て、アイヌ協会平取支部の方々にお会いし、これまでの研究成果と今回の成果について説明した。琉球人のDNAについては、琉球大学医学部の要匡准教授らが数年前に提供を受けた35個体分を用いた。

 今回の研究では、個人を単位にした解析と集団を単位にした解析を行なった。前者については、多変量解析の標準的な手法である主成分分析、祖先集団を仮定してそれらの遺伝子交流を個人ごとに推定する方法のふたつを用いて解析した結果、アイヌ人からみると、彼らから地理的に大きく離れている琉球人が遺伝的にもっとも近縁であり、両者の中間に位置する本土人は、琉球人に次いでアイヌ人に近いことが示された。また、アイヌ集団が本土人およびおそらく北海道よりももっと北方の人類集団と遺伝子交流をしてきたことにより、個体間の多様性がきわめて大きいことがわかった。他の30人類集団のデータとあわせて比較しても、日本列島人(アイヌ人、琉球人、本土人)の特異性が示された。これは、現在の東アジア大陸部の主要な集団とは異なる遺伝的構成、おそらく縄文人の系統を日本列島人が濃淡はあるものの受け継いできたことを示している。集団を単位とした解析では、アイヌ人と琉球人が統計的にきわめて高い精度でクラスターを形成し、それと本土人、韓国人がそれぞれつながってゆくパターンが同様の高い精度で支持されている。以上から、現代日本列島人は、旧石器時代から縄文時代を通じて居住してきた縄文人の系統と、弥生時代以降を中心に日本列島に渡来してきた弥生系渡来人の系統の混血であることがはっきりした。また、アイヌ人はこれらとはさらに別の第三の系統(ニブヒなどのオホーツク沿岸居住民)との遺伝子交流があったことがわかった。

今回決定した100万SNP座位のデータは、さらに詳細な研究を進める上での基盤情報として貴重なものであり、今後は日本列島に渡来して来た祖先集団の出自の問題の探求や、表現型の違いとゲノムの違いを結びつける研究にも貢献することが期待される。


【論文全著者】
Japanese Archipelago Human Population Genetics Consortium
(日本列島人類集団遺伝学コンソーシアム)
<コンソーシアムメンバー>
Timothy Jinam(ティモシー・ジナム)
(総合研究大学院大学 生命科学研究科 遺伝学専攻 博士課程{2011年9月修了})
(現所属:国立遺伝学研究所人類遺伝研究部門 博士研究員)
Nao Nishida(西田奈央)
(東京大学 大学院医学系研究科 人類遺伝学教室 講師)
Momoki Hirai(平井百樹)
(東京大学 大学院創成科学研究科先端生命科学専攻 名誉教授)
Shoji Kawamura(河村正二)
(東京大学 大学院創成科学研究科先端生命科学専攻 教授)
Hiroki Oota(太田博樹)
(北里大学医学部 准教授)
Kazuo Umetsu(梅津和夫)
(山形大学医学部 准教授)
Ryosuke Kimura(木村亮介)
(琉球大学亜熱帯島嶼科学超域研究推進機構 准教授)
Jun Ohashi(大橋順)
(筑波大学医学部 准教授)
Atsushi Tajima(田嶋敦)
(徳島大学大学院 准教授)
Toshimichi Yamamoto(山本敏充)
(名古屋大学医学部 准教授)
Hidyuki Tanabe(田辺秀之)
(総合研究大学院大学先導科学研究科 准教授)
Shuhei Mano(間野修平)
(総合研究大学院大学統計数理学専攻 准教授)
Yumiko Suto(数藤由美子)
(放射線医学総合研究所 緊急被ばく医療研究センター 室長)
Tadashi Kaname(要匡)
(琉球大学医学部 准教授)
Kenji Naritomi(成富研二)
(琉球大学医学部 教授)
Kumiko Yanagi(柳久美子)
(琉球大学医学部 助教)
Norio Niikawa(新川詔夫)
(北海道医療大学 学長)
Keiichi Omoto(尾本惠市)
(東京大学 大学院理学系研究科・理学部 名誉教授)
Katsushi Tokunaga(徳永勝士)
(東京大学大学院医学系研究科 教授)
Naruya Saitou(斎藤成也)
(総合研究大学院大学生命科学研究科 教授;東京大学大学院理学系研究科 教授;国立遺伝学研究所 教授)

