レーダー照射:「ロックオン」という名の危険な挑発 ― 2013/02/06 07:52

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中国艦船が海自護衛艦にレーダー照射
2月5日 17時50分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130205/k10015313791000.html
小野寺防衛大臣は緊急に記者会見し、東シナ海で先月30日、中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用のレーダーを照射していたことを明らかにしました。小野寺防衛大臣は「大変異常なことであり、一歩間違えると、危険な状況に陥ることになると認識している」と述べ、外務省が中国側に抗議したことを明らかにしました。
この中で、小野寺防衛大臣は、先月30日午前10時ごろ、東シナ海で、中国海軍のジャンウェイ2級フリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に対し、射撃管制用のレーダーを照射したことを明らかにしました。
また、小野寺防衛大臣は「先月19日午後5時ごろにも、東シナ海で、中国海軍のジャンカイ1級フリゲート艦から護衛艦『おおなみ』に搭載されているヘリコプターに射撃管制用のレーダーの照射が疑われる事案があった」と述べました。
そのうえで、小野寺防衛大臣は「大変異常なことであり、一歩間違えると、危険な状況に陥ることになると認識している。このことを踏まえ、中国側に外交ルートを通じて申し入れを行った。危険な行為であり、中国側に自制を求めていく」と述べ、外務省が中国側に抗議したことを明らかにしました。
射撃管制用レーダーは、艦艇に搭載されたミサイルなどを発射するにあたって、目標に照準を合わせ追尾するためのもので、これまでの分析の結果から照射されたことが分かったということです。中国海軍のフリゲート艦からはミサイルなどは発射されませんでした。
中国海軍の艦船が自衛隊の艦船に射撃管制用のレーダーを照射したことが確認されたのは極めて特異なことだということです。
レーダー照射時間“分単位”
2月5日 21時11分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130205/k10015319591000.html
防衛省の幹部は、5日夜、記者団に対し、先月30日に中国海軍のフリゲート艦が、海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用のレーダーを照射してきた際の状況について、レーダーが照射された時間は「分単位だった」と説明するとともに、海上自衛隊の護衛艦と中国海軍のフリゲート艦との間で、その前後に交信はなかったことを明らかにしました。
そのうえで、海上自衛隊の護衛艦は、中国側からレーダーの照射を受けたあと、「進路を変えて遠くに離れていくという、一般的な回避行動をとった」と述べました。
一方、先月19日に中国海軍のフリゲート艦から自衛隊のヘリコプターに射撃管制用のレーダーの照射が行われた疑いがある事案について、この防衛省幹部は、中国海軍のフリゲート艦と自衛隊のヘリコプターとの距離は「数キロだった」と述べました。
【レーダー照射】事実上の「攻撃予告」 (画像引用)
2013.2.6 00:16
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130206/plc13020600180000-n1.htm
中国のフリゲート艦が海自の護衛艦に照射した射撃管制用のレーダーは「FCレーダー」とも呼ばれ、ミサイルや火砲などを発射する際、目標の距離や針路、速力、高度などを正確に捕捉し自動追尾する「ロックオン」に用いるもの。照射はいわば「攻撃予告」であり、「照射された側が対応行動として先に攻撃しても、国際法的に何ら問題ではない」(防衛省幹部)ほどの危険な行為だ。
防衛省によると中国側は今回、それぞれ数分間にわたりレーダーを照射した。発射ボタンを押せばミサイルなどでの攻撃が可能な状態であり、海自側は回避行動を余儀なくされた。小野寺五典防衛相は記者会見で「(日本側に)落ち度があるわけがない」と述べ、中国側の一方的な挑発行為であることを強調した。
海自によると、軍用の艦艇は大別して(1)周辺の艦船や漁船などを捕捉する航海用のレーダー(2)対空監視用レーダー(3)射撃管制用レーダー-の3種類を搭載しているが、通常の警戒監視で射撃管制用レーダーを用いることはない。海自幹部は「こちらがどういう対応をするかを観察するために使った可能性がある」と中国側の意図を推測した。
中国艦艇から海自がレーダー照射を受けた事実が判明したのは初めてだが、冷戦期の旧ソ連も日本側に対し、砲を向けるなどの直接的な挑発行為を行っていたという。中国側も今後、さらに挑発行為をエスカレートさせていく可能性がある。
「見識疑う」「挑発行為」=衝撃と懸念広がる-与野党・中国海軍レーダー照射
http://www.jiji.com/jc/c?g=pol_30&k=2013020500878
中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦に射撃用の火器管制レーダーを照射したことが明らかになった5日、与野党には衝撃と懸念が広がった。自民党の石破茂幹事長は都内で記者団に「次の射撃を前提としていたなら、かなり挑発的な行為だ。両国の信頼関係に傷を付ける行為だ」と中国側を厳しく批判した。
鴨下一郎国対委員長は記者会見で「二度とこういうことがないように働き掛けをしていくべきだ」と述べた。同党の閣僚経験者は「いつか制御が効かなくなり、取り返しのつかないことになる」と危機感を示し、「軍のモラルを問われる行為で、大国としての見識を疑う」と断じた。