【論文原題】The history of human populations in the Japanese Archipelago inferred from genome-wide SNP data with a special reference to the Ainu and the Ryukyuan populations
(ゲノム規模のSNPデータから推論された、アイヌ人と琉球人に特に着目した日本列島人類集団の歴史)
【発表雑誌名】 Journal of Human Genetics、Nature Publishing Group、2012 年11月1日オンライン版

【用語解説】 
(注1)SNP(Single Nucleotide Polymorphism):
一塩基多型。ゲノム全域に存在する遺伝的多型のひとつ。DNAには4種類の塩基
(A,C,G,T)があるが、塩基が置換するタイプの突然変異率はきわめて低いので、
大多数のSNPではこれらのうちの2塩基が集団中に共存するタイプである。

(注2)クラスター(cluster):
遺伝子や集団の系統樹で、複数の系統がひとつにまとまっている状態。

(注3)ベルツ(Erwin von Baelz):
1849−1913.ドイツ人.1876年から1905年まで日本に滞在し、東京帝国大学医学部の教官などをつとめる。日本人と結婚。1911年にアイヌ沖縄同系論をドイツの雑誌に発表。

縄文・弥生混血説を裏付け、斎藤成也教授「ベルツの説が101年後に最終的に証明された」2012/11/01 06:50

縄文・弥生混血説を裏付け、斎藤成也教授「ベルツの説が101年後に最終的に証明された」


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縄文・弥生混血説を裏付け 日本人の遺伝子解析 (画像引用)
http://www.chugoku-np.co.jp/News/Sp201211010088.html

 日本列島の先住民である縄文人と、朝鮮半島から渡ってきた弥生人とが混血を繰り返して現在の日本人になったとする「混血説」を裏付ける遺伝子解析の結果を、総合研究大学院大(神奈川県)などのチームがまとめ、日本人類遺伝学会が編集する1日付の国際専門誌電子版に発表した。

 これまでも同様の研究結果はあったが、今回は1人当たり最大約90万カ所のDNA変異を解析し、結果の信頼性は非常に高いとしている。

 チームはこれまで公開されている本土出身者(主に関東居住者)、中国人、欧米人など約460人分のDNAデータに、アイヌ民族と沖縄出身者の計71人分を新たに加えて解析した。その結果、アイヌ民族と遺伝的に最も近いのは沖縄出身者で、次が本土出身者と判明した。本土出身者は韓国人とも近かった。

 この結果は、日本人全般が縄文人の遺伝子を受け継いでいる一方、本土出身者は弥生人との混血の度合いが大きく、混血しながら北海道や沖縄方面に広がっていったと解釈できるという。

 日本人の起源は縄文人がそのまま各地の環境に適応した「変形説」、縄文人を弥生人が追い出して定着した「人種置換説」も知られているが、総研大の斎藤成也さいとう・なるや教授(遺伝学)は「研究結果は混血説のシナリオに一致した」と説明している。

 チームは今後、縄文遺跡で見つかる人骨のDNAを分析するなどし、日本人のルーツの解明を進める。


アイヌ民族と沖縄の人、遺伝的な特徴に共通点 (画像引用)
縄文系と弥生系のDNAの分布
http://www.asahi.com/culture/update/1101/TKY201210310836.html

 【波多野陽】北海道のアイヌ民族と沖縄の人たちは、遺伝的な特徴が似ていることが、国立遺伝学研究所などの解析でわかった。本州、九州などでは、縄文人と大陸から来た弥生人との混血がより進んだが、南北に離れた地域では縄文系の遺伝的特徴が多く残ったようだ。縄文人と弥生人の混血が日本人の起源とする説を、遺伝子レベルで裏付ける成果という。

 遺伝研と東京大などは、DNAの中の1カ所の塩基だけが変異したSNP(スニップ)の特徴が、民族や地域などで違うことに着目。日本の本州などの人243人、アイヌ民族36人、沖縄の人35人と、中国人(北京の漢民族)などとSNP約90万カ所を比較した。アイヌ民族のDNAは約30年前に保存されていたものを分析した。


日本人:アイヌは琉球人と近縁 DNA配列の解析で判明
毎日新聞 2012年10月31日 21時46分(最終更新 10月31日 22時10分)
http://mainichi.jp/select/news/20121101k0000m040086000c.html

 日本列島に住むヒトの集団の中では、北海道のアイヌは本土日本人よりも沖縄(琉球)人と近縁性が高いことを、総合研究大学院大学の斎藤成也教授らのチームがDNA配列の個人差を大規模解析して突き止めたと発表した。チームは最初に日本列島に移住していた縄文人と弥生時代に来た渡来人が混血を繰り返して現在の本土日本人が生まれ、北海道と沖縄の集団は渡来人の影響をほとんど受けなかったとする学説を裏付ける成果と主張。1日付の日本人類遺伝学会の英文誌電子版に掲載される。

 日本に招かれたドイツの病理学者ベルツが1911年、アイヌと琉球人には身体的な共通点があることを指摘し、現在も議論が続いている。

 チームは東京大学のグループが80年代に北海道平取町のアイヌから提供を受けた血液36人分や、沖縄で採取された琉球人の血液35人分に含まれるDNAを分析。すでに公開されている本土日本人243人のDNAのデータと合わせ、配列の個人差を1人あたり60万カ所程度比較した。その結果、アイヌと遺伝的に最も近いのは琉球人で、本土日本人はアイヌより琉球人や韓国人と近いことが分かったという。【斎藤広子】


アイヌ、琉球は縄文系=本土は弥生人との混血-日本人のDNA解析・総研大など
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2012110100041

 日本人を北海道のアイヌ、本土人、沖縄の琉球人の3集団に分けた場合、縄文人に起源があるアイヌと琉球人が近く、本土人は中国大陸から朝鮮半島経由で渡来した弥生人と縄文人との混血が進んだことが確認された。総合研究大学院大や国立遺伝学研究所(遺伝研)、東京大などの研究チームが、過去最大規模の細胞核DNA解析を行い、1日付の日本人類遺伝学会の英文誌電子版に発表した。

 アイヌと琉球人が同系との説は、東大医学部の教官を務めたドイツ人ベルツが1911年に初めて論文発表した。頭骨の分析では、狩猟採集生活の縄文人は小さい丸顔で彫りが深く、約3000年前に渡来し稲作をもたらした弥生人は北方寒冷地に適応していたため、顔が平たく長い傾向がある。

 総研大と遺伝研の斎藤成也教授は「ベルツの説が101年後に最終的に証明された。本土人は大ざっぱに言えば、縄文人2~3割と弥生人7~8割の混血ではないか。今後は縄文人のDNA解析で起源を探るほか、弥生時代に農耕が広がり人口が急増した時期を推定したい」と話している。(2012/11/01-02:19)



縄文・弥生のハイブリッドシステムを忘れるな
http://www.yorozubp.com/0506/050619.htm

「歴史の終わり」に続く新ネタは「中国の終わり」? - フランシス・フクヤマが「中国の政治システムは爆発の恐れあり」2012/10/16 06:35

「歴史の終わり」に続く新ネタは「中国の終わり」? - フランシス・フクヤマが「中国の政治システムは爆発の恐れあり」


<関連記事>

日系人学者「中国の政治システム、一瞬で爆発の恐れも」
2012年10月15日11時11分
http://japanese.joins.com/article/284/161284.html?servcode=A00&sectcode=A00

「中国の政治システムは一瞬で爆発してしまうかもしれない」。

米国の政治学者フランシス・フクヤマが警告した。富とソーシャルネットワークを基に影響力を伸ばしている中国中産層の拡大を根拠に上意下達式の政治システムが危機を迎えると予想したと13日にAFP通信が報道した。フクヤマ氏は20年前に社会主義体制の崩壊過程を見て著書「歴史の終わり」を通じ自由民主主義の勝利を宣言したことがある。

彼が中央集中的な政治システムを警戒する理由は、情報の交流が不可能なためだ。彼は「中国は常に皇帝が社会の底辺でどんなことが起きているのか推し量れなかった。これは多くの側面で共産党の問題と正確に一致する」と指摘した。

自由言論と地方選挙の不在もやはり円滑な疎通が成り立てない理由に挙げた。孤立した中央指導部は世論把握のために中国版ツイッターの微博(ウェイボー)などを検閲してきたが、このような統制がかえって国民意識を鼓吹させる火種として作用すると彼は主張した。

昨年7月に発生した温州での高速列車惨事がその例だ。当時中国指導部は事故の残骸を埋め雷のために事故が起きたものと偽装しようとした。だが微博に各種写真と証言が広がり管制システムの問題を認めなければならなかった。