公明党の上田勇政調会長代理は取材に対し、「極めて遺憾。政府は中国に厳しく抗議してほしい」と強調した。同党は、先に山口那津男代表が訪中し、習近平共産党総書記と会談するなど日中関係の修復を重視している。それだけに、事態を憂慮する声が強く、幹部の一人は「偶発的な衝突が一番怖い」と指摘した。
民主党の中川正春幹事長代行は取材に対し、「挑発に乗って事態をエスカレートさせてはならない」と政府に慎重な対応を求めた。同時に「(レーダー照射と)発表の時期がずれているので、しっかり究明していきたい」と述べ、国会で経緯をただす考えを示した。
日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長は「一つ間違えば武力衝突につながる挑発行動だ」とのコメントを発表。政府に対して「中国からの挑発に乗らず、主権・領土で譲歩しない姿勢を明確にする必要がある」と求めた。
みんなの党幹部は「中国に強く自制を求めていくことが大切だ」と述べ、生活の党の鈴木克昌幹事長は取材に対し「撃ち合いに発展する可能性のあることであり、厳重に抗議すべき事態だ」と語った。(2013/02/06-00:12)
米 レーダー照射に強い懸念
2月6日 7時5分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130206/k10015324561000.html
中国海軍の艦艇が、先月、東シナ海で海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用のレーダーを照射した問題について、アメリカ国務省の報道官は「不測の事態を招きかねない」と述べ、強い懸念を示しました。
この問題は、先月30日、東シナ海で中国海軍のフリゲート艦が海上自衛隊の護衛艦「ゆうだち」に射撃管制用のレーダーを照射したもので、先月19日にも、別のフリゲート艦が海上自衛隊のヘリコプターに射撃管制用とみられるレーダーを照射していました。
これについて、アメリカ国務省のヌーランド報道官は、5日の記者会見で、「日本と中国の間の緊張を高め、不測の事態を招きかねないものだ。こうした行為は、地域の平和と安定、それに経済分野の発展を損なうおそれがある」と述べ、強い懸念を示しました。
一方、ケリー国務長官は5日に中国の楊外相と電話で会談しましたが、ヌーランド報道官はレーダー照射の問題が話し合われたかどうかは明らかにしませんでした。
沖縄県の尖閣諸島を巡っては、クリントン前国務長官が、先月18日に岸田外務大臣と会談したあとの記者会見で、「尖閣諸島は日本の施政下にあり、日本の施政権を損なおうとするいかなる行為にも反対する。双方に対し、平和的な方法で事態の悪化を防ぐ措置を取るよう求める」と述べ、これまでより踏み込んだ表現で中国をけん制していました。
しかし、中国海軍によるレーダー照射は、クリントン前国務長官の発言の直後に相次いで行われただけに、アメリカは懸念を深めているものとみられます。
中国「事実関係確認する」=レーダー照射で日本側に
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2013020501003
【北京時事】堀之内秀久駐中国公使は5日、中国海軍艦艇が海上自衛隊艦艇に射撃用の火器管制レーダーを照射していたことについて、中国外務省の羅照輝アジア局長に申し入れを行い、遺憾の意を伝えた。羅局長からは「事実関係を確認する」という趣旨の回答があったという。
堀之内公使は「不測の事態を招きかねない危険な行為だ」として、再発防止を求めた。このほか4日に中国国家海洋局所属の海洋監視船が沖縄県・尖閣諸島領海に侵入したことについても、「厳重な抗議」を行った。(2013/02/05-22:05)
中国海軍レーダー照射、党の指示か 現場の独走か
2013/2/5 22:22
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM0504Z_V00C13A2EA2000/?nbm=DGXNASGM0506E_V00C13A2000000
【北京=島田学】中国の国営新華社(電子版)は5日夜、日本メディアの速報を紹介する形で事実関係のみを伝えた。ただ中国政府は同日夜現在、公式コメントを発表していない。危険な挑発の目的を巡っては2つの見方が浮上している。
1つ目が共産党指導部が軍に指示を出し、尖閣諸島を巡る対立をあおる狙いだ。
日本政府は中国の度重なる挑発にもかかわらず「領土問題は存在しない」との立場を崩していない。軍が意図的にレーダー照射を仕掛けて対立を激化させ、国際社会が「日中間に領土紛争が存在する」と誤解するよう仕向ける目的だ。
日中の対立が激化すれば、東アジアの安定を望む国際社会が仲裁に乗り出す可能性がある。その場合は「領土を巡る紛争」が各国の共通認識となり、中国の主張が通りやすくなるとの読みだ。
習近平総書記が昨年11月に軍の最高決定機関、党中央軍事委員会主席について以降、軍からは強硬なメッセージが目立つ。総参謀部は1月、習氏の指示として「軍事闘争の準備をしっかりとし、実戦に対応できるよう部隊の訓練を厳しく指導するように」と命令した。
だが米国は日中双方に事態をエスカレートさせないよう強く促し続けている。1月にクリントン国務長官(当時)は、尖閣諸島を巡って日本の立場を支持する姿勢を打ち出した。中国から挑発を仕掛ければ、米国は態度を硬化しかねない。
もう1つの見方が軍の現場の独走だ。中国外務省筋はあくまでも現場の軍人の判断によるものだとの認識を示唆した。尖閣諸島を巡る日中の対立は膠着状態に陥り、米国も日本支持に傾斜する。いら立つ軍部が強硬姿勢を強め、事態の打開を狙ったとの観測がある。
だが自衛隊関係者は「レーダー照射が数分間続いたことから考えると、現場の暴走と判断するのは難しい」との見方を示している。
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