フクヤマ氏はまた、「中国は真の法治と責任政治に対するメカニズムがなく、“悪い皇帝”問題に弱い」と指摘した。薄熙来の追放も、「彼がカリスマある指導者としてシステム全体を爆発させるほどの大衆的支持基盤を構築していったため」と主張した。彼は「共産党指導部の90%以上が海外に資産を保有している。彼らもこのシステムの問題点をよく知っている」と分析した。


Chinese political system could 'blow up', says US academic
(AFP) – 2 days ago
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5h_TSyVDSSKLCY9CjyChsd3HP2O3w?docId=CNG.805aa43f6fae763cf22c262a48474e46.1b1

PARIS — China's top-down political system, under pressure from a growing middle class empowered by wealth and social networks, is likely to "blow up at some point," US academic Francis Fukuyama told AFP in an interview.

"China has always been a country with a big information problem where the emperor can't figure out what's going on" at a grassroots level, said Fukuyama, best known for his 1992 book "The End of History and the Last Man," which argues that liberal democracy is the fulcrum of social evolution.

"This is in so many respects exactly the Communist Party's problem. Because they don't have a free media, they don't have local elections, they can't really judge what their people are thinking," he said this week, ahead of a conference on geopolitics in Paris.

An isolated central Chinese leadership compensates by gathering information through polling and eavesdropping on the nation's massively used micro-blogging platforms, especially the Twitter-like Sina Weibo, Fukuyama contends.

But these same networks are fueling "the growth of a national consciousness that did not exist under the controlled media setting of the Communist regime," he said.

"That is one of the reasons I think that China's system is going to blow up as some point."

The US academic, based at Stanford University, pointed to the fallout from a crash of China's showcase high-speed trains in July 2011 that left 40 dead and deeply shocked the the nation.

High-level officials sought to bury parts of the twisted wreckage, presumably to impede a thorough investigation as to what caused the accident, but a tsunami of chatter and photos on Weibo forced the government to backtrack.

A historically strong central state held in check neither by organized religion nor by civil society has helped China's leaders engineer spectacular and sustained growth, Fukuyama argues.

"You have to credit them with an amazing performance over the last 30 years."

But the absence of genuine rule by law and mechanisms for holding those in power accountable also leaves he country vulnerable to what he calls "the bad emperor" problem, he added.

"Up to now, their leadership has been composed of people who lived through the Cultural Revolution, and they do not want to see that repeated. But once they die off there's no guarantee you won't get another Mao," he said.

The recent purging of Communist Party boss Bo Xilai on charges of corruption was driven in part by other leaders' fear of his growing popularity, Fukuyama said.

"One of the reasons they felt they had to get rid of him was that he was a charismatic leader... developing a populist base that could blow up the whole system."

The full transcript of the interview can be found at http://blogs.afp.com/geopolitics.


<画像引用>

Fukuyama China on the brink, US on the blink – Geopolitics
http://blogs.afp.com/geopolitics/?post/2012/10/12/Francis-Fukuyama%3A-China-on-the-brink%2C-US-paralyzed

朝日:尖閣有事、米国どう動く ジェームズ・ホームズ=共同行動は義務、熱意には隔たり、トシ・ヨシハラ=抑止力示しつつ、「戦略的あいまいさ」保つ2012/10/11 06:37

朝日:尖閣有事、米国どう動く ジェームズ・ホームズ=共同行動は義務、熱意には隔たり、トシ・ヨシハラ=抑止力示しつつ、「戦略的あいまいさ」保つ


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尖閣有事、米国どう動く 米海軍大2氏に聞く ホームズ准教授・ヨシハラ教授
2012/10/07 朝日新聞 朝刊

 仮に日中が尖閣諸島を巡って衝突したら米国はどう対処するのか。米海軍の教育・研究機関である海軍大学(ロードアイランド州)で、アジア太平洋地域での軍事戦略を研究する2人に聞いた。

 ●共同行動は義務、熱意には隔たり ジェームズ・ホームズ准教授

 ――日米安保条約に基づく米国の対応は。

 条約は確かに共同で「行動」する義務を定めている。しかし、「ある国が攻撃されたらすべての国が戦争に参加する」と書いてあるわけではない。これは、北大西洋条約機構(NATO)憲章でも同じだ。

 ――ではどう行動するのでしょう。

 この問題で日米間にはある程度の「隙間」があるかもしれない。最終的には米国は日本と共に行動するだろう。ただ、米国が特別の熱意を持ってこの島を守るとは期待しないほうがいい。同盟関係の維持という観点を除けば、この島に大きな価値があるわけではない。日米が対応を協議している間、中国は時間的な優位を得るかもしれない。

 個人的には、米国は日本を守るというメッセージをもっと明確にすべきだと思う。同盟にひびが入り、つけいる隙があると中国が判断すれば、戦争の可能性はかえって高まる。ただ、米国には対中関係を損ねることを懸念する見方もあるし、一般の米国民からすれば、これはささいな問題だ。

 ――日本側の対応についてはどう考えますか。

 防衛費の国内総生産(GDP)比1%枠は見直すべきではないか。移動式の地対艦ミサイルを琉球諸島に配備するなど、運用面でできることもある。

 ――衝突が起こった場合の予測を発表しましたね。

 艦船や航空機の数などでは中国が上回っているが、自衛隊のほうが訓練されているし装備も先進的だ。ただ、本土から離れているという地理的な問題や、先に述べたミサイル配備などの措置がまだ講じられていないことから、いま戦えば中国が優位だろう。


 ●初期対応は日本、自衛の意思必要 トシ・ヨシハラ教授

 ――東シナ海や南シナ海で緊張が高まる背景には何があると考えますか。

 根本にあるのは、東アジアで力の不均衡が拡大していることだ。中国は総合的な国力や、特に海軍力の拡大によって、自らの主張や願望を実行に移しつつある。

 もう一つの根底にある問題は、中国が国際法といった規範に従うかどうかだ。中国が「自国近海では例外的な立場が認められるべきだ」と考えるのであれば、米国や日本は既存の国際秩序を守る側に立ち、米中の共存は非常に困難になる。

 ――米軍と比較した中国の海軍力をどう分析していますか。

 現在は近海への接近を拒否しようとする中国軍と接近能力を保とうとする米軍の競争だ。

 実際に現場を知る士官たちに教えていて感じるのは、ここ数年、彼らの態度に変化がみられるということだ。中国の接近拒否能力向上によって、米国の士官たちがもはや安全とは感じられない海域がある。もちろん、中国海軍が、外洋で本格的に活動できるようになるには長い時間がかかるが、現在でも自国の近海では多くのことができる。

 ――尖閣諸島を巡って衝突が起こった場合の日米の対応は。

 初期段階の対処は日本がすべきだ。日本が自国防衛の能力と政治的な意思を示し続ける限り、必要であれば米軍は支援をするだろう。一方、もし日本が自国の島を守るために何もしないとすれば、米軍派遣は政治的により困難になる。

 ◆抑止力示しつつ、あいまいさ保つ

 米国は日中双方に、対話による平和的解決を求める一方で、有事の際は日米安保条約に基づいて行動するという「抑止」のメッセージも送っている。

 ただ、実際に米国が果たす役割については、日本の期待と、米国での一般的な受け止めには隔たりがある。無人の尖閣諸島を守るため米兵を最前線に送り、中国と戦争をすべきだと唱える声は、ワシントンでは聞こえない。

 一方、「尖閣諸島を守らない」という立場を取れば、日米同盟や米国への信頼に大きな傷がつくうえ、中国のさらなる挑発的行動を誘発しかねないことは、両氏が指摘する通りだ。どう行動するかは明言せず「戦略的あいまいさ」を保つのが、いまのオバマ政権の立場だ。

 米国の視点からすれば、尖閣問題は中国の海洋進出にどう対処するかという問題でもある。米戦略国際問題研究所(CSIS)のマイケル・グリーン日本部長は「根底にある構造的な問題は、中国が(九州・沖縄からフィリピンなどに至る)第一列島線の内側を支配下に置こうとしていることだ」と指摘する。

 米国は南西諸島の防衛に日本がより大きな役割を果たすよう求めている。背景にあるのは、こうした問題意識だ。

 (ワシントン=大島隆)


<画像引用>

INTERVIEW/ James Holmes: Japan should not expect U.S. to defend Senkakus with enthusiasm
http://ajw.asahi.com/article/asia/china/AJ201210090048

INTERVIEW/ Toshi Yoshihara: Japan's defense capability, political will a precondition for U.S. military action to protect Senkakus
http://ajw.asahi.com/article/asia/china/AJ201210090